説明

クリーニングウェブ

【解決手段】 アラミド繊維と、ポリエステル未延伸繊維と、ポリエステルの異型断面繊維とを含む不織布よりなるクリーニングウェブである。上記以外に通常のポリエステル延伸繊維を含むこともでき、前記ポリエステルの異型断面繊維の含有量が、不織布の1〜30%であることが好ましい。
【効果】 不織布中にポリエステルの異型断面繊維を混入することにより、当該繊維の断面形状における曲率半径が小さい部分が定着ローラ5に圧接されることにより、定着ローラ5に付着した微細な残留トナーをも掻き落として除去することができる。また当該異型断面繊維はポリエステルよりなるので、過度に剛性を有することがなく、定着ローラ5の表面を傷つけることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリーニングウェブに関するものであって、特に電子複写機における定着ローラや感光体などに付着した残留トナーを除去するための、クリーニングウェブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1はクリーニングウェブの使用状態を示すものであって、クリーニングウェブ1は送り出しローラ2と引き取りローラ3との間に掛け渡され、送り出しローラ2から引き取りローラ3に少しずつ送られながら、その途中で圧接ローラ4により定着ローラ5に圧接され、定着ローラ5に付着した残留トナーを拭き取って除去するようになっている。
【0003】
而してそのクリーニングウェブ1としては種々のものが提案されているが、その一例として特開平5−119688号公報には、アラミド繊維と、未延伸ポリエステル繊維と、通常の延伸ポリエステル繊維とよりなるものが示されている。
【0004】
このものは従来は十分なクリーニング性能が認められていたが、近年複写機におけるトナー粒子として粒子径が微細なものが使用されるようになるに従って、かかる微細なトナーが付着した場合のクリーニング性能が低下していた。
【0005】
また特開平5−35143号公報には、クリーニング性能を向上させたものとして、表面に凹凸を有する異型断面繊維などのアラミド繊維と、未延伸ポリエステル繊維とよりなるものが提案されている。
【0006】
しかしながら、ここに使用されるアラミド繊維は剛性が高く固いものであって、それがさらに異型断面に成型されているため、かかる繊維が定着ローラ5に圧接されることにより、定着ローラ5の表面が傷付き易く、耐久性が低下する。
【特許文献1】特開平5−119688号公報
【特許文献2】特開平5−35143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来例から理解されるように、クリーニングウェブ1の一部を構成する繊維が異型断面繊維であることにより、当該繊維が定着ローラ5に接触する箇所における断面曲率半径が小さく、微細な残留トナーをも除去することができるが、剛直な繊維が小さい接触面積で定着ローラ5に圧接することにより、定着ローラ5の表面が傷付くことも最大限回避しなければならない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、定着ローラ5に付着した微細な残留トナーをも確実に除去することができ、且つ定着ローラ5の表面が傷付くことのないクリーニングウェブ1を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して本発明は、アラミド繊維と、ポリエステル未延伸繊維と、ポリエステルの異型断面繊維とを含む不織布よりなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、前記三種の繊維の外に通常のポリエステル延伸繊維を含むことが好ましい。また前記ポリエステルの異型断面繊維の含有量は、不織布の1〜30%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、耐熱性の高いアラミド繊維を使用することによりクリーニングウェブ1の耐熱性を保持すると共に、バインダー繊維としてポリエステル未延伸繊維を混入することにより、不織布を構成する繊維間を接着し、不織布としての形態を保持し強度を確保することができる。
【0012】
そして不織布中にポリエステルの異型断面繊維を混入することにより、当該繊維の断面形状における曲率半径が小さい部分が定着ローラ5に圧接されることにより、定着ローラ5に付着した微細な残留トナーをも掻き落として除去することができるのである。また当該異型断面繊維はポリエステルよりなるので、過度に剛性を有することがなく、定着ローラ5の表面を傷つけることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のクリーニングウェブ1は、アラミド繊維と、ポリエステル未延伸繊維と、ポリエステルの異型断面繊維とを含む不織布よりなるものであり、これら三者の外に通常のポリエステル延伸繊維を含むこともできる。
【0014】
アラミド繊維は、メタ系の芳香族ポリアミド繊維(例えば商標名コーネックス)が好ましく、不織布中におけるアラミド繊維の含有量は、20〜60重量%が適当であり、さらに好ましくは30〜50重量%である。
【0015】
ポリエステル未延伸繊維は、不織布内における繊維を接着するバインダーとして機能するものであり、不織布中における当該繊維の含有量は、15〜45重量%が適当であり、さらに好ましくは20〜40重量%である。
【0016】
またポリエステルの異型断面繊維は、前述のようにその曲率半径が小さい表面により定着ローラ5の表面に付着した残留トナーを掻き落とす機能を有するものであって、その含有量は1〜30重量%が適当である。
【0017】
異型断面繊維における残留トナーの除去機能を重視する場合には、その含有量は10〜30重量%が適当であるが、定着ローラ5に対する損傷を防止したい場合には、10重量%以下とするのが好ましい。
【0018】
ポリエステルの異型断面繊維6における断面形状としては、種々のものが提案されているが、残留トナーの除去性能及び定着ローラ5に対する損傷防止の観点から、1〜3dtex程度の繊度で、図2に示すような断面略三角形状のものが好ましいが、断面形状はこれに限定されるものではなく、部分的に十分に小さい断面曲率半径を有するものであれば使用することができる。
【実施例】
【0019】
アラミド繊維としては、メタ系芳香族ポリアミド繊維(商標名コーネックス)の、繊度1.7dtexで長さ51mmの繊維を使用した。
【0020】
ポリエステル未延伸繊維としては、繊度5.6dtexで長さ51mmのポリエチレンテレフタレート繊維の未延伸繊維を使用した。
【0021】
ポリエステルの異型断面繊維としては、繊度1.3dtexで長さ38mmの、図2に示すような断面略三角形状の繊維(帝人株式会社製、商標名エコペットブライトRA33)を使用した。
【0022】
また通常のポリエステル延伸繊維としては、繊度1.7dtexで長さ51mmのポリエチレンテレフタレート繊維を使用した。
【0023】
以上の繊維を使用して、以下の実施例に示すそれぞれの配合で繊維を混合し、それぞれ混綿した後、カーディング、カレンダー加工を施し、厚さ50μm、目付25g/m2の不織布を作成した。なお実施例における%は全て重量%である。
【0024】
[実施例1]
アラミド繊維40%+ポリエステル未延伸繊維30%+通常のポリエステル延伸繊維30%
【0025】
[実施例2]
アラミド繊維40%+ポリエステル未延伸繊維30%+ポリエステル異型断面繊維1%+通常のポリエステル延伸繊維29%
【0026】
[実施例3]
アラミド繊維40%+ポリエステル未延伸繊維30%+ポリエステル異型断面繊維5%+通常のポリエステル延伸繊維25%
【0027】
[実施例4]
アラミド繊維40%+ポリエステル未延伸繊維30%+ポリエステル異型断面繊維10%+通常のポリエステル延伸繊維20%
【0028】
[実施例5]
アラミド繊維40%+ポリエステル未延伸繊維30%+ポリエステル異型断面繊維30%
【0029】
[性能試験]
以上の各不織布について、ワイピング性能及び相手ローラの表面に対する損傷性を比較した。
【0030】
ワイピング性能
トナーを付着させたローラをワイピングし、ローラの表面におけるトナーによる汚れ具合を目視により観察し、トナーの除去性の優劣を比較した。
【0031】
損傷性
各実施例による不織布をローラ表面に圧接し、ローラを1000回回転させた後、その前後のローラ表面のブレを目視により観察し、損傷性の大小を比較した。
【0032】
[試験結果]
前記各試験は、その結果を数値で表現することが困難であるため、各実施例についての観察結果を実施例間の順位で示した。その結果は次のとおりであった。
【0033】
ワイピング性能
除去性劣 実施例1≪実施例2<実施例3<実施例4<実施例5 除去性優
損傷性
損傷性小 実施例1=実施例2=実施例3=実施例4<実施例5 損傷性大
【0034】
以上の結果からも理解できるように、不織布中にポリエステルの異型断面繊維が1%でも混入されると、異型断面繊維を含まない不織布に比べて、クリーニングウェブ1のワイピング性能が大幅に向上する。また異型断面繊維の量を増加するに従ってワイピング性能は向上する。
【0035】
しかしながら一方、異型断面繊維の量が10%以下の場合には、相手ローラに対する損傷性は異型断面繊維を含まない実施例1と大差ないが、異型断面繊維の量が30%になると、実施例5に示されるように損傷性が大きくなる。
【0036】
従って、複写機において特に高度のコピー品質が要求される場合には、ワイピング性能に優れた実施例5が好ましいが、通常の場合には異型断面繊維を10%以下に抑え、実施例2〜4の範囲が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】クリーニングウェブの使用状態を示す正面図
【図2】実施例において使用した異型断面繊維の拡大横断面図
【符号の説明】
【0038】
1 クリーニングウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミド繊維と、ポリエステル未延伸繊維と、ポリエステルの異型断面繊維とを含む不織布よりなることを特徴とする、クリーニングウェブ
【請求項2】
通常のポリエステル延伸繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載のクリーニングウェブ
【請求項3】
前記ポリエステルの異型断面繊維の含有量が、不織布の1〜30%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクリーニングウェブ

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−192761(P2009−192761A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32602(P2008−32602)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000229863)アンビック株式会社 (35)
【出願人】(392023762)株式会社ゼニス (2)
【Fターム(参考)】