クリーニング装置及び画像形成装置
【課題】ブラシにトナーが滞留することを抑制し、且つ、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができるクリーニング装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置70は、2次転写ベルト68の表面に接触する上流クリーニングブラシ71、下流クリーニングブラシ72及びクリーニングローラ73と、第1〜第3のバイアス印加部75,76,77とを備える。第1のバイアス印加部75は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を上流クリーニングブラシ71に印加する。第2のバイアス印加部76は、正規トナーと逆極性であって、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を下流クリーニングブラシ72に印加する。第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73に正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する。
【解決手段】クリーニング装置70は、2次転写ベルト68の表面に接触する上流クリーニングブラシ71、下流クリーニングブラシ72及びクリーニングローラ73と、第1〜第3のバイアス印加部75,76,77とを備える。第1のバイアス印加部75は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を上流クリーニングブラシ71に印加する。第2のバイアス印加部76は、正規トナーと逆極性であって、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を下流クリーニングブラシ72に印加する。第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73に正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に付着したトナーを除去するクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置には、トナーが付着する移動体が用いられる。このような移動体としては、例えば、トナー像が形成される感光体、感光体に形成されたトナー像が転写される中間転写体、転写位置で中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写する転写部材などがある。
【0003】
なお、転写部材には、トナー像は形成されない。しかし、用紙の両面に画像を形成する場合は、先に画像が形成された用紙の一面(表面)が転写部材に接触するため、用紙の表面のトナーが転写部材に付着することがある。
【0004】
トナー像を転写した後の感光体上や中間転写体上に残留したトナーや、転写部材に付着したトナーは、クリーニング装置によって除去される。このようなクリーニング装置は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されたクリーニング装置は、移動体である像担持体の表面に当接する複数のブラシロールを有しており、少なくとも2つのブラシロールに互いに異なる極性のバイアス電圧をそれぞれ印加する。そして、トナーの正規の帯電極性と逆極性のバイアス電圧が印加されるブラシロールの表面速度を、トナーの正規の帯電極性と同極性のバイアス電圧が印加されるブラシロールの表面速度よりも速く設定している。
【0006】
特許文献2に開示されたクリーニング装置は、移動体である像保持部材の表面に接触する第1ブラシ部材、第2ブラシ部材及び第3ブラシ部材を備えている。第2ブラシ部材は、第1ブラシ部材よりも像保持部材の移動方向下流側に配置され、第3ブラシ部材は、第2ブラシ部材よりも像保持部材の移動方向下流側に配置されている。そして、第1ブラシ部材と第2ブラシ部材とに異なる極性のバイアス電圧を印加させると共に、第3ブラシ部材の機械的掻き取り力を、第1ブラシ部材及び第2ブラシ部材の機械的掻き取り力よりも強くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72398号公報
【特許文献2】特開2009−36957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたクリーニング装置では、移動体の移動方向の最上流に配置されたブラシが、移動体に残留したトナーを初めに回収する。そのため、最上流に配置されたブラシに、そのブラシのトナー回収機能を上回るトナーが進入する虞がある。そして、最上流に配置されたブラシにトナー回収機能を上回るトナーが進入すると、回収されずにブラシ内に滞留したトナーが像保持部材に再付着したり、ブラシの抵抗を上昇させてしまったりするという問題が発生する。
【0009】
また、像保持部材の多量のトナーを除去するには、ブラシに印加するバイアス電圧を高くする必要があるため、放電が誘発され、像保持部材やブラシに放電生成物が付着してしまうことがある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、ブラシにトナーが滞留することを抑制し、且つ、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができるクリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、上流クリーニングブラシと、下流クリーニングブラシと、クリーニングローラと、第1のバイアス印加部と、第2のバイアス印加部と、第3のバイアス印加部とを備える。
上流クリーニングブラシは、トナーが付着する移動体の表面に接触している。
下流クリーニングブラシは、上流クリーニングブラシよりも移動体の移動方向下流側に配置され、移動体の表面に接触している。
クリーニングローラは、下流クリーニングブラシよりも移動体の移動方向下流側に配置され、移動体の表面に接触している。
第1のバイアス印加部は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を上流クリーニングブラシに印加する。
第2のバイアス印加部は、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を下流クリーニングブラシに印加する。
第3のバイアス印加部は、クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、表面にトナーが付着する移動体と、移動体に付着したトナーを除去する上述のクリーニング装置とを備える。
【0013】
本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、上流クリーニングブラシと下流クリーニングブラシにより、移動体の表面に付着している正規の極性に帯電したトナーを除去する。そのため、移動体の表面に付着した多量のトナーを除去する場合にも、1度に多量のトナーを除去しなくてもよいので、各クリーニングブラシに印加するバイアス電圧を低く抑えることができる。これにより、放電の誘発が抑制され、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができる。
【0014】
また、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値が、上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。そのため、下流クリーニングブラシにおいても所定量のトナーを除去するため、上流クリーニングブラシにトナー除去に係る負荷が偏らないようにすることができる。その結果、上流クリーニングブラシにトナー回収機能を上回るトナーが進入しないようにすることができ、上流クリーニングブラシにトナーが滞留することを抑制することができる。
【0015】
さらに、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加するため、正規の極性と逆極性に帯電したトナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤を、クリーニングローラによって除去することができる。その結果、トナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤が移動体の表面に皮膜状に固着するフィルミングの発生を防止或いは抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクリーニング装置及び画像形成装置によれば、ブラシにトナーが滞留することを抑制し、且つ、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置の第1の実施形態に係る2次転写部とクリーニング装置を示す説明図である。
【図3】本発明の画像形成装置の第1の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の実施形態の要部を示す概略構成図である。
【図6】本発明の画像形成装置の第2の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図7】本発明の画像形成装置の第2の実施形態に係るバイアス電圧設定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の画像形成装置の第3の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の画像形成装置の第3の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図10】本発明の画像形成装置の第4の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図11】クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧と電流の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、クリーニング装置及び画像形成装置を実施するための形態について、図1〜図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
また、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1の実施の形態
2.画像形成装置の第2の実施の形態
3.画像形成装置の第3の実施の形態
4.画像形成装置の第4の実施の形態
【0019】
1.画像形成装置の第1の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
まず、画像形成装置の第1の実施の形態の構成例について、図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部60と、クリーニング装置70と、定着部80と、制御基板100とを有する。
【0021】
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Dを原稿排出トレイ16に排出する。
【0022】
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプLによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
【0023】
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板100のRAM103(図4参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
【0024】
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
【0025】
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
【0026】
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0027】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
【0028】
現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
クリーニング部45は、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0029】
感光体41上に付着したトナーは、中間転写体の一例を示す中間転写ベルト50に転写される。中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、複数のローラに掛け渡されている。この中間転写ベルト50は、不図示の駆動モータで感光体41の回転(移動)方向とは逆方向に回転駆動する。
【0030】
中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印加させることで、感光体41上に付着したトナーを中間転写ベルト50に転写する。
【0031】
そして、中間転写ベルト50が回転駆動することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
【0032】
また、中間転写ベルト50には、ベルトクリーニング装置53が対向している。このベルトクリーニング装置53は、用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト50の表面を清掃する。
【0033】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流には、2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50に接触させて、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する。2次転写部60には、クリーニング装置70が対向している。これら2次転写部60及びクリーニング装置70については、後で詳しく説明する。
【0034】
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されおり、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0035】
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81のローラ部が温められる。そして、定着上ローラ81のローラ部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
【0036】
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81のローラ部の熱による加圧が行われる。
【0037】
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方に案内する。
【0038】
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転された用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
【0039】
一対の排紙ローラ25の下流側に、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
【0040】
[2次転写部]
次に、2次転写部60について、図2を参照して説明する。
図2は、2次転写部60とクリーニング装置70を示す説明図である。
【0041】
図2に示すように、2次転写部60は、2次転写ローラ61と、駆動ローラ62と、従動ローラ64,65,66,67と、2次転写ベルト68を備えている。2次転写ローラ61は、2次転写ベルト68及び中間転写ベルト50を介して2次転写対向ローラ52に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト50が接触するニップ部は、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置とされる。
【0042】
駆動ローラ62は、モータなどの回転駆動部(不図示)により回転される。従動ローラ65,66,67は、クリーニング装置70の後述する上流クリーニングブラシ71、下流クリーニングブラシ72及びクリーニングローラ73に、2次転写ベルト68を介して対向する。これら従動ローラ65,66,67は、グランド(GND)に接続されている(図3参照)。
【0043】
2次転写ベルト68は、2次転写ローラ61、駆動ローラ62及び従動ローラ64〜67に掛け渡されており、用紙搬送方向に対応した方向に回転可能に構成されている。この2次転写ベルト68は、駆動ローラ62が駆動することにより回転して、用紙Sを転写位置に搬送する。
【0044】
2次転写ベルト68は、本発明に係るトナーが付着する移動体の一例を示すものである。この2次転写ベルト68には、トナー像は形成されない。しかし、例えば、用紙Sの両面に画像を形成する場合は、先に画像が形成された用紙Sの一面(表面)が2次転写ベルト68に接触するため、用紙Sの一面上のトナーが2次転写ベルト68に付着することがある。この2次転写ベルト68に付着したトナーTは、クリーニング装置70によって除去される。
【0045】
[クリーニング装置]
次に、クリーニング装置70について、図2及び図3を参照して説明する。
図3は、クリーニング装置70を示す概略構成図である。
【0046】
クリーニング装置70は、上流クリーニングブラシ71と、下流クリーニングブラシ72と、弾性を有するクリーニングローラ73と、第1のバイアス印加部75と、第2のバイアス印加部76と、第3のバイアス印加部77を備えている。
【0047】
上流クリーニングブラシ71は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ65に対向している。この上流クリーニングブラシ71は、導電性ブラシであり、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーなどの残留物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0048】
下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71よりも2次転写ベルト68の移動方向下流側に配置されている。つまり、下流クリーニングブラシ72は、2次転写ベルト68と中間転写ベルト50とが接触するニップ部を最上流として、上流クリーニングブラシ71よりも2次転写ベルト68の移動(回転)方向下流側に配置されている。
【0049】
下流クリーニングブラシ72は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ66に対向している。また、下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71と同様に、導電性ブラシであり、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーなどの残留物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0050】
上流クリーニングブラシ71及び下流クリーニングブラシ72の材料としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂などの樹脂を適用することができる。また、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂などの樹脂を2つ以上組み合わせたもの適用することもできる。
【0051】
クリーニングローラ73は、下流クリーニングブラシ72よりも2次転写ベルト68の移動方向下流側に配置されている。つまり、クリーニングローラ73は、2次転写ベルト68と中間転写ベルト50とが接触するニップ部を最上流として、下流クリーニングブラシ72よりも2次転写ベルト68の移動(回転)方向下流側に配置されている。
【0052】
クリーニングローラ73は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ67に対向している。このクリーニングローラは、弾性部材により形成された外周部73aを有しており、この外周部73aが2次転写ベルト68に接触している。
クリーニングローラ73の外周部73aを形成する弾性部材の材料としては、例えば、発泡ウレタン、ポリウレタン、スポンジ部材、ゴム部材などを挙げることができる。
【0053】
クリーニングローラ73は、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーや、トナーに添加されたワックス及び滑剤などの付着物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0054】
図3に示すように、第1のバイアス印加部75は、上流クリーニングブラシ71と接触して回転するローラ状に形成されている。この第1のバイアス印加部75は、第1電源部91に電気的に接続されている。そして、第1のバイアス印加部75は、第1電源部91からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧を上流クリーニングブラシ71に印加する。
【0055】
第1電源部91は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧(+HV)を出力する。第1電源部91から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第1のバイアス印加部75を介して上流クリーニングブラシ71に印加される。これにより、上流クリーニングブラシ71は、2次転写ベルト68に残留している正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、電気的に吸引することができる。
【0056】
また、第1のバイアス印加部75は、上流クリーニングブラシ71に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。第1のバイアス印加部75に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Aによって第1のバイアス印加部75から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0057】
第2のバイアス印加部76は、下流クリーニングブラシ72と接触して回転するローラ状に形成されている。この第2のバイアス印加部76は、第2電源部92に電気的に接続されている。そして、第2のバイアス印加部76は、第2電源部92からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧を下流クリーニングブラシ72に印加する。
【0058】
第2電源部92は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧(+HV)を出力する。第2電源部92から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第2のバイアス印加部76を介して下流クリーニングブラシ72に印加される。これにより、下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71を通過後の2次転写ベルト68に残留している正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、電気的に吸引して回収することができる。
【0059】
また、第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、第1電源部91が出力するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。つまり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値は、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。したがって、上流クリーニングブラシ71の電気的な吸引力は、下流クリーニングブラシ72の電気的な吸引力よりも小さくなる、又は下流クリーニングブラシ72の電気的な吸引力と略等しくなる。
【0060】
このように、本実施の形態では、正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72で分けて除去する。そのため、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を低く設定することができる。そして、上流クリーニングブラシ71に、そのブラシのトナー回収機能を上回るトナーが進入することを回避することができる。
【0061】
なお、第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、各ブラシ71,72からの放電を抑制することを考慮すると、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値の1〜2倍程度が好ましい。なお、バイアス電圧の設定は、トナーが付着する移動体(本例の2次転写ベルト68)や回収ローラ(本例のバイアス印加部75〜77)などを含めたクリーニングシステム全体の抵抗値のバランスで決定される。
【0062】
また、第2のバイアス印加部76は、下流クリーニングブラシ72に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。第2のバイアス印加部76に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Bによって第2のバイアス印加部76から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0063】
第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73と接触して回転するローラ状に形成されている。この第3のバイアス印加部77は、第3電源部93に電気的に接続されている。そして、第3電源部93からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧をクリーニングローラ73に印加する。
【0064】
第3電源部93は、正規トナーと同極性のバイアス電圧(−HV)を出力する。第3電源部93から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第3のバイアス印加部77を介してクリーニングローラ73に印加される。これにより、クリーニングローラ73は、下流クリーニングブラシ72を通過後の2次転写ベルト68に残留している正規トナーと逆極性に帯電されたトナーなどの残留物を、電気的に吸引して回収することができる。
【0065】
また、第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。クリーニングローラ73から第3のバイアス印加部77に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Cによって第3のバイアス印加部77から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0066】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、図4を参照して説明する。
図4は、本例の画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
【0067】
図4に示すように、画像形成装置1は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102とを有する。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMが用いる。
【0068】
また、画像形成装置1は、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)104と、操作表示部105を有する。
CPU101、ROM102及びRAM103は、上述の制御基板100(図1参照)に搭載されている。
【0069】
CPU101は、制御部の一例であり、装置全体を制御する。このCPU101は、ROM102、RAM103、HDD104及び操作表示部105にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、CPU101は、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、第1電源部91、第2電源部92及び第3電源部93にシステムバス107を介して接続されている。
【0070】
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。
【0071】
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC(パーソナルコンピュータ)120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0072】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0073】
例えば、画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Bkの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
【0074】
画像形成部40は、画像処理部106によって画像処理された画像データを受け取り、
用紙S上に画像を形成する。
【0075】
本実施の形態の画像形成装置1では、クリーニング装置70の上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72により、2次転写ベルト68の外周面(表面)に付着している正規の極性に帯電したトナーを2回に分けて除去する。したがって、2次転写ベルト68の外周面に付着した多量のトナーを、1度に除去しなくてもよいので、各クリーニングブラシ71,72に印加するバイアス電圧を低く抑えることができる。これにより、放電の誘発が抑制され、放電生成物によるクリーニングブラシ71,72へのストレスを軽減することができる。
【0076】
また、画像形成装置1では、クリーニング装置70の下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値が、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。そのため、上流クリーニングブラシ71にトナー除去に係る負荷が偏らないようにすることができる。その結果、上流クリーニングブラシ71にトナー回収機能を上回るトナーが進入しないようにすることができ、上流クリーニングブラシ71にトナーが滞留することを抑制することができる。
【0077】
さらに、画像形成装置1では、クリーニングローラ73に正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加するため、正規の極性と逆極性に帯電したトナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤を、クリーニングローラ73によって除去することができる。その結果、トナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤が2次転写ベルト68の表面に皮膜状に固着するフィルミングの発生を防止或いは抑制することができる。
【0078】
2.画像形成装置の第2の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第2の実施の形態の構成例について、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、画像形成装置の第2の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。図6は、画像形成装置の第2の実施形態における制御系を示すブロック図である。
【0079】
第2の実施の形態の画像形成装置151(図6参照)は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図4参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置151が画像形成装置1と異なる点は、クリーニング装置170がトナー帯電量検知部171を備える点である。したがって、ここでは、クリーニング装置170のトナー帯電量検知部171について説明し、画像形成装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0080】
クリーニング装置170のトナー帯電量検知部171は、トナーの帯電量分布を検知する検知部の一具体例を示すものである。このトナー帯電量検知部171としては、例えば、トナー粒子を電界により偏向させ、一定時間後の偏向量からトナー粒子の帯電量分布を測定する帯電量分布測定装置を適用することができる。
【0081】
図5に示すように、トナー帯電量検知部171は、下流クリーニングブラシ72とクリーニングローラ73の間に配置されている。このトナー帯電量検知部は、下流クリーニングブラシ72を通過した2次転写ベルト68上のトナーの帯電量の分布を検知する。
【0082】
図6に示すように、トナー帯電量検知部171は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。したがって、トナー帯電量検知部171による検知結果は、システムバス107を介してCPU101に供給される。CPU101は、トナー帯電量検知部171による検知結果に基づいて、第1電源部91及び第2電源部92における出力値を設定する。この出力値の初期設定処理については、後述の「バイアス電圧設定処理」において、図7を参照して説明する。
【0083】
[トナーの除去性能の評価]
ここで、バイアス電圧値を変化させた場合の、2次転写ベルト68上において正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率と、トナーの除去性能の関係を調べた実験結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1において、「1本目」とは、上流クリーニングブラシ71を示し、「2本目」とは、下流クリーニングブラシ72を示す。また、「3本目」とは、クリーニングローラ73を示す。正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は、下流クリーニングブラシ72を通過した2次転写ベルト68上のトナーの帯電量分布を、トナー帯電量検知部171によって検出し、その検出結果から算出した。
【0086】
表1に示す「クリーニング性」とは、各クリーニングブラシ71,72による2次転写ベルト68上のトナーの除去性能と定義する。この「クリーニング性」の評価は、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留していない場合に「○」とした。また、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留しているが、実用する上では問題ない場合に「△」とし、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留していて、実用する上で問題がある場合に「×」とした。
【0087】
表1に示す「再付着性」とは、各クリーニングブラシ71,72によって除去したトナーの各バイアス印加部(回収ローラ)75,76への移行性能と定義する。この「再付着性」の評価は、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーの大半が各バイアス印加部75,76へ移行している場合に「○」とした。また、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーが残留しているが、実用する上では問題ない場合に「△」とし、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーが残留していて、実用する上で問題がある場合に「×」とした。
【0088】
表1に示す「総合評価」とは、2次転写ベルト68上において、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」を総合した評価と定義する。この「総合評価」では、クリーニングローラ(3本目)73が有る場合と無い場合を評価した。そして、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」が良好なものを「○」とし、実用する上では問題ない場合に「△」と評価した。また、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」の少なくとも1つが実用する上で問題がある場合に「×」と評価した。
【0089】
なお、クリーニングローラ(3本目)73が無い場合は、フィルミングが発生してしまうため、「フィルミング性」の評価を実用する上で問題があるとした。一方、クリーニングローラ(3本目)73が有る場合は、フィルミングが発生しないため、「フィルミング性」の評価を良好とした。
【0090】
表1に示すように、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧が、400V又は600Vであり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧が、400V、600V又は800Vである場合に、「総合評価」が良好又は実用する上では問題ないという評価であった。
【0091】
また、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下であれば、「再付着性」が良好又は実用する上で問題ないという評価であった。この結果、複数のクリーニングブラシを通過後のクリーニング対象である移動体上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下であれば、各クリーニングブラシから回収ローラへのトナーの移行性が最適となることが分かった。
【0092】
「再付着性」が悪い場合は、各クリーニングブラシからクリーニング対象の移動体上へ弱帯電のトナーが転移したり、各クリーニングブラシ内にトナーが滞留したりする。そして、各クリーニングブラシ内にトナーが滞留した場合は、各クリーニングブラシが劣化し易くなり、各クリーニングブラシの耐久性が低下してしまう。したがって、各クリーニングブラシから回収ローラへのトナーの移行性を最適にすることは、重要である。
【0093】
そこで、本実施の形態では、複数のクリーニングブラシを通過後のクリーニング対象である移動体上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.0%以下になるようにバイアス電圧を設定する。なお、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下になるようにバイアス電圧を設定してもよい。
【0094】
[バイアス電圧設定処理]
次に、バイアス電圧の設定処理について、図7を参照して説明する。
図7は、本実施の形態のバイアス電圧設定処理を示すフローチャートである。
【0095】
バイアス電圧の設定処理を行う前は、バイアス電圧の出力値として、予め定められた初期値が入力さている。そして、バイアス電圧の設定処理では、この初期値が適正かどうかを判断し、適正ではない場合に、バイアス電圧の設定値を変更する。このバイアス電圧設定処理は、例えば、画像形成装置151を出荷する前や、クリーニングブラシ71,72、バイアス印加部75,76又は2次転写ベルト68を交換したときに実行される。
【0096】
バイアス電圧設定処理が開始されると、まず、CPU101は、トナー帯電量検知部171の検出結果を取得する(ステップS1)。トナー帯電量検知部171は、2次転写ベルト68上における正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの帯電量分布を検知する。
【0097】
次に、CPU101は、トナー帯電量検知部171の検出結果から、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率を算出する(ステップS2)。この処理では、上流クリーニングブラシ71を通過する前の2次転写ベルト68上における正規のトナーと逆極性に帯電したトナーを予め検出しておき、その検出結果とトナー帯電量検知部171の検出結果から正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率を算出する。したがって、本例では、2次転写ローラ61によって形成されるニップ部(2次転写部)と上流クリーニングブラシ71との間に、2次転写ベルト68上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの帯電量分布を検知するトナー帯電量分布検知部を配置するとよい。
【0098】
続いて、CPU101は、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下であるか否かを判別する(ステップS3)。正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下ではないと判別したとき、CPU101は、第1電源部91と第2電源部92の出力値を所定の下げ幅(例えば、50V)でさげる(ステップS4)。その後、CPU101は、処理をステップ1に移行する。
【0099】
ステップS3の処理で正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下であると判別したとき、CPU101は、現在の第1電源部91と第2電源部92の出力値をバイアス電圧の設定値にする(ステップS5)。その後、CPU101は、バイアス電圧設定処理を終了する。
【0100】
このバイアス電圧設定処理により、各クリーニングブラシ71,72に印加されるバイアス電圧は、各クリーニングブラシ71,72の電気的吸引力を確保できて、且つ、各バイアス印加部(回収ローラ)75,76へのトナーの移行性を最適にする値に設定される。その結果、各クリーニングブラシ71,72の耐久性を向上させることができる。
【0101】
なお、上述したバイアス電圧設定処理のステップS4の処理では、第1電源部91と第2電源部92における出力値の下げ幅を同じにした。しかし、本発明に係る第1電源部と第2電顕部における出力値の下げ幅は異なっていてもよい。
【0102】
3.画像形成装置の第3の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第3の実施の形態の構成例について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、画像形成装置の第3の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。図9は、画像形成装置の第3の実施形態における制御系を示すブロック図である。
【0103】
第3の実施の形態の画像形成装置201(図9参照)は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図4参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置201が画像形成装置1と異なる点は、クリーニング装置270が電荷付与部271を備える点である。したがって、ここでは、クリーニング装置270の電荷付与部271について説明し、画像形成装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0104】
図8に示すように、クリーニング装置270の電荷付与部271は、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72との間に配置されている。この電荷付与部271は、上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物に対して、正規トナーと同極性の電荷を付与する。この電荷付与部271としては、ローラ、ブラシ、チャージャを挙げることができる。
【0105】
図9に示すように、電荷付与部271は、第4電源部272に電気的に接続されている。そして、第4電源部272は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。この第4電源部は、CPU101によって駆動制御され、正規トナーと同極性のバイアス電圧(−HV)を出力する。これにより、電荷付与部271は、2次転写ベルト68に残留している正規のトナーと同極性に帯電したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与することができる。
【0106】
上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物は、上流クリーニングブラシ71を通過した際に多少放電する。そのため、上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上における正規のトナーと同極性に帯電したトナーなどの残留物の帯電量が少なくなる。
【0107】
そこで、下流クリーニングブラシ72を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、電荷付与部271が正規トナーと同極性の電荷を付与する。これにより、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧より高くしなくても、下流クリーニングブラシ72によって2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物を確実に除去することができる。
【0108】
また、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を同等にすることができるため、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72にかかる負荷を均一化することができる。その結果、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72の耐久性を向上させることができる。
【0109】
本実施の形態では、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72との間に、電荷付与部271を配置して、下流クリーニングブラシ72を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与した。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、上流クリーニングブラシ71を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与する上流電荷付与部を追加した構成であってもよい。これにより、上流クリーニングブラシ71においても、2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物の除去を安定して行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態のクリーニング装置270は、第1の実施の形態のクリーニング装置70(図3参照)に、電荷付与部271を付加する構成を例に挙げて説明した。しかし、本発明のクリーニング装置としては、第2の実施の形態のクリーニング装置170に、電荷付与部271を付加した構成であってもよい。また、本発明の画像形成装置としては、第2の実施の形態の画像形成装置151に、電荷付与部271と第4電源部272とを付加した構成であってもよい。
【0111】
4.画像形成装置の第4の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第4の実施の形態の構成例について、図10を参照して説明する。
図10は、画像形成装置の第4の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。
【0112】
第4の実施の形態の画像形成装置は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図1参照)と同様の構成を有している。第4の実施の形態の画像形成装置が画像形成装置1と異なる点は、第1電源部91と第2電源部92の制御方法である。したがって、ここでは、第1電源部91と第2電源部92の制御方法について説明する。
【0113】
第4の実施の形態の画像形成装置におけるクリーニング装置370の第1電源部91及び第2電源部92は、CPU101により定電圧制御されている。第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、第1電源部91が出力するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。つまり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値は、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。
【0114】
ここで、クリーニングブラシ71,72に印加するバイアスの電圧と電流の関係について、図11を参照して説明する。
図11は、クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧と電流の関係を示すグラフである。
【0115】
図11に示す曲線Nは、新品のクリーニングブラシにバイアスを印加したときの電圧と電流の関係を示し、曲線Oは、所定の期間使用されたクリーニングブラシにバイアスを印加したときの電圧と電流の関係を示している。
【0116】
図11に示すように、所定の期間使用されたクリーニングブラシ(曲線O)は、劣化することで新品のクリーニングブラシ(曲線N)よりも抵抗が大きくなる。したがって、クリーニングブラシに印加するバイアスの電流を一定に制御する定電流制御を行うと、クリーニングブラシを使用していくにつれて、クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧が大きくなる。
【0117】
トナーは、電圧(電位)に感度があるため、クリーニングブラシによるトナーの電気的吸引力は、電圧が大きく寄与する。そのため、クリーニングブラシに印加するバイアスを定電流制御すると、使用している間にバイアスの電圧が大きくなり、クリーニングブラシによるトナーの電気的吸引力が大きくなる。これにより、例えば、上流のクリーニングブラシによって除去されるトナーの量が多くなり、上流クリーニングブラシにトナーが滞留し易くなる。
【0118】
したがって、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアスは、電圧を一定に制御する定電圧制御とすることが好ましい。これにより、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアスの電圧が変動することを抑制することができる。その結果、2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物の除去を安定して行うことができる。
【0119】
本実施の形態のクリーニング装置370は、第1の実施の形態のクリーニング装置70(図3参照)と同じ構成を採用した。しかし、第2の実施の形態のクリーニング装置170又は第3の実施の形態のクリーニング装置270の第1電源部91と第2電源部92の出力を定電圧制御してもよい。また、第2の実施の形態のクリーニング装置170に、第3の実施の形態の電荷付与部271を付加した構成のクリーニング装置の第1電源部91と第2電源部92の出力を定電圧制御してもよい。
【0120】
以上、クリーニング装置及び画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0121】
例えば、上述の第1〜第4の実施の形態では、2つのクリーニングブラシ71,72を設ける構成とした。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、3つ以上のクリーニングブラシを設ける構成であってもよい。
その場合は、全てのクリーニングブラシに、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する。そして、隣り合うクリーニングブラシのうちの下流側に配置されるクリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値を、上流側に配置されるクリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上にする。
【0122】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、1つのクリーニングローラ73を設ける構成とした。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、2つ以上のクリーニングローラを設ける構成であってもよい。
【0123】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、トナーなどの残留物が付着する移動体を2次転写ベルト68とした。しかし、本発明に係るトナーなどの残留物が付着する移動体としては、例えば、感光体や中間転写ベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1,151,201…画像形成装置、 10…原稿搬送部、 20…用紙収納部、 30…画像読取部、 40…画像形成部、 41…感光体、 42…帯電部、 43…露光部、 44…現像部、 45…クリーニング部、 50…中間転写ベルト、 51…1次転写部、 52…2次転写対向ローラ、 53…ベルトクリーニング装置、 60…2次転写部、 61…2次転写ローラ、 62…駆動ローラ、 64,65,66,67…従動ローラ、 68…2次転写ベルト、 70,170,270,370…クリーニング装置、 71…上流クリーニングブラシ、 72…下流クリーニングブラシ、 73…クリーニングローラ、 75…第1のバイアス印加部、 76…第2のバイアス印加部、 77…第3のバイアス印加部、 79A,79B,79C…ブレード、 80…定着部、 81…定着上ローラ、 82…定着下ローラ、 91…第1電源部、 92…第2電源部、 93…第3電源部、 100…制御基板、 101…CPU、 102…ROM、 103…RAM、 104…ハードディスクドライブ(HDD)、 105…操作表示部、 107…システムバス、 106…画像処理部、 171…トナー帯電量検知部、 271…電荷付与部、 272…第4電源部
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に付着したトナーを除去するクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置には、トナーが付着する移動体が用いられる。このような移動体としては、例えば、トナー像が形成される感光体、感光体に形成されたトナー像が転写される中間転写体、転写位置で中間転写体に転写されたトナー像を用紙に転写する転写部材などがある。
【0003】
なお、転写部材には、トナー像は形成されない。しかし、用紙の両面に画像を形成する場合は、先に画像が形成された用紙の一面(表面)が転写部材に接触するため、用紙の表面のトナーが転写部材に付着することがある。
【0004】
トナー像を転写した後の感光体上や中間転写体上に残留したトナーや、転写部材に付着したトナーは、クリーニング装置によって除去される。このようなクリーニング装置は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されたクリーニング装置は、移動体である像担持体の表面に当接する複数のブラシロールを有しており、少なくとも2つのブラシロールに互いに異なる極性のバイアス電圧をそれぞれ印加する。そして、トナーの正規の帯電極性と逆極性のバイアス電圧が印加されるブラシロールの表面速度を、トナーの正規の帯電極性と同極性のバイアス電圧が印加されるブラシロールの表面速度よりも速く設定している。
【0006】
特許文献2に開示されたクリーニング装置は、移動体である像保持部材の表面に接触する第1ブラシ部材、第2ブラシ部材及び第3ブラシ部材を備えている。第2ブラシ部材は、第1ブラシ部材よりも像保持部材の移動方向下流側に配置され、第3ブラシ部材は、第2ブラシ部材よりも像保持部材の移動方向下流側に配置されている。そして、第1ブラシ部材と第2ブラシ部材とに異なる極性のバイアス電圧を印加させると共に、第3ブラシ部材の機械的掻き取り力を、第1ブラシ部材及び第2ブラシ部材の機械的掻き取り力よりも強くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72398号公報
【特許文献2】特開2009−36957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されたクリーニング装置では、移動体の移動方向の最上流に配置されたブラシが、移動体に残留したトナーを初めに回収する。そのため、最上流に配置されたブラシに、そのブラシのトナー回収機能を上回るトナーが進入する虞がある。そして、最上流に配置されたブラシにトナー回収機能を上回るトナーが進入すると、回収されずにブラシ内に滞留したトナーが像保持部材に再付着したり、ブラシの抵抗を上昇させてしまったりするという問題が発生する。
【0009】
また、像保持部材の多量のトナーを除去するには、ブラシに印加するバイアス電圧を高くする必要があるため、放電が誘発され、像保持部材やブラシに放電生成物が付着してしまうことがある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、ブラシにトナーが滞留することを抑制し、且つ、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができるクリーニング装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、上流クリーニングブラシと、下流クリーニングブラシと、クリーニングローラと、第1のバイアス印加部と、第2のバイアス印加部と、第3のバイアス印加部とを備える。
上流クリーニングブラシは、トナーが付着する移動体の表面に接触している。
下流クリーニングブラシは、上流クリーニングブラシよりも移動体の移動方向下流側に配置され、移動体の表面に接触している。
クリーニングローラは、下流クリーニングブラシよりも移動体の移動方向下流側に配置され、移動体の表面に接触している。
第1のバイアス印加部は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を上流クリーニングブラシに印加する。
第2のバイアス印加部は、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を下流クリーニングブラシに印加する。
第3のバイアス印加部は、クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、表面にトナーが付着する移動体と、移動体に付着したトナーを除去する上述のクリーニング装置とを備える。
【0013】
本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、上流クリーニングブラシと下流クリーニングブラシにより、移動体の表面に付着している正規の極性に帯電したトナーを除去する。そのため、移動体の表面に付着した多量のトナーを除去する場合にも、1度に多量のトナーを除去しなくてもよいので、各クリーニングブラシに印加するバイアス電圧を低く抑えることができる。これにより、放電の誘発が抑制され、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができる。
【0014】
また、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値が、上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。そのため、下流クリーニングブラシにおいても所定量のトナーを除去するため、上流クリーニングブラシにトナー除去に係る負荷が偏らないようにすることができる。その結果、上流クリーニングブラシにトナー回収機能を上回るトナーが進入しないようにすることができ、上流クリーニングブラシにトナーが滞留することを抑制することができる。
【0015】
さらに、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置では、クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加するため、正規の極性と逆極性に帯電したトナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤を、クリーニングローラによって除去することができる。その結果、トナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤が移動体の表面に皮膜状に固着するフィルミングの発生を防止或いは抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクリーニング装置及び画像形成装置によれば、ブラシにトナーが滞留することを抑制し、且つ、放電生成物によるブラシへのストレスを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置の第1の実施形態に係る2次転写部とクリーニング装置を示す説明図である。
【図3】本発明の画像形成装置の第1の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第2の実施形態の要部を示す概略構成図である。
【図6】本発明の画像形成装置の第2の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図7】本発明の画像形成装置の第2の実施形態に係るバイアス電圧設定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の画像形成装置の第3の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図9】本発明の画像形成装置の第3の実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図10】本発明の画像形成装置の第4の実施形態に係るクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図11】クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧と電流の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、クリーニング装置及び画像形成装置を実施するための形態について、図1〜図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
また、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1の実施の形態
2.画像形成装置の第2の実施の形態
3.画像形成装置の第3の実施の形態
4.画像形成装置の第4の実施の形態
【0019】
1.画像形成装置の第1の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
まず、画像形成装置の第1の実施の形態の構成例について、図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部60と、クリーニング装置70と、定着部80と、制御基板100とを有する。
【0021】
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Dを原稿排出トレイ16に排出する。
【0022】
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプLによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
【0023】
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板100のRAM103(図4参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
【0024】
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
【0025】
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
【0026】
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0027】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
【0028】
現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
クリーニング部45は、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0029】
感光体41上に付着したトナーは、中間転写体の一例を示す中間転写ベルト50に転写される。中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、複数のローラに掛け渡されている。この中間転写ベルト50は、不図示の駆動モータで感光体41の回転(移動)方向とは逆方向に回転駆動する。
【0030】
中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印加させることで、感光体41上に付着したトナーを中間転写ベルト50に転写する。
【0031】
そして、中間転写ベルト50が回転駆動することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
【0032】
また、中間転写ベルト50には、ベルトクリーニング装置53が対向している。このベルトクリーニング装置53は、用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト50の表面を清掃する。
【0033】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流には、2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50に接触させて、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する。2次転写部60には、クリーニング装置70が対向している。これら2次転写部60及びクリーニング装置70については、後で詳しく説明する。
【0034】
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されおり、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0035】
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81のローラ部が温められる。そして、定着上ローラ81のローラ部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
【0036】
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81のローラ部の熱による加圧が行われる。
【0037】
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方に案内する。
【0038】
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転された用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
【0039】
一対の排紙ローラ25の下流側に、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
【0040】
[2次転写部]
次に、2次転写部60について、図2を参照して説明する。
図2は、2次転写部60とクリーニング装置70を示す説明図である。
【0041】
図2に示すように、2次転写部60は、2次転写ローラ61と、駆動ローラ62と、従動ローラ64,65,66,67と、2次転写ベルト68を備えている。2次転写ローラ61は、2次転写ベルト68及び中間転写ベルト50を介して2次転写対向ローラ52に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト50が接触するニップ部は、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置とされる。
【0042】
駆動ローラ62は、モータなどの回転駆動部(不図示)により回転される。従動ローラ65,66,67は、クリーニング装置70の後述する上流クリーニングブラシ71、下流クリーニングブラシ72及びクリーニングローラ73に、2次転写ベルト68を介して対向する。これら従動ローラ65,66,67は、グランド(GND)に接続されている(図3参照)。
【0043】
2次転写ベルト68は、2次転写ローラ61、駆動ローラ62及び従動ローラ64〜67に掛け渡されており、用紙搬送方向に対応した方向に回転可能に構成されている。この2次転写ベルト68は、駆動ローラ62が駆動することにより回転して、用紙Sを転写位置に搬送する。
【0044】
2次転写ベルト68は、本発明に係るトナーが付着する移動体の一例を示すものである。この2次転写ベルト68には、トナー像は形成されない。しかし、例えば、用紙Sの両面に画像を形成する場合は、先に画像が形成された用紙Sの一面(表面)が2次転写ベルト68に接触するため、用紙Sの一面上のトナーが2次転写ベルト68に付着することがある。この2次転写ベルト68に付着したトナーTは、クリーニング装置70によって除去される。
【0045】
[クリーニング装置]
次に、クリーニング装置70について、図2及び図3を参照して説明する。
図3は、クリーニング装置70を示す概略構成図である。
【0046】
クリーニング装置70は、上流クリーニングブラシ71と、下流クリーニングブラシ72と、弾性を有するクリーニングローラ73と、第1のバイアス印加部75と、第2のバイアス印加部76と、第3のバイアス印加部77を備えている。
【0047】
上流クリーニングブラシ71は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ65に対向している。この上流クリーニングブラシ71は、導電性ブラシであり、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーなどの残留物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0048】
下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71よりも2次転写ベルト68の移動方向下流側に配置されている。つまり、下流クリーニングブラシ72は、2次転写ベルト68と中間転写ベルト50とが接触するニップ部を最上流として、上流クリーニングブラシ71よりも2次転写ベルト68の移動(回転)方向下流側に配置されている。
【0049】
下流クリーニングブラシ72は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ66に対向している。また、下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71と同様に、導電性ブラシであり、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーなどの残留物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0050】
上流クリーニングブラシ71及び下流クリーニングブラシ72の材料としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂などの樹脂を適用することができる。また、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂などの樹脂を2つ以上組み合わせたもの適用することもできる。
【0051】
クリーニングローラ73は、下流クリーニングブラシ72よりも2次転写ベルト68の移動方向下流側に配置されている。つまり、クリーニングローラ73は、2次転写ベルト68と中間転写ベルト50とが接触するニップ部を最上流として、下流クリーニングブラシ72よりも2次転写ベルト68の移動(回転)方向下流側に配置されている。
【0052】
クリーニングローラ73は、2次転写ベルト68に接触しており、2次転写ベルト68を挟んで従動ローラ67に対向している。このクリーニングローラは、弾性部材により形成された外周部73aを有しており、この外周部73aが2次転写ベルト68に接触している。
クリーニングローラ73の外周部73aを形成する弾性部材の材料としては、例えば、発泡ウレタン、ポリウレタン、スポンジ部材、ゴム部材などを挙げることができる。
【0053】
クリーニングローラ73は、モータなどの回転駆動部(不図示)によって2次転写ベルト68の回転(移動)方向と反対の方向に回転される。そして、2次転写ベルト68に残留するトナーや、トナーに添加されたワックス及び滑剤などの付着物を、電気的な吸引と機械的な掻き取り力によって除去する。
【0054】
図3に示すように、第1のバイアス印加部75は、上流クリーニングブラシ71と接触して回転するローラ状に形成されている。この第1のバイアス印加部75は、第1電源部91に電気的に接続されている。そして、第1のバイアス印加部75は、第1電源部91からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧を上流クリーニングブラシ71に印加する。
【0055】
第1電源部91は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧(+HV)を出力する。第1電源部91から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第1のバイアス印加部75を介して上流クリーニングブラシ71に印加される。これにより、上流クリーニングブラシ71は、2次転写ベルト68に残留している正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、電気的に吸引することができる。
【0056】
また、第1のバイアス印加部75は、上流クリーニングブラシ71に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。第1のバイアス印加部75に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Aによって第1のバイアス印加部75から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0057】
第2のバイアス印加部76は、下流クリーニングブラシ72と接触して回転するローラ状に形成されている。この第2のバイアス印加部76は、第2電源部92に電気的に接続されている。そして、第2のバイアス印加部76は、第2電源部92からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧を下流クリーニングブラシ72に印加する。
【0058】
第2電源部92は、正規トナーと逆極性のバイアス電圧(+HV)を出力する。第2電源部92から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第2のバイアス印加部76を介して下流クリーニングブラシ72に印加される。これにより、下流クリーニングブラシ72は、上流クリーニングブラシ71を通過後の2次転写ベルト68に残留している正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、電気的に吸引して回収することができる。
【0059】
また、第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、第1電源部91が出力するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。つまり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値は、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。したがって、上流クリーニングブラシ71の電気的な吸引力は、下流クリーニングブラシ72の電気的な吸引力よりも小さくなる、又は下流クリーニングブラシ72の電気的な吸引力と略等しくなる。
【0060】
このように、本実施の形態では、正規の極性に帯電したトナーなどの残留物を、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72で分けて除去する。そのため、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を低く設定することができる。そして、上流クリーニングブラシ71に、そのブラシのトナー回収機能を上回るトナーが進入することを回避することができる。
【0061】
なお、第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、各ブラシ71,72からの放電を抑制することを考慮すると、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値の1〜2倍程度が好ましい。なお、バイアス電圧の設定は、トナーが付着する移動体(本例の2次転写ベルト68)や回収ローラ(本例のバイアス印加部75〜77)などを含めたクリーニングシステム全体の抵抗値のバランスで決定される。
【0062】
また、第2のバイアス印加部76は、下流クリーニングブラシ72に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。第2のバイアス印加部76に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Bによって第2のバイアス印加部76から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0063】
第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73と接触して回転するローラ状に形成されている。この第3のバイアス印加部77は、第3電源部93に電気的に接続されている。そして、第3電源部93からバイアス電圧が供給されると、そのバイアス電圧をクリーニングローラ73に印加する。
【0064】
第3電源部93は、正規トナーと同極性のバイアス電圧(−HV)を出力する。第3電源部93から出力された正規トナーと逆極性のバイアス電圧は、第3のバイアス印加部77を介してクリーニングローラ73に印加される。これにより、クリーニングローラ73は、下流クリーニングブラシ72を通過後の2次転写ベルト68に残留している正規トナーと逆極性に帯電されたトナーなどの残留物を、電気的に吸引して回収することができる。
【0065】
また、第3のバイアス印加部77は、クリーニングローラ73に回収されたトナーなどの残留物を電気的に吸引して回収する回収部としての機能も兼ねている。クリーニングローラ73から第3のバイアス印加部77に回収されたトナーなどの残留物は、ブレード79Cによって第3のバイアス印加部77から除去され、受け部材(不図示)に溜まる。
【0066】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、図4を参照して説明する。
図4は、本例の画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
【0067】
図4に示すように、画像形成装置1は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102とを有する。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMが用いる。
【0068】
また、画像形成装置1は、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)104と、操作表示部105を有する。
CPU101、ROM102及びRAM103は、上述の制御基板100(図1参照)に搭載されている。
【0069】
CPU101は、制御部の一例であり、装置全体を制御する。このCPU101は、ROM102、RAM103、HDD104及び操作表示部105にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、CPU101は、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、第1電源部91、第2電源部92及び第3電源部93にシステムバス107を介して接続されている。
【0070】
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。
【0071】
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC(パーソナルコンピュータ)120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0072】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0073】
例えば、画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Bkの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
【0074】
画像形成部40は、画像処理部106によって画像処理された画像データを受け取り、
用紙S上に画像を形成する。
【0075】
本実施の形態の画像形成装置1では、クリーニング装置70の上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72により、2次転写ベルト68の外周面(表面)に付着している正規の極性に帯電したトナーを2回に分けて除去する。したがって、2次転写ベルト68の外周面に付着した多量のトナーを、1度に除去しなくてもよいので、各クリーニングブラシ71,72に印加するバイアス電圧を低く抑えることができる。これにより、放電の誘発が抑制され、放電生成物によるクリーニングブラシ71,72へのストレスを軽減することができる。
【0076】
また、画像形成装置1では、クリーニング装置70の下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値が、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。そのため、上流クリーニングブラシ71にトナー除去に係る負荷が偏らないようにすることができる。その結果、上流クリーニングブラシ71にトナー回収機能を上回るトナーが進入しないようにすることができ、上流クリーニングブラシ71にトナーが滞留することを抑制することができる。
【0077】
さらに、画像形成装置1では、クリーニングローラ73に正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加するため、正規の極性と逆極性に帯電したトナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤を、クリーニングローラ73によって除去することができる。その結果、トナー及びトナーに添加されたワックスや滑剤が2次転写ベルト68の表面に皮膜状に固着するフィルミングの発生を防止或いは抑制することができる。
【0078】
2.画像形成装置の第2の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第2の実施の形態の構成例について、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、画像形成装置の第2の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。図6は、画像形成装置の第2の実施形態における制御系を示すブロック図である。
【0079】
第2の実施の形態の画像形成装置151(図6参照)は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図4参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置151が画像形成装置1と異なる点は、クリーニング装置170がトナー帯電量検知部171を備える点である。したがって、ここでは、クリーニング装置170のトナー帯電量検知部171について説明し、画像形成装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0080】
クリーニング装置170のトナー帯電量検知部171は、トナーの帯電量分布を検知する検知部の一具体例を示すものである。このトナー帯電量検知部171としては、例えば、トナー粒子を電界により偏向させ、一定時間後の偏向量からトナー粒子の帯電量分布を測定する帯電量分布測定装置を適用することができる。
【0081】
図5に示すように、トナー帯電量検知部171は、下流クリーニングブラシ72とクリーニングローラ73の間に配置されている。このトナー帯電量検知部は、下流クリーニングブラシ72を通過した2次転写ベルト68上のトナーの帯電量の分布を検知する。
【0082】
図6に示すように、トナー帯電量検知部171は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。したがって、トナー帯電量検知部171による検知結果は、システムバス107を介してCPU101に供給される。CPU101は、トナー帯電量検知部171による検知結果に基づいて、第1電源部91及び第2電源部92における出力値を設定する。この出力値の初期設定処理については、後述の「バイアス電圧設定処理」において、図7を参照して説明する。
【0083】
[トナーの除去性能の評価]
ここで、バイアス電圧値を変化させた場合の、2次転写ベルト68上において正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率と、トナーの除去性能の関係を調べた実験結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1において、「1本目」とは、上流クリーニングブラシ71を示し、「2本目」とは、下流クリーニングブラシ72を示す。また、「3本目」とは、クリーニングローラ73を示す。正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は、下流クリーニングブラシ72を通過した2次転写ベルト68上のトナーの帯電量分布を、トナー帯電量検知部171によって検出し、その検出結果から算出した。
【0086】
表1に示す「クリーニング性」とは、各クリーニングブラシ71,72による2次転写ベルト68上のトナーの除去性能と定義する。この「クリーニング性」の評価は、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留していない場合に「○」とした。また、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留しているが、実用する上では問題ない場合に「△」とし、目視でトナーが2次転写ベルト68上に残留していて、実用する上で問題がある場合に「×」とした。
【0087】
表1に示す「再付着性」とは、各クリーニングブラシ71,72によって除去したトナーの各バイアス印加部(回収ローラ)75,76への移行性能と定義する。この「再付着性」の評価は、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーの大半が各バイアス印加部75,76へ移行している場合に「○」とした。また、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーが残留しているが、実用する上では問題ない場合に「△」とし、目視で各クリーニングブラシ71,72にトナーが残留していて、実用する上で問題がある場合に「×」とした。
【0088】
表1に示す「総合評価」とは、2次転写ベルト68上において、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」を総合した評価と定義する。この「総合評価」では、クリーニングローラ(3本目)73が有る場合と無い場合を評価した。そして、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」が良好なものを「○」とし、実用する上では問題ない場合に「△」と評価した。また、「クリーニング性」、「再付着性」及び「フィルミング性」の少なくとも1つが実用する上で問題がある場合に「×」と評価した。
【0089】
なお、クリーニングローラ(3本目)73が無い場合は、フィルミングが発生してしまうため、「フィルミング性」の評価を実用する上で問題があるとした。一方、クリーニングローラ(3本目)73が有る場合は、フィルミングが発生しないため、「フィルミング性」の評価を良好とした。
【0090】
表1に示すように、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧が、400V又は600Vであり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧が、400V、600V又は800Vである場合に、「総合評価」が良好又は実用する上では問題ないという評価であった。
【0091】
また、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下であれば、「再付着性」が良好又は実用する上で問題ないという評価であった。この結果、複数のクリーニングブラシを通過後のクリーニング対象である移動体上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下であれば、各クリーニングブラシから回収ローラへのトナーの移行性が最適となることが分かった。
【0092】
「再付着性」が悪い場合は、各クリーニングブラシからクリーニング対象の移動体上へ弱帯電のトナーが転移したり、各クリーニングブラシ内にトナーが滞留したりする。そして、各クリーニングブラシ内にトナーが滞留した場合は、各クリーニングブラシが劣化し易くなり、各クリーニングブラシの耐久性が低下してしまう。したがって、各クリーニングブラシから回収ローラへのトナーの移行性を最適にすることは、重要である。
【0093】
そこで、本実施の形態では、複数のクリーニングブラシを通過後のクリーニング対象である移動体上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.0%以下になるようにバイアス電圧を設定する。なお、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率が6.1%以下になるようにバイアス電圧を設定してもよい。
【0094】
[バイアス電圧設定処理]
次に、バイアス電圧の設定処理について、図7を参照して説明する。
図7は、本実施の形態のバイアス電圧設定処理を示すフローチャートである。
【0095】
バイアス電圧の設定処理を行う前は、バイアス電圧の出力値として、予め定められた初期値が入力さている。そして、バイアス電圧の設定処理では、この初期値が適正かどうかを判断し、適正ではない場合に、バイアス電圧の設定値を変更する。このバイアス電圧設定処理は、例えば、画像形成装置151を出荷する前や、クリーニングブラシ71,72、バイアス印加部75,76又は2次転写ベルト68を交換したときに実行される。
【0096】
バイアス電圧設定処理が開始されると、まず、CPU101は、トナー帯電量検知部171の検出結果を取得する(ステップS1)。トナー帯電量検知部171は、2次転写ベルト68上における正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの帯電量分布を検知する。
【0097】
次に、CPU101は、トナー帯電量検知部171の検出結果から、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率を算出する(ステップS2)。この処理では、上流クリーニングブラシ71を通過する前の2次転写ベルト68上における正規のトナーと逆極性に帯電したトナーを予め検出しておき、その検出結果とトナー帯電量検知部171の検出結果から正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率を算出する。したがって、本例では、2次転写ローラ61によって形成されるニップ部(2次転写部)と上流クリーニングブラシ71との間に、2次転写ベルト68上の正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの帯電量分布を検知するトナー帯電量分布検知部を配置するとよい。
【0098】
続いて、CPU101は、正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下であるか否かを判別する(ステップS3)。正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下ではないと判別したとき、CPU101は、第1電源部91と第2電源部92の出力値を所定の下げ幅(例えば、50V)でさげる(ステップS4)。その後、CPU101は、処理をステップ1に移行する。
【0099】
ステップS3の処理で正規のトナーと逆極性に帯電したトナーの増加率は6%以下であると判別したとき、CPU101は、現在の第1電源部91と第2電源部92の出力値をバイアス電圧の設定値にする(ステップS5)。その後、CPU101は、バイアス電圧設定処理を終了する。
【0100】
このバイアス電圧設定処理により、各クリーニングブラシ71,72に印加されるバイアス電圧は、各クリーニングブラシ71,72の電気的吸引力を確保できて、且つ、各バイアス印加部(回収ローラ)75,76へのトナーの移行性を最適にする値に設定される。その結果、各クリーニングブラシ71,72の耐久性を向上させることができる。
【0101】
なお、上述したバイアス電圧設定処理のステップS4の処理では、第1電源部91と第2電源部92における出力値の下げ幅を同じにした。しかし、本発明に係る第1電源部と第2電顕部における出力値の下げ幅は異なっていてもよい。
【0102】
3.画像形成装置の第3の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第3の実施の形態の構成例について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、画像形成装置の第3の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。図9は、画像形成装置の第3の実施形態における制御系を示すブロック図である。
【0103】
第3の実施の形態の画像形成装置201(図9参照)は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図4参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置201が画像形成装置1と異なる点は、クリーニング装置270が電荷付与部271を備える点である。したがって、ここでは、クリーニング装置270の電荷付与部271について説明し、画像形成装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0104】
図8に示すように、クリーニング装置270の電荷付与部271は、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72との間に配置されている。この電荷付与部271は、上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物に対して、正規トナーと同極性の電荷を付与する。この電荷付与部271としては、ローラ、ブラシ、チャージャを挙げることができる。
【0105】
図9に示すように、電荷付与部271は、第4電源部272に電気的に接続されている。そして、第4電源部272は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。この第4電源部は、CPU101によって駆動制御され、正規トナーと同極性のバイアス電圧(−HV)を出力する。これにより、電荷付与部271は、2次転写ベルト68に残留している正規のトナーと同極性に帯電したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与することができる。
【0106】
上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物は、上流クリーニングブラシ71を通過した際に多少放電する。そのため、上流クリーニングブラシ71を通過した2次転写ベルト68上における正規のトナーと同極性に帯電したトナーなどの残留物の帯電量が少なくなる。
【0107】
そこで、下流クリーニングブラシ72を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、電荷付与部271が正規トナーと同極性の電荷を付与する。これにより、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧より高くしなくても、下流クリーニングブラシ72によって2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物を確実に除去することができる。
【0108】
また、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧を同等にすることができるため、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72にかかる負荷を均一化することができる。その結果、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72の耐久性を向上させることができる。
【0109】
本実施の形態では、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72との間に、電荷付与部271を配置して、下流クリーニングブラシ72を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与した。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、上流クリーニングブラシ71を通過する前に、2次転写ベルト68上に残留したトナーなどの残留物に、正規トナーと同極性の電荷を付与する上流電荷付与部を追加した構成であってもよい。これにより、上流クリーニングブラシ71においても、2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物の除去を安定して行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態のクリーニング装置270は、第1の実施の形態のクリーニング装置70(図3参照)に、電荷付与部271を付加する構成を例に挙げて説明した。しかし、本発明のクリーニング装置としては、第2の実施の形態のクリーニング装置170に、電荷付与部271を付加した構成であってもよい。また、本発明の画像形成装置としては、第2の実施の形態の画像形成装置151に、電荷付与部271と第4電源部272とを付加した構成であってもよい。
【0111】
4.画像形成装置の第4の実施
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第4の実施の形態の構成例について、図10を参照して説明する。
図10は、画像形成装置の第4の実施の形態におけるクリーニング装置を示す概略構成図である。
【0112】
第4の実施の形態の画像形成装置は、第1の実施の形態の画像形成装置1(図1参照)と同様の構成を有している。第4の実施の形態の画像形成装置が画像形成装置1と異なる点は、第1電源部91と第2電源部92の制御方法である。したがって、ここでは、第1電源部91と第2電源部92の制御方法について説明する。
【0113】
第4の実施の形態の画像形成装置におけるクリーニング装置370の第1電源部91及び第2電源部92は、CPU101により定電圧制御されている。第2電源部92が出力するバイアス電圧の絶対値は、第1電源部91が出力するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。つまり、下流クリーニングブラシ72に印加するバイアス電圧の絶対値は、上流クリーニングブラシ71に印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されている。
【0114】
ここで、クリーニングブラシ71,72に印加するバイアスの電圧と電流の関係について、図11を参照して説明する。
図11は、クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧と電流の関係を示すグラフである。
【0115】
図11に示す曲線Nは、新品のクリーニングブラシにバイアスを印加したときの電圧と電流の関係を示し、曲線Oは、所定の期間使用されたクリーニングブラシにバイアスを印加したときの電圧と電流の関係を示している。
【0116】
図11に示すように、所定の期間使用されたクリーニングブラシ(曲線O)は、劣化することで新品のクリーニングブラシ(曲線N)よりも抵抗が大きくなる。したがって、クリーニングブラシに印加するバイアスの電流を一定に制御する定電流制御を行うと、クリーニングブラシを使用していくにつれて、クリーニングブラシに印加するバイアスの電圧が大きくなる。
【0117】
トナーは、電圧(電位)に感度があるため、クリーニングブラシによるトナーの電気的吸引力は、電圧が大きく寄与する。そのため、クリーニングブラシに印加するバイアスを定電流制御すると、使用している間にバイアスの電圧が大きくなり、クリーニングブラシによるトナーの電気的吸引力が大きくなる。これにより、例えば、上流のクリーニングブラシによって除去されるトナーの量が多くなり、上流クリーニングブラシにトナーが滞留し易くなる。
【0118】
したがって、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアスは、電圧を一定に制御する定電圧制御とすることが好ましい。これにより、上流クリーニングブラシ71と下流クリーニングブラシ72に印加するバイアスの電圧が変動することを抑制することができる。その結果、2次転写ベルト68上のトナーなどの残留物の除去を安定して行うことができる。
【0119】
本実施の形態のクリーニング装置370は、第1の実施の形態のクリーニング装置70(図3参照)と同じ構成を採用した。しかし、第2の実施の形態のクリーニング装置170又は第3の実施の形態のクリーニング装置270の第1電源部91と第2電源部92の出力を定電圧制御してもよい。また、第2の実施の形態のクリーニング装置170に、第3の実施の形態の電荷付与部271を付加した構成のクリーニング装置の第1電源部91と第2電源部92の出力を定電圧制御してもよい。
【0120】
以上、クリーニング装置及び画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0121】
例えば、上述の第1〜第4の実施の形態では、2つのクリーニングブラシ71,72を設ける構成とした。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、3つ以上のクリーニングブラシを設ける構成であってもよい。
その場合は、全てのクリーニングブラシに、正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する。そして、隣り合うクリーニングブラシのうちの下流側に配置されるクリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値を、上流側に配置されるクリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上にする。
【0122】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、1つのクリーニングローラ73を設ける構成とした。しかし、本発明のクリーニング装置及び画像形成装置としては、2つ以上のクリーニングローラを設ける構成であってもよい。
【0123】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、トナーなどの残留物が付着する移動体を2次転写ベルト68とした。しかし、本発明に係るトナーなどの残留物が付着する移動体としては、例えば、感光体や中間転写ベルトであってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1,151,201…画像形成装置、 10…原稿搬送部、 20…用紙収納部、 30…画像読取部、 40…画像形成部、 41…感光体、 42…帯電部、 43…露光部、 44…現像部、 45…クリーニング部、 50…中間転写ベルト、 51…1次転写部、 52…2次転写対向ローラ、 53…ベルトクリーニング装置、 60…2次転写部、 61…2次転写ローラ、 62…駆動ローラ、 64,65,66,67…従動ローラ、 68…2次転写ベルト、 70,170,270,370…クリーニング装置、 71…上流クリーニングブラシ、 72…下流クリーニングブラシ、 73…クリーニングローラ、 75…第1のバイアス印加部、 76…第2のバイアス印加部、 77…第3のバイアス印加部、 79A,79B,79C…ブレード、 80…定着部、 81…定着上ローラ、 82…定着下ローラ、 91…第1電源部、 92…第2電源部、 93…第3電源部、 100…制御基板、 101…CPU、 102…ROM、 103…RAM、 104…ハードディスクドライブ(HDD)、 105…操作表示部、 107…システムバス、 106…画像処理部、 171…トナー帯電量検知部、 271…電荷付与部、 272…第4電源部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが付着する移動体の表面に接触した上流クリーニングブラシと、
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した下流クリーニングブラシと、
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触したクリーニングローラと、
前記上流クリーニングブラシに正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する第1のバイアス印加部と、
前記下流クリーニングブラシに、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を印加する第2のバイアス印加部と、
前記クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する第3のバイアス印加部と、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記上流クリーニングブラシ及び前記下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧は、前記下流クリーニングブラシを通過後の前記移動体の表面における正規トナーと逆極性のトナーの増加率が6%以下になるようにそれぞれ設定されている請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記上流クリーニングブラシと前記下流クリーニングブラシとの間に配置され、前記移動体の表面に付着したトナーに正規トナーと同極性の電荷を付与する電荷付与部を備える請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向上流側に配置され、前記移動体の表面に付着したトナーに正規トナーと同極性の電荷を付与する上流電荷付与部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記第1のバイアス印加部及び前記第2のバイアス印加部は、定電圧制御される請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
表面にトナーが付着する移動体と、
前記移動体に付着したトナーを除去するクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、
前記移動体の表面に接触した上流クリーニングブラシと、
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した下流クリーニングブラシと、
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した弾性を有するクリーニングローラと、
前記上流クリーニングブラシに正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する第1のバイアス印加部と、
前記下流クリーニングブラシに、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を印加する第2のバイアス印加部と、
前記クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する第3のバイアス印加部と、を有する画像形成装置。
【請求項7】
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面におけるトナーの帯電量分布を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記下流クリーニングブラシを通過後の前記移動体の表面における正規トナーと逆極性のトナーの増加率が6%以下になるように、前記上流クリーニングブラシ及び前記下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の値を設定する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項1】
トナーが付着する移動体の表面に接触した上流クリーニングブラシと、
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した下流クリーニングブラシと、
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触したクリーニングローラと、
前記上流クリーニングブラシに正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する第1のバイアス印加部と、
前記下流クリーニングブラシに、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を印加する第2のバイアス印加部と、
前記クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する第3のバイアス印加部と、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記上流クリーニングブラシ及び前記下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧は、前記下流クリーニングブラシを通過後の前記移動体の表面における正規トナーと逆極性のトナーの増加率が6%以下になるようにそれぞれ設定されている請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記上流クリーニングブラシと前記下流クリーニングブラシとの間に配置され、前記移動体の表面に付着したトナーに正規トナーと同極性の電荷を付与する電荷付与部を備える請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向上流側に配置され、前記移動体の表面に付着したトナーに正規トナーと同極性の電荷を付与する上流電荷付与部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記第1のバイアス印加部及び前記第2のバイアス印加部は、定電圧制御される請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
表面にトナーが付着する移動体と、
前記移動体に付着したトナーを除去するクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、
前記移動体の表面に接触した上流クリーニングブラシと、
前記上流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した下流クリーニングブラシと、
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面に接触した弾性を有するクリーニングローラと、
前記上流クリーニングブラシに正規トナーと逆極性のバイアス電圧を印加する第1のバイアス印加部と、
前記下流クリーニングブラシに、正規トナーと逆極性であって、前記上流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の絶対値以上に設定されたバイアス電圧を印加する第2のバイアス印加部と、
前記クリーニングローラに正規トナーと同極性のバイアス電圧を印加する第3のバイアス印加部と、を有する画像形成装置。
【請求項7】
前記下流クリーニングブラシよりも前記移動体の移動方向下流側に配置され、前記移動体の表面におけるトナーの帯電量分布を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記下流クリーニングブラシを通過後の前記移動体の表面における正規トナーと逆極性のトナーの増加率が6%以下になるように、前記上流クリーニングブラシ及び前記下流クリーニングブラシに印加するバイアス電圧の値を設定する制御部と、
を備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−80029(P2013−80029A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218916(P2011−218916)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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