クリップ取付け工具構造
【課題】クリップを取付け部品側のリブ状取付け支柱に取付ける際に、クリップが転げ落ちて、取着不良を起こさないように、堅固にセット状態を保持できるように構成した。
【解決手段】クリップ取付け工具５は、工具本体５ａの先端部にクリップ１の挿入部１ａを挿入保持する凹状係着部６を形成すると共に、凹状係着部６に連接するように両括れ部１ｄ、１ｅのうち少なくとも一方側の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を抱え込み係合する抱え込み部７ａを有する抱え込み係合片７を形成して構成して、凹状係着部６にクリップ１を挿入セットした状態で、クリップ１の一方側の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を抱え込むようにして、クリップ１がクリップ取付け工具５から転げ落ちないようにした。
【解決手段】クリップ取付け工具５は、工具本体５ａの先端部にクリップ１の挿入部１ａを挿入保持する凹状係着部６を形成すると共に、凹状係着部６に連接するように両括れ部１ｄ、１ｅのうち少なくとも一方側の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を抱え込み係合する抱え込み部７ａを有する抱え込み係合片７を形成して構成して、凹状係着部６にクリップ１を挿入セットした状態で、クリップ１の一方側の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を抱え込むようにして、クリップ１がクリップ取付け工具５から転げ落ちないようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、当該クリップを予め前記被取付け本体側に形成したリブ支柱に装着する際に使用するクリップ取付け工具構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、車両の車体パネル等の被取付け本体側に、内装材等の取付け部品を装着するために、樹脂製クリップを使用する場合の他、鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップが使用されている。
【０００３】
この種のクリップ１は、図１及び図２に示すように、金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって前記金属板の両端部が拡開して被取付け本体たとえば車体パネル２に設けた取付け孔３に挿入する挿入部１ａを形成すると共に、挿入部１ａにおける両先端部の内、一方の先端部１ｂを略くの字に折曲して且つ他方の先端部１ｃを略逆くの字に折曲形成して両先端部１ｂ、１ｃがそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部１ｄ、１ｅを形成し、さらに、前記金属板の中央折り返し部１ｆが、幅方向両側部が切欠かくことによって、構成されている。
【０００４】
そして、クリップ１は、両括れ部１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１が、車体パネル２の車室側を美装する内装材等の取付け部品４に起立形成したリブ状取付け支柱４ａを弾発的に挟着することによって、取付け部品４に取付けられている。
【０００５】
かかる構成において、車体パネル２に取付け部品４を装着するには、クリップ１の中央折返し部１ｆと共に挿入部１ａを車体パネル２側の取付け孔３に挿通させて、両括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凹状部１ｄ−２、１ｅ−２が取付け孔３に係合挿着されることになる。
【０００６】
従って、クリップ１は、取付け部品４を車体パネル２に装着する前に、予め、リブ状取付け支柱４ａに装着しておくことが必要である。
【０００７】
そこで、従来においては、図４に示すようなクリップ取付け工具５を用いて、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するようにしていた（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００７−２０３３８２号公報（図１及び図２に記載のクリップヒット８参照）。
【０００９】
図４に示すクリップ取付け工具５によれば、クリップ１の中央折り返し部１ｆ及び挿入部１ａの外形状に倣うように形成された凹状係着部６が形成されていて、凹状係着部６内に、クリップ１の中央折り返し部１ｆと共に挿入部１ａを挿入して、挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めることによって、クリップ１をセットするようにしていた。
【００１０】
その後、クリップ取付け工具５にセットしたクリップ１における括れ部１ｄ、１ｅの互いの下端拡開部１ｇ側をリブ状取付け支柱４ａの先端に沿わせながら、エアハンマー（不図示）等を用いてクリップ取付け工具５を取付け部品４側に打ち叩くことによって、両括れ部１ｄ、１ｅを拡開させながらリブ状取付け支柱４ａにクリップ１を取付けるようにしている。
【００１１】
この際、クリップ１は、括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１がリブ状取付け支柱４ａを厚さ方向両側部から弾発的に挟着することになって、リブ状取付け支柱４ａに取着されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
しかしながら、クリップ１をリブ状取付け支柱４ａに取着するためのクリップ取付け工具５は、クリップ１をリブ状取付け支柱４ａに取着する前に、凹状係着部６によってクリップ１の挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めることによって、クリップ１をセットするように構成しており、クリップ１の括れ部１ｄ、１ｅは共に凹状係着部６からはみ出し突出した状態となっている。
【００１３】
このために、クリップ取付け工具５をエアハンマー等により打ち叩く際に、作業者は一方の手でクリップ１をもって、括れ部１ｄ、１ｅをリブ状取付け支柱に沿わせた状態を保持しながら、エアハンマー等によりクリップ取付け工具５の打ち叩き作業を行うことになる。
【００１４】
この際、クリップ１は、挿入部１ａが凹状係着部６内において弾発的に縮められた状態でセットされているだけで、クリップ取付け工具５に対して固定状態となっておらず、ましてやリブ状取付け支柱４ａに対しても固定状態となっていないために、クリップ取付け工具５のエアハンマー等による打ち叩きによって、転げてしまうことがあり、リブ状取付け支柱４ａへの取着不良が発生することがあり、クリップ１の装着作業を慎重に行わなければならず、作業者に大きな負担を負わせてしまうことになる。
【００１５】
そこで、本発明は、クリップを取付け部品側のリブ状取付け支柱に取付ける際に、クリップが転げ落ちて、取着不良を起こさないように、堅固にセット状態を保持できるように構成したクリップ取付け工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明に係るクリップ取付け工具は、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、前記クリップが、少なくとも、前記金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって、前記金属板の両端部側が拡開して前記被取付け本体側に設けた取付け孔に挿入する挿入部を形成するとともに、該挿入部における両先端部のうち一方の先端部を略くの字状に折曲し且つ他方の先端部を略逆くの字に折曲形成して、前記両先端部の中央部がそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部を形成し、該両括れ部の括れ凸状部側にて前記取付け部品側に形成したリブ状取付け支柱を弾発的に挟着して前記クリップを前記被取付け本体に装着すると共に、前記両括れ部の各括れ凹状部側が前記取付け孔に係合することによって、前記被取付け本体に前記取付け部品を装着するように構成されており、前記クリップを前記取付け孔に挿着する前段として、該クリップの両括れ部を前記リブ支柱に弾発的に挟着する際に使用するクリップ取付け工具であって、該クリップ取付け工具は、工具本体の先端部に前記クリップの前記挿入部を挿入保持する凹状係着部を形成すると共に、該凹状係着部に連接するように前記両括れ部のうち少なくとも一方側を抱え込み係合する抱え込み係合片を形成して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１７】
上記のように構成する本発明によれば、クリップを取付け部品側に取着する際に、クリップの挿入部を凹状係着部に縮めた状態で保持する上に、凹状係着部に連接する抱え込み係合片が括れ部を抱え込むことによって、クリップをセット保持するように構成していることから、クリップがクリップ取付け工具から転げ落ちないようにすることができ、結果的に、取着不良を起こさず、クリップを取着作業中堅固にセット状態を保持できることになる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】鉄製等の金属板から構成した一般的なクリップを取付け部品から取外した状態を描画した分解斜視図である。
【図２】同じくクリップを用いて被取付け本体である車体パネルに取付け部品である内装材を取付けた状態を描画した縦断面図である。
【図３】本発明に係るクリップ取付け工具の要部を描画した斜視図である。
【図４】図３のクリップ取付け工具にクリップをセットした状態における矢視方向から描画した図である。
【図５】従来のクリップ取付け工具を図３の矢視と同一方向から描画した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
次に、本発明に係る実施の形態について、図を用いて説明する。
【００２０】
図１は鉄製等の金属板から構成した一般的なクリップを取付け部品から取外した状態を描画した分解斜視図、図２は同じくクリップを用いて被取付け本体である車体パネルに取付け部品である内装材を取付けた状態を描画した縦断面図、図３は本発明に係るクリップ取付け工具の要部を描画した斜視図、図４は図３のクリップ取付け工具にクリップをセットした状態における矢視方向から描画した図である。なお、従来の技術に対応する部位には、同一符号を付して説明することにする。
【００２１】
先ず、クリップ１は、図１及び図２に示すように、金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって前記金属板の両端部が拡開して被取付け本体たとえば車体パネル２に設けた取付け孔３に挿入する挿入部１ａを形成すると共に、挿入部１ａにおける両先端部の内、一方の先端部１ｂを略くの字に折曲して且つ他方の先端部１ｃを略逆くの字に折曲形成して両先端部１ｂ、１ｃがそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部１ｄ、１ｅを形成し、さらに、前記金属板の中央折り返し部１ｆが、幅方向両側部が切欠かくことによって、構成されている。
【００２２】
そして、クリップ１は、両括れ部１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１が、車体パネル２の車室側を美装する内装材等の取付け部品４に起立形成したリブ状取付け支柱４ａを弾発的に挟着することによって、取付け部品４に取付けられている。
【００２３】
なお、クリップ１の中央折り返し部１ｆには、切り溝１ｈを刻設して、弾性変形がし易いように構成されている。
【００２４】
かかる構成において、車体パネル２に取付け部品４を装着するには、クリップ１の中央折返し部１ｆと共に挿入部１ａを車体パネル２側の取付け孔３に挿通させて、両括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凹状部１ｄ−２、１ｅ−２取付け孔３に係合することになる。
【００２５】
従って、クリップ１は、取付け部品４を車体パネル２に装着する前に、予め、リブ状取付け支柱４ａに装着しておくことが必要である。
【００２６】
そこで、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するに当って、例えば、図３及び図４に示すような本発明に係る一実施例を採用したクリップ取付け工具５を用いることになる。
【００２７】
かかるクリップ取付け工具５は、従来と同様に、角柱体を呈する工具本体５ａの先端部に、クリップ１の挿入部１ａの形状に適合するような凹状係着部６を形成している上に、工具本体５ａの一側面と先端面とに添接形成された直定規状の抱え込み係合片７を有して構成しており、抱え込み係合片７には、凹状係着部６の開口部側に張り出すように形成された抱え込み部７ａが形成されている。
【００２８】
一方、クリップ１を取付ける内装材等の取付け部品４には、平板状のリブ状取付け支柱４ａが起立形成されており、リブ状取付け支柱４ａは、その幅方向両側部にやはり取付け部品４に形成された一対の補強リブ４ｂが添設することによって、補強構造が施されている。
【００２９】
そして、クリップ取付け工具５を用いて、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するに当って、クリップ取付け工具５の凹状係着部６に中央折り返し部１ｆ側から挿入部１ａを挿入して、挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めた状態にして、クリップ１をクリップ取付け工具５にセットすることになる。
【００３０】
この際、クリップ１の一対の括れ部１ｄのうち一方の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を図４における下側から抱え込み係合片７の抱え込み部７ａが抱え込んでいることになる。
【００３１】
この結果、クリップ１は、抱え込み部７ａによる括れ凹状部１ｅ−２の抱え込みによって、挿入部１ａの弾発力に加えて、挿入部１ａを凹状係着部６の内方に持ち上げることによって、セット状態が保持されている。
【００３２】
かかることから、括り部１ｄ、１ｅの互いの下端拡開部１ｇ側をリブ状取付け支柱４ａの先端に沿わせながら、不図示のエアハンマー等を用いてクリップ取付け工具５を取付け部品４側に打ち叩くことによって、両括れ部１ｄ、１ｅを拡開させながらリブ状取付け支柱４ａにクリップ１を取付ける際に、クリップ１は、一方の括り部１ｅの括り凹状部１ｅ−２がクリップ取付け工具５の抱え込み係合片７の抱え込み部７ａによって下部側から抱え込まれていることから、クリップ取付け工具５の打ち叩き時に、クリップ取付け工具５から転げ落ちることがなく、結果的にリブ状取付け支柱４ａに対する取着不良を起こさず、取着作業中堅固にセット状態を保持されることになる。
【００３３】
この結果、クリップ１は、括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１がリブ状取付け支柱４ａを厚さ方向両側部から弾発的に挟着して、リブ状取付け支柱４ａに取着した際に、リブ状取付け支柱４ａの正規な位置に常に取着されることになる。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
以上説明したように、本発明は、クリップを取付け部品側に取着する際に、クリップの挿入部を凹状係着部に縮めた状態で保持する上に、凹状係着部に連接する抱え込み係合片が括れ部を抱え込むことによって、クリップをセット保持するように構成していることから、クリップがクリップ取付け工具から転げ落ちないようにすることができ、結果的に、取着不良を起こさず、クリップを取着作業中堅固にセット状態を保持できることになるために、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、当該クリップを予め前記被取付け本体側に形成したリブ支柱に装着する際に使用するクリップ取付け工具構造等に好適である。
【符号の説明】
【００３５】
１ クリップ
１ａ 挿入部
１ｄ、１ｅ 括れ部
１ｄ−１、１ｅ−１ 括れ凸状部
１ｄ−２、１ｅ−２ 括れ凹状部
２ 車体パネル（被取付け本体）
３ 取付け孔
４ 取付け部品
５ クリップ取付け工具
５ａ 工具本体
６ 凹状係着部
７ 抱え込み係合片
７ａ 抱え込み部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、当該クリップを予め前記被取付け本体側に形成したリブ支柱に装着する際に使用するクリップ取付け工具構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、車両の車体パネル等の被取付け本体側に、内装材等の取付け部品を装着するために、樹脂製クリップを使用する場合の他、鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップが使用されている。
【０００３】
この種のクリップ１は、図１及び図２に示すように、金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって前記金属板の両端部が拡開して被取付け本体たとえば車体パネル２に設けた取付け孔３に挿入する挿入部１ａを形成すると共に、挿入部１ａにおける両先端部の内、一方の先端部１ｂを略くの字に折曲して且つ他方の先端部１ｃを略逆くの字に折曲形成して両先端部１ｂ、１ｃがそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部１ｄ、１ｅを形成し、さらに、前記金属板の中央折り返し部１ｆが、幅方向両側部が切欠かくことによって、構成されている。
【０００４】
そして、クリップ１は、両括れ部１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１が、車体パネル２の車室側を美装する内装材等の取付け部品４に起立形成したリブ状取付け支柱４ａを弾発的に挟着することによって、取付け部品４に取付けられている。
【０００５】
かかる構成において、車体パネル２に取付け部品４を装着するには、クリップ１の中央折返し部１ｆと共に挿入部１ａを車体パネル２側の取付け孔３に挿通させて、両括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凹状部１ｄ−２、１ｅ−２が取付け孔３に係合挿着されることになる。
【０００６】
従って、クリップ１は、取付け部品４を車体パネル２に装着する前に、予め、リブ状取付け支柱４ａに装着しておくことが必要である。
【０００７】
そこで、従来においては、図４に示すようなクリップ取付け工具５を用いて、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するようにしていた（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００７−２０３３８２号公報（図１及び図２に記載のクリップヒット８参照）。
【０００９】
図４に示すクリップ取付け工具５によれば、クリップ１の中央折り返し部１ｆ及び挿入部１ａの外形状に倣うように形成された凹状係着部６が形成されていて、凹状係着部６内に、クリップ１の中央折り返し部１ｆと共に挿入部１ａを挿入して、挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めることによって、クリップ１をセットするようにしていた。
【００１０】
その後、クリップ取付け工具５にセットしたクリップ１における括れ部１ｄ、１ｅの互いの下端拡開部１ｇ側をリブ状取付け支柱４ａの先端に沿わせながら、エアハンマー（不図示）等を用いてクリップ取付け工具５を取付け部品４側に打ち叩くことによって、両括れ部１ｄ、１ｅを拡開させながらリブ状取付け支柱４ａにクリップ１を取付けるようにしている。
【００１１】
この際、クリップ１は、括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１がリブ状取付け支柱４ａを厚さ方向両側部から弾発的に挟着することになって、リブ状取付け支柱４ａに取着されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１２】
しかしながら、クリップ１をリブ状取付け支柱４ａに取着するためのクリップ取付け工具５は、クリップ１をリブ状取付け支柱４ａに取着する前に、凹状係着部６によってクリップ１の挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めることによって、クリップ１をセットするように構成しており、クリップ１の括れ部１ｄ、１ｅは共に凹状係着部６からはみ出し突出した状態となっている。
【００１３】
このために、クリップ取付け工具５をエアハンマー等により打ち叩く際に、作業者は一方の手でクリップ１をもって、括れ部１ｄ、１ｅをリブ状取付け支柱に沿わせた状態を保持しながら、エアハンマー等によりクリップ取付け工具５の打ち叩き作業を行うことになる。
【００１４】
この際、クリップ１は、挿入部１ａが凹状係着部６内において弾発的に縮められた状態でセットされているだけで、クリップ取付け工具５に対して固定状態となっておらず、ましてやリブ状取付け支柱４ａに対しても固定状態となっていないために、クリップ取付け工具５のエアハンマー等による打ち叩きによって、転げてしまうことがあり、リブ状取付け支柱４ａへの取着不良が発生することがあり、クリップ１の装着作業を慎重に行わなければならず、作業者に大きな負担を負わせてしまうことになる。
【００１５】
そこで、本発明は、クリップを取付け部品側のリブ状取付け支柱に取付ける際に、クリップが転げ落ちて、取着不良を起こさないように、堅固にセット状態を保持できるように構成したクリップ取付け工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明に係るクリップ取付け工具は、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、前記クリップが、少なくとも、前記金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって、前記金属板の両端部側が拡開して前記被取付け本体側に設けた取付け孔に挿入する挿入部を形成するとともに、該挿入部における両先端部のうち一方の先端部を略くの字状に折曲し且つ他方の先端部を略逆くの字に折曲形成して、前記両先端部の中央部がそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部を形成し、該両括れ部の括れ凸状部側にて前記取付け部品側に形成したリブ状取付け支柱を弾発的に挟着して前記クリップを前記被取付け本体に装着すると共に、前記両括れ部の各括れ凹状部側が前記取付け孔に係合することによって、前記被取付け本体に前記取付け部品を装着するように構成されており、前記クリップを前記取付け孔に挿着する前段として、該クリップの両括れ部を前記リブ支柱に弾発的に挟着する際に使用するクリップ取付け工具であって、該クリップ取付け工具は、工具本体の先端部に前記クリップの前記挿入部を挿入保持する凹状係着部を形成すると共に、該凹状係着部に連接するように前記両括れ部のうち少なくとも一方側を抱え込み係合する抱え込み係合片を形成して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１７】
上記のように構成する本発明によれば、クリップを取付け部品側に取着する際に、クリップの挿入部を凹状係着部に縮めた状態で保持する上に、凹状係着部に連接する抱え込み係合片が括れ部を抱え込むことによって、クリップをセット保持するように構成していることから、クリップがクリップ取付け工具から転げ落ちないようにすることができ、結果的に、取着不良を起こさず、クリップを取着作業中堅固にセット状態を保持できることになる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】鉄製等の金属板から構成した一般的なクリップを取付け部品から取外した状態を描画した分解斜視図である。
【図２】同じくクリップを用いて被取付け本体である車体パネルに取付け部品である内装材を取付けた状態を描画した縦断面図である。
【図３】本発明に係るクリップ取付け工具の要部を描画した斜視図である。
【図４】図３のクリップ取付け工具にクリップをセットした状態における矢視方向から描画した図である。
【図５】従来のクリップ取付け工具を図３の矢視と同一方向から描画した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
次に、本発明に係る実施の形態について、図を用いて説明する。
【００２０】
図１は鉄製等の金属板から構成した一般的なクリップを取付け部品から取外した状態を描画した分解斜視図、図２は同じくクリップを用いて被取付け本体である車体パネルに取付け部品である内装材を取付けた状態を描画した縦断面図、図３は本発明に係るクリップ取付け工具の要部を描画した斜視図、図４は図３のクリップ取付け工具にクリップをセットした状態における矢視方向から描画した図である。なお、従来の技術に対応する部位には、同一符号を付して説明することにする。
【００２１】
先ず、クリップ１は、図１及び図２に示すように、金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって前記金属板の両端部が拡開して被取付け本体たとえば車体パネル２に設けた取付け孔３に挿入する挿入部１ａを形成すると共に、挿入部１ａにおける両先端部の内、一方の先端部１ｂを略くの字に折曲して且つ他方の先端部１ｃを略逆くの字に折曲形成して両先端部１ｂ、１ｃがそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部１ｄ、１ｅを形成し、さらに、前記金属板の中央折り返し部１ｆが、幅方向両側部が切欠かくことによって、構成されている。
【００２２】
そして、クリップ１は、両括れ部１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１が、車体パネル２の車室側を美装する内装材等の取付け部品４に起立形成したリブ状取付け支柱４ａを弾発的に挟着することによって、取付け部品４に取付けられている。
【００２３】
なお、クリップ１の中央折り返し部１ｆには、切り溝１ｈを刻設して、弾性変形がし易いように構成されている。
【００２４】
かかる構成において、車体パネル２に取付け部品４を装着するには、クリップ１の中央折返し部１ｆと共に挿入部１ａを車体パネル２側の取付け孔３に挿通させて、両括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凹状部１ｄ−２、１ｅ−２取付け孔３に係合することになる。
【００２５】
従って、クリップ１は、取付け部品４を車体パネル２に装着する前に、予め、リブ状取付け支柱４ａに装着しておくことが必要である。
【００２６】
そこで、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するに当って、例えば、図３及び図４に示すような本発明に係る一実施例を採用したクリップ取付け工具５を用いることになる。
【００２７】
かかるクリップ取付け工具５は、従来と同様に、角柱体を呈する工具本体５ａの先端部に、クリップ１の挿入部１ａの形状に適合するような凹状係着部６を形成している上に、工具本体５ａの一側面と先端面とに添接形成された直定規状の抱え込み係合片７を有して構成しており、抱え込み係合片７には、凹状係着部６の開口部側に張り出すように形成された抱え込み部７ａが形成されている。
【００２８】
一方、クリップ１を取付ける内装材等の取付け部品４には、平板状のリブ状取付け支柱４ａが起立形成されており、リブ状取付け支柱４ａは、その幅方向両側部にやはり取付け部品４に形成された一対の補強リブ４ｂが添設することによって、補強構造が施されている。
【００２９】
そして、クリップ取付け工具５を用いて、クリップ１を取付け部品４のリブ状取付け支柱４ａに装着するに当って、クリップ取付け工具５の凹状係着部６に中央折り返し部１ｆ側から挿入部１ａを挿入して、挿入部１ａを弾発的に内方側に縮めた状態にして、クリップ１をクリップ取付け工具５にセットすることになる。
【００３０】
この際、クリップ１の一対の括れ部１ｄのうち一方の括れ部１ｅの括れ凹状部１ｅ−２を図４における下側から抱え込み係合片７の抱え込み部７ａが抱え込んでいることになる。
【００３１】
この結果、クリップ１は、抱え込み部７ａによる括れ凹状部１ｅ−２の抱え込みによって、挿入部１ａの弾発力に加えて、挿入部１ａを凹状係着部６の内方に持ち上げることによって、セット状態が保持されている。
【００３２】
かかることから、括り部１ｄ、１ｅの互いの下端拡開部１ｇ側をリブ状取付け支柱４ａの先端に沿わせながら、不図示のエアハンマー等を用いてクリップ取付け工具５を取付け部品４側に打ち叩くことによって、両括れ部１ｄ、１ｅを拡開させながらリブ状取付け支柱４ａにクリップ１を取付ける際に、クリップ１は、一方の括り部１ｅの括り凹状部１ｅ−２がクリップ取付け工具５の抱え込み係合片７の抱え込み部７ａによって下部側から抱え込まれていることから、クリップ取付け工具５の打ち叩き時に、クリップ取付け工具５から転げ落ちることがなく、結果的にリブ状取付け支柱４ａに対する取着不良を起こさず、取着作業中堅固にセット状態を保持されることになる。
【００３３】
この結果、クリップ１は、括れ部１ｄ、１ｅの各括れ凸状部１ｄ−１、１ｅ−１がリブ状取付け支柱４ａを厚さ方向両側部から弾発的に挟着して、リブ状取付け支柱４ａに取着した際に、リブ状取付け支柱４ａの正規な位置に常に取着されることになる。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
以上説明したように、本発明は、クリップを取付け部品側に取着する際に、クリップの挿入部を凹状係着部に縮めた状態で保持する上に、凹状係着部に連接する抱え込み係合片が括れ部を抱え込むことによって、クリップをセット保持するように構成していることから、クリップがクリップ取付け工具から転げ落ちないようにすることができ、結果的に、取着不良を起こさず、クリップを取着作業中堅固にセット状態を保持できることになるために、車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、当該クリップを予め前記被取付け本体側に形成したリブ支柱に装着する際に使用するクリップ取付け工具構造等に好適である。
【符号の説明】
【００３５】
１ クリップ
１ａ 挿入部
１ｄ、１ｅ 括れ部
１ｄ−１、１ｅ−１ 括れ凸状部
１ｄ−２、１ｅ−２ 括れ凹状部
２ 車体パネル（被取付け本体）
３ 取付け孔
４ 取付け部品
５ クリップ取付け工具
５ａ 工具本体
６ 凹状係着部
７ 抱え込み係合片
７ａ 抱え込み部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、前記クリップが、少なくとも、前記金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって、前記金属板の両端部側が拡開して前記被取付け本体側に設けた取付け孔に挿入する挿入部を形成するとともに、該挿入部における両先端部のうち一方の先端部を略くの字状に折曲し且つ他方の先端部を略逆くの字に折曲形成して、前記両先端部の中央部がそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部を形成し、該両括れ部の括れ凸状部側にて前記取付け部品側に形成したリブ状取付け支柱を弾発的に挟着して前記クリップを前記被取付け本体に装着すると共に、前記両括れ部の各括れ凹状部側が前記取付け孔に係合することによって、前記被取付け本体に前記取付け部品を装着するように構成されており、前記クリップを前記取付け孔に挿着する前段として、該クリップの両括れ部を前記リブ支柱に弾発的に挟着する際に使用するクリップ取付け工具であって、該クリップ取付け工具は、工具本体の先端部に前記クリップの前記挿入部を挿入保持する凹状係着部を形成すると共に、該凹状係着部に連接するように前記両括れ部のうち少なくとも一方側を抱え込み係合する抱え込み係合片を形成して構成したことを特徴とするクリップ取付け工具構造。
【請求項１】
車体パネル等の被取付け本体側に内装材等の取付け部品を鉄板等の弾性変形可能な金属板からなるクリップを用いて装着する場合、前記クリップが、少なくとも、前記金属板の中央部を略Ｖ字状に折返し折曲することによって、前記金属板の両端部側が拡開して前記被取付け本体側に設けた取付け孔に挿入する挿入部を形成するとともに、該挿入部における両先端部のうち一方の先端部を略くの字状に折曲し且つ他方の先端部を略逆くの字に折曲形成して、前記両先端部の中央部がそれぞれ互いに内方に向かって括れ形状を呈する一対の括れ部を形成し、該両括れ部の括れ凸状部側にて前記取付け部品側に形成したリブ状取付け支柱を弾発的に挟着して前記クリップを前記被取付け本体に装着すると共に、前記両括れ部の各括れ凹状部側が前記取付け孔に係合することによって、前記被取付け本体に前記取付け部品を装着するように構成されており、前記クリップを前記取付け孔に挿着する前段として、該クリップの両括れ部を前記リブ支柱に弾発的に挟着する際に使用するクリップ取付け工具であって、該クリップ取付け工具は、工具本体の先端部に前記クリップの前記挿入部を挿入保持する凹状係着部を形成すると共に、該凹状係着部に連接するように前記両括れ部のうち少なくとも一方側を抱え込み係合する抱え込み係合片を形成して構成したことを特徴とするクリップ取付け工具構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−４２０２３（Ｐ２０１１−４２０２３Ａ）
【公開日】平成２３年３月３日（２０１１．３．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１９３５８２（Ｐ２００９−１９３５８２）
【出願日】平成２１年８月２４日（２００９．８．２４）
【出願人】（０００１２４４５４）河西工業株式会社 (593)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月３日（２０１１．３．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年８月２４日（２００９．８．２４）
【出願人】（０００１２４４５４）河西工業株式会社 (593)
【Ｆターム（参考）】
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