説明

クリーニング業用POSシステム

【課題】トラブルの事前回避を可能にするクリーニング業用POSシステム、POS端末及びPOS中央装置を提供する。
【解決手段】クリーニング業の各商品取次店に設置されたPOS端末と、そのPOS端末に双方向通信可能に接続されたPOS中央装置とからなるクリーニング業用POSシステムにおいて、各POS端末に、クリーニング受付可能な商品の商品コード等のほかに、前記商品のうちの特定の商品についての注意喚起情報を登録したデータベースを備えるとともに、来店した顧客から預かる商品の商品コード等を入力した時、その商品について前記データベースに注意喚起情報が登録されているか否かを検索し,登録されているときはその注意喚起情報を表示部に表示させる制御部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング業用POSシステム、POS端末及びPOS中央装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーニング業においては、顧客から預かった衣類(以下、商品という。)のクリーニングについての「トラブル」が切っても切り離せない問題であり、その解決が長年の課題となっている。商品取次店が顧客から預かった商品をクリーニング工場でクリーニングした際に、その商品に汚れ、シミ、しわ、ほつれ、縮みなどが発生した、もしくは顧客の依頼内容が満足できる程度に改善されていない、といった内容のクレームは過去から存在し、このようなトラブルがゼロになることがない。
【0003】
そのため、クリーニング業界では、このようなトラブルが発生する前に、事前防止対策を執ることにより、顧客の満足度を向上することが望まれている。従来のクリーニング業用POSシステムを構成する商品取次店のPOS端末の主たる機能は、顧客に関する情報(顧客情報)及び商品に関する情報(商品情報)の登録機能と、レジ(料金精算)機能であり、トラブルを事前防止するための機能を十分に備えられているとはいえなかった(先行技術文献は特にない。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリーニングに関するトラブルには、顧客から商品を預かった時点で十分な検品、もしくは商品固有のトラブルにつながる情報を得ることにより、ある程度回避できるものがある。例えば、顧客が気づいていない商品のシミ、汚れ、破れがあった場合や、クリーニングすると劣化や品質低下を生じるものがある場合は、預かり時にこれを商品取次店のレジ担当者などの店員が知り、それを顧客に知らせることにより、トラブルを事前に回避することができるケースもある。
【0005】
しかし、商品取次店で預かる商品が、洗濯方法、洗剤の種類、乾燥温度や方法、アイロン掛けなどにより、劣化、縮み、変・退色などの品質低下を生じる商品であるか否かは、商品取次店の店員でも詳細な知識を常に持っていることは困難であるため、全てのトラブルを事前に回避することは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり,トラブルの事前回避を可能にするクリーニング業用POSシステム、POS端末及びPOS中央装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、クリーニング業の各商品取次店に設置されたPOS端末と、そのPOS端末に双方向通信可能に接続されたPOS中央装置とからなるクリーニング業用POSシステムにおいて、各POS端末に、クリーニング受付可能な商品の商品コード等のほかに、前記商品のうちの特定の商品についての注意喚起情報を登録したデータベースを備えるとともに、来店した顧客から預かる商品の商品コード等を入力した時、その商品について前記データベースに注意喚起情報が登録されているか否かを検索し,登録されているときはその注意喚起情報を表示部に表示させる制御部を備えていることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
すなわち、本発明は、トラブルの原因となる問題を有する商品について注意喚起情報を事前に登録しておき、店員が顧客より商品を預かる際にPOS端末に商品情報を入力したときその商品について注意喚起情報が登録されている場合は、POS端末の表示部にその注意喚起情報を表示して知らせるようにした。
【0009】
また、本発明は、POS中央装置のデータベースに、クリーニング受付可能な商品について商品コード、商品名、洗い区分等を含む商品情報と、前記商品のうちの特定の商品についての注意喚起情報とを関連付けた商品マスタデータを登録した商品取次店用商品マスタテーブルを各商品取次店に対応させて備えるとともに、前記商品マスタデータをグローバルマスタデータとして登録したPOS本部用商品マスタテーブルを備え、POS本部用商品マスタテーブルのグローバルマスタデータを登録・変更・削除すると、前記商品取次店用商品マスタテーブルの商品マスタデータを登録・変更・削除し、かつ、前記各商品取次店用商品マスタテーブルの商品マスタデータを当該商品取次店のPOS端末に送信するする制御部を備えて、前記商品マスタデータを、POS中央装置とPOS端末のいずれにおいても登録・変更・削除することを可能にしたことを特徴としている (請求項2)。
【0010】
POS中央装置には、クリーニング受付可能な商品について商品コード、商品名、洗い区分等を含む商品情報を登録する商品情報登録部と、前記商品の中の特定の商品についての注意喚起情報を登録する注意喚起情報登録部と、前記商品情報登録部により登録された商品情報及びこれに関連付けられた前記注意喚起情報からなる商品マスタデータを各POS端末に配信する制御部とを備えることが望ましい(請求項3)。
また、POS中央装置は、POS端末の注意喚起情報登録部に、注意喚起情報をマスタデータごとに登録することができ、かつ、商品取次店ごとに、又は一括で登録・変更・削除を行う制御部を備えることが望ましい(請求項4)。
【0011】
そして、POS端末は、商品マスタデータ又はグローバルマスタデータに、注意喚起情報を全店員に知らせるか、初心者の店員のみに知らせるかを切り分ける手段を設けて、POS端末の表示部に、商品取次店の店員の熟練度に応じて、注意喚起情報を切り分けて表示が可能なものとすることが望ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、顧客から商品を預かる時点で、その商品に係る注意喚起情報がある場合は、それを店員が知ることができ、かつ、顧客に知らせることで、トラブルの事前回避が可能になる。また、クリーニングにより問題が発生する可能性がある商品が事前に確認されている場合は、その商品について注意喚起情報に登録することで、トラブルを未然に回避することができる。従って、本発明は、トラブルの事前回避が可能なクリーニング業用POSシステムを提供することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、POS中央装置側と各POS端末側のいずれでも注意喚起情報の増減を行うことができるから、事柄に応じて迅速にトラブルの事前防止策を執ることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、各POS端末に注意喚起情報の登録事務の負担をかけずに、POS中央装置側のみの処理で注意喚起情報の増減を容易に行うことができる。また、請求項4の発明によれば、商品取次店ごとに又は一括で登録・変更・削除のカスタマイズが可能である。
【0015】
請求項5の発明によれば、店員の熟練度に応じて、表示する注意喚起情報を切り分けて表示することを可能にすることにより、注意喚起情報を全店員に知らせるべきか、初心者の店員のみに知らせるべきかを切り分けることができ、これにより、熟練者の店員への通知を省略すること、及び、初心者の店員の教育に繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るクリーニング業用POSシステムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】同POSシステムの一構成要素であるPOS端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】商品メニューテーブル及びそれに登録された商品マスタデータの一例を示す図である。
【図4】商品マスタデータの登録画面(商品情報登録画面)を示す図である。
【図5】顧客マスタデータの登録画面(顧客情報登録画面)を示す図である。
【図6】担当者マスタデータの一例を示す図である。
【図7A】表示部の接客画面の説明図である。
【図7B】同接客画面に顧客情報が表示された一例を示す図である。
【図7C】同接客画面に預かり商品に関する情報及び注意喚起情報が表示された一例を示す図である。
【図8】POS端末の作用を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係るクリーニング業用POSシステムの他の構成要素であるPOS中央装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】POS中央装置の他の実施の態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
130 接客画面
131 担当者表示エリア
132 顧客名表示エリア
133 コメント表示エリア兼注意喚起情報表示エリア
134 利用履歴表示エリア
135 商品メニュー表示エリア
136 預かり商品表示エリア
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[POSシステムの構成]
本発明に係るクリーニング業用POSシステムは、図1に示すように、商品取次店に設置されるPOS端末10と、クリーニング工場又は管理本部などに設置されるPOS中央装置20とからなっている。POS端末10とPOS中央装置20との間はインターネットその他のネットワーク30により双方向通信可能に接続されている。POS端末10とPOS中央装置20との間は専用通信回線で接続しても良い。
【0019】
クリーニング業用POSシステムの大きな処理の流れは従来と同じであり、顧客が商品取次店に来ると、顧客の名前や電話番号などの顧客情報登録処理を行い、商品の預かりや返却の確認などの商品情報登録処理を行い、その後、商品のクリーニング料金などの会計処理を行う。本発明の要部は、商品情報登録処理と顧客情報登録処理に並行して行われる注意喚起情報表示処理にあるので、会計処理についての説明は省略する。
【0020】
[POS端末の構成]
POS端末10は、図2に例示するように、入力部11と、記憶部12と、表示部13と、預り証発行部14と、通信部15と、制御部16とを有している。
【0021】
入力部11は、例えば、表示部13の表面に設けられたタッチパネル11a、キーボード11b、ハンディスキャナー11c及びカードリーダ11dから構成されている。タッチパネル11aは、後述されるように、来店した顧客に関する顧客情報、顧客から預かる商品に関する商品情報などを登録するために使用される。キーボード11bはタッチパネル11aと同等の操作を行う場合に使用される。顧客情報及び商品情報の入力、並びに各種指示に、タッチパネル11aとキーボード11bのいずれを用いるかは任意である。ハンディスキャナー11cは、再来顧客が提示する利用カードの顧客識別情報としてのバーコードを読み取ったり、返却される商品に付されているタグに記載されている商品識別情報としてのバーコードを読み取ったりするためのものである。カードリーダ11dは、再来顧客が提示する利用カードの顧客識別情報としての磁気データを読み取る場合に使用される。
【0022】
記憶部12には、所要のプログラムやワーキングデータのほか、次のようなデータベースが備えられている。すなわち、データベースには、クリーニング受付可能な商品についての商品マスタデータを登録した商品メニューテーブルt1、来店した各顧客についてのデータを登録した顧客マスタテーブルt2、商品取次店の担当者についてのデータを登録した担当者マスタテーブルt3、及び商品メニューの中の顧客から預かった商品についてのデータを登録した預かり商品履歴テーブルt4が格納されている。
【0023】
商品メニューテーブルt1には、図3に例示するように、商品コード、商品名、商品分類コード、洗い区分、収納区分、単価、ランク、仕上日数、タグ数等のクリーニング受付可能な商品情報及び特定の商品について注意喚起情報がある場合は、その注意喚起情報が、商品マスタデータとして登録されている。注意喚起情報には、クリーニングにより、例えば、溶剤により変色・退色・縮み変形などや、乾燥方法や乾燥温度又はアイロンの熱などにより縮みなどが発生する虞がある旨の情報がある。
【0024】
注意喚起情報は、図3に例示するように、商品メニューテーブルt1に商品情報に付属させて登録することに代えて、別のテーブルに問題が発生する可能性があることが確認されている商品ごとの商品コード、商品名又は商品分類コード及び上記問題の内容名でのデータを登録するようにしてもよい。
【0025】
商品メニューテーブルt1への商品マスタデータの登録は、1商品ごとに、図4に例示する後記表示部13Aの商品マスタデータ登録画面(すなわち、商品情報登録画面)を見ながら、タッチパネル11a又はキーボード11bを用いて、左側の項目に対応する右側の空欄に前記商品情報及び注意喚起情報を入力し、登録ボタンb1をタッチすることにより、行われる。商品マスタデータの登録は、外部装置により作成されたデータを、USBを用いて又はダウンロードにより登録しても良い。
【0026】
顧客マスタテーブルt2への顧客マスタデータの登録は、図5に例示する後記表示部13Bの顧客マスタデータ登録画面(すなわち、顧客情報登録画面)を見ながら、タッチパネル11a又はキーボード11bを用いて、各新規顧客について顧客番号、氏名、電話番号、住所などの顧客情報を入力し、登録ボタンb1をタッチすることにより、行われる。
【0027】
担当者マスタテーブルt3には、図6に例示するように、当該商品取次店の店員の担当者コード、氏名、担当者レベルなど、店員に関するデータが担当者マスタデータとして登録されている。
【0028】
預かり商品履歴テーブルt4には、詳細な図示がされていないが、後述されるように、顧客のクリーニング依頼を受付ける際に、表示部13に表示されている商品メニューの中のその顧客から預かる商品に対応する商品名にタッチし、登録ボタンをタッチした時に預かり商品履歴データが作成され、その預かり商品履歴データが登録されるようになっている。
【0029】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ装置などで構成され、図7A〜図7Cに例示するように、その表示画面130には、担当者表示エリア131、顧客名表示エリア132、コメント表示エリア兼注意喚起情報表示エリア133、利用履歴表示エリア134、商品メニュー表示エリア135、預かり商品表示エリア136が設けられているとともに、顧客から商品を受付けた時にタッチされる受付ボタン137、顧客に商品を返却した時にタッチされる返却ボタン138、及びクリーニング代の会計処理をするときにタッチされる会計ボタン139が設けられている。
【0030】
図7Bに示すように、担当者表示エリア131には、このPOS端末を起動させた担当者が担当者コードを入力したときに、担当者マスタテーブルt3の中のそのコードに対応する担当者氏名が呼び出され、コードとともに表示される。顧客名表示エリア132には、顧客の利用カードから顧客コードを読取ったときに、その顧客の氏名が表示される。また、このとき、コメント表示エリア133には、顧客に係るコメント、例えば、傘の忘れ物がある旨のコメントが表示され、利用履歴表示エリア134には、例えば、初回受付日、来店回数、最終受付日(返却日)などの顧客の利用履歴が表示され、商品メニュー表示エリア135には受付可能な商品名群、すなわち、商品メニューが表示され、預かり商品表示エリア136には、商品メニュー表示エリア135の商品メニューのうち、顧客から預かる商品の商品名をタッチしたときに、その商品名、点数、価格などが表示される。図7Cは、商品メニューのスーツ上下の商品名をタッチしたので、預かり商品表示エリア136の最下欄に、「スーツ上下1点1200円」が表示されている状態を示している。
【0031】
コメント表示エリア兼注意喚起情報表示エリア133には、図7Cに示すように、商品メニューのうちタッチされた商品名について、商品マスタテーブルt1に登録されている商品マスタデータに注意喚起情報が登録されている場合に、その注意喚起情報が読み出されて表示されるようになっている。
【0032】
コメント表示エリアと注意喚起情報表示エリアとは、図示の例のように、同じ位置に設けて、顧客情報の表示が消えた後に、注意喚起情報を表示するようにしても良いし、コメント表示エリアと注意喚起情報表示エリアとを別の位置に同時に表示するようにしてもよい。注意喚起情報は、担当者が見落とさないように、例えば赤枠点滅などにより強調表示されることが望ましい。
【0033】
預り証発行部14は、顧客のクリーニング注文を受け付けた場合に、領収したクリーニング料金額と上記預かり商品情報とを印字した預り証を発行するものである。図示されていないが、預かった商品にしみ、汚れ、破れ、ボタン取れなどがあることが分かった場合に、それらの修繕を指示するための商品タグを発行するタグ発行部が備えられるのが通例である。
【0034】
通信部15は、POS端末10とPOS中央装置20の通信部との間で通信するためのものであり、POS端末10で入力された顧客情報及び商品情報、あるいはこれらの情報に売上情報を付加したPOS情報をPOS中央装置20に送信したり、後述されるように、POS中央装置20で注意喚起情報を登録するようにした場合は、その注意喚起情報を受信するために用いられる。
【0035】
制御部16は、CPUで構成され、顧客情報登録部161と、商品情報登録部162と、印刷制御部163とを含む。
顧客情報登録部161は、上述したように、店員が図5に示される顧客情報登録画面を見ながら入力部11から入力する顧客情報を記憶部12の顧客マスタテーブルt2に顧客マスタデータとして登録する。新規顧客が来店するたびに、同様にして当該顧客の顧客情報が顧客マスタテーブルt2に登録される。
【0036】
商品情報登録部162は、入力部11から商品メニュー登録指令を入力した後、上述したように、店員が図4に示される商品マスタデータ登録画面を見ながら入力部11から入力する受付可能な商品情報及び注意喚起情報を記憶部12の商品メニューテーブルt1に商品マスタデータとして登録する。商品情報登録部162は、また、入力部11から受付商品登録指令を入力した後、上述したように、図7A〜図7Cに示される受付商品登録画面を見ながら入力部11から入力する商品情報を記憶部12の預かり商品履歴テーブルt4に預かり商品履歴データとして登録する。
【0037】
さらに、制御部16は、入力された商品に対応する商品マスタデータから注意喚起情報を読み出して表示部13に表示させたり、入力部11からの送信指令入力に基づき、POS情報をPOS中央装置20に送信させたりする。POS中央装置20から商品マスタデータを受信する場合は、その受信した商品マスタデータの中の注意喚起情報を記憶部12の商品メニューテーブルt1に記憶させたりする。
【0038】
印刷制御部163は、預り証発行部14及びタグ発行部に対して預り証発行及びタグ発行のための制御を行うものである。
【0039】
続いて、顧客から商品を預かる場合の店員の応対及びPOS端末10の作用について図8のフローチャートを参照しながら説明する。
[POS端末の作用]
(1)接客時処理
POS端末10は、起動されると、まず、表示部13に図7Aに示される接客画面130を表示する(S301)。これに応じて、図示されていないが、店員が担当者コードを入力して、担当者表示エリア131に担当者コードと氏名を表示させる。続いて、担当者は顧客識別情報を入力する(S302)。顧客が再来顧客である場合は、例えば、利用カードの提示を求め、その利用カードをハンディスキャナー又はカードリーダで読み取って顧客識別情報の入力を行う。顧客が新規顧客である場合は、新たに発行する利用カードを読み取って顧客識別情報の入力を行う。利用カードをハンディスキャナー又はカードリーダで読み取ることに代えて、例えば電話番号を入力しても良い。
【0040】
入力された顧客識別情報がすでに登録されているか否かで、その顧客が新規顧客か再来顧客かを判断する(S303)。新規顧客であるときは、その顧客の住所、電話番号、氏名などの顧客情報を入力する(S304)。
【0041】
新規顧客と再来顧客のいずれの場合も、顧客から商品を預かるケースか、商品を返却するケースかを、例えばタッチパネルの受付ボタン137又は返却ボタン138をタッチして入力する(S305)。
【0042】
(2)商品預かり処理
受付ボタン137をタッチした場合は、顧客マスタテーブルt2から当該顧客の顧客マスタデータが呼び出され、図7Bに示すように、接客画面130の顧客名表示エリア132及びコメント表示エリア兼注意喚起情報表示エリア133に氏名などの顧客情報及びその顧客情報にコメントが含まれている場合のそのコメントが表示され、利用履歴表示エリア134に利用履歴が表示される。さらに、商品メニューテーブルt1から商品メニューが呼び出されて、商品メニュー表示エリア135に受付可能な商品のメニューが表示される(S306)。
【0043】
この時点で、顧客からクリーニング依頼の受付が可能な状態となる。そして、表示されている商品メニューの中から預かった商品に対応する商品名をタッチすることにより、預かり商品の商品情報を入力する(S307)。1回タッチするごとに、商品点数が設定される。そして、図7Cに示すように、タッチされた商品名、点数及び価格が接客画面130の預かり商品表示エリア136に表示される。この預かり商品について入力した商品情報は、顧客情報とともに一時記憶部に一時記憶される(S308)。
【0044】
顧客情報及び預かり商品情報を一時記憶した後は、商品マスタテーブルt1の商品メニューの中のタッチされた商品名に対応する商品マスタデータの中に注意喚起情報が登録されているか否かを調べる。すなわち、預かる商品が注意喚起情報を含む商品コード又は商品名と合致するか否かを調べる(S309,S310)。
【0045】
照合の結果、合致しない場合(S310においてNの場合)は、店員は預かった商品のクリーニング料金の支払いを顧客に求め、クリーニング代を受領したときに、接客画面の会計ボタン139をタッチして、精算終了を入力する(S311においてY)。これに基づき、一時記憶されていた顧客情報及び預かり商品情報がそれぞれ顧客情報登録部161と商品情報登録部162により更新された顧客マスタデータとして記憶部12の顧客マスタテーブルt2に登録される(S312)。
【0046】
また、引き続いて、印刷制御部163が預り証発行部を構成するプリンタ14に預かった商品についての預り証を発行させる(S313)。さらに、タグ印刷部が設けてある場合は、商品識別番号を印刷したタグを発行する(S314)。このタグは預かった商品を他の商品と区別するために付される。これにより、預かった商品が問題の無い商品である場合の処理が終了する。
【0047】
S310において、照合の結果、当該商品について注意喚起情報が登録されている場合、すなわち、合致する場合(S310においてY)は、図7Cに例示されるように、その商品マスタデータの中に登録されている注意喚起情報が注意喚起情報表示エリア133に表示される(S315)。店員は、その顧客にその商品に内在する問題点を説明して、クリーニングを止めるか、それを承知した上でクリーニングを続行するかを決めるように促す(S316,S317)。
【0048】
顧客がクリーニング続行を決めた場合(S316おいてN、S317においてYの場合)は、S312に移行する。そして、料金受領後に預り証発行部14が発行した預り証に、例えば、注意を受けた旨の記載の付近に記してある○欄に、顧客にチェックを記入し又は署名をしてもらった後に、その預り証を顧客に交付する。
これに対して、クリーニングを止める場合(S316においてYの場合)は、一時記憶した顧客マスタデータの商品情報を消去 (S318) して、処理を終了する。
【0049】
POS端末10において、注意喚起情報の登録、すなわち、商品マスタデータの作成を行う場合は、各商品取次店に人的負担がかかる。この負担を無くするためには、POS中央装置20において商品マスタデータの作成を行い、その商品マスタデータを当該POS端末10に順次又は一括して送信して各商品取次店の商品マスタテーブルt1に保存させる方法を採用するとよい。続いて、その方法の具体的実現手段について説明する。
【0050】
[POS中央装置の構成]
POS中央装置20は、図9に例示するように、入力部21、通信部22、記憶部23、演算制御部24から構成され、演算制御部24は、POS情報集計部241、商品受払い管理部242、注意喚起情報作成部243から構成される。
【0051】
入力部21は、クリーニングにより問題を発生する可能性のある商品の商品コード、商品名、商品分類コードなどの商品情報を、商品に付されている注意書き、商品カタログ、パンフレットなどの記載、あるいは、過去のトラブル事例などに基づいてリストアップし、その問題商品の商品コード、商品名、商品分類コードなどを入力するのに用いる。
【0052】
通信部22、POS情報集計部241及び商品受払い管理部242は、既存のPOS中央装置におけるものと同様に、各POS端末10からのPOS情報の集計及び商品受払いの管理を行うものである。
【0053】
注意喚起情報作成部243は、入力部21からの入力に基づいて、問題商品の商品コード、商品名、商品分類コード及び注意喚起情報を含む商品マスタデータを作成し、記憶部23の各POS端末10に対応して設けられた商品メニューテーブルt1に格納する。
【0054】
そして、入力部21からの送信指令入力に基づき、演算制御部24は、記憶部23の商品メニューテーブルt1から商品マスタデータを読み出して通信部22に各POS端末10へ順次又は一括して配信させるように構成されている。
【0055】
各POS端末10では、POS中央装置20から受信した商品マスタデータを記憶部12の商品メニューテーブルに格納した後は、上述した場合と同様に、クリーニング依頼の受付を行うことができる。
【0056】
本発明の好ましい実施の形態においては、図10に示すように、POS中央装置20は、各POS端末10に対応する商品メニューテーブルを有するほか、POS本部のための同一内容の商品メニューテーブルをも有する。そして、入力部21からの入力により、そのPOS本部の商品メニューテーブルの商品マスタデータを登録、変更又は削除することができ、その結果は各POS端末の商品メニューテーブルに反映されるように構成されている。
【0057】
こうして、POS端末10とPOS中央装置20のいずれにおいても、商品マスタデータを登録、変更又は削除することが可能とされている。従って、商品マスタデータの時宜に合った更新を行うことができる。
【0058】
上述のように、本発明によれば、クリーニング受注・納品において、トラブルを事前に回避することができるクリーニング業用POSシステム、POS端末及びPOS中央装置を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング業の各商品取次店に設置されたPOS端末と、そのPOS端末に双方向通信可能に接続されたPOS中央装置とからなるクリーニング業用POSシステムにおいて、
各POS端末に、クリーニング受付可能な商品の商品コード等のほかに、前記商品のうちの特定の商品についての注意喚起情報を登録したデータベースを備えるとともに、来店した顧客から預かる商品の商品コード等を入力した時、その商品について前記データベースに注意喚起情報が登録されているか否かを検索し,登録されているときはその注意喚起情報を表示部に表示させる制御部を備えていることを特徴とするクリーニング業用POSシステム。
【請求項2】
POS中央装置のデータベースに、クリーニング受付可能な商品について商品コード、商品名、洗い区分等を含む商品情報と、前記商品のうちの特定の商品についての注意喚起情報とを関連付けた商品マスタデータを登録した商品取次店用商品マスタテーブルを各商品取次店に対応させて備えるとともに、前記商品マスタデータをグローバルマスタデータとして登録したPOS本部用商品マスタテーブルを備え、POS本部用商品マスタテーブルのグローバルマスタデータを登録・変更・削除すると、前記商品取次店用商品マスタテーブルの商品マスタデータを登録・変更・削除し、かつ、前記各商品取次店用商品マスタテーブルの商品マスタデータを当該商品取次店のPOS端末に送信する制御部を備えて、前記商品マスタデータを、POS中央装置とPOS端末のいずれにおいても登録・変更・削除することを可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング業用POSシステム。
【請求項3】
POS中央装置に、クリーニング受付可能な商品について商品コード、商品名、洗い区分等を含む商品情報を登録する商品情報登録部と、前記商品の中の特定の商品についての注意喚起情報を登録する注意喚起情報登録部と、前記商品情報登録部により登録された商品情報及びこれに関連付けられた前記注意喚起情報からなる商品マスタデータを各POS端末に配信する制御部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のクリーニング業用POSシステム。
【請求項4】
POS中央装置に、POS端末の注意喚起情報登録部に注意喚起情報をマスタデータごとに登録することができ、かつ、商品取次店ごとに又は一括で登録・変更・削除を行う制御部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクリーニング業用POSシステム。
【請求項5】
商品マスタデータ又はグローバルマスタデータに注意喚起情報を全店員に知らせるか、初心者の店員のみに知らせるかを切り分ける手段を設けて、表示部に商品取次店の店員の熟練度に応じて注意喚起情報を切り分けて表示することを可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング業用POSシステムのPOS端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−243068(P2012−243068A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112225(P2011−112225)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【特許番号】特許第4927222号(P4927222)
【特許公報発行日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(502038842)株式会社デジアイズ (18)
【出願人】(501363969)株式会社デジジャパン (4)
【Fターム(参考)】