説明

クッキングゲームプログラム

【課題】従来のものよりもリアルに料理を体感できる画面処理を行うクッキングゲームプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、プレイヤーの入力が、第1のオブジェクト領域内に設定された有効範囲内にある場合のみにおいて有効な入力と判断すると共に、入力軌跡が、第1のオブジェクトに対して設定された基準軌跡に近似可能であるかを判定し、近似可能であれば入力軌跡が基準軌跡をトレースしたとして条件クリアとするか、又は、入力速度と第1のオブジェクトに対して設定された基準入力速度と対比し基準入力速度以上である場合に条件クリアとする入力判定ステップ、及び、前記入力判定ステップにより有効な入力がなされ、かつ、条件クリアと判定しときに第1のオブジェクトのアニメーション処理を行う第1の画面表示を備えるクッキングゲームプログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッキング(料理)ゲームプログラム及びゲーム装置、詳しくは、タッチパネル等ゲーム画面に対して直接入力を行う入力手段により進行を楽しむクッキングゲームプログラム及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の家庭用ゲーム装置の普及により、多種多様な体験をすることのできるゲームが開発されているが、その多くは戦闘や異次元空間での冒険等、日常生活とは乖離したテーマのものが多い。その一方で日常生活に密着した事項をテーマとするゲームも、それらの技能の向上等の観点から根強い人気がある。そして、日常生活に密着したテーマの中でも、料理に関するゲームは、調理過程を体感することの楽しさ、自己のレパートリーを増大させることの楽しさがある。また、料理は家事の主要なものの一つであるから、これをリアルにゲーム化することにより、女児が日頃みる母親の仕事の真似をすることができる等、情操教育上も有意義なものといえる。
【0003】
料理をテーマとしたクッキングゲームについては、例えば、特許文献1記載のようなものがある。この料理ゲームは、予め種々の料理(メニュー)についてレシピ等に関するデータが設定されており、プレイヤーは任意の料理を選択し、選択された料理についてしめされる選択形式の質問に対して適宜に回答し、回答の正誤に応じて料理の出来、不出来を競うものである。
【特許文献1】特開2000−262748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献記載の料理ゲームにおいては、ゲームの進行が文字表示を主体とし、更に、質問に対する回答の正誤によりゲーム結果が評価されるものであって、料理というよりはクイズのようであり、調理を体感するのとは程遠いものである。また、そもそも、上記特許文献記載のものに限らず、従来から知られた料理ゲームは、レシピ集のような内容のものが大半であり、調理を体験して楽しむという内容のものはない。
【0005】
そこで、本発明は、よりリアルに料理を体感でき、従来のものとは異なる画面処理を行うクッキングゲームプログラム及びゲーム装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々が現実に料理を行う場合、目的とする調理メニューに対して、野菜、肉等の食材を切る、混ぜる等の複数の下ごしらえ工程が必要である。そして、それらの下ごしらえ工程では、食材の形態が随時変化するものであり、しかもこの形状変化は調理者の手によるものである。そこで、このような料理というテーマについて、リアルな体感を得るためには、これをシュミレートできる画面表示を備えるものが好ましい。
【0007】
そこで、上記課題を解決する本願発明は、ゲーム画面内になされるプレイヤーの入力による入力軌跡又は入力速度を取得する入力検出ステップと、プレイヤーの入力内容を判定する入力判定ステップと、プレイヤーの入力操作に関連付けて第1のオブジェクトの位置又は形状を変化させるアニメーション処理を行う第1の画面表示ステップと、を備えるクッキングゲームプログラムであって、前記入力判定ステップは、プレイヤーの入力が、前記第1のオブジェクト領域内に設定された有効範囲内にある場合のみにおいて有効な入力と判断すると共に、前記入力軌跡が、第1のオブジェクトに対して設定された基準軌跡に近似可能であるかを判定し、近似可能であれば前記入力軌跡が基準軌跡をトレースしたとして条件クリアとするか、又は、前記入力速度が、第1のオブジェクトに対して設定された基準入力速度と対比し、基準入力速度以上である場合に条件クリアとし、前記第1の画面表示ステップが、前記入力判定ステップにより有効な入力がなされ、かつ、条件クリアと判定したときに第1のオブジェクトのアニメーション処理を行うものであるクッキングゲームプログラムとするものである。
【0008】
このゲームプログラムは、調理対象となる食材(肉、魚、野菜等)を第1のオブジェクトとして表示する。プレイヤーは適宜の入力手段により、画面中の第1のオブジェクトのみについて入力操作を行うことができ、これにより第1のオブジェクトの形状が変化するようになっている。このようにすることでプレイヤーは、直接、食材に対して切る・こねる等の調理作業を行っているかのような感覚を得ることができ、よりリアルにゲームの進行を楽しむことができる。
【0009】
第1オブジェクトの領域内に設定される有効範囲は、第1オブジェクトの輪郭に対応する座標で囲まれる領域(即ち、第1オブジェクトそのもの)を有効範囲としても良いが、その場合、第1オブジェクトを複雑形状としたときのデータ量が多くなり、有効範囲内か否かの判断の処理に負荷がかかる。そこで、第1オブジェクト内に簡易な図形を規定し、これを有効範囲とすることが好ましい。この有効範囲の設定としては、第1オブジェクトの表示中心位置を基準とし、この中心位置から所定半径の円を想定してこれを有効範囲とする方法が有る。また、上下幅を設定しそこから描かれる矩形領域を想定し有効範囲としても良い。更に、第1オブジェクトを複数の小領域に分割し(例えば、複数の三角形の集合体とし)、それぞれを有効範囲としていずれかの小領域に入力がある場合に有効な入力としても良い。有効範囲の設定方法は、第1オブジェクトの形状、要求される処理速度に基づいて決定する。上記例の円、矩形領域を設定する方法では、中心位置、半径、上下幅のデータのみで設定可能であり処理速度において有効である一方、第1オブジェクトを分割する方法では、第1オブジェクトの形状に対して正確な範囲設定が可能である反面、小領域設定のためのデータ量、計算量が膨大となり、処理負荷が大きくなる。
【0010】
本発明においては、第1オブジェクト内の有効領域に入力がなされた状態において、その入力軌跡又は入力速度に対して合否判定を行い、その結果に応じて第1のオブジェクトのアニメーション処理を行う。合否判定を行う入力判定ステップは、表示する第1オブジェクトに応じた基準軌跡を設定し、入力軌跡がそれに近似可能であるかを判定する。このような基準軌跡に基づく合否判定を行うのは、第1オブジェクトのアニメーションを定型化し、アニメーション処理のためのメモリ及び処理速度を確保するためである。
【0011】
入力判定ステップにおける、入力軌跡の判定方法としては、例えば、第1オブジェクト領域内に2つの仮想点を設定し、入力軌跡が2つの仮想点の間を通過した場合に基準軌跡に近似可能とするものがある(2点間通過判定:図1)。この方法は、比較的単純なアルゴリズムであり、直線的に切る動作、一方向に揺らす動作等、素早い動作を仮定した入力操作の判定に有用である。
【0012】
また、他の判定方法としては、第1オブジェクト領域内に2つの仮想点を設定し、入力軌跡が2つの仮想点を頂点とする仮想矩形内にある場合に近基準軌跡に近似可能とするものがある(矩形判定:図2)。これは上記2点間通過判定に類似するが、入力軌跡の軌道の逸脱の有無を判定材料に加えたものである。
【0013】
更に、他の判定方法として、ゲーム画面内に1つの仮想点を設定し、入力軌跡の始点と仮想点との線と、判定時の入力軌跡の終点との線とがなす角度を算出し、角度が設定された角度以上となる場合に基準軌跡に近似可能とするものもある(回転判定:図3)。この方法は、基準軌跡として、円、円弧等の曲線を設定した際有用な方法であり、かき混ぜる・こねる等の直線的でない動作を仮定した入力操作の判定に有用である。
【0014】
また、入力判定ステップにおける入力軌跡の判定方法として、基準軌跡を設けると共に、この基準軌跡上を移動可能な半径可変の仮想円を設定し、入力軌跡が仮想円内にある場合に基準軌跡に近似可能とする方法もある(操作方向判定:図4)。この方法では、基準軌跡の始点に仮想円を置き、その円内への入力を待機し、入力があれば入力軌跡の移動に伴い仮想円の中心を移動させる。入力軌跡が仮想円を外れたときを無効な操作として近似不可とする。このとき仮想円の半径を可変とすることで、条件設定にゆとりを持たせることができ、仮想円の半径がその移動と共に大きくなるようにすることで、基準軌跡への近似可能の判定がなされやすくなる。
【0015】
また、第1のオブジェクトのアニメーション処理の実行可否は、入力速度に基づいて判定されることもある。これは、調理において、叩く、細かく切る等の動作を仮定した入力操作の判定に利用される。入力速度とは、時間当たりの入力回数(後述のタッチパネル入力ではタッチ回数)の他、1の入力軌跡が形成される速度(タッチパネル入力ではストローク入力をしたときの速度)のいずれかである。前者の入力速度の判定においては、一定時間内の入力数のカウント、又は、一定回数の入力カウントに要した時間のいずれかを基に入力速度を測定する。そして、この入力速度と予め設定された基準入力速度とを対比して基準入力速度以上を合格と判定する。
【0016】
本発明のゲームプログラムにおける入力手段としては、調理対象となる食材(第1のオブジェクト)を直接操作できるようにするものが好ましいことから、これを可能とする入力手段が適用される。好ましい入力手段は、例えば、タッチパネルがあり、第1のオブジェクトを表示するゲーム画面にタッチパネルを備えるものである。
【0017】
本発明では第2のオブジェクトを表示させる第2の画面表示ステップを更に備えるものが好ましい。この画面処理は、第1のオブジェクトである食材を調理する手や調理器具(包丁等)を第2のオブジェクトとして表示するものである。そして、第2の画面表示ステップは、第1の画面表示ステップを実行する場合において、第1の画面表示ステップの実行の前後又は同時に、第2のオブジェクトの表示位置を変化するアニメーション処理を行う。これにより第1のオブジェクトの形状変化や位置変化が第2のオブジェクトの位置変化により生じたように見え、調理器具の作用により食材が変化したような(調理されたような)視覚効果を発揮する。
【0018】
また、本発明は、更に、プレイヤーの入力操作内容を示す指示オブジェクトを表示するステップを備えるものが好ましい。プレイヤーに入力の指標を提示し、スムーズなゲーム進行を促すためである。この指示オブジェクトとしては、例えば、切る動作について、第1のオブジェクトの領域内に切る方向を示す矢印、切断線を示す点線等を表示する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明は、従来の料理ゲームにはなかった、食材に直接触る感覚を与える画面表示処理がなされており、単なるレシピ集に止まらず実際に料理を作っているような感覚でゲーム進行することができる。そして、ゲーム故に子供(女児)であって、ままごとをするかのように手軽に料理体験をすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。図5は、本発明の実施例となるゲーム装置を示すものである。図5において、ゲーム装置1は、上部ケース110aと下部ケース110bとからなり、両ケースは折り畳んで重ねて収納することができる。上部ケース110a、下部ケース110bには、それぞれ、液晶ディスプレイ101、102が収容されている。本実施例においては、液晶ディスプレイ102に第1のオブジェクトを表示するゲーム画面としている。これらの液晶ディスプレイ表面には、タッチパネル130が装着される。タッチパネル130は、抵抗膜方式、光学方式、静電容量結合方式いずれの種類のものが適用できる。そして、タッチパネル操作のためのタッチペン140を備える。タッチペン140は、下部ケースに収容可能となっている。
【0021】
尚、下部ケース110bには、十字キー111、電源スイッチ等のキー112が備えられる。これらはゲームの進行自体には使用されないが、電源の投入、ゲームメニュー選択、或いは他のゲームプログラムの操作に使用される。また、下部ケース110bは、プレイヤー側からの音声入力を可能とするマイク113も備える。これにより、タッチペン、キー操作以外の入力も可能となる。更に、上部ケース110aには、ゲームBGMや効果音を発するスピーカ114が設置されている。
【0022】
また、本実施例のクッキングゲームプログラムは、メモリーカード160(カートリッジ)の形式で記憶されており、メモリーカード160は、下部ケースに上方から装着可能となっており、他のプログラムが格納されたメモリーカードの交換を可能としている。
【0023】
図6は、ゲーム装置1のハードウエア構成を示す図である。ゲーム装置1は、主制御部200、画像処理部300、入力制御部400、音響制御部500、外部メモリ制御部600を備える。
【0024】
主制御部200は、CPU201、ゲームプログラム及び画像データ、音響データ等を一時的に記憶するRAM202、画像処理部300等の管理を行うROM203を備える。CPU201は、装置全体の制御を行うと共に、RAM202内のゲームプログラムを実行し、ゲームの進行を行うものである。
【0025】
画像処理部300は、CPU201からの描画指示、RAM202内の画像データに基づいて画像描画を行うGPU(グラフィックプロセッシングユニット)301と、GPU301により描画された画像を一時的に記憶するVRAM302を備える。GPU301により作成された画像データは、VRAM302を介して液晶ディスプレイ(LCD)303に出力される。
【0026】
入力制御部400は、操作スイッチ111等の下部ケース110bに設置されたスイッチ401、タッチペン402、マイク403等の入力手段と、これらのインターフェイス410を備える。タッチペン402による入力がなされたとき、その際の位置座標データは、インターフェイス410を介してCPU201に入力される。
【0027】
音響制御部500は、RAM202に記憶されているゲームBGM、効果音等の音響データに基づいて、これらを発生させるSPU(サウンドプロセッサユニット)501と、これにより生成された効果音等を出力するスピーカ502を備える。
【0028】
外部メモリ制御部600は、メモリーカード160に格納されたゲームプログラム(データ)が接続されるコネクタ601を備える。メモリーカード160は、RAM602、ROM603を備え、両者はバス接続されコネクタ601を介してCPU201と接続される。また、CPU201は、ゲームの進行に従ってその途中までの結果(攻略済みのメニュー等)を記録する必要があるとき、その際の各種データをRAM602に記録することができるようになっている。
【0029】
図7は、本実施例のメモリマップの一例を示すものである。メモリマップは、プログラム記憶領域とデータ記憶領域を含む。尚、この図は、本実施例に関連してゲーム進行するためのメモリマップのみを示すものである。
【0030】
プログラム記憶領域は、タッチパネルによる入力の有無、位置座標を検出し入力軌跡を測定するプログラム、入力の位置座標の当否を判定すると共に、入力軌跡、入力速度を判定するプログラム、第2オブジェクトの表示を制御するプログラム、が記憶される。
【0031】
データ記憶領域には、複数の調理メニューに関するデータが記憶される。本実施例に係るクッキングゲームにおいては、複数の調理メニュー(ハンバーグ、カレー等)が設定されており、各々の調理メニューには、いくつかの調理工程が設定され、各調理工程がミニゲームの形式となっている。例えば、調理メニューとして「ハンバーグ」を選択したときの調理工程としては、(1)食材の粗切り工程(直線的に切る工程)、(2)食材のみじん切り工程(細かく切る工程)、(3)タネの製造工程(食材を混ぜる工程)、(4)焼く工程が設定されており、それぞれについてのミニゲームを進行させ、選択した調理メニューを完成させる。各メニューのデータは、メニュー完成までになされる調理工程の内容及び入力モード(切る、混ぜる等)が記憶されている。
【0032】
また、各オブジェクトデータには、各メニューについての、調理工程における第1のオブジェクトの画像データ(初期、アニメーション処理後)、第2オブジェクトの画像データが記憶されている。更に、判定データは、第1オブジェクトに関する、入力の判定条件である有効範囲、基準軌跡・基準入力速度や結果評価のための条件等を記憶する。
【0033】
本実施形態のクッキングゲームにおけるミニゲームに関する基本的な処理手順を図8を参照して説明する。図8において、プレイヤーがメニューを選択すると、ミニゲームがスタートし、第1オブジェクト、第2オブジェクト等のキャラクター及びゲーム背景に関するデータが検索・ロードされ、それぞれについて描画位置、形状データ等の設定がなされる(ステップS101)。そして、当該ミニゲームにおいて要求される入力内容、基準軌跡、クリア条件などのゲーム条件が設定された後(ステップS102)、ディスプレイに背景、キャラクターが描画される(ステップS103)。ミニゲームにおける制限時間を設定すると共に、タイマーをスタートさせ(ステップS104)、プレイヤーの入力待ちの状態とする(ステップS106)。この間、タイムオーバー判定を行い(ステップS105)、Yesであればミニゲーム終了・結果判定を行い、Noであれば入力待ちの状態とする。
【0034】
入力待ちステップS106において入力があったとき、入力された座標データに基づき入力軌跡又は入力速度を測定する(ステップS107)。入力軌跡の測定は、現測定ステップにおける入力座標と、直前の測定ステップで測定された入力軌跡の終点とから測定することができる。入力速度の測定は、現測定ステップにおける入力をカウントして、直前の測定ステップにおける累積トリガ数に合算し、基準入力速度として規定したトリガ数と対比して測定する。
【0035】
ステップS107で入力軌跡を測定した後、その入力が第1オブジェクト内に設定された有効範囲内にあるかを判定する。有効範囲の設定については、ステップS102の条件設定において、ロードされた有効範囲の設定条件に基づき、第1オブジェクト内に有効範囲の座標範囲が仮想されており、入力時の座標がこの座標範囲内にあるかが判定される(ステップS108)。有効範囲の座標範囲内にない場合(判定がNoである場合)、有効な入力がなされなかったとされ、タイムオーバー判定(ステップS105)に戻る。有効な入力である場合、入力判定ステップS109により、入力軌跡と基準軌跡(入力速度と基準入力速度)とを対比・判定する。判定条件については、ステップS101のキャラクター設定での設定条件で定められている。
【0036】
入力判定ステップS109において、入力軌跡が基準軌跡に近似可能であると判定された場合、又は、入力速度が基準入力速度以上であると判定された場合、条件クリアとなる。これにより、器具(第2オブジェクト)のアニメーション処理を実行し(ステップS110)、食材(第1オブジェクト)のアニメーション処理を実行する(ステップS111)。
【0037】
1つのミニゲームにおいて複数の工程が有る場合(食材を繰返し切る場合等)、残りの工程があるときには、現工程においては完了フラグを立てた上で再度入力待ちの状態とする(ステップS112、S113)。ミニゲームにおける全工程が完了した場合、又は、タイムオーバーとなった場合、達成率等についての判定を行い終了処理を行う(ステップS114)。このときの判定結果は記録され、全ミニゲーム終了の際の結果判定に使用する。
【0038】
次に、以上の処理手順に従った画面表示の具体例を説明する。この具体例では、調理メニューとしてハンバーグを選択した場合の各調理工程について説明する。
【0039】
(1)食材の粗切り工程
図9は、図8のステップS103までの処理により表示された、ゲームスタート直後の初期状態のゲーム画面を示すものである。この工程における第1のオブジェクトは玉葱であり、プレイヤーの入力操作は、第1オブジェクトの範囲内でタッチペンを直線的にストロークするものである。また、図9のゲーム画面は、第2のオブジェクトとして包丁を、また、入力指示オブジェクトとして切る箇所をガイドする切断線(点線)を表示する。
【0040】
第1オブジェクトの領域内に設定される有効範囲は、第1オブジェクトの表示中心位置を基準として描かれる矩形領域が設定されている。また、ここでは基準軌跡として、入力指示オブジェクトである切断線と同一の線が想定されており、その中心部分から等間隔で想定された2点が規定されている。ステップS104によりタイムカウントを開始後、プレイヤーの入力待ちとなり(ステップS106)、タッチペンによる入力があったとき、その入力位置、入力軌跡を測定する(ステップS107)。そして、ステップS108及びS109において、入力位置の判定及び入力軌跡の判定がなされる。入力軌跡が前記2つの仮想点の間を通過する場合、基準軌跡を通過したと判定する(ステップ109:Yes)。
【0041】
判定条件をクリアすることで、第2オブジェクトの包丁が動くアニメーション処理がなされ(ステップS110)、次いで、第1オブジェクトの玉葱が2つ割に切れるアニメーション処理がなされる(ステップS111:図10)。これにより、プレイヤーは、ゲーム画面中の玉葱を自己のタッチペン操作により直接切断する感覚を得ることができる。
【0042】
(2)食材のみじん切り工程
図11は、この工程の初期状態のゲーム画面を示すものである。この工程における第1のオブジェクトは粗切りされた玉葱の画像である。そして、プレイヤーの入力操作は、第1オブジェクトの範囲内でタッチペンを連続的にタッピングするものである。また、図11のゲーム画面は、第2のオブジェクトとして包丁を表示する。
【0043】
ここでの処理内容は、基本的に上記粗切り工程における処理と同様であるが、入力の判定条件として、入力速度を基準とする。即ち、ステップS107によりタッチ回数とタッチ時間を測定し、タッチ回数が一定回数に達した段階のタッチ時間により入力速度を求め、これが予め設定された基準入力速度より高い場合を条件クリアとする。判定条件をクリアすることで、第2オブジェクトの包丁が動くアニメーション処理がなされ(ステップS110)、次いで、細かく刻まれた玉葱を表示するアニメーション処理がなされる(ステップS111:図12)。尚、タッチ入力の時間間隔により、細かさのことなる玉葱の画像を表示しても良い。
【0044】
(3)タネの製造工程(食材を混ぜる工程)
図13は、この工程の初期状態のゲーム画面を示すものである。この工程における第1のオブジェクトは、背景であるボウル内に入れられたタネ(ひき肉)である。プレイヤーの入力モードは、第1オブジェクトの範囲内でタッチペンを縦横、又は、円弧状にストロークするものである。また、図13のゲーム画面は、第2のオブジェクトとして手を、また、入力指示オブジェクトとして操作方向を示す矢印を表示する。
【0045】
ここでの処理内容も、基本的に上記粗切り工程における処理と同様であるが、入力軌跡の判定方法として、回転測定又は操作方向判定を適用する。回転判定は上記の通り、ゲーム画面内に仮想点を1点設けた入力軌跡の角度測定によるものであり、操作方向判定は、基準軌跡上の仮想円に基づくものである。そして、入力軌跡が判定条件をクリアすることで、第2オブジェクトの手が動くアニメーション処理がなされ、次いで、ボウル内のタネが回転又は変形するアニメーション処理がなされる(図14)。
【0046】
(4)焼く工程
図15は、この工程の初期状態のゲーム画面を示すものである。この工程における第1のオブジェクトはフライパン内に置かれたハンバーグのタネの画像である。プレイヤーの入力モードは、第1オブジェクトの範囲内で往復ストロークする。入力軌跡の判定は、2点間通過判定により、設定された2つの仮想点の間を入力軌跡が通過したかを判定し、判定条件をクリアすることで、第1オブジェクトのタネがひっくり返され、焦げ目の付いた裏面が現れるアニメーション処理がなされる(図16)。また、このミニゲームにおいては、入力軌跡形成の時間を測定して入力速度を測定し、入力速度毎にアニメーション処理を変化させても良い。例えば、移動速度が速すぎる場合、フライパンから種が飛び出す表示、入力速度が遅い場合にはタネがひっくり返らずに揺れるに止まる表示をしても良い。
【0047】
以上のように各調理工程におけるミニゲームを順次進行させた後、完成したハンバーグの画像が表示される。このとき、各ミニゲームにおいて完了するまでの時間、タイムオーバーまでの達成率等を評価ポイントとして計算し、その合計により点数付けを行っても良い。
【0048】
以上の例はハンバーグを選択したときにおける、切る、混ぜる等の調理動作の画像処理を説明するものであるが、他の調理メニューにおいては、上記例以外の調理作業に関する画面表示が可能である。
【0049】
例えば、図17は、卵を割る作業の画面表示である。ここでは第1のオブジェクトである卵をタッチし、これをストロークした際に、第1オブジェクトの表示中心位置を移動させる。そして、任意の仮想点を中心とした仮想円と、前記表示中心位置を中心とする仮想円との重なりを判定して卵が割れたかを判断して、アニメーション処理を行う。また、図18は、ピーラーで芋の皮剥きを行う工程の画像表示であり、上記粗切り工程と同様に2点間通過判定により入力軌跡と基準軌跡との対比・判定を行い、ピーラー(第2オブジェクト)のアニメーション処理により芋(第1オブジェクト)が剥けるアニメーション処理を行う。
【0050】
以上のように、本実施例に係るゲームプログラムは、種々の調理メニューについての下ごしらえ段階をミニゲーム化し、個々のミニゲームにおいて、対象となる調理食材を直接入力することで、ゲームの成否を判定する。このようにすることで、プレイヤーはよりリアルな調理の体験をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】入力軌跡の判定方法(2点間通過判定)を説明する図。
【図2】入力軌跡の判定方法(矩形判定)を説明する図。
【図3】入力軌跡の判定方法(回転判定)を説明する図。
【図4】入力軌跡の判定方法(操作方向判定)を説明する図。
【図5】本実施形態に係るゲーム装置の外観。
【図6】本実施形態に係るゲーム装置のハードウエア構成を説明する図。
【図7】本実施形態に係るゲームプログラムのメモリマップ
【図8】本実施形態に係るゲームプログラムの処理手順を説明するフローチャート。
【図9】本実施形態に係るゲームプログラムでの、切る工程の画面(ゲーム開始時)。
【図10】本実施形態に係るゲームプログラムでの、切る工程の画面。
【図11】本実施形態に係るゲームプログラムでの、みじん切り工程の画面(ゲーム開始時)。
【図12】本実施形態に係るゲームプログラムでの、みじん切り工程の画面。
【図13】本実施形態に係るゲームプログラムでの、混ぜる工程の画面(ゲーム開始時)。
【図14】本実施形態に係るゲームプログラムでの、混ぜる工程の画面。
【図15】本実施形態に係るゲームプログラムでの、焼く工程の画面(ゲーム開始時)。
【図16】本実施形態に係るゲームプログラムでの、焼く工程の画面。
【図17】本実施形態に係るゲームプログラムでの、卵割り工程の画面。
【図18】本実施形態に係るゲームプログラムでの、皮剥き工程の画面。
【符号の説明】
【0052】
1 ゲーム装置
110a 上部ケース
110b 下部ケース
101、102 液晶ディスプレイ
130 タッチパネル
140 タッチペン
111 十字キー
112 キー
113 マイク
160 メモリーカード
200 主制御部
300 画像処理部
400 入力制御部
500 音響制御部
600 外部メモリ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム画面内になされるプレイヤーの入力による入力軌跡又は入力速度を取得する入力検出ステップと、プレイヤーの入力内容を判定する入力判定ステップと、プレイヤーの入力操作に関連付けて第1のオブジェクトの位置又は形状を変化させるアニメーション処理を行う第1の画面表示ステップと、を備えるクッキングゲームプログラムであって、
前記入力判定ステップは、プレイヤーの入力が、前記第1のオブジェクト領域内に設定された有効範囲内にある場合のみにおいて有効な入力と判断すると共に、
前記入力軌跡が、第1のオブジェクトに対して設定された基準軌跡に近似可能であるかを判定し、近似可能であれば前記入力軌跡が基準軌跡をトレースしたとして条件クリアとするか、又は、
前記入力速度と第1のオブジェクトに対して設定された基準入力速度と対比し、基準入力速度以上である場合に条件クリアとし、
前記第1の画面表示ステップが、前記入力判定ステップにより有効な入力がなされ、かつ、条件クリアと判定したときに第1のオブジェクトのアニメーション処理を行うものであるクッキングゲームプログラム。
【請求項2】
入力判定ステップにおける入力軌跡の判定方法は、第1オブジェクト領域内に2つの仮想点を設定し、入力軌跡が前記2つの仮想点の間を通過する場合に基準軌跡に近似可能とするものである請求項1記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項3】
入力判定ステップにおける入力軌跡の判定方法は、第1オブジェクト領域内に2つの仮想点を設定し、入力軌跡が前記2つの仮想点を頂点とする仮想矩形内にある場合に基準軌跡に近似可能とするものである請求項1記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項4】
入力判定ステップにおける入力軌跡の判定方法は、第1オブジェクト領域内に1つの仮想点を設定し、入力軌跡の始点と前記仮想点との線と判定時の入力軌跡の終点との線とがなす角度を算出し、前記角度が設定された角度以上となる場合に基準軌跡に近似可能とするものである請求項1記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項5】
入力判定ステップにおける入力軌跡の判定方法は、その中心が基準軌跡上を移動する半径可変の仮想円を設定するものであり、前記入力軌跡が前記仮想円内にある場合に基準軌跡に近似可能とするものである請求項1記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項6】
第1のオブジェクトを表示するゲーム画面はタッチパネルを備え、入力検出ステップは、前記タッチパネルにおけるタッチ入力により入力軌跡及び入力速度を検出する請求項1〜請求項5のいずれかに記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項7】
第2のオブジェクトを表示させる第2の画面表示ステップを更に備え、
前記第2の画面表示ステップは、第1の画面表示ステップによる第1のオブジェクトのアニメーション処理の実行の前後又は同時に、第2のオブジェクトの表示位置を変化させるアニメーション処理を行い、
第1のオブジェクトのアニメーション処理が第2のオブジェクトのアニメーション処理により生じたように見えるようになっている請求項1〜請求項6のいずれかに記載のクッキングゲームプログラム。
【請求項8】
第1のオブジェクトの座標範囲内、若しくは、その近傍に、プレイヤーの入力内容を示すための入力指示オブジェクトを表示する請求項1〜請求項7のいずれかに記載のクッキングゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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