説明

クリーニング装置及び画像形成方法

【課題】球形化、小粒径化されたトナーを用いた画像形成装置であっても、長期に亘ってもそのクリーニング機能を維持できるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】像担持体1回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード11、第2クリーニングブレード12の2つのブレードを備え、該第2クリーニングブレードは、ブレード母体層と研磨剤粒子含有層の2層構造を有する研磨用ブレードであるクリーニング装置であり、用いられたトナーが、コールター法で測定した重量平均径(D4)が3.5〜5.5μm、3.17〜4.00μmの粒子の割合が20〜50個数%、4.00〜5.04μmの粒子の割合が10〜30個数%、12.7μm以上の粗大粒子の割合が0〜1.0重量%で、重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.04〜1.30であることを特徴とするクリーニング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を利用した画像形成装置に搭載される像担持体のクリーニング装置に関する。また、当該クリーニング装置を含んで構成されるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を利用したカラー画像形成装置は広範に普及してきており、また、デジタル化された画像が容易に入手できることも関係して、プリントされる画像の更なる高精細化が要望されている。画像のより高い解像度や階調性が検討される中で、潜像を可視化するトナー側の改良としては、高精細画像を形成するために、更なる球形化、小粒径化の検討がなされている。
例えば、特許文献1〜4では、特定の粒径分布を有する球形化した粉砕型のトナーが提案されている。また、特許文献5では懸濁重合により球形化、小粒径化されたトナーを得る方法、特許文献6ではバインダー樹脂と着色剤とを水と混和しない溶媒中で混合し、分散安定剤の存在下で水系溶媒中に液滴状に分散させ、球形化、小粒径化されたトナーを得る方法、特許文献7等では一部に変性された樹脂を含むバインダー樹脂と、着色剤とを有機溶媒中で混合し、水系溶媒中に分散させて、変性された樹脂の重付加反応を行わせ、球形化、小粒径化したトナーを得る方法が提案されている。このようなトナーにより、画質の向上、流動性の向上が得られている。
【0003】
しかしながら、球形化、小粒径化されたトナーを用いた場合、画像形成後に行われる感光体上のクリーニングにいくつかの問題を生じている。その一つは、感光体上に未転写で残るトナーのクリーニングが、クリーニングブレードを用いたクリーニング方式では、ブレードと感光体の間で球形トナーが回転し、その隙間に入り込むため、クリーニングされにくいことである。この点につき、特許文献8では、懸濁重合後の重合体を分散媒中でガラス転移点以上に加熱し凝集粒子を得、その凝集粒子を加温されたジェット気流中に導入し、凝集粒子を解砕すると同時に乾燥することにより、不定形状の小粒径トナーを得る方法が提案されている。また、特許文献9では、バインダー樹脂と着色剤とを水と混和しない溶媒中で混合し、分散安定剤の存在下で水系媒体中に液滴状に分散させ、得られた懸濁液から加熱および/または減圧により溶剤を除去することにより、表面に凹凸を有するトナー粒子を得る方法が提案されている。
【0004】
また、一つは、トナーに内添、あるいは外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等が、トナーから離脱して感光体上に付着するということである。トナーが小粒径化するにつれ、これらの添加物がトナー中に占める含有率は、従来のトナーに比べ高くなるため、上記した感光体上の付着物質は増加する傾向にある。
【0005】
感光体上の付着物質を除去する手段として、特許文献10では、クリーニングブレードと表面に研磨剤を付着させたクリーニングローラとを配したクリーニング装置が提案されている。しかしながら、クリーニングローラ表面に付着した研磨剤は剥がれ落ちやすく、長期に亘ってクリーニング機能を維持するのは困難である。また、特許文献11では、クリーニング装置に設けられたクリーニングブレードの先端に研磨剤を接着させて付着物質の除去をする構成としている。しかしながら、転写残トナーのクリーニングと付着物質の除去とを同時に行うのは難しく、また、クリーニングブレードの先端に研磨剤を接着させた構成では、研磨剤が剥がれ落ちやすい。
【0006】
このように、従来のクリーニングブレード、もしくはクリーニングブラシを配備したクリーニング装置では、これらの感光体上の付着物質を十分に除去することは困難であった。除去されない付着物質は、それがワックスを主成分とするものであるならばフィルミングを起こし、無機微粒子を主成分とするならばそれが核となって成長していき、経時で画像に悪影響を及ぼすことになる。
我々は、先に、像担持体回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード、第2クリーニングブレードの2つのブレードを備え、該第2クリーニングブレードは、ブレード母体層と研磨剤粒子含有層の2層構造を有する研磨用ブレードであるクリーニング装置を提案(特許文献12の特開2004−117465号公報等参照)したが、本発明はこのクリーニング技術の更なる改良を意図したものである。
【0007】
【特許文献1】特開平1−112253号公報
【特許文献2】特開平2−284158号公報
【特許文献3】特開平3−181952号公報
【特許文献4】特開平4−162048号公報
【特許文献5】特開平5−72808号公報
【特許文献6】特開平9−15902号公報
【特許文献7】特開平11−133668号公報
【特許文献8】特開平5−188642号公報
【特許文献9】特開平9−15903号公報
【特許文献10】特開平10−111629号公報
【特許文献11】特開2001−296781号公報
【特許文献12】特開2004−117465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、球形化、小粒径化されたトナーを用いた画像形成装置であっても、感光体上の転写残トナー及び付着物質の除去を効果的に行うことができ、長期に亘ってもそのクリーニング機能を維持できるクリーニング装置を提供することを課題とする。また、上記の良好なクリーニング機能を有するクリーニング装置を備え、長期に亘って画質の劣化を生じさせることのないプロセスカートリッジ、並びに画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
現在まで多くのクリーニング装置と、多くのトナーとが提案されている中で、特定構成のクリーニング装置と、特定トナーとの組合せが、優れたクリーニング性を示し、得られる画像のシャープさ、画像にカブリがなく、画像濃度をより満足し、かつ、これらを長期に亘って保持することを見出した。本発明はこのような知見に基くものである。
すなわち、本発明は(1)「像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置であって、該クリーニング装置は、該像担持体回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード、第2クリーニングブレードの2つのブレードを備え、該第2クリーニングブレードは、ブレード母体層と研磨剤粒子含有層の2層構造を有する研磨用ブレードであるクリーニング装置であり、用いられたトナーが、コールター法で測定した重量平均径(D4)が3.5〜5.5μm、3.17〜4.00μmの粒子の割合が20〜50個数%、4.00〜5.04μmの粒子の割合が10〜30個数%、12.7μm以上の粗大粒子の割合が0〜1.0重量%で、重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.04〜1.30であることを特徴とするクリーニング装置」、
(2)「前記トナーは、結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該トナーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したピークトップ分子量Mpが4000〜8000の範囲にあることを特徴とするクリーニング装置」、
(3)「高架式フローテスターにより測定される前記トナーの1/2流出温度が145〜165℃であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載のクリーニング装置」、
(4)「前記トナーは、無機スズ化合物触媒によるポリエステル樹脂を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載のクリーニング装置」、
(5)「前記トナーは、疎水性酸化チタン微粒子を少なくとも有する静電荷像現像用トナーであり、該疎水性酸化チタン微粒子は、X線回折において、2θ=20.0〜40.0degの範囲における最大強度Iaと最小強度Ibの強度比(Ia/Ib)が、1.0<Ia/Ib<3.0であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載のクリーニング装置」により達成される。
また、本発明は(6)「像担持体と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されたプロセスカートリッジであって、該クリーニング手段として、前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ」により達成される。
また、本発明は(7)「潜像を担持する像担持体と、該像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、潜像を書き込む露光手段と、該潜像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、該潜像担持体表面の可視像を記録紙に転写する転写手段と、転写後の該像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段とを備え、トナー像が転写体上に転写された後の被帯電体表面をクリーニングして被帯電体表面上のトナーを回収し、回収したトナーを該現像手段に供給して現像工程に使用するリサイクルシステムを有する画像形成装置であって、該クリーニング手段として、請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置」により達成される。
【発明の効果】
【0010】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により像担持体上の付着物質を除去し、良好なクリーニング機能を長期に亘って維持できるクリーニング装置を提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、前記特定のクリーニング装置に用いられるトナーとしては、コールター法で測定したトナー粒子の重量平均径(D4)が3.5〜5.5μmであり、3.17〜4.00μmの粒子の割合が20〜50個数%、4.00〜5.04μmの粒子の割合は10〜30個数%、12.7μm以上の粗大粒子の割合は0〜1.0重量%のものが特に好ましいことが判明した。
3.17〜4.00μmの微粉量が20個数%未満、又は4.00〜5.04μmの微粉量が10個数%未満では、画像ががさつき、粒状度が悪化する。
3.17〜4.00μmの微粉量が50個数%を超える、又は4.00〜5.04μmの微粉量が30個数%を超えると、連続画像出力時の地汚れが発生する。
3.17〜4.00μmの微粉量は、好ましくは25個数%〜45個数%である。4.00〜5.04μmの微粉量は、好ましくは15個数%〜25個数%である。
12.7μm以上の粗大粒子が1.0重量%を超えると、粒状度が悪化する。12.7μm以上の粗大粒子は、好ましくは0重量%〜0.5重量%である。
本発明におけるトナーは、コールター法で測定した重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)は1.04〜1.30であることが必要なことも判明した。
1.30を超えると、粒径分布がブロードなために、トナー粒子による孤立ドットの埋まりが不充分で、現像工程、転写工程を経ると、孤立ドットが乱れ、粒状度が悪化した、がさついた画像となる。
重量平均と個数平均の比(D4/D1)は、好ましくは1.04〜1.20である。
この粒度分布の範囲では小粒径であるためにクリーニング性に不利であり、特にリサイクルシステムにおいてはリサイクルトナー微粉化され、添加剤が埋め込まれることによる流動性悪化、また通紙による紙粉の混入によりさらに不利になるが、該像担持体回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード、第2クリーニングブレードの2つのブレードを備え、該第2クリーニングブレードは、ブレード母体層と研磨剤粒子含有層の2層構造を有する研磨用ブレードであるクリーニング装置であることにより、良好なクリーニングシステムを得ることが出来る。
【0012】
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、各粒径のチャンネルの個数分布を測定し、得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0013】
さらに画像の高画質化と低温定着性を向上させるためには、結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該トナーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したピークトップ分子量Mpが4000〜8000の範囲にあることにより、クリーニング性が良好となり、さらに定着性が向上するので、定着後の画像の粒状度が向上する。4000未満ではトナーが現像機内で微粉化しやすくなり、帯電量分布がブロードとなってしまうことによりかぶりを生じやすい。また、樹脂の弾性が低下するため凝集しやすくなり、クリーニング性に不利になる。8000を超えると定着性が悪化する。トナーの1/2流出温度が145〜165℃であることにより定着時のトナーが完全に粘性化せず粘弾性特性を維持できるので、定着後の画像の粒状度が向上する。145℃未満ではホットオフセット性に不利であり、165℃を超えると定着性に不利である。
【0014】
ピークトップ分子量の測定はGPC測定装置において、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば東ソー社製、あるいは昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
一般に、GPCクロマトグラムの測定では、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
【0015】
1/2流出温度は高架式フローテスター(島津製作所製)を用いてJIS K72101に記載された方法に準拠して行なった。1cmの資料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより10Kg/cmの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を1/2流出温度とする。
【0016】
結着樹脂が無機スズ(II)化合物を触媒として含有することにより、樹脂の粉砕性が向上し、小粒径トナーを得やすくなる。とりわけオクチル酸スズであることにより効果が高い。
【0017】
一般に、トナーの小粒径化によって、トナーは現像器から飛散し易くなる傾向を示すが、帯電付与能も高く、流動性向上と帯電安定化の両立を図るためには、トナーが疎水性酸化チタン微粒子を少なくとも含有することが良い。
該疎水性酸化チタン微粒子は、X線回折において、2θ=20.0〜40.0degの範囲における最大強度Iaと最小強度Ibの強度比(Ia/Ib)が、1.0<Ia/Ib<3.0であることによりクリーニング性が向上する。Ia/Ibが1.0未満であると、結晶性を全く有しないという構造であるため、帯電付与能も低く、また硬度が低下し、粘性を有するため、感光体に付着しやすくなりクリーニング性が低下する。3.0を超えると結晶性が高くなりクリーニングブレードを研磨してしまい、クリーニング性が低下する。
【0018】
使用装置:X線回析装置 MXP−18(株式会社マックサイエンス社製)
線源(Target):Cu
波長(Wave Length):1.5405オームストロング(CuKα1)
管電圧、管電流(Voltage,Current):40.0kV,200mA
発散スリット(Divergence Slit):1.0°
受光スリット(Receiving Slit):0.30mm
散乱スリット(Scatter Slit):1.0°
走査速度(Scanning Speed):4.0deg/min
【0019】
本発明に使用する疎水化酸化チタンを得るための方法を示す。
(a)イルメナイトを出発原料として、これを硫酸で分解して得られた分散液を加水分解することによって、スラリー状のメタチタン酸を生成する。このメタチタン酸のスラリーのpH調整をした後、スラリー中でメタチタン酸粒子の合一が生じないように十分に水性媒体中に分散させながら疎水化剤を滴下混合し反応させる。これを、ろ過、乾燥、解砕処理を行なうことによって疎水化酸化チタン微粒子を生成する。
【0020】
(b)原料にチタンテトライソプロポキシドを使用し、ケミカルポンプで減量を極く少量ずつ、チッ素ガスをキャリアガスとして使用して、200℃程度に加熱したベーパライザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器内において300℃程度で瞬時に加熱分解した後、急冷却を行ない、生成物を捕集する。これを300℃程度でさらに約2時間焼成して前記XDのBragg角2θ=20.0〜40.0degの範囲における最大強度Iaと最小強度Ibの強度比(Ia /Ib )を調整し、さらに疎水化処理することによって疎水性酸化チタン微粒子を生成する。
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。像担持体である感光体(1)の周囲に近接あるいは接触して、感光体(1)上に一様な電荷を付与する帯電ローラ(2)、帯電した感光体(1)上に静電潜像を形成するための露光装置(3)、静電潜像を顕像化してトナー像とする現像装置(4)、トナー像を記録紙に転写するための転写ベルト(6)、トナー像転写後の感光体上をクリーニングするクリーニング装置(8)、感光体上の残電荷を除電する除電ランプ(9)が配置されている。
【0022】
次に、本発明のクリーニング装置(8)について説明する。クリーニング装置(8)は、クリーニング手段として、感光体(1)回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード(11)、第2クリーニングブレード(12)の2つのブレードを有する。また、クリーニングされたトナーを回収するトナー回収羽根(13)、及びそのトナーを搬送する回収コイル(14)を備えている。
第1クリーニングブレード(11)は、金属、樹脂、ゴム等の材質からなるが、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等のゴムが好ましく用いられ、この中でも特にウレタンゴムが好ましい。
【0023】
一方、第2クリーニングブレード(12)は、図2に示すように、ブレード母体層(12a)と研磨剤粒子含有層(12b)との2層構造からなる研磨用ブレードである。
ブレード母体層(12a)は、ゴム、樹脂、金属等の材質によって構成される。中でも、第1クリーニングブレードと同様、ゴムが好ましく用いられ、特にウレタンゴムが好ましい。研磨剤粒子含有層(12b)は、上記に示したゴムに研磨剤粒子を分散させて形成される。
ブレード母体層(12a)をゴムで構成する場合、また、研磨剤粒子含有層(12b)に用いられるゴムの硬度は、65度以上85度以下が好ましい。硬度が65度より小さいとブレードの摩耗の進行が早く、また、硬度が85度より大きいとブレードのエッジが欠けやすくなるからである。
研磨剤粒子としては、窒化珪素等の窒化物、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、マイカ、珪酸カルシウム等の珪酸塩、炭酸カルシウム、石膏等の石灰質物質、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化タンタル、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム等の炭化物、酸化セリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物が挙げられる。この中でも、研磨力に優れている酸化セリウムが好ましい。
研磨剤粒子の平均粒径は、0.05μm以上100μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.05μm未満では、粒子が細かすぎ、ゴム中での均一な分散が困難になったり、研磨ブレードとしての研磨力が十分に得られない。また、平均粒径が100μmを超えると、研磨力が大きすぎるために感光体(1)表面上を傷つけることになるため好ましくはない。
研磨剤粒子の含有量は、研磨剤粒子含有層の0.5wt%以上50wt%以下であることが好ましい。研磨剤粒子の含有量が0.5wt%未満では、分散がまばらになってしまい、均一な研磨ができない。また、研磨剤粒子の含有量が50wt%を超えると、研磨剤粒子の密度が高くなり過ぎ、剥がれ落ちやすくなる。また、コストも高くなってしまう。
ブレード母体層(12a)、研磨剤粒子含有層(12b)それぞれの厚みは任意に設定することができるが、研磨剤粒子含有層(12b)の厚みを第2クリーニングブレード(12)全体の厚みの0.5%以上50%以下とすることが好ましい。研磨剤粒子含有層(12b)の厚みが0.5%未満であると、ブレードの摩耗に対する余裕度がないため、経時品質を維持することができない。また、研磨剤粒子含有層(12b)の厚みが50%を超えると、本来ゴムが有する弾性の機能が発揮できなくなり、感光体(1)を均一に研磨することができなくなる。上記のような2層構造を有する第2クリーニングブレード(12)は、研磨剤粒子含有層(12b)が形成する研磨面を感光体(1)と当接させて設置される。
【0024】
第1クリーニングブレード(11)は、主として感光体(1)上の転写残トナーや紙粉の除去を行う。第2クリーニングブレード(12)は、トナーから脱離した無機微粒子を主成分とする感光体(1)上の付着物質や、フィルミング物質等を、研磨面で削り取るようにして除去する。また、第1クリーニングブレード(11)から漏れたトナーや紙粉等も同時に除去する。研磨剤粒子がある幅をもって分散された第2クリーニングブレード(12)の研磨剤粒子含有層(12b)が感光体(1)に当接することで、感光体(1)の膜削れは均一となり、感光体(1)に不具合を生じさせることがない。
また、クリーニングブレード表面に研磨剤をコートしたような研磨ブレードと比較しても、研磨剤が剥がれ落ちたり、短期で削れ取れたりすることがないため、長期的に優れたクリーニング機能を維持できるクリーニング装置とすることができる。
【0025】
次に、第1クリーニングブレード(11)と第2クリーニングブレード(12)との関係について説明する。
好ましい実施形態として、第1クリーニングブレード(11)と第2クリーニングブレード(12)のブレード母体層(12a)が、ゴムからなる場合、第2クリーニングブレード(12)のブレード母体層(12a)のゴム硬度は、第1クリーニングブレード(11)のゴム硬度よりも高いほうが好ましい。第1クリーニングブレード(11)では除去できない付着物質やフィルミング物質等を、より強固な研磨力で除去するためである。
第1クリーニングブレード(11)と第2クリーニングブレード(12)の感光体(1)への当接は、図1に示すように、双方がカウンター方式であることが好ましい。第1クリーニングブレード(11)がカウンター方式であることで、感光体(1)上の転写残トナーや紙粉を効率よく除去することができる。また、第2クリーニングブレード(12)がカウンター方式であることで、感光体(1)上の付着物質を第2クリーニングブレード(12)に突き当たった衝撃で除去することができ、良好なクリーニング性が得られる。
このとき、第2クリーニングブレード(12)の当接角は、5度以上25度以下が好ましい。第2クリーニングブレード(12)の当接角が5度未満であると、ブレードが腹当たりになってしまい、クリープ現象により経時で研磨機能を発揮しなくなる。また、25度を超えるとジョブ終了時における感光体(1)の逆転でブレードめくれが発生してしまう。
第2クリーニングブレード(12)の当接圧は、10gf/cm以上60gf/cm以下であることが好ましい。第2クリーニングブレード(12)の当接圧が10gf/cm未満では当接圧が低いため、感光体(1)上の付着物は第2クリーニングブレード(12)をすり抜けやすく、十分に除去することができない。また、60gf/cmを超えると感光体(1)の膜削れ量が増加し、感光体(1)の寿命を短くするため好ましくない。
第2クリーニングブレードの硬度と、上記の当接圧の関係で得られる第2クリーニングブレード(12)の感光体(1)への食い込み量は、0.2mm以上1.5mm以下であることが好ましい。上記の食い込み量となるように第2クリーニングブレード(12)を設置することで、感光体(1)の膜削れ量を過剰に増加させることなく、付着物の除去を行う研磨ブレードとしての役割を十分に発揮させることができる。
【0026】
図3は、他の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。図3に示すように、第1クリーニングブレード(11)と第2クリーニングブレード(12)の感光体(1)への当接は、第1クリーニング(11)ブレードがカウンター方式で、第2クリーニングブレード(12)がトレーリング方式であっても良い。第1クリーニングブレード(11)をカウンター方式とするのは、先と同様の理由からである。一方、第2クリーニングブレード(12)をトレーリング方式とすると、感光体(1)上の付着物除去能力は若干低下する。しかしながら、第2クリーニングブレード(12)にはほとんどトナーの入力がないためブレードのめくれが起こりやすい状況にあるが、トレーリング方式の当接により、これを回避することができる。
このとき、第2クリーニングブレード(12)の当接圧は、カウンター方式の当接と同様の理由により、10gf/cm以上60gf/cm以下であることが好ましい。上記範囲の当接圧で第2クリーニングブレード(12)を当接させることにより、良好なクリーニングを行うことができる。
【0027】
また、図1及び図3に示すクリーニング装置において、第2クリーニングブレード(12)の感光体(1)への当接は、常時当接の他、適宜タイミングを取って間欠当接させる構成としても良い。この場合、第2クリーニングブレード(12)には、ソレノイド、カム等を利用した離間機構を設ける必要がある。第2クリーニングブレード(12)の間欠当接により、感光体(1)の膜削れ量を低減し、感光体(1)の寿命を延ばすことができる。
【0028】
更に、第2のクリーニングブレード(12)は、揺動機構を備えることが好ましい。図4は、第2クリーニングブレードの揺動機構を示す図である。第2クリーニングブレード(12)は、ここでは図示しない加圧ホルダに支持されており、加圧ホルダのカシメ先端にベアリングを備え、揺動カム付きギヤ(15)のカム面(15a)に突き当たっている。感光体(1)が矢印(A)方向に回転すると、揺動カム付きギヤ(15)は矢印(B)方向に回転し、それに従い、第2クリーニングブレード(12)は、矢印方向に揺動する。第2クリーニングブレード(12)が揺動機構を備えることで、研磨剤粒子含有層(12a)中の研磨剤粒子の分散に多少の偏りがあったとしてもこれを補い、感光体(1)の膜削れを均一にすることができる。
また、第1クリーニングブレード(11)には研磨剤粒子は含まれていないが、感光体(1)の膜削れをわずかに生じさせているため、第2クリーニングブレード(12)と同一の揺動機構によって、共に揺動させるように構成することがよい。更に、感光体(1)の膜削れを一層均一にさせるためには、第1クリーニングブレード(11)と第2クリーニングブレード(12)とを異なる位相で揺動させることが好ましい。
両者を異なる位相で揺動させるには、揺動カム付きギヤ(15)のカム面(15a)の内側に別位相のカム面を設け、それぞれ異なるカム面によって揺動させる機構が挙げられる。
【0029】
以上説明してきた本発明のクリーニング装置(8)を、感光体と、帯電手段及び現像手段から選択される任意の手段とを含んで一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジとすることができる。本プロセスカートリッジによって、小粒径トナーを用いた現像が行われる画像形成プロセスであっても、感光体上のクリーニング機能を長期に亘って維持し、画質の劣化を生じさせることのないプロセスカートリッジとすることができる。
【0030】
本発明のクリーニング装置(8)を搭載する画像形成装置は、図1及び図3の構成に限るものではなく、感光体(1)上のトナー像を一旦転写されて担持する中間転写体を備える構成や、多色画像を形成するために感光体を複数備える構成であってもよい。特に、本発明のクリーニング装置(8)を搭載することの効果が大きく得られる画像形成装置は、現像装置(4)で使用するトナーが、平均円形度が0.90以上と球形状に近く、体積平均粒径が3〜10μmの小粒子径のトナーである場合である。小粒径で球形状に近いトナーは、感光体とクリーニングブレードの隙間に入り込みすり抜けやすい。また、小粒径であるとワックスや無機微粒子等の添加剤のトナー粒子中の含有率が高くなる傾向にあるため、これらがトナーから脱離して感光体上に付着し、汚染する。しかしながら、本発明のクリーニング装置(8)により、第1クリーニングブレード(11)で感光体(1)上の転写残トナーや紙粉の除去を行い、第2クリーニングブレード(12)でワックスや無機微粒子を主成分とする感光体(1)上の付着物質を、研磨面で削り取るようにして除去することができる。また、第1クリーニングブレード(11)から漏れたトナーや紙粉等も第2クリーニングブレード(12)で除去できる。また、第2クリーニングブレードは、ブレード母体層(12a)と研磨剤粒子層(12b)とからなり、ある幅をもって研磨剤粒子が分散された構成であるため、研磨剤粒子が剥がれ落ちることがなく、長期に亘って良好なクリーニング機能を維持することができる。
【0031】
本発明のトナーに用いられる樹脂としては、従来より公知の樹脂が使用される。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられるが、特に定着特性の面からポリエステル樹脂を用いることが好ましい。また、定着特性を悪化させず本発明における小粒径、狭分布のトナーを得るためにはスチレンアクリル樹脂やハイブリッド樹脂を5〜30%含有することにより粉砕性が向上する。ハイブリッド樹脂としては、縮重合系樹脂と付加重合系樹脂が化学的に結合されるため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物を用いて重合するのが好ましい。このような両反応性モノマーとしては、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸ジメチル等の化合物が挙げられる。
両反応性モノマーの使用量は、付加重合系樹脂の原料モノマー100重量部を基準として、1〜25重量部、好ましくは2〜10重量部である。1重量部より少ないと着色剤や帯電制御剤の分散が悪くかぶりなどの画像品質が悪化した。25重量部より多いと樹脂がゲル化してしまう不具合があった。
以上のようなハイブリット樹脂は、両反応の進行および完了を同時にする必要はなく、それぞれの反応温度、時間を選択して、独立に反応の進行を完了することができる。
例えば、反応容器中にポリエステル樹脂の縮重合系原料モノマーの混合物中に、ビニル系樹脂の付加重合系原料モノマーおよび重合開始剤からなる混合物を滴下してあらかじめ混合し、まずラジカル反応によりビニル系樹脂からなる重合反応を完了させ、次に反応温度を上昇させることにより縮重合反応によりポリエステル樹脂からなる縮重合反応を完了させる方法がある。この方法により、反応容器中で独立した2つの反応を並行して進行させることにより、2種の樹脂を効果的に分散させることが可能である。このときハイブリッド樹脂の酸価は15〜70mgKOH/gであることが良く、好ましくは20〜50mgKOH/g、さらに好ましくは20〜30mgKOH/gであることがく酸価15〜70mgKOH/gである場合に、離型剤の分散効果が高くさらに低温定着性および環境安定性に優れていた。酸価を高くすることで、紙と樹脂との相溶性がよくなりさらなる低温定着化が図れたためと考えられる。酸価15mgKOH/g未満であるとハイブリッド樹脂に包括され分散している離型剤がポリエステルから遊離しやすくなり、70mgKOH/gを超えると空気中簿水分の影響が大きくなり、トナー帯電量が不安定となる。
【0032】
本発明において、好ましく用いられるポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、例えば、芳香族系ジカルボン酸類としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニル−P・P’−ジカルボン酸、ナフタレン−2・7−ジカルボン酸、ナフタレン−2・6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−P・P’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4・4’−ジカルボン酸、1・2−ジフェノキシエタン−P・P’−ジカルボン酸が使用でき、それ以外の酸としては、マレイン酸、フマル酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、セバチン酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルが使用できる。2価のアルコールとしては例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(13)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0033】
その他の2価のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールの如きジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAが挙げられる。
酸成分としてはトリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシルが使用できる。但し何らこれに制限されるものではない。発明のポリエステル樹脂においては、例えばn−ドデセニル基、イソドデセニル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、イソオクチル基、を有したマレイン酸、フマル酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸の如きアルキルもしくはアルケニル置換基を有する酸及び/又は、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、テトラメチレングリコール、1,4−ブチレンジオール、1,5−ペンチルジオールの如きアルコールを含んでいても良い。無機錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する化合物がより好ましい。
【0034】
Sn−O結合を有する化合物としては、オクチル酸酸錫(II)、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(RCOO)Sn(ここでR は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(RO)Sn(ここでRは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(RCOO)Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクチル酸酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)が特に好ましい。本発明のポリエステル製造用触媒とポリエステルとを含有したポリエステル樹脂組成物は、トナーの結着樹脂として用いることができ、ポリエステルはかかる触媒の存在下で製造することにより得られる。
【0035】
また、本発明のトナーを混合して二成分現像剤として使用するキャリアとしては、ガラス、鉄、フェライト、ニッケル、ジルコン、シリカ等を主成分とする、粒径30〜1000μm程度の粉末、または、該粉末を芯材としてスチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等をコーティングしたものから適宜選択して使用可能であるが、帯電能力の点から粒径30〜80μmが好ましい。
本発明のトナーにおいては、極性を制御するために、極性制御を配合することが可能である。この場合の極性制御剤としては、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物などが挙げられる。
【0036】
本発明で用いる離型剤としては、公知のものが使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナバワックス、モンタンワックス、及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することにより、ハイブリッド樹脂の分散効果が高まる。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は、10〜30が好ましい。その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。トナーバインダー中に分散させる前の離型剤の体積平均粒径は10〜800μmが好ましい。
【0037】
(トナー母体粒子の製造方法)
本発明の製造方法は、少なくとも結着剤樹脂、主帯電制御剤および顔料を含む現像剤成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を戻して再利用する製造方法も含まれる。
ここで言う製品となる粒子以外の粉末(副製品)とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程や溶融混練する工程で原料と好ましくは副製品1に対しその他原材料99から副製品50に対し、その他原材料50の重量比率で混合するのが好ましい。
少なくとも結着剤樹脂、主帯電制御剤および顔料、副製品を含む現像剤成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。
【0038】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましが、本発明の粒度分布を得るための粉砕方法としては。好ましくは対向気流式粉砕機で粉砕することにより製造されたトナーである。対向気流式粉砕機としては、例えば日本ニューマチック工業製、PJM−I、ホソカワミクロン製ミクロンジェットミル、カウンタジェットミル、クリモト鐵工製クロスジェットミルといったものが挙げられる。
【0039】
対向気流式粉砕機で粉砕することにより、トナーの円形度が上がるとともに、トナーの表面が非常に滑らかに改質される。このようにして得られたトナーは、現像工程で孤立ドットを埋めた際、トナー同士のパッキングが良好で、隙間が少ないため、感光体上の孤立ドットが崩れにくく、粒状度がよくなめらかで階調性に優れた画像が得られる。
粉砕工程に対向気流式粉砕機による粉砕工程を含まない場合は、トナー表面の改質が不充分であるため、本願発明の効果は充分に得られない。さらに本発明のトナーは2μm以下の超微粉を除去することにより、さらにクリーニング性が良好となる。2μm以下の超微粉を除去するためには、予め機械式粉砕機で、重量平均径および/またはモード値粒径を15μm以下まで粉砕することにより、対向気流式粉砕機での粉砕の際の、円形度の過度の上昇と超微紛の発生が抑制される。
【0040】
予め、機械式粉砕機で粉砕しない場合は、対向気流式粉砕機で3.5〜5.5μmのトナーサイズまで粉砕される過程で、消費エネルギーの増大につながるのみならず、円形度の過度の上昇が生じ、トナーとして用いた場合はクリーニングが困難となる。また、超微粉の発生量も多く、対向気流式粉砕機で粉砕した粉砕物中に2μm以下の超微粉が30%を超えると、乾式分級工程で除去することが極めて困難となり、1パスの処理で、分級後の粒径分布として、0.6〜2.0μmの粒子の割合を5%以下のレベルまで低減させることは不可能である。
デカンター型遠心分離機等の湿式法により0.6〜2.0μmの粒子を除くことも可能だが、湿式法は生産性の点で好ましくなく、また、トナーを水に分散させる目的で界面活性剤を用いるため、充分な洗浄を行なわないと、トナーの帯電性への影響が懸念されるため乾式分級が望ましい。
【0041】
前記トナーの粉砕工程においては、重量平均径および/またはモード値粒径が5〜15μm、好ましくは、5〜10μmとなるように機械式粉砕機で粉砕することにより、対向気流式粉砕機での粉砕の際の、円形度の過度の上昇と超微紛の発生を抑制しつつ、トナー粒子表面の改質を充分に行なうことができる。
【0042】
機械式粉砕機としては、例えば川崎重工業社のクリプトロン、ターボ工業社製ターボミルや、ホソカワミクロン社製ACMパルベライザ、イノマイザーといったものが挙げられ、それぞれ粉砕ロータの回転数を調整することで粒径は任意に調整可能である。
【0043】
分級工程としては、分級カバーと分級板とを上下に設け、分級カバーの下面および分級板の上面を中心に向けて高くなる円錐形とし、その円錐形下面と円錐形上面間に形成された分級室の外周部に複数のルーバーを環状に配置して隣接するルーバー間に二次エアの流入路を設け、上記分級室内に供給された粉体を高速度で旋回させて微粉と粗粉とに遠心分離し、微粉を分級板の中心部に接続された微粉排出筒から排出し、粗粉を分級板の外周囲に形成された粗粉排出口から排出させるようにした旋回気流式分級であることにより、2μm以下の超微粉を効率よく除去することが可能となる。このような旋回気流式分級機としては、日本ニューマチック工業製、マイクロスピンが挙げられる。
このようにして本発明のトナーの粒度分布が得られる。
【0044】
以上のようにして製造されたトナーにさらに先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以降、「部」は、特に断わらない限り質量%を表す。
【0046】
酸化チタン微粒子の製造例
原料にチタンテトライソプロポキシドを使用した。ケミカルポンプで原料をごく少量ずつ、チッ素ガスをキャリアガスとして使用して、200℃に加熱したペーパーライザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器内で温度320℃で加熱分解した後、急冷却を行い、生成物を捕集し、これを表1記載の温度と時間で焼成し、酸化チタン微粉体A、B、Cを得た。
次に、水中で均一分散させた後、疎水化剤メチルトリメトキシシランを酸化チタン微粉体100重量部に対して固型分で30重量部になるように粒子の合一生じないように分散させながら滴下混合し、疎水化処理をおこなった。
その後、ろ過、乾燥した後、120℃で2時間加熱し、その後ジェットミルにより解砕処理し、表1記載の疎水性酸化チタン微粒子A、B、Cを得た。
【0047】
【表1】

【0048】
ポリエステル樹脂(1)合成方法
ガス導入管、コンデンサー及び攪拌機を備え付けた7m容のバッチ式反応装置に、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3000Kg、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1500kg、テレフタル酸2000kg及び酸化ジブチル錫15kgを仕込んだ後、240℃に昇温して常圧で8時間反応させた。その後、3kPaまで減圧し所望の軟化点が得られるまでさらに反応後、反応装置内を常圧に戻し、加熱及び攪拌を停止し(縮重合反応終了)、反応装置のジャケットに冷水を流し、冷却後粉砕して樹脂(1)を得た。樹脂の軟化点は152℃であった。
【0049】
ポリエステル樹脂(2)合成方法
ガス導入管、コンデンサー及び攪拌機を備え付けた7m容のバッチ式反応装置に、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2415Kg、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン748kg、フマル酸650kg、無水トリメリト酸420kg及びオクチル酸錫25kgを仕込んだ後、240℃に昇温して常圧で8時間反応させた。その後、3kPaまで減圧し所望の軟化点が得られるまでさらに反応後、反応装置内を常圧に戻し、加熱及び攪拌を停止し(縮重合反応終了)、反応装置のジャケットに冷水を流し、冷却後粉砕して樹脂(2)を得た。樹脂の軟化点は172℃であった。
【0050】
ポリエステル樹脂(3)合成方法
ガス導入管、コンデンサー及び攪拌機を備え付けた7m容のバッチ式反応装置に、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2100Kg、フマル酸670kg、及びオクチル酸錫20kgを仕込んだ後、240℃に昇温して常圧で8時間反応させた。その後、3kPaまで減圧し所望の軟化点が得られるまでさらに反応後、反応装置内を常圧に戻し、加熱及び攪拌を停止し(縮重合反応終了)、反応装置のジャケットに冷水を流し、冷却後粉砕して樹脂(3)を得た。樹脂の軟化点は102℃であった。
【0051】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(1) 80重量部
カーボンブラック (三菱化学C#44) 10重量部
荷電制御剤(サリチル酸亜鉛、BONTRON E304:オリエント化学) 2重量部
低分子ポリプロピレン(ビスコール660P) 8重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練機にて混練ゾーン120℃にて混練し、機械式粉砕機で重量平均径14.8μm、モード値粒径14.1μmまで粉砕した後、流動層式対向気流式粉砕機で粉砕し、マイクロスピン分級機で微粉を除去した。
さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ(H−2150VP:クラリアント(株)製)1.8重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去して、重量平均粒径が5.2μm、個数平均径が4.7μm、3.17〜4.00μmの微粉量34個数%、4.00〜5.04μmの微粉量27個数%、12.7μm以上の粗大粒子が0.1重量%トナーを得た。D4/D1は、1.11であった。トナーのピークトップ分子量は8000、1/2流出温度は145℃であった。
【0052】
実施例2
ポリエステル樹脂(2) 12重量部
ポリエステル樹脂(3) 70重量部
カーボンブラック(キャボット C-60) 10重量部
荷電制御剤(サリチル酸ジルコニウム塩、TN-105保土ヶ谷化学) 2重量部
カルナバワックス(セラリカ野田) 6重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練にて混練ゾーン130℃にて混練し機械式粉砕機で、重量平均径を7.8μm、モード値粒径を7.1μmに粉砕した後、流動層式対向気流式粉砕機で粉砕し、ホイール型機械式分級機で2回分級し微粉を除去した。さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ(H−2000:クラリアント(株)製)1.5部、酸化チタン微粉体Aを0.8重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去して、重量平均粒径が3.5μm、個数平均径が2.8μm、3.17〜4.00μmの微粉量50個数%、4.00〜5.04μmの微粉量10個数%、12.7μm以上の粗大粒子が0.3重量%トナーを得た。
D4/D1は、1.25であった。トナーのピークトップ分子量は4000、1/2流出温度は155℃であった。
【0053】
実施例3
ポリエステル樹脂(2) 30重量部
ポリエステル樹脂(3) 50重量部
カーボンブラック (キャボット C-60) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR-H:保土ヶ谷化学) 5重量部
エステルワックス(WEP-5、日本油脂) 5重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練にて混練ゾーン150℃にて混練し機械式粉砕機で、重量平均径を8.9μm、モード値粒径を8.4μmに粉砕した後、流動層式対向気流式粉砕機で粉砕し、ホイール型機械式分級機で2回分級し微粉を除去した。さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ[OX50:クラリアント(株)製] 0.5部、酸化チタン微粉体Cを0.4重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去して、重量平均粒径が5.5μm、個数平均径が5.3μm、3.17〜4.00μmの微粉量20個数%、4.00〜5.04μmの微粉量30個数%、12.7μm以上の粗大粒子が0.9重量%トナーを得た。D4/D1は、1.04であった。トナーのピークトップ分子量は7000、1/2流出温度は165℃であった。
【0054】
実施例4
ポリエステル樹脂(1) 45重量部
ポリエステル樹脂(3) 40重量部
カーボンブラック(キャボット C-60) 10重量部
荷電制御剤(サリチル酸ジルコニウム塩、TN-105保土ヶ谷化学) 2重量部
カルナバワックス(セラリカ野田) 3重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練にて混練ゾーン90℃にて混練し、分級時に発生した微粉を混練時に添加し再練りを行ない、機械式粉砕機で、重量平均径を8.0μm、モード値粒径を7.8μmに粉砕した後、流動層式対向気流式粉砕機で粉砕し、マイクロスピン分級機で分級し微粉を除去した。さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.2重量部、酸化チタン微粉体Bを0.7重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去して、重量平均粒径が4.3μm、個数平均径が3.3μm、3.17〜4.00μmの微粉量27個数%、4.00〜5.04μmの微粉量26個数%、12.7μm以上の粗大粒子が0.4重量%トナーを得た。
D4/D1は、1.30であった。トナーのピークトップ分子量は3500、1/2流出温度は140℃であった。
【0055】
実施例5
ポリエステル樹脂(2) 75重量部
カーボンブラック(キャボット C-60) 10重量部
荷電制御剤(サリチル酸ジルコニウム塩、TN-105保土ヶ谷化学) 5重量部
カルナバワックス(東亜化成) 10重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練にて混練ゾーン150℃にて混練し、分級時に発生した微粉を混練時に添加し再練りを行ない、機械式粉砕機で、重量平均径を12.0μm、モード値粒径を10.8μmに粉砕した後、流動層式対向気流式粉砕機で粉砕し、マイクロスピン分級機で分級し微粉を除去した。さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ[H-2000:クラリアント(株)製]0.8重量部、酸化チタン微粉体Cを0.5重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去して、重量平均粒径が5.2μm、個数平均径が4.2μm、3.17〜4.00μmの微粉量32個数%、4.00〜5.04μmの微粉量24個数%、12.7μm以上の粗大粒子が0.2重量%トナーを得た。
D4/D1は、1.24であった。トナーのピークトップ分子量は8500、1/2流出温度は170℃であった。
【0056】
実施例1〜5に使用した画像形成装置
リサイクルトナーシステムを有するリコーimagio NEO 450のクリーニング装置を改造し、図1に示す画像形成装置に、上記で得たトナーを用いて評価を行った。画像形成動作は以下のとおりである。
感光体(1)は反時計回転方向に回転する。感光体(1)は、除電ランプ(9)により除電され、表面電位が0〜−150Vの基準電位に平均化される。次に、帯電ローラ(2)により帯電され、表面電位が−1000V前後となる。次に、露光装置(3)で露光され、光が照射された部分(画像部)は表面電位が0〜−200Vとなる。現像装置(4)により、スリーブ上のトナーが上記画像部分に付着する。トナー像が作られた感光体(1)は回転移動し、図示しない給紙部より、記録紙が、記録紙先端部と画像先端部とが転写ベルト(6)で一致するようなタイミングで搬送され、転写ベルト(6)で感光体(1)表面のトナー像を転写される。その後、記録紙は(図示しない)、定着手段へ搬送され、熱と圧力によりトナーが溶融定着されて、機外に排出される。感光体(1)上に残った未転写トナー及び付着物質は、クリーニング装置(8)の第1クリーニングブレード(11)及び第2クリーニングブレード(12)によって掻き落とされ、その後、除電ランプ(9)により残留電荷が除電されて、トナー及び付着物質のない初期状態となり、次の画像形成工程に移る。
12%高画像面積チャートを使用し500000枚出力後の画像を評価した。
【0057】
(1)画像濃度は、X−Rite反射濃度計で複写画像の黒ベタ部の反射濃度を測定した。
(2)カブリは、非画像部のトナーによる汚れを観察する。汚れがない良好な場合を○、汚れはあるが使用上問題ない場合を△、使用上問題がある場合を×と判定した。
(3)クリーニング性は画像に縦筋の発生有無を確認し、すじなしを○、若干発生はあるが使用上問題ない場合を△、使用上問題がある場合を×と判定した。
文字シャープ性…約2mm角の「電」の文字を約30倍に拡大し、図5の評価基準に従って判定した。ランク2,4はそれぞれランク1と3,3と5の中間レベルとする。
【0058】
比較例1〜3に使用の混練品処方
ポリエステル樹脂(2) 30重量部
ポリエステル樹脂(3) 50重量部
カーボンブラック (キャボット C-60) 10重量部
荷電制御剤(スピロンブラックTR−H:保土ヶ谷化学) 5重量部
エステルワックス(WEP-5、日本油脂) 5重量部
以上の処方で東芝機械社製のTEM混練にて混練ゾーン140℃にて混練した。
【0059】
比較例1〜3
機械式粉砕機で粉砕し、マイクロスピン分級機で分級し微粉を除去した。さらに分級したトナー母体粒子に疎水性シリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.5重量部、酸化チタン微粉体Cを0.5重量部を加え、ミキサーで混合し、超音波篩を用いて凝集体を除去した。比較例1〜3のトナー物性を表2に記載する。
【0060】
【表2】

【0061】
比較例1〜3はリサイクルトナーシステムを有するリコーimagio NEO 450にて評価した。リコーimagio NEO 450は第2クリーニングブレード(12)を有さない。
【0062】
(1)定着性の評価方法
リコーimagio420にてヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得る。
定着後の画像(トナー付着量:0.85±0.05mg/cm)にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力(2Kg)を掛けた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とする。(画像濃度=テープ付着前)
【0063】
【数1】

評価結果を表3に示す。
【0064】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第2クリーニングブレードの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図4】第2クリーニングブレードの揺動機構を示す図である。
【図5】本発明の実施例で用いた文字シャープ性のランクを表した図である。
【符号の説明】
【0066】
1 像担持体(感光体)
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
6 転写ベルト
8 クリーニング装置
9 除電ランプ
10 クリーニング除電手段
11 第1クリーニングブレード
12 第2クリーニングブレード
12a ブレード母体層
12b 研磨剤粒子含有層
13 トナー回収羽根
14 回収コイル
15 揺動カム付きギヤ
15a カム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置であって、該クリーニング装置は、該像担持体回転方向上流側から順に、第1クリーニングブレード、第2クリーニングブレードの2つのブレードを備え、該第2クリーニングブレードは、ブレード母体層と研磨剤粒子含有層の2層構造を有する研磨用ブレードであるクリーニング装置であり、用いられたトナーが、コールター法で測定した重量平均径(D4)が3.5〜5.5μm、3.17〜4.00μmの粒子の割合が20〜50個数%、4.00〜5.04μmの粒子の割合が10〜30個数%、12.7μm以上の粗大粒子の割合が0〜1.0重量%で、重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.04〜1.30であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記トナーは、結着樹脂がポリエステル樹脂を含有し、該トナーのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したピークトップ分子量Mpが4000〜8000の範囲にあることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
高架式フローテスターにより測定される前記トナーの1/2流出温度が145〜165℃であることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記トナーは、無機スズ化合物触媒によるポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記トナーは、疎水性酸化チタン微粒子を少なくとも有する静電荷像現像用トナーであり、該疎水性酸化チタン微粒子は、X線回折において、2θ=20.0〜40.0degの範囲における最大強度Iaと最小強度Ibの強度比(Ia/Ib)が、1.0<Ia/Ib<3.0であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
像担持体と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されたプロセスカートリッジであって、該クリーニング手段として、請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
潜像を担持する像担持体と、該像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、潜像を書き込む露光手段と、該潜像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、該潜像担持体表面の可視像を記録紙に転写する転写手段と、転写後の該像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段とを備え、トナー像が転写体上に転写された後の被帯電体表面をクリーニングして被帯電体表面上のトナーを回収し、回収したトナーを該現像手段に供給して現像工程に使用するリサイクルシステムを有する画像形成装置であって、該クリーニング手段として、請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−70523(P2008−70523A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247913(P2006−247913)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】