説明

クモの巣張り防止方法

【課題】誰にでもできる簡単さ作業で、クモの巣張りを防止する方法を提供すること。
【解決手段】クモに巣張りをさせたくない場所の付近に、式(1)〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基、2,2−ジクロロビニル基、1−プロペニル基又は2−メチル−1−プロペニル基を表す。〕で示されるエステル化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を設置することを特徴とする、クモの巣張り防止方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のピレスロイド化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を用いたクモに巣を張らせない方法に関する
【背景技術】
【0002】
人家の内外等で見られるクモは、節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目に属する陸上性の動物であり、いわゆるクモの巣と呼ばれる“網”を張る造網性の種類と、網を張らない徘徊性の種類の2種類が存在している。
一般的にクモは、農作物の害虫に対する天敵として農業分野においては益虫と考えられているが、都市部においては、グロテスクなその容姿やクモの巣による都市空間の景観の悪化等から、不快害虫として分類される場合も多い。
ハエや蚊等の衛生害虫に用いられるエアゾール剤が、同様にクモ防除に用いられる場合もあるが、前記したようにクモの多くは益虫であるので、特定場所へのクモの巣張りを防止する方法も望まれている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−26522号公報
【特許文献2】特開2008−162951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クモの巣張りを防止する方法としては、特許文献1や2に記載の方法も知られているが、屋内の使用が制限されていたり、屋外では雨等による効力低下等の欠点を有していた。
本発明は、誰にでも安全にかつ簡便な作業でき、クモの巣張りを防止したい場所に適用できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、本発明に至った。
即ち、本発明は以下のものである。
[発明1]
クモの巣、若しくはクモの巣張りに適した場所に、式(1)

〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基、2,2−ジクロロビニル基、1−プロペニル基又は2−メチル−1−プロペニル基を表し、R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を設置することを特徴とするクモの巣張り防止方法。
[発明2]
式(1)において、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基である発明1記載の方法。
[発明3]
式(1)において、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基であり、R3がメトキシメチル基である発明1記載の方法。
[発明4]
家屋の屋根裏又は軒下、或いは樹木の地上部に、式(1)で示されるエステル化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を設置することを特徴とする、当該場所におけるクモがクモの巣をつくることを防止する方法。
[発明5]
熱可塑性樹脂に式(1)で示されるエステル化合物が練り込まれてなるクモの巣張り防止剤(以下、本樹脂組成物と記す)。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法は、クモやクモの巣に対して直接薬剤を施用することなく、一般消費者であっても簡便に作業することができる。本方法により、長期間に渉って、景観上好ましくないクモの巣を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本樹脂組成物において使用される熱可塑性樹脂としては、[1]エチレン又はプロピレンと不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルとの共重合体、又は[2]ポリ塩化ビニル系重合体であることが好ましい。
[1]エチレン又はプロピレンと不飽和カルボン酸エステル又はカルボン酸ビニルエステルとの共重合体としては、具体的には、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸メチル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びプロピレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。本発明においては、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましく、練りこまれる本エステル化合物の全量に対して、メタクリル酸メチルの量が1〜10重量%となるような共重合体が更に好ましい。
[2]ポリ塩化ビニル系重合体としては、具体的には、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−酢酸ビニル三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体への塩化ビニルグラフト共重合体)が挙げられる。
【0008】
本樹脂組成物に対して使用することのできる本エステル化合物は、EP0060617号明細書、特開2000−63329号公報、特開2001−11022号公報、特開昭63−203649号公報、特開平7−17916号公報等に記載された化合物であり、例えば該公報に記載された方法で製造することができる。
本エステル化合物には不斉炭素に基づく異性体が存在し、また炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0009】
本エステル化合物としては、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=1R−トランス−2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル=1R−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル=1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
【0010】
本発明において、本エステル化合物としては、式(1)において、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基であるエステル化合物が好ましく、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基であり、R3がメトキシメチル基である化合物が更に好ましい。
【0011】
本樹脂組成物は、本エステル化合物が熱可塑性樹脂に練り込まれてなる樹脂組成物であるが、本エステル化合物の徐放性を損なわない範囲で、樹脂に通常添加する助剤を含有していてもよく、当該助剤として可塑剤、軟化剤、安定剤、防汚剤、顔料、染料、脱臭剤、芳香剤、界面活性剤、発泡剤、無機充填剤等が挙げられる。
【0012】
本樹脂組成物において、本エステル化合物の含有量は通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7.0重量%の範囲である。
【0013】
本樹脂組成物は、例えば本エステル化合物と、熱可塑性樹脂とを混合・混練し、得られる混練物を通常の成形方法(熱可塑性樹脂に適用される押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、回転成形等の成形方法)にて、賦形することにより製造することができる。
また、本樹脂組成物は前記により賦形された成形体をスリット加工、スライス加工、ペレット加工等の二次加工により形状を変更されたものであってもよい。
【0014】
このようにして製造される本樹脂組成物の形状は、例えばフィルム状、シート状、板状、繊維状、網状、格子状及び粒状等が挙げられる。
シート状の本樹脂組成物は更に成形、穿孔等による1個以上の開孔部を有することが好ましい。シート状の本樹脂組成物における開孔率は、該開孔部の合計で好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜85%であり、製造効率の点からは前記の開孔率を有する網状又は格子状の成形体、あるいは該成形体の二次加工物であることが好ましい。
【0015】
本樹脂組成物は、クモが巣を張ったことがある場所の周辺に設置するか、巣張りに適した場所やクモが好んで近づく場所の付近に、設置することにより使用する。
また、本樹脂組成物は徘徊性のクモに対しても、忌避的な効果を有する場合があるので、クモに侵入してほしくない場所の入り口付近に本樹脂組成物を設置することにより、徘徊性のクモの侵入を阻止することもできる。
本発明のクモの巣張り防止方法において、設置する本樹脂組成物の大きさは、本樹脂組成物の形状や設置場所における風通し等の諸条件により適宜変化させることができるが、通常クモの巣張りを防止したい空間1m3当り、本樹脂組成物中の本エステル化合物として0.01g、好ましくは0.1g以上である。本樹脂組成物は、クモの巣張りを防止したい場所に1箇所または複数箇所設置する。
本樹脂組成物の設置場所の具体例としては、例えば、普段出入りの少ない部屋、押入れ、廊下の隅、屋根裏、軒下、玄関、窓、天窓、ベランダ、小屋組み等の場所や、物置の中、街路や庭等に植えられた樹木の地上部が挙げられる。
本樹脂組成物の設置方法としては、例えば壁や天井から吊り下げる方法、壁に貼り付ける方法、樹木の枝に吊り下げる方法等、玄関等の開口箇所の床面に置く等の方法が挙げられる。
【0016】
本樹脂組成物において、本エステル化合物は長時間に渉って徐々に放出される為、一般消費者であっても安心して設置することが可能である。
【0017】
本樹脂組成物が効力を有するクモとしては、例えばイエオニグモ、オニグモ、ジョロウグモ、オオヒメグモ、イエユウレイグモ、シモングモ、コガネグモ、コガタコガネグモ、アシナガグモ、トガリアシナガグモ、ヒメアシナガグモ、ゴミグモ等の造網性のクモが挙げられる。また、本樹脂組成物が設置された空間への侵入を防止できる徘徊性のクモとしては、例えばアシダカグモ、アワセグモ、コアシダカグモ、ヒトエグモ、ハエトリグモ類、ユカタヤマシログモ、セアカゴケグモ、カバキコマチグモ等が挙げられる。
【実施例】
【0018】
以下、製剤例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
まず、本組成物の製剤例を示す。尚、実施例において、特に明記しない限り、部は質量部を意味する。
本樹脂組成物の具体的な使用形態を以下に例を挙げる。としては例えば下記のものが挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
図1は本エステル化合物を熱可塑性樹脂と混合・混練したものを押出成形し、所望の長さに切断して筒状体としたものである。
図2は当該筒状体を切断してシート状としたものに、取り付けようの紐を付加したものである。
図3はシート状の本樹脂組成物を家屋の軒下に設置した状態を示したものである。このように本樹脂組成物を軒下に設置することにより、クモが巣を張ることを阻害することができる。
【0019】
製造例1
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学工業株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を射出成形機から金型を介して成形することにより、縦10.9cm。横7.9cm、厚み4.6mmでかつ縦5.6mm、横5.25mmの角穴が空いている格子状のメッシュシート(開孔率65%、図7参照)である成形体(以下、本発明防除剤(1)と記す。)を得た。
【0020】
製造例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学工業株式会社製)18重量部、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット80重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約1.5mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(2)と記す。)を得た。
【0021】
製造例3
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%、商品名:アクリフトWD301、住友化学工業株式会社製)95重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
次いで、このペレットを練って得た練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約1.5mm、開孔率70%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ10cmに切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(3)と記す。)を得た。
【0022】
製造例4
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学工業株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(4)と記す。)を得た。
【0023】
製造例5
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学工業株式会社製)45重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット50重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット50重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出し、延伸することにより、一辺が約5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.83mm、開孔率82%)で直径約7cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(5)と記す。)を得た。
【0024】
製造例6
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学工業株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を横24cm、縦40cmのメッシュシート状(図2参照)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(6)と記す。)を得た。
【0025】
製造例7
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学工業株式会社製)28重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約7cmの円筒状となった成形体を得て、これを切断することにより、幅23cmの反物状ネットを得た。この成形体を横23cm、縦23cmの正方形のメッシュシート状に切断後、4つの直角2等辺三角形(短辺15cm、長辺23cm)に切断して本発明の害虫防除剤(以下、本発明防除剤(8)と記す。)を得た。
【0026】
製造例8
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学工業株式会社製)18重量部及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部を密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体)のペレット8kgとを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を得た。この成形体を長さ20cmに切断して本発明の害虫防除剤(図1参照、以下、本発明防除剤(7)と記す。)を得た。
【0027】
試験例1
平均的一般家庭の庭において、樹木に張ったクモの巣(19箇所)を物理的に除去した。その後、直ちに製造例1に従って製造した本発明防除剤(1)を5cm×5cmの正方形に切ったネットを、元あったクモの巣から約1m離れた位置に以下のように設置した。
6箇所は当該ネットを1枚ずつ。4箇所は2枚ずつ設置した。残りの9箇所は無処理区である。
その後、3週間後にクモの巣張り状況を調査した。調査結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

注) (処理区のクモの巣生成率)
クモの巣張り防止率={1― ―――――――――――――――}×100
(無処理区のクモの巣生成率)
【0029】
本発明防除剤(1)を設置した区では、クモの巣張りは無処理区に比べて、明らかに低下していた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の方法はクモに巣張りをさせたくない場所の周辺に設置するだけで、景観上好ましくないクモの巣を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本樹脂組成物の実施例のひとつ
【図2】本樹脂組成物の実施例のひとつ
【図3】家屋の軒先に本樹脂組成物を取り付けた実施例
【符号の説明】
【0032】
1…本樹脂組成物
2…取り付け用紐
5…取り付け用フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クモの巣、若しくはクモの巣張りに適した場所に、式(1)

〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はメチル基、2,2−ジクロロビニル基、1−プロペニル基又は2−メチル−1−プロペニル基を表し、R3が水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
で示されるエステル化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を設置することを特徴とするクモの巣張り防止方法。
【請求項2】
式(1)において、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基である請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(1)において、R1が水素原子であり、R2が1−プロペニル基であり、R3がメトキシメチル基である請求項1記載の方法。
【請求項4】
家屋の屋根裏又は軒下、或いは樹木の地上部に、式(1)で示されるエステル化合物が練り込まれてなる熱可塑性樹脂組成物を設置することを特徴とする、当該場所におけるクモがクモの巣をつくることを防止する方法。
【請求項5】
熱可塑性樹脂に式(1)で示されるエステル化合物が練り込まれてなるクモの巣張り防止剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−143863(P2010−143863A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323469(P2008−323469)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(390000527)住化ライフテク株式会社 (54)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】