クラムシェルバケット装置

【課題】アタッチメントとして使用されるクラムシェルバケットの製作費が低減するクラムシェルバケット装置を得る。
【解決手段】左右のバケット(21a,21b)を回動可能に連結する連結部材(23)を設け、建設機械のアーム(6)先端部に懸垂部材(27)を吊り下げ連結し、前記連結部材(23)の上部と前記懸垂部材(27)の下部とに、互いに係脱可能な係合部材(25)を設ける。また、前記懸垂部材を上下に長い吊り金具(27)とし、該吊り金具(27)の下部と連結部材(23)の上部とに、互いに係脱可能な係合部材(25)を設け、前記吊り金具(27)に左右のバケット(21a,21b)を開閉させる油圧シリンダ(30)を設ける。
【解決手段】左右のバケット(21a,21b)を回動可能に連結する連結部材(23)を設け、建設機械のアーム(6)先端部に懸垂部材(27)を吊り下げ連結し、前記連結部材(23)の上部と前記懸垂部材(27)の下部とに、互いに係脱可能な係合部材(25)を設ける。また、前記懸垂部材を上下に長い吊り金具(27)とし、該吊り金具(27)の下部と連結部材(23)の上部とに、互いに係脱可能な係合部材(25)を設け、前記吊り金具(27)に左右のバケット(21a,21b)を開閉させる油圧シリンダ(30)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に建設機械のアームの先端部に取り付けられて縦坑の掘削、あるいは排水溝、湖沼等に体積した汚泥の排出を行なうクラムシェルバケット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として特許文献1、即ち、図13に示すものがあった。図13において、1は油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体2に運転室4、エンジン等を有する上部旋回体3が旋回可能に搭載され、該上部旋回体3にブーム5が俯仰可能に連結され、該ブーム5の先端部にアーム6が上下回動可能に連結され、該アーム6の先端部にクラムシェルバケット装置10が吊り下げ連結されている。
【0003】
前記クラムシェルバケット装置10は、三角形状に形成された一対の標準バケット11a,11bを左右に対面させ、該対面側の上辺を油圧シリンダ12のロッド12b下端に固着した可動ブラケット13にピンP1を介して回動可能に連結し、前記上辺の左右中間部と前記油圧シリンダ12のチューブ12a上部とを、左右一対のリンク14a,14b及びピンP2,P3を介して回動可能に連結する。また、前記各標準バケット11a,11bの下部に広幅な追加バケット15a,15b を取り付ける。
【0004】
そして、前記油圧シリンダ12のチューブ12aの上端を油圧ショベル1のアーム6の下端部にジョイント7を介してピン連結することにより、クラムシェルバケット装置10をアーム6の先端部に吊り下げ連結する。
【0005】
前記特許文献1は、油圧シリンダ12のロッド12bの下端に可動ブラケット13を固着し、該可動ブラケット13にピンP1を介して左右の標準バケット11a,11bを連結するようにしていたので、他形式のバケットと交換する際には、標準バケット11a,11bと油圧シリンダ12とをユニットにした状態でアーム6から取り外し、また、該アーム6に他形式のバケットを取り付ける際には、該バケットとこれに対応する油圧シリンダとをユニットにした状態で取り付ける必要がある。
【0006】
このため、前記特許文献1は、排水溝の溝幅、あるいは縦坑の径等に対応させるために、多種類のクラムシェルバケットを製作しようとすると、これの製作費が高価になるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−194765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アタッチメントとして使用されるクラムシェルバケットの製作費が低減する新規なクラムシェルバケット装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために以下の如く構成したものである。即ち、請求項1に係る発明は、左右のバケットを回動可能に連結する連結部材を設け、建設機械のアーム先端部に懸垂部材を吊り下げ連結し、前記連結部材の上部と前記懸垂部材の下部とに、互いに係脱可能な係合部材を設ける構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、懸垂部材を上下に長い吊り金具とし、該吊り金具の下部と連結部材の上部とに、互いに係脱可能な係合部材を設け、前記吊り金具に左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、左右のバケットの開状態を保持するロック装置を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の請求項1に係る発明は、左右のバケットを連結部材により回動可能に連結し、該連結部材を建設機械のアーム先端部に設けた懸垂部材に取り付け、取り外しできるようにしたので、左右のバケットを開閉させる油圧シリンダをバケットから分離してアーム側に取り付け、該油圧シリンダを形式の異なるバケットに流用することができる。これにより、形式の異なる多種類のクラムシェルバケットの製作費を安価にすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、アーム先端部に設けた吊り金具に左右のバケットを連結する連結部材、及び左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けるようにしたので、形式の異なる多種類のクラムシェルバケットの製作費を安価にすることができるとともに、左右のバケットを常に吊り金具の上下軸線を中心として開閉させることができ、クラムシェルバケットの掘削動作あるいは排出動作の姿勢が安定することになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、ロック装置を作動させると、左右のバケットの開状態が保持されることになる。これにより、クラムシェルバケットの地面への載置が安定し、該クラムシェルバケットの建設機械への取り付け、取り外しが安全に行なえることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のクラムシェルバケットが適用された油圧ショベルの正面図である。
【図2】図1のクラムシェルバケット部の正面図である。
【図3】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)はクラムシェルバケットの開状態を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図4】クラムシェルバケットが取り外された懸垂部材部の正面図である。
【図5】クラムシェルバケット単体の開状態を示す正面図である。
【図6】図5のVI-VI相当の断面図である。
【図7】縦坑用クラムシェルバケット単体の開状態を示す正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)は連結部材と懸垂部材との係合部の第2例を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図10】連結部材と懸垂部材との係合部の第3例を示す正面図である。
【図11】図10のXI-XI相当の要部拡大断面図である。
【図12】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)は連結部材と懸垂部材との係合部の第4例を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図13】従来のクラムシェルバケットが適用された油圧ショベルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、1は油圧ショベルであり、従来と同様に、クローラ式の下部走行体2に運転室4、エンジン等を有する上部旋回体3が旋回可能に搭載され、該上部旋回体3にブーム5が俯仰可能に連結され、該ブーム5の先端部にアーム6が上下回動可能に連結されている。
【0015】
前記アーム6の先端(下端)部にクラムシェルバケット装置20が吊り下げ連結されている。該クラムシェルバケット装置20は排水溝あるいは湖沼等に体積した汚泥の排出を行なうもので、、図1〜図3に示すようになっている。即ち、平面視長方形状となる左右一対のバケット21(21a,21b)を対面させ、リンク機構22を介して連結部材23に回動可能に連結する。連結部材23は正面視台形状に形成した2枚の板材を正面−背面方向に配置して前記リンク機構22の基部側(各バケット21a,21bの対面側)を支持する。
【0016】
前記連結部材23の上端部に方形の当接板24を固着し、該当接板24の、図3において左右端部に係合部材25の他方をなす下係合片25bを固着する。該下係合片25bは倒立L形に屈曲した金具を対向させてなる。
【0017】
一方、前記アーム6の下端部にジョイント7を介して上下に細長い吊り金具(懸垂部材)27を回動可能に垂下連結し、該吊り金具27の下端部に係合部材25の一方をなす上係合片25aを固着する。該上係合片25aは、図3に示すように、方形の板金材からなり、その左右端を吊り金具27の下端から外側方に突出させ、該突出部に前記下係合片25bを係合(嵌合)させる。
【0018】
そして、図3(B)に示すように、ボルト26を上側から下係合片25b、次いで上係合片25aに挿通した後、その下端部を当接板24にねじ込み、前記下係合片25bの上片25b−1を弾性変形させることにより、該上片25b−1と当接板24とで上係合片25aを挟持する。
【0019】
前記吊り金具27にバケット21作動用の油圧シリンダ30(30−1,30−2)を連結する。該油圧シリンダ30は、図2に示すように、吊り金具27の、各バケット21a,21bに対応する左右(前後)に2個配置し、左部の油圧シリンダ30−1はそのロッド30bの端部(上端)を吊り金具27の上端部にピンP5を介して回動可能に連結し、シリンダ30aの頭部(下端)を左部のバケット21aを回動させる左部リンク22aにピンP6を介して回動可能に連結する。同様に、右部の油圧シリンダ30−2はそのロッド30bの端部を吊り金具27の上端部にピンP5を介して回動可能に連結し、シリンダ30aの頭部を右部のバケット21bを回動させる右部リンク22bにピンP6を介して回動可能に連結する。
【0020】
また、図5、図6に示すように、前記左右のバケット21a,21bを開いた状態に保持するロック装置33を設ける。即ち、図6に示すように、連結部材23と、リンク機構22のうちの右部リンク22bとに、左右のバケット21a,21bが予め設定された角度に開いた際、本例では全開した際に合致するピン孔34を形成し、該ピン孔34に抜き差し可能に嵌合するロックピン35を設けてなる。36はロックピン35の抜け止めピンである。
【0021】
前記ロック装置33は、バケット(クラムシェルバケット)21を油圧ショベル1のアーム6に取り付け、または取り外す際に使用されるもので、該ロック装置33により左右のバケット21a,21bを開いた状態に保持することにより、バケット21が地面に安定して載置され、係合部材25の係脱作業及びバケット21と油圧シリンダ30との係脱作業が安全に行なえることになる。なお、前述したピン孔34は、連結部材23と左部リンク22aとに形成するようにしてもよい。
【0022】
図7、図8において、20−1は縦坑を掘削するクラムシェルバケット装置であり、外側が平面視円弧状となる左右一対のバケット21−1(21a−1,21b−1)を対面させ、前述と同様のリンク機構22を介して連結部材23に回動可能に連結したものである。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【0023】
図9は係合部材25の第2例を示す。即ち、吊り金具27の下端に固着した平板状の上係合片25aの端部を吊り金具27から側方に突出させ、該突出部に複数のボルト孔を所定ピッチで形成し、一方、連結部材23の上端に固着した平板状の下係合片25bに前記各ボルト孔と対面するねじ孔を形成する。この状態で図9(B)に示すように、前記上係合片25aを下係合片25bに重ね合わせて各ボルト孔とねじ孔を合致させ、ボルト26を前記ボルト孔からねじ孔に向けて挿通し、その下端部をねじ孔にねじ込み、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。
【0024】
図10,図11は係合部材25の第3例を示す。即ち、吊り金具27の下端に平板状の上係合片25aを固着するとともに、吊り金具27から側方に突出した両側端部を、その上面25a−2が図11に示すように左端から右端に向かって上方に傾斜する楔片25a−1とする。一方、連結部材23の上端に固着した平板状の当接板24の両側端部に、前記各楔片25a−1に嵌合係止する一対の鉤形の下係合片25bを固着し、該下係合片25bを前記楔片25a−1に嵌合させるとともに、締めボルト26−1により下係合片25bを図11において右方(圧入方向)に締め付け、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【0025】
図12は係合部材25の第4例を示す。即ち、吊り金具27をパイプ材で形成してその下端部の中空嵌合部25aを本願でいう上係合片とし、該中空嵌合部25aに、同図(B)に示すように、水平方向のピン孔を形成する。一方、連結部材23の上端に固着した平板状の当接板24の中心部に、前記中空嵌合部25aに嵌合する段付きパイプ状の下係合片25bを起立固定し、該下係合片25bの小径側上部を前記中空嵌合部25aに嵌合させるとともに、前記ピン孔に連結ピン28を挿通し、該連結ピン28の端部に抜け止めピン29を挿通し、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【符号の説明】
【0026】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 運転室
5 ブーム
6 アーム
20 クラムシェルバケット装置
21 クラムシェルバケット
21a 左部のバケット
21b 右部のバケット
22 リング機構
23 連結部材
24 当接板
25 係合部材
25a 上係合片
25b 下係合片
25b−1 上片
26 ボルト
27 吊り金具
28 連結ピン
29 抜け止めピン
30 油圧シリンダ
30a シリンダ
30b ロッド
31a,31b ブラケット
33 ロック装置
34 ピン孔
35 ロックピン
36 抜け止めピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特に建設機械のアームの先端部に取り付けられて縦坑の掘削、あるいは排水溝、湖沼等に体積した汚泥の排出を行なうクラムシェルバケット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として特許文献1、即ち、図13に示すものがあった。図13において、1は油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体2に運転室4、エンジン等を有する上部旋回体3が旋回可能に搭載され、該上部旋回体3にブーム5が俯仰可能に連結され、該ブーム5の先端部にアーム6が上下回動可能に連結され、該アーム6の先端部にクラムシェルバケット装置10が吊り下げ連結されている。
【0003】
前記クラムシェルバケット装置10は、三角形状に形成された一対の標準バケット11a,11bを左右に対面させ、該対面側の上辺を油圧シリンダ12のロッド12b下端に固着した可動ブラケット13にピンP1を介して回動可能に連結し、前記上辺の左右中間部と前記油圧シリンダ12のチューブ12a上部とを、左右一対のリンク14a,14b及びピンP2,P3を介して回動可能に連結する。また、前記各標準バケット11a,11bの下部に広幅な追加バケット15a,15b を取り付ける。
【0004】
そして、前記油圧シリンダ12のチューブ12aの上端を油圧ショベル1のアーム6の下端部にジョイント7を介してピン連結することにより、クラムシェルバケット装置10をアーム6の先端部に吊り下げ連結する。
【0005】
前記特許文献1は、油圧シリンダ12のロッド12bの下端に可動ブラケット13を固着し、該可動ブラケット13にピンP1を介して左右の標準バケット11a,11bを連結するようにしていたので、他形式のバケットと交換する際には、標準バケット11a,11bと油圧シリンダ12とをユニットにした状態でアーム6から取り外し、また、該アーム6に他形式のバケットを取り付ける際には、該バケットとこれに対応する油圧シリンダとをユニットにした状態で取り付ける必要がある。
【0006】
このため、前記特許文献1は、排水溝の溝幅、あるいは縦坑の径等に対応させるために、多種類のクラムシェルバケットを製作しようとすると、これの製作費が高価になるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−194765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アタッチメントとして使用されるクラムシェルバケットの製作費が低減する新規なクラムシェルバケット装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために以下の如く構成したものである。即ち、請求項1に係る発明は、左右のバケットを回動可能に連結する連結部材を設け、建設機械のアーム先端部に懸垂部材を吊り下げ連結し、前記連結部材の上部と前記懸垂部材の下部とに、互いに係脱可能な係合部材を設ける構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、懸垂部材を上下に長い吊り金具とし、該吊り金具の下部と連結部材の上部とに、互いに係脱可能な係合部材を設け、前記吊り金具に左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、左右のバケットの開状態を保持するロック装置を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の請求項1に係る発明は、左右のバケットを連結部材により回動可能に連結し、該連結部材を建設機械のアーム先端部に設けた懸垂部材に取り付け、取り外しできるようにしたので、左右のバケットを開閉させる油圧シリンダをバケットから分離してアーム側に取り付け、該油圧シリンダを形式の異なるバケットに流用することができる。これにより、形式の異なる多種類のクラムシェルバケットの製作費を安価にすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、アーム先端部に設けた吊り金具に左右のバケットを連結する連結部材、及び左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けるようにしたので、形式の異なる多種類のクラムシェルバケットの製作費を安価にすることができるとともに、左右のバケットを常に吊り金具の上下軸線を中心として開閉させることができ、クラムシェルバケットの掘削動作あるいは排出動作の姿勢が安定することになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、ロック装置を作動させると、左右のバケットの開状態が保持されることになる。これにより、クラムシェルバケットの地面への載置が安定し、該クラムシェルバケットの建設機械への取り付け、取り外しが安全に行なえることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のクラムシェルバケットが適用された油圧ショベルの正面図である。
【図2】図1のクラムシェルバケット部の正面図である。
【図3】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)はクラムシェルバケットの開状態を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図4】クラムシェルバケットが取り外された懸垂部材部の正面図である。
【図5】クラムシェルバケット単体の開状態を示す正面図である。
【図6】図5のVI-VI相当の断面図である。
【図7】縦坑用クラムシェルバケット単体の開状態を示す正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)は連結部材と懸垂部材との係合部の第2例を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図10】連結部材と懸垂部材との係合部の第3例を示す正面図である。
【図11】図10のXI-XI相当の要部拡大断面図である。
【図12】クラムシェルバケット部の正面図であり、(A)は連結部材と懸垂部材との係合部の第4例を示す正面図、(B)はその要部拡大断面図である。
【図13】従来のクラムシェルバケットが適用された油圧ショベルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、1は油圧ショベルであり、従来と同様に、クローラ式の下部走行体2に運転室4、エンジン等を有する上部旋回体3が旋回可能に搭載され、該上部旋回体3にブーム5が俯仰可能に連結され、該ブーム5の先端部にアーム6が上下回動可能に連結されている。
【0015】
前記アーム6の先端(下端)部にクラムシェルバケット装置20が吊り下げ連結されている。該クラムシェルバケット装置20は排水溝あるいは湖沼等に体積した汚泥の排出を行なうもので、、図1〜図3に示すようになっている。即ち、平面視長方形状となる左右一対のバケット21(21a,21b)を対面させ、リンク機構22を介して連結部材23に回動可能に連結する。連結部材23は正面視台形状に形成した2枚の板材を正面−背面方向に配置して前記リンク機構22の基部側(各バケット21a,21bの対面側)を支持する。
【0016】
前記連結部材23の上端部に方形の当接板24を固着し、該当接板24の、図3において左右端部に係合部材25の他方をなす下係合片25bを固着する。該下係合片25bは倒立L形に屈曲した金具を対向させてなる。
【0017】
一方、前記アーム6の下端部にジョイント7を介して上下に細長い吊り金具(懸垂部材)27を回動可能に垂下連結し、該吊り金具27の下端部に係合部材25の一方をなす上係合片25aを固着する。該上係合片25aは、図3に示すように、方形の板金材からなり、その左右端を吊り金具27の下端から外側方に突出させ、該突出部に前記下係合片25bを係合(嵌合)させる。
【0018】
そして、図3(B)に示すように、ボルト26を上側から下係合片25b、次いで上係合片25aに挿通した後、その下端部を当接板24にねじ込み、前記下係合片25bの上片25b−1を弾性変形させることにより、該上片25b−1と当接板24とで上係合片25aを挟持する。
【0019】
前記吊り金具27にバケット21作動用の油圧シリンダ30(30−1,30−2)を連結する。該油圧シリンダ30は、図2に示すように、吊り金具27の、各バケット21a,21bに対応する左右(前後)に2個配置し、左部の油圧シリンダ30−1はそのロッド30bの端部(上端)を吊り金具27の上端部にピンP5を介して回動可能に連結し、シリンダ30aの頭部(下端)を左部のバケット21aを回動させる左部リンク22aにピンP6を介して回動可能に連結する。同様に、右部の油圧シリンダ30−2はそのロッド30bの端部を吊り金具27の上端部にピンP5を介して回動可能に連結し、シリンダ30aの頭部を右部のバケット21bを回動させる右部リンク22bにピンP6を介して回動可能に連結する。
【0020】
また、図5、図6に示すように、前記左右のバケット21a,21bを開いた状態に保持するロック装置33を設ける。即ち、図6に示すように、連結部材23と、リンク機構22のうちの右部リンク22bとに、左右のバケット21a,21bが予め設定された角度に開いた際、本例では全開した際に合致するピン孔34を形成し、該ピン孔34に抜き差し可能に嵌合するロックピン35を設けてなる。36はロックピン35の抜け止めピンである。
【0021】
前記ロック装置33は、バケット(クラムシェルバケット)21を油圧ショベル1のアーム6に取り付け、または取り外す際に使用されるもので、該ロック装置33により左右のバケット21a,21bを開いた状態に保持することにより、バケット21が地面に安定して載置され、係合部材25の係脱作業及びバケット21と油圧シリンダ30との係脱作業が安全に行なえることになる。なお、前述したピン孔34は、連結部材23と左部リンク22aとに形成するようにしてもよい。
【0022】
図7、図8において、20−1は縦坑を掘削するクラムシェルバケット装置であり、外側が平面視円弧状となる左右一対のバケット21−1(21a−1,21b−1)を対面させ、前述と同様のリンク機構22を介して連結部材23に回動可能に連結したものである。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【0023】
図9は係合部材25の第2例を示す。即ち、吊り金具27の下端に固着した平板状の上係合片25aの端部を吊り金具27から側方に突出させ、該突出部に複数のボルト孔を所定ピッチで形成し、一方、連結部材23の上端に固着した平板状の下係合片25bに前記各ボルト孔と対面するねじ孔を形成する。この状態で図9(B)に示すように、前記上係合片25aを下係合片25bに重ね合わせて各ボルト孔とねじ孔を合致させ、ボルト26を前記ボルト孔からねじ孔に向けて挿通し、その下端部をねじ孔にねじ込み、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。
【0024】
図10,図11は係合部材25の第3例を示す。即ち、吊り金具27の下端に平板状の上係合片25aを固着するとともに、吊り金具27から側方に突出した両側端部を、その上面25a−2が図11に示すように左端から右端に向かって上方に傾斜する楔片25a−1とする。一方、連結部材23の上端に固着した平板状の当接板24の両側端部に、前記各楔片25a−1に嵌合係止する一対の鉤形の下係合片25bを固着し、該下係合片25bを前記楔片25a−1に嵌合させるとともに、締めボルト26−1により下係合片25bを図11において右方(圧入方向)に締め付け、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【0025】
図12は係合部材25の第4例を示す。即ち、吊り金具27をパイプ材で形成してその下端部の中空嵌合部25aを本願でいう上係合片とし、該中空嵌合部25aに、同図(B)に示すように、水平方向のピン孔を形成する。一方、連結部材23の上端に固着した平板状の当接板24の中心部に、前記中空嵌合部25aに嵌合する段付きパイプ状の下係合片25bを起立固定し、該下係合片25bの小径側上部を前記中空嵌合部25aに嵌合させるとともに、前記ピン孔に連結ピン28を挿通し、該連結ピン28の端部に抜け止めピン29を挿通し、前記上係合片25aと下係合片25bとを一体的に連結する。その他は図1〜図6に記載したものと略同様の構造となっている。
【符号の説明】
【0026】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 運転室
5 ブーム
6 アーム
20 クラムシェルバケット装置
21 クラムシェルバケット
21a 左部のバケット
21b 右部のバケット
22 リング機構
23 連結部材
24 当接板
25 係合部材
25a 上係合片
25b 下係合片
25b−1 上片
26 ボルト
27 吊り金具
28 連結ピン
29 抜け止めピン
30 油圧シリンダ
30a シリンダ
30b ロッド
31a,31b ブラケット
33 ロック装置
34 ピン孔
35 ロックピン
36 抜け止めピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のバケットを回動可能に連結する連結部材を設け、建設機械のアーム先端部に懸垂部材を吊り下げ連結し、前記連結部材の上部と前記懸垂部材の下部とに、互いに係脱可能な係合部材を設けたことを特徴するクラムシェルバケット装置。
【請求項2】
懸垂部材を上下に長い吊り金具とし、該吊り金具の下部と連結部材の上部とに、互いに係脱可能な係合部材を設け、前記吊り金具に左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けたことを特徴する請求項1記載のクラムシェルバケット装置。
【請求項3】
左右のバケットの開状態を保持するロック装置を設けたことを特徴する請求項1又は2記載のクラムシェルバケット装置。
【請求項1】
左右のバケットを回動可能に連結する連結部材を設け、建設機械のアーム先端部に懸垂部材を吊り下げ連結し、前記連結部材の上部と前記懸垂部材の下部とに、互いに係脱可能な係合部材を設けたことを特徴するクラムシェルバケット装置。
【請求項2】
懸垂部材を上下に長い吊り金具とし、該吊り金具の下部と連結部材の上部とに、互いに係脱可能な係合部材を設け、前記吊り金具に左右のバケットを開閉させる油圧シリンダを設けたことを特徴する請求項1記載のクラムシェルバケット装置。
【請求項3】
左右のバケットの開状態を保持するロック装置を設けたことを特徴する請求項1又は2記載のクラムシェルバケット装置。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【公開番号】特開2011−63952(P2011−63952A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213517(P2009−213517)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(591059146)丸順重工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(591059146)丸順重工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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