説明

キーリピート間隔調整装置およびキーリピート間隔調整方法

【課題】キーの押下、再押下でキーリピート間隔を簡易に設定する。
【解決手段】押下検出部は、ユーザのキー押下、押下解除を検出する。押下検出部での検出が終わったあと、押下パターン判定部が呼び出され処理が始まり、キー押下タイミングと押下解除のタイミングに関するキーリピート間隔変更条件の成否が判定される。設定部は、設定条件が成立する場合、キーリピート間隔を設定し、調整条件が設立する場合、キーリピート間隔を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーリピート間隔を調整するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電化製品の普及に伴い、リモコン、キーボードなど、ボタンやキーを持つ電化製品を使用する機会が増えている。電化製品のハードウェアおよびソフトウェアの仕様により、キー入力の応答性を決定づけるキーリピート間隔はバラバラである。
【0003】
また同じメーカーであっても、製品間でキーリピート間隔の統一がなされていないことも多い。
【特許文献1】特許公開平7−56669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キーリピート間隔の違いは、製品ごとの操作感の違いとなってあらわれる。このため、ユーザは製品ごとのユーザインターフェイスにあわせる必要がある。特に、画面に表示されている項目をカーソルボタンにより選択するときには、この操作感の違いが顕著となる。パーソナルコンピュータ用では、キーリピート間隔を調整するためのソフトウェアもある。しかし、このようなソフトウェアでは、画面を介して設定せねばならず、ユーザにとって使い勝手のいいものではない。
本発明の主たる目的は、ユーザが手軽にキーリピート間隔を調整するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、ユーザに所定キーを押下、または押下解除させキーリピート間隔を調整するキーリピート間隔調整装置に関する。
この装置は、ユーザのキー押下、押下解除を検出する押下検出部と、キーの押下タイミングと押下解除のタイミングについての所定条件の成否を判定する押下パターン判定部と、所定条件が成立したとき、押下タイミングと押下解除のタイミングに基づいてキーリピート間隔を設定する設定部と、を備える。
押下検出部は、キーの押下、または押下解除を検出し、検出を示すデータを検出時刻と共に記録してもよい。
押下パターン判定部は、押下検出部の検出した所定キーの押下が、所定条件を満たすかを判定し、必要に応じて設定部にキーリピート間隔の設定を依頼してもよい。このような処理方法によれば、ユーザはキー押下や押下解除のタイミングをコントロールするだけで、キーリピート間隔を手軽に設定できる。
【0006】
押下検出部は、キーの押下、押下解除だけでなくボタンの押下、押下解除を検出してもよい。たとえば、携帯電話のシャープボタンを検出対象としてもよい。
押下パターン判定部が判定する条件は、キーリピート間隔を設定するための条件やキーリピート間隔を調整するための条件であってもよい。たとえば、所定の設定キーが押下されたあと、再押下されることをキーリピート間隔の設定条件、所定の短時間内に2回押下されることをキーリピート間隔の調整条件としてもよい。
設定条件、調整条件(以下、まとめて言うときには「キーリピート間隔変更条件」と呼ぶ)は、所定の一つのキーの押下、押下解除のタイミングに関して設定されてもよいし、複数キーの押下のタイミングに関して設定されてもよい。たとえば、「設定開始キー」が押下解除されたあと、「設定終了キー」が押下されることをキーリピート間隔変更条件としてもよい。
【0007】
「キーリピート間隔の設定」とは、キーリピート間隔の調整も含む概念であってよい。たとえば、設定キーが0.2秒以内に連続して押下される、という調整条件が設定されていたとする。このとき、その条件が満たされたら、キーリピート間隔を0.02秒減算するとしてもよい。逆に、加算してもよい。
また、設定部は、キーの押下タイミングと押下解除のタイミングにより、キーリピート間隔を設定してもよい。たとえば、設定キーが連続して押下されたとき、押下から再押下までの時間間隔をキーリピート間隔と設定してもよい。
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キーリピート間隔をユーザが手軽に設定、調整(以下、まとめて言うときには「変更」と呼ぶ)できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施例では、キーリピート間隔調整の仕組みをハードディスクレコーダのリモコン操作を対象として説明する。簡単のため、テレビ番組の検索処理を例に説明する。
【0010】
図1は、テレビ番組表示・録画システムを示す図である。
テレビ番組表示・録画システム10は、ユーザのリモコン操作により、テレビ番組を表示、録画する。テレビ番組表示・録画システム10は、ハードディスクレコーダ100、ディスプレイ300、リモコン400、インターネット500から構成される。
リモコン400は、ユーザからのキー入力を受け付け、リモコン信号をハードディスクレコーダ100に送信する。リモコン信号には、リモコン400のキーの押下、押下解除、および操作対象となったキーの情報が含まれる。ハードディスクレコーダ100は、リモコン信号に応じて、テレビ番組を録画したり、インターネット500を介してテレビ番組の情報を検索したり、検索結果をディスプレイ300に表示したりする。
【0011】
リモコン400は、上下左右のカーソルキー(410から440)、決定キー450、設定キー460を備える。上下左右のカーソルキーは、ディスプレイ300上の番組選択のためのカーソルを移動させるときに使われる。決定キー450は、ディスプレイ300に表示される番組選択のボタンを押下操作する際に使われる。設定キー460は、キーリピート間隔の調整に使われる。これらキーがユーザに押下されると、リモコン信号が、ハードディスクレコーダ100に送られる。
【0012】
ハードディスクレコーダ100は、処理部110、リモコンインターフェイス部120、表示部130、記録部140を含む。
リモコンインターフェイス部120は、リモコン400とのインターフェイスを提供し、リモコン信号検出部122、キーリピート間隔調整部200を含む。リモコン信号検出部122は、リモコン400から送られるリモコン信号を監視し、検出情報を処理部110に渡す。検出情報とは、リモコン信号を処理部110が処理するフォーマットに変換したもので、リモコン400のどのキーが押下または押下解除されたかを示す情報である。
キーリピート間隔調整部200は、設定キー460の押下タイミングと押下解除のタイミングについてのキーリピート間隔変更条件の成否を判定し、条件が成立する場合、キーリピート間隔を変更する。詳しくは、図2に関連して詳述する。
処理部110は、受け取ったリモコン信号に応じてインターネット500を介してテレビ番組の情報を検索したり、表示部130や記録部140を制御する。表示部130は、ディスプレイ300に画像を表示する。記録部140は、ユーザによるリモコン操作に応じ、テレビ番組を内蔵ハードディスクドライブに録画する。
【0013】
図2は、キーリピート間隔調整部の機能ブロック図である。
ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
キーリピート間隔調整部200は、キーリピート間隔を変更する。キーリピート間隔調整部200は、押下検出部210、押下パターン判定部220、設定部230、情報保持部240を含む。
押下検出部210は、リモコン信号検出部122がリモコン信号を検出しているかを所定間隔、たとえば、0.01秒ごとに常時監視し、押下パターン判定部220にキーリピート間隔変更条件の判定を行うよう指示する。リモコン信号検出部122がリモコン信号を検出していた場合、押下検出部210は、リモコン信号から生成される検出情報を検出時刻と共に情報保持部240に保存する。この処理は、押下パターン判定部220に制御を移す前に行う。
【0015】
押下パターン判定部220は、キーリピート間隔変更条件の成否を判定し条件が成立する場合、設定部230にキーリピート間隔の変更を指示する。本実施例では、設定キー460が短時間押下された後いったん離され、次に長時間押下されたとき設定条件が成立する。また、設定条件成立後、一定時間だけ設定キー460がリリース(キーが離される状態を指す)されたときに調整条件が成立する。詳しくは後述する。
【0016】
設定部230は、設定条件成立時に設定キー460の押下から再押下までの時間間隔を測定しキーリピート間隔を設定する。計算方法については後述する。また、設定部230は、調整条件成立時にキーリピート間隔を調整する。設定部230は、変更したキーリピート間隔を情報保持部240に格納する。
情報保持部240は、キーの押下と押下解除の履歴、キーリピート間隔変更条件を持つ。
【0017】
図3は、インターネットを介して番組の放送日時の情報を取得する際のリモコン操作を示す図である。
図3(a)は、番組情報検索時の初期画面を示す。画面には、50音順にひらがなのボタンがある。これらボタンの一つにカーソルを合わせ、ユーザが決定キー450を押下すると、そのボタンに対応するひらがなを検索インデックスとする番組の一覧が図3(b)のように表示される。たとえば、図3(a)のようにディスプレイ300でカーソルが「し」ボタンにあるとき、ユーザが決定キー450を押下したとする。決定キー450の押下は、リモコン信号検出部122により検出され、処理部110に送られる。処理部110は、インターネット500を介して所定のサイトから「し」を検索インデックスとする番組の情報を検索し、図3(b)に示す態様にて番組表を表示することを決定する。そののち、処理部110は、表示部130に図3(b)に示す態様にて番組表をディスプレイ300に表示させる。
【0018】
図4は、キーリピート間隔の長短の違いを示す図である。
キーリピート間隔が、たとえば、0.5秒と設定されていたとすると、右カーソルキー420を0.4秒間押下したままにしても、図4(a)のように、1カーソルしか進まない。なぜなら、キーリピート間隔が0.5秒ということは、右カーソルキー420の押下から0.5秒後に初めて右カーソルキー420の入力がリピートされるので、0.4秒間の押下では右カーソルキー420の押下の瞬間に1カーソル進むのみだからである。対して、キーリピート間隔が0.25秒と設定されていたときは、右カーソルキー420を0.4秒間押下したままにすると、図4(b)のように2カーソル進む。なぜなら、右カーソルキー420の押下の瞬間に1カーソル進み、0.25秒後に右カーソルキー420の入力がリピートされ、さらに1カーソル進むからである。
【0019】
なお、本実施例では、0.5秒未満の設定キー460の押下がなされ、次に設定キー460の3秒未満のリリースがなされ、次に0.5秒以上の設定キー460の押下がなされたとき、設定条件が成立するとする。
上記においては2回の押下がなされているが、このとき、1回目の押下から2回目の押下までの時間間隔がキーリピート間隔として設定される。
設定条件が成立すると調整条件成立可能な状態(以下、このような状態のことを「調整条件待機状態」と呼ぶ)に移行する。調整条件待機状態において、0.5秒未満の設定キー460のリリースがなされると調整条件が成立する。調整条件が成立しても調整条件待機状態は維持される。
一方、調整条件待機状態において、0.5秒以上設定キー460がリリースされると調整条件待機状態から調整条件が成立不能な非調整条件待機状態に移行する。再度、調整条件待機状態に移行するためには、再び設定条件が成立しなければならない。
調整条件待機状態にあるときには、0.5秒未満のリリースを繰り返すことにより連続して調整条件を成立させることができる。一度の調整条件成立でキーリピート間隔が0.02秒減算される。
【0020】
図5(a)から図5(d)は、設定キー460の押下と押下解除の時系列パターンとどのようなときキーリピート間隔が設定されるかを示す図である。同図において、横軸は時間経過を示す。
図5(a)は、設定キー460の押下および押下解除のタイミングの第1例を示す図である。
ここでは、0.3秒間押下(1回目押下)、0.4秒間リリース(1回目リリース)、再び、0.3秒間押下(2回目押下)という入力パターンとなっている。
この場合、まず、1回目押下がなされると、リモコン400は設定キー460が押下された旨をリモコン信号にてリモコン信号検出部122に通知する。キーリピート間隔調整部200は、0.01秒間隔でリモコン信号検出部122の信号検出状態を定期的に監視している。押下検出部210は、1回目押下がなされたことを検出すると、検出結果を検出時刻と共に情報保持部240に記録し、押下パターン判定部220に押下検出を通知する。
1回目押下について0.3秒間押下状態が継続している。押下検出部210は0.01秒ごとに検出を試み、0.3÷0.01により計30回、検出を試みることになる。検出の試みがなされるごとに押下パターン判定部220は、キーリピート間隔変更条件の成否を判定する。
1回目押下の継続時間は0.3秒であり、設定条件のうち、「1回目押下継続時間が0.5秒未満」という条件は成立している。その後の1回目リリースの継続時間は0.4秒であり、設定条件のうち、「1回目リリース継続時間が3秒未満」という条件も成立している。しかし、2回目押下の継続時間は0.3秒であり、設定条件のうち、最後の「2回目押下継続時間が0.5秒以上」という条件が満たされない。そのため、押下パターン判定部220は設定条件の成立と判定しない。
【0021】
図5(b)は、第2例を示す図である。
ここでは、0.6秒間押下(1回目押下)、0.4秒間リリース(1回目リリース)、1.3秒間押下(2回目押下)という入力パターンとなっている。
1回目押下について0.3秒間以上押下状態が継続している。設定条件のうち、「1回目押下継続時間が0.5秒未満」という条件が成立していない。押下パターン判定部220が設定条件成立と判定することはない。
【0022】
図5(c)は、第3例を示す図である。
ここでは、0.3秒間押下(1回目押下)、0.4秒間リリース(1回目リリース)、1.3秒間押下(2回目押下)という入力パターンとなっている。
1回目押下の継続時間は0.3秒であり、設定条件のうち、「1回目押下継続時間が0.5秒未満」という条件は成立している。その後の1回目リリースの継続時間は0.4秒であり、設定条件のうち、「1回目リリース継続時間が3秒未満」という条件も成立している。3回目押下の継続時間は1.3秒であり、設定条件のうち、最後の「2回目押下継続時間が0.5秒以上」という条件も設立している。2回目押下の始めから0.5秒後に押下パターン判定部220は、設定条件成立と判定する。
設定条件成立の後、押下パターン判定部220は、設定部230にキーリピート間隔の設定を依頼する。設定部230は、情報保持部240のキー履歴を参照し「設定キー460の押下から再押下までの時間間隔」、すなわち、1回目押下の始めから2回目押下の始めまでの時間間隔0.3+0.4=0.7秒を算出する。設定部230は、情報保持部240のキーリピート間隔の値を0.7秒と記録する。以後、キーリピート間隔が0.7秒となる。
【0023】
図5(d)は、第4例を示す図である。
ここでは、1.2秒間押下(1回目押下)、0.8秒間リリース(1回目リリース)、0.3秒間押下(2回目押下)、0.2秒間リリース(2回目リリース)、1.1秒間押下(3回目押下)という入力パターンとなっている。
3回目押下の始めから0.5秒後にキーリピート間隔が設定される。2回目押下の始めから3回目押下の始めまでの時間間隔0.3+0.2=0.5秒が、キーリピート間隔として設定されることになる。
【0024】
図6(a)から図6(c)は、設定キー460の押下と押下解除の時系列パターンとどのようなときキーリピート間隔が調整されるかを示す図である。
図6(a)は、設定キー460の押下および押下解除のタイミングの第1例を示す図である。
ここでは、0.3秒間押下(1回目押下)、0.3秒間リリース(1回目リリース)、1.2秒間押下(2回目押下)、0.2秒間リリース(2回目リリース)、1.1秒間押下(3回目押下)という入力パターンとなっている。
2回目押下の始めから0.5秒後に設定条件が成立しており、キーリピート間隔が1回目押下の始めから2回目押下始めまでの時間間隔0.3+0.3=0.6秒と設定され、調整条件待機状態に移行する。その後の2回目リリースは0.2秒であり、調整条件のうち「0.5秒未満のリリース状態を経て押下される」という条件も成立している。3回目押下の始めに、押下パターン判定部220は調整条件成立と判定する。
押下パターン判定部220は、設定部230にキーリピート間隔の調整を依頼する。設定部230は、キーリピート間隔を0.02秒減算し、新たなキーリピート間隔として0.6−0.02=0.58秒を算出する。そして、情報保持部240のキーリピート間隔の値を0.58秒と上書きする。こうして、キーリピート間隔が0.6秒から0.58秒に調整される。
【0025】
図6(b)は、第2例を示す図である。
ここでは、0.3秒間押下(1回目押下)、0.3秒間リリース(1回目リリース)、1.2秒間押下(2回目押下)、0.2秒間リリース(2回目リリース)、0.4秒間押下(3回目押下)、0.3秒間リリース(3回目リリース)、0.2秒間押下(4回目押下)、0.1秒間リリース(4回目リリース)という入力パターンとなっている。
2回目リリースは0.2秒、3回目リリースは0.3秒、4回目リリースは0.1秒であり、「0.5秒未満のリリース状態を経て押下される」という条件が3回成立している。キーリピート間隔は3回減算され、最終的にキーリピート間隔は、0.6−3×0.02=0.54秒となる。
【0026】
図6(c)は、第3例を示す図である。
キーリピート間隔が0.58秒に減算されたあと、1.1秒リリース(3回目リリース)があったことを示す。3回目リリース後では、調整条件のうち「0.5秒未満のリリース状態を経て押下される」という条件は成立していないので、キーリピート間隔は調整されない。以後、非調整条件待機状態となり、設定条件が再び成立し調整条件待機状態となるまでキーリピート間隔の調整が行われることはない。
【0027】
図7は、押下パターン判定部220のキーリピート間隔設定判定のフローチャートである。設定条件判定では条件分岐が4つ(S22、S10、S12、S14)ある。
押下パターン判定部220は、押下検出部210から呼び出されたあと、キーリピート間隔変更条件が成立し得る状態にあるかの判定を行う(S22)。具体的には、設定キー460が0.5秒以上リリースされているかを判定する(S22)。設定条件は、設定キー460が0.5秒以上押下状態にあるときに成立し得る。調整条件は、設定キー460の0.5秒未満のリリースで成立し得る。つまり、S22でYと判定されるときは、キーリピート間隔変更条件が成立し得ないことになる。
S22でYと判定されるときは、非調整条件待機状態に設定され(S24)、処理を終了する(S22のY)。なお、S22の判定の際に、押下パターン判定部220は、情報保持部240のキー履歴を参照する。
【0028】
キーリピート間隔変更条件が成立し得る状態にあるならば(S22のN)、次に、調整条件の判定に移行するか否かを決定する。具体的には、制御がS10にある瞬間に、「押下継続時間が0.5秒以上か」という条件が成立しているか判定する(S10)。設定条件が成立し得るのは押下が0.5秒以上経過したときである。S10では、このようなタイミングにあるかを判定しいてる。すなわち、設定キー460が押下され、かつ押下継続が0.5秒以上経過していれば、設定条件が成立し得るとして、S10でYと判定して設定条件の判定を引き続き行う。そうでないならば、設定条件が成立し得ないとしてS10でNと判定して調整条件(S18)の判定に移る(S10のN)。なお、S10の判定の際に、押下パターン判定部220は、情報保持部240のキー履歴を参照する。 図5(c)の2回目押下を例に説明すると、0.5秒以降から2回目押下の終りまではS10でYと判定する。それ以外ではNと判定する。
【0029】
2回目押下継続時間が0.5秒以上なら(S10のY)、次に、設定条件のうち「1回目押下継続時間が0.5秒未満」という条件の判定を行う(S12)。具体的には、「設定キーの前回の押下継続時間が0.5秒未満か?」を判定する。この判定は、制御がS12にある時点を基準に行う。設定条件が成立し得るのは、1回目の押下継続が0.5秒未満のときであり、S12ではこれを判定している。S12でNと判定されるとき、設定条件は成立し得ないので処理を終了する。なお、S10の判定の際にも押下パターン判定部220は、情報保持部240のキー履歴を参照する。
【0030】
1回目押下継続時間が0.5秒未満なら(S12のY)、次に、設定条件のうち「1回目リリース継続時間が3秒未満」という条件(S14)の判定を行う。1回目リリース継続時間が3秒以上なら、処理を終了する(S14のN)。
ここで、閾値として3秒を用いているのは、長過ぎるキーリピートを設定させないためである。キーリピート間隔が長過ぎると、キーリピートが実行されてないとユーザが誤判断し兼ねない。また、一定の閾値以上のキーリピート間隔はユーザに不快感を与えると考えらるため、本実施例では3秒以上のキーリピート間隔は設定しない。
3秒未満なら(S14のY)、設定部230に情報保持部240が保持するキー履歴を参照させ、設定キー460の押下から再押下までの時間間隔をキーリピート間隔として設定させる(S16)。そして、調整条件待機状態に設定し(S20)判定を終了する。
【0031】
図8は、押下パターン判定部220のキーリピート間隔調整判定のフローチャートである。調整条件判定では条件分岐が2つ(S100、S102)ある。全ての条件でYと判定するとき、キーリピート間隔が調整される。
押下パターン判定部220は、まず、設定キー460の押下がなされたかを確認する(S100)。調整条件が成立するのは、設定キー460が押下された瞬間だけであり、S100ではこのようなタイミングにあるかを判定している。たとえば、図6(c)の1回目押下では、1回目押下の始めではYと判定するが、それ以外ではNと判定する。つまり、キー押下の瞬間だけYと判定し、それ以外ではNと判定する。Nと判定すると処理を終了する(S100のN)。
設定キー460の押下を確認できたら(S100のY)、次に、調整条件待機状態にあるかを判定する(S102)。調整条件待機状態でないときは、そもそもキーリピート間隔は調整しないこととしているからである。調整条件待機状態でないなら(S102のN)、処理を終了する。
調整条件待機状態のとき(S102のY)、設定部230にキーリピート間隔の調整を依頼する。なお、S22でNと判定しているので、制御がS102にあるときは、調整条件のうち「0.5秒未満のリリース状態を経て」という条件は既に成立している。設定部230は、キーリピート間隔を一定の閾値、たとえば0.02秒減算させ(S104)処理を終了する。たとえば、キーリピート間隔が0.6秒なら、0.58秒に減算される。
なお、キーリピート間隔を減算する結果、キーリピート間隔が0秒以下になってしまう場合は、キーリピート間隔の調整は行わない。
【0032】
キーリピート間隔の調整を行うのは、ユーザに所望のキーリピート間隔をより簡便に設定させるためである。たとえば、ユーザがキーリピート間隔を0.5秒程度に設定したいとき、一回の操作で確実に設定キー460の押下と再押下で0.5秒程度を設定できるとは限らない。
キーリピート間隔の減算機能を設定部230に持たせれば、上述の問題は解決される。つまり、ユーザが設定キー460を0.5秒未満の間押下し、次の押下のタイミングを少し遅らせ、その後、所望のキーリピート間隔になるまで設定キー460を連打すれば、ユーザは簡易にキーリピート間隔を設定できる。
【0033】
以上、実施例に基づいて本発明を説明した。実施例では、キーリピート間隔調整部200をキーリピート間隔調整装置として用いている。
本実施例に示したキーリピート間隔調整部200を、ハードディスクレコーダ100に設置することにより、キーリピート間隔を簡易に変更できる。リモコン操作に慣れているユーザに「設定をしている」という意識を持たせず、設定画面などを用いユーザに過大な操作負担を強いることもない。また、本実施例では、設定キー460でキーリピート間隔を設定後、ハードディスクレコーダ100の電源を切り再起動しても、キーリピート間隔は保持される。情報保持部240にキーリピート間隔が保存されるためである。ユーザは再起動ごとにキーリピート間隔を設定する必要はなく、一度キーリピート間隔を設定すれば、以後、設定する必要はなく便利である。また、キーリピート間隔調整部200は、リモコン400に内蔵されていてもよい。
【0034】
図9は、キーリピート間隔調整機能を内蔵したゲーム機が表示する画面800を示す図である。
同図では、ロールプレイングゲームで主人公の名前を入力する画面を表示しており、ユーザがカーソルを「す」ボタンに合せて、決定キー450に相当するゲームコントローラの「A」キーを一定時間押下したままにしたときの文字列810を示す。この場合、ゲームコントローラの所定のボタンの押下、再押下により、キーリピート間隔が設定されるとすれば、ユーザは所望のキーリピート間隔を簡便に取得でき、このような名前入力でもユーザに無駄な負担を強いることはない。そのため、ゲーム操作性が向上する。
【0035】
また、キーリピート間隔調整部200はソフトウェアモジュールとして提供することも可能である。パーソナルコンピュータをはじめとする様々なマシンにインストールすることができ、種々のハードウェアで、キーリピート間隔の簡易な変更を行うことが可能である。キーリピート間隔の違う各社製品に本実施例のキーリピート間隔調整部200をソフトウェアモジュールとしてインストールすれば、異なる製品間でも同等の操作感覚にてキーリピート間隔を実現することが可能である。
【0036】
マウス移動速度やパソコンディスプレイ、携帯電話ディスプレイのスクロール速度の変更をしてもよい。たとえば、携帯電話のシャープボタンの押下から再押下までの時間間隔でスクロール速度を決定し、その後シャープボタンを連打することにより、スクロール速度を加速することが考えられる。キーボードの所定キー、たとえば、Escキーの押下、押下解除のタイミングにより、キーボードでの文章作成時のキーリピート間隔を変更することも考えられる。所定の組み合わせの複数キー、たとえば、Alt+Ctrl+Eをショートカットキーのように押下、再押下することによりキーリピート間隔を変更することも考えられる。
【0037】
本実施例では、リモコンからのキー入力を受け付けるとしたが、キーやボタンを持つ任意の電化製品からの入力を受け付けてよい。たとえば、携帯電話内部にキーリピート調整のためのソフトウェアモジュールが内蔵されている場合、携帯電話のボタンからの入力を受け付け、キーリピート間隔を変更してもよい。たとえば、携帯電話の「1」ボタンの押下を続けるときに順番に表示されるひらがな「あ→い→う→え→お」の表示速度を変えてもよい。つまり、キーリピート間隔が0.5秒に設定されているとき、「1」ボタンを0.9秒押下していても、「1」ボタンを押下した瞬間に「あ→い」、0.5秒後に「い→う」としか切り替わらない。しかし、たとえばシャープボタンをキーリピート間隔を設定するボタンとし、シャープボタンの押下、再押下でキーリピート間隔を0.25秒に設定したとする。このとき、「1」ボタンを0.9秒押下すると、表示文字は「あ→い→う→え」と切り替わる。ユーザに所望のキーリピート間隔を設定させることができ、携帯電話での電子メールの作成、アドレス帳の作成などがより快適に行える。
【0038】
電気モータの回転を制御する機器に取り付けられているボタンからの入力を受け付けてもよい。この場合、ボタンの押下と再押下を繰り返しで所望の電気モータの回転速度を得ることができる。リモコン飛行機の操作装置に本発明を用いてもよい。操作装置のボタンを押下、再押下することにより、所望のリモコン飛行機の速度を得ることができる。たとえば、押下から再押下までの時間間隔を秒単位で計測し、それに10m/sをかけてリモコン飛行機の速度を得ることが考えられる。つまり、押下から再押下までの時間間隔が1.5秒なら15m/sの速度を得る、3秒なら30m/sの速度を得る、という具合である。そして、再び操作装置のボタンが押下されると1m/s加速する、などという調整が本発明の技術思想を用いれば、実現可能である。
本発明の技術思想は、任意のデバイスの回転、速度の制御をキーやボタンの簡易な操作で実現することに及ぶ。
【0039】
本実施例では、設定キー460の押下と再押下で、キーリピート間隔を変更するとしたが、設定キー460以外のキーの押下と再押下により、本発明の技術思想が体現されることは、当業者に当然に理解されることである。また、たとえば、設定キー460が押下されたあと、決定キー450などの別のキーが押下されることより、キーリピート間隔が変更されてもよい。「設定キー」+「決定キー」のように複数キーがほぼ同時に押下、再押下されることにより、キーリピート間隔が変更されてもよい。複数キーがほぼ同時押下されることを、押下パターン判定部220が判定するキーリピート間隔変更条件に含めれば、ユーザによる誤操作を防ぎやすくなる。
【0040】
さらに、情報保持部240は、キーリピート間隔変更条件を保持するとしたが、その情報はユーザにより編集可能であってよい。たとえば、ハードディスクレコーダ100の起動時に、情報保持部240が、ユーザに編集可能な記録媒体のコンテンツで上書きされ、キーリピート間隔変更条件が設定されてもよい。ユーザが記録媒体を編集することにより、ユーザ好みのキーリピート間隔変更条件を設定できる。たとえば、ユーザが記録媒体に「決定キー」と記することにより、キーリピート間隔変更条件に用いるキーを決定キー450としてもよい。
【0041】
設定されるキーリピート間隔は、押下から再押下までの時間間隔である必要はなく、時間間隔の値を引数とする任意の関数値であってもよい。また、再押下後の押下状態の継続時間によって、キーリピート間隔を更新するものであってもよい。たとえば、再押下後の押下状態の継続時間を10で割った値をキーリピート間隔とすることが考えられる。この場合、継続時間が1秒ならキーリピート間隔は0.1秒だし、2秒なら0.2秒である。継続時間に比例し、キーリピート間隔も長くなることになる。
キーリピート間隔、あるいはキーリピート間隔に反比例する量であるキーリピートの速さは、継続時間に比例しなくてもよい。たとえば、継続時間が長くなるにつれ、キーリピートの速さが2次関数的に増加してもよいし、逆に、単位継続時間あたりに増加する速さの割合が低下してもよい。キーリピート速度の加速、減速の態様として、種々のものが考えられる。
【0042】
なお、本実施例においては、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施例において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0043】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】キーリピート間隔調整システムを示す図である。
【図2】キーリピート間隔調整部の機能ブロック図である。
【図3】番組情報の検索および結果を示す図である。(a)は、番組情報検索時の初期画面を示す図である。(b)は、番組情報の検索結果を示す画面の図である。
【図4】キーリピート間隔の長短を表す図である。(a)は、キーリピート間隔の長いことを示す図である。(b)は、キーリピート間隔の短いこと示す図である。
【図5】キーの押下、押下解除とキーリピート間隔の設定の関係を示す図である。(a)は、第1例の図である。(b)は、第2例の図である。(c)は、第3例の図である。(d)は、第4例の図である。
【図6】キーの押下、押下解除とキーリピート間隔の調整の関係を示す図である。(a)は、第1例の図である。(b)は、第2例の図である。(c)は、第3例の図である。
【図7】キーリピート間隔変更判定のフローチャートである。
【図8】キーリピート間隔調整判定のフローチャートである。
【図9】ゲーム機が表示する画面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 テレビ番組表示・録画システム、 200 キーリピート間隔調整部、 210 押下検出部、 220 押下パターン判定部、 230 設定部、 300 ディスプレイ、 400 リモコン、 460 設定キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーの押下を検出する押下検出部と、
キーの押下タイミングと押下解除のタイミングについての所定条件の成否を判定する押下パターン判定部と、
前記所定条件が成立したとき、前記押下タイミングと前記押下解除のタイミングに基づいてキーリピート間隔を設定する設定部と、
を備えることを特徴とするキーリピート間隔調整装置。
【請求項2】
前記押下パターン判定部は、複数回のキー押下についてのキーの押下タイミングと押下解除のタイミングに関する条件として、前記所定条件の成否を判定し、
前記設定部は、前記所定条件が成立したとき、キーが押下されてからキーが再押下されるまでの時間間隔に応じてキーリピート間隔を設定することを特徴とする請求項1に記載のキーリピート間隔調整装置。
【請求項3】
前記設定部は、キーリピート間隔が設定されると、前記所定条件が再度成立するまで、前記設定したキーリピート間隔を保持することを特徴とする請求項1または2に記載のキーリピート間隔調整装置。
【請求項4】
キーの押下を検出する押下検出機能と、
キーの押下タイミングと押下解除のタイミングについての所定条件の成否を判定する押下パターン判定機能と、
前記所定条件が成立したとき、前記押下タイミングと前記押下解除のタイミングに基づいてキーリピート間隔を設定する設定機能と、
をコンピュータに発揮させることを特徴とするキーリピート間隔調整プログラム。
【請求項5】
キーの押下を検出するステップと、
キーの押下タイミングと押下解除のタイミングについての所定条件の成否を判定するステップと、
前記所定条件が成立したとき、前記押下タイミングと前記押下解除のタイミングに基づいてキーリピート間隔を設定するステップと、
を備えることを特徴とするキーリピート間隔調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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