説明

キーレスエントリーシステム

【課題】簡単な構成で誤操作を生じることなく、車両に設けられた車載制御機器を容易かつ適正に操作できるようにする。
【解決手段】乗員が携帯する携帯機1と、該携帯機1から送信された信号を受信可能な車載機2と、該車載機2が受信した制御信号に応じて作動する車載制御機器7,12とを備えたキーレスエントリーシステムにおいて、上記携帯機1に設けられてキーレスエントリー用の車載制御機器7に制御信号を出力する操作スイッチ13〜16と、上記携帯機1が車内に持ち込まれたことを検出する検出手段17とを有し、該検出手段17により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記操作スイッチ13〜16の操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器12を作動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員が携帯する携帯機と、該携帯機から送信された信号を受信可能な車載機と、該車載機が受信した信号に応じて作動する車載制御機器とを備えたキーレスエントリーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、単一の操作スイッチしか持たないリモートコントローラーによりドアのロックおよびアンロックの遠隔操作以外に、パワーウインドやサンルーフの開閉を遠隔操作することを目的として、遠隔操作によるドアロックまたはドアアンロック後の所定時間以内に送信手段からIDと操作時間情報を受信し、受信IDが登録IDと一致し、かつ操作部材の操作時間が所定時間を超える場合には、ドアのロック状態またはアンロック状態に応じてパワーウインドまたはサンルーフの開閉を行なうように構成されたキーレスエントリーシステムが知られている。
【0003】
また、下記特許文献2に示されるように、ドアを開けなくとも自動車の外部からパワーウインドを開け閉めできるパッシブリモートエントリ装置を用いたパワーウインドの開閉装置を提供するため、車体に設けられた固定器と、携帯器との間でID信号を用いて、ドアを開閉するパッシブリモートキーレスエントリ装置を用いるパワーウインドの開閉装置において、自動車の外周面にある接触部と、該接触部への人体の接触を検知する検知部と、アクチュエータドライバと、これを駆動する制御部とを設け、該制御部において、固定器が携帯器から受信したID信号が固定器のメモリーに格納されたID信号と一致した場合に、上記制御部が人体の接触を検知するのに応じてパワーウインドを開閉することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−131569号公報
【特許文献2】特開2003−253939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に係るキーレスエントリーシステムでは、携帯機(リモートコントローラ)の操作スイッチに、ドアロック機構を作動させる機能と、パワーウインドやサンルーフを開閉駆動する駆動部を作動させる機能との両方を持たせたため、携帯機に設けられる操作スイッチの個数を低減してその構造を簡略化できるという利点がある。しかし、上記操作スイッチによりドアロック機構を作動させる場合とパワーウインドやサンルーフの開閉駆動部を作動させる場合とで、上記操作ボタンの操作時間を変える必要があるため、該操作ボタンの機能を理解しにくく、誤操作が発生し易いという欠点がある。
【0006】
また、上記引用文献2に開示されたパワーウインドの開閉装置では、車体の表面に露出したキー受け部またはパワーウインドの周辺に設けられた接触部に身体の一部を触れさせることにより、自動車の外部からパワーウインドを開け閉めできるという利点がある。この反面、携帯機をもった乗員の身体の一部が上記接触部に触れるだけで、該乗員の意思に反してパワーウインドの駆動部が駆動状態となって閉止位置にあるパワーウインドが開放位置に移行し、あるいは開放位置にあるパワーウインドが閉止位置に移行するという誤操作が生じ易く、この点で改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で誤操作を生じることなく、車両に設けられた車載制御機器を容易かつ適正に操作することができるキーレスエントリーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、乗員が携帯する携帯機と、該携帯機から送信された信号を受信可能な車載機と、該車載機が受信した制御信号に応じて作動する車載制御機器とを備えたキーレスエントリーシステムにおいて、上記携帯機に設けられてキーレスエントリー用の車載制御機器に制御信号を出力する操作スイッチと、上記携帯機が車内に持ち込まれたことを検出する検出手段とを有し、該検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記操作スイッチの操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器を作動させるように構成したものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記キーレスエントリー用の操作スイッチをウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、運転席および助手席に設けられたドアロック機構用の操作スイッチを、運転席および助手席のサイドドアに設けられたウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、後席のスライドドアを開閉駆動するスライドドア駆動機構用の操作スイッチを、後席のスライドドアに設けられたウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記検出手段は、車室内に設けられた設置部に携帯機が置かれたことを検出するように構成されたものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項5に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記携帯機の設置部が車室内のセンターコンソールに配設されたものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項5または6に記載のキーレスエントリーシステムにおいて、上記設置部に携帯機を載置した場合に電磁波を発生させて磁界を形成することにより該携帯機から自己認証信号を出力させる電磁コイルと、該自己認証信号を受信してエンジンを始動させるエンジン始動用制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、携帯機を所持した乗員が車両に乗降する際には、該携帯機1に設けられた操作スイッチを、ドアロック機構等を駆動するキーレスエントリー用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、上記携帯機の操作スイッチを操作してドアロック機構をロック状態またはアンロック状態とする等の制御を実行することにより、上記車両に対する乗降を容易に行うことができる。そして、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合には、上記操作スイッチをキーレスエントリー用以外の車載制御機器を作動させる操作スイッチとして機能させるように構成したため、車室内に乗り込んだ乗員が上記操作スイッチを操作することにより、ウインド昇降機構等を作動させて各ドアのウインドをそれぞれ個別に昇降駆動する等の制御を実行することができる。また、上記車室内に乗員が乗り込んだ状態では、上記ドアロック機構等からなるキーレスエントリー用の車載制御機器を操作する必要がないため、上記操作スイッチをキーレスエントリー用以外の車載制御機器用の操作スイッチとして機能させることにより、誤操作を生じることなく、上記車載制御機器を適正に作動させることができるとともに、上記携帯機に設けられ操作スイッチの個数を減少させて、その構成を効果的に簡略できる等の利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明では、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記キーレスエントリー用の操作スイッチをウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、車室内に乗り込んだ乗員が上記操作スイッチを操作することにより、誤操作を生じることなく、ウインド昇降機構を作動させて各ドアのウインドをそれぞれ個別に昇降駆動することができるとともに、従来、車室内のドアトリムまたはコンソールボックスに設けられていたウインド昇降用の操作スイッチを省略して、車室内のデザインをシンプル化できるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、運転席および助手席に設けられたドアロック機構用の操作スイッチを、運転席および助手席に設けられたサイドドアのウインドを昇降変位させるウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、車室内に乗り込んだ乗員が上記操作スイッチを操作することにより、誤操作を生じることなく、上記ウインド昇降機構を作動させて運転席および助手席用のウインドを昇降駆動することができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、後席のスライドドアを開閉駆動するスライドドア駆動機構用の操作スイッチを、後席のスライドドアに設けられたウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、車室内に乗り込んだ乗員が上記操作スイッチを操作することにより、誤操作を生じることなく、上記ウインド昇降機構を作動させて後席用のウインドを昇降駆動することができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、車室内に設けられた設置部に携帯機が置かれたことを上記検出手段により検出するように構成したため、上記携帯機の設置位置を明確化することにより、該携帯機を紛失するという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0020】
請求項6に係る発明では、携帯機の設置部をセンターコンソールに配設したため、左右の前席および後席に着座した乗員がそれぞれ上記携帯機の操作スイッチを容易かつ適正に操作できるという利点がある。
【0021】
請求項7に係る発明では、上記設置部に携帯機を載置した場合に電磁波を発生させて磁界を形成することにより該携帯機から自己認証信号を出力させる電磁コイルと、該自己認証信号を受信してエンジンを始動させるエンジン始動用制御部とを設けたため、上記携帯機に電池切れが生じた場合においても、該携帯機を用いてエンジンを始動させることができる、所謂かざしキーレスの機能を簡単な構成で実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るキーレスエントリーシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】携帯機の外観構成を示す平面図である。
【図3】携帯機を設置部においた状態を示す断面図である。
【図4】車室内のセンターコンソールに携帯機の設置部を設けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2は、本発明に係るキーレスエントリー装置の実施形態を示している。このキーレスエントリー装置は、車両に乗り込む乗員が所持して所定波長の信号を送信する携帯機1と、車両に搭載されて該携帯機1から送信された信号を受信可能な車載機2と、該車載機2が受信した制御信号に応じて作動するドアロック機構3および後席の左右に設けられたスライドドアを個別に開閉駆動するスライドドア駆動機構4,5等からなるキーレスエントリー用の車載制御機器6とを有している。
【0024】
また、上記車両には、キーレスエントリー用以外の車載制御機器、つまり上記キーレスエントリーシステムと直接的な関連性がない車載制御機器12として、車室の前部側面に位置する左右サイドドアのウインドを個別に昇降駆動する前席用ウインド昇降機構8,9と、車室の後部側面に位置するスライドドアのウインドを個別に昇降駆動する後席用ウインド昇降機構10,11とが設けられている。
【0025】
上記携帯機1には、車両の乗員により操作されてドアロック機構3をロック状態とする際に操作される第1操作スイッチ13と、上記ドアロック機構3をアンロック状態とする際に操作される第2操作スイッチ14と、後席の左側ドアを前後にスライド変位させて開閉駆動する後席左側用のスライドドア駆動機構4を作動させる際に操作される第3操作スイッチ15と、後席の右側ドアを前後にスライド変位させて開閉駆動する後席右側用のスライドドア駆動機構5を作動させる際に操作される第4操作スイッチ16とが設けられている。
【0026】
また、上記携帯機1には、該携帯機1が車室内に持ち込まれたこと、具体的には車室内に設けられた後述の設置部26に携帯機1が置かれることにより発生した電磁波に応じて上記携帯機1が車室内の設置部26にあるか否かを検出する検出手段17と、該検出手段17により携帯機1が車室内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記第1〜第4操作スイッチ13〜16の操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器12を作動させるように第1〜第4操作スイッチ13〜16の機能を切り換える切換手段18と、上記車載機2に自己認証信号および上記車載制御機器7,12用の制御信号等を出力する送信手段19とが設けられている。
【0027】
上記切換手段18により上記第1,第2操作スイッチ13,14の機能がキーレスエントリー用以外に切り換えられた状態で、該第1,第2操作スイッチ13,14が一回だけ操作されると、運転席側および助手席側に設けられたサイドドアのウインドをそれぞれ個別に開放方向に移動させる制御信号が前席用ウインド昇降機構8,9に出力され、かつ上記第1,第2操作スイッチ13,14が二回に亘って連続的に操作されると、上記サイドドアのウインドをそれぞれ個別に閉止方向に移動させる制御信号が前席用ウインド昇降機構8,9に出力されるようになっている。
【0028】
また、上記切換手段18により上記第3,第4操作スイッチ15,16の機能がキーレスエントリー用以外に切り換えられた状態で、上記第3,第4操作スイッチ15,16が前方側に押動操作されると、後席の左右に設けられたスライドドアのウインドをそれぞれ個別に開放方向に移動させる制御信号が後席用ウインド昇降機構10,11に出力され、かつ上記第3,第4操作スイッチ15,16が後方側に押動操作されると、上記スライドドアのウインドをそれぞれ個別に閉止方向に移動させる制御信号が後席用ウインド昇降機構10,11に出力されるように構成されている。
【0029】
上記車載機2には、携帯機1から送信された信号を受信する受信手段20と、上記携帯機1から送信された自己認証信号に付された認証番号が予め登録された登録番号と一致するか否かを判別する判別部21と、上記ドアロック機構3を制御するドアロック制御部22と、上記スライドドア駆動機構4,5を制御するスライドドア制御部23と、前席用ウインド昇降機構8,9および後席用ウインド昇降機構10,11を制御するウインド昇降制御部24とが設けられている。
【0030】
そして、車外で携帯機1の第1〜第4操作スイッチ13〜16が操作されるとともに、上記携帯機1から送信された自己認証信号に付された認証番号が予め登録された登録番号と一致すると判別部21において判別された場合には、上記受信手段20により受信された信号に応じ、車両のドアロック機構3を駆動することによりドアをロック状態とし、あるいはドアをアンロック状態とする制御が上記ドアロック制御部22により実行され、かつ上記スライドドア駆動機構4,5を作動させることにより後席の左右に設けられたスライドドアを個別に前後移動させて開閉駆動する制御が、上記スライドドア制御部23により実行される。
【0031】
さらに、車室内で携帯機1の第1〜第4操作スイッチ13〜16が操作されるとともに、上記自己認証番号が登録番号と一致すると判別部21において判別された場合には、上記受信手段20で受信された信号に応じ、上記前席用ウインド昇降機構8,9を作動させて運転席側および助手席側に設けられたサイドドアのウインドと、後席の左右に設けられたスライドドアのウインドとをそれぞれ個別に昇降駆動する制御が、上記ウインド昇降制御部24により実行されるようになっている。
【0032】
図3に示すように、車室内の前部中央にはセンターコンソール25が車両の前後方向に延びるように設置されるとともに、該センターコンソール25の後部上面には、上記携帯機1の設置部26となる凹部が形成されるとともに、該設置部26を囲繞するように電磁コイル27が配設されている。そして、上記設置部26に携帯機1が置かれると、上記電磁コイル27に流れる電流に応じ、携帯機1の内部に電磁波が発生して磁界が形成され、該磁界に上記検出手段17が反応して上記設置部26に携帯機1が置かれたことを示す検出信号が切換手段18に出力されるように構成されている。
【0033】
上記のように乗員が携帯する携帯機1と、該携帯機1から送信された信号を受信可能な車載機2と、該車載機2が受信した制御信号に応じて作動する車載制御機器6,12とを備えたキーレスエントリーシステムにおいて、上記携帯機1に設けられてキーレスエントリー用の車載制御機器6に制御信号を出力する操作スイッチ13〜16と、上記携帯機1が車内に持ち込まれたことを検出する検出手段17とを有し、該検出手段17により携帯機1が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記操作スイッチ13〜16の操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器12を作動させるように構成したため、上記携帯機1に設けられる操作スイッチの個数を減少させることにより、誤操作の発生を効果的に防止しつつ、車両に設けられた各種の車載制御機器6,12を容易かつ適正に操作できるという利点がある。
【0034】
すなわち、上記実施形態では、携帯機1を所持した乗員が車両に乗降する際には、該携帯機1に設けられた第1〜第4操作スイッチ13〜16を、ドアロック機構3およびスライドドア駆動機構4,5を駆動するキーレスエントリー用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、上記携帯機1の第1,第2操作スイッチ13,14を操作してドアロック機構3をロック状態またはアンロック状態としたり、上記第3,第4操作スイッチ15,16操作して後席左右のスライドドアを個別に開閉駆動するようにスライドドア駆動機構4,5を作動させたりすることにより、上記車両に対する乗降を容易に行うことができる。
【0035】
そして、上記検出手段17により携帯機1が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記切換手段18により第1〜第4操作スイッチ13〜16の機能を自動的に切り換え、該第1〜第4操作スイッチ13〜16をウインド昇降用の操作スイッチとして機能させるように構成したため、車室内に乗り込んだ乗員が携帯機1の第1〜第4操作スイッチ13〜16を操作することにより、前席用ウインド昇降機構8,9および後席用ウインド昇降機構10,11を作動させて各ドアのウインドをそれぞれ個別に昇降駆動することができる。
【0036】
また、上記車室内に乗員が乗り込んだ状態では、上記ドアロック機構3およびスライドドア駆動機構4,5からなるキーレスエントリー用の車載制御機器6を操作する必要がないため、上記携帯機1の第1〜第4操作スイッチ13〜16をキーレスエントリー用以外の車載制御機器12を作動させるための操作スイッチとして機能させることにより、誤操作を生じることなく、上記車載制御機器12を適正に作動させることができる。したがって、上記携帯機1に設けられ操作スイッチの個数を減少させて、その構成を効果的に簡略できるとともに、従来、車室内のドアトリムまたはコンソールボックスに設けられていたウインド昇降用の操作スイッチを省略して、車室内のデザインをシンプル化できるという利点がある。
【0037】
なお、前席用サイドドアのドアウインドまたは後席用スライドドアのドアウインドを開放した状態で乗員が車外に出てしまった場合に、携帯機1を使用して上記ドアウインドを閉止できるように、該携帯機1の第1〜第4操作スイッチ13〜16を、所謂長押し操作することにより、上記前席用ウインド昇降機構8,9および後席用ウインド昇降機構10,11を車外から操作し得るように構成してもよい。また、上記第1〜第4操作スイッチ13〜16により操作されるキーレスエントリー用以外の車載制御機器としては、上記前席用ウインド昇降機構8,9および後席用ウインド昇降機構10,11に限られず、空調用制御機器またはオーディオ用制御機器等が考えられる。
【0038】
さらに、車室内に設けられた設置部26に携帯機1が置かれたことを検出手段17により検出して、上記第1〜第4操作スイッチ13〜16の機能を切換手段18によって切り換えるように構成した上記実施形態に代え、上記車載機2等から車室内に送信される微弱電波を上記携帯機1に設けられた検出手段17で検知することにより、上記携帯機1が車室内に持ち込まれたか否かを検出するように構成してもよい。
【0039】
しかし、上記のように上記検出手段17により、車室内に設けられた設置部26に携帯機1が置かれたことを検出して、上記第1〜第4操作スイッチ13〜16の機能を切り換えるように構成した場合には、上記携帯機1の設置位置を明確化することにより、該携帯機1を紛失するという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0040】
特に、上記実施形態に示すように、携帯機1の設置部26をセンターコンソール25の後部上面において左右の前席および後席に中間位置に配設した場合には、該各席に着座した乗員がそれぞれ上記携帯機1の操作スイッチ13〜16を容易かつ適正に操作できるという利点がある。さらに、上記実施形態に示すように、設置部26に置かれた携帯機1の内部に電子波を発生させて磁界を形成するための電磁コイル27を上記設置部26に設けた構造とした場合には、上記携帯機1に電池切れが発生したとしても、上記携帯機1が車室内の設置部26に置かれたことを上記検出手段17により検出できるという利点がある。
【0041】
また、上記設置部26に携帯機1を載置した場合に電磁波を発生して磁界を形成することにより、該携帯機1から自己認証信号を出力させる電磁コイル27を上記設置部26に設けるとともに、該自己認証信号を受信してエンジンを始動させるエンジン始動用制御部を上記車載機2に設けた構造としてもよい。このように構成した場合には、上記携帯機1に電池切れが生じた場合においても、該携帯機1を用いてエンジンを始動させることができる、所謂かざしキーレスの機能を簡単な構成で実現できるという利点がある。
【0042】
なお、上記実施形態では、携帯機1に設けられた検出手段17により携帯機1が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記切換手段18により携帯機1に設けられたキーレスエントリー用の第1〜第4操作スイッチ13〜16をウインド昇降用の操作スイッチとして機能させるように構成した例について説明したが、この構成に代え、上記携帯機1から発信される電波を検出する検出手段を上記車載機2に設け、該検出手段により携帯機1が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記第1〜第4操作スイッチ13〜16の操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器を作動させるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 携帯機
2 車載機
3 ドアロック機構
7 キーレスエントリー用の車載制御機器
8〜11 ウインド昇降機構
12 キーレスエントリー用以外の車載制御機器
13〜16 操作スイッチ
17 検出手段
18 切換手段
25 センターコンソール
26 設置部
27 電磁コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が携帯する携帯機と、該携帯機から送信された信号を受信可能な車載機と、該車載機が受信した制御信号に応じて作動する車載制御機器とを備えたキーレスエントリーシステムにおいて、上記携帯機に設けられてキーレスエントリー用の車載制御機器に制御信号を出力する操作スイッチと、上記携帯機が車内に持ち込まれたことを検出する検出手段とを有し、該検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記操作スイッチの操作に応じてキーレスエントリー用以外の車載制御機器を作動させるように構成したことを特徴とするキーレスエントリーシステム。
【請求項2】
上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、上記キーレスエントリー用の操作スイッチをウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のキーレスエントリーシステム。
【請求項3】
上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、運転席および助手席のサイドドアに設けられたドアロック機構用の操作スイッチを、運転席および助手席に設けられたサイドドアのウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のキーレスエントリーシステム。
【請求項4】
上記検出手段により携帯機が車内に持ち込まれたことが検出された場合に、後席のスライドドアを開閉駆動するスライドドア駆動機構用の操作スイッチを、後席のスライドドアに設けられたウインド昇降機構用の操作スイッチとして機能させるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリーシステム。
【請求項5】
上記検出手段は、車室内に設けられた設置部に携帯機が置かれたことを検出するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のキーレスエントリーシステム。
【請求項6】
上記携帯機の設置部が車室内のセンターコンソールに配設されたことを特徴とする請求項5に記載のキーレスエントリーシステム。
【請求項7】
上記設置部に携帯機を載置した場合に電磁波を発生させて磁界を形成することにより該携帯機から自己認証信号を出力させる電磁コイルと、該自己認証信号を受信してエンジンを始動させるエンジン始動用制御部とを備えたことを特徴とする請求項5または6に記載のキーレスエントリーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−107420(P2012−107420A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256571(P2010−256571)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】