説明

クリーニング機構及びこれを備えた情報記録装置

【課題】インクリボンの交換と、クリーニングローラの交換と、カードと接触する粘着性ローラのメンテナンスを、それぞれ必要が生じたときに個別に装置内に着脱できるようにする。
【解決手段】記録カードと接触して塵埃を除去するコンタクトローラと、このコンタクトローラ表面に付着した塵埃を除去するクリーニングローラとを、分離した状態で個別に回転軸方向に装着可能な装着口を装着フレームに設ける。そして、クリーニングローラにはコンタクトローラからローラ表面を離間する操作部材と、コンタクトローラの装着口からの離間を阻止するカバー部材を設けると共に、装置フレームの装着口にコンタクトローラの非装着時にクリーニングローラの装着を阻止する遮閉部材を設けることによって、コンタクトローラ次いでクリーニングローラの順に装着し、クリーニングローラ次いでコンタクトローラの順に離脱することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体に電子情報或いは画像情報を記録する情報記録装置に係わり、カード表面に付着した塵埃を記録処理する前に除去するクリーニング機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の情報記録装置は、各種証明書用カード、決済用カードなどに使用されるカード類に情報記録する装置として広く知られている。カードはプラスチック、厚紙などで所定の規格サイズで作成され、このカード(ブランクカード)を装置のホッパに装填するか、或いはカードを収納したカセットを装置に装填するように構成している。
【0003】
このようなカードに電子情報、或いは画像情報を記録する際に、カードに塵埃が付着していると、記録情報ミス、画像ミスを引き起こすことがある。そこで収容したカード表面の塵埃を除去して記録部に給送することが一般的に行われている。
【0004】
例えば特許文献1には、カード表面に接するローラとカード裏面に接するローラを粘着性ローラで構成して通過するカードをクリーニングする機構が開示されている。同文献にはカードを挟む一対の粘着性ローラと、このローラの一方と接してローラ表面をクリーニングするクリーニングローラをユニットとして構成し、このクリーニングユニットを装置の搬送経路に着脱可能に装着する機構が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、カートの搬送経路に粘着性ローラを配置し、このローラの表面に付着した塵埃をクリーニングローラで取り除く機構が開示されている。同文献には、搬送経路の粘着性ローラと接するクリーニングローラを印字用のリボンカセットに配置している。そして、リボンカセットの装着時には、装置内の粘着性ローラの軸方向にカセットのクリーニングローラを挿入している。
【0006】
このためクリーニングローラは粘着性ローラと接触する位置と、これから離間した位置との間で移動可能にカセットに内蔵され、その接触位置と離間位置との間で位置移動する機構をカセットに設けてカセット装着動作に連動させている。具体的には、リボンカセットを装着するための開閉カバー(装置フロントカバー)を開蓋するとクリーニングローラは離間位置に、閉止すると接触位置に連動するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−26351号公報
【特許文献2】特開2007−524525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、記録カードを記録部に給送する前に、カード表面の塵埃を除去するクリーニング機構は広く知られている。そして、特許文献1には、カード表面に接触する粘着ローラと、このローラに付着した塵埃を除去するクリーニングローラをユニット化して装置に装着するクリーニング機構が提案されている。また、特許文献2には、装置内に設けた粘着性ローラの塵埃をリボンカセットのクリーニングローラで除去するクリーニング機構が提案されている。
【0009】
このように、カードと接触する粘着性ローラと、ローラ表面に付着除去した塵埃をクリーニングローラで除去することは既に知られている。この場合、特許文献1で提案されているようにカードと接触する粘着性ローラとクリーニングローラをユニット化して装置に着脱する機構を採用すると、クリーニングユニットを装置から取り外してクリーニングローラを交換するときには、この交換時に粘着性ローラの表面を破損する問題を生ずる。
【0010】
一方、特許文献2に提案されている機構を採用すると、装置内に準備されているカードと接触する粘着性ローラに不具合が生じたとき、例えば金属片が付着してクリーニングローラで除去できないときには、オペレータが装置内でローラ表面に付着した金属片を取り除かなければならない。これと同時に、インクリボンの交換時にクリーニングローラを同時に交換しなければならず、経済的なロスを伴うことになる。
【0011】
上述のようにカード表面に付着した塵埃を除去する際に、カードと接触する粘着性ローラは不具合が発生した都度、これを交換あるいはメンテナンスする必要があり、クリーニングローラは、その破損程度に応じて定期的に交換する必要があり、インクリボンはその消費量に応じて交換する必要がある。
【0012】
そこで本発明者は、インクリボンの交換と、クリーニングローラの交換と、カードと接触する粘着性ローラのメンテナンスを、それぞれ必要が生じたときに個別に装置内に着脱できるようにするとの知見に至った。
【0013】
このとき粘着性ローラとクリーニングローラはそれぞれ表面が粘着性を有するため、両ローラを個別に装置内に着脱する際には両ローラを引き離さなければならない問題と、これらを個別に装置に着脱する場合に、ローラの一つが装着されていないとその状態で装置が再起動してしまう問題が新たに発生する。
【0014】
本発明は、カード表面と接して塵埃を除去するコンタクトローラと、コンタクトローラ表面に付着した塵埃を取り除くクリーニングローラとを、それぞれの状態に応じて適時に装置に着脱交換あるいはメンテナンスすることが可能な情報記録装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を達成するため本発明は、記録カードと接触して塵埃を除去するコンタクトローラと、このコンタクトローラ表面に付着した塵埃を除去するクリーニングローラとを、分離した状態で個別に回転軸方向に装着可能な装着口を装着フレームに設ける。
【0016】
そして、クリーニングローラにはコンタクトローラからローラ表面を離間する操作部材と、コンタクトローラの装着口からの離間を阻止するカバー部材を設けると共に、装置フレームの装着口にコンタクトローラの非装着時にクリーニングローラの装着を阻止する遮閉部材を設けることによって、コンタクトローラ次いでクリーニングローラの順に装着し、クリーニングローラ次いでコンタクトローラの順に離脱することを特徴としている。
【0017】
更に、その構成を詳述するに、記録カードを搬送する搬送経路と、搬送経路に配置され、記録カードの少なくとも片面と接触して塵埃を除去するコンタクトローラと、コンタクトローラに付着した塵埃を除去するクリーニングローラと、記コンタクトローラとクリーニングローラを互いに接触した状態に保持する装置フレームとを備える。
【0018】
そして、コンタクトローラとクリーニングローラとは、それぞれ表面に粘着性を有するローラ体と、このローラ体と一体の回転軸で構成し、装置フレームには、コンタクトローラとクリーニングローラを分離した状態で個別に回転軸方向に着脱可能な装着口を設け、この装着口には、コンタクトローラの非装着時にクリーニングローラの装着を阻止する遮閉部材を設ける。
【0019】
また、クリーニングローラには、装着口に装着された状態で、クリーニングローラ表面をコンタクトローラ表面から離間する操作部材と、コンタクトローラを装着口からの離脱するのを阻止するカバー部材を設けることによって装置フレームの装着口に、コンタクトローラ次いでクリーニングローラの順に装着し、クリーニングローラ次いでコンタクトローラの順に離脱することが可能となる。
【0020】
上記装置フレームの装着口には、クリーニングローラの回転軸とは異なる支軸でクリーニングローラを軸支する軸承部と、クリーニングローラ表面をコンタクトローラ表面に接触させる圧接スプリングが設けられ、操作部材は、軸承部を中心に圧接スプリングに抗してクリーニングローラを揺動させることによってコンタクトローラ表面から離間させる。
【0021】
上記操作部材とカバー部材とは、ロック姿勢と解除姿勢に位置移動可能な操作ハンドルで構成し、操作ハンドルは、ロック姿勢でコンタクトローラを装着口から離脱するのを阻止し、解除姿勢でクリーニングローラ表面をコンタクトローラ表面から離間するように構成する。
【0022】
上記遮閉部材は、装着口にクリーニングローラの装着を阻止する係止位置と、クリーニングローラの装着を許容する解除位置との間で移動可能なカム部材で構成し、このカム部材は、コンタクトローラを装着口に装着する動作で係止位置から解除位置に移動する。
【0023】
上記搬送経路を内蔵するハウジングと、ハウジングに設けられ、搬送経路を開閉する開閉カバーと、開閉カバーの閉止動作を禁止するインターロック部材とを備え。そして、インターロック部材は、操作部材が非装着状態のとき開閉カバーの閉止動作を禁止し、操作部材が装着状態のとき開閉カバーの閉止動作を許容するように構成する。
【0024】
上記コンタクトローラは、記録媒体の表面と接触する第1ロールと、記録媒体の裏面と接触する第2ロールと、この第1ロールと第2ロールを一体に保持するホルダ部材とで構成し、クリーニングローラは第1ロールと接触するように装着口に装着する。
【0025】
本発明に係わる情報記録装置は、記録カードに電子情報と画像情報を記録する装置であって、ハウジングと、記録カードを収納するカード収容部と、記録カードに電子情報を記録する情報記録部と、記録カードに画像情報を形成する画像記録部と、カード収容部から記録カードを記録部に向けて搬入するカード搬入経路と、カード搬入経路から送られた記録カードを画像記録部に移送する記録部搬送経路とを備える。そして、カード搬入経路にはクリーニング機構を設け、このクリーニング機構は上述の通り構成する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、カードと接触するコンタクトローラと、その表面に付着した埃を除去するクリーニングローラとを分離した状態で個別に装着可能な装着口を装置フレームに設け、クリーニングローラ側にローラ相互を離間する操作部材と、コンタクトローラの装着口からの離脱を阻止するカバー部材を設ける。そして、装置フレームの装着口側にコンタクトローラの非装着時にクリーニングローラの装着を阻止する遮閉部材を設け、コンタクトローラ、クリーニングローラの順に装着し、その逆の順で離脱するようにしたものであるから以下の効果を奏する。
【0027】
クリーニングローラは、装置に装着する際には、その前にコンタクトローラが装着されていなければ装着出来ないから、コンタクトローラの装着を忘れる恐れがなく、複数のローラを確実に装置に装着することが可能である。これと共に、クリーニングローラにローラ同士の粘接着を解除する操作部材が設けてあるから各ローラを簡単に装置に装着することが出来、その装着後にクリーニングローラとコンタクトローラを粘接着することが出来る。
【0028】
また、各ローラユニットを装置から離脱する際には、クリーニングローラにコンタクトローラを装着口から離脱するのを阻止するカバー部材が設けてあるから、ローラ同士が粘接着した状態でコンタクトローラを引き出す恐れが無く、その誤操作によるローラ表面の破損を招くことがない。
【0029】
更に、本発明にあって装置ハウジングにカード搬送経路を開閉する開閉カバーを設け、このカバーをクリーニングローラの操作部材が非接触状態の時には開閉禁止することによって開閉カバーが閉じられないときには、クリーニングローラと、コンタクトローラが装置内に装着されていないことを警告することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係わる情報記録装置の一実施形態を示す説明図。
【図2】カードクリーニング装置の各ローラを装着した状態を斜めから示す説明図。
【図3】カードクリーニング装置の各ローラを離脱した状態を斜めから示す説明図。
【図4】カードクリーニング装置のコンタクトローラを収納しているカートリッジを示す説明図。
【図5】カードクリーニング装置のクリーニングローラを収納しているカートリッジを示す説明図。
【図6】コンタクトローラとクリーニングローラとを取り外した状態を装置の正面から示す図。
【図7】コンタクトローラを装着した状態を装置の正面から示す図。
【図8】クリーニングローラを装着した状態を装置の正面から示す図。
【図9】装着したコンタクトローラとクリーニングローラとが更に接する状態を正面から示す図。
【図10】インターロック部材の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる情報記録装置1の全体構成の説明図である。図1の装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードなどに情報を記録する。このためハウジング2には、情報記録部Aと画像形成部Bとカード供給部Cとが備えられる。情報記録部Aは、磁気記録部24と、非接触式IC記録ユニット23と、接触式IC記録ユニット27とで構成されている。この情報記録部Aは装置仕様に応じて種々の記録部、例えばバーコード記録部などで構成する。
【0032】
[カード供給部]
図1の装置におけるカード供給部Cの構成について説明する。図1の装置はカード供給部Cをカードカセット3で構成している。カードカセット3は、ボックス形状のカセット筐体3a(以下「筐体」という)と、この筐体内に設けられたカード収容部4で構成される。このカード収納部4は、複数の記録カード10を立位姿勢で整列して収納可能なカード寸法に適合する収容スペースで構成されている。このカード収納部4には図示上方に記録カードを出し入れする開口部が設けられ、この開口部を開閉する開閉カバー3bがヒンジ連結されている。
【0033】
上記カード収納部4は、一端(図示左端)から他端(右端)に記録カードを前後に整列して立位姿勢で収納するスペース形状に構成されており、左端から右端にサポート部材12で繰り出される。このカードカセット3の先端には分離開口7が設けられ、ピックアップローラ19で最前列の記録カードから装置内に供給される。
【0034】
[情報記録部の構成]
図1に基づいて情報記録部Aの構成を説明する。カード収納部4から情報記録部に導入される記録カードの搬送経路15にはコンタクトローラ22が配置されており、記録カードは、先ず、コンタクトローラ22にて記録カード表面の塵埃が除去された後、反転ユニットFに送られる。コンタクトローラ22は、記録カードを挟持して送り出す際に記録カード表面と接して、表面の塵埃を除去する一対の第1ローラ22aと第2ローラ22bとから成る。クリーニングローラRcは、第1ローラ22aの表面に付着した塵埃を取り除くよう、第1ローラ22aと接している。コンタクトローラ22及びクリーニングローラRcは、交換あるいはメンテナンスの面で、装置から着脱自在なよう構成しているが、後に詳述する。
【0035】
反転ユニットFは、装置フレーム(不図示)に旋回動可能に軸受け支持されたユニットフレームと、このフレームに支持された一対、或いは複数のローラ対で構成される。図示のものは距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対20、21をユニットフレームに回転自在に軸支持されている。そしてユニットフレームは旋回モータ(パルスモータなど)で所定角度方向に旋回動し、これに取付けられているローラ対は搬送モータで正逆転方向に回転するように構成されている。この駆動機構は図示しないが、例えば1つのパルスモータでユニットフレームの旋回動と、ローラ対の回転をクラッチで切り換えるように構成する。
【0036】
このような構成の反転ユニットFは、カードカセット3から送られた記録カードを所定角度方向に旋回することができる。そして、その旋回方向外周には、磁気記録ユニット24と、非接触式IC記録ユニット23及び接触式IC記録ユニット27と、リジェクトスタッカ25が配置されている。尚、図示28はバーコードリーダであり、例えば後述する画像形成部Bで印刷したバーコードを読み取って正誤判別(エラー判別)するためのユニットである。以下これらの記録ユニットをデータ記録ユニットという。
【0037】
従って反転ユニットFで所定の角度方向に姿勢偏向された記録カードをローラ対20、21で記録ユニットに移送すると、記録カード上に磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。またこれらのデータ入力ユニットで記録ミスが生じた場合にはリジェクトスタッカ25に搬出する。
【0038】
上記反転ユニットFの下流側には画像形成部Bが設けられ、この画像形成部Bにカードカセット3から記録カードを移送する搬入経路P1が設けられ、この経路P1に前述の反転ユニットFが配置されている。また、搬入経路P1には記録カードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。この搬送ローラ29、30は正逆転切り換え可能に構成され、反転ユニットFから画像形成部Bに記録カードを搬送するのと同時に画像形成部Bから記録カードを反転ユニットFに搬送するようになっている。
【0039】
上記画像形成部Bの下流側には収容スタッカ60に記録カードを移送する搬出経路P2が設けられている。搬出経路P2には記録カードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)37、38が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。
【0040】
尚、搬送ローラ37と搬送ローラ38の間にはディカールローラ36が配置され、搬送ローラ37、38間に保持された記録カードの中央部を押圧することによって、熱転写により生じたカールを矯正する。このためディカールローラ36は図示しない昇降機構で図1上下方向に位置移動可能に構成されている。
【0041】
「画像形成部」
画像形成部Bは、記録カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成する。図示の装置は昇華型インクリボンで画像形成する場合を示している。
【0042】
画像形成部Bにはサーマルヘッド40とインクリボン41が配置されている。インクリボン41はカートリッジ42に収納され、このカートリッジ42に操出ロール43と巻取ロール44が収容され、巻取ロール44には図示しないワインドモータMr1が連結されている。
【0043】
そしてプラテンローラ45に対向する位置にサーマルヘッド40が配置されている。このサーマルヘッド40は、ヘッドコントロール用IC(図示せず)により熱制御される。そして、このヘッドコントロール用ICは、画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することにより、インクリボン41を後述する転写フィルム46に画像形成する。このためサーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取ロール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。
【0044】
上記転写フィルム46は巻取ロール47と操出ロール48に巻回され、この転写フィルム46はプラテンローラ31とヒートローラ33に転写画像を移送するように巻装されている。図示49は転写フィルム46の移送ローラであり、その周面にピンチローラ32aと32bが配置され、この移送ローラ49には図示しない駆動モータに連結されている。そして転写フィルム46は、インクリボン41と同一速度で図1反時計方向に移動する。
【0045】
またヒートローラ33には、搬入経路P1に配置されているプラテンローラ31に転写フィルム46を介して圧接離間するように昇降機構(不図示)が設けられている。このヒートローラ33は加熱ローラで構成され、内部に配置されている加熱手段で転写フィルム46上の画像を記録カード表面に転写する。尚、図示Se1はインクリボン41の位置検出センサであり、図示Se2は転写フィルム46の有無検出センサである。尚、画像形成部Bには装置内に発生した熱を外に出す為のファンf2が設けられている。
【0046】
「収容部」
収容部Dは図1に示すように画像形成部Bから送られた記録カードを収容スタッカ55に収容するように構成されている。この収容スタッカ55は図示しない昇降機構56とレベルセンサで、最上記録カードを検出し、昇降機構61で図1下側に下降移動するように構成されている。
【0047】
上記した本発明に係わる情報記録装置1の全体構成の中で、コンタクトローラ22及びクリーニングローラRcの交換あるいはメンテナンスのために、装置から着脱自在にした構成について説明する。
【0048】
図2及び図3は、情報記録装置1のコンタクトローラ22及びクリーニングローラRc及びその周辺を斜視図にて示すもので、図2はクリーニングローラRcとコンタクトローラ22を装置フレーム60に装着している状態、図3はこれらローラを装置フレーム60から取り外した状態をそれぞれ示している。この装置フレーム60には、コンタクトローラ22とクリーニングローラRcを分離した状態で個別に回転軸方向に着脱可能な装着口74が形成されている。
【0049】
本実施形態においては、コンタクトローラ22とクリーニングローラRcは、それぞれホルダ部材に収納されて、カートリッジ形式によりホルダ部材毎に装置より着脱可能となっている。コンタクトローラ22の一対のローラ22a及びローラ22bと一緒に保持するホルダ部材はカートリッジ63(第4図示)を構成している。一方、カートリッジ64(第5図示)はクリーニングローラRcを収納している。そして、カートリッジ64のホルダ部材には、後に明らかとなる操作ハンドル70を形成している。
【0050】
コンタクトローラ22とクリーニングローラRcは、それぞれ表面に粘着性を有するローラ体と、このローラ体と一体の回転軸で構成されている。
【0051】
一対のコンタクトローラ22は、ローラ22bが駆動ローラ、ローラ22aが従動ローラである。カード収納部4から供給される記録カードは、一対のコンタクトローラ22に挟持されて搬送経路15を通して反転ユニットFに送られる間、その表面に付着している塵埃が除去される。
【0052】
コンタクトローラ22のローラ22aと表面同士が接触しているクリーニングローラRcは、コンタクトローラ22に連動して回転することにより、コンタクトローラ22が記録カードの表面から除去して自身の表面に付着している塵埃を除去する。従って、これら3通りのローラ表面の粘度は図示の右側から左側のローラにかけて高くなるように設定しており、すなわちクリーニングローラRcの粘度が一番高い。
【0053】
コンタクトローラ22及びクリーニングローラRcは、それぞれが収納されているカートリッジ63、64ごとに、交換やメンテナンスの目的で装置フレーム60から取り出せるようになっている。
【0054】
クリーニングローラRcを収納するカートリッジ64には、装置フレーム60の装着口74に装着された状態で、ローラ表面をコンタクトローラ22から離間させるための操作部材61と、コンタクトローラの装着口74からの離間を阻止するカバー部材62が設けられており、操作部材61とカバー部材62は一体で操作ハンドル70を構成している。
【0055】
そして、カートリッジ64には、クリーニングローラRcの回転軸65とは異なる支軸66が設けられており、装置フレーム60の装着口74の軸承部85に支持されて、操作ハンドル70の操作により、ロック姿勢位置と解除姿勢位置に移動可能となっている。操作ハンドル70がロック姿勢にあると、コンタクトローラ22を収納したカートリッジ63が装着口74から離脱するのを阻止し、操作ハンドル70が解除姿勢にあると、クリーニングローラRcの表面をコンタクトローラ22の表面から離間させて、カートリッジ64が装着口74より引き出せる状態となる。
【0056】
また、装置フレーム60には、クリーニングローラRcの表面をコンタクトローラ22の表面に接触させる圧接スプリング76が設けられており、操作部材61を操作して、カートリッジ64を、支軸66を中心に圧接スプリング76に抗して揺動させることで、クリーニングローラRcをコンタクトローラ22の表面から離間させることできる。
【0057】
遮閉部材67は、コンタクトローラ22を収納したカートリッジ63が装置フレーム60へ装着されていないと、クリーニングローラRcを収納したカートリッジ64が装置フレーム60へ挿入されるのを阻止するよう設けられている。この遮閉部材67は、装置フレーム60の軸68に搖動自在に支持されると共に、カム部材69を具備しており、カートリッジ63が挿入されていないときは、カートリッジ64(クリーニングローラRc)の装着を阻止するよう係止位置にバネ(図示せず)により付勢されているが、装着口74にカートリッジ63が挿入されて、カートリッジ63とカム部材69とが接触すると搖動して、カートリッジ64の装着を許容する解除位置となる。
【0058】
図10において、インターロック部材71は、装置フレーム60に回動自在に軸81に軸止されており、カートリッジ64が挿入されていないとき(図6、図7)及びカートリッジ64が挿入されて、且つ操作ハンドル70が解除姿勢にあるとき(図8参照)はバネ72に付勢されて、装置フレーム60の前面に形成した装着口74を塞ぐ位置にある。この状態では、装置フレーム60の前面を開閉する開閉カバー75に形成したピン82が開口83に挿入されず、開閉カバー75は装置フレーム60の前面を閉止できない。
【0059】
一方、カートリッジ64が装着口74に挿入されて、且つ操作ハンドル70がロック姿勢にあると(図9参照)、インターロック部材71はカートリッジ64に押されてバネ72に抗して回動するために、装置フレーム60の前面に形成した開口83が現れ、開閉カバー75のピン82が開口83に挿入でき、開閉カバー75は装置フレーム60の前面を閉止することが出来る。
【0060】
上記構成の遮閉部材67、操作ハンドル70、インターロック部材71の動作を図6から図9までに基づき説明する。
【0061】
図6は、カートリッジ63及びカートリッジ64が非装着の状態を示しており、遮閉部材67はカートリッジ64(クリーニングローラRc)の装着口74への装着を阻止する係止位置にバネ付勢されている。一方、カートリッジ63は装着可能な状態となっている。また、インターロック部材71もバネ72に付勢されて、開口83を覆う位置にある。
【0062】
図6の状態からカートリッジ63を挿入した図7の状態では、カートリッジ63とカム部材69との当接により遮閉部材67は下方に搖動して、の装着口74から退避してカートリッジ64装着を許容する解除位置となる。これにより、コンタクトローラ22とクリーニングローラRcを装着する場合は、コンタクトローラ22次いでクリーニングローラRcの順となる。
【0063】
そして、図8はカートリッジ64を装着口74に挿入した状態であるが、カートリッジ64に形成されている操作ハンドル70はこの状態では解除姿勢にあり、クリーニングローラRcの表面とコンタクトローラ22の表面とは離間している。
【0064】
図8の状態で、操作ハンドル70を軸66(第5図示)を支点に下方に回動させて図9の状態となると、クリーニングローラRcの表面とコンタクトローラ22の表面とが接して、記録カードのクリーニング動作が可能となる。このとき、操作ハンドル70の下方への回動により、遮閉部材67によりカートリッジ63の引出側は覆われて、装置フレーム60から取り出すことが出来なくなる。そして、インターロック部材71はカートリッジ64に押されて回動し、装置フレーム60の前面の開口83が現れ、開閉カバー75を閉じればピン82が開口83に挿入して装置フレーム60の前面を閉止することが出来る。
【0065】
以上はコンタクトローラ22とクリーニングローラRcを装着する場合の動作説明であるが、これらローラを装置フレーム60から取り出すときは、逆に図9の状態からの動作となる。すなわち、操作ハンドル70を操作して上方に回動させて、クリーニングローラRcの表面とコンタクトローラ22の表面とを離間させた図8の状態の後、カートリッジ64を引き出すことで遮閉部材67による閉塞が解除され、これによりカートリッジ63を引き出せる。従って、コンタクトローラ22とクリーニングローラRcを引き出す場合は、クリーニングローラ22次いでコンタクトローラRcの順となる。
【0066】
このように、本発明によれば、それぞれ表面が粘着性を有するコンタクトローラ22とクリーニングローラRcを個別に装置内に着脱するときに、装着する場合には、遮閉部材67の作用によりコンタクトローラ22次いでクリーニングローラRcの順でなければ装着できず、離脱する場合には、操作ハンドル70の作用により両ローラが確実に離間させ、且つカバー部材62によりクリーニングローラ22次いでコンタクトローラRcの順でなければ脱着できないようになっている。従って、クリーニングローラ22及びコンタクトローラRcを個別に確実に着脱することができる。
【0067】
しかも、操作ハンドル70の操作によりコンタクトローラ22とクリーニングローラRcとを接触させないと、開閉カバー75が閉止できないようにしたことで、クリーニングローラRcの装着忘れや、コンタクトローラ22とクリーニングローラRcとが離脱した状態で装置が再起動するようなことが防止される。
【0068】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、プラスチックカード、厚紙カードなどの記録媒体に電子情報或いは画像情報を記録する情報記録装置に係わり、記録カード表面に付着した塵埃を記録処理する前に除去するクリーニング機構のメンテナンス性を向上させたものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0070】
1 記録カード
2 ハウジング
3 搬送経路
22 コンタクトローラ
22a 第1ローラ
22b 第2ローラ
60 装置フレーム
61 操作部材
62 カバー部材
63 ホルダ部材(カートリッジ)
67 遮閉部材
69 カム部材
71 インターロック部材
74 装着口
75 開閉カバー
76 圧接スプリング
Rc クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録カードを搬送する搬送経路と、
前記搬送経路に配置され、記録カードの少なくとも片面と接触して塵埃を除去するコンタクトローラと、
前記コンタクトローラに付着した塵埃を除去するクリーニングローラと、
前記コンタクトローラと前記クリーニングローラを互いに接触した状態に保持する装置フレームと、
を備え、
前記コンタクトローラと前記クリーニングローラとは、それぞれ表面に粘着性を有するローラ体と、このローラ体と一体の回転軸で構成され、
前記装置フレームには、前記コンタクトローラと前記クリーニングローラを分離した状態で個別に回転軸方向に着脱可能な装着口が設けられ、
前記クリーニングローラには、
前記装着口に装着された状態で、前記クリーニングローラ表面を前記コンタクトローラ表面から離間する操作部材と、
前記コンタクトローラの前記装着口からの離間を阻止するカバー部材と、
が設けられ、
前記クリーニングローラと前記コンタクトローラとは、
前記装置フレームの装着口に、前記コンタクトローラ次いで前記クリーニングローラの順に装着可能であると共に、前記クリーニングローラ次いで前記コンタクトローラの順に離脱可能であることを特徴とする情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項2】
前記装置フレームの装着口には、
前記クリーニングローラの回転軸とは異なる支軸でクリーニングローラを軸支する軸承部と、
前記クリーニングローラ表面を前記コンタクトローラ表面に接触させる圧接スプリングが設けられ、
前記操作部材は、前記軸承部を中心に前記圧接スプリングに抗して前記クリーニングローラを揺動させることによって前記コンタクトローラ表面から離間させることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項3】
前記操作部材と前記カバー部材とは、ロック姿勢と解除姿勢に位置移動可能な操作ハンドルで構成され、
この操作ハンドルは、ロック姿勢で前記コンタクトローラを前記装着口から離脱するのを阻止し、
解除姿勢で前記クリーニングローラ表面を前記コンタクトローラ表面から離間させることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項4】
前記装着口には、前記コンタクトローラの非装着時に前記コンタクトローラの装着を阻止する遮閉部材が設けられ、
前記遮閉部材は、前記装着口に前記クリーニングローラの装着を阻止する係止位置と、クリーニングローラの装着を許容する解除位置との間で移動可能なカム部材で構成され、
このカム部材は、前記コンタクトローラを前記装着口に装着する動作で係止位置から解除位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項5】
前記搬送経路を内蔵するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記搬送経路を開閉する開閉カバーと、
前記開閉カバーの閉止動作を禁止するインターロック部材と、
を備え、
前記インターロック部材は、前記操作部材が非装着状態のとき前記開閉カバーの閉止動作を禁止し、前記操作部材が装着状態のとき前記開閉カバーの閉止動作を許容することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項6】
前記コンタクトローラは、
記録媒体の表面と接触する第1ロールと、
記録媒体の裏面と接触する第2ロールと、
この第1ロールと第2ロールを一体に保持するホルダ部材と、
で構成され、
前記クリーニングローラは前記第1ロールと接触するように前記装着口に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置におけるクリーニング機構。
【請求項7】
記録カードに電子情報と画像情報を記録する装置であって、
ハウジングと、
記録カードを収納するカード収容部と、
記録カードに電子情報を記録する情報記録部と、
記録カードに画像情報を形成する画像記録部と、
前記カード収容部から記録カードを記録部に向けて搬入するカード搬入経路と、
前記カード搬入経路から送られた記録カードを前記画像記録部に移送する記録部搬送経路と、
を備え、
前記カード搬入経路にはクリーニング機構が設けられ、
このクリーニング機構は、請求項1乃至6の何れかの項に記載の構成を備えていることを特徴とする情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−121645(P2012−121645A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272184(P2010−272184)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】