説明

キー装置、及び電子機器

【課題】キー配置のために筐体の開口を仕切る縦横のリブの一方をなくして小型化しながら、筐体の強度も確保する。
【解決手段】縦方向または横方向いずれか一方向のリブ12により仕切られた開口を有する筐体(1)と、その開口に沿って配置される複数のキー31と、筐体に内蔵される基板35と、を備えるキー装置(3)であって、リブ12を基板35に係合する。具体的には、リブ12に形成される突起15を、基板35に形成される孔36に挿入する。さらに、キー31と基板35との間に配置されるインナーラバー37を備え、リブ12の突起15を、インナーラバー37に形成される孔38に貫通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー配置のために筐体の開口を仕切る縦横のリブの一方をなくして小型化したキー装置と、そのキー装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電卓等のキー装置において、従来は、筐体の縦横リブにより仕切られた開口に、抜け止め用のフランジ付きのキートップが位置する構造であったが、小型化のためには開口を仕切る縦横のリブの一方をない構造としたい。そのためには、キートップのフランジもなくす必要がある。
特許文献1には、フランジなしのキートップをベースフィルムに接着したキースイッチ構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−109486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のキートップはフランジなしだが、そのキートップをベースフィルムに接着する必要がある。
しかし、キートップをベースフィルムに接着するのはコストがかかる問題がある。
また、キー配置のために筐体に設ける縦横のリブの一方をなくした場合、筐体の強度低下が問題となる。
【0005】
本発明の課題は、キー配置のために筐体の開口を仕切る縦横のリブの一方をなくして小型化しながら、筐体の強度も確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、縦方向または横方向いずれか一方向のリブにより仕切られた開口を有する筐体と、前記開口に沿って配置される複数のキーと、前記筐体に内蔵される基板と、を備えるキー装置であって、前記リブを前記基板に係合したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキー装置であって、前記リブに形成される突起を、前記基板に形成される孔に挿入したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のキー装置であって、前記キーと基板との間に配置されるインナーラバーを備え、前記リブの突起を、前記インナーラバーに形成される孔に貫通したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のキー装置であって、前記キーは、前記リブに対し抜け止めされるフランジを有していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のキー装置を備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キー配置のために筐体の開口を仕切る縦横のリブの一方をなくして小型化しながら、筐体の強度も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、電卓を示した正面図である。
【図2】図1の矢印A−A線に沿った拡大断面図である。
【図3】図1の矢印B−B線に沿った拡大断面図である。
【図4】図1のキーを挿入した上ケースを裏側から見た一部破断の拡大斜視図である。
【図5】図1のリブと基板との係合関係を示した一部破断の拡大斜視図である。
【図6】図5の基板の裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として電卓を示したもので、図中、1は筐体、2は表示部、3は本発明によるキー装置、4は他のキー装置である。
【0014】
図示例において、筐体1には、上部に表示部2が設けられて、下部に本発明によるキー装置3が設けられるとともに、中間部に他のキー装置4が設けられている。
【0015】
図2及び図3は本発明によるキー装置3の断面を示したもので、図中、11は上ケース、12は横方向のリブ、31はキー、35は基板、37はインナーラバーである。
【0016】
図示のように、筐体1の上ケース11の下部には、本発明によるキー装置3のキー31を横方向に並べて配置するための開口を上下に仕切る横方向のリブ12のみが形成されていて、縦方向のリブは形成されていない。
【0017】
キー31は、上ケース11の横方向のリブ12により仕切られた開口の上下にフランジ32が当接して抜け止めされて、基板35に重ねたインナーラバー37のスイッチ部に対応するドーム部に重ねて配置されている。
【0018】
図4はキー31を挿入した上ケース11を裏側から見たもので、図示のように、横方向のリブ12には、キー31の上下のフランジ32の側面に当接する位置決めガイド13が形成されている。また、上ケース11のキー31を配置する開口の上下に沿った部分にも同様の位置決めガイド13が形成されている。
【0019】
また、位置決めガイド13と一体に、基板35に重ねたインナーラバー37の上に重なるボス14が形成されている。そして、位置決めガイド13と一体に、ボス14より長い突起15が形成されている。図示例では、ボス14と突起15が横方向に交互に配置されている。
【0020】
キー31の横方向のガタは、そのフランジ32の左右の側面とリブ12の位置決めガイド13との当接により防止される。
また、キー31の縦方向のガタは、その上下の側面とリブ12との当接、及び上ケース11の開口の上下に沿った部分との当接により防止される。
【0021】
図5及び図6はリブ12と基板35との係合関係を示したもので、図示のように、基板35には、リブ12の突起15が挿入される孔36が形成されている。また、インナーラバー37には、リブ12の突起15が貫通する孔38が形成されている。
【0022】
従って、リブ12の突起15は、横方向の二箇所において、インナーラバー37の孔38を貫通して、基板35の孔36に挿入した係合状態となる。
【0023】
なお、基板35は、上ケース11にねじ止め固定されている。この基板35の下に下ケース16が重ねられている。下ケース16は上ケース11に周囲でねじ止め固定される。
【0024】
以上、実施形態の電卓によれば、下部のキー装置3において、縦方向のリブをなくして、キー31を横方向に並べて配置する開口を横方向のリブ12のみで上下に仕切ったので、キー31を横方向に最接近させて並べられることによって、キー装置3を小型化することができる。
【0025】
そして、横方向のリブ12の突起15を、二箇所において、インナーラバー37の孔38を貫通して、基板35の孔36に挿入した係合状態としたので、縦方向のリブをなくしながら、横方向のリブ12の剛性を確保して、筐体1の強度も確保することができる。
【0026】
(変形例)
以上の実施形態においては、電卓としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電子辞書、携帯電話などの機器全てに用いることができる。
また、実施形態では、縦方向のリブをなくして横方向のリブを設けたが、横方向のリブをなくして縦方向のリブを設けてもよい。
さらに、キーやリブの形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 筐体
11 上ケース
12 リブ
13 位置決めガイド
14 ボス
15 突起
16 下ケース
2 表示部
3 本発明によるキー装置
31 キー
32 フランジ
35 基板
36 孔
37 インナーラバー
38 孔
4 他のキー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向または横方向いずれか一方向のリブにより仕切られた開口を有する筐体と、
前記開口に沿って配置される複数のキーと、
前記筐体に内蔵される基板と、を備え、
前記リブを前記基板に係合したことを特徴とするキー装置。
【請求項2】
前記リブに形成される突起を、前記基板に形成される孔に挿入したことを特徴とする請求項1に記載のキー装置。
【請求項3】
前記キーと基板との間に配置されるインナーラバーを備え、
前記リブの突起を、前記インナーラバーに形成される孔に貫通したことを特徴とする請求項2に記載のキー装置。
【請求項4】
前記キーは、前記リブに対し抜け止めされるフランジを有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のキー装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のキー装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−222340(P2011−222340A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91110(P2010−91110)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】