説明

クリーニング装置、画像形成装置、プロセスカートリッジ

【課題】長期的に良好なクリーニング性能を維持させることができる構成のクリーニング装置と、そのクリーニング装置を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明では、像担持体1に接触配置されて所定の電圧が印加され像担持体上のトナーを帯電して単一極性に揃える導電性部材16と、導電性部材に対して像担持体のトナー搬送方向下流側に位置し像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され像担持体上から電気的にトナーを吸着するクリーニング部材21と、クリーニング部材に接触配置されて所定の電圧が印加されクリーニング部材から電気的にトナーを吸着する第1の回収部材23と、第1の回収部材に接触配置されて所定の電圧が印加され第1の回収部材からトナーを掻き取る第2の回収部材24を備えたクリーニング装置において、像担持体の回転方向で転写手段13より上流側に、像担持体の表面電位を除電する除電手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電クリーニング方式を用いたクリーニング装置と、そのクリーニング装置を有する画像形成装置、プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機等に応用される電子写真方式の画像形成装置では、高画質化の要望が高まり、画像形成に用いられる着色粉体であるトナーは小粒径化傾向にある。また、トナー製造コストの低減および転写率向上の要望から、粉砕トナーではなく重合法等により球形化したトナーを採用する画像形成装置が製品化されている。それに伴い、作像後、像担持体(例えば感光体)上に残留したトナーを除去する手段として従来主に用いられてきたブレードクリーニング方式はゴムブレードを感光体に当接させてトナーを除去するので、ブレードと感光体表面の密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。それを防ごうとして感光体にブレードを強い当接圧で押しつけると、ブレードのめくれが発生し、スジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こす原因となるため、安定したクリーニング性能を保ち続けることが困難である。球形トナーでも線圧を極端に高くすればクリーニング出来るが、その分、感光体ドラム、クリーニングブレードの磨耗等により寿命が極端に短くなる。また、転写性が良いとされている球形トナーに対して、ブレードクリーニング性は、粉砕(異型)トナーに対するクリーニング性より劣ることは良く知られていることである。
【0003】
一方、感光体の表面膜けずれを軽減し、これら小粒径又は球形トナーのクリーニング時にも確実なクリーニング性を備えたクリーニング方式として、ブラシクリーニング方式がある。これには、感光体表面に接触摺擦するようにブラシローラを配し、さらにブラシローラに接触して回収ローラを配し、回収ローラからゴムブレードなどの手段でトナーを除去する構成がある。この構成では、回収ローラ、あるいは回収ローラとブラシローラの両方に電圧を印加し、静電気力でクリーニングするため、球形トナー等の使用時に有利である。
しかしながら、一般的に転写工程では、現像後のトナー極性と逆極性の電圧を印加するため、転写後に感光体に残ったトナーは現像後のトナー極性のままのトナーと、逆極性に帯電したトナー、あるいは無帯電トナーの混合物となっていることも周知である。
【0004】
この両極性および無帯電トナーの混合物をクリーニングする手段として、(特許文献1(特開2005−265907号公報))には、コロナチャージャーに電圧を印加するコロトロン帯電方式によってクリーニング前トナー帯電量制御を行ない、正極性、負極性の電圧をそれぞれ印加した2本のブラシを並べ各極性トナーごとにクリーニングする方法が記載されている。
しかしながら、この特許文献1に記載の方式では、両極性および無帯電トナーの混合物を良好にクリーニングすることができるが、感光体に対向して2本のブラシを配置し、それぞれのブラシに付着したトナーの回収装置を配置する構成では、画像形成装置の小型化という課題を達成しがたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置の小型化という目的のために感光体ドラムが小径化の傾向にあり、それに合せてクリーニング装置も省スペース化が課題となっている。2本のブラシを有し、それぞれに回収ローラを配したシステムに対し、より小型化するために、電圧が印加されたトナー極性制御ブレードとその下流に静電クリーニング装置を配置して、転写残トナーの帯電極性をトナー極性制御ブレードで片側に極性制御し、静電クリーニング装置でクリーニングさせているものがある。このような静電クリーニング装置の中に、所定の電圧を印加したブラシローラと回収ローラを用いて電位差を形成し、感光体上からブラシローラへトナーを付着させ、その後、回収ローラへ回収する方式が検討されている。
【0006】
ここで、極性制御後のトナーの電荷分布は横軸のある範囲にあるのが有利と考えられる。極性制御後の静電クリーニング部では詳細は省略するが、感光体ドラムとブラシローラ間、ブラシローラと回収ローラ間で印加電圧の大小による差は有るが、少なからずトナーへの電荷注入が原理的に発生する。従って極性制御後のトナーのq/d分布は「0fC/μm」より少し離れた範囲、具体的には「−0.2fC/μm」以上が良い。これは上記に示したように多少の電荷注入が起きてもトナーの極性は反転しないで−極性のままの状態が維持できる範囲である。また又高い方(より左側)はトナーの帯電量が高くなることを意味しており、トナーの帯電量が高くなると感光体ドラムとトナー間付着力が強くなりブラシローラの静電気力でクリーニングしずらくなる。従って高い方もある範囲が良く、具体的には「−0.8fC/μm以下」が良い。つまり極性制御後のq/d分布は図6に示す様に、「−0.2fC/μm〜−0.8fC/μm」の範囲に制御すればクリーニング性能は良好となる。
【0007】
今、例えば図7に示す模式図の様に、転写装置10を通過後の感光体ドラム1に対して極性制御ブレード16と図示しないブラシローラを設置して感光体ドラム1をクリーニングするような場合(例えば図3に示すような構成(構成の詳細は後述の実施形態で説明する))、極性制御ブレード16には転写装置10を通過後に感光体ドラム1に残留したトナーが入力されるが、細かく見ると、単に感光体ドラム1から転写装置10に移動しなかったトナー(転写残トナー)と、図8に示す様に、一旦転写装置10に移動し再度感光体ドラム1上に戻ってきたトナー、もしくは図9に示す様に、タンデム型の多色画像形成装置等で上流の感光体ドラムから一旦転写装置10に移動し、下流の感光体ドラム1に再度戻ってきたトナー(逆転写トナー)が存在する。これら2種類のトナーは帯電量に違いがあり、図10に示す様な帯電分布を持ち、特に逆転写トナーは正に強く帯電している。強い正帯電のトナーは、上記の構成の様に、入力トナーを極性制御ブレード16により負帯電に帯電し、下流のブラシローラでクリーニングするような装置では、クリーニングしづらいという問題がある(課題1)。
【0008】
また、図6に示す様に、トナー極性制御性能は感光体表面電位とトナー極性制御ブレード16の印加電圧との電位差によって決まり、その電位差が大きい程トナーは負帯電する。しかしながら、A3画像を1枚印刷したときのトナー極性制御ブレード前の感光体表面電位は図18に示す様になり、画像面積率、帯電ローラの電源電圧、転写装置の電源電流により変動してしまう。それにより、上記のq/d分布内に極性制御するための電位差がとれず、極性制御不足になってしまう問題がある(課題2)。
【0009】
また、静電クリーニング装置におけるクリーニング性能はトナー極性制御ブレード後の感光体表面電位とブラシローラとの電位差によって決まり、電位差が小さすぎるとトナーが移動せず、高すぎるとトナーへの電荷注入が起きトナーの極性が変わってしまい、クリーニング不良となる。従って、図16に示す様に、最適な電位差が存在する。しかしながら、極性制御ブレード前の感光体表面電位は図18に示す様になり、画像面積率、帯電ローラの電源電圧、転写装置の電源電流により変動してしまうため、図23に示す様に、極性制御ブレード後の感光体表面電位も同様に変動してしまう。このため、感光体表面電位とブラシローラ間の電位差も変動してしまい、クリーニング性能が悪化するといった問題がある(課題3)。
【0010】
さらに、A3画像を1枚印刷したときのトナー極性制御ブレード前の感光体表面電位は図18に示す様に大体が負の値であり、特に転写装置の電源がOFFの状態(図中A、D部)では、非常に負に高い。この状態に対し、十分に極性制御性能を維持するためには、トナー極性制御ブレードへの印加電圧は非常に高くする必要が生じてしまい、効率が悪いという問題も有る(課題4)。
【0011】
同様に、A3画像を1枚印刷したときのトナー極性制御ブレード後の感光体表面電位は図23に示す様になり、通常はトナー極性制御ブレード電圧によって通常はある程度負の値になる。しかしながら、トナー極性制御ブレードとブラシローラの間に除電部材を設けた場合(例えば図4に示すような構成(構成の詳細は後述の実施形態で説明する))、トナー極性制御ブレード後の感光体表面電位は0付近となり、これに対し十分なクリーニング性能を得るためには、図16からもわかるように、下流のブラシローラや、回収ローラへの印加電圧は高くする必要が生じてしまい、効率が悪いという問題がある(課題5)。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記の背景技術の課題を解決し、長期的に良好なクリーニング性能を維持させることができる構成のクリーニング装置と、そのクリーニング装置を有する画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明では、像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上の残留トナーを帯電して単一極性に揃える導電性部材(例えばトナー極性制御ブレード)と、前記導電性部材に対して前記像担持体のトナー搬送方向下流側に位置し前記像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上から電気的に帯電トナーを吸着するクリーニング部材(例えばクリーニングブラシローラ)と、前記クリーニング部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記クリーニング部材から電気的に帯電トナーを吸着する第1の回収部材(例えば回収ローラ)と、前記第1の回収部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記第1の回収部材からトナーを掻き取る第2の回収部材(例えば回収ローラ用導電性クリーニングブレード)と、を備えたクリーニング装置において、前記像担持体の回転方向で転写手段より上流側に、前記像担持体の表面電位を除電する除電手段(除電部材、除電ランプ等)が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
ここで、本発明のクリーニング装置において、クリーニング対象となるトナーは例えば形状係数SF1が100〜150のトナーである(請求項2)。
【0014】
本発明では、像担持体と、該像担持体上にトナーによる画像を形成する手段と、前記像担持体上に形成された画像を転写材に直接または中間転写体を介して転写する手段とを有する画像形成装置において、転写後の前記像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、前記の構成のクリーニング装置を有することを特徴とする(請求項3)。
【0015】
また、本発明では、1つの像担持体と、該像担持体上にトナーによる画像を形成する複数の現像手段と、前記像担持体上に形成された画像を転写材に直接または中間転写体を介して転写する手段とを有する画像形成装置において、転写後の前記像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、前記の構成のクリーニング装置を有することを特徴とする(請求項4)。
【0016】
さらに本発明では、像担持体と該像担持体にトナーによる画像を形成する現像手段とを有する画像形成部を複数有し、複数の画像形成部の像担持体上に形成された画像を転写材または中間転写体に順次重ねて転写する手段を有する画像形成装置において、前記画像形成部の転写後の像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、前記の構成のクリーニング装置を有することを特徴とする(請求項5)。
【0017】
本発明の前記のいずれかの構成の画像形成装置においては、前記像担持体は、フィラーを分散させた感光体であることを特徴とする(請求項6)。
また、本発明の前記のいずれかの構成の画像形成装置においては、前記像担持体は、充填材で補強された表面層を有する有機感光体、または架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体、またはその両方の特徴を有する有機感光体であることを特徴とする(請求項7)。
また、本発明の前記のいずれかの構成の画像形成装置においては、前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする(請求項8)。
【0018】
さらに本発明では、像担持体と、該像担持体のクリーニング手段と、帯電手段、現像手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記クリーニング手段は、前記の構成のクリーニング装置であることを特徴とする(請求項9)。
また、本発明の画像形成装置では、前記のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする(請求項10)。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上の残留トナーを帯電して単一極性に揃える導電性部材(例えばトナー極性制御ブレード)と、前記導電性部材に対して前記像担持体のトナー搬送方向下流側に位置し前記像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上から電気的に帯電トナーを吸着するクリーニング部材(例えばクリーニングブラシローラ)と、前記クリーニング部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記クリーニング部材から電気的に帯電トナーを吸着する第1の回収部材(例えば回収ローラ)と、前記第1の回収部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記第1の回収部材からトナーを掻き取る第2の回収部材(例えば回収ローラ用導電性クリーニングブレード)と、を備えたクリーニング装置において、前記像担持体の回転方向で転写手段より上流側に、前記像担持体の表面電位を除電する除電手段(除電部材、除電ランプ等)が設けられていることを特徴としており、このように転写手段の上流側に除電手段を設けることで、転写手段の電流値を除電手段がない場合に比べて低く設定しても、十分な転写率を得ることができ、逆転写率を減らすことができる。また、同時に転写残トナー、逆転写トナーの帯電量も除電手段がない場合に比べて負側に寄るため、導電性部材(例えばトナー極性制御ブレード)後の正帯電トナー量も減り、これにより下流のクリーニング部材(例えばクリーニングブラシローラ)でのクリーニング性能を向上させることができる。
従って本発明によれば、長期的に良好なクリーニング性能を維持させることができる構成のクリーニング装置と、そのクリーニング装置を有する画像形成装置およびプロセスカートリッジを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示すタンデム型の多色画像形成装置の概略構成図である
【図2】図1に示す画像形成装置の画像形成ステーションの構成例を示す概略要部構成図である。
【図3】本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の一構成例を示す概略要部構成図である。
【図4】本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の別の構成例を示す概略要部構成図である。
【図5】残留トナーのq/d分布を示す図である。
【図6】トナー極性制御ブレードの制御電圧と制御後のq/d分布の変化を示す図である。
【図7】転写残トナーを模式的に示す図である。
【図8】逆転写トナーの一例を模式的に示す図である。
【図9】逆転写トナーの別の例を模式的に示す図である。
【図10】転写残トナーと逆転写トナーのq/d分布を示す図である。
【図11】評価用画像の一例を示す図である。
【図12】感光体上の残留トナーの状態の一例を示す図である。
【図13】逆転写トナーの極性制御後のq/d分布を示す図である。
【図14】転写前除電の有無に対する転写率と逆転写率の変化を示す図である。
【図15】転写前除電の有無に対する残留トナーのq/d分布の変化を示す図である。
【図16】感光体−ブラシローラ間電位差とクリーニング性能の関係を示す図である。
【図17】斜毛クリーニングブラシとトナーの接触状態を示す図である。
【図18】トナー極性制御ブレード(極性BL)前の感光体表面電位(A3画像1枚通紙時)を示す図である。
【図19】帯電ローラ電圧と、トナー極性制御ブレード(極性BL)前の感光体表面電位の関係を示す図である。
【図20】転写電流と、トナー極性制御ブレード(極性BL)前の感光体表面電位の関係を示す図である。
【図21】感光体表面電位とトナー極性制御ブレード(極性BL)間の電位差の変化を示す図である。
【図22】転写前除電の有無に対するトナー極性制御ブレード(極性BL)前の感光体表面電位の変化を示す図である。
【図23】トナー極性制御ブレード(極性BL)後の感光体表面電位を示す図である。
【図24】トナー極性制御ブレード(極性BL)後の感光体表面電位と、クリーニングブラシ間の電位差の変化を示す図である。
【図25】転写前除電の有無に対するトナー極性制御ブレード(極性BL)後の感光体表面電位の変化を示す図である。
【図26】定電流制御したときの極性制御BL電圧を示す図である。
【図27】除電手段の一例である除電ランプの構成例を示す図である。
【図28】アモルファスシリコン感光体の構造例を示す要部断面図である。
【図29】形状係数SF1の定義を示す図である。
【図30】本発明の別の実施例を示す多色画像形成装置の概略要部構成図である。
【図31】本発明のさらに別の実施例を示す多色画像形成装置の概略要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の構成、動作および作用効果を図面を参照して詳細に説明する。
図3は本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の一構成例を示す概略要部構成図である。図中の符号1は像担持体であり、この像担持体1の周囲には、帯電手段2、光書込み手段3、現像手段4、転写手段10、クリーニング手段14等が配設されている。
【0022】
像担持体1は光導電性の感光体ドラムであり、図中矢印で示す反時計回りに回転する。
帯電手段2は例えば非接触配置された帯電ローラであり、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。
光書込み手段3は、例えばレーザ光源とカップリング光学系、光偏向器、走査結像光学系等からなるレーザ光走査方式の光書込み装置であり、帯電された感光体ドラム1に対して画像信号で変調されたレーザ光Lを照射して静電潜像を形成する。
現像手段4は、現像剤(一成分現像剤または二成分現像剤)の着色粉体としてトナーを用いた現像器であり、現像器ケース内には現像剤を担持搬送して感光体ドラム上の潜像をトナーで現像する現像ローラ6、現像ローラ上の現像剤量を規制するドクターブレード5、現像剤を攪拌搬送する現像スクリュー7,8等が設けられている。
転写手段10は、図示しない給紙機構から給紙された転写材(例えばシート状の記録紙)Pを担持搬送し、感光体ドラム上の画像(トナー像)を記録紙Pに転写させる転写ベルト10Aを用いた転写装置10であり、転写ベルト10Aは駆動ローラ11と従動ローラ12、転写バイアス印加ローラ13に支持されて図中の矢印の方向に回動する。
【0023】
像担持体のクリーニング手段14は、クリーニング対象である感光体ドラム1に接触配置されて電源(トナー極性制御ブレード用電源)27により所定の電圧が印加され感光体ドラム上の残留トナーを帯電して単一極性に揃え且つ残留トナーの少なくとも一部を掻き取る導電性部材であるトナー極性制御ブレード16と、トナー極性制御ブレード16に対して感光体ドラム1のトナー搬送方向下流側に位置し感光体ドラム1に接触配置されて電源(クリーニングブラシ軸印加用電源30、ブラシ先端電圧印加用電源31)により所定の電圧が印加され感光体ドラム上から電気的にトナーを吸着するクリーニング部材であるクリーニングブラシローラ21と、クリーニングブラシローラ21に接触配置されて電源(回収ローラ軸印加用電源)28により所定の電圧が印加されクリーニングブラシローラ21から電気的にトナーを吸着する第1の回収部材である回収ローラ23と、回収ローラ23に接触配置されて電源(回収ローラ用導電性クリーニングブレード用電源)29により所定の電圧が印加され回収ローラ23からトナーを掻き取る第2の回収部材である回収ローラ用導電性クリーニングブレード24とを備えたクリーニング装置である。
【0024】
このクリーニング装置14のクリーニングケースの開口部には、クリーニング入口シール17、クリーニングブラシ入口シール18、クリーニング出口シール20が設けられており、感光体ドラム1から回収したトナーがケース外に漏れ出さないようになっている。さらにクリーニングケースの下部にはトナー排出スクリュー19が設けられており、回収したトナーを図示しない廃トナー収容部等に排出する、または現像器に戻すようになっている。
【0025】
次に図3に示す構成の画像形成装置の動作について説明を行う。
画像形成の一連のプロセスは、ここでは非接触帯電ローラ2を用いた非接触帯電方式で、潜像形成、現像はN/P(ネガ/ポジ:電位が低い所にトナーが付着する)方式を用いた例で行う。
図示していない操作部のプリントボタンが押されると、図1中の非接触帯電ローラ2、現像ローラ6、転写装置10の転写バイアス印加ローラ13、トナー極性制御ブレード16、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、にそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加され、それとほぼ同時に感光体ドラム1、非接触帯電ローラ2、転写装置10の転写ベルト10A、現像ローラ6、右現像スクリュー7、左現像スクリュー8、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、トナー排出スクリュー19は所定の方向に回転し始める。一例として、感光体回転速度は205mm/s、クリーニングブラシローラ21の回転速度、回収ローラ23の回転速度も205mm/sである。感光体ドラム1は非接触配置された非接触帯電ローラ2で一様に負に帯電(−690V)され、光書込み装置3からのレーザ光Lで潜像形成(黒ベタ電位は−120V)が行われる。その潜像が現像ローラ6で形成される磁気ブラシにより現像(現像バイアスは−550V)されトナー像が形成される。そして、トナー像の形成とタイミングを合わせて図示していない給紙機構から給送され、レジストローラ9で画像先端と同期を取り感光体ドラム1と転写ベルト10Aとの間に供給された記録紙P上にトナー像が転写(転写バイアスは30μA印加)される。記録紙Pは図示しない分離機構で感光体ドラム1より分離され、図示していない定着装置を経てプリント(またはコピー)画像として排出される。
【0026】
一方、転写装置10で記録紙Pに転写され、転写後に感光体ドラム1上に残った転写残トナーは、図5に示す様に「+極性」と「―極性」が混在した分布のトナーであり、感光体ドラム1の回転でトナー極性制御ブレード16の位置まで移送される。トナー極性制御ブレード16ではほとんどのトナーは機械的に掻き落されるが、球形度が高いトナーはトナー極性制御ブレード16と感光体ドラム1のニップ領域に入り込みやすく一部はすり抜けて行く。ここでトナー極性制御ブレード16へは、トナー極性制御ブレード用電源27によりトナーの帯電極性と同じ極性(−極性)の電圧が印加されており、トナーがトナー極性制御ブレード16をすり抜けて行く時トナーを正規の帯電極性(−極性)に帯電する。トナー極性制御ブレード16により正規の帯電極性に帯電されたトナーは、次のクリーニングブラシローラ21の位置に感光体ドラム1の回転により運ばれる。クリーニングブラシローラ21の軸にはクリーニングブラシ軸印加用電源30により+極性の電圧が印加され、さらにブラシ先端にはブラシ先端電圧印加用電極棒22を介してブラシ先端電圧印加用電源31により+極性の電圧が印加されているので、正規の帯電極性に帯電されたトナーは、クリーニングブラシローラ21に静電的に吸着する。クリーニングブラシローラ21上に移動したトナーは、回収ローラ軸印加用電源28によりクリーニングブラシローラ21より更に高い+極性の電圧が印加された回収ローラ23へ電位勾配により移動する。さらに回収ローラ23上に移動したトナーは、回収ローラ23に接触配置されて回収ローラ用導電性クリーニングブレード用電源29により所定の電圧が印加された回収ローラ用導電性クリーニングブレード24により掻き落とされ、トナー排出スクリュー19で機外に排出又は現像器4に戻される。
【0027】
次にクリーニング装置14の極性制御機能について説明する。
先ずトナーがトナーと同極性の電圧が印加されたトナー極性制御ブレード16をすり抜けていくときの帯電極性が変わる仕組みについて説明する。トナー極性制御ブレード16をすり抜けるトナーは感光体ドラム1とトナー極性制御ブレード16により「摩擦帯電」、「電荷注入」、「放電」等で図6に示す様に感光体表面電位とトナー極性制御ブレード16間の電位差の増加に従いトナーの正規帯電極性側にシフトする。トナーがトナー極性制御ブレード16と感光体ドラム1との間にはさまれた時、トナー極性制御ブレード16に印加された電圧でトナーに電流が流れ込み、トナーは印加電圧側の極性に帯電してトナー極性制御ブレード16を通過する。このような状態でトナーの帯電極性が変化するのはトナーへの電荷注入と考えられている。また、感光体ドラム1の表面電位とトナー極性制御ブレード16への印加電圧との電位差が放電が起こる領域の値であると、感光体ドラム1とトナー極性制御ブレード16で形成された楔部の入口と出口の微小ギャップ部の放電によりトナーは印加電圧と同極性に帯電する。トナー極性制御ブレード16の入口側の楔部はトナーを機械的に掻き落すのでトナーで汚れるため、微小ギャップ部の放電は主に出口側の楔部で行われることになる。ここで、トナー極性制御ブレード16は、当接部に導電性アクリル樹脂がコートされている。これにより、摩擦係数が低下し、スティックスリップが発生しにくくなり、微小ギャップが保たれる。同時に、磨耗にも強くなり長期的に機能を発揮することができる。
【0028】
次にクリーニング装置14のクリーニング機能について説明する。
静電クリーニング部の詳細構成について説明すると、クリーニングブラシローラ21は感光体ドラム1とクリーニングブラシローラ21間でトナーへの電荷注入を低減するため、図17に示す様な芯鞘構造繊維で構成され、クリーニングブラシローラ21の回転方向下流側へ傾斜させている。このようにクリーニングブラシローラ21を傾斜させる事で図17に示す様に繊維から導電部が露出している切断面とトナーとの接触確率を少なくし、トナーへの電荷注入を低減させている。また、回収ローラ23は、クリーニングブラシローラ21と回収ローラ23間でトナーへの電荷注入を少なくするため、金属の芯金にPVDFチューブを巻き、さらに表層に絶縁層を設けている。さらにクリーニングブラシローラ21には、ブラシ先端部表面に接触して金属製のブラシローラ用電荷付与部材(例えばブラシ先端電圧印加用電極棒)22がクリーニングブラシローラ21の軸と同電位で接続されている。この理由はトナーがクリーニングブラシローラ21から回収ローラ23へ移動すると繊維表面が絶縁性のため電位の低下が発生するので、ブラシ先端電圧印加用電極棒で繊維への電荷補充を行っている。ブラシ表面電位低下の原因はまだ明らかになっていないが、トナーの授受が何らかの影響を与えていると考えられる。現在は、繊維表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ローラ23へ移動する時に剥離放電がおきて絶縁層に負極性の電荷を与えてしまう、もしくはトナー付着により繊維表面層に負極性の電荷を与え、トナー移動後でも電荷が残ってしまうと考えられる。クリーニングブラシローラ21の繊維表面の電位が低下すると感光体ドラム1からのトナー除去性能が低下する。そこで繊維表面の電位低下分を補う部材としてクリーニングブラシローラ21と同電圧が印加された金属製のブラシローラ用電荷付与部材(ブラシ先端電圧印加用電極棒)22が設けてある。
【0029】
また、回収ローラ23の表面でもクリーニングブラシローラ21と同じように回収ローラ用導電性ブレード24でトナーが掻き落とされる時、回収ローラ23表面電位が低下する。その理由はまだ明らかになっていないが、回収ローラ23表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ローラ用導電性クリーニングブレード24で掻き落とされるときに剥離放電がおきて高抵抗層・あるいは絶縁層に負極性の電荷を与えてしまう、もしくはトナー付着により回収ローラ23表面層に負極性の電荷を与え、回収ローラ用導電性クリーニングブレード24でトナーを掻き落としても与えた電荷が残ってしまうと考えられている。そこでブラシローラ21の場合と同様に、回収ローラ23の表面に接触する回収ローラ用導電性クリーニングブレード24にも、回収ローラ23の軸に印加している電圧より高い電圧が印加してある。
【0030】
回収ローラ23上のトナー除去は回収ローラ用導電性クリーニングブレード24を用いて機械的に掻き落としているが、以下に回収ローラ23上の球形トナーの除去が可能な事の説明を記す。
回収ローラ23はクリーニングブラシローラ21に付着したトナーを、クリーニングブラシローラ21と回収ローラ23間の電位勾配で回収ローラ23へ転位させる機能があれば良い訳で、感光体ドラム1とは異なり材料は何でもかまわない。そこで回収ローラ23の表面を摩擦係数の低い材料でコーティングしたり、金属ローラに摩擦係数の低いチューブを巻いたりすれば球形トナーでも容易に除去できる。具体的には金属ローラの表面にフッ素コーティングしたり、PVDF、PFAチューブを巻いた回収ローラ23にすればよい。
【0031】
次に図4は本発明に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置の別の構成例を示す概略要部構成図である。この画像形成装置の基本的な構成は図3と同様であるが、図4の画像形成装置の感光体ドラム用のクリーニング装置14では、トナー極性制御ブレード16よりも感光体ドラム1の回転方向下流側で、クリーニングブラシローラ21よりも上流側に、感光体ドラム1を除電する除電部材(例えば除電ランプ)26が設けられている。
【0032】
次に図3、図4に示す画像形成装置のクリーニング装置14の構成部材の具体的な構成例を下記に示す。
[トナー極性制御ブレード16]
・トナー極性制御ブレードの材質:ポリウレタンにイオン導電剤、カーボン導電剤を分散(表面に導電性アクリルコート5μm)
・トナー極性制御ブレードの喰込量(対感光体ドラム):1mm
・トナー極性制御ブレードの当接角度(対感光体ドラム):20°
・トナー極性制御ブレードの厚み:2mm
・トナー極性制御ブレードの自由長:7mm
・トナー極性制御ブレードの硬度:60〜80(JISA硬度計)
・トナー極性制御ブレードの反発弾性:30%
・トナー極性制御ブレードの電気抵抗:10〜10Ω・cm
・トナー極性制御ブレードの制御電圧(定電圧制御時):−1200V
・トナー極性制御ブレードの制御電流(定電流制御時):−30μA
【0033】
[クリーニングブラシローラ21]
・ブラシローラの材質:導電性ポリエステル
・ブラシローラの径:φ14mm
・ブラシローラの毛足長さ:4mm
・ブラシローラの喰込量(対感光体ドラム):1mm
・ブラシローラの線速:205mm/s(感光体ドラムと等速)
・ブラシローラ用電荷付与部材の印加電圧:100V
・ブラシローラ軸の印加電圧(図3の構成):100V
・ブラシローラ軸の印加電圧(図4の構成):600V
・ブラシローラ原糸の電気抵抗10Ω・cm
・ブラシローラの植毛密度:10万本/inch2
・ブラシローラのブラシ形態:ブラシローラ回転方向下流側へ傾斜
【0034】
[回収ローラ23]
・回収ローラの材質:SUS芯金にPVDFチューブ(100μm)を巻き、表層にアクリルコート層(5μm:絶縁)
・回収ローラの径:φ12mm
・回収ローラの線速:205mm/s
・回収ローラ軸の印加電圧(図3の構成):500V
・回収ローラ軸の印加電圧(図4の構成):500V
【0035】
[回収ローラ用導電性クリーニングブレード24]
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの材質:ポリウレタンにイオン導電剤、カーボン導電剤を分散(表面に導電性アクリルコート5μm)
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの喰込量(対回収ローラ):1mm
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの当接角度(対回収ローラ):20°
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの厚み:2mm
・回収ローラ用導電性クリーニングブレード自由長:7mm
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの硬度:60〜80(JISA硬度計)
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの反発弾性:30%
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの電気抵抗:10〜10Ω・cm
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの印加電圧(図3の構成):500V
・回収ローラ用導電性クリーニングブレードの印加電圧(図4の構成):500V
【0036】
以上、感光体ドラム用のクリーニング装置14の構成例について説明したが、転写装置10にも、転写材搬送後のベルト表面に付着した粉体(トナー、紙粉等)を除去回収する転写ベルト用クリーニング装置(図示せず)が設けられており、この転写ベルト用クリーニング装置32も図3に示すような感光体ドラム用クリーニング装置14と同様の構成とすることができる。
【0037】
以上に説明した感光体ドラム用のクリーニング装置14とそれを備えた画像形成装置においては、前述したような課題(課題1〜5)がある。そこで本発明では、そのような課題を解決するため、感光体ドラム(像担持体)の回転方向で転写手段よりも上流側に、感光体ドラム(像担持体)の表面電位を除電する除電手段を設けるものであり、これにより良好なクリーニング性能を維持させることができるようにするものである。
以下、上述したような構成のクリーニング装置14を搭載した画像形成装置の課題と解決手段のより具体的な実施例を以下に示す。
【実施例】
【0038】
[実施例1]
(課題1とその解決手段)
図1は本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置では、図1に示すように、中央に像担持体である4個の感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kが時計回りに回転可能に配設されている。
すなわち、図1に示す構成の画像形成装置は、感光体ドラムを4個用いた、いわゆるタンデム方式の多色(カラー)画像形成装置であり、それぞれの感光体ドラム1Y〜1Kと、その周囲に設けられる画像形成用の部品とで各色の画像形成部(画像形成ステーション)を構成しており、各画像形成部のそれぞれの感光体ドラム1Y〜1Kの周囲に設けられる画像形成用の部品構成は、現像装置4Y〜4Kが扱う色材(着色粉体(トナーと言う))の色(例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K))が異なる以外は同じである。
【0039】
各画像形成部(画像形成ステーション)の感光体ドラム1Y〜1Kの周囲には、感光体ドラム1Y〜1Kの表面を一様に帯電する帯電装置2Y〜2K、レーザ光による光書き込みを行って感光体ドラム1Y〜1Kの帯電部分に静電潜像を形成する露光装置3、この静電潜像を現像する現像装置4Y〜4Kがそれぞれ配設されている。また、感光体ドラム1Y〜1Kの周囲には、転写後の感光体ドラム1Y〜1Kの表面をクリーニングする感光体クリーニング装置14Y〜14Kがそれぞれ配設されている。
【0040】
ここで、感光体クリーニング装置14Y〜14Kの基本的な構成は図3と同様であるが、図1の構成例では、一次転写手段が感光体の上側にあるので、構成部材の配置は図3とは上下が逆であり、図2のような配置となる。
図2は、一つの画像形成部(画像形成ステーション)の構成例を示しており、現像装置の図示は省略している。また、この画像形成部(画像形成ステーション)は、感光体ドラム1と、帯電装置2、クリーニング装置14を、一つのカートリッジ内に一体に収容したプロセスカートリッジとなっており、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられている。なお、プロセスカートリッジには、現像装置を含めても良い。また、後述する除電手段もプロセスカートリッジに含めることができる。
【0041】
図2において、クリーニング装置14は、クリーニング対象である感光体ドラム1に接触配置されて電源(図3のトナー極性制御ブレード用電源27)により所定の電圧が印加され感光体上の残留トナーを帯電して単一極性に揃え且つ残留トナーの少なくとも一部を掻き取る導電性部材であるトナー極性制御ブレード16と、トナー極性制御ブレード16に対して感光体ドラム1のトナー搬送方向下流側に位置し感光体ドラム1に接触配置されて電源(図3のクリーニングブラシ軸印加用電源30、ブラシ先端電圧印加用電源31)により所定の電圧が印加され感光体ドラム上から電気的にトナーを吸着するクリーニング部材であるクリーニングブラシローラ21と、クリーニングブラシローラ21に接触配置されて電源(図3の回収ローラ軸印加用電源28)により所定の電圧が印加されクリーニングブラシローラ21から電気的にトナーを吸着する第1の回収部材である回収ローラ23と、回収ローラ23に接触配置されて電源(図3の回収ローラ用導電性クリーニングブレード用電源29)により所定の電圧が印加され回収ローラ23からトナーを掻き取る第2の回収部材である回収ローラ用導電性クリーニングブレード24とを備えている。
【0042】
上記4セットの画像形成部(画像形成ステーション)の感光体ドラム1Y〜1Kの上方には、中間転写ユニット40が設けられている。図1では、中間転写ユニット40の概略構成を示している。図1に示すように、中間転写ユニット40では、被クリーニング体である弾性ベルト状部材からなる中間転写体(中間転写ベルト)41が、駆動ローラ42と複数の支持ローラ43〜46に掛け回されて図中の矢印方向(反時計回り方向)に回転駆動される。中間転写ベルト41は、多層構造となっており、ベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDシート、ポリイミド系樹脂で作り、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなる。
【0043】
中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム1Yに対向する位置には、感光体ドラム1Y上に形成されたトナー像を中間転写ベルト41に転写する転写バイアス印加ローラ13Yが配設される。他色の像担持用の感光体ドラム1C、1M、1Kにも中間転写ベルト41を挟んで、13C、13M、13Kの転写ローラが配設される。また、図中左側の支持ローラ43とテンションローラ44の左方には、2次転写装置56による転写後に中間転写ベルト41上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置46が配設される。また、支持ローラ43とテンションローラ44は、中間転写ベルト41に一定の張力を付与する働きをもつとともに、クリーニング対向ローラの機能も兼ねていることになる。中間転写ベルトクリーニング装置46は中間転写ベルト41上の転写残トナーの極性を制御するための極性制御部材である極性制御ブレード46aが支持ローラ43と対向する位置に中間転写ベルト表面に接触して備えられており、極性制御ブレード46aの後の工程には、極性制御されたトナーをクリーニングするための導電性ブラシローラ46b、および導電性ブラシローラ46bに付着したトナーをブラシから回収する回収ローラ46c、回収ローラ46cの表面に当接して回収したトナーを掻き取ると同時に回収ローラ46cの表面に電荷を付与する導電性回収ブレード46d、極性制御ブレード46aや回収ブレード46dで掻き落としたトナーを画像形成装置本体に備えられた廃トナータンク(図示省略)に搬送するためのコイル部材(回収コイル)46eが備えられている。
【0044】
上記中間転写ベルト41を挟んで駆動ローラ42に対向する位置には、2次転写装置56が配設される。2次転写装置56は、2次転写ローラからなる。2次転写装置はローラの他に、数本の支持ローラと駆動ローラにより掛け渡されるベルトであっても良い。
転写材(例えば定型の記録紙P)は、図中の下方にある図示しない給紙部に収納されており、最上の記録紙Pが給紙ローラ等で一枚づつ給紙され、レジストローラ対55に搬送される。また、上記2次転写装置56の上には、記録紙上の転写画像を定着する定着装置60が配設されている。定着装置60は、定着ローラ(または定着ベルト)に加圧ローラを押し当てて構成する。なお、上述した2次転写装置56には、画像転写後の記録紙Pをこの定着装置60へと搬送するシート搬送機能も備えている。
【0045】
上記の構成の多色画像形成装置において、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで駆動ローラ42を回転駆動し、中間転写ベルト41を回転搬送する。同時に、個々の画像形成部でその感光体ドラム1Y〜1Kを回転して、帯電装置2Y〜2Kによる帯電、露光装置3のレーザ光による潜像形成、現像装置4Y〜4Kの各色トナーによる現像が行われ、各感光体上にそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト41の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト41上に合成カラー画像を形成する。また、画像転写後の各感光体ドラム1Y〜1Kに残留する残留トナーは、感光体クリーニング装置14Y〜14Kで除去回収される。
【0046】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、図示しない給紙ローラを回転し、図示しない給紙部から記録紙Pを1枚づつ繰り出して給紙、搬送し、レジストローラ対55に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト41上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対55を回転し、中間転写ベルト41と2次転写装置56との間に記録紙Pを送り込み、2次転写装置56で転写して記録紙P上にカラー画像を記録する。画像転写後の記録紙Pは、2次転写装置56で搬送して定着装置60へと送り込み、定着装置60で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、排紙トレイ等に排出される。一方、画像転写後の中間転写ベルト41は、中間転写ベルトクリーニング装置46によって画像転写後に中間転写ベルト41上に残留する残留トナーが除去回収され、タンデム型多色画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0047】
以上、多色画像形成装置の構成例を示したが、図1に示す様な中間転写ベルト41を用いたタンデム型の多色画像形成装置において、A3版の記録紙Pに図11に示す様なマゼンタ等の画像を1枚印刷中に強制停止させると、例えばマゼンタ(M)画像形成ステーションの感光体ドラム上には図12に示す様に上流からの逆転写トナーと、自ステーションの転写残トナー(正確には自ステーションの逆転写トナーも含まれる)が付着した状態になる。それらのトナーの帯電量は図10に示す様になる。このとき特に逆転写トナーは正に強く帯電しているため、トナー極性制御ブレード16で負帯電側に極性制御しづらく、図13に示す様にトナー極性制御ブレード16後も正帯電トナーが残る。これにより下流のクリーニングブラシローラ21によりクリーニング出来ない帯電量のトナーが存在し、クリーニング性能の低下につながる。
【0048】
そこで本発明では、図1に示す画像形成装置の各画像形成部(画像形成ステーション)において、図2に示す様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写手段(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の上流に除電手段である除電部材(例えば後述する除電ランプ等)26(26Y,26C,26M,26K)を設けている。このように転写手段の上流側に除電部材26(26Y,26C,26M,26K)を設けることで、図14に示す様に、転写手段の電流値を除電部材26がない場合に比べて低く設定しても、十分な転写率を得ることができ、逆転写率を減らすことができる。また、同時に図15に示す様に転写残トナー、逆転写トナーの帯電量も除電部材26(26Y,26C,26M,26K)がない場合に比べて負側に寄るため、トナー極性制御ブレード16後の正帯電トナー量も減り。これにより下流のクリーニングブラシローラ21でのクリーニング性能を向上させることができる。
【0049】
(課題2とその解決手段)
図1、図2に示す構成の画像形成装置でA3版の記録紙Pに画像を1枚印刷したとき、トナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は図18に示す様になる。このときA,D部では帯電ローラ2の電源がON、B,C部では帯電ローラ2の電源、転写装置10の電源がON、また、C部が画像領域となっている。ここで太線が画像面積率100%、細線が10%である。また、帯電ローラ2の電源電圧が異なる場合のトナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は図19、転写装置(中間転写ユニット40)の転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K)の電源電流が異なる場合のトナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は図20に示す様になり、画像面積率、帯電ローラ2の電源電圧、転写バイアス印加ローラ13の電源電流の変化によって、トナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は変化してしまう。これに対し、トナー極性制御ブレード16に−1200V印加した場合、図21に示す様に感光体表面電位とトナー極性制御ブレード(極性BL)16間の電位差が変化してしまう。この様な構成では、例えばトナー極性制御ブレード16のエッジ部にトナーが溜まり、転写電流がOFF時にすり抜けて来たトナー等に対しては、最適なq/d分布に極性制御するための電位差がとれず(電位差−600V程度)、図6に示す様に極性制御不足になってしまい、結果としてクリーニング性能の低下につながってしまう。
【0050】
そこで本発明では、図1に示す画像形成装置の各画像形成部(画像形成ステーション)において、図2に示す様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写装置(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の上流に除電手段である除電部材(例えば後述する除電ランプ等)26(26Y,26C,26M,26K)を設けている。このように転写装置の上流側に除電部材26(26Y,26C,26M,26K)を設けることで、除電部材26により、図22に示す様にトナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は−100V〜100V付近で安定する。尚、本発明の構成では除電後に転写装置(図1、図2の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))があるが、図22を見てもわかるように、除電部材26を設けることで転写装置の電源電流の変化による感光体表面電位の変化も小さくなる。これにより、画像面積率、帯電ローラ2の電源電圧、転写装置の電源電流の変化に寄らず、常に感光体表面電位とトナー極性制御ブレード16間の電位差を安定させることができ、極性制御性能も安定させることができる。従ってクリーニング性能も安定して発揮することができる。
【0051】
(課題3とその解決手段)
図1、図2に示す構成の画像形成装置で、トナー極性制御ブレード16に−1200V印加し、A3版の記録用紙Pに画像を1枚印刷したとき、トナー極性制御ブレード(極性BL)16後の感光体表面電位は図23に示す様になる。ここで太線が画像面積率100%、細線が10%である。このとき、下流のクリーニングブラシローラ21に100V印加した場合、図24に示す様に、感光体表面電位とクリーニングブラシローラ21間の電位差が、画像面積率、帯電ローラ2の電源電圧、転写装置の電源電流により変化してしまう。その結果、図16に示す様に、クリーニング性能の低下につながる。
【0052】
そこで本発明では、図1に示す画像形成装置の各画像形成部(画像形成ステーション)において、図2に示す様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写装置(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の上流に除電手段である除電部材(例えば後述する除電ランプ等)26(26Y,26C,26M,26K)を設けている。このように転写装置の上流側に除電部材26(26Y,26C,26M,26K)を設けることで、除電部材26により、図22に示す様にトナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は−100V〜100V付近で安定する。これに対しトナー極性制御ブレード16に−1200V印加した場合、トナー極性制御ブレード(極性BL)16後の感光体表面電位は図25に示す様に、−500V付近で安定する。これにより、画像面積率、帯電ローラ2の電源電圧、転写装置の電源電流の変化に寄らず、常に感光体表面電位とクリーニングブラシローラ21の電位差を安定させることができ、クリーニング性能も安定して発揮することができる。
【0053】
(課題4とその解決手段)
図1、図2に示す構成の画像形成装置で、トナー極性制御ブレード16に−30μA印加し、A3版の記録紙Pに画像を1枚印刷したとき、トナー極性制御ブレード16後の感光体表面電位とトナー極性制御ブレード16への印加電圧は図26に示す様に、定電流制御にした場合、感光体表面電位に応じてトナー極性制御ブレード16の印加電圧が変化し、常に一定の電位差をとることができ、極性制御性能は安定する。しかしながら、転写装置(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の電源がOFFの場合(図中A、D部)、感光体表面電位が負に高いため(−700V程度)、トナー極性制御ブレード16への印加電圧もより負に高くなってしまう(−1900V程度)。
【0054】
そこで本発明では、図1に示す画像形成装置の各画像形成部(画像形成ステーション)において、図2に示す様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写装置(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の上流に除電手段である除電部材(例えば後述する除電ランプ等)26(26Y,26C,26M,26K)を設けている。このように転写装置の上流側に除電部材26(26Y,26C,26M,26K)を設けることで、除電部材26により、図22に示す様にトナー極性制御ブレード(極性BL)16前の感光体表面電位は−100V〜100V付近で安定する。従って、トナー極性制御ブレード16への印加電圧は常に−1200V程度で済み、少ない電圧で効率よく極性制御を行うことができる。
【0055】
(課題4とその解決手段)
図4に示す様に、トナー極性制御ブレード16とクリーニングブラシローラ21の間に除電部材26を設けると、トナー極性制御ブレード16後の感光体表面電位は0付近になる。この場合、良好なクリーニング性能を得るためには、図16に示すようにクリーニングブラシローラ21には600〜800V程度印加する必要があり、更に回収ローラ23には1000〜1200V印加する必要がある。
【0056】
そこで本発明では、図1に示す画像形成装置の各画像形成部(画像形成ステーション)において、図2に示す様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写装置(図1の一次転写装置(中間転写ユニット)の一次転写バイアス印加ローラ13(13Y,13C,13M,13K))の上流に除電手段である除電部材(例えば後述する除電ランプ等)26(26Y,26C,26M,26K)を設けている。このように転写装置の上流側に除電部材26(26Y,26C,26M,26K)を設けることで、除電部材26により、図22に示す様にトナー極性制御ブレード16前の感光体表面電位は−100V〜100V付近で安定する。これに対し、良好な極性制御を行った場合、トナー極性制御ブレード16の電圧により、トナー極性制御ブレード16後の感光体表面電位は図25に示す様に、−500V程度となる。この場合、クリーニングブラシローラ21には100〜300V程度、回収ローラ23には500〜700V程度の電圧印加で良好なクリーニング性能を得ることができ、少ない電圧で効率よくクリーニングを行うことができる。
【0057】
尚、本実施例では、除電部材26として、図27に示す様に、感光体軸方向に22mm間隔で16個の発光ダイオード(LED)を配置した除電ランプ(QL)を使用した。
【0058】
(感光体の説明)
次に本発明に係る画像形成装置の像担持体として用いられる感光体について説明する。
まず、本発明に係る画像形成装置の像担持体としては、アモルファスシリコン感光体を用いることができる。
【0059】
・アモルファスシリコン感光体について
本発明に用いられる電子写真用感光体としては、導電性支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりアモルファスシリコン(a−Si)からなる光導電層を有するアモルファスシリコン感光体(以下、「a−Si系感光体」と称する。)を用いることができる。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0060】
・層構成について
アモルファスシリコン感光体の層構成は例えば以下のようなものである。図28は、層構成を説明するための模式的構成図である。図28(a)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上にa−Si:H,X(Hは水素原子、Xはハロゲン原子(F,Cl,Br,I))からなり光導電性を有する光導電層502が設けられている。図28(b)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成されている。図28(c)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図28(d)に示す電子写真用感光体500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。該光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0061】
・支持体について
感光体500の支持体501としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0062】
・注入防止層について
本発明に用いることが出来るアモルファスシリコン感光体には必要に応じて導電性支持体501と光導電層502との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層504を設けるのがいっそう効果的である(図17(c))。すなわち、電荷注入阻止層504は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層504には伝導性を制御する原子を光導電層502に比べ比較的多く含有させる。電荷注入阻止層504の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
【0063】
・光導電層について
光導電層502は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100μm、より好ましくは20〜50μm、最適には23〜45μmとされるのが望ましい。
【0064】
・電荷輸送層について
電荷輸送層506は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層506は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子と弗素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。電荷輸送層506の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層については、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μm、最適には20〜30μmとされるのが望ましい。
【0065】
・電荷発生層について
電荷発生層505は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層505は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。電荷発生層505の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μm、最適には1〜5μmとされる。
【0066】
・表面層について
本発明に用いることが出来るアモルファスシリコン感光体500には必要に応じて、上述のようにして支持体上に形成された光導電層502の上に、更に表面層503を設けることができ、アモルファスシリコン系の表面層を形成することが好ましい。この表面層503は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。本発明における表面層503の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0067】
次に、本発明に係る画像形成装置の像担持体としては、充填材で補強された表面層を有する有機感光体、または架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体、またはその両方の特徴を有する有機感光体を用いることができる。
このような感光体の最外層は、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルより選ばれる化合物の重合体もしくは共重合である。導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。これらの支持体の上には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けることができる。下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的被覆に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン-アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その膜厚は0.2〜2μm程度である。感光層の具体例としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造を有する感光層、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層から成る感光層などがある。電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。電荷輸送物質としては、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン類、およびトリアリールアミン類などを用いることができる。
【0068】
次に、本発明に係る画像形成装置の像担持体としては、保護層に耐摩耗性を向上する目的でフィラーを添加した感光体を用いることができる。有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。また、本発明において保護層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0069】
(トナーの説明)
本発明に係る画像形成装置においては、前述したように長期的に良好なクリーニング性能を維持させることができる構成のクリーニング装置14を備えているので、画像形成に用いる現像剤のトナーとして、形状係数SF1が100〜150のトナーを用いることができる。
ここで、形状係数SF1とは、図29に示すように、球状物質の形状の丸さの割合を示す数値であり、球状物質を二次元平面上に投影してできる楕円状図形の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じた値で表される。つまり次式、
SF1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)
によって定義されるものである。
【0070】
本発明に係る画像形成装置においては、このような形状係数のトナー(球状トナー)であっても、前述した構成のクリーニング装置14で良好に除去回収することができる。
【0071】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明のクリーニング装置は、図1に示したような多色画像形成装置や、図2に示したようなプロセスカートリッジで構成された画像形成部(画像形成ステーション)の感光体のクリーニング装置として好適に使用することができる。また、当然ながら画像形成部(画像形成ステーション)が一つのみの単色の画像形成装置のクリーニング装置としても好適に使用することができる。さらに本発明のクリーニング装置は、以下に示す実施例2、実施例3のような種々の構成の多色画像形成装置にも好適に使用することができる。
【0072】
[実施例2]
図30は本発明に係るクリーニング装置を備えた多色画像形成装置の別の構成例を示す概略要部構成図であり、この多色画像形成装置は、1つの像担持体1と、帯電手段2と、光書込み手段3と、像担持体上にトナーによる画像を形成する複数の現像手段4Y,4M,4C,4Kと、像担持体上に形成された画像を中間転写体41に転写する一次転写装置40と、中間転写体41に転写された画像を記録紙Pに転写する二次転写装置48と、定着装置60と、図示しない給紙機構等を有している。
【0073】
像担持体1は光導電性の感光体ドラムであり、図中矢印で示す反時計回りに回転する。
帯電手段2は例えば非接触配置された帯電ローラであり、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。
光書込み手段3は、例えばレーザ光源とカップリング光学系、光偏向器、走査結像光学系等からなるレーザ光走査方式の光書込み装置であり、帯電された感光体ドラム1に対して画像信号で変調されたレーザ光Lを照射して静電潜像を形成する。
【0074】
複数の現像手段は、現像剤の着色粉体としてイエロー色のトナーを用いたイエロー現像器4Y、マゼンタ色のトナーを用いたマゼンタ現像器4M、シアン色のトナーを用いたシアン現像器4C、ブラック色のトナーを用いたブラック現像器4Kであり、この4つの現像器は回転型現像装置4’内に収納され、回転型現像装置4’の回転により選択された色の現像器が感光体ドラム1との対向位置に配置されるようになっている。各現像器は同様の構成であり、現像器ケース内には現像剤を担持搬送して感光体ドラム上の潜像をトナーで現像する現像ローラ、現像ローラ上の現像剤量を規制するドクターブレード、現像剤を攪拌搬送する現像スクリュー等が設けられている。
【0075】
一次転写装置40は中間転写体として中間転写ベルト41を用いており、この中間転写ベルト41は駆動ローラ42と複数の従動ローラ43,44,45と転写バイアス印加ローラに支持されて図中の矢印の方向に回動し、感光体ドラム上に形成された画像(トナー像)が転写されるようになっている。
また、二次転写装置48は、図示しない給紙機構から給紙された転写材(例えばシート状の記録紙)Pを搬送し、中間転写ベルト上の画像(トナー像)を記録紙Pに転写させる二次転写ローラを用いた構成であり、この二次転写ローラは中間転写ベルト41に対して接離可能に設けられており、感光体ドラム1から中間転写ベルト41にトナー像を一次転写する際には、中間転写ベルト41から離間されている。そして、中間転写ベルト上のトナー像を記録紙Pに転写させる二次転写時に、二次転写ローラ48が中間転写ベルト41に接触し、二次転写を行うようになっている。
また、二次転写装置48よりも転写材搬送方向下流側には、転写後の記録紙Pを搬送する搬送ベルト48と、記録紙Pに転写された画像を加熱・加圧等により定着する定着装置60等が設けられている。
【0076】
像担持体のクリーニング手段14の基本的な構成は図2、図3と同様であり、クリーニング対象である感光体ドラム1に接触配置されて電源(トナー極性制御ブレード用電源)27により所定の電圧が印加され感光体ドラム上の残留トナーを帯電して単一極性に揃え且つ残留トナーの少なくとも一部を掻き取る導電性部材であるトナー極性制御ブレード16と、トナー極性制御ブレード16に対して感光体ドラム1のトナー搬送方向下流側に位置し感光体ドラム1に接触配置されて電源(クリーニングブラシ軸印加用電源30、ブラシ先端電圧印加用電源31)により所定の電圧が印加され感光体ドラム上から電気的にトナーを吸着するクリーニング部材であるクリーニングブラシローラ21と、クリーニングブラシローラ21に接触配置されて電源(回収ローラ軸印加用電源)28により所定の電圧が印加されクリーニングブラシローラ21から電気的にトナーを吸着する第1の回収部材である回収ローラ23と、回収ローラ23に接触配置されて電源(回収ローラ用導電性クリーニングブレード用電源)29により所定の電圧が印加され回収ローラ23からトナーを掻き取る第2の回収部材である回収ローラ用導電性クリーニングブレード24とを備えたクリーニング装置である。
【0077】
このクリーニング装置14のクリーニングケースの開口部には、クリーニング入口シール17、クリーニングブラシ入口シール18、クリーニング出口シール20が設けられており、感光体ドラム1から回収したトナーがケース外に漏れ出さないようになっている。さらにクリーニングケースの下部にはトナー排出スクリュー19が設けられており、回収したトナーを図示しない廃トナー収容部等に排出するようになっている。
また、この感光体ドラム用のクリーニング装置14では、図2と同様に、感光体ドラム1の回転方向で、転写手段(図30の一次転写装置(中間転写ユニット40)の一次転写バイアス印加ローラ13)の上流に除電手段である除電部材(例えば図27に示した除電ランプ)26が設けられている。
【0078】
一次転写装置40には、二次転写後に中間転写ベルト41の表面に残留したトナーを除去回収する中間転写ベルト用クリーニング装置46が設けられており、この中間転写ベルト用クリーニング装置46も感光体ドラム用のクリーニング装置14と同様の構成とすることができる。また、この中間転写ベルトクリーニング装置46は、カム等の接離機構47により中間転写ベルト41に対して接離可能に配設されており、感光体ドラム1から中間転写ベルト41にトナー像を一次転写する際には、中間転写ベルト41から離間されている。そして、中間転写ベルト上のトナー像を記録紙Pに転写させる二次転写時に、中間転写ベルト用クリーニング装置46が中間転写ベルト41に接触し、二次転写後の中間転写ベルト表面に残留したトナーを除去回収する。
【0079】
次に図30に示す構成の多色画像形成装置の動作について説明を行う。
画像形成の一連のプロセスは、ここでは非接触帯電ローラ2を用いた非接触帯電方式で、潜像形成、現像はN/P(ネガ/ポジ:電位が低い所にトナーが付着する)方式を用いた例で行う。
図示していない操作部で単色画像かカラー画像かの選択を行い(ここではカラー画像とし、Y,M,C,Kの順で画像形成を行うとする)、プリントボタンが押されると、回転型現像装置4’が回転し、イエロー現像器4Yが感光体ドラム1との対向位置に配置される。そして、非接触帯電ローラ2、イエロー現像器4Yの現像ローラ、一次転写装置40の転写バイアス印加ローラ13、トナー極性制御ブレード16、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、にそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加され、それとほぼ同時に感光体ドラム1、非接触帯電ローラ2、一次転写装置40の中間転写ベルト41、イエロー現像器4Yの現像ローラ、現像スクリュー、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、トナー排出スクリュー19は所定の方向に回転し始める。感光体ドラム1は非接触配置された非接触帯電ローラ2で一様に負に帯電され、光書込み装置3からのレーザ光Lでイエローの潜像形成が行われる。その潜像が現像ローラで形成される磁気ブラシにより現像されイエローのトナー像が形成される。そして、このイエローのトナー像は、除電部材26で除電された後、転写バイアス印加ローラ13の転写バイアスにより中間転写ベルト41に一次転写される。一次転写後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーは感光体用クリーニング装置14で除去回収される。なお、クリーニング装置14の構成、動作は実施例1と同様であり、既に説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0080】
上記の一次転写後、回転型現像装置4’が回転し、次のマゼンタ現像器4Mが感光体ドラム1との対向位置に配置される。そして、クリーニング後の感光体ドラム1に対して上記と同様に帯電、潜像形成、現像が行われ、感光体ドラム上にマゼンタのトナー像が形成される。そして、このマゼンタのトナー像は、除電部材26で除電された後、転写バイアス印加ローラ13の転写バイアスにより中間転写ベルト41のイエロー像に重ね合わせて一次転写される。一次転写後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーは感光体用クリーニング装置14で除去回収される。
そして、上記のような現像器の切替、帯電、潜像形成、現像、一次転写、感光体クリーニングの工程がシアン画像、ブラック画像に対しても同様に行われ、中間転写ベルト41上に4色を重ね合わせたカラー画像が形成される。
【0081】
中間転写ベルト41上への4色目のトナー像の一次転写とタイミングを合わせて二次転写ローラ48が中間転写ベルトに当接するとともに、図示していない給紙機構から給送されレジストローラ55で画像先端と同期を取り中間転写ベルト41と二次転写ローラ48との間に供給された記録紙P上に4色のトナー像が一括して二次転写される。記録紙Pは図示しない分離機構で中間転写ベルト41より分離され、搬送ベルト49、定着装置60を経てプリント(またはコピー)画像として排出される。
また、二次転写にタイミングを合わせて中間転写ベルト用クリーニング装置46が中間転写ベルト41との当接位置に移動し、二次転写後の中間転写ベルト表面に残留したトナーを除去、回収する。
二次転写後、二次転写ローラ48は中間転写ベルト41から離間し、クリーニング後の中間転写ベルト用クリーニング装置46も中間転写ベルト41から離間され、次の画像形成の待機状態となる。
【0082】
以上に説明した構成の多色画像形成装置においても、転写手段の上流側に除電部材26を設けることで、実施例1と同様に、転写手段の電流値を除電部材26がない場合に比べて低く設定しても、十分な転写率を得ることができ、逆転写率を減らすことができる。また、同時に転写残トナー、逆転写トナーの帯電量も除電部材26がない場合に比べて負側に寄るため、トナー極性制御ブレード16後の正帯電トナー量も減り。これにより下流のクリーニングブラシローラ21でのクリーニング性能を向上させることができる。
【0083】
[実施例3]
次に多色画像形成装置のさらに別の実施例を説明する。
図31は本発明に係るクリーニング装置を備えた多色画像形成装置の別の構成例を示す概略要部構成図であり、この多色画像形成装置は、図1と同様に、4つの画像形成部を一次転写装置40の中間転写ベルト41に沿って並設した所謂タンデム型の多色画像形成装置である。図1との相違点は、4つの画像形成部(画像形成ステーション)を中間転写ユニットの上方に設置したことであり、各画像形成部(画像形成ステーション)の基本的な構成は図3と同様の構成となっている。
4つの画像形成部は現像手段に用いるトナーの色(イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))が異なるが、構成は同じであり、イエロー(Y)の画像形成部を例に挙げると、像担持体1Yと、帯電手段2Yと、光書込み手段3からのレーザ光の露光部と、現像手段4Yと、一次転写手段13Yと、クリーニング手段14Y等が配設されている。なお、画像形成部の構成部材のうち、像担持体1Yと帯電手段2Yと現像手段4Yとクリーニング手段14Yは一つのカートリッジ内に一体に支持されており、プロセスカートリッジを構成している。そして、このプロセスカートリッジは画像形成装置本体に対して着脱自在に装着されている。
【0084】
各色の画像形成部の構成は図3と同様であり、像担持体1Y,1M,1C,1Kは光導電性の感光体ドラムであり、図中矢印で示す反時計回りに回転する。
帯電手段2Y,2M,2C,2Kは例えば非接触配置された帯電ローラであり、感光体ドラムの表面を均一に帯電する。
光書込み手段3は、例えば4つのレーザ光源とカップリング光学系、1つの光偏向器、4つの走査結像光学系等からなるレーザ光走査方式の光書込み装置であり、各画像形成部の帯電された感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して画像信号で変調されたレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
現像手段4Y,4M,4C,4Kは、現像剤(一成分現像剤または二成分現像剤)の着色粉体としてイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーを用いた現像器であり、現像器ケース内には現像剤を担持搬送して感光体ドラム上の潜像をトナーで現像する現像ローラ、現像ローラ上の現像剤量を規制するドクターブレード、現像剤を攪拌搬送する現像スクリュー等が設けられている。
【0085】
像担持体のクリーニング手段14Y,14M,14C,14Kは、符号を省略しているが図3と同様の構成であり、クリーニング対象である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに接触配置されて電源(トナー極性制御ブレード用電源)27により所定の電圧が印加され感光体ドラム上の残留トナーを帯電して単一極性に揃え且つ残留トナーの少なくとも一部を掻き取る導電性部材であるトナー極性制御ブレード16と、トナー極性制御ブレード16に対して感光体ドラム1のトナー搬送方向下流側に位置し感光体ドラム1に接触配置されて電源(クリーニングブラシ軸印加用電源30、ブラシ先端電圧印加用電源31)により所定の電圧が印加され感光体ドラム上から電気的にトナーを吸着するクリーニング部材であるクリーニングブラシローラ21と、クリーニングブラシローラ21に接触配置されて電源(回収ローラ軸印加用電源)28により所定の電圧が印加されクリーニングブラシローラ21から電気的にトナーを吸着する第1の回収部材である回収ローラ23と、回収ローラ23に接触配置されて電源(回収ローラ用導電性クリーニングブレード用電源)29により所定の電圧が印加され回収ローラ23からトナーを掻き取る第2の回収部材である回収ローラ用導電性クリーニングブレード24とを備えたクリーニング装置である。また、図2と同様に、各画像形成部の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの回転方向で、転写手段(図31の一次転写装置(中間転写ユニット40)の一次転写バイアス印加ローラ13Y,13M,13C,13K)の上流に除電手段である除電部材(例えば図27に示した除電ランプ)26Y,26M,26C,26Kが設けられている。
【0086】
一次転写装置40は中間転写体として中間転写ベルト41を用いており、この中間転写ベルト41は駆動ローラ42と複数の従動ローラ43,44,45と転写バイアス印加ローラに支持されて図中の矢印の方向に回動し、各画像形成部の感光体ドラム上に形成された画像(トナー像)が重ねて転写されるようになっている。
また、二次転写装置48は、選択された給紙部(給紙トレイ、給紙カセット等)50,51から給紙ローラ52や分離ローラ54、搬送ローラ54、レジストローラ55等の給紙機構で給紙された転写材(例えばシート状の記録紙)Pを搬送し、中間転写ベルト上の画像(トナー像)を記録紙Pに転写させる二次転写ローラを用いた構成である。
また、二次転写装置48よりも転写材搬送方向下流側には、転写後の記録紙Pを搬送する搬送ベルト48と、記録紙Pに転写された画像を加熱・加圧等により定着する定着装置60と、排紙装置61等が設けられている。
【0087】
一次転写装置40には、二次転写後に中間転写ベルト41の表面に残留したトナーを除去回収する中間転写ベルト用クリーニング装置46が設けられており、この中間転写ベルト用クリーニング装置46も感光体ドラム用のクリーニング装置14と同様の構成とすることができる。
【0088】
次に図31に示す構成の多色画像形成装置の動作について説明を行う。
図示していない操作部で単色画像かカラー画像かの選択を行い(ここではカラー画像とし、Y,M,C,Kの順で画像形成を行うとする)、プリントボタンが押されると、各画像形成部の動作が開始され、非接触帯電ローラ2Y,2M,2C,2K、現像器4Y,4M,4C,4Kの現像ローラ、一次転写装置40の転写バイアス印加ローラ13Y,13M,13C,13K、クリーニング装置14Y,14M,14C,14K(及び中間転写ベルト用クリーニング装置46)のトナー極性制御ブレード16、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、にそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加され、それとほぼ同時に感光体ドラム1Y,1M,1C,1K、非接触帯電ローラ2Y,2M,2C,2K、一次転写装置40の中間転写ベルト41、現像器4Y,4M,4C,4Kの現像ローラ、現像スクリュー、クリーニングブラシローラ21、回収ローラ23、トナー排出スクリュー19は所定の方向に回転し始める。感光体ドラム1,1M,1C,1Kは非接触配置された非接触帯電ローラ2Y,2M,2C,2Kで一様に負に帯電され、光書込み装置3からのレーザ光Lで各色に対応した潜像形成が行われる。その潜像が現像器4Y,4M,4C,4Kの現像ローラで形成される磁気ブラシにより現像され各色のトナー像が形成される。そして、この各色のトナー像は、除電部材26Y,26M,26C,26Kで除電された後、転写バイアス印加ローラ13Y,13M,13C,13Kの転写バイアスにより中間転写ベルト41に順次重ねて一次転写される。一次転写後の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの表面に残留したトナーは感光体用クリーニング装置14Y,14M,14C,14Kで除去回収される。なお、クリーニング装置14の構成、動作は実施例1と同様であり、既に説明した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0089】
中間転写ベルト41上への4色目のトナー像の一次転写とタイミングを合わせて、選択された給紙部(給紙トレイ、給紙カセット等)50,51から給紙ローラ52や分離ローラ54、搬送ローラ54等の給紙機構で給送され、レジストローラ55で画像先端と同期を取り中間転写ベルト41と二次転写ローラ48との間に供給された記録紙P上に4色のトナー像が一括して二次転写される。記録紙Pは図示しない分離機構で中間転写ベルト41より分離され、搬送ベルト49、定着装置60、排紙装置61を経てプリント(またはコピー)画像として排出される。
また、二次転写後に中間転写ベルト表面に残留したトナーは、中間転写ベルト用クリーニング装置46により除去、回収される。
【0090】
なお、図31では、一次転写装置40として中間転写ベルト41を用いた中間転写方式のタンデム型多色画像形成装置の構成例を示したが、中間転写ベルトに代えて、転写材(記録紙P)を担持して各画像形成部に搬送する転写部材(転写ベルト)を用い、各感光体ドラム上のトナー像を転写材に重ねて転写する直接転写方式のタンデム型多色画像形成装置の構成とすることもできる。そして、この直接転写方式の場合には二次転写装置は不要となる。
【0091】
以上に説明した構成の多色画像形成装置においても、各画像形成部の転写手段の上流側に除電部材26Y,26M,26C,26Kを設けることで、実施例1と同様に、転写手段の電流値を除電部材26Y,26M,26C,26Kがない場合に比べて低く設定しても、十分な転写率を得ることができ、逆転写率を減らすことができる。また、同時に転写残トナー、逆転写トナーの帯電量も除電部材26Y,26M,26C,26Kがない場合に比べて負側に寄るため、トナー極性制御ブレード16後の正帯電トナー量も減り。これにより下流のクリーニングブラシローラ21でのクリーニング性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1,1Y,1M,1C,1K:感光体ドラム(像担持体)
2,2Y,2M,2C,2K:非接触帯電ローラ(帯電手段)
3:光書込み装置(光書込み手段)
4:現像器(現像手段)
4’:回転型現像装置(複数の現像手段)
4Y:イエロー現像器
4M:マゼンタ現像器
4C:シアン現像器
4K:ブラック現像器
5:ドクターブレード
6:現像ローラ
7,8:現像スクリュー
9,55:レジストローラ
10:転写装置
10A:転写ベルト(転写部材)
13,13Y,13M,13C,13K:転写バイアス印加ローラ(転写手段)
14,14Y,14M,14C,14K:感光体用クリーニング装置
15:ブレードホルダー
16:トナー極性制御ブレード(導電性部材)
17:クリーニング入口シール
18:クリーニングブラシ入口シール
19:トナー排出スクリュー
20:クリーニング出口シール
21:クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
22:ブラシ先端電圧印加用電極棒
23:回収ローラ(第1の回収部材)
24:回収ローラ用導電性クリーニングブレード(第2の回収部材)
25:回収ローラ用ブレードホルダー
26、26Y,26M,26C,26K:除電部材(除電ランプ等)(除電手段)
27:トナー極性制御ブレード用電源
28:回収ローラ軸印加用電源
29:回収ローラ用クリーニングブレード用電源
30:クリーニングブラシローラ軸印加用電源
31:ブラシ先端電圧印加用電源
32:転写ベルト用クリーニング装置
40:一次転写装置
41:中間転写ベルト(中間転写体)
46:中間転写ベルト用クリーニング装置
48,56:二次転写ローラ(二次転写装置)
49,57:搬送ベルト
50,51:給紙部
52:給紙ローラ
53:分離ローラ
54:搬送ローラ
60:定着装置
61:排紙装置
L:レーザ光
P:記録紙(転写材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2005−265907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上の残留トナーを帯電して単一極性に揃える導電性部材と、
前記導電性部材に対して前記像担持体のトナー搬送方向下流側に位置し前記像担持体に接触配置されて所定の電圧が印加され前記像担持体上から電気的に帯電トナーを吸着するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記クリーニング部材から電気的に帯電トナーを吸着する第1の回収部材と、
前記第1の回収部材に接触配置されて所定の電圧が印加され前記第1の回収部材からトナーを掻き取る第2の回収部材と、
を備えたクリーニング装置において、
前記像担持体の回転方向で転写手段より上流側に、前記像担持体の表面電位を除電する除電手段が設けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1記載のクリーニング装置において、
前記トナーは、形状係数SF1が100〜150のトナーであることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
像担持体と、該像担持体上にトナーによる画像を形成する手段と、前記像担持体上に形成された画像を転写材に直接または中間転写体を介して転写する手段とを有する画像形成装置において、
転写後の前記像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、請求項1または2に記載のクリーニング装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
1つの像担持体と、該像担持体上にトナーによる画像を形成する複数の現像手段と、前記像担持体上に形成された画像を転写材に直接または中間転写体を介して転写する手段とを有する画像形成装置において、
転写後の前記像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、請求項1または2に記載のクリーニング装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
像担持体と該像担持体にトナーによる画像を形成する現像手段とを有する画像形成部を複数有し、複数の画像形成部の像担持体上に形成された画像を転写材または中間転写体に順次重ねて転写する手段を有する画像形成装置において、
前記画像形成部の転写後の像担持体に残留するトナーを除去回収するクリーニング手段として、請求項1または2に記載のクリーニング装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、フィラーを分散させた感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、充填材で補強された表面層を有する有機感光体、または架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体、またはその両方の特徴を有する有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
像担持体と、該像担持体のクリーニング手段と、帯電手段、現像手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング手段は、請求項1または2に記載のクリーニング装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−217594(P2010−217594A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65223(P2009−65223)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】