説明

キー操作入力回路および携帯端末装置

【課題】水陸両用で、高い操作性および機能性を維持できるキー操作入力回路および携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯電話端末装置100は、制御部11、圧力検出部12、切替回路13、地上用キー31、地上用キー回路32、水中用キー41および水中用キー回路42を備える。制御部11は、スイッチボタンの圧力を検出した値が所定の値のときに、地上用キー回路32と水中用キー回路42を切り替える。地上用キー回路32は、地上用キー31が押下された場合に信号を生成する。水中用キー回路42は、水中用キー41が押下された場合に信号を生成する。切替回路13は、地上用キー回路32と水中用キー回路42のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続する。地上用キー回路32と水中用キー回路42は、互いに他の一部を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作入力回路および携帯端末装置に関する。特に、水陸両用のキー操作入力回路およびそのキー操作入力回路を備える携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話が普及するにつれ、より高機能なモデルが求められている。例えば、防水機能を有することを特徴とするモデルがある。
【0003】
防水機能を備える携帯電話は、携帯電話内部への水の侵入を防止するとともに、大気中で高い操作性が得られ、かつ、水中でも操作可能なスイッチを備えることが好ましい。例えば、特許文献1では、防水操作部材(釦)に備えた弾性部材にリブを設け、大気中と水中での必要な力を略均等とし、かつ、止水を可能としている。
【0004】
また、特許文献3に記載の携帯電子機器は、水圧の計測値が所定値を超えた場合に、所定の動作の制御を抑制することが記載されている。このとき、水中で機能させるキースイッチの押圧検出圧力を他のキースイッチより高く設定することが記載されている。
【0005】
特許文献2に記載のキー検出装置は、多重押下による誤検出を防止するための方法として、キーマトリクスの構成を高さ方向に重ねて並列接続とし、キー検出に使用可能な入出力ポートに対してキー検出を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−016069号公報
【特許文献2】特開2009−245026号公報
【特許文献3】特開2010−011240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および3では、キーを操作するのに必要な押圧力を高めており、大気中での押下操作性は劣るという問題がある。また、特許文献3では、水中で操作できるキーを制限しており、水中で行える機能が限定されるので、汎用性に欠けるおそれがある。なお、特許文献2は、携帯電話の小型化・省スペース化により、隣接するキーを押下した場合に他のキーまで押下されることになるような誤操作を防ぐものであって、水中で操作できるようにする構造ではない。
【0008】
携帯端末装置は、大気中での操作性を維持しながら、水中での操作性を備え、例えば、水中でも専用ケース無しでキー操作ができることが好ましい。また、装置の小型化に貢献するためにも、できるだけ回路が単純であることが好ましい。
【0009】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、水陸両用で、高い操作性および機能性を維持できるキー操作入力回路および携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係るキー操作入力回路は、
地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、
を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の観点に係る携帯端末装置は、
大気圧中で操作可能な必要押下力を有する地上用キーと、
前記地上用キーの必要押下力より大きい必要押下力を有する水中用キーと、
前記地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
前記水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、
を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水陸両用で、高い操作性および機能性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路の動作の一例を示すブロック図である。
【図4】携帯端末装置のキーの構成の一例を示す概略断面図である。
【図5】関連する技術に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】関連する技術に係る携帯端末装置のキーの構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0015】
本発明に係るキー操作入力回路および携帯端末装置の説明の前に、関連する技術に係るキー操作入力回路および携帯端末装置について、図5および図6を用いて説明する。図5は、関連する技術に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。図6は、関連する技術に係る携帯端末装置のキーの構成の一例を示す概略断面図である。
【0016】
携帯端末装置500は、キーマトリクス50、キー51、キー回路52および制御部53を備える。携帯端末装置500は、1ないし9の数字のスイッチボタンや、記号などのその他のスイッチボタンに対応するスイッチボタンの群であるキーマトリクス50を備える。キーマトリクス50を構成する各キー51は、キー51が押下されると、対応するキー51がキー回路52と電気的に導通し、電気信号を伝えることができる。そして、制御部53により、押下されたキー51の電気信号に対応する制御が行われる。
【0017】
例えば、キー51は、メンブレンスイッチ構造で構成される。キー51は、上部電極シート511、上部電極接点512、下部電極シート513、下部電極接点514、エンボス515、表面シート516、スペーサー517、519および取付板518を備える。キー51に対応する箇所を押下すると、上部電極シート511の上部電極接点512と下部電極シート513の下部電極接点514が接触し、そのキー51が電気的に導通し、制御部53へ電気信号を送信可能となる。そして、押下されたキー51の電気信号に対応する制御が行われる。図中のエンボス515は、クリックエンボスを一例に挙げているが、クリックゴムを表面シート516に備えたノーマルフラットタイプのクリックゴムタイプメンブレンスイッチなどを用いることができる。エンボス515は、キー51の操作時におけるクリック感触を付与する。
【0018】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。携帯電話端末装置100は、制御部11、圧力検出部12、切替回路13、地上用キーマトリクス30および水中用キーマトリクス40を備える。地上用キーマトリクス30および水中用キーマトリクス40は、「0」ないし「9」の数字のスイッチボタンや、記号などのその他のスイッチボタンに対応するスイッチボタンの群をいう。地上用キーマトリクス30は、地上用キー31および地上用キー回路32を備える。水中用キーマトリクス40は、水中用キー41および水中用キー回路42を備える。
【0019】
制御部11は、携帯電話端末装置100のキー操作入力回路に係る制御を行う。制御には、地上用キーマトリクス30または水中用キーマトリクス40のいずれか一方を選択して機能させるための、信号入力回路の切り替え動作を含む。信号入力回路の切り替えは、切替回路13により行い、地上用キーマトリクス30の地上用キー回路32または水中用キーマトリクス40の水中用キー回路42の、いずれかが選択される。また、地上用キーマトリクス30または水中用キーマトリクス40のいずれかの作動は、選択された信号入力回路に対応する押下されたスイッチボタンで電気信号が生成され、その電気信号が伝えられることにより行われる。
【0020】
具体的には、切替回路13により地上用キーマトリクス30の地上用キー回路32が選択される。このときに、地上用キーマトリクス30を構成する各地上用キー31、例えば、地上用キー31aは、地上用キー31aが操作され押下されると、対応する地上用キー31aが地上用キー回路32aと電気的に導通し、電気信号を伝えることができる。そして、制御部11により、押下された地上用キー31aの電気信号に対応する制御が行われる。
【0021】
同様に、切替回路13により水中用キーマトリクス40の水中用キー回路42が選択される。このときに、水中用キーマトリクス40を構成する各水中用キー41、例えば、水中用キー41aは、水中用キー41aが操作され押下されると、対応する水中用キー41aが水中用キー回路42aと電気的に導通し、電気信号を伝えることができる。そして、制御部11により、押下された水中用キー41aの電気信号に対応する制御が行われる。
【0022】
上述の地上用キーマトリクス30と水中用キーマトリクス40は、携帯端末装置100の、同じスイッチボタンに対応して形成され、互いに他の一部を含まない。1つのスイッチボタンを押下した場合に、その携帯端末装置100のスイッチボタン押下動作により、例えば、地上用キー31aおよび水中用キー41aの両方が押下され、地上用キー31aは地上用キー回路32aと電気的に接続可能となり、同時に、水中用キー41aは水中用キー回路42aと電気的に接続可能となる。しかしながら、地上用キー回路32aおよび水中用キー回路42aは、同時に信号入力回路に接続することはなく、切替回路13により選択されたキー回路のみが携帯端末装置100の電気信号を伝えるキー回路として作動する。
【0023】
このとき、携帯端末装置100の制御部11は、携帯端末装置100に掛かる圧力が所定の圧力値より小さければ、切替回路13において地上用キーマトリクス30を選択する。そして、地上用キー回路32aは、地上用キー31aが押下された場合に対応する電気信号を生成し、制御部11は地上用キーマトリクス30に対応した制御が可能となる。
【0024】
また、携帯端末装置100の制御部11は、携帯端末装置100に掛かる圧力が所定の圧力値より大きければ、切替回路13において水中用キーマトリクス40を選択する。そして、水中用キー回路42aは、水中用キー41aが押下された場合に対応する電気信号を生成し、制御部11は水中用キーマトリクス40に対応した制御が可能となる。
【0025】
具体的には、携帯端末装置100を地上から水中へ移動させた場合に、圧力検出部12は所定の値以上の圧力が検出されたことを制御部11へ伝え、制御部11は信号入力回路の切り替えを切替回路13に指示し、切替回路13は地上用キーマトリクス30から水中用キーマトリクス40への切り替えを行う。
【0026】
なお、携帯端末装置100を地上で使用することが通常であり、所定の圧力値は大気圧以上に設定しておく。すなわち、切替回路13の選択する信号入力回路は、大気圧中では地上用キーマトリクス30を有効に設定しておく。そして、携帯端末装置100を地上から水中へ移動させた場合に切替回路13において水中用キーマトリクス40を選択し、また、携帯端末装置100を水中から地上へ移動させた場合に切替回路13において地上用キーマトリクス30を選択する。
【0027】
いずれの場合においても、携帯端末装置100に掛かる圧力の検出は、圧力検出部12で行う。圧力検出部12は、例えば、図示しない気圧センサで圧力のモニタリングを行っており、一定以上の圧力が加わると、制御部11へ信号が送られるように設定しておく。具体的には、携帯端末装置100のスイッチボタンに備えられたペットドーム(クリックドームともいう)が水圧により潰された場合に、切替回路13により水中用キーマトリクス40が選択され、水中用キーマトリクス40が有効になるように制御される。水中で加圧されたことを感知するため、1箇所のペットドーム(クリックドームともいう)が潰された場合ではなく、少なくとも複数箇所のペットドームが潰された場合においてのみ、携帯端末装置100が加圧されているものと設定してもよい。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路の構成の一例を示すブロック図である。図3は、実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路の動作の一例を示すブロック図である。本発明の実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路100は、図1に示す実施の形態に係るキー操作入力回路100に、入出力ポート14を追加して備える。
【0029】
圧力検出部12で検出した圧力値に応じて、制御部11は入出力ポート14の切り替えを行う。入出力ポート14は、地上用キーマトリクス30と切替回路13との接続または水中用キーマトリクス40と切替回路13との接続を可能とし、制御部11により接続先のポート選択が行われ、切替回路13と信号入力回路が導通する。図2は、信号入力回路に地上用キーマトリクス30を選択した場合である。また、図3は、制御部11により入出力ポート14の切り替えが行われ、信号入力回路に水中用キーマトリクス40を選択した場合である。
【0030】
なお、入出力ポート14により、携帯電話端末装置100の地上用キーマトリクス30と水中用キーマトリクス40の切り替えを行うことで、携帯電話端末装置100に備えるポートを兼用し、キー操作入力回路が複雑化することを防止でき、携帯端末装置100の回路を単純化し、小型化に貢献することができる。また、信号入力回路の切り替えが容易となり、誤作動の低減や操作性の向上にも貢献できる。
【0031】
図4は、携帯端末装置のキーの構成の一例を示す概略断面図である。実施の形態および実施の形態の変形例に係るキー操作入力回路を備える携帯端末装置のキーの構成の一例を示す。
【0032】
携帯端末装置100は、通常、大気圧環境下で使用することを前提に形成しており、できるだけ使用者の負担が少なくなるように、キー操作に必要な押圧力を低減し、キーをエンボス抵抗が小さいもので設計することが好ましい。また、大気圧環境下と水圧環境下を比較した場合に、大気圧環境下の方が圧力は小さいので、大気圧環境下におけるエンボス抵抗を、水圧環境下におけるエンボス抵抗よりも、エンボス抵抗が小さいもので設計することができる。以下に、同じスイッチボタンに対応する地上用キー31および水中用キー41の構成について説明する。
【0033】
携帯端末装置100の地上用キーマトリクス30と水中用キーマトリクス40は、それぞれに対応する地上用キー回路32と水中用キー回路42は互いに他の一部を含まずに、同じスイッチボタンに対応して形成される。地上用キー31の方がエンボス抵抗は小さく、水中用キー41の方がエンボス抵抗は大きいので、地上用キーマトリクス30に対応する地上用キー31を携帯端末装置100の表面側、水中用キーマトリクス40に対応する水中用キー41を携帯端末装置100の裏面側、すなわち地上用キー31の押下方向に置かれる様に配置する。
【0034】
なお、携帯端末装置100の地上用キーマトリクス30と水中用キーマトリクス40は、同じスイッチボタンに対応して形成されているが、地上用キー回路32と水中用キー回路42は互いに他の一部を含まないため、信号入力回路は地上用キーマトリクス30の地上用キー回路32と水中用キーマトリクス40の水中用キー回路42のいずれかが選択される。
【0035】
地上用キーマトリクス30と水中用キーマトリクス40のいずれを制御するかは、圧力検出部12の検出した圧力値をもとに、制御部11の指示により切替回路13で選択される。圧力が所定値より小さい場合は地上用キーマトリクス30、圧力が所定値より大きい場合は水中用キーマトリクス40、が選択される。具体的には、圧力が所定値より小さい場合は、制御部11の指示により、切替回路13は地上用キーマトリクス30と接続する回路(地上用キー回路32)を選択し、入出力ポート14において切替回路13と地上用キー回路32とを電気的に導通させる。また、圧力が所定値より大きい場合は、制御部11の指示により、切替回路13は水中用キーマトリクス40と接続する回路(水中用キー回路42)を選択し、入出力ポート14において切替回路13と水中用キー回路42とを電気的に導通させる。
【0036】
地上用キー31および水中用キー41は、メンブレンスイッチ構造で構成され、互いに他の押下方向に重ねて形成される。具体的には、表面側が地上用キー31、裏面側が水中用キー41となり、これらの間に、中板(スペーサー)320が形成される。
【0037】
地上用キー31は、地上用上部電極シート311、地上用上部電極接点312、地上用下部電極シート313、地上用下部電極接点314、地上用凹型エンボス315、表面シート316およびスペーサー317を備える。地上用キー31に対応する箇所(スイッチボタン)を押下すると、地上用上部電極シート311の地上用上部電極接点312と地上用下部電極シート313の地上用下部電極接点314が接触し、その地上用キー31が電気的に導通し、携帯端末100の制御部11へ電気信号を送信可能となる。そして、押下された地上用キー31の電気信号に対応する制御が行われる。
【0038】
地上用キー31に対応する箇所(スイッチボタン)を押下する際、地上用凹型エンボス315をフラットな状態にし、少なくとも地上用上部電極接点312と地上用下部電極接点314が接触する力で押下する必要がある。地上用キー31を、使用者の負担が少なくキー操作に必要な押圧力を低減し、キーをエンボス抵抗が小さいもので設計することで、操作性が向上する。なお、地上用凹型エンボス315に、地上用キー31の操作時におけるクリック感触を付与することで、操作性は維持される。
【0039】
水中用キー41は、水中用上部電極シート411、水中用上部電極接点412、水中用下部電極シート413、水中用下部電極接点414、水中用メタルドーム付エンボス415、取付板416およびスペーサー417を備える。水中用キー41に対応する箇所(スイッチボタン)を押下すると、水中用上部電極シート411の水中用上部電極接点412と水中用下部電極シート413の水中用下部電極接点414が接触し、その水中用キー41が電気的に導通し、携帯端末100の制御部11へ電気信号を送信可能となる。そして、押下された水中用キー41の電気信号に対応する制御が行われる。
【0040】
水中用キー41に対応する箇所(スイッチボタン)を押下する際、水中用メタルドーム付エンボス415をフラットな状態にし、水中用上部電極接点412と水中用下部電極接点414が接触するだけの押圧力で押下する必要がある。水中用キー41は、少なくとも水圧環境下に耐え得るエンボス抵抗を有するもので設計する必要がある。また、水圧環境下で使用した場合においても、クリック感触を付与することで、操作性は維持される。
【0041】
携帯端末装置100が大気圧環境下で使用する場合、すなわち通常の使用の際、地上用キーマトリクス30でキー操作されるように制御部11で制御される。その際、スイッチの押下による機能制御の指示は、地上用キー31を押下することで行われる。地上用キー31の押下は、少なくとも地上用凹型エンボス315を押下できる押圧力で行えばよく、小さい力で容易に操作でき、かつ、クリック感が付与されているので、高い操作性を維持したまま携帯端末装置100を使用することができる。また、大きい力で操作した場合であって、水中用メタルドーム付エンボス415が押下された場合であっても、水中用メタルドーム付エンボス415よりも押圧力の小さい地上用凹型エンボス315が接触しており、制御部11では、対応する地上用キー31による操作をもとに制御されるので、問題は生じない。
【0042】
一方、携帯端末装置100が水圧環境下で使用する場合、すなわち水中での使用の際、水中用キーマトリクス40でキー操作されるように制御部11で制御される。このとき、水圧より小さい押圧力で設計された地上用凹型エンボス315は、常に押下された状態となり、地上用上部電極接点312と地上用下部電極接点314が接触した状態が維持されるが、地上用キーマトリクス30の地上用キー回路32は接続してないため、地上用キー回路32からの信号入力は行われることがなく問題はない。水中用キー41の押下は、水中用メタルドーム付エンボス415を押下できる押圧力で行うことで、キー操作でき、かつ、クリック感が付与されているため、高い操作性を得ることができる。なお、地上用凹型エンボス315の押圧力は水中用メタルドーム付エンボス415に比べて小さく、水圧の影響もあるため、地上用凹型エンボス315によるクリック感の付与はほとんど感じることはない。
【0043】
なお、図4(b)に示すように、携帯端末装置100の地上用キー31に用いるエンボスは、地上用凹型エンボス315に限らず、地上用凸型エンボス318であってもよい。また、水中用キー41に用いるエンボスは、水中用メタルドーム付エンボス415に限らず、水中用デザインエンボス418であってもよい。エンボスの材料、形状や押圧力は、任意に設定可能である。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施の形態にかかるキー操作入力回路および携帯端末装置によれば、水陸両用で、高い操作性および機能性を維持できる。
【0045】
本発明の携帯端末装置は、通常の使用の際、すなわち地上における使用の際、できるだけ使用者の負担が少なくなるように、キー操作に必要な押圧力を低減し、キーをエンボス抵抗が小さいもので設計することができる。その結果、非常に小さい力でキー操作が可能であり、また、キー操作においてはクリック感が付与されているので、操作性の高い携帯端末装置として利用できる。さらに、水中における使用の際でも、特別な操作や、ケースで保護などを行わなくても、誤動作のおそれがなく、使用が可能である。これは、水中では携帯端末装置の信号入力回路の切り替えが行われ、地上用キー回路が無効となり、水圧により地上用キーが押下されていても誤動作することがないためである。
【0046】
なお、水中でのキー操作は、水圧でバイアスがかかった状態になり、大気中における水中用キーに必要な押下力より小さい押下力で操作できる。その上、水中でもクリック感を得ることができ、操作性は維持される。また、水中用キーマトリクスに切り替えられているので、キー操作使用の制限が最小限に抑えられ、高い機能性を維持することができる。
【0047】
また、地上用キーマトリクスと水中用キーマトリクスの切り替えを行うことで、ポートを兼用することができ、キー操作入力回路の複雑化を防止し、携帯端末装置回路を単純化し、携帯端末装置の小型化に貢献することができる。さらに、信号入力回路の切り替えが容易となり、誤作動の低減や操作性の向上にも貢献できる。
【0048】
本実施の形態では、クリック感を付与するエンボスについて例示しているが、特に限定されない。エンボスの形状や材料など、任意に設定可能である。また、エンボスを備えるキースイッチの構造についても同様に、任意に選択することができる。また、携帯端末装置のデザインについても任意に設定可能であり、特に限定されない。
【0049】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0050】
(付記1)
地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とするキー操作入力回路。
【0051】
(付記2)
外部圧力を検出する回路と、
外部圧力が所定の値以下の場合に、前記キー選択回路で前記地上用キー回路を前記信号入力回路に接続し、外部圧力が前記所定の値を超える場合に、前記キー選択回路で前記水中用キー回路を前記信号入力回路に接続する制御回路と、
を備えることを特徴とする付記1に記載のキー操作入力回路。
【0052】
(付記3)
大気圧中で操作可能な必要押下力を有する地上用キーと、
前記地上用キーの必要押下力より大きい必要押下力を有する水中用キーと、
前記地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
前記水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、
を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とする携帯端末装置。
【0053】
(付記4)
外部圧力を検出する回路と、
外部圧力が所定の値以下の場合に、前記キー選択回路で前記地上用キー回路を前記信号入力回路に接続し、外部圧力が前記所定の値を超える場合に、前記キー選択回路で前記水中用キー回路を前記信号入力回路に接続する制御回路と、
を備えることを特徴とする付記3に記載の携帯端末装置。
【0054】
(付記5)
前記地上用キーと前記水中用キーは、互いに他の押下方向に重ねて配置されることを特徴とする付記3または4に記載の携帯端末装置。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、携帯端末装置は、携帯電話だけでなく、防水のデジタルカメラや防水のポータブル音楽プレーヤーなど、様々な携帯端末装置として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
11 制御部
12 圧力検出部
13 切替回路
14 入出力ポート
30 地上用キーマトリクス
31、31a 地上用キー
32、32a 地上用キー回路
40 水中用キーマトリクス
41、41a 水中用キー
42、42a 水中用キー回路
50 キーマトリクス
51 キー
52 キー回路
53 制御部
100 携帯端末装置
311 地上用上部電極シート
312 地上用上部電極接点
313 地上用下部電極シート
314 地上用下部電極接点
315 地上用凹型エンボス
316 表面シート
317、417 スペーサー
318 地上用凸型エンボス
320 中板(スペーサー)
411 水中用上部電極シート
412 水中用上部電極接点
413 水中用下部電極シート
414 水中用下部電極接点
415 水中用メタルドーム付エンボス
416 取付板
418 水中用デザインエンボス
500 携帯端末装置
511 上部電極シート
512 上部電極接点
513 下部電極シート
514 下部電極接点
515 エンボス
516 表面シート
517、519 スペーサー
518 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、
を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とするキー操作入力回路。
【請求項2】
外部圧力を検出する回路と、
外部圧力が所定の値以下の場合に、前記キー選択回路で前記地上用キー回路を前記信号入力回路に接続し、外部圧力が前記所定の値を超える場合に、前記キー選択回路で前記水中用キー回路を前記信号入力回路に接続する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のキー操作入力回路。
【請求項3】
大気圧中で操作可能な必要押下力を有する地上用キーと、
前記地上用キーの必要押下力より大きい必要押下力を有する水中用キーと、
前記地上用キーが押下された場合に信号を生成する地上用キー回路と、
前記水中用キーが押下された場合に信号を生成する水中用キー回路と、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路のいずれか一方を選択して信号入力回路に接続するキー選択回路と、
を備え、
前記地上用キー回路と前記水中用キー回路は、互いに他の一部を含まないことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
外部圧力を検出する回路と、
外部圧力が所定の値以下の場合に、前記キー選択回路で前記地上用キー回路を前記信号入力回路に接続し、外部圧力が前記所定の値を超える場合に、前記キー選択回路で前記水中用キー回路を前記信号入力回路に接続する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記地上用キーと前記水中用キーは、互いに他の押下方向に重ねて配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−182687(P2012−182687A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44598(P2011−44598)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】