説明

ギルソナイト由来医薬送達組成物および方法:美容および爪用途

局所または経皮適用のためのギルソナイト油を含む医薬製剤を開示する。ギルソナイト油の経皮的有効量を含む組成物の局所投与を含む、浸透が促進された生物活性物質の経皮投与方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2004年7月7日付け出願の米国特許出願第10/887,466号および2004年7月7日付け出願の米国特許出願第10/887,453号(それらを共にあらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れることとする)に関連している。
【0002】
発明の分野
本発明は、経皮、経粘膜および局所送達用の医薬組成物ならびにそれらの使用方法に関する。より具体的には、これらの組成物は浸透促進剤および生物活性剤を含む。
【背景技術】
【0003】
薬物の非経口送達の経皮経路は多数の利点をもたらし、多種多様な薬物を送達するための経皮系の例が米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,731,683号、第3,797,494号、第4,286,592号、第4,314,557号、第4,379,454号、第4,435,180号、第4,559,222号、第4,568,343号、第4,573,999号、第4,588,580号、第4,645,502号、第4,704,282号、第4,816,258号、第4,849,226号、第4,908,027号、第4,943,435号、第5,004,610号、第5,006,342号、第5,314,694号、第5,411,740号、第5,629,019号、第5,641,504号、第5,686,097号(それらの開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。多くの場合、経皮送達のための理想的な候補と思われる薬物は、妥当なサイズのデバイス又は妥当な量の物質の適用では、無傷皮膚への浸透性は治療的有効量で送達され得ないほど低いことが判明している。
【0004】
薬物が治療的有効量で経皮的に送達されうるよう皮膚浸透性を促進するために、種々の化学物質で皮膚を前処理すること又は浸透促進剤の存在下で該薬物を共投与することが提示されている。米国特許3,472,931号、第3,527,864号、第3,896,238号、第3,903,256号、第3,952,099号、第4,046,886号、第4,130,643号、第4,130,667号、第4,299,826号、第4,335,115号、第4,343,798号、第4,379,454号、第4,405,616号、第4,568,343号、第4,746,515号、第4,764,379号、第4,788,062号、第4,820,720号、第4,863,738号、第4,863,970号、第4,865,848号、第4,900,555号、第4,940,586号、第4,973,468号、第5,053,227号、第5,059,426号、第5,378,730号およびWO 95/01167(それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているとおり、この用途のための種々の物質が示唆されている。Williamsら "Skin Absorption Enhancers" Critical Review in Therapeutic Drug Carrier Systems, pp. 305-353 (1992) およびSantusら "Transdermal Enhancer Patent Literature", Journal of Controlled Release, pp. 1-20 (1993)も経皮浸透促進剤の総説を記載している。
【0005】
浸透促進剤は、有用とみなされるためには、少なくとも1つ、好ましくはかなりの数の薬物に対する皮膚の浸透性を促進する能力を有するべきである。より重要なことには、それは、妥当なサイズの系(好ましくは5〜60cm2)からの薬物送達速度が治療的に有効なレベルとなるよう皮膚浸透性を促進すべきである。また、皮膚表面に適用する場合の理想的な浸透促進剤は無毒性であり、長期的曝露および閉鎖状態で無刺激性であり、反復曝露に際して非感作性であるべきである。好ましくは、それは無臭で生理的に不活性であり、ヒリヒリもしくはチクチク感または他の刺激感を引き起こすことなく薬物を送達しうるべきである。DMSOは経皮薬物送達のための有効な浸透促進剤または担体として推奨されているが、毒性の心配があるため、それは望ましくない。
【0006】
これらの浸透促進剤-皮膚相互作用の考慮点に加えて、浸透促進剤は、経皮系自体(例えば、接着剤により皮膚に接着するパッチ)における考えられうる相互作用に関しても評価されるべきである。例えば、浸透促進剤は、送達すべき薬物、パッチ接着剤、および薬物を皮膚へ分配させる高分子マトリックスまたは他のレザバーに適合性であるべきである。また、浸透促進剤は、接着剤の粘り気、接着性および接着強度の間の適当なバランスをもたらすよう又はせいぜいそれを不適切に妨げないよう選ばれるべきである。
【0007】
浸透促進剤と共に共存溶媒を使用することも開示されている。そのような共存溶媒は単独では経皮フラックスを明らかには促進し得ないが、他の浸透促進剤と共に使用した場合には薬物の経皮フラックスを促進するよう相乗的に作用しうる。1つの仮説として、これらの共存溶媒が皮膚表面の浸透促進剤の利用能を増強して薬物のフラックスを促進するように作用するということが挙げられる。
【0008】
例えば、WO 95/09006は、乳酸エステル共存溶媒、例えば乳酸ラウリル、乳酸エチル、乳酸セチルおよび乳酸ミリスチルとモノグリセリドとの併用を開示している。しかし、これらの乳酸エステルは皮膚に刺激性でありうる。WO 96/40259は、例えばグリセロールモノラウラートのようなモノグリセリド浸透促進剤のための共存溶媒としての酢酸ラウリルの使用を開示している。この組合せは、他のモノグリセリド/共存溶媒の組合せと比べて促進されたフラックスをもたらし、高い純度で入手可能である。しかし、乳酸ラウリルは製造上の観点からは望ましくない共存溶媒であることが見出されている。経皮送達系の製造中に、望ましくない量の酢酸ラウリルが、その高い蒸気圧のせいで蒸発して、該系内には不十分な量の酢酸ラウリルしか残らないことが判明している。
【0009】
したがって、これらの進歩にもかかわらず、皮膚刺激に関連した問題、ならびにモノグリセリドのための種々の共存溶媒を含むフィルムの加工および製造に関連した、最近になって見出された問題のために、代替的な浸透促進製剤が依然として必要とされている。
【0010】
また、米国特許第5,312,122号は、合成プロゲストーゲンのための浸透促進混合物としての、モノグリセリドおよび脂肪酸エステルの単独での又は組合された使用を開示している。米国特許第5,026,556号は、C3-C4 ジオール、C3-C6 トリオールおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれる極性溶媒物質ならびに脂肪アルコールエステル、脂肪酸エステルおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれる極性脂質物質を含む担体中に或る量のブプレノルフィンを含む、ブプレノルフィンの経皮送達のための組成物を開示している。適当な極性脂質物質として、パルミチン酸エチルが開示されている。
【0011】
米国特許第5,352,456号は、薬物の初期パルスおよびそれに続いて実質的にそれより低い連続的速度で薬物を供給する経皮送達デバイスを開示している。該デバイスは、揮発性浸透促進剤および担体に溶解した薬物を含む薬物レザバーを含む。該揮発性浸透促進剤は裏面層からの蒸発によりレザバーから枯渇して、薬物送達速度の低下が生じる。該揮発性浸透促進剤は、25℃で約10mmHgを超える蒸気圧を有すると記載されている。
【0012】
米国特許第5,149,538号は、飽和および不飽和脂肪アルコール、脂肪アルコールエステルまたは脂肪酸(8〜18個の炭素原子を有するもの)を含む好ましい浸透促進剤を使用するオピオイドの経皮送達を開示している。米国特許第5,650,165号は、アクリル酸共ポリマー、12〜16個の炭素原子を有する高級脂肪酸および1〜4個の炭素原子を有する低級一価アルコールを含む脂肪酸エステルならびに8〜10個の炭素原子を有する高級脂肪酸を含むモノグリセリドを含む経皮吸収製剤を開示している。米国特許第5,747,069号は、モノグリセリドおよび脂肪酸を含む浸透促進剤と薬物とを含有する経皮吸収性製剤を開示している。上記で参照した特許の開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
【0013】
上記を考慮すると、経皮薬物送達のための新規の改良された系が必要とされていることは明らかである。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
本発明は、ギルソナイト(Gilsonite)油および生物活性物質を含んでなる、該生物活性物質の経皮送達の局所適用のための医薬製剤を提供する。該生物活性物質はギルソナイト油の成分または該油に添加された物質である。また、該生物活性物質の経皮送達のためのギルソナイト油の経皮的有効量を含む組成物の局所投与を含んでなる、浸透の促進された該生物活性物質の経皮投与方法も提供する。本明細書中で用いる「ギルソナイト油」は、ユインター石物質に由来する油のタイプを意味し、American Gilsonite Company, San Francisco, Californiaから入手可能である。ギルソナイト油は、種々の物理的特性(例えば、粘度)を有する種々の等級で入手可能である。この開示の教示に従えば、本発明の有効な経皮送達系をもたらす、所望の生物活性物質および他の成分を含有する製剤のための適当なギルソナイト油が選択されうる。本発明においては、種々の特性のギルソナイト油を混合物として使用することが可能であるが、本明細書中の開示は、本発明を教示し例示するために各製剤中の単一のギルソナイト油の使用に関して記載されている。
【0015】
組成物の態様の1つにおいて、本発明は、生物活性物質とギルソナイト油とを含んでなり、該生物活性物質が該ギルソナイト油の成分または該油に添加された物質である、局所または経皮投与のための組成物を提供する。好ましくは、該組成物は更に、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、抗刺激剤および追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる1以上の製薬上許容される添加剤を所望により含有していてもよい製薬上許容される担体、例えば通常の油、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、接着剤、ポリマー、ベーストまたはスプレーを含む。該生物活性物質成分は、意図される用途のための有効量、好ましくは少なくとも約0.01重量%、好ましくは約0.1%〜約50%で存在し、該生物活性物質がギルソナイト油の成分である場合のギルソナイト油のその他の部分は好ましくは、少なくとも約0.01重量%、好ましくは約0.1%〜約50%で存在する。いくつかの製剤においては、ギルソナイト油成分は主要比率成分として(場合によっては更には該生物活性物質以外の唯一の成分として)存在することが可能であり、したがって、浸透促進剤と担体または希釈剤との両方の役割を担いうる。
【0016】
ギルソナイト油自体は皮膚および爪の障害の治療のための治療剤として有用である。そのような組成物は当業者により製造され、例えばローションまたは軟膏などとして局所投与されうる。
【0017】
もう1つの組成物態様において、本発明は、ギルソナイト油と、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、抗刺激剤および追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる1以上の製薬上許容される添加剤を所望により含有していてもよい製薬上許容される担体、例えば通常の油、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、接着剤、ポリマー、ベーストまたはスプレーとを含んでなる浸透促進系を提供する。該担体成分は少なくとも約0.1重量%、好ましくは約1%〜約80%、より好ましくは約2%〜約50%で存在し、ギルソナイト油成分は少なくとも約0.1重量%、好ましくは約1%〜約80%、より好ましくは約2%〜約50%で存在する。ギルソナイト油と製薬上許容される担体とのこの組成物は、所望の生物活性物質と共に製剤化されうる本発明の基剤物質となる。
【0018】
更にもう1つの組成物態様において、本発明は、ギルソナイト油と生物活性物質とを含んでなる、浸透が促進された局所または経皮投与用組成物であって、該生物活性物質がギルソナイト油の成分または該油に添加された物質であり、ギルソナイト油と、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、抗刺激剤および追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる1以上の製薬上許容される添加剤を所望により含有していてもよい製薬上許容される担体(例えば、通常の油、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、接着剤、ポリマー、ベーストまたはスプレー)とを含む浸透促進系と共に製剤化されている、組成物を提供する。該ギルソナイト油-生物活性物質成分および該ギルソナイト油-担体成分はそれぞれ、前記のとおりに製剤化することが可能であり、ついでこれらの2つの成分を約1:100〜約100:1、好ましくは約10:90〜約90:10、より好ましくは約20:80〜約80:20の重量比で混合または製剤化することが可能である。
【0019】
方法態様の1つにおいて、本発明は、ヒトまたは他の動物の皮膚または爪を介した生物活性物質の浸透を促進するための方法であって、本明細書に記載されている、ギルソナイト油を含有する浸透促進系と生物活性物質とを含む組成物を、該動物の皮膚または爪に適用することを含んでなる方法を提供する。同様に、本発明は、本明細書に記載されている、ギルソナイト油を含有する浸透促進系と生物活性物質とを含む組成物を、植物部分の表面または切断開口部に適用することを含んでなる、植物系内への生物活性物質の浸透を促進するための方法を提供する。
【0020】
もう1つの方法態様において、本発明は、本明細書に記載されている、ギルソナイト油と生物活性物質とを含む組成物を、動物の皮膚または爪に投与することにより、生物活性物質を経皮的に送達するための方法、および本明細書に記載されている、ギルソナイト油と生物活性物質とを含む組成物を、植物部分の表面または切断開口部に適用することにより、植物系内に生物活性物質を送達するための方法を提供する。本発明のこの態様の送達方法は、該組成物の直接適用、アプリケーターデバイスからの適用、アプリケーターデバイスからの時間放出(time release)適用、および本明細書の開示に従い適合化される他の方法を含む。
【0021】
もう1つの方法態様において、本発明は、生物活性物質とギルソナイト油とを、本明細書に記載されている、所望の用途のための組成物を得るのに有効な比で混合することを含んでなる、生物活性物質の送達用組成物の製造方法を提供する。所望により、追加的な浸透促進添加剤、または他の製薬上許容される添加剤(例えば、前記のもの)を、本明細書に記載の成分または組成物と混合することも可能である。
【0022】
もう1つの態様において、本発明は、動物の皮膚もしくは爪または植物部分上に配置するために或いは該組成物を送達するために適合化された、ギルソナイト油と生物活性物質とを含む組成物を含有するアプリケーターデバイス(例えば、パッチ、ストリップまたは容器)を含んでなるデバイスを提供する。
【0023】
本発明のもう1つの態様は、動物の皮膚もしくは爪または植物部分上に配置するために適合化されたアプリケーターデバイスを準備し、本明細書に開示されている、ギルソナイト油と生物活性物質とを含む組成物を該アプリケーターデバイス内に含有させることを含んでなる、生物活性物質の投与のためのデバイスの製造方法を提供する。
【0024】
詳細な説明
本発明においては、薬物の経皮送達を有効に達成し及び/又は体表面(特に、皮膚および手指の爪および足指の爪)を介する薬物の浸透性を促進するために種々のギルソナイト油を使用することが可能である。まず、本明細書中で用いる以下の用語は以下の意義を有するものとする。
【0025】
「局所投与」なる語は、皮膚の外部表面または粘膜(鼻、肺および口の表面膜を含む)へ医薬物質を適用して該物質を皮膚の外部表面または粘膜を介して下層組織へ進入させることを意味する。局所投与は、無傷の皮膚もしくは粘膜への、または破壊された、むけた若しくは開いた創傷の皮膚もしくは粘膜への組成物の適用を含む。医薬物質の局所投与は、皮膚および周辺組織への該物質の、限定された分布をもたらすことが可能であり、該物質が血流により治療領域から除去された場合には、該物質の全身分布をもたらしうる。好ましい局所投与形態においては、該医薬物質は経皮送達により送達される。
【0026】
「経皮送達」なる語は、組成物の局所投与または他の適用から生じる、皮膚のバリヤー(障壁)を越える物質の拡散を意味する。角質層はバリヤーとして働き、無傷皮膚にはほとんどの医薬物質は浸透し得ない。これとは対照的に、表皮および真皮は多数の溶質に対して浸透性であり、したがって、擦り剥いたり又は角質層が剥がれて表皮が露出した皮膚からは薬物の吸収がより容易に生じる。経皮送達は、皮膚または粘膜の任意の部分を介した注射または他の送達、およびその他の部分を介した吸収または浸透を含む。無傷皮膚を介した吸収は、皮膚への適用前に製薬上許容される適当なビヒクル中に該活性物質を配置することにより促進されうる。受動局所投与は、柔軟剤または浸透促進剤と組合された活性物質を直接的に治療部位へ適用することよりなりうる。本明細書中で用いる経皮送達なる語は手指および足指の表面を介した浸透による送達を含むと意図される。
【0027】
「経粘膜送達」なる語は、粘膜のバリヤーを超える、物質の拡散を意味する。上皮はバリヤーとして働き、多数の医薬物質は無傷粘膜を浸透し得ない。無傷粘膜を介した吸収は、粘膜への適用の前にビヒクル中に該活性物質を配置することにより促進されうる。受動局所投与は、浸透促進剤と組合された活性物質を直接的に治療部位へ適用することよりなりうる。
【0028】
「促進」、「浸透促進」または「透過促進」なる語は、薬物が皮膚を介して浸透する速度が増加するよう、薬物に対する皮膚の浸透性が促進することを意味する。そのような促進剤の使用によりもたらされる浸透性の促進は、例えば、拡散セル装置を使用して動物またはヒトの皮膚を介した薬物の拡散の速度を測定することにより観察されうる。拡散セルはMerrittら, Diffusion Apparatus for Skin Penetration, J. of Controlled Release, 1 (1984) pp. 161-162に記載されている。
【0029】
「浸透促進剤」または「透過促進剤」なる語は、単独で又は組合されて、薬物に対する皮膚の浸透性を促進するよう作用する物質または物質の混合物を意味する。
【0030】
「薬物」、「生物活性物質」または「医薬物質」なる語は、所望の生物学的、薬理学的または栄養学的効果をもたらす、経皮投与に適した任意の化学物質、化合物または組成物を意味する。「薬物」、「生物活性物質」または「医薬物質」なる語は2以上の生物活性物質の混合物をも含むと意図される。
【0031】
「マトリックス」なる語は、該促進剤が均一に溶解または懸濁され他の成分を含有していてもよい生体適合性感圧接着剤中に均一に又は勾配的に一緒にされた組成物を意味する。マトリックス系は、通常、不浸透性フィルム裏打ち層と、経皮適用前に除去される、該フィルム裏打ち層の反対側の該接着剤の表面上の剥離ライナーとを有する閉鎖接着性パッチである。したがって、マトリックス系は接着性担体中の薬物組成物の単位投与形であり、該促進剤、および皮膚、皮または爪との薬物導入関係における該接着剤中の該薬物組成物の維持のために配合される他の成分をも含有する。特に断りがない限り、非閉鎖性裏打ち層を有する接着性パッチもこの定義の範囲内であるとみなされる。「レザバー」、「レザバーパッチ」または「レザバー系」なる語は、不浸透性背面と、経皮投与のための浸透膜および接着剤と共に適切に配置された反対面とを有する閉鎖デバイス内に含有される制御された粘度の流体中の医薬組成物を意味する。したがって、レザバー系は、制御された粘度の流体担体中の薬物組成物の単位投与形であり、該促進剤、および皮膚または皮との薬物導入関係における該担体中の該薬物組成物の維持のために閉鎖性デバイス内に配合される他の成分をも含有する。
【0032】
「制御された粘度の流体」なる語は、該医薬製剤が単一または相分離流体状態で含有される担体を意味する。該流体自体が溶媒として働きうるが、溶媒または共存溶媒を加えることも可能である。そのような流体は水または有機物に基づくものであることが可能であり、適切にゲル化または濃厚化された液体または溶媒の混合物を含有しうる。言い換えれば、そのような流体は、限定的なものではないが溶液、懸濁剤、エマルション、ゲル、軟膏、クリーム、ベースト、または浸透物および促進剤の外側拡散を可能にする任意の他の同様の状態、ならびに場合によっては、必要に応じて、溶媒または他の添加剤を含みうる。
【0033】
薬物または浸透剤の「有効」量は、所望の局所または全身効果をもたらすのに十分な生物活性物質の量を意味する。本明細書中で用いる浸透促進剤の「有効」量は、経皮浸透性における所望の促進ならびにそれに相応した所望の浸透深度、投与速度および薬物量をもたらすように選ばれる量を意味する。「治療的有効」量または速度は、所望の治療効果を得るのに必要な薬物の量または速度を意味する。
【0034】
「薬物送達系(ドラッグデリバリーシステム)」、「薬物促進性組成物」なる語または任意の同様の用語は、そのような「製薬上許容される担体」または「製薬上許容されるビヒクル」、浸透促進剤、賦形剤または任意の他の添加剤と共に経皮送達すべき薬物を含有する製剤化組成物を意味する。
【0035】
「製薬上許容される担体またはビヒクル」なる語は、本明細書中に定義されているとおりの生物活性物質の有効量の適当な送達をもたらし該生物活性物質の生物活性の有効性を妨げず宿主または患者に十分に無毒性である任意の製剤化または担体媒体を意味する。当業者は本発明の組成物を適当な方法で及び受け入れられている慣例(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Gennaro編, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 19th ed., 1995に開示されているもの)に従い製剤化することが可能である。
【0036】
「製薬上許容される添加剤」なる語は、製剤の分野において公知であり又は使用されており該生物活性物質の生物活性の有効性を不当に妨げず宿主または患者に十分に無毒性である保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素および賦形剤を意味する。
【0037】
「賦形剤」なる語は通常は、所望の用途に有効な薬物組成物の製剤化に使用される担体、希釈剤および/またはビヒクルを意味することが公知である。
【0038】
製造および製剤化
本発明の実施を例示するために本明細書に記載されている実施例において使用する、本明細書中で言及されている特定のギルソナイト油は、ギルソナイト油1、2、A、B、C、X、YおよびQとして示されており、American Gilsonite Corporation, San Francisco, Californiaから入手可能な物質である。各油は色および粘度のような特有の物理的特性を有する。ギルソナイト油は、種々の物理的特性を有する種々の個々のギルソナイト油製品を製造する独占排他的方法によりAmerican Gilsonite Corporationにより製造される。入手可能なギルソナイト油は、本明細書中の教示および開示に従い製剤分野の当業者により本発明における使用のために選択されうる。一般に、本発明の使用に望ましいギルソナイト油は通常、約5〜約5000cps(25℃)、好ましくは約5〜約1000cps、より好ましくは約5〜約100cpsの範囲の粘度を有する。ギルソナイト油の比重は通常、1.0未満であり、ほとんどは約0.8〜約0.95の範囲である。勿論、所望の用途および機能のための所望の最終医薬製剤の特性が、各製剤のためにどの油を選択するかを決定するであろう。所望の浸透および輸送特性に関して選択されたギルソナイト油はローション、クリーム、ゲルまたは接着剤組成物に製剤化されることが可能であり、あるいはそれらは、皮膚または爪への適用のための非常に低い粘度の組成物を得るために溶媒または浸透促進剤を含有する液体または噴霧組成物に製剤化されうる。
【0039】
上記のとおり、ギルソナイト油は、その単離または精製を可能にする或る範囲の物理的特性を有する。そのような特性は油の組成、特に個々の成分およびそれぞれの組成率により決定される。それらの種々の油は典型的には以下の個々の成分または化合物の1以上を含む:6,10-ジメチル-2-ウンデカノン、2,6-ジメチル-2,5-ヘプタジエン-4-オン、2-ブチル-1,1,3-トリメチルシクロヘキサン、2,6,10,14-テトラメチルヘキサデカン、1,6,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-4-オキソ4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチルエステル、2-ヒドロキシ-4,6-ジメチルピリミジン、トランスピナン、ジヒドロエデュラン(dihydroedulan)、1-ペンチル-2-プロピルシクロペンタン、2,3,4-トリメチル 2-シクロペンテン-1-オン、およびN-ホルミル-2-フェニルピペリジン。
【0040】
好ましくは及び簡便には、皮膚または爪に適用される本発明のギルソナイト油組成物は、生理的に許容される担体および/または生物活性物質(ギルソナイト油および該薬物の両方を含むもの)を使用して製剤化される。しかし、該薬物が該油の成分でない場合には、薬剤の適用の前にギルソナイト油自体を前処理剤として適用することが可能であり、ついでそれは、皮膚または爪を介した輸送のために製剤化された薬物を吸収する。そのような場合、有効な薬物輸送のためには、該薬剤適用の上にギルソナイト油の第2の適用が望まれるかもしれない。そのような方法においては、該前処理を省略することが可能であり、まず、該薬剤を適用し、ついでギルソナイト油または油製剤を皮膚または爪に適用する。しかし、そのようなin situ製剤化または多工程適用は、患者にとって不便であり複雑なものとなるため、好ましくない。本発明の組成物を一工程適用のために製剤化することが好ましい。該製剤が担体を含む場合には、その担体は通常の局所製剤基剤(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995)に記載されているもの)のいずれかを含みうる。油、ローション、水剤(溶液)、クリーム、ゲル、軟膏、ポリマー、接着剤、ベースト、エアゾール剤、坐剤および噴霧製剤が本発明の局所製剤の代表例である。本発明において使用する適当な局所担体の具体例には、水、アルコールおよび他の無毒性有機溶媒、グリセリン、鉱油、シリコーン、ワセリン、ラノリン、脂肪酸、植物油、パラベン、ロウなどが含まれる。本発明において特に好ましい製剤は軟膏、ローション、クリーム、接着剤およびゲルである。
【0041】
さらに、ギルソナイト油が担体として機能することが意図される。そのような製剤の一例は、ギルソナイト油と生物活性物質とを含む、該物質が該油の成分であるか又は該油に添加された物質である、組成物である。該組成物は、好ましくは、局所または経皮適用用に製剤化されるが、例えば経口または静脈内経路のような他の投与経路も可能である。ギルソナイト油を担体として使用する製剤中には、所望により、本明細書に記載の他の製薬上許容される添加剤が含まれうる。
【0042】
局所製剤用の他の添加剤は当技術分野でよく知られており、それらが製薬上許容されるものであり上皮細胞またはその機能を損なわない限り、局所組成物に添加されうる。さらに、それらはギルソナイト油の上皮浸透効率に悪影響を及ぼすものであるべきではなく、該組成物の安定性を損なうものであるべきではない。例えば、当技術分野で公知の不活性充填剤、抗刺激剤、粘着付与剤、賦形剤、芳香剤、不透明剤、抗酸化剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、柔軟剤、着色剤、保存剤、緩衝剤、他の浸透促進剤および経皮送達デバイスのその他の通常の成分が挙げられる。
【0043】
他の浸透促進化合物は当技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第4,424,210号および第4,316,893号(それらの開示を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているものが挙げられる。好ましい浸透促進化合物には、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン(AZONE.RTM.)(Stoughton, Arch. Dermatol., 1982, 118)、DMSO、プロピレングリコール、オレイルアルコールおよびメチルピロリジンが含まれる。これらの追加的な浸透促進化合物は、所望により、局所組成物の約0.1〜約10重量%、好ましくは約1.0%〜約5.0重量%の通常の範囲で本発明の組成物中で使用されうる。
【0044】
本発明の製剤は身体に局所投与され、具体的な治療に使用するために適合化される。例えば、疼痛を治療するためには、鎮痛剤、ギルソナイト油および適当な担体を含む製剤が好ましい。もう1つの例においては、手指の爪または足指の爪の疾患(例えば、真菌感染および脆化)を治療するために、生物活性物質(例えば、該油の抗真菌または生物活性成分)、ギルソナイト油および適当な担体を爪を介して又は爪の下の皮膚を介して輸送するための製剤を製造する。さらに、個体の皮膚に関連した或る問題(例えば、皮膚の乾燥または剥がれ)を治療するための製剤を製造することが可能である。
【0045】
多数の爪障害が本発明の製剤で治療されうる。そのような障害には、爪を冒す感染症、皮膚科学的状態に関連した爪障害、後天性爪障害、爪周囲および爪下腫瘍、爪に対する外科的処置を要する状態、ならびに全身性医学的状態に関連した爪障害が含まれるが、これらに限定されるものではない。爪を冒しうる感染症としては、爪真菌症(皮膚糸状菌、カンジダまたは他の真菌によるもの)、爪周囲炎、ある細菌感染症(例えば、pseudomonas aeruginosaまたは他の細菌によるもの)、ウイルス感染症(例えば、爪周囲または爪下疣贅)およびHIV感染が挙げられる。皮膚科学的状態に関連した爪障害には、乾癬、円形脱毛症/粗ぞう化爪、湿疹、扁平苔せん、接触皮膚炎、12-爪ジストロフィーおよび毛孔性紅色ひこう疹が含まれる。爪周囲および爪下腫瘍は、表層性基底細胞癌およびボウエン病(すなわち、表層性扁平上皮癌)を包含する。爪の外科的処置には、爪の摘出および爪の生検が含まれる。爪障害は、しばしば、限定的なものではないが結合組織疾患、腎疾患および化学療法を含む種々の全身性医学的状態に関連している。
【0046】
爪の疾患には、脆化、脆弱化、分裂、隆起形成、痘痕、爪の肥厚化(すなわち、爪鉤湾症および爪肥厚症)、爪の光沢の喪失、異常爪成長および爪変色が含まれる。そのような疾患を治療するために、生物活性物質がギルソナイト油の成分であるギルソナイト油製剤を使用することが可能である。例えば、脆化した爪または脆弱化した爪を有する患者の場合の爪の強度を少なくとも10、20、30、40または更には50%増強することが可能であり、肥厚化した爪を有する患者では、少なくとも10、20、30、40または50%の爪の厚さにおける減少が認められうる。爪の光沢の喪失が問題である場合には、光沢を少なくとも10、20、30または50%増強することが可能である。爪の成長が異常に遅い患者における爪成長速度を少なくとも10、20、30、40または50%増加させることが可能である。
【0047】
爪の疾患の場合と同様に、典型的には皮膚の問題も、生物活性物質がギルソナイト油の成分であるギルソナイト油製剤で治療される。例えば、該製剤の適用により皮膚の乾燥を相当に軽減することが可能であり、爪の剥がれを軽減または消失させることが可能である。
【0048】
前記の爪障害を治療するためには、種々の生物活性物質を使用することが可能である。爪真菌症は典型的には抗真菌剤、尿素または角質溶解剤で治療される。抗真菌剤には、アリルアミン(例えば、ナフチフィン(naftifine)およびテルビナフィン(terbinafine))、アゾール(例えば、ビフォナゾール(bifonazole)、クロトリマゾール(clotrimazole)、エコナゾール(econazole)、フルコナゾール(fluconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ミコナゾール(miconazole)、オキシコナゾール(oxiconazole)、スルコナゾール(sulconazole)、チオコナゾール(tioconazole)およびボリコナゾール(voriconazole))、安息香酸、ベンジルアミン(例えば、ブテナフィン(butenafine))、シクロプロックス(cicloprox)オラミン(olamine)、ポリエン(例えば、ナイスタイン(nystatin))、チオカルバマート(例えば、トルシクレート(tolciclate)およびトルナフテート(tolnaftate))およびウンデシレン酸が含まれ、サリチル酸は角質溶解剤の一例である。
【0049】
爪乾癬は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、ビタミンD誘導体、レチノイド、5-フルオロウラシル(すなわち、5-FU)、UVA光と組合された局所用ソラレン、角質溶解剤または尿素で治療されうる。コルチコステロイドには、クロベタゾールプロプリオナート(clobetasol proprionate)、ハロベタゾールプロプリオナート(halobetasol proprionate)、ベタメタゾン(betamethasone)、ジプロプリオナート、二酢酸ジフロラソン(diflorasone diacetate)、アムシノジド(amcinonide)、モメタゾンフオラート(mometasone fuorate)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、フルシノロンアセトニド(flucinolone acetonide)、吉草酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone valerate)、フルランドレノリド(flurandrenolide)、酪酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone butyrate)、二プロピオン酸アクロメタゾン(aclometasone dipropionate)デソニド(desonide)、吉草酸ベタメタゾン(betamethasone valerate)、酢酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone acetate)およびヒドロコルチゾン(hydrocortisone)が含まれる。シクロスポリン(cyclosporine)、ピメクロリムス(pimecrolimus)およびタクロリムス(tacrolimus)は免疫抑制剤の一例である。ビタミンD誘導体には、カルシポトリオール(calcipotriol)が含まれる。レチノイドの具体例としては、トレチノイン(tretinoin)およびタザロテン(tazarotene)が挙げられる。角質溶解剤には、サリチル酸およびα-ヒドロキシ酸が含まれる。
【0050】
爪周囲炎および他の感染症は、感染の性質に応じて、抗真菌剤、好ましくはアゾール抗真菌剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤またはスルファセタミドナトリウム(sodium sulfacetamide)で治療される。爪周囲および爪下疣贅に対する潜在的治療剤としては、イミクイモッド(imiquimod)、角質溶解剤、ブレオマイシンまたは5-FUが挙げられる。円形脱毛症および扁平苔せんを治療するために使用される物質には、コルチコステロイド、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン(cyclosporine)、ピメクロリムス(pimecrolimus)およびタクリルムス(tacrilumus))、レチノイド(例えば、トレチノイン(tretinoin)およびタザロテン(tazarotene))およびイミクイモッド(imiquimod)が含まれる。炎症状態、例えば湿疹および接触皮膚炎は、通常、コルチコステロイドまたは局所用免疫抑制剤で治療される。爪に対する外科的処置は典型的には、麻酔剤、例えばキシロカイン(xylocaine)、リドカイン(lidocaine)およびテトラカイン(tetracaine)の使用を要する。爪周囲および爪下腫瘍はイミクイモッド(imiquimod)または5-FUで治療されうる。細菌感染症、黄色爪症候群および爪鉤湾症は、それぞれ、スルファセタミドナトリウム(sodium sulfacetamide)、コルチコステロイドおよびTIMSで治療される。
【0051】
軟膏は半固体製剤であり、典型的には、ペトロラタムまたは他の石油誘導体をベースとするものである。当業者に理解されるとおり、使用する具体的な軟膏基剤は、与えられた製剤に関して選ばれる生物活性物質の最適な送達をもたらすものであり、好ましくは、他の所望の特性、例えば柔軟性などをももたらすものである。他の担体またはビヒクルの場合と同様に、軟膏基剤は不活性で安定で無刺激性で非感作性であるべきである。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995) p. 1399-1404において説明されているとおり、軟膏基剤は以下の4つのクラスに分類されうる:油脂性基剤、乳化性基剤、エマルション基剤および水溶性基剤。油脂性軟膏基剤には、例えば植物油、動物から得られる脂肪、および石油から得られる半固体炭化水素が含まれる。乳化性軟膏基剤は吸収性軟膏基剤としても公知であり、水をほとんど又は全く含有せず、例えばヒドロキシステアリンスルファート、無水ラノリンおよび親水性ペトロラタムを含む。エマルション軟膏基剤は油中水(W/O)エマルションまたは水中油(O/W)エマルションのいずれかであり、例えばセチルアルコール、グリセリルモノステアラート、ラノリンおよびステアリン酸を含む。好ましい水溶性軟膏基剤は種々の分子量のポリエチレングリコールから製造され、この場合も更に詳しくはRemington: The Science and Practice of Pharmacy(前掲)が参照されうる。
【0052】
ローションは、摩擦を伴わずに皮膚表面に適用される製剤であり、典型的には、生物活性物質を含む固体粒子が水またはアルコール基剤中に存在する液体または半液体製剤である。ローションは通常、固体の懸濁剤であり、好ましくは、本目的においては、水中油型の液体油性エマルションを含む。一般には、ローション中の不溶性物質を細かく分裂させることが必要である。ローションは典型的には、より良好な分散をもたらすための懸濁化剤、および該活性物質を局在化させ皮膚に接触した状態で維持させるのに有用な化合物(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)を含有する。
【0053】
本発明の方法による送達のための生物活性物質を含有するクリームは粘性液体または半固体エマルション(水中油型または油中水型のいずれか)である。クリーム基剤は水で洗浄可能であり、油相、乳化剤および水相を含有する。該油相は「内」相と呼ばれることもあり、一般には、ペトロラタムおよび脂肪アルコール、例えばセチルまたはステアリルアルコールから構成され、該水相は通常、体積において油相よりも多く(必ずしもそうでないといけないわけではない)、一般には保湿剤を含有する。Remington: The Science and Practice of Pharmacy(前掲)において説明されているとおり、クリーム中の乳化剤は一般にはノニオン、アニオン、カチオンまたは両性界面活性剤である。
【0054】
本発明においてはゲル製剤も使用されうる。局所薬剤の分野の当業者に理解されるとおり、ゲルは半固体の懸濁型の系である。単相ゲルは、典型的には水性である担体液全体にわたり実質的に均一に分布した有機高分子を含有するが、好ましくは、アルコールおよび場合によっては油をも含有する。
【0055】
本発明の有用な製剤はスプレーをも包含する。スプレーは一般には、生物活性物質を水性および/またはアルコール性溶液中に含有し、それは、送達のために皮膚上に噴霧されうる。そのようなスプレーには、送達後の投与部位における生物活性物質溶液の濃縮をもたらすために製剤化されたものが含まれる。例えば、該噴霧溶液は主として、アルコール、または該薬物もしくは生物活性物質が溶解しうる他の同様の揮発性液体から構成されうる。皮膚への送達と同時に、該担体は蒸発し、濃縮された生物活性物質が投与部位に残される。
【0056】
本発明の医薬組成物は、局所または経皮投与に適合化される例えばパッチ、ストリップおよび容器のようなデバイスにおいても有用である。経皮薬物送達(TDD)パッチは、治療的有効量の薬物が患者の皮膚を介して送達されるよう設計される。経皮パッチは典型的には、薬物を含有する液体、ゲル、固体マトリックスまたは感圧接着剤担体を含む。最初のTDD系は、薬物放出速度を制御するために膜を使用するレザバー型デバイスであった。現在、薬物は、より一般的には、感圧接着剤(PSA)マトリックスに分散または溶解される。パッチ製剤および調製物は当技術分野でよく知られている。例えば、"Dermatological and Transdermal Formulations" (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 119) Kenneth A. Walters (編), Marcel Dekkerならびに"Transdermal Drug Delivery" (Drugs & the Pharmaceutical Sciences) Richard H. Guy (編), Jonathan Hadgraft (編) 2nd Rev& ex edition Marcel Dekkerならびに"Mechanisms of Transdermal Drug Delivery" (Drugs & the Pharmaceutical Sciences, Vol 83), Russell O. PottsおよびRichard H. Guy編 (1997)を参照されたい。
【0057】
本発明の医薬製剤は、例えば、皮膚に貼付される薬物送達デバイスとして働く積層(ラミネート)構造体内に薬物組成物および浸透促進剤が含有されているパッチとして提供されうる。そのような構造体においては、該医薬組成物は送達手段、すなわち「レザバー」内に含有され、これは上部裏打ち層の下に位置する。該積層構造体は単一のレザバーを含有することが可能であり、あるいはそれは複数のレザバーを含有しうる。パッチ、すなわち、薬物の経皮送達のための閉鎖性接着性デバイスは、米国特許第4,849,224号、第4,983,395号、第5,152,997号および第5,302,395号にも教示されている。そのようなデバイスは一般には、皮膚表面に接着するためのパッチであり、マトリックスまたはレザバー形態でありうる。そのようなパッチは閉鎖性裏打ち層を含有していてもよい。
【0058】
本発明での使用に適した送達デバイスは、当技術分野で公知の通常の技術を用いて、例えば、接着剤、生物活性物質および担体/ビヒクルの流体混合物を裏打ち層上に成型し次いで剥離ライナーを積層させることにより製造されうる。同様に、該接着剤混合物を剥離ライナー上に成型し、ついで裏打ち層を積層させることが可能である。あるいは、レザバーを医薬製剤または賦形剤の非存在下に製造し、ついで薬物/ビヒクル混合物中に「浸漬」することにより充填を行うことが可能である。
【0059】
該送達デバイスの上部表面として機能する該パッチの積層(ラミネート)内の裏打ち層は積層構造体の主要構造要素として機能し、個々の用途に要求される柔軟性または剛性をデバイスに付与する。該デバイスの上部表面からの成分の喪失を防ぎ、レザバー内の組成物の脱水を妨げるために、裏打ち材として選択する材料は、それが該医薬製剤に対して実質的に不浸透性となるよう選択すべきである。該裏打ち層は、薬物送達中に皮膚が水和されるのが望ましいかどうかに応じて、閉鎖性または非閉鎖性でありうる。好ましくは、該裏打ち層は、好ましくは柔軟な弾性材のシートまたはフィルムから構成される。裏打ち層に適したポリマーの具体例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどが含まれる。
【0060】
貯蔵中および使用前には、該パッチは剥離ライナーを含む。使用直前に、この層を該デバイスから除去して、レザバー自体または独立した接触接着層でありうる該デバイスの皮膚接触面を露出させて、該系が皮膚に貼付されうるようにする。該剥離ライナーは、好ましくは、製剤中の薬物および他の成分に対して実質的に不浸透性である材料、例えばポリエチレンおよびシリコーンから構成される。これらのライナーは当技術分野でよく知られており、例えば3M Drug Delivery Systems (Minnesota)から商業的に入手可能である。
【0061】
パッチにおいて有用な接着剤は当技術分野でよく知られている(例えば、S. VenkatramanおよびR. Gale, "Skin Adhesives and Skin Adhesion, Part I: Transdermal Drug Delivery Systems," Biomaterials 19, 1119-1136 (1998)ならびにG. Auchterら, "Acrylic Adhesives," in Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology, D. Satas編, (Satas & Associates, Warwick, RI, 3d ed., 1999), pp. 444-514を参照されたい)。感圧接着剤は、好ましくは、無刺激性で柔軟で粘着性であり、表面が湿って添加剤を溶解または複合体化する何らかの能力を有し、安定であり(すなわち、貯蔵中または治療時間中に分解しない)、除去の際に残留物を残さない。TDD系に使用される最も一般的な接着剤はアクリル酸のポリマーおよびコポリマー、シリコーンならびにポリイソブチレンである。種々の薬物、賦形剤および個々の製品要件に関する広範な性能を発揮させるために、該アクリル酸を適当な添加剤で修飾することが可能である。感圧接着剤のいくつかの具体例には、限定的なものではないがDuro-Tak (登録商標)87-2196、Duro-Tak(登録商標)87-2097が含まれる。
【0062】
生物活性物質がギルソナイト油の成分でない場合にギルソナイト油またはギルソナイト油混合物と共に使用されうる生物活性物質には、通常は体表面および膜(皮膚および爪表面を含む)を介して送達される広範なクラス内の薬物が含まれる。一般には、これには主要分野のすべてにおける治療薬が含まれ、限定的なものではないが以下のものが含まれる:ACEインヒビター、腺下垂体ホルモン、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、副腎皮質ステロイド、副腎皮質ステロイドの生合成のインヒビター、α-アドレナリン作動性アゴニスト、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性α-2-アドレナリン作動性アゴニスト、鎮痛薬、解熱薬および抗炎症薬、アンドロゲン、局所および全身麻酔薬、抗耽溺薬、抗アンドロゲン、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗癌薬、抗コリン薬、抗コリンエステラーゼ薬、抗凝固薬、抗糖尿病薬、止しゃ薬、抗利尿薬、鎮吐薬、腸管運動促進薬、抗てんかん薬、抗エストロゲン薬、抗真菌薬、抗高血圧薬、抗微生物薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗腫瘍薬、駆虫薬、抗パーキンソン薬、抗血小板薬、抗プロゲスチン、抗甲状腺薬、鎮咳薬、抗ウイルス薬、非定型抗うつ薬、アザスピロデカンジオン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、ベンゾチアジアジド、β-アドレナリン作動性アゴニスト、β-アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性β-1-アドレナリン作動性アンタゴニスト、選択性β-2-アドレナリン作動性アゴニスト、胆汁酸塩、体液の容量および組成に影響を及ぼす物質、ブチロフェノン、石灰化に影響を及ぼす物質、カルシウムチャンネルブロッカー、心血管薬、カテコールアミンおよび交感神経作用薬、コリン作動性アゴニスト、コリンエステラーゼ再活性化物質、皮膚科用薬、ジフェニルブチルピペリジン、利尿薬、麦角アルカロイド、エストロゲン、神経節遮断薬、神経節刺激薬、ヒダントイン、胃酸性の制御および消化性潰瘍の治療のための物質、造血薬、ヒスタミン、ヒスタミンアンタゴニスト、5-ヒドロキシトリプタミンアンタゴニスト、高リポタンパク血症治療薬、催眠薬および鎮静薬、免疫抑制薬、軟下剤、メチルキサンチン、モノアミンオキシダーゼインヒビター、神経筋遮断薬、有機ニトラート、オピオイド鎮痛薬およびアンタゴニスト、膵酵素、フェノチアジン、プロゲスチン、プロスタグランジン、精神医学的障害の治療薬、レチノイド、ナトリウムチャンネルブロッカー、痙攣および急性筋痙攣に対する薬、スクシンイミド、チオキサンチン、血栓溶解薬、甲状腺薬、三環系抗うつ薬、有機化合物の管輸送のインヒビター、子宮運動に影響を及ぼす薬、血管拡張薬、ハーブ抽出物、ビタミンなど。
【0063】
代表的な薬物には、限定的なものではないが例えば以下のものが含まれる:ベプリジル(bepridil)、ジルチアゼム(diltiazem)、フェロジピン(felodipine)、イスラジピン(isradipine)、ニカルジピン(nicardipine)、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、ニトレジピン(nitredipine)、ベラパミル(verapamil)、ドブタミン(dobutamine)、イソプロテレノール(isoproterenol)、カルテロロール(carterolol)、ラベタロール(labetalol)、レボブノロール(levobunolol)、ナドロール(nadolol)、ペンブトロール(penbutolol)、ピンドロール(pindolol)、プロプラノロール(propranolol)、ソタロール(sotalol)、チモロール(timolol)、アセブトロール(acebutolol)、アテノロール(atenolol)、ベタキソロール(betaxolol)、エスモロール(esmolol)、メトプロロール(metoprolol)、アルブテロール(albuterol)、ビトルテロール(bitolterol)、イソエタリン(isoetharine)、メタプロテレノール(metaproterenol)、ピルブテロール(pirbuterol)、リトドリン(ritodrine)、テルブタリン(terbutaline)、アルクロメタゾン(alclometasone)、アルドステロン(aldosterone)、アムシノニド(amcinonide)、二プロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone dipropionate)、ベタメタゾン(betamethasone)、クロベタゾール(clobetasol)、クロコルトロン(clocortolone)、コルチゾール(cortisol)、コルチゾン(cortisone)、コルチコステロン(corticosterone)、デソニド(desonide)、デソキシメタゾン(desoximetasone)、11-デソキシコルチコステロン(11-desoxycorticosterone)、11-デソキシコルチゾール(11-desoxycortisol)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジフロラゾン(diflorasone)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、フルニゾリド(flunisolide)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオロメトロン(fluorometholone)、フルランドレノリド(flurandrenolide)、ハルシノニド(halcinonide)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、メドリゾン(medrysone)、6α-メチルプレドニゾロン(6.alpha.-methylprednisolone)、モメタゾン(mometasone)、パラメタゾン(paramethasone)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、テトラヒドロコルチゾール(tetrahydrocortisol)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン(benzocaine)、ブピバカイン(bupivacaine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コカイン(cocaine)、ジブカイン(dibucaine)、ジクロニン(dyclonine)、エチドカイン(etidocaine)、リドカイン(lidocaine)、メピバカイン(mepivacaine)、プラモキシン(pramoxine)、プリロカイン(prilocaine)、プロカイン(procaine)、プロパラカイン(proparacaine)、テトラカイン(tetracaine)、アルフェンタニル(alfentanil)、クロロホルム(choroform)、クロニジン(clonidine)、シクロプロパン、デスフルラン(desflurane)、ジエチルエーテル、ドロペリドール(droperidol)、エンフルラン(enflurane)、エトミデート(etomidate)、フェンタニル(fentanyl)、ハロタン(halothane)、イソフルラン(isoflurane)、塩酸ケタミン(ketamine hydrochloride)、メペリジン(meperidine)、メトヘキシタール(methohexital)、メトキシフルラン(methoxyflurane)、モルヒネ(morphine)、プロポフォール(propofol)、セボフルラン(sevoflurane)、スフェンタニル(sufentanil)、チアミラール(thiamylal)、チオペンタール(thiopental)、アセトアミノフェン(acetaminophen)、アロプリノール(allopurinol)、アパゾン(apazone)、アスピリン(aspirin)、オーラノフィン(auranofin)、オーロチオグルコース(aurothioglucose)、コルヒチン(colchicine)、ジクロフェナック(diclofenac)、ジフルニザール(diflunisal)、エトドラック(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、金ナトリウムチオマラート(gold sodium thiomalate)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、インスリン、ケトプロフェン(ketoprofen)、メクロフェナメート(meclofenamate)、メフェナム酸(mefenamic acid)、メセラミン(meselamine)、サリチル酸メチル、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ニコチン、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、フェナセチン(phenacetin)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ピロキシカム(piroxicam)、サリシルアミド(salicylamide)、サリシラート(salicylate)、サリチル酸(salicylic acid)、サルサラート(salsalate)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スリンダック(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、アセトフェナジン(acetophenazine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、メソリダジン(mesoridazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオルペラジン(trifluorperazine)、トリフルプロマジン(triflupromazine)、ジソピラミド(disopyramide)、エンカイニド(encainide)、フレカイニド(flecainide)、インデカイニド(indecainide)、メキシレチン(mexiletine)、モリシジン(moricizine)、フェニトイン(phenytoin)、プロカインアミド(procainamide)、プロパフェノン(propafenone)、キニジン(quinidine)、トカイニド(tocainide)、シスアプリド(cisapride)、ドムペリドン(domperidone)、ドロナビノール(dronabinol)、ハロペリドール(haloperidol)、メトクロプラミド(metoclopramide)、ナビロン(nabilone)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、プロメタジン(promethazine)、チエチルペラジン(thiethylperazine)、トリメトベンザミド(trimethobenzamide)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブトルファノール(butorphanol)、コデイン(codeine)、デゾシン(dezocine)、ジフェノキシラート(diphenoxylate)、ドロコード(drocode)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、レバロルファン(levallorphan)、レボルファノール(levorphanol)、ロペラミド(loperamide)、メプタジノール(meptazinol)、メサドン(methadone)、ナルブフィン(nalbuphine)、ナルメフェン(nalmefene)、ノロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、オキシブチニン(oxybutynin)、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ペンタゾシン(pentazocine)、プロポキシフェン(propoxyphene)、二硝酸イソソルビド(isosorbide dinitrate)、ニトログリセリン、テオフィリン(theophylline)、フェニレフリン(phenylephrine)、エフェドリン(ephidrine)、ピロカルピン(pilocarpine)、フロセミド(furosemide)、テトラサイクリン、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、ケトロラック(ketorolac)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、グアナベンズ(guanabenz)、プラゾシン(prazosin)、ドキサゾシン(doxazosin)およびフルフェナム酸(flufenamic acid)。
【0064】
他の代表的な薬物には以下のものが含まれる:ベンゾジアゼピン、例えばアイプラゾラム(aiprazolam)、ブロチゾラム(brotizolam)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロバザム(clobazam)、クロナゼパム(clonazepam)、クロラゼペート(clorazepate)、デモキセパム(demoxepam)、ジアゼパム(diazepam)、フルマゼニル(flumazenil)、フルラゼパム(flurazepam)、ハラゼパム(halazepam)、ロラゼパム(lorazepam)、ミダゾラム(midazolam)、ニトラゼパム(nitrazepam)、ノルダゼパム(nordazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、プラゼパム(prazepam)、クルアゼパム(cluazepam)、テマゼパム(temazepam)、トリアゾラム(triazolam)など;抗ムスカリン薬、例えばアニソトロピン(anisotropine)、アトロピン(atropine)、クリジニウム(clidinium)、シクロペントレート(cyclopentolate)、ジシクロミン(dicyclomine)、フラボキセート(flavoxate)、グリコピロレート(glycopyrrolate)、ヘキソシクリウム(hexocyclium)、ホマトロピン(homatropine)、イプラトロピウム(ipratropium)、イソプロパミド(isopropamide)、メペンゾレート(mepenzolate)、メタンテリン(methantheline)、オキシフェンシクリミン(oxyphencyclimine)、ピレンゼピン(pirenzepine)、プロパンテリン(propantheline)、スコポラミン(scopolamine)、テレンゼピン(telenzepine)、トリジヘキセチル(tridihexethyl)、トロピカミドなど;エストロゲン、例えばクロロトリアニセン(chlorotrianisene)、シエチルスチルベストロール(siethylstilbestrol)、メチルエストラジオール(methyl estradiol)、エストロン(estrone)、エストロン硫酸ナトリウム(estrone sodium sulfate)、エストロピペート(estropipate)、メストラノール(mestranol)、キネストロール(quinestrol)、エクイリン硫酸ナトリウム(sodium equilin sulfate)、17.β-エストラジオール(17.beta.-estradiol)(またはエストラジオール)、半合成エストロゲン誘導体、例えば天然エストロゲンのエステル、例えばエストラジオール-17.β-エナンタート、エストラジオール-17.β-バレラート、エストラジオール-3-ベンゾアート、エストラジオール-17.β-ウンデセノアート、エストラジオール16,17-ヘミスクシナートまたはエストラジオール-17.β-シピオナート、および17-アルキル化エストロゲン、例えばエチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール-3-イソプロピルスルホナートなど;アンドロゲン、例えばダナゾール(danazol)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、メタンドロステノロン(methandrostenolone)、メチルテストステロン(methyltestosterone)、デカン酸ナンドロロン(nandrolone decanoate)、フェンプロピオン酸ナンドロロン(nandrolone phenpropionate)、オキサンドロロン(oxandrolone)、オキシメトロン(oxymetholone)、スタノゾロール(stanozolol)、テストラクトン(testolactone)、テストステロン(testosterone)、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロンなど;プロゲスチン、例えば二酢酸エチノジオール、ゲストデン(gestodene)、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(hydroxyprogesterone caproate)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)、ノルエチンドロン(norethindrone)、酢酸ノルエチンドロン(norethindrone acetate)、ノルエチノドレル(norethynodrel)、ノルゲストレル(norgestrel)、プロゲステロン(progesterone);免疫抑制薬、例えばシクロスポリン(cyclosporins)など。
【0065】
該製剤中に存在する薬物の量および治療効果を得るために必要な薬物の量は、多数の要因、例えば個々の薬物の最小必要投与量に左右され、たいていは、治療すべき状態、選択した投与経路、投与する実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度などを含む関連状況を考慮して医師により決定される。
【0066】
本発明の浸透促進剤の使用を伴わない場合の生理活性物質の適当な投与量レベルは当業者に公知である。これらの通常の投与量レベルは、生理活性物質および通常の浸透促進剤を含む組成物に関する投与量レベルの上限に対応する。しかし、該活性物質の送達はギルソナイト油抽出物により促進されるため、望まれる投与量レベルは、通常の製剤より有意に低い薬物濃度を含有する製剤で達成されうる。一般に、該活性物質は、使用する個々の物質に応じて、全組成物の約0.0001%〜約60%、より好ましくは約0.001%〜約20重量%の量で該組成物中に存在する。しかし、一般には、該量は全組成物の約0.01〜約25重量%の範囲であり、約0.05〜約10%のレベルが好ましい。
【0067】
本発明の実施の局所治療計画は、該組成物を皮膚または粘膜、すなわち適用部位に毎日1〜数回、直接適用することを含む。
【0068】
本発明の製剤は、疾患および状態、またはそのような疾患および状態に関連した症状、例えば疼痛、乾癬、乾燥皮膚、しゅさ、刺激、日焼け、真菌感染、細菌感染、禿頭症、ホルモン失調などを治療し改善し又は予防するために使用されうる。また、本発明は避妊製剤中で使用されうる。
【0069】
表皮の及び角化粘膜の角質層を含む上皮の主要機能は、体液の過剰な喪失を防ぐことである。上皮バリヤー機能が損なわれたり乱されると、それは表皮および粘膜における種々の代謝変化を刺激して、バリヤー欠損の修復をもたらす。該バリヤーは紫外線照射、乾燥、化学的外傷、摩擦性外傷および鈍器による外傷からの損傷に対する防御に有益であるが、それはまた、宿主にとって潜在的に有益な局所投与医薬の経皮および経粘膜浸透を妨げる。生理活性物質が上皮に浸透できなければ、皮膚および粘膜だけでなく全身においても、病態および障害を治療するためのそれらの有効な使用が有意に制限される。本発明の組成物は水溶性物質および脂溶性物質の両方の送達を促進する。
【0070】
上記で議論したとおり、経皮治療を可能にする種々の医薬製剤が開発されているが、それらの成功の度合は様々である。分子が上皮バリヤーを越えて輸送される速度においては、とりわけ、サイズ依存性が存在することが、当業者に公知である。典型的には、小さな分子の場合より、大きな分子の場合ほど、該バリヤーを越えるフラックスは低くなる。後記の実施例3〜5は、ギルソナイト油が、小さな分子、中等度の分子およびより大きな分子に対する、有効な浸透促進剤であることを示している。小さな分子、中等度の分子および大きな分子のモデル化合物として、それぞれ、カフェイン、ヒドロコルチゾンおよび一連のPEG分子(分子量502〜766)を選択した。一連のPEG分子で得られた結果は、ギルソナイト油の存在下および非存在下、分子量またはサイズの上昇に伴う浸透の低下を示している。ギルソナイト油での前処理は、すべてのPEG分子の研究に関する、フラックスの実質的な上昇をもたらした。
【0071】
ギルソナイト油を含む医薬組成物は、該ギルソナイト油組成物の適用の前の前処理としての又は該ギルソナイト組成物の適用の後の後処理としての又は該ギルソナイト油組成物に含まれる及び該組成物の一部としての先行技術の前処理剤(例えば、DMSO)と組合された薬剤での又は薬剤単独での処理と比べて促進された浸透を可能にする。ギルソナイト油と生物活性物質とを含む医薬製剤は、ギルソナイト油を伴わない薬剤または先行技術の浸透促進剤(例えば、DMSO)を含む薬剤と比較して促進された浸透を可能にする。ギルソナイト油製剤の浸透促進性は、生物活性物質が小さな分子であるか中等度の分子であるか又は大きな分子であるかにかかわらず、そのような生物活性物質に有効である。
【0072】
ギルソナイト製剤の初期スクリーニングは、マウスを使用する通常の経表皮水分喪失(Transepidermal Water Loss)(TEWL)試験を用いて行う。例えば、各油サンプルを1日2回で4日間、マウスに局所適用することが可能である。室温で液体であるサンプルの場合には、約40〜約80μLの該油のサンプルを皮膚表面に適用する。室温で固体であるサンプルの場合には、約40〜約60mgの該油を皮膚表面に適用する。Meeco装置(Warrington, PA)およびCorneometer(モデルCM-820, Courage & Khazak, Germany)を使用する、当技術分野でよく知られた技術を用いて、それぞれTEWLおよび皮膚水和を測定する。
【0073】
ギルソナイト油製剤の後続の評価は、皮膚浸透研究により行う。皮膚浸透研究は、フロースルー拡散セル(Laboratory Glass Apparatus, Berkeley, CA)を使用して行うことが可能である。該拡散セルを、循環水浴を使用して一定温度に維持する。皮膚を、表皮側が受容室(レシーバーチャンバー)を向くように該拡散セル上にのせる。蠕動性ポンプ(Ismatec, Glattbrug-Zurich, Switzerland)を使用して、等張溶液を該受容区画を介して3〜4mL/時で送り出す。外部皮膚表面を前処理する場合には、残留前処理溶液を除去し、皮膚表面を洗浄する。
【0074】
適当な量の放射能標識試験化合物を含有する試験溶液を皮膚表面に適用することが可能であり、ついで上部供与セルをパラフィルムで密封する。陽性対照実験において、皮膚をジメチルスルホキシド(DMSO)で2時間、前処理することが可能である。受容流体を攪拌し、Retriever IVフラクションコレクター(ISCO, Lincoln, NE)を使用して、示されている時間間隔で約12時間にわたり、サンプルを集める。各画分をReady Safe(登録商標)と混合し、Beckman LS 5000TA液体シンチレーションカウンターで分析する。皮膚を介したフラックスを、時間対浸透薬物累積量曲線の直線部分の勾配から計算する。
【0075】
本発明はその好ましい実施形態に関して記載されているが、種々の変更および修飾が当業者に明らかであり、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲内にそのような変更および修飾を含むと意図されると理解されるであろう。以下の非限定的な実施例は、本発明を更に詳しく例示するために記載されている。
【実施例】
【0076】
以下の実施例においては、以下の略語は以下の意義を有する。略語が定義されていない場合には、それはその一般に受け入れられている意義を有する。
cps = センチポアズ
EtOH = エタノール
h = 時間
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
M = モル濃度
mg = ミリグラム
min. = 分
mL = ミリリットル
mm = ミリメートル
mM = ミリモル濃度
mmol = ミリモル
N = 正常
NS = 正常食塩水
psi = ポンド毎平方インチ
PEG = ポリエチレングリコール
μm = マイクロメートル
μM = マイクロモル濃度
μL = マイクロリットル
% mol = molパーセント
TEWL = 経表皮水分喪失
【0077】
以下の実施例および手法においては、該手法において使用する通常の化合物および試薬は、よく知られた入手元から商業的に入手可能である。該実施例において特定され使用されているギルソナイト油はAmerican Gilsonite Company, San Francisco, Californiaから入手した。
【0078】
[実施例1]
経表皮水分喪失(TEWL)および皮膚水和レベルに対するギルソナイト油の効果の測定
皮膚の主要機能の1つは体内の水分を保持させることである。したがって、経表皮水分喪失(TEWL)および皮膚水和値は、バリヤー機能を評価するための有用な手段である。本明細書に記載の実験においては、被検油の反復適用後の無毛マウスにおいて、皮膚水和およびTEWLを測定した。
【0079】
各油サンプルに関して、4匹のマウスを試験した。該サンプルを該マウスに毎日2回、4日間にわたって局所投与した。室温で液体であるサンプルの場合には、60μLの該油を皮膚表面に適用した。室温で固体であるサンプルの場合には、約60mgの該油を皮膚表面に適用した。TEWLをMeeco装置(Warrington, PA)で測定し、皮膚水和をCorneometer(モデルCM-820, Courage & Khazak, Germany)で測定した。結果は、調べた全ての油に関して、反復油処理による、水和における一貫した低下(表1)およびTEWLにおける増加(表2)を示している。最終日の測定値を、第0日に得た前処理値と比較すると、水和の低下およびTEWLの増加は統計的に有意である(T検定, P > 0.95)。
【表1】

【表2】

【0080】
これらの結果は、試験したすべての局所適用油が、処理皮膚を介した水分輸送の促進と合致したTEWLの増加および皮膚水和の低下をもたらすことを示している。
【0081】
[実施例2]
PEG600の皮膚浸透に対するギルソナイト油の効果
ブタの腹部皮膚を近くの食肉処理場から入手した。該皮膚の入手直後に、毛を刈り、皮膚をダーマトームで500μmの厚さに切片化した。ダーマトームで切片化された皮膚の薄片を、正常食塩水(NS)に浸けたティッシュペーパーの間に挟み、使用するまで-70℃で保存した。
【0082】
1 cm2の拡散面積および3.6mLの受容体積を有するフロースルー拡散セル(Laboratory Glass Apparatus, Berkeley, CA)を使用して、皮膚浸透研究を行った。循環水浴を使用して、該拡散セルを37℃の一定温度に維持した。
【0083】
拡散測定のための油サンプルを、等体積の該油をエタノール(EtOH)と混合することにより調製した。平衡後、皮膚前処理のために上清を使用した。皮膚を、表皮側が受容室(レシーバーチャンバー)を向くように拡散セル上にのせた。蠕動性ポンプ(Ismatec, Glattbrug-Zurich, Switzerland)を使用して、等張溶液(pH 7.4、リン酸緩衝食塩水-PBS)を該受容区画を介して3〜4mL/時で送り出した。外部皮膚表面を500μLの該油/EtOH溶液またはH2O/EtOH(体積比1:1)の対照溶液で24時間、前処理した。24時間の終了時に、残留溶液を除去し、皮膚表面を200μLのEtOHで2回および200μLのNSで1回洗浄した。
【0084】
皮膚の前処理および洗浄の後、各拡散セルの出口をそれ自体の入口に接続して、受容区画を閉じた。NS中の0.25M PEG600の溶液(500μL)を皮膚表面に適用し、上部供給セルをパラフィルムで密封した。PEG600はポリエチレングリコールオリゴマーの混合物である。該受容流体を小さなテフロン被覆磁石で700rpmで攪拌した。12時間の終了時に、全受容流体を空にし、ガラスチューブ内に集めた。陽性対照実験において、皮膚をジメチルスルホキシド(DMSO)で2時間、前処理した。
【0085】
PEG600サンプル内の個々のオリゴマーの分離および定量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。該HPLC系はC8逆相カラム(Microsorb-MVc, 5μm, 4.6×250 mm, Ranin Instrument, Woburn, MA, USA)上の717プラスオートサンプラー(Waters)およびModel 510ポンプ(Waters Co., Milford, MA, USA)よりなるものであった。メタノール-水(体積比40:60)の移動相を1mL/分の流速で移動させた。Series 200屈折率検出器(Perkin Elmer Co., Norwalk, CT, USA)を使用して、該カラムから溶出したPEGオリゴマーを検出した。該屈折率検出器は35℃の一定温度に維持した。
【0086】
12時間の終了時に、全受容流体を空にし、後続の凍結乾燥および抽出のために15mL Pyrexチューブ内に集めた。凍結乾燥後、10mLのクロロホルムを該サンプルに加え次いで高速で1分間ボルテックスすることにより該PEGを抽出した。ついで該溶媒を該サンプルと少なくとも30分間接触させた。該サンプルを3000rpmで10分間遠心分離し、上清を清潔なチューブに移した。クロロホルム抽出を再度繰返し、合わせた上清をN2気流下、50℃で蒸発乾固させた。ついで残渣を1mLのHPLC移動相に溶解させた。このサンプルを、分析のためにHPLC内に注入した。
【0087】
PEG中の1mLのPEG600(濃度範囲0.05〜10mg/mL)を凍結乾燥させ、ついで前記のとおりに抽出することにより、アッセイ標準物を調製した。該HPLCカラム内への注入の後、各オリゴマーの屈折率ピーク面積を該標準物のポリマー濃度に対してプロットした。ピーク面積を濃度に関連づける回帰式を各オリゴマーについて求めた。未知サンプルにおける各オリゴマーのピーク面積を求め、該回帰式を用いてPEGの相対存在量に変換した。PEG600標準物のクロマトグラムからの最大ピークを、平均値に最も近い分子量を有するオリゴマー、すなわち、590Daの分子量を有するオリゴマーに割当てた。合計14種のオリゴマーがPEG600サンプルにおいて検出された。しかし、量が限られていたことに加えて、付随シグナルが低かったため、502〜766Daの分子量を有するオリゴマーに関するデータが確認できたに過ぎなかった。抽出回収は約60%〜103%であった。
【0088】
以下の表で認められるとおり、油BおよびYは、対照と比較して、PEGフラックスにおける統計的に有意な増加を示した。
【表3】

【0089】
[実施例3]
ヒドロコルチゾンの皮膚浸透に対するギルソナイト油の効果
実験の準備および皮膚の前処理法は、前記実施例2で説明されているのと同じであった。24時間の前処理工程の終了時に、残留溶液を除去し、皮膚表面を200μLのEtOHで2回および200μLのNSで1回洗浄した。適当な量の放射能標識化合物(3H-ヒドロコルチゾン)を含有するヒドロコルチゾン(NS中、0.1mg/mL)溶液(500μL)を皮膚表面に適用し、上部供与セルをパラフィルムで密封した。陽性対照実験においては、皮膚をジメチルスルホキシド(DMSO)で2時間、前処理した。該受容流体を小さなテフロン被覆磁石で700rpmで攪拌した。Retriever IVフラクションコレクター(ISCO, Lincoln, NE)を使用して、1時間間隔で12時間にわたりサンプルを集めた。各画分を10mLのReady Safe(登録商標)と混合し、Beckman LS 5000TA液体シンチレーションカウンターで分析した。皮膚を介したフラックスを、時間対浸透薬物累積量曲線の直線部分の勾配から計算した。
【0090】
以下の表で認められるとおり、対照と比較した場合の統計的に有意なフラックスの増加、遅延時間の減少および12時間の浸透の促進が油1、A、B、C、X、YおよびQで見られた。
【表4】

【0091】
[実施例4]
カフェインの皮膚浸透に対するギルソナイト油の効果
実験の準備および皮膚の前処理法は、前記実施例3で説明されているのと同じであった。24時間の前処理工程の終了時に、残留溶液を除去し、皮膚表面を200μLのEtOHで2回および200μLのNSで1回洗浄した。適当な量の放射能標識化合物(14C-カフェイン)を含有するカフェイン(NS中、5.3mg/mL)溶液(500μL)を皮膚表面に適用し、上部供与セルをパラフィルムで密封した。陽性対照実験においては、皮膚をジメチルスルホキシド(DMSO)で2時間、前処理した。該受容流体を小さなテフロン被覆磁石で700rpmで攪拌した。Retriever IVフラクションコレクター(ISCO, Lincoln, NE)を使用して、1時間間隔で12時間にわたりサンプルを集めた。各画分を10mLのReady Safe(登録商標)と混合し、Beckman LS 5000TA液体シンチレーションカウンターで分析した。皮膚を介したフラックスを、時間対浸透薬物累積量曲線の直線部分の勾配から計算した。
【0092】
以下の表で認められるとおり、対照と比較した場合の統計的に有意なフラックスの増加が、油2以外の全てで見られた。統計的に有意な遅延時間の減少および12時間の浸透の促進が全ての油で見られた。
【表5】

【0093】
本明細書に記載の開示は本発明の発明の概念に関する実施可能かつ例示的な開示であり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1A】時間に対する経表皮水分喪失(すなわち、「TEWL」)の典型的なグラフ。
【図1B】皮膚水和に対するギルソナイト油の効果を示すグラフ。
【図2】分子量の関数としての、12時間にわたるポリエチレングリコール(PEG)分子の浸透率(%)を示すグラフ。
【図3】ブタ皮膚サンプルにおける12時間にわたる、ヒドロコルチゾンを含むギルソナイト油組成物からの全ヒドロコルチゾンの浸透を示すグラフ。
【図4】ブタ皮膚サンプルにおける12時間にわたる、カフェインを含むギルソナイト油組成物からの全カフェインの浸透を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギルソナイト油を含んでなる、局所または経皮投与のための組成物。
【請求項2】
(i)爪の障害を治療するために選択された生物活性物質、および
(ii)ギルソナイト油
を含んでなる、局所または経皮投与のための組成物。
【請求項3】
製薬上許容される担体を更に含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
生物活性物質が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
ギルソナイト油が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
請求項1または2記載の組成物で爪を治療することを含んでなる、患者における爪の脆化の治療方法。
【請求項8】
ギルソナイト油組成物が製薬上許容される担体を更に含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ギルソナイト油組成物が、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
治療が患者の爪強度において少なくとも10%の増強をもたらす、請求項7記載の方法。
【請求項11】
治療が患者の爪強度において少なくとも30%の増強をもたらす、請求項7記載の方法。
【請求項12】
治療が患者の爪強度において少なくとも50%の増強をもたらす、請求項7記載の方法。
【請求項13】
請求項1または2記載の組成物で爪を治療することを含んでなる、患者における肥厚化した爪の治療方法。
【請求項14】
ギルソナイト油組成物が製薬上許容される担体を更に含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ギルソナイト油組成物が、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
治療が患者の爪の厚さにおいて少なくとも10%の減少をもたらす、請求項13記載の方法。
【請求項17】
治療が患者の爪の厚さにおいて少なくとも30%の減少をもたらす、請求項13記載の方法。
【請求項18】
請求項1または2記載の組成物で爪を治療することを含んでなる、患者における異常な爪の成長の治療方法。
【請求項19】
ギルソナイト油組成物が製薬上許容される担体を更に含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ギルソナイト油組成物が、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
治療が患者の爪成長速度において少なくとも10%の増加をもたらす、請求項18記載の方法。
【請求項22】
治療が患者の爪成長速度において少なくとも30%の増加をもたらす、請求項18記載の方法。
【請求項23】
治療が患者の爪成長速度おいて少なくとも50%の増加をもたらす、請求項18記載の方法。
【請求項24】
請求項1または2記載の組成物で患者を治療することを含んでなる、患者における皮膚乾燥の治療方法。
【請求項25】
ギルソナイト油組成物が製薬上許容される担体を更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ギルソナイト油組成物が、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
(a)生物活性物質と
(b)(i)ギルソナイト油および(ii)製薬上許容される担体を含む浸透促進系
とを体表面に適用することを含んでなる、ヒトまたは温血動物の爪を介した生物活性物質の浸透を促進するための方法。
【請求項28】
製薬上許容される担体が、油、ローション、ゲル、クリーム、接着剤および軟膏よりなる群から選ばれる、請求項27記載の浸透促進方法。
【請求項29】
製薬上許容される担体が経皮パッチでの使用に適したものである、請求項27記載の浸透促進方法。
【請求項30】
ギルソナイト油組成物が、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項29記載の浸透促進方法。
【請求項31】
生物活性物質が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項27記載の浸透促進方法。
【請求項32】
ギルソナイト油が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項27記載の浸透促進方法。
【請求項33】
(i)爪の障害を治療するために選択された生物活性物質、および
(ii)ギルソナイト油
を含む組成物を動物の爪に投与することにより生物活性物質を経皮的に送達するための方法。
【請求項34】
油、ローション、ゲル、クリームおよび軟膏よりなる群から選ばれる製薬上許容される担体を更に含む、請求項33記載の生物活性物質を経皮的に送達するための方法。
【請求項35】
賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤、色素、接着剤、ポリマーおよび追加的な浸透促進剤よりなる群から選ばれる製薬上許容される添加剤を更に含む、請求項33記載の生物活性物質を経皮的に送達するための方法。
【請求項36】
生物活性物質が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項33記載の生物活性物質を経皮的に送達するための方法。
【請求項37】
ギルソナイト油が約0.0001重量%〜約50重量%で存在する、請求項33記載の生物活性物質を経皮的に送達するための方法。
【請求項38】
爪の障害を治療するために選択された生物活性物質とギルソナイト油とを、所望の用途のための組成物を得るのに有効な比で混合することを含んでなる、生物活性物質の経皮送達用組成物の製造方法。
【請求項39】
油、ローション、ゲル、クリーム、接着剤および軟膏よりなる群から選ばれる製薬上許容される担体中で混合することを更に含む、請求項38記載の経皮送達用組成物の製造方法。
【請求項40】
少なくとも1つの製薬上許容される浸透促進添加剤、賦形剤、保存剤、抗酸化剤、芳香剤、乳化剤または色素に混合することを更に含む、請求項38記載の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−505914(P2008−505914A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520500(P2007−520500)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/024104
【国際公開番号】WO2006/014545
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.PYREX
【出願人】(507006134)ディーピーシー プロダクツ,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】