説明

ギャップ分析器装置および方法

【課題】ターボ機械内のギャップを測定するように構成された方法およびギャップ分析器装置を提供する。
【解決手段】ギャップ分析器装置は、充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、所定の値を有する電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、所定の値を有する電圧をプローブに出力するように構成された出力ポートと、プローブからターボ機械のギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、信号に関連する電圧を測定するように構成されたプロセッサユニットと、測定された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、電圧安定化ユニット、電圧増倍器ユニット、およびディスプレイに接続された共通ポートと、ギャップ分析器装置をスイッチオンおよびオフするために、プロセッサユニットと電池の間に電気的に接続されたスイッチとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、一般に方法およびシステムに関し、より詳細にはギャップを測定するための機構および技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近接センサは、センサと目標の間のギャップ(間隔)を測定することができる装置である。近接センサは、たとえば機械における振動を測定するために、様々なターボ機械に組み込むことができる。ターボ機械、たとえばコンプレッサ、エキスパンダ、ガスタービン、ポンプなどは、ケーシングに対して回転する軸を有することが知られている。様々な要因により軸の回転は完全ではなく、軸にねじり振動が現れ得る。ねじり振動は、制御されない場合、軸を損傷し、または軸の寿命を短縮するおそれがある。
【0003】
したがってターボ機械の操作者は、軸に現れ得るこれらのねじり振動を監視することに関心がある。これらの振動を監視する1つの方法は、軸の近くに近接センサを配置することである。このようなセンサは、センサと軸の間に遮られていない経路がある場合、軸のねじり振動を測定することができる。図1は、ケーシング14に対して回転する軸12を有するターボ機械10の概略図である。近接センサ16は、軸12の回転を監視するためにケーシングに固定される。
【0004】
図2は、センサ16をより詳細に示す。プローブ18(たとえばBentley Nevadaプローブ)は、プロキシミタ20に取り付けることができる。プロキシミタ20はインターフェースとすることができ、2つまたは3つの入力/出力ポートを含むことができる。当業者ならプロキシミタ20は、様々な回路を含み得ることが理解されよう。従来、プロキシミタ20は、入力ポート22と、入力端および出力端として用いられる共通ポート24と、出力ポート26とを有する。電源ユニット28は、24V直流(dc)電圧を供給するために入力ポート22および共通ポート24に接続される。電源ユニット28は、220V交流(ac)源(図示せず)に接続することができる。入力24Vdc電圧に基づいてプローブ18は、たとえば軸の回転によるそれ自体のインピーダンスの変化を測定する。
【0005】
共通ポート24および出力ポート26に接続されたマルチメータ30は、プローブのインピーダンスの変化を測定し、その変化を、軸とプローブ18の間の距離に相当する距離に変換するように構成される。このようにしてターボ機械の操作者は、軸に現れ得る振動を監視することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしこのような手法は時間がかかり、操作者を(220V源からの)大電流に曝し、結果として安全性の問題および生産中断時間を生じ得る。さらにこのような手法は、多くの他の機能を有するマルチメータ30を用いる。それにより機械の操作者は、マルチメータにギャップを表示させるために複雑な設定を覚えておく必要がある。したがって上述の問題および欠点を回避するシステムおよび方法を実現することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例示的実施形態によれば、ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置が提供される。ギャップ分析器装置は、充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、充電式電池に電気的に接続され、充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、電圧増倍器ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、電圧安定化ユニットに接続され、所定の値を有する電圧をプローブに出力するように構成された出力ポートと、プローブからターボ機械のギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、入力ポートに電気的に接続され、信号に関連する電圧を測定するように構成されたプロセッサユニットと、プロセッサユニットに接続され、測定された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、電圧安定化ユニット、電圧増倍器ユニット、およびディスプレイに接続された共通ポートと、ギャップ分析器装置をスイッチオンおよびオフするために、プロセッサユニットと電池の間に電気的に接続されたスイッチとを含む。
【0008】
他の例示的実施形態によれば、ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置が提供される。ギャップ分析器装置は、ケーシングと、ケーシングの内側に形成され、充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、ケーシングの内側に設けられ、充電式電池に接続され、充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、ケーシングの内側に設けられ、電圧増倍器ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、ケーシングに取り付けられ、電圧安定化ユニットに接続され、所定の値を有する電圧をプローブに出力するように構成された出力ポートと、ケーシングに取り付けられ、プローブからターボ機械のギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、ケーシングの内側に設けられ、入力ポートに接続され、信号に関連する電圧を測定するように構成されたプロセッサユニットと、ケーシングに取り付けられ、プロセッサユニットに接続され、測定された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、ケーシングに取り付けられ、電圧安定化ユニット、電圧増倍器ユニット、およびプロセッサユニットに接続された共通ポートと、出力ポートを充電式電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第1のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第1のスイッチと、ディスプレイをもう1つの電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第2のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第2のスイッチと、充電式電池を試験するために充電式電池を処理ユニットに電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第3のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第3のスイッチとを含む。
【0009】
他の例示的実施形態によれば、ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置が提供される。ギャップ分析器装置は、ケーシングと、充電式電池に接続され、充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、電圧増倍器ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、電圧安定化ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を出力するように構成された出力ポートと、ターボ機械のギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、入力ポートに接続され、信号に関連する電圧を計算するように構成されたプロセッサユニットと、プロセッサユニットに接続され、計算された電圧のみを表示するように構成されたディスプレイと、電圧安定化ユニット、電圧増倍器ユニット、およびプロセッサユニットに接続された共通ポートと、出力ポートを充電式電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第1のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第1のスイッチと、ディスプレイをもう1つの電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第2のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第2のスイッチと、充電式電池を試験するために充電式電池をプロセッサに電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第3のスイッチであって、ケーシングの外側に設けられた第3のスイッチと、ケーシングの外側に設けられ、交換電池が放電されたときに点灯するように構成された第1の視覚表示器と、ケーシングの外側に設けられ、交換電池が充電されたときに点灯するように構成された第2の視覚表示器とを含む。
【0010】
他の例示的実施形態によれば、ギャップ分析器装置を用いてターボ機械内のギャップを測定する方法が提供される。この方法は、第1のスイッチを押してギャップ分析器装置をターンオンするステップと、第2のスイッチを押して、光表示器が充電式電池が使用可能状態であることを示すかどうかを判定するステップと、ギャップ分析器装置の出力ポートおよび入力ポートをプローブに接触させるステップと、電圧をプローブに送り、プローブからギャップを示す信号を受け取るために、ギャップ分析器装置上の第3のスイッチを押すステップと、ギャップ分析器装置のディスプレイにギャップに関連する電圧を表示するステップとを含む。
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、1つまたは複数の実施形態を示し、記述と共にそれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ターボ機械の一部の概略図である。
【図2】プローブに接続された電源、およびターボ機械のギャップを測定するためのプロキシミタの概略図である。
【図3】一例示的実施形態によるギャップ分析器装置の概略図である。
【図4】一例示的実施形態によるギャップ分析器装置の構造の概略図である。
【図5】一例示的実施形態によるギャップ分析器装置の構成要素の概略図である。
【図6】一例示的実施形態によるギャップ分析器装置の概観図である。
【図7】一例示的実施形態によるギャップを測定する方法のフローチャートである。
【図8】一例示的実施形態によるギャップ分析装置を用いる方法を示すフローチャートである。
【図9】一例示的実施形態によるもう1つのギャップ分析器装置の構成要素の概略図である。
【図10】一例示的実施形態によるギャップ分析器装置の概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の例示的実施形態の説明は、添付の図面を参照する。異なる図面内の同じ参照番号は、同じまたは同様な要素を特定する。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。以下の実施形態は、話を簡単にするために、回転軸を有する機械の用語および構造に関して論じられる。しかし次に論じられる実施形態は、それらのシステムに限定されず、近接センサを必要とする他のシステムに応用することができる。
【0014】
本明細書の全体にわたり、「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、一実施形態に関連して述べる特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって本明細書の全体にわたる様々な部分での「1つの実施形態での」または「一実施形態での」という語句が現れるのは、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適当な形で組み合わせることができる。
【0015】
一例示的実施形態によれば、ギャップ分析器装置は、ギャップを測定するための既存の装置よりも少ない構成要素を含む。1つの応用例ではギャップ分析器装置は、充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、充電式電池に接続され、充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、電圧増倍器ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、電圧安定化ユニットに接続され、所定の値を有する電圧を出力するように構成された出力ポートと、ターボ機械のギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、入力ポートに接続され、信号に関連する電圧を計算するように構成されたプロセッサユニットと、プロセッサユニットに接続され、計算された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、電圧安定化ユニット、電圧増倍器ユニット、およびプロセッサユニットに接続された共通ポートとのみを含む。
【0016】
この例示的実施形態によれば、他の実質的な構成要素はギャップ分析器装置に含まれない。さらに他の実施形態では、ギャップ分析器装置は、ギャップを示す電圧のみを測定するように構成される。他の例示的実施形態ではギャップ分析器装置は、ギャップすなわちギャップの長さを示す電圧のみを表示し、他の量は表示しないように構成される。例示的実施形態は、使いやすく製造しやすいギャップ分析器装置を説明することに留意されたい。したがって、従来のギャップ分析装置は理解、使用、および製作が難しいことが分かっているのでギャップ分析器装置にさらなる機能を追加することは望ましくない。たとえば新規なギャップ分析器装置は、周波数測定回路、または基準磁気ストリップ回路、PCMCIAデータバッファなどを含まない。非常に複雑で、使用が煩雑なデータ収集器および分析器装置の例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,789,030号に述べられているように、複数の量を検出するように構成される。
【0017】
一例示的実施形態による新規なギャップ分析器装置40は、図3に示される。図2と同じプローブ18およびプロキシミタ20が図3に示されることに留意されたい。しかし、電源ユニット28はない。新規なギャップ分析器装置40は、電源として、およびプロキシミタ20から受け取るデータの分析器として動作する。
【0018】
図4には、一例示的実施形態によるギャップ分析器装置50の概略図が示される。ギャップ分析器装置50は、電圧増倍器ユニット52、電圧安定化ユニット54、プロセッサユニット56、およびディスプレイ58を含む。ギャップ分析器装置50はまた、出力ポート60、共通ポート62、および入力ポート64を含むことができる。本質的には上記の構成要素のみが、この例示的実施形態によるギャップ分析器装置50の構成要素である。したがって新規なギャップ分析器装置の構造は簡単であり、後述するように装置の使用も簡単であることが分かる。他の例示的実施形態によればギャップ分析器装置は、較正ユニット66を含むことができる。
【0019】
電圧増倍器ユニット52は、充電式電池68に接続することができる。充電式電池68は、ギャップ分析器装置50内のハウジングによって収容することができる。充電式電池68は、9V直流電圧を供給することができる。ギャップ分析器装置50は、電池68に残っているエネルギーの量を試験するための回路70を含むことができる。もう1つの電池72は、プロセッサ56および/またはディスプレイ58に接続することができる。それによりプロセッサ56および/またはディスプレイ58には、ギャップ分析器装置50内の他のユニットとは独立に電力供給することができる。
【0020】
一例示的実施形態によればギャップ分析器装置50は図4に示される構成要素のみを含み、プロセッサ56はプローブ18(図3を参照)とターボ機械の軸12(図1を参照)の間のギャップに関連する電圧のみを計算するように構成される。
【0021】
図5に示される例示的実施形態によれば、ギャップ分析器装置50の構造がより詳しく示される。9Vの充電式電池68は、スイッチ80を通じて電圧増倍器ユニット52に接続される。電圧増倍器ユニット52は、トランス、たとえば電圧トランスを含むことができる。トランスは、入力電圧を所定の電圧、たとえば30Vdcに変化させることができる。他の応用例では所定の電圧は、9Vと30Vの間の任意の値をとることができる。電圧増倍器ユニット52の1つの出力端子は接地82に接続され、もう1つの出力端子はノード84に接続される。
【0022】
図4に関連して述べた電圧安定化ユニット54は、ノード84と出力ポート60の間に接続された第1の電圧安定化デバイス54aを含むことができる。電圧安定化ユニット54はまた、第2および第3の電圧安定化デバイス54bおよび54cを含むことができる。電圧安定化デバイスの例は78L05、7824であり、これらの素子は電圧入力が一定でないときにも安定な電圧出力を供給することが知られている。第2および第3の電圧安定化ユニット54bおよび54cは、スイッチ86とマイクロプロセッサ88の間に接続される。第2および第3の電圧安定化ユニットは、スイッチ86が閉じられたときにのみ活動化され、これらは充電式電池を試験するように、たとえば図4のブロック70によって表される機能を達成するように働く。
【0023】
図5には、マイクロプロセッサ88に接続された様々な抵抗器およびダイオードが示される。たとえばプロセッサ88には、光ダイオードまたは等価なデバイスが接続され、これらの素子は、電池の電圧の最適なレベル(たとえば緑のLED)、および電圧の不十分なレベル(たとえば赤のLED)を示すように構成される。1つの応用例では、最適レベルおよび不十分なレベルの両方を示すために単一のデバイスを用いることができる。図5のダイオードとマイクロプロセッサの間の抵抗器は、それぞれのダイオードの活動化を調節することができる。接地と増倍器52の間の電圧を安定化するために、ノード84と接地の間にコンデンサ90を接続することができる。
【0024】
プロセッサ56は、スイッチ92を通じて電池72に接続される。プロセッサ56はまた、共通ポート62および入力ポート64に接続される。入力ポート64はプローブ18に接続され、プローブとターボ機械の軸との間のギャップを示す信号を受け取るように構成される。受け取った信号に基づいてプロセッサ56はギャップに関連する電圧を測定し、ディスプレイ58に命令を送って、測定された電圧たとえば図5では19.99を表示する。1つの応用例ではプロセッサ56は、この測定のみを行い、他の動作は行わないように構成(配線)される。他の応用例ではプロセッサは、ギャップ間隔を測定し、ディスプレイ58にこの間隔を表示するように命令する。
【0025】
図5に示されるすべての要素は、単一のケーシング96内に設けることができる。したがってギャップ分析装置50は、充電式電池68用のハウジング98と、電池72用のハウジング100とを含むことができる。ギャップ分析装置50全体は、可搬型とすることができる。ギャップ分析装置50は、図6に示されるようなデザインをもつことができる。ディスプレイ58は、ケーシング96に取り付けられる。ポート60および64は、ケーシング96の上部または側面に設けることができる。1つの応用例ではポート60は出力ポートおよび共通ポートを含み、ポート64は入力ポートおよび共通ポートを含む。スイッチ92(装置をスイッチオンまたはオフする)は、スイッチ84(電池試験スイッチ)との間に2つのLED表示器110および112を挟むように配置することができる。たとえばLED表示器110は、充電式電池68が装着されていないときに赤くなり、LED表示器112は、電池が最適状態のときに緑になるようにすることができる。充電式電池68の充電状態を示すために、より少ないまたは多いLEDを用いることができる。スイッチ80は、出力ポート60への電圧信号の送出を活動化するために、ケーシング96の側面に配置することができる。任意選択で、電池68および72の1つまたは両方を充電するために、ケーシング96上に電力ポート114を配置することができる。1つの応用例では電力ポート114は、出力ポート60に電圧を供給するために、およびギャップ分析器装置50の内部の様々なユニットに電力供給するために用いることができる。
【0026】
次に、ギャップ分析装置50の使用について図7に関連して述べる。任意選択のステップ700では、操作者は、スイッチ86を閉じて充電式電池68を試験する。このステップは必須ではないが、このステップを実行することによりギャップの測定が正確であることが確実になる。ステップ702では、ギャップ出力分析器50は、適当なリード線によりプロキシミタ20に接続される(図3を参照)。ステップ704では、スイッチ80は閉じられて充電式電池68を電圧増倍器ユニット52に接続する。電圧信号は出力ポート60に送られ、次いでプローブ18に送られる。
【0027】
プローブ18がギャップの測定を実行した後に、信号が入力ポート64およびプロセッサ56に供給される。それによりステップ706では、プロセッサ56において電圧が測定され、この電圧は測定されたギャップに相当する。ステップ708では、ディスプレイ58は、プロセッサ56からの命令を受けて、測定された電圧を表示する。したがってギャップ分析器装置50の操作者は、装置を用いるための設定を記憶する必要はなく、既存の装置のように複数のボタンを押す必要はなく、2つの異なる装置(電力源およびマルチメータ)を取り扱う必要はなく、また結果として傷害を生じ得る高電圧(220V)を含む電力源を用いて仕事をする必要もない。
【0028】
図8には一例示的実施形態により、ギャップ分析器装置を用いてターボ機械内のギャップを測定する方法が示される。この方法は、第1のスイッチを押してギャップ分析器装置をターンオンするステップ800と、第2のスイッチを押して、光表示器が充電式電池が使用可能状態であることを示すかどうかを判定するステップ802と、ギャップ分析器装置の出力ポートおよび入力ポートをプローブに接触させるステップ804と、プローブに電圧を送り、ギャップを示す信号を受け取るために、ギャップ分析器装置上の第3のスイッチを押すステップ806と、ギャップに関連する電圧をギャップ分析器装置のディスプレイに表示するステップ808とを含む。1つの応用例では、この方法は上記のステップのみを含む。
【0029】
図9に示される他の例示的実施形態によれば、ギャップ分析器120は、図5の実施形態に示されるような2つの代わりに、1つの電池122を有することができる。電池122は、プローブに送られる信号を発生するため、マイクロプロセッサ124および様々な関連する電子回路に給電するため、およびディスプレイ126を活動化するために用いられる。電池122は、たとえば12V出力を有するDC電池である。この電池は、任意選択の充電ポート128に接続することができ、スイッチ80を通じてギャップ分析器120の電子回路に接続することができる。スイッチ80は、ギャップ分析器装置120をスイッチオンおよびオフするように構成される。この点に関して、スイッチ80がギャップ分析器装置をターンオンした後は、装置のユーザはただ装置をプローブに接続しさえすればよく、装置は自動的にギャップの値を読み取り、たとえばさらにボタンを押す必要はないことに留意されたい。電池122と電圧安定化デバイス54dの間には、整流器130およびダイオード132を設けることができる。
【0030】
電池122からの電圧は、保護のためおよび他の望ましい機能を行うための関連する電子回路を有するマイクロプロセッサ124に供給される。たとえば回路134は、時間を生じるためのデジタルクロックとすることができ、スイッチ136は、ディスプレイ126に付随する照明システム138を活動化することができる。電圧増倍器ユニット52は図5のものと同様でよく、もう1つの電圧安定化デバイス54eは図5のデバイス54aと同様でよい。電子回路を、たとえば200mAより大きな電流から保護するために、入力端64にヒューズ142を設けることができる。
【0031】
図9に示される実施形態は、マイクロプロセッサ124によって制御される充電表示器と一体化されたディスプレイ126を有することができる。言い換えれば、ディスプレイ126は、ギャップ分析器のケーシング上に表示器を有する代わりに、一定の領域内に電池の記号と、電池に残っているエネルギーの量とを示すことができる。さらに、図9に示された電気回路図を用いるギャップ分析器は、出力ポート60、共通ポート62、および入力ポート64を収容する単一の物理コネクタ146(図10を参照)を有するように設計することができる。したがってこの例示的実施形態によれば、2つの電池の代わりに単一の電池が用いられ、3つすべてのポート用に単一のコネクタが用いられ、ディスプレイはマイクロプロセッサによって制御される一体化された充電表示器を有し、ディスプレイを照明するためのスイッチがある。
【0032】
図10は、ギャップ分析器120の外観を示す。ケーシング144は、ディスプレイ126およびコネクタ146を保持することに留意されたい。コネクタ146は、ポート60、62、および64を含むことができる。ハウジング148は、装置の電池122のみを保持するように構成される。ディスプレイ126は、電池122の状態を示すための専用の領域150をもつことができる。図6に示される実施形態と同様なオン/オフスイッチ80は、ケーシング144上に配置することができる。しかし電池を試験するためのスイッチ84は、マイクロプロセッサ124がこの試験を自動的に行うことができるので、存在しないことに留意されたい。またLED110および112は、それらの役割をディスプレイ126の領域150が行うので、存在しないことに留意されたい。
【0033】
開示された例示的実施形態は、ターボ機械内のギャップを簡単な形で測定するためのシステムおよび方法を提供する。この説明は、本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。これに反して例示的実施形態は、代替形態、変更形態、および等価物を包含するものであり、これらは添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲に含まれる。さらに例示的実施形態の詳細な説明では、特許請求された本発明の包括的な理解をもたらすために数多くの特定の詳細が述べられた。しかし当業者には、このような特定の詳細なしで、様々な実施形態を実施し得ることが理解されよう。
【0034】
ここにある例示的実施形態の特徴および要素は特定の組合せでの実施形態にて説明したが、それぞれの特徴および要素は、実施形態の他の特徴および要素なしで単独で用いることができ、または本明細書に開示された他の特徴および要素を用いてまたは用いずに様々な組合せにて用いることができる。
【0035】
この文書による説明は、任意の装置またはシステムを製造および使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含み、当業者が本主題を実施することを可能にするように、開示された主題の実施例を用いている。本主題の特許性のある範囲は、特許請求の範囲で定義され、当業者が思い付く他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10 ターボ機械
12 軸
14 ケーシング
16 近接センサ
18 プローブ
20 プロキシミタ
22 入力ポート
24 共通ポート
26 出力ポート
28 電源ユニット
30 マルチメータ
40 ギャップ分析器装置
50 ギャップ分析器装置
52 電圧増倍器ユニット
54 電圧安定化ユニット
54a 電圧安定化ユニット
54b 電圧安定化ユニット
54c 電圧安定化ユニット
54d 電圧安定化ユニット
54e 電圧安定化ユニット
56 プロセッサユニット
58 ディスプレイ
60 出力ポート
62 共通ポート
64 入力ポート
66 較正ユニット
68 充電式電池
70 回路
72 電池
80 スイッチ
82 接地
84 ノード
86 スイッチ
88 マイクロプロセッサ
90 コンデンサ
92 スイッチ
96 ケーシング
98 ハウジング
100 ハウジング
110 LED表示器
112 LED表示器
114 電力ポート
120 ギャップ分析器
122 電池
124 マイクロプロセッサ
126 ディスプレイ
128 充電ポート
130 整流器
132 ダイオード
134 回路
136 スイッチ
138 照明システム
142 ヒューズ
144 ケーシング
146 コネクタ
148 ハウジング
150 専用領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置であって、
充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、
前記充電式電池に電気的に接続され、前記充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、
前記電圧増倍器ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、
前記電圧安定化ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧をプローブに出力するように構成された出力ポートと、
前記プローブから前記ターボ機械の前記ギャップを示す信号を受け取るように構成され入力ポートと、
前記入力ポートに電気的に接続され、前記信号に関連する電圧を測定するように構成されたプロセッサユニットと、
前記プロセッサユニットに接続され、前記測定された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、
前記電圧安定化ユニット、前記電圧増倍器ユニット、および前記ディスプレイに接続された共通ポートと、
前記ギャップ分析器装置をスイッチオンおよびオフするために、前記プロセッサユニットと前記電池の間に電気的に接続されたスイッチと
から本質的に構成されるギャップ分析器装置。
【請求項2】
ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置であって、
ケーシングと、
前記ケーシングの内側に形成され、充電式電池を収容するように構成されたハウジングと、
前記ケーシングの内側に設けられ、前記充電式電池に接続され、前記充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、
前記ケーシングの内側に設けられ、前記電圧増倍器ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記電圧安定化ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧をプローブに出力するように構成された出力ポートと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記プローブから前記ターボ機械の前記ギャップを示す信号を受け取るように構成され入力ポートと、
前記ケーシングの内側に設けられ、前記入力ポートに接続され、前記信号に関連する電圧を測定するように構成されたプロセッサユニットと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記プロセッサユニットに接続され、前記測定された電圧を表示するように構成されたディスプレイと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記電圧安定化ユニット、前記電圧増倍器ユニット、および前記プロセッサユニットに接続された共通ポートと、
前記出力ポートを前記充電式電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第1のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第1のスイッチと、
前記ディスプレイをもう1つの電池に電気的に接続し、前記ユーザによって直接押されるように構成された第2のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第2のスイッチと、
前記充電式電池を試験するために前記充電式電池を前記処理ユニットに電気的に接続し、前記ユーザによって直接押されるように構成された第3のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第3のスイッチと
からなるギャップ分析器装置。
【請求項3】
前記充電式電池の前記電圧が9Vの直流である、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項4】
前記電圧増倍器ユニットの前記電圧の前記所定の値が、24Vと30Vの間の直流である、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項5】
前記電圧増倍器ユニットが電圧トランスを含む、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項6】
前記安定化ユニットが、
前記電圧増倍器ユニットと前記出力ポートの間に設けられた第1の安定器と、
マイクロプロセッサと、
前記電圧増倍器ユニットと前記マイクロプロセッサの間に設けられた第2の安定器と
を備える、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項7】
前記ディスプレイに接続され、前記ディスプレイに直流電圧を供給するように構成された電池
をさらに備える、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項8】
前記プロセッサユニットが、前記ギャップすなわち前記ギャップの長さに相当する電圧のみを計算し、他の量は計算しないように構成された、請求項2記載のギャップ分析器装置。
【請求項9】
ターボ機械内のギャップを測定するように構成されたギャップ分析器装置であって、
ケーシングと、
充電式電池に接続され、前記充電式電池の電圧を所定の値まで増加させるように構成された電圧増倍器ユニットと、
前記電圧増倍器ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧を安定化するように構成された電圧安定化ユニットと、
前記電圧安定化ユニットに接続され、前記所定の値を有する前記電圧を出力するように構成された出力ポートと、
前記ターボ機械の前記ギャップを示す信号を受け取るように構成された入力ポートと、
前記入力ポートに接続され、前記信号に関連する電圧を計算するように構成されたプロセッサユニットと、
前記プロセッサユニットに接続され、前記計算された電圧のみを表示するように構成されたディスプレイと、
前記電圧安定化ユニット、前記電圧増倍器ユニット、および前記プロセッサユニットに接続された共通ポートと、
前記出力ポートを前記充電式電池に電気的に接続し、ユーザによって直接押されるように構成された第1のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第1のスイッチと、
前記ディスプレイをもう1つの電池に電気的に接続し、前記ユーザによって直接押されるように構成された第2のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第2のスイッチと、
前記充電式電池を試験するために前記充電式電池をプロセッサに電気的に接続し、前記ユーザによって直接押されるように構成された第3のスイッチであって、前記ケーシングの外側に設けられた第3のスイッチと、
前記ケーシングの外側に設けられ、前記交換電池が放電されたときに点灯するように構成された第1の視覚表示器と、
前記ケーシングの外側に設けられ、前記交換電池が充電されたときに点灯するように構成された第2の視覚表示器と
からなるギャップ分析器装置。
【請求項10】
ギャップ分析器装置を用いてターボ機械内のギャップを測定する方法であって、
第1のスイッチを押して前記ギャップ分析器装置をターンオンするステップと、
第2のスイッチを押して、光表示器が充電式電池が使用可能状態であることを示すかどうかを判定するステップと、
前記ギャップ分析器装置の出力ポートおよび入力ポートをプローブに接触させるステップと、
電圧を前記プローブに送り、前記プローブから前記ギャップを示す信号を受け取るために、前記ギャップ分析器装置上の第3のスイッチを押すステップと、
前記ギャップ分析器装置のディスプレイに前記ギャップに関連する電圧を表示するステップと
からなる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−2807(P2012−2807A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−115288(P2011−115288)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】