説明

クランプ

【課題】カバーがハウジングから浮いた状態であっても、確実にカバーを組み付け状態にロックする。
【解決手段】バネ部11を回動させる過程では、バネ部11の先端から屈曲状に延出する脚部14が、バネ部11側へ接近するように弾性変位しながら、脚部14の先端の押圧部16がカバー22の誘導面28上を係止凹部27に向かって摺動し、押圧部16は係止凹部27に到達する。このとき、カバー22がハウジング21から浮いた状態であれば、この後の更なるバネ部11の回動に伴い、押圧部16が係止凹部27を押圧することによって、カバー22がハウジング21に接近する方向へ押し動かされるので、ハウジング21に対するカバー22の組付けが進む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エアクリーナを構成するハウジングとカバーとを組付状態にロックするためのクランプについて記載されている。このクランプは、基端部においてハウジングに回動可能に支持されるバネ部と、バネ部の先端部に形成した屈曲状の押圧部とを有しており、ハウジングに組み付けたカバーの外面の係止凹部を、バネ部の弾力を利用して押圧部で押圧することにより、カバーのハウジングからの離脱を規制するようになっている。
【特許文献1】特開平8−320006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このエアクリーナでは、カバーを組み付ける際に、ハウジング内に収容したクリーナエレメントをカバーで潰すように変形させるのであるが、クリーナエレメントの潰し量が少ないと、カバーがハウジングから浮いた状態となる。この場合、ハウジングにおけるバネ部の回動支点と、カバーの押圧部との距離が、正規の組み付け状態よりも大きくなり、その結果、バネ部をカバー側へ回動させたときに、押圧部が、カバーの係止凹部の外壁を乗り越えることができなくなる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、カバーがハウジングから浮いた状態であっても、確実にカバーを組み付け状態にロックできるクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ハウジングに対しガイドされつつ組み付けられたカバーを組み付け状態にロックするためのクランプであって、凹面が形成されるように湾曲させた金属材からなり、基端部には回動支点部が形成され、前記凹面を前記ハウジング及び前記カバーの外面と対向させた状態で、前記回動支点部において前記ハウジングに対して回動可能に支持されるバネ部と、前記バネ部の先端から前記凹面側へ屈曲するように延出し、延出端には、前記カバーの外面の係止凹部に対して前記ハウジングへの組付方向と同方向へ押圧可能な押圧部が形成され、前記バネ部の先端の屈曲部を支点として前記バネ部に接近するように弾性的に揺動変位することが可能な脚部とを備えており、前記ハウジングに支持された前記バネ部を前記ハウジング及び前記カバーの外面に接近させる方向へ回動させる過程では、前記押圧部が、前記カバーの外面における前記係止凹部と連なる誘導面に当接することで、前記脚部が前記バネ部に接近するように弾性変位しながら、前記押圧部が前記誘導面上を前記係止凹部側へ摺動するようになっているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記バネ部を前記ハウジング及び前記カバーの外面側へ押し操作することを可能にする操作片が設けられているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記操作片が、前記バネ部及び前記脚部と一体に形成されているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記操作片が、前記脚部を部分的に切り起こすことによって形成されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記操作片の切り起こし領域が、前記屈曲部を含んでいるところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記操作片が、前記屈曲部の近傍に配されているところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれから記載のものにおいて、前記金属材が、バネ材からなるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
<請求項1及び請求項7の発明>
バネ部を回動させる過程では、脚部がバネ部側へ接近するように弾性変位しながら、押圧部が誘導面上を係止凹部に向かって摺動し、押圧部は係止凹部に到達する。このとき、カバーがハウジングから浮いた状態であれば、この後の更なるバネ部の回動に伴い、押圧部が係止凹部を押圧することによって、カバーがハウジングに接近する方向へ押し動かされるので、ハウジングに対するカバーの組付けが進む。
カバーがハウジングに対して正規の組み付け状態に至った後は、バネ部がその回動に伴って弾性撓みしていき、その弾性撓みに起因する弾性復元力は、回動支点部と屈曲部とを結ぶ仮想線が押圧部と重なる状態において最大となる。この状態から、バネ部が更にカバー側へ回動されると、バネ部の弾性復元力によってバネ部と脚部がカバーの外面に押し付けられた状態に保持され、押圧部が係止凹部を押圧する状態にロックされる。
バネ部をハウジング及びカバーの外面に接近させる方向へ回動させる過程では、脚部の押圧部が、カバーの外面における係止凹部と連なる誘導面に当接することで、脚部がバネ部に接近するように弾性変位しながら、押圧部が誘導面上を係止凹部側へ摺動するようになっているので、カバーがハウジングから浮いた状態であっても、バネ部の回動によってカバーを確実にハウジングに組み付けることができる。
【0008】
<請求項2の発明>
操作片を設けたことにより、バネ部を容易且つ確実に回動させることができるので、作業性がよい。
<請求項3の発明>
操作片がバネ部及び脚部と一体に形成されているので、操作片を、バネ部及び脚部とは別体としたものに比べると、部品点数が少なくて済む。
<請求項4の発明>
操作片を切り起こす領域は、バネ部ではなく、脚部としたので、操作片の切り起こしに起因してバネ部の弾力の低下を来すことはない。
【0009】
<請求項5の発明>
カバーが組み付けられた状態では、バネ部の弾性復元力が屈曲部の弾性復元力を上回ることにより、バネ部は、脚部をバネ部に接近させてカバーの外面に押し付ける状態を保ち、これにより、カバーが組み付け状態にロックされる。屈曲部は、切り起こしによって弾性復元力が低下しているので、バネ部の弾性復元力によるロック機能の信頼性が高い。
<請求項6の発明>
屈曲部が、バネ部の回動の支点から最も遠い位置にあることに着目し、この屈曲部の近傍に操作片を配した。これにより、操作片に付与する回動操作力が低減されるので、作業性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。まず、本実施形態のクランプ10によって組付け状態にロックされるエアクリーナ20について説明する。エアクリーナ20は、上面が開放されたハウジング21と、このハウジング21に対してその開口を覆うように上から被せて組み付けられるカバー22と、ハウジング21とカバー22とによって包囲される空間内に収容される周知のエレメント(図示せず)とを備えて構成されている。エレメントをハウジング21内に収容し、そのエレメントの上にカバー22を載せた状態では、カバー22がハウジング21に対して正規の組付け高さよりも上方に浮いた状態となる。したがって、カバー22をハウジング21に組み付けるためには、ハウジング21とカバー22との間でエレメントを上下に潰す必要がある。
【0011】
また、ハウジング21の開口部における内周面はガイド部23となっており、潰れていないエレメントの上にカバー22を載せた状態では、カバー22の下端の外周縁がガイド部23の内側に嵌合され、このガイド部23のガイド機能により、カバー22は、ハウジング21に対して水平方向(ハウジング21に対する組付け方向と直角な方向)への相対移動を規制され、且つ上下方向(ハウジング21に対する組付け方向と平行な方向)への相対移動のみを許容された状態に案内される。また、ガイド部23の下端部には、カバー22が正規に組み付けられたときに、カバー22の下端を載置させることでカバー22の組み付けた高さを規定するストッパ24が形成されている。
【0012】
また、ハウジング21の外面には、そのストッパ24よりも低い位置から下方へ延出するリブ25が突出形成され、リブ25の上端部には、その左右両側面から軸線を左右方向(図4〜図7における紙面と直角な方向であって、ハウジング21に対するカバー22の組付け方向と直角な方向)に向けた一対の支持軸26が突出形成されている。
【0013】
一方、カバー22の外面には、軸線を左右方向に向けた略半円弧状に切欠されて上方へ開放された形態の係止凹部27が形成されている。係止凹部27は、カバー22がハウジング21に対して正規に組み付けられた状態において、ハウジング21の開口部の上端縁よりも少し上方に位置し、支持軸26のほぼ真上に位置している。詳しくは、支持軸26の軸心は、係止凹部27の円弧の中心よりも僅かに外面側に位置している。また、カバー22の外面における係止凹部27よりも上方の領域は、下端が係止凹部27の内面に対して滑らかに連なった誘導面28となっている。誘導面28は、側方から視て直線状をなし、上下方向(ハウジング21に対するカバー22の組付け方向)の線に対して15°程度、内側へ傾いている。換言すると、誘導面28は、外面側に向かって下る急勾配の斜面となっている。
【0014】
次に、クランプ10について説明する。
クランプ10は、全体として一定幅の細長い金属製のバネ材を曲げ加工したものであり、図1〜図3に示すように、バネ部11と脚部14と操作片17とを備えて構成されている。バネ部11は、全体として概ね一定曲率の円弧状に湾曲しており、バネ部11における曲げの内側の面は凹面12となっている。このバネ部11の弾性撓みしていない自由状態における円弧長は、このバネ部11の円弧と同心同径の円における1/3周程度の寸法となっている。バネ部11の基端部(下端部)における左右両端部には、円弧状に屈曲した形態をなす一対の回動支点部13が形成されている。かかるバネ部11は、その基端部と上端部との間の直線距離を変化させるとともに、凹面12の曲率を変化させるように弾性変形し得るようになっている。
【0015】
一方、バネ部11の先端部(上端部)には、一定幅であって斜め下方へ直線状に延出する脚部14が連なっている。脚部14は、バネ部11の上端から凹面12側へ屈曲され、弾性撓みしていない自由状態においては、バネ部11の上端部と脚部14とは90°よりも少し大きい角度をなして連なっており、このバネ部11と脚部14が連なる部分は屈曲部15となっている。脚部14の延出端には、その全幅に亘って涙形に曲げられた押圧部16が形成されている。この押圧部16のうち略円弧形をなす部分の外面の曲率は、カバー22の係止凹部27の内面とほぼ同じ曲率とされている。また、脚部14の長さは、バネ部11における基端部(回動支点部13)から先端部(屈曲部15)までの直線距離よりも短い寸法(約半分の寸法)とされている。
【0016】
操作片17は、脚部14を部分的に切り起こすことにより、バネ部11及び脚部14と一体をなすように形成されている。この切り起こし領域は、幅方向(左右方向)において中央部1/3の領域であり、脚部14の長さ方向においては押圧部16よりも少し屈曲部15寄りの位置(上方の位置)から屈曲部15に至る(屈曲部15を含む)略長方形の領域である。切り起こされた長方形の操作片17は、屈曲部15側においてバネ部11の上端に連なっており、屈曲部15を挟んで脚部14とは反対側へ延出されている。バネ部11、屈曲部15、脚部14が弾性撓みしていない自由状態においては、図2に示すように、脚部14と操作片17とは、ほぼ一直線状(面一状)に連なっており、操作片17とバネ部11の上端部とは90°よりも少し小さい角度をなしている。
【0017】
次に、本実施形態の作用を説明する。
ハウジング21にカバー22を組付け際には、まず、クランプ10をハウジング21に取り付ける。取付けに際しては、凹面12がハウジング21の外面と対向する向きにして、回動支点部13を支持軸26に嵌合する。これにより、クランプ10が回動支点部13及び支持軸26を支点としてハウジング21及びカバー22の外面に対して接近・離間するように回動(揺動)し得るように支持される。また、クランプ10を操作する前の状態では、図4に示すように、バネ部11の基端部の端縁18(下端縁)がリブ25の突起部25aに対して斜め上から当接することにより、バネ部11及び脚部14がハウジング21の外面よりも外方へ退避した位置に保持される。これにより、カバー22やエレメントを、脚部14やバネ部11と干渉させることなくハウジング21に組み付けることができる。
【0018】
次に、ハウジング21にエレメントを収容し、その上にカバー22を重ねる。この状態では、図4及び図5に示すように、カバー22が正規の組付位置よりも高い位置(ストッパ24から浮いた位置)にあるが、操作片17を摘んでクランプ10をカバー22に接近させるように回動させると、脚部14の延出端の押圧部16が、係止凹部27の上方をほぼ水平に通過し、カバー22の外面の誘導面28に対してほぼ水平(即ち、ハウジング21に対するカバー22の組付け方向と略直角な向き)に当たる(図5を参照)。このとき、バネ部11、脚部14、屈曲部15のいずれも弾性撓みはしていない。
【0019】
この状態から、操作片17をカバー22側へ押し、凹面12をハウジング21及びカバー22の外面と対向させた状態で、バネ部11をカバー22及びハウジング21の外面側へ接近させるように略水平に変位(回動)させる。このとき、脚部14の延出端の押圧部16は、誘導面28への当接によって水平方向への変位を規制されているので、屈曲部15が、脚部14とバネ部11とのなす角度を小さくするように弾性撓みすることになる。このとき、カバー22はガイド部23によってハウジング21に対する水平移動を規制されているので、屈曲部15の弾性復元力によってカバー22が水平に押し動かされることはない。屈曲部15の弾性撓みに伴い、脚部14が、姿勢を起立方向へ変位させながら、カバーの22の外面に接近するように変位するとともに、バネ部11の凹面12が脚部14に接近し、これに伴い、押圧部16が、誘導面28を下方(係止凹部27に接近する方向)へ摺接しながら、カバー22に対して下方へ相対移動する。
【0020】
そして、押圧部16が係止凹部27に嵌合して上から押圧する状態となる。これ以降は、押圧部16は、カバー22に対する下方への相対移動と水平移動が規制されるので、バネ部11がカバー22側へ接近変位するのに伴い、押圧部16が下方へ移動する。この間も、カバー22は、ガイド部23によって水平移動を規制されているので、押圧部16と一体となってハウジング21に対して下方へ相対移動する。つまり、ハウジング21に対するカバー22の組付け動作が開始されるのである。カバー22の組付けが進むのに伴い、屈曲部15の弾性撓みが更に進むとともに、脚部14及び屈曲部15のカバー22への接近と、脚部14に対するバネ部11の接近が進む。
【0021】
そして、図6に示すように、カバー22が正規の組付位置まで下降してストッパ24に当接すると、それ以上のカバー22の下方変位が規制されるので、これ以降は、押圧部16の下方変位も規制される。この状態から、更に、バネ部11をカバー22側へ接近させると、脚部14が押圧部16を略支点としてカバー22側へ揺動するのであるが、このとき、脚部14の上端(即ち、屈曲部15)は、カバー22に接近しながら上方へ変位することになるため、回動支点部13から屈曲部15までの直線距離が長くなる。即ち、バネ部11は、その曲率半径を大きくするような弾性撓みを生じるのである。この回動支点部13と屈曲部15との直線距離は、回動支点部13と屈曲部15とを結ぶ仮想線が、押圧部16と合致する状態になったところで最長となり、同時に、バネ部11の弾性撓み量及びその弾性復元力も最大となる。
【0022】
この後、更にバネ部11をカバー22側へ接近させる。このとき、バネ部11と脚部14とが連なる屈曲部15から押圧部16までの距離が、回動支点部13と屈曲部15との距離よりも短く、屈曲部15が、押圧部16を挟んで回動支点部13とは反対側に位置することから、バネ部11の弾性復元力を利用したトグル作用により、バネ部11が、一気にカバー22側へ移動して、脚部14とともにカバー22の外面(誘導面28)に押し付けられる(図7を参照)。そして、バネ部11と脚部14は、バネ部11の弾性復元力により、カバー22から離間する方向への移動を規制された状態にロックされるとともに、押圧部16も係止凹部27に対して上から押さえ付けるように嵌合する状態にロックされる。これにより、ハウジング21とカバー22がクランプ10によって組付け状態にロックされるのである。
【0023】
上述のように、本実施形態のクランプ10は、バネ部11と脚部14とを一体形成したものである。そして、バネ部11は、凹面12が形成されるように湾曲され、基端部には回動支点部13が形成され、凹面12をハウジング21及びカバー22の外面と対向させた状態で、回動支点部13においてハウジング21に対して回動可能に支持されている。一方の脚部14は、バネ部11の先端から凹面12側へ屈曲するように延出し、延出端には、カバー22の外面の係止凹部27に対してハウジング21への組付方向と同方向へ押圧可能な押圧部16が形成され、バネ部11の先端の屈曲部15を支点としてバネ部11に接近するように弾性的に揺動変位することが可能となっている。
【0024】
そして、バネ部11をハウジング21及びカバー22の外面に接近させる方向へ回動させる過程では、脚部14の押圧部16が、カバー22の外面における係止凹部27と連なる誘導面28に当接することで、脚部14がバネ部11に接近するように弾性変位しながら、押圧部16が誘導面28上を係止凹部27側へ摺動するようになっており、これにより、カバー22がハウジング21から浮いた状態であっても、バネ部11の回動によってカバー22を確実にハウジング21に組み付けることができるのである。
【0025】
また、クランプ10には、バネ部11をハウジング21及びカバー22の外面に接近させるように押し操作するための操作片17が設けられているので、バネ部11を容易且つ確実に回動させることができ、作業性に優れる。
また、操作片17は、バネ部11及び脚部14と一体に形成されているので、操作片を、バネ部11及び脚部14とは別体としたものに比べると、部品点数が少なくて済んでいる。
【0026】
また、操作片17は、脚部14を部分的に切り起こすことによって形成されており、操作片17を切り起こす領域は、バネ部11ではなく、脚部14となっている。これにより、操作片17の切り起こしに起因してバネ部11の弾力の低下を来すことが回避されている。
【0027】
また、カバー22が組み付けられた状態では、バネ部11の弾性復元力が屈曲部15の弾性復元力を上回ることにより、バネ部11は、脚部14をバネ部11に接近させてカバー22の外面に押し付ける状態を保ち、これにより、カバー22が組み付け状態にロックされる。この点に鑑み、本実施形態では、操作片17の切り起こし領域に屈曲部15を含め、バネ部11を切り起こし領域から外しているので、屈曲部15は、切り起こしによって弾性復元力が低下することになり、相対的に、バネ部11の弾性復元力によるロック機能の信頼性が高められている。
【0028】
また、屈曲部15が、バネ部11の回動の支点から最も遠い位置にあることに着目し、この屈曲部15の近傍に操作片17を配した。これにより、操作片を屈曲部15から遠い位置に配置した場合に比べると、操作片17に付与すべき回動操作力が低減されるので、作業性がよい。
【0029】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)操作片を設けずに、バネ部を手で押して回動させてもよい。
(2)操作片は、バネ部及び脚部とは別体の部品として製造したものを、バネ部や脚部に組み付けた形態であってもよい。
(3)操作片は、切り起こしではなく、バネ部や脚部からの延出部を密着曲げ等によって突起状に形成したものであってもよい。
(4)操作片は、バネ部のみを切り起こした形態や、脚部からバネ部に亘って切り起こした形態であってもよい。
(5)操作片の切り起こし領域には、屈曲部が含まれなくてもよい。
(6)操作片は、屈曲部から遠い位置(例えば、脚部の長さ方向における中央部や、バネ部の長さ方向における中央部)に配置されていてもよい。
(7)上記実施形態ではクランプをバネ材としたが、本発明によれば、クランプを、バネ性を有しない金属材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態1のクランプの斜視図
【図2】クランプの側面図
【図3】クランプの正面図
【図4】クランプの操作が開始される前の状態をあらわす側面図
【図5】クランプの押圧部がカバーの誘導面に当接した状態をあらわす側面図
【図6】カバーが押圧部によって正規組付位置まで押し下げられた状態をあらわす側面図
【図7】ハウジングに組み付けられたカバーがクランプによってロックされた状態をあらわす側面図
【符号の説明】
【0031】
10…クランプ
11…バネ部
12…凹面
13…回動支点部
14…脚部
15…屈曲部
16…押圧部
17…操作片
21…ハウジング
22…カバー
27…係止凹部
28…誘導面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに対しガイドされつつ組み付けられたカバーを組み付け状態にロックするためのクランプであって、
凹面が形成されるように湾曲させた金属材からなり、基端部には回動支点部が形成され、前記凹面を前記ハウジング及び前記カバーの外面と対向させた状態で、前記回動支点部において前記ハウジングに対して回動可能に支持されるバネ部と、
前記バネ部の先端から前記凹面側へ屈曲するように延出し、延出端には、前記カバーの外面の係止凹部に対して前記ハウジングへの組付方向と同方向へ押圧可能な押圧部が形成され、前記バネ部の先端の屈曲部を支点として前記バネ部に接近するように弾性的に揺動変位することが可能な脚部とを備えており、
前記ハウジングに支持された前記バネ部を前記ハウジング及び前記カバーの外面に接近させる方向へ回動させる過程では、前記押圧部が、前記カバーの外面における前記係止凹部と連なる誘導面に当接することで、前記脚部が前記バネ部に接近するように弾性変位しながら、前記押圧部が前記誘導面上を前記係止凹部側へ摺動するようになっていることを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記バネ部を前記ハウジング及び前記カバーの外面側へ押し操作することを可能にする操作片が設けられていることを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【請求項3】
前記操作片が、前記バネ部及び前記脚部と一体に形成されていることを特徴とする請求項2記載のクランプ。
【請求項4】
前記操作片が、前記脚部を部分的に切り起こすことによって形成されていることを特徴とする請求項3記載のクランプ。
【請求項5】
前記操作片の切り起こし領域が、前記屈曲部を含んでいることを特徴とする請求項4記載のクランプ。
【請求項6】
前記操作片が、前記屈曲部の近傍に配されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のクランプ。
【請求項7】
前記金属材が、バネ材からなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−92087(P2009−92087A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260525(P2007−260525)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000151597)株式会社東郷製作所 (78)
【Fターム(参考)】