説明

クリーニング装置

【課題】 部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレードを所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能なクリーニング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 円筒状の像担持体60の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、前記クリーニングブレード取付け部材807 の取付け面808 とが略平行となるように、当該クリーニングブレード801 を取付けるように構成して課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置に関し、特に、ブレード状のクリーニング部材を用いたクリーニング装置において、当該ブレード状のクリーニング部材の取付け技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平6−130877号公報
【0003】
従来、この種の電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラムの表面を所定の電位に帯電した後、画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成し、この静電潜像を顕像化することによりトナー像として、当該トナー像を直接転写用紙上に転写するとともに、定着器によって定着するか、中間転写体を介して転写用紙上に転写するとともに、定着器によって定着することで、画像を形成するように構成されている。
【0004】
かかる画像形成装置においては、実際上、100%の転写効率を実現することが困難であるため、感光体ドラムや中間転写体、あるいはトナー像を最終的に転写用紙上に転写するための最終転写ロールなどの部材上に、トナー像の転写工程が終了した後に、トナーが残留する場合がある。これらの感光体ドラムや中間転写体、あるいは最終転写ロール上に残留したトナーは、次の画像の非画像部のカブリや、裏面汚れ等の原因となり、画質を低下させる。
【0005】
また、上記感光体ドラムや中間転写体、あるいは最終転写ロールなどには、トナー濃度や画像形成条件を検知して制御するための所謂" パッチ" と呼ばれるトナー像が転写される場合があり、当該" パッチ" と呼ばれるトナー像は、転写用紙上に転写されないため、感光体ドラムや中間転写体、あるいは最終転写ロール上から除去する必要がある。
【0006】
そこで、上記画像形成装置では、感光体ドラムや中間転写体、あるいは最終転写ロールなどの部材上に残留したトナーを除去するため、ブレード状のクリーニング部材(以下、「クリーニングブレード」という。)などを用いたクリーニング装置が用いられている。
【0007】
上記クリーニング装置では、図11に示すように、クリーニングブレード1001を板金等からなるブレード支持部材1002に接着剤による貼り付け等の手段によって固定し、当該ブレード支持部材1002をブレード取付け面1003にネジ止め等の手段によって取付けるように構成されている。従来の加工技術では、クリーニングブレード1001の厚み公差や貼り付け公差が、クリーニングブレード1001の出来に加味されており、所定の条件を満たさないものは、不良品として使用することができなかった。その際、上記ブレード支持部材1002の取付け位置からクリーニングブレード1001の先端までの距離Aと、ブレード取付け面1003からクリーニングブレード先端のエッジまでの距離Bは、感光体ドラムや中間転写体、あるいは最終転写ロールなどの像担持体に対するクリーニングブレード1001の食い込み量に影響を与える重要なパラメータとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記従来技術のクリーニング装置の場合には、クリーニングブレード1001の厚みや貼り付け寸法が、ある程度の公差を有しており、これらのクリーニングブレード1001の厚み公差や貼り付け公差は、図11に示すように、重要なパラメータであるクリーニングブレード1001の食い込み量に直接影響を与える。そのため、上記従来技術のクリーニング装置の場合には、クリーニングブレードの食い込み量の上下限値を不本意に広げると、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くため、クリーニングブレードの厚み公差や貼り付け公差の上下限値を広げることが困難であった。その結果として、上記クリーニングブレードの公差は、ある程度厳しく設定せざるを得ず、当該公差を満たさないものは、すべて不良品となるため、部品コストが高くなってしまうという問題点を有していた。
【0009】
また、かかる問題点に対しては、クリーニングブレードを取付ける際に、所定の食い込み量が得られるように調整することが考えられるが、この場合には、クリーニングブレードを取付ける際の作業工数が大幅に増大し、組み立てコストの増加を招くという新たな問題点が生じる。
【0010】
さらに、上記の問題点に対しては、特開平6−130877号公報に開示されているように、ブレード取付け部材に矩形の切り欠きや第1乃至第3の孔や長孔等を設ける技術も、既に提案されているが、この場合には、ブレード取付け部材に矩形の切り欠きや第1乃至第3の孔や長孔等を設ける必要があり、加工コストの増加を招くという問題点を有している。
【0011】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレードを所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能なクリーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、円筒状の像担持体又は円筒状の回転支持部材によって循環移動可能に支持されたベルト状の像担持体の表面に残留した少なくともトナーを含む残留物を除去するクリーニングブレードを有し、当該クリーニングブレードが固着されたブレード支持部材を、所定のクリーニングブレードの取付け部材に取付けるように構成されたクリーニング装置において、
前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが略平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けたことを特徴とするクリーニング装置である。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けたことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置である。
【0014】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記円筒状の像担持体が、感光体ドラム、中間転写体、転写ロールの少なくともいずれか1つからなることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレードを所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能なクリーニング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示すものであり、図3はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの画像形成部を示すものである。尚、図3中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0018】
このフルカラープリンター01は、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の各感光体ドラム(像担持体)11, 12, 13, 14を有する画像形成ユニット1, 2, 3, 4と、これら感光体ドラム11, 12, 13, 14に接触又は近接する一次帯電用の帯電ロール(帯電手段)21, 22, 23, 24と、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34を照射して静電潜像を書き込む図2に示すレーザ光学ユニット(潜像書き込み手段)03と、現像装置(現像手段)41, 42, 43, 44と、上記4つの感光体ドラム11, 12, 13, 14のうちの2つの感光体ドラム11, 12に接触する第1の一次中間転写ドラム(中間転写体)51及び他の2つの感光体ドラム13, 14に接触する第2の一次中間転写ドラム(中間転写体)52と、上記第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52に接触する二次中間転写ドラム(中間転写体)53と、この二次中間転写ドラム53に接触する転写ロール(転写部材)60とで、その主要部が構成されている。なお、この実施の形態では、メンテナンス性を向上させるため、現像装置41, 42, 43, 44を除いた感光体ドラム11, 12, 13, 14や中間転写ドラム51,52,53等からなるプロセスカートリッジ02が、プリンター本体100 に対して交換自在に構成されている。
【0019】
感光体ドラム11, 12, 13, 14は、図3に示すように、共通の接平面M を有するように一定の間隔をおいて互いに平行に配置されている。また、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52は、各回転軸が該感光体ドラム11, 12, 13, 14軸に対し平行かつ所定の対称面を境界とした面対称の関係にあるように配置されている。さらに、二次中間転写ドラム53は、該感光体ドラム11, 12, 13, 14と回転軸が平行であるように配置されている。
【0020】
各色毎の画像情報に応じた信号は、図示しない画像処理ユニットによりラスタライジングされて図2に示すレーザ光学ユニット03に入力される。このレーザ光学ユニット03では、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34が画像情報に応じて変調され、対応する色の感光体ドラム11, 12, 13, 14に照射されて静電潜像が書き込まれる。
【0021】
上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14の周囲では、周知の電子写真方式による各色毎の画像形成プロセスが実行される。まず、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14としては、例えば、直径20mmのOPC感光体を用いた感光体ドラムが用いられ、これらの感光体ドラム11, 12, 13, 14は、例えば、95mm/secの回転速度で回転駆動される。上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面は、図3に示すように、接触型帯電手段としての帯電ロール21, 22, 23, 24に、約-800VのDC電圧を印加することによって、例えば約-300V程度に帯電される。なお、上記接触型の帯電手段としては、ロールタイプのもの、フィルムタイプのもの、ブラシタイプのもの等が挙げられるが、どのタイプのものを用いても良い。この実施の形態では、近年、電子写真装置で一般に使用されている帯電ロールを採用している。また、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電させるために、この実施の形態では、DCのみ印加の帯電方式をとっているが、AC+DC印加の帯電方式を用いても良い。
【0022】
その後、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面には、露光手段としてのレーザ光学ユニット03によってイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応したレーザ光31, 32, 33, 34が照射され、各色毎の入力画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム11, 12, 13, 14は、レーザ光学ユニット03で静電潜像が書き込まれた際に、その画像露光部の表面電位は-60 V以下程度にまで除電される。
【0023】
また、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した静電潜像は、対応する色の現像装置41, 42, 43, 44によって現像され、感光体ドラム11, 12, 13, 14上にイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
【0024】
この実施の形態では、現像装置41, 42, 43, 44として、磁気ブラシ接触型の二成分現像方式を採用しているが、この現像方式に限定されるものではなく、一成分現像方式や非接触型の現像方式など、他の現像方式においてもこの発明を充分に適用することができることは勿論である。
【0025】
現像装置41, 42, 43, 44には、それぞれ色の異なったイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色のトナーと、キャリアからなる二成分現像剤が充填されている。これらの現像装置41, 42, 43, 44は、図2に示すトナーカートリッジ04Y,04M,04C,04K からトナーが補給されると、この補給されたトナーは、図3に示すように、オーガー404 で充分にキャリアと攪拌されて摩擦帯電される。現像ロール401 の内部には、複数の磁極を所定の角度に配置したマグネットロール(不図示)が固定した状態で配置されている。この現像ロール401 に現像剤を搬送するパドル403 によって、当該現像ロール401 の表面近傍に搬送された現像剤は、現像剤量規制部材402 によって現像部に搬送される量が規制される。この実施の形態では、上記現像剤の量は、30〜50g/m2 であり、また、このとき現像ロール401 上に存在するトナーの帯電量は、概ね-20 〜35μC/g 程度である。
【0026】
上記現像装置41, 42, 43, 44で使用されるトナーとしては、次式で規定される形状係数MLS2が100〜140、例えば、MLS2=130程度のもので、平均粒径が3μm〜10μmの所謂" 球形トナー" が用いられる。
MLS2={(トナー粒子の絶対最大長)2 )}
/{(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100}
【0027】
上記現像ロール401 上に供給されたトナーは、マグネットロールの磁力によって、キャリアとトナーで構成された磁気ブラシ状となっており、この磁気ブラシが感光体ドラム11, 12, 13, 14と接触している。この現像ロール401 にAC+DCの現像バイアス電圧を印加して、現像ロール401 上のトナーを感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成された静電潜像に現像することにより、トナー像が形成される。この実施の形態では、現像バイアス電圧はACが4 kHz、1.5 kVppで、DCが-230V程度である。
【0028】
次に、上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52上に、静電的に二次転写される。感光体ドラム11, 12上に形成されたイエロー(Y)及びマジェンタ(M)色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51上に、感光体ドラム13, 14上に形成されたシアン(C)及びブラック(K)色のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム52上に、それぞれ転写される。従って、第1の一次中間転写ドラム51上には、感光体ドラム11または12のどちらから転写された単色像と、感光体ドラム11及び12の両方から転写された2色のトナー像が重ね合わされた二重色像が形成されることになる。また、第2の一次中間転写ドラム52上にも、感光体ドラム13,14 から同様な単色像と二重色像が形成される。
【0029】
上記第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 上に感光体ドラム11,12,13,14 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500 V程度である。この表面電位は、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。この雰囲気温度や湿度は、図2に示すように、雰囲気温度及び湿度を検出する環境センサによって検出される。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位は、+380V程度が望ましい。
【0030】
この実施の形態で用いる第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、例えば、外径が42mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、図4に示すように、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製芯材としての金属パイプ55の上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層56(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、第1、第2の中間転写ドラム51, 52の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層57(R=105 〜109 Ω)として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)58で接着されている。ここで重要なのは、抵抗値と表面の離型性であり、高離型層の抵抗値がR=105 〜109 Ω程度であり、高離型性を有する材料であれば、特に材料は限定されない。
【0031】
このように第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52上に形成された単色又は二重色のトナー像は、二次中間転写ドラム53上に静電的に二次転写される。従って、二次中間転写ドラム53上には、単色像からイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色の四重色像までの最終的なトナー像が形成されることになる。
【0032】
この二次中間転写ドラム53上へ第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。この表面電位は、感光体ドラム11, 12, 13, 14から第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52へ転写するときと同様に、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。また、転写に必要なのは、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差であるので、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位が+380V程度の場合には、二次中間転写ドラム53の表面電位は、+880V程度、つまり第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差は、+500V程度に設定することが望ましい。
【0033】
この実施の形態で用いる二次中間転写ドラム53は、例えば、外径が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と同じ42mmに形成され、抵抗値は1011Ω程度に設定される。また、上記二次中間転写ドラム53も第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52と同様、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、二次中間転写ドラム53の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。ここで、二次中間転写ドラム53の抵抗値は、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 よりも高く設定する必要がある。そうしないと、二次中間転写ドラム53が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 を帯電してしまい、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位の制御が難しくなる。このような条件を満たす材料であれば、特に材料は限定されない。
【0034】
次に、上記二次中間転写ドラム53上に形成された単色像から四重色像までの最終的なトナー像は、最終転写ロール60によって、用紙搬送路を通る転写用紙P上に3次転写される。この転写用紙Pは、図2に示すように、給紙カセット91から紙送り工程を経てレジストローラ90を通過し、二次中間転写ドラム53と転写ロール60のニップ部に送り込まれる。この最終転写工程の後、転写用紙P上に形成された最終的なトナー像は、熱定着手段としての定着器70によって熱及び圧力で定着され、フルカラープリンター本体100 の上部に設けられた排出トレイT上に排出され、一連の画像形成プロセスが完了する。上記定着器70は、内部にハロゲンランプ等の加熱源を有する加熱ローラ71と加圧ベルト72とを互いに圧接させ、未定着トナー像が転写された転写用紙Pを加熱加圧することにより、未定着トナー像を転写用紙P上に定着するように構成されている。
【0035】
転写ロール60は、例えば、外径が20mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。この転写ロール60は、図4に示すように、金属シャフト61の上にウレタンゴム等からなる半導電性の被覆層62を設け、この被覆層62の上にポリイミド樹脂またはポリエーテルイミド樹脂に相当する値以上の表面微小硬度を有するチューブ63を被覆して構成されている。具体的には、チューブ63としてポリイミド樹脂またはポリエーテルイミド樹脂からなるものが用いられる。転写ロール60に印加される電圧は、雰囲気温度、湿度、用紙の種類(抵抗値等)等によって最適値が異なり、概ね+1200 〜5000V程度である。この実施の形態では、定電流方式を採用しており、常温常湿環境下で約+10 μAの電流を通電して、ほぼ適正な転写電圧(+1600〜2000V) を得ている。
【0036】
また、上記転写用紙Pの両面に画像を形成する場合には、図2に示すように、片面に画像が形成された転写用紙Pをそのまま排出トレイT上に排出せずに、表裏を反転した状態で転写用紙Pを両面用の用紙搬送路07を介して、当該転写用紙Pを再度転写部へと搬送し、転写用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0037】
なお、図2中、符号08は図示しない手差しトレイから供給される転写用紙Pを搬送する給紙ロール、09は制御回路、10は電源回路をそれぞれ示している。
【0038】
ところで、この実施の形態では、上述した一連の転写工程においては、各転写工程の転写部位をトナー像が通過するとき、パッシェン放電や電荷注入により、(−)帯電している像中の正極性トナーの一部が逆極性の(+)帯電トナーとなることがある。この(+)帯電トナーは、次工程へ転写されずに、上流側に逆流することになるので、最もマイナス電位が高い帯電装置21, 22, 23, 24に付着、堆積する。これら帯電装置21, 22, 23, 24のトナーが付着した部分は、放電が活発となり、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面電位が高くなる傾向になるため、トナーの付着が多い部分、トナーの付着が少ない部分、トナーの付着がない部分で感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面電位にムラが生じることになる。感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面電位にムラが生じると、静電潜像を形成させるために当該感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に画像を一様に露光しても、潜像電位にムラが生じてしまい、現像量に違いが出てきてしまうので、特に中間調画像を現像しようとすると、濃度ムラが目立つことになる。
【0039】
そこで、このような帯電装置21, 22, 23, 24に付着したトナーによる濃度ムラの発生を防ぐために、この実施の形態では、印字動作前、印字動作後、連続印字持の所定枚数毎など、ある所定のタイミングで以下のようなクリーニング動作を行なうようになっている。
【0040】
帯電装置21, 22, 23, 24、感光体ドラム11, 12, 13, 14、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、二次中間転写ドラム53、最終転写ロール60に、最終転写ロール60が最もマイナス電位が高くなるように、順々に電位勾配をつけた電圧を印加することによって、印字動作中に、帯電装置21, 22, 23, 24に付着、堆積した逆極性の(+)帯電トナーを、最終転写ロール60まで順々に転写して移動し、最終転写ロール60に接触して設けたブレードなどの最終クリーニング部材801 を含んだクリーニング装置80によって回収する。
【0041】
この実施の形態では、帯電装置21, 22, 23, 24の表面電位を0V、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面電位を-300V、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位を-800V、二次中間転写ドラム53の表面電位を-1300 V、最終転写ロール60の表面電位を-2000 Vに設定している。この電位勾配は、各部材の金属部(シャフト、パイプ)に電圧を給電する方式によって得ているが、例えば、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 又は二次中間転写ドラム53などを電気的に浮かせて、これら部材の抵抗値の関係によって所望の表面電位が得られる場合には、そのような方法をとっても良い。このようなマイナス印加クリーニングモード、つまり逆極性の(+)帯電トナー回収モードによって帯電装置21, 22, 23, 24に付着したトナーによる濃度ムラの発生を防ぐことができる。
【0042】
以上が、上記の如く構成されるフルカラープリンタにおける画像形成プロセスであるが、ゼログラフィ方式等では、静電気を利用しているため、環境変動や経時によって画像濃度が変動しやすい。このため、環境変動や経時変化等に対して、プロセスを制御することが望ましい。
【0043】
その方法の一つとして、感光体や中間転写体、あるいは用紙への転写ロール、転写ベルト等の画像濃度検知媒体の表面に、テスト用のトナーパッチを形成し、その濃度を光学濃度センサで検知し、制御する方法がある。
【0044】
この実施の形態では、転写ロール60や二次中間転写ドラム53等の画像濃度検知媒体上において、その軸方向の同じ位置に、プロセス方向には位置をずらして、画像濃度制御用のトナー像(以下、「テストパッチ」という。)を形成することにより、1つの光学濃度検知手段で各色のテストパッチを検知することができるように構成されている。
【0045】
感光体ドラム11, 12, 13, 14上でテストパッチを検知するには、各感光体ドラム11, 12, 13, 14に対して、つまり4つの光学濃度検知手段が必要となってしまう。第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 上であれば、2つの光学濃度検知手段で良い。二次中間転写ドラム53上あるいは転写ロール60上であれば、1つの光学濃度検知手段で良い。また、テストパッチで画像濃度を制御する場合、下流のプロセスの方が用紙に近い条件となるので好ましい。つまり、二次中間転写ドラム53、更に好ましくは最終転写ロール60を、テストパッチの濃度を検知する画像濃度検知媒体とするのが良い。
【0046】
この実施の形態では、転写ロール60上にテストパッチを転写し、当該最終転写ロール60上に転写されたテストパッチの濃度を、光学濃度センサで検知するように構成されている。
【0047】
上記テストパッチは、非画像領域ここでは画像を形成していないタイミングで、画像形成時と同じ帯電、露光、現像、転写条件で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン (C)、ブラック(K)の各色につき、像密度40%あるいは他の像密度の12×12mmのテストパッチ200 を、図5に示すように、最終転写ロール60上に3 mmの間隔で形成するようになっている。
【0048】
上記光学濃度センサ100 は、図6に示すように、転写ロール60の軸方向の中央部に、当該転写ロール60の外周において、半径方向の延長線上に位置するように配置されている。この光学濃度センサ100 は、ホルダ101 内に固定した状態で取り付けられている。また、転写ロール60の下部には、クリーニングブレード801 を備えたクリーニング装置80が配設されている。なお、図6中、802 はトナー回収ボックス、803 は最終転写ロール60の支持フレーム、804 は支持フレーム803 に設けられた除電器、805 はバイアスプレートをそれぞれ示している。
【0049】
また、上記光学濃度センサ100 は、図7に示すように、鏡面反射光を検知する鏡面反射型のセンサとなっており、転写ロール60表面の検知位置に対して、所定の入射角度φだけ傾斜して配置されたLED等からなる発光素子102 と、この発光素子102 から最終転写ロール60表面の検知位置に照射され、当該検知位置から正反射される鏡面反射光を検知するため、転写ロール60表面の検知位置に対して、前記所定の入射角度と等しい反射角度だけ傾斜して配置されたフォトトランジスタ等からなる受光素子103 とから構成されている。
【0050】
なお、上記光学濃度センサ100 としては、図8に示すように、拡散光を検知する拡散反射型のセンサを用いてよい。また、鏡面反射型のセンサと拡散反射型のセンサの双方を用いても良い。この場合には、鏡面反射成分と散乱光成分の両方の値に基づいてトナー濃度を検知することにより、トナー濃度の検知精度を一層向上させることが可能となる。
【0051】
ところで、この実施の形態に係るクリーニング装置は、円筒状の像担持体又は円筒状の回転支持部材によって循環移動可能に支持されたベルト状の像担持体の表面に残留した少なくともトナーを含む残留物を除去するクリーニングブレードを有し、当該クリーニングブレードが固着されたブレード支持部材を、所定のクリーニングブレードの取付け部材に取付けるように構成されたクリーニング装置において、前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが略平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けるように構成されている。
【0052】
また、この実施の形態では、前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けるように構成されている。
【0053】
さらに、この実施の形態では、前記円筒状の像担持体が、感光体ドラム、中間転写体、転写ロールの少なくともいずれか1つからなるように構成されている。
【0054】
すなわち、この実施の形態1に係るクリーニング装置80は、図1に示すように、像担持体(被クリーニング部材)としての転写ロール60の表面に付着した残留トナーや紙粉、あるいはテストパッチ200 等の付着物をクリーニングブレード801 によって除去するように構成されている。また、上記クリーニングブレード801 は、図1及び図6に示すように、ブレード支持部材としてのホルダー板金806 に接着又はネジ止め等の手段によって取り付けられており、被クリーニング部材としての転写ロール60の表面に、所定の喰い込み量及び接触角で接触するように配設されている。さらに、上記ホルダー板金806 は、その途中で所定の角度だけ屈曲されており、当該ホルダー板金806 の基端部は、クリーニングブレード取付け部材としてのプリンター本体のハウジング807 の取付け面808 に、ネジ809 止め等の手段によって取り付けられている。
【0055】
そして、上記クリーニングブレード801 は、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部801 aとを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジング807 の取付け面808 とが略平行となるように、望ましくは平行となるように取付けられている。上記クリーニングブレード801 の先端エッジ部801 aは、弾性変形しない状態を基準として規定されている。ここで、「平行」とは、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジング807 の取付け面808 とが、文字通り平行となることを意味しており、「略平行」とは、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジング807 の取付け面808 とが、平行から小さいな角度だけ、例えば、後述するように、±5度だけずれていても良いことを意味している。
【0056】
上記クリーニングブレード801 は、例えば、ウレタン樹脂等によって、金型を用いた成型等で、所定の厚さ、所定の幅及び長さを有するブレード状に形成されている。このクリーニングブレード801 は、例えば、その自由長が7.5mmに、厚さが1.8mmにそれぞれ設定されている。また、上記クリーニングブレード801 の食い込み量は、0.75±0.35mmに設定されており、当該クリーニングブレード801 の取付け位置から先端エッジ部までの長さAは、その公差が±0.30mmに設定されている。さらに、上記クリーニングブレード801 の接触角yは、例えば、30度に設定されている。ここで、食い込み量とは、図1に示すように、クリーニングブレード801 が弾性変形しないと仮定した場合、当該クリーニングブレード801 が転写ロール60の表面に食い込んだ量を意味する。上記クリーニングブレード801 は、実際には転写ロール60の表面に当接して、当該転写ロール60の表面にならって弾性変形することは勿論である。上記接触角yも、同様にクリーニングブレード801 が弾性変形しないと仮定した場合に、クリーニングブレード801 が直線Lとなす角度を意味している。
【0057】
以上の構成において、この実施の形態に係るクリーニング装置の場合には、次のようにして、部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレードを所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能となっている。
【0058】
すなわち、上記実施の形態1に係るクリーニング装置80を適用したフルカラープリンター01の場合には、感光体ドラム11, 12, 13, 14から第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 へのトナー像の転写性、あるいは第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 から二次中間転写ドラム53への転写性、更には二次中間転写ドラム53から転写用紙P 上への転写性を良好とするため、前述したように、形状係数MLS2が100〜140の所謂" 球形トナー" を用いるように構成されている。なお、本発明は、" 球形トナー" 以外にも適用可能なことは勿論である。
【0059】
上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面には、画像情報に応じて、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が形成され、これらのイエロー(Y)及びマジェンタ(M)のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51上へ転写されるとともに、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム52上へ転写される。そして、上記第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 に転写されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、二次中間転写ドラム53上に多重に転写された後、当該二次中間転写ドラム53上から転写用紙Pに一括して転写され、当該転写用紙P上に定着されて、カラー画像が形成される。
【0060】
その際、上記の如くトナー像を形成するトナーとして" 球形トナー" を用いることによって、トナー像の転写性を向上させることができ、感光体ドラム11, 12, 13, 14、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、二次中間転写ドラム53上に残留するトナーの量を、従来に比べて大幅に低減させることができる。
【0061】
また、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14や第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、あるいは二次中間転写ドラム53上にトナーが微量に残留した場合であっても、前述したように、クリーニングモードにおいて、各感光体ドラム11, 12, 13, 14及び第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、更には二次中間転写ドラム53に電位勾配を設定することによって、当該感光体ドラム11, 12, 13, 14及び第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 、更には二次中間転写ドラム53の表面に残留したトナーを、最終的に転写ロール60上に集め、この転写ロール60上に集められた残留トナーを、クリーニング装置80のクリーニングブレード801 によって除去し、回収ボックスに回収することが可能となる。
【0062】
ところで、上記クリーニングブレード801 は、図1に示すように、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とが略平行となるように、望ましくは平行となるように取付けられている。
【0063】
そのため、上記クリーニングブレード801 の厚さ寸法等の公差に起因して、クリーニングブレード801 の取付け面から先端エッジまでの距離Bにバラツキが存在する場合でも、当該距離Bのバラツキは、クリーニングブレード801 の食い込み量に大きく影響を与えることがない。したがって、上記クリーニング装置80は、クリーニングブレード801 の成形時に厚さ寸法の誤差がある程度生じたり、クリーニングブレード801 をホルダー板金806 に貼り付ける際などに寸法誤差がある程度生じても、クリーニングブレード801 の食い込み量に大きく影響を与えることがなく、所定の食い込み量の公差の範囲内で使用することが可能となる。よって、上記クリーニング装置80の場合には、部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレード801 を所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレード801 の捲れ、あるいは転写ロール60の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能となっている。
【0064】
更に説明すると、上記クリーニング装置80の場合には、図9に示すように、クリーニングブレード801 の食い込み量が、例えば0.75±0.35mmに設定されており、転写ロール6 0の表面に対しては、食い込み量の上限値と下限値が、図の破線で示されている。これに対して、上記クリーニングブレード801 の厚さ寸法や取付け寸法等に公差があり、クリーニングブレード801 の取付け面から先端エッジまでの距離Bが変動した場合に、当該距離Bがどの程度変動しても食い込み量の公差の範囲内、つまり食い込み量の上限値と下限値の範囲内に入るかを、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とが平行の場合と、平行な角度から片側に1度ずつずらした場合を計算したものが図10である。なお、転写ロール60の直径は、20mmに設定されている。
【0065】
図10から明らかなように、転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とが平行の場合には、距離Bが片側に最大2.0mmずれても、クリーニングブレード801 の食い込み量が公差の範囲内に収まることがわかる。
【0066】
また、上記転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とが、平行から片側に5度ずれた場合、距離Bが片側に最大2.6mmずれても、クリーニングブレード801 の食い込み量が公差の範囲内に収まり、クリーニングブレード801 の厚さ寸法や一部の取付け寸法等の公差が大幅に広くなり、従来公差の範囲外として使用できなかったクリーニングブレード801 も使用することが可能となり、部品コストの上昇、あるいは組み立てコストや加工コストの増加を招くことなく、クリーニングブレードを所定の食い込み量に取付けることが可能であり、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れ、あるいは像担持体の回転トルクの増大などを招くことを防止することが可能となっている。
【0067】
さらに、上記転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とが、平行から片側に5度を越えてずれた場合、距離Bの許容範囲が6度のとき1.3mm、7度のとき0.9mm、・・・10度のとき0.6mmだけ片側にずれても、クリーニングブレード801 の食い込み量が公差の範囲内に収まることがわかる。
【0068】
したがって、上記転写ロール60の回転の回転中心とクリーニングブレード801 の先端エッジ部とを結ぶ直線Lと、プリンター本体のハウジングの取付け面とは、装置の設計上、平行に設定するのが望ましいが、平行から片側に5度ずれたとしても、距離Bの許容範囲が2.6mmと逆に大きくなっており、平行から±5度ずれても良いことがわかる。また、平行から±10度ずれた場合でも、距離Bの許容範囲が片側0.6mmとなるため、ある程度の効果が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を用いた画像形成装置としてのタンデム型フルカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を用いた画像形成装置としてのタンデム型フルカラープリンタの画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4は転写ロールを示す構成図である。
【図5】図5は転写ロール上に形成されたテストパッチを示す模式図である。
【図6】図6はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図7】図7は濃度センサを示す構成図である。
【図8】図8は濃度センサを示す構成図である。
【図9】図9はクリーニングブレードの寸法誤差を示す模式図である。
【図10】図10は計算結果を示す図表である。
【図11】図11は従来のクリーニング装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0070】
80:クリーニング装置、801 :クリーニングブレード、807 :ハウジング、808 :取付け面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の像担持体又は円筒状の回転支持部材によって循環移動可能に支持されたベルト状の像担持体の表面に残留した少なくともトナーを含む残留物を除去するクリーニングブレードを有し、当該クリーニングブレードが固着されたブレード支持部材を、所定のクリーニングブレードの取付け部材に取付けるように構成されたクリーニング装置において、
前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが略平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記円筒状の像担持体の回転中心、又はベルト状の像担持体を循環移動可能に支持する円筒状の回転支持部材の回転中心と前記クリーニングブレードの先端エッジ部とを結ぶ直線と、前記クリーニングブレード取付け部材の取付け面とが平行となるように、当該クリーニングブレードを取付けたことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記円筒状の像担持体が、感光体ドラム、中間転写体、転写ロールの少なくともいずれか1つからなることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−30269(P2006−30269A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204558(P2004−204558)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】