説明

クリーニング装置、中間転写ユニット、転写搬送ユニット、および画像形成装置

【課題】タンデム型のような画像形成装置における中間転写体ユニット、あるいは転写搬送ユニット等のベルトユニットは、ベルトの交換に際して、装着されているクリーニングユニットを取り外して後、ベルト自身のユニットに対する張力を解除しなければならなかった。そのため、交換の手間がかかりすぎるので、これを簡略化する必要があった。
【解決手段】ベルトユニットのベルト内周側に対向ローラ50を設け、対向ローラ50の軸芯に嵌合させた支軸を有するクリーニングユニットをベルトユニットに取り付け、クリーニングユニットのクリーニング部材61を、ベルト10を介して対向ローラ50に圧接させる。同時に、押圧部材がベルト表面側から押し当てられ、ベルト10に若干の張力を与えるとともに、ベルト10が対向ローラ50に所定量巻き付くように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。詳しくは、それに用いる中間転写ユニット、転写搬送ユニットまた、それに用いるクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベルト表面からローラ等を押し当ててベルトユニット(転写ベルトユニット)の這い回し自由度の向上、或いは省スペース化等を課題とした発明はされている。省スペースを目的にベルト表面からローラを押し当てる事で、ユニットの薄型化、また、同時に駆動ローラへのベルトの巻き付き角を増やす事でベルトスリップを防止し、ベルト走行性の安定化を図っている(例えば、特許文献1 参照。)。しかしながら、これらの発明は、ベルトユニット内にローラを配置しているだけで、クリーニング装置との関連については特に触れられていない。
【0003】
ベルトユニット側の寿命と、クリーニングユニット側の寿命は異なる場合が多く、例えばベルトのみを交換したいような場合がある。クリーニングユニットはベルトと接触する部分があり、接触圧もかかっているので、ベルト交換に際してはクリーニングユニットの圧解除をしなければならない。一般的にはベルトユニットに対し、クリーニングユニットが着脱可能なように構成し、クリーニングユニットを組み付けた状態でベルトユニットを画像形成装置本体に装着している。したがって、ベルト交換の場合は、クリーニングユニットごとベルトユニットを装置本体から取り出し、その後、ベルトユニットからクリーニングユニットを取り外し、次いでベルトユニットからベルトを取り外す。ベルトユニットは複数のローラに無端ベルトを掛け渡し、ベルトに対し所定の張力を掛けるようにしているので、ベルトを取り外すには、この張力の解除も必要になる。
このようなベルト交換の手順の複雑さを解消したベルトユニットとクリーニングユニットの構成が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−198680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、駆動ローラ、従動ローラにベルトを普通に巻きかけてベルトユニットを構成していた。しかし、このような構成ではベルトユニットの小型化に限界がある。駆動ローラ、従動ローラは一定レベル以上の力をベルトに掛ける必要があり、小型化するとベルトに曲がり癖がついてしまうからである。
上記対策として、特許文献1のようにベルトの外部からローラを押し当ててベルト走行路を湾曲させる構成が提案された。ところがこのような場合、ベルトを湾曲させるローラ(以下湾曲ローラと呼ぶ)はベルト交換時に外す必要がある。つまり、サービス作業手順が増えてしまったのである。
一方、従来からベルトクリーニング装置もベルト交換時にはベルトユニットから外す必要があった。そこで、特許文献1では湾曲ローラをクリーニングローラと兼用するすることが提案されている。しかしながら、このような構成では、クリーニングローラとベルトの位置関係を精度良く確保できなかった。前述のごとく、湾曲ローラは取り外し可能とするための構成が必要で、固定することができないからである。取り外し作業等による取り付け部分の摩耗も位置精度を阻害する。また、近年、画質向上のため、トナーを小径化、球形化することが行われているが、この種のトナーはクリーニングが大変困難である。クリーニング部材とベルトの位置精度確保が極めて重要なものとなったのである。
本発明は、省スペース化等の従来からの要求性能は犠牲にしないで、従来達成困難であったベルト交換性向上とクリーニング条件の位置精度確保の同時達成を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、複数の支持ローラに懸架された像担持体用の無端ベルトユニットのベルト表面の残留トナーを除去するクリーニング装置において、該クリーニング装置は、少なくとも1個の押圧部材と、1個のクリーニング部材を一体的に有し、前記無端ベルトユニットに装着可能に構成されたクリーニングユニットと、前記クリーニング部材に対向する位置で、前記無端ベルト内周に近接して位置固定の対向ローラと、を有し、前記クリーニングユニットが装着されたとき前記押圧部材とクリーニング部材が前記無端ベルトに接触し、前記無端ベルト裏面が前記対向ローラに対し所定の巻き付き角で接触することを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のクリーニング装置において、前記押圧部材はローラであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のクリーニング装置において、前記押圧部材の表面粗さはRmaxで30μm以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記押圧部材は、前記ユニット内にあって前記無端ベルト移動方向に関し前記クリーニング部材の下流側に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記押圧部材のベルト幅方向の長さは、前記無端ベルトの幅以上であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記クリーニングユニットは、前記対向ローラに対する位置決めを行ってから、前記押圧部材の前記無端ベルトに対する位置決めを行うことを特徴とする。
【0009】
請求項7に記載の発明では、複数の転写手段と、クリーニング装置を備えた中間転写ユニットにおいて、前記クリーニング装置は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクリーニング装置であり、該クリーニング装置は前記複数の転写手段の内、前記ベルト走行方向に関し最上流に位置する転写手段の直前に配置したことを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、複数の転写手段と、クリーニング装置を備えた転写搬送ユニットにおいて、前記クリーニング装置は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクリーニング装置であり、該クリーニング装置は前記複数の転写手段の内、前記ベルト走行方向に関し最上流に位置する転写手段の直前に配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の発明では、請求項7に記載の中間転写ユニットを用いた画像形成装置を特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項8に記載の転写搬送ユニットを用いた画像形成装置を特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項9または10に記載の画像形成装置において、前記複数の転写手段によって形成される複数の転写ニップと、前記押圧部材のベルト接触部とがほぼ一直線上に配置され、前記押圧部材と直近の転写手段の間のベルト走行方向は、転写手段間のベルト走行方向とほぼ平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルトユニット内部に配置されたクリーニング対向用のローラに対し配置するクリーニングユニット側に、ベルト表面から押し当てる部材を設けたことでクリーニングユニット内のクリーニング部材のベルトに対しての位置精度、省スペース化を達成しながら、ベルト交換性、駆動ローラとの巻き付き角の確保の達成を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の本発明の一実施の形態を示す図である。
同図において符号1は感光体、2は感光体クリーニング装置、3はクリーニングブレード、4は帯電装置、6,7,8,9は現像装置、10は中間転写体(ベルト)、11は1次転写装置、12,13,14は支持ローラ、19はベルトクリーニングユニット、21は2次転写ローラ、25は給紙カセット、26は給紙ローラ、27は搬送ローラ、28はレジストローラ、30は定着装置、32は排出ローラ、40はトナー回収用ボトル、41は露光装置、50は対向ローラ、101は1次転写バイアス制御部、102は2次転写バイアス制御部をそれぞれ示す。
同図はタンデム型間接(中間)転写方式の電子写真装置である。
複写装置本体には、中央に、中間転写体として用いる無端ベルト状のベルト10を設ける。ベルト10は、多層構造、単層構造でも構わない。多層構造であればベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなるもの、単層であればPVDF、PC、ポリイミド等の材質を用いるものがある。なお本発明では、特にベルトの材質に関し特定する必要は無い。
そして、図1に示すとおり、図示例では支持ローラ12,13,14に掛け回して図中反時計回りに回転搬送可能とする。これら支持ローラと、転写装置と、ベルト10を一体化して中間転写体ユニットとして構成する。
【0013】
この図示例では、支持ローラ12の左に、画像転写後にベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニングユニット19を設ける。クリーニングユニット19は、装置外部において、予め中間転写体ユニットに一体化してから装置に組み込む。また、クリーニング部材としてウレタン等のブレード状のものを用いベルト回転方向に対しカウンター方向に当接されている。なお、図示はしないが、クリーニング部材にはウレタンブレードの他に導電性ブラシやローラを用いて静電的に回収するような構成をとっても良い。また、ブレードにより回収されたトナーはクリーニング装置内の搬送部材により装置奥側へ搬送され重力等により下方へ落下させる事でトナー回収用ボトル40内部へと収容される。図示はしないが、トナー回収用ボトルには、回収トナー量を検知する手段が設けられており、満杯時には機械を停止させる等でトナーがあふれる事を防止している。
【0014】
クリーニング装置部を走行するベルト10の走行方向とほぼ平行にベルト10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・マゼンタ・シアン・イエロ−の4つの画像形成手段を横に並べて配置してタンデム画像形成装置を構成する。
そのタンデム画像形成装置上には、露光装置41が設けられている。
一方、ベルト10の支持ローラ12の対向側には、2次転写ローラ21を備える。
2次転写ローラの上には、シート上の転写画像を定着する定着装置30を設ける。定着装置30は、定着ローラに加圧ローラを押し当てて構成する。
【0015】
不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ12、13,14の1つを回転駆動して他の支持ローラを従動回転し、ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段でその感光体1を回転して各感光体1上にそれぞれ、ブラック・マゼンタ・シアン・イエローの単色画像を形成する。そして、ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写してベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0016】
一方、上記スタートスイッチが押されたとき、給紙テーブルの給紙ローラ26の1つを選択回転し、ペーパーバンクに多段に備える給紙カセット25の1つからシートを繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して給紙路に入れ、搬送ローラ27で搬送して複写機本体内の給紙路に導き、レジストローラ28に突き当てて止める。
そして、ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28を回転し、ベルト10と2次転写ローラとの間にシートを送り込み、2次転写ローラ21で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写ローラ21で搬送して定着装置30へと送り込み、定着装置30で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、排出ローラ32で排出し、排紙トレイ上にスタックする。
画像転写後のベルト10は、ベルトクリーニングユニット19で、画像転写後にベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0017】
図2はクリーニング装置の構成を説明するための図である。
同図において符号60は残トナー搬送スクリュウ、61はクリーニング部材、62は潤滑剤塗布ローラ、63は潤滑剤をそれぞれ示す。
先に述べたように2次転写ローラ21での紙転写後のベルト上の残留トナーを除去する為のクリーニングユニット19は、ベルト内のクリーニング対向ローラ50に対向して配置する構成となっている。対向ローラ50は位置固定であって、クリーニングユニット19と協働してクリーニング機能を果たすので、クリーニングユニット19と対向ローラ50を合わせてクリーニング手段となる(以下クリーニング装置と呼ぶ)。クリーニングユニット19内は同図に示すようにクリーニング部材としてのクリーニングブレード61がベルト10を介して対向ローラ50に対し位置決めされ、クリーニングブレード61のベルト10に対する接触圧を、対向ローラ50が受けるように互いの位置関係が定められる。ただし、ベルト10と対向ローラ50が同断面図において点接触であると、クリーニングブレード61の接触位置が極めて高い精度を要求されることになる。そこで、後述のように、対向ローラ50に対し、ベルト10を若干巻き付けて、両者の接触範囲を広げるように工夫がなされている。
転写性確保、ベルトクリーニング性確保の為に本実施例のようにステアリン酸亜鉛等による潤滑剤63を塗布ムラを無くす為にブラシ(ゴム、スポンジ、金属等でも良い)で作られた潤滑剤塗布ローラ62を介し、ベルト10に塗布するような構成を取ってもよい。
【0018】
本発明においては、クリーニングユニット19側に対向ローラ50に対してベルト10を巻きつける(接触範囲を広げる)為の押圧部材としての押圧ローラ19aを備えている。この押圧ローラ19aは、クリーニングユニット側に固定されており、ユニット側にセットした状態にてクリーニングユニット内のクリーニング部材と一体的に構成される。クリーニングユニットの装着前の状態においては、対向ローラ50はベルト10に対し、近接した位置にはあるが特に接触を保証されていない状態におかれている。
クリーニングユニットの装着によって、押圧ローラ19aとクリーニングブレード61がベルトに対し接触する構成になっている。押圧ローラ19aがベルト10を押し込む量は予め所定の量が定められており、クリーニングユニットと中間転写体ユニットの間に設けられた図示しないストッパ手段によって規制される。
【0019】
具体的な例としては、クリーニングユニット19の図示しない支軸が、対向ローラ50の回転中心に回動自在に取り付けられるようになっており、クリーニングブレード61の位置(対向ローラ50の軸芯からの距離)が規定される。次いで、クリーニングユニット19を反時計回りに回動することによって、中間転写体ユニットとクリーニングユニットとの間に設けられた図示しないストッパ手段によって、押圧ローラ19aのベルト10に対する押し込み量が規定される。通常は上記の位置が定まったら、ネジ止め等によりクリーニングユニットを中間転写体ユニットに対して固定する。
このように構成することによって、押圧ローラ19aの位置決めをする際、その前に位置決めしたクリーニングブレード61の対向ローラ50の軸芯に対する距離が変化することはない。
【0020】
押圧ローラ19aのベルト10に対する押し込み量が定まったとき、対向ローラ50に対し、ベルト10が所定の角度巻き付くように構成される。クリーニングブレード61は、この範囲であれば所望のクリーニング機能を発揮することができるので、クリーニングブレード61はこの接触位置の要求精度はそれだけ緩やかになり、構成がしやすく、製造コストの低減につながる。
押圧ローラ19が接触して所定の位置になったとき、ベルト10には張力が発生するので、前記のストッパ手段を設けずに、押圧ローラ19に、いわゆるテンションローラの役割を持たせることもできる。
押圧ローラ19aを回転体としたことで、ベルト10との摩擦力(負荷抵抗)が低減されるため、ベルト駆動トルクへの負荷増大を防ぐことができ、ベルト10表面への傷付きも防止することができる。
押圧ローラ19aは、クリーニングブレード61の下流側に配置することで、残留トナー除去後のベルト10に接触するのでトナーによる汚れも防止できる。
【0021】
本発明のように押圧ローラ19aをクリーニングユニット側に設けることで、クリーニングユニットを取り外した場合、ベルト10への圧が解除される為、ベルト10の交換性等も容易となり、且つクリーニング装置内の各部品と中間転写ユニット側との位置精度も向上する。理由は、ベルト10側の対向ローラに直接クリーニング装置の位置決めを行えば、クリーニングユニットのケースに一体的に設けられているユニット内の部品は押圧ローラ19aと同時に絶対位置は変化してしまうが、前記ストッパを用いることにより、押圧ローラ19aにより決まるベルト面に対しての相対位置は常に狂う事無く配置が可能となる。
押圧ローラ19aにベルト10に対するテンションローラの役割を持たせる場合は、前記ストッパを用いないで、クリーニングユニット19の例えば同図における右上隅のP点を回動中心として回動できるように構成しても良い。回動方式の場合、回動力を一定のバネ力で付与することによって、ベルト10に一定のテンションをかけることができる。
【0022】
ベルト10のクリーニング装置の寿命は、ベルト10側の寿命と異なる事も多く、メンテナンス形態としては、中間転写ベルトユニットとベルト10のクリーニング装置は簡単に着脱可能とし、各々のユニット毎或いは部品レベルでの交換を可能とする方法が従来からよく取られる。よって、着脱が容易なベルト10のクリーニング装置側に押圧ローラ19aが設けられていれば、容易に取り外し可能であるクリーニングユニットを取り外すことで、ベルト10を何らかの不具合で交換するような事態が生じても、容易に圧解除が可能となるので簡単に交換可能となる。さらには、ベルト10表面側より押圧ローラを押し当てる構成としているので、本実施例のような構成をとれば、省スペースで駆動ローラ12への巻き付き角度も増加し、ベルト10を駆動する際のスリップに対しても余裕度が増す。
【0023】
押圧ローラ19aの位置(ベルト面に垂直な方向:図中Y方向)は感光体との1次転写ニップ位置とほぼ同じ水平高さ位置となるように前記ストッパの位置を配置すれば、装置本体より中間転写ユニットを着脱する際、なるべく少ないスペースにて行える。押圧ローラ19aによりベルト面は1次転写ニップ位置とY方向に関しほぼ同一に保っており、4個の転写手段11a〜11dと押圧ローラ19aを通るベルト10は、見かけ上一直線になる。実際には転写ニップにおいてベルト10は僅かに曲げられており、厳密な一直線ではないが、各転写手段間のベルト走行方向は互いに平行であり、同様に、押圧ローラ19aと直近の転写手段(同図の場合は11a)との間のベルト走行方向もそれらと平行になっている。このようにすることにより、各転写ニップにおけるベルト10の感光体に対する巻き付き角を等しくさせ、転写効率を一定にさせる効果がある。
またこの構成により、中間転写ユニットを本体より引き抜く時に該ユニットを若干量下げるだけでベルト面と感光体面を擦らずに引き出せ、擦れによる傷等を容易に防止する事が可能となる。また、各感光体との転写ニップ位置を結んだほぼ直線上にベルト接触状態での押圧ローラ19aを位置させる事で転写ニップ形状(幅や巻き付け位置)の管理が容易となり各色ニップ間距離を同一にできるので位置合わせの観点からも望ましい。
【0024】
押圧ローラ19aの軸方向長さは、ベルト幅より長く設定するのが望ましい。理由は、ベルト10に与えるテンションを考慮した場合、ベルト幅方向全域に亘り押圧部材が接触していた方が当然ベルト軸方向でのベルトに与えられるテンションは安定する。よって軸方向での左右のベルトテンションに偏りがなくなるため、ベルトが軸方向のどちらかによってしまう不具合を防止できる。
【0025】
また、押圧ローラ19aはベルト表面に押し当てる為、ベルトに傷をつけて、それが原因でベルトのクリーニング部材にダメージを与え、ベルト上のクリーニングが不十分になってしまい、画像に異常(ベルトクリーニング不良)を来す可能性がある。そこで、押圧ローラ19a表面は、ベルトに対して十分柔らかい材質を選定するか、もしくは金属のような硬いローラを選定する場合においても表面の荒さをRmaxで30μm以下とする事で、ベルト表面への傷を防止する事が可能となる。これは、押圧ローラ19aの表面荒さをある範囲で変化させて中間転写ベルトの耐久試験を実施した際、押圧ローラ19a表面荒さがRmaxで30μm以下であれば数種類(PI、PAI、PVDF、PC)のベルト材質において問題なかったことより判断した。
【0026】
以上のことより本発明のクリーニング装置は従来の発明より優れており、その装置を直接転写方式の転写搬送ユニットや、間接転写方式の中間転写ユニットとして用い、画像形成装置等に搭載すればクリーニング性能が優れた、省スペースで信頼性の高い装置の提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】クリーニング装置の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0028】
1 感光体
10 中間転写体(ベルト)
11 1次転写装置
12,13,14 支持ローラ
19 ベルトクリーニングユニット
19a 押圧部材
50 対向ローラ
61 クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持ローラに懸架された像担持体用の無端ベルトユニットのベルト表面の残留トナーを除去するクリーニング装置において、該クリーニング装置は、少なくとも1個の押圧部材と、1個のクリーニング部材を一体的に有し、前記無端ベルトユニットに装着可能に構成されたクリーニングユニットと、前記クリーニング部材に対向する位置で、前記無端ベルト内周に近接して位置固定の対向ローラと、を有し、前記クリーニングユニットが装着されたとき前記押圧部材とクリーニング部材が前記無端ベルトに接触し、前記無端ベルト裏面が前記対向ローラに対し所定の巻き付き角で接触することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、前記押圧部材はローラであることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のクリーニング装置において、前記押圧部材の表面粗さはRmaxで30μm以下であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記押圧部材は、前記ユニット内にあって前記無端ベルト移動方向に関し前記クリーニング部材の下流側に設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記押圧部材のベルト幅方向の長さは、前記無端ベルトの幅以上であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載のクリーニング装置において、前記クリーニングユニットは、前記対向ローラに対する位置決めを行ってから、前記押圧部材の前記無端ベルトに対する位置決めを行うことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
複数の転写手段と、クリーニング装置を備えた中間転写ユニットにおいて、前記クリーニング装置は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクリーニング装置であり、該クリーニング装置は前記複数の転写手段の内、前記ベルト走行方向に関し最上流に位置する転写手段の直前に配置したことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項8】
複数の転写手段と、クリーニング装置を備えた転写搬送ユニットにおいて、前記クリーニング装置は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクリーニング装置であり、該クリーニング装置は前記複数の転写手段の内、前記ベルト走行方向に関し最上流に位置する転写手段の直前に配置したことを特徴とする転写搬送ユニット。
【請求項9】
請求項7に記載の中間転写ユニットを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8に記載の転写搬送ユニットを用いた事を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の画像形成装置において、前記複数の転写手段によって形成される複数の転写ニップと、前記押圧部材のベルト接触部とがほぼ一直線上に配置され、前記押圧部材と直近の転写手段の間のベルト走行方向は、転写手段間のベルト走行方向とほぼ平行であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−186600(P2009−186600A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24239(P2008−24239)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】