説明

クレーンのホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステム

【課題】クレーンのホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステムに関し、ケーブル力に基づく改善された負荷容量の決定を可能とするシステムを提供する。
【解決手段】このシステムは、ホイストケーブルにおけるケーブル負荷を測定する測定装置と、ケーブル力に基づいて負荷質量を決定する演算ユニットとを備え、演算ユニットは、ケーブル力を用いて負荷質量を間接的に決定することの影響をモデルで求めて、部分的に補正する補正ユニットを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステムであって、ケーブル力を測定するための測定配置と、該ケーブル力に基づいて前記負荷質量を決定する演算ユニットとを有するシステムを含む。
【背景技術】
【0002】
クレーンによって上昇させられる負荷の負荷質量を正確に決定することは、多くのアプリケーションにとって、非常に重要である。例えば、クレーンの荷重モーメントが制限されたシステムにとって、即ち、傾転の保護のため及び構造的な保護のために、荷重質量は重要である。それに加えて、負荷質量は、クレーンの性能に関するデータ取得のために非常に重要である。負荷質量の正確な決定によって、特に、運搬される全最大積載量を決定することができる。さらに、負荷質量は、負荷の揺れの制振のような、クレーンにおける他の制御処理のためのパラメータとしても非常に重要である。
【0003】
負荷質量を決定する一般的な方法は、ホイストケーブルのケーブル力を測定することである。この点において、ホイストケーブルにおけるケーブル力は、実質的には、少なくとも静的状態における負荷質量に対応する。
【0004】
この点において、ケーブル力を測定するための測定装置は、負荷吊り下げ手段に直接、配置することもできる。この負荷吊り下げ手段における配置は、外乱の影響が僅かであり、それによって、さらなる正確さを達成することができるという利点がある。しかしながら、この解決策は、電力供給及びそれに対応する、負荷吊り下げ手段への信号線が必要となる点で不利である。
【0005】
さらなる可能性は、測定装置を、クレーン構造とホイストケーブルとの間の接続領域、例えば、ディフレクションプーリ又はホイスティングギヤ(hoisting gear)に配置することである。これには、測定装置がとても頑丈となり、ケーブルの敷設が比較的簡単になるという利点がある。測定装置のこの配置は、さらに、外乱の影響が、ケーブル力からの負荷質量の正確な決定をより難しくするという点で不利である。
【0006】
この点において、ケーブル力を決定するための平均フィルタを使用することが既に知られている。しかしながら、その一方で、これは、信号出力において比較的大きな遅延を許容しなければならないという点で不利である。一方、複数の外乱は、平均フィルタで取り除くことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明の目的は、ホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステムであって、ケーブル力に基づく、改善された負荷質量の決定を可能とするシステムを供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明に従って、請求項1に係る装置によって実現される。ここで、クレーンのホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するための、本発明に係るシステムは、ホイストケーブルにおけるケーブル力を測定するために用意された測定装置と、前記ケーブル力に基づいて前記負荷質量を決定するための演算ユニットとを備えている。本発明によれば、前記演算ユニットは、前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの影響をモデルにおいて求めて、前記負荷質量を決定する際に該影響を少なくとも部分的に補正する補正ユニットを有する。
【0009】
一方、この点において、前記補正ユニットは、前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの静的な影響を少なくとも部分的に補正するように構成され得る。このため、本発明によれば、間接的に決定することの静的な影響がモデル化されて、補正ユニットにより補正される。これにより、平均値フィルタが静的な影響を全く取り除くことができなかったために平均値フィルタによっては全く不可能であった、負荷質量の実質的により正確な決定がもたらされる。
【0010】
代わりに、又は、それに加えて、前記補正ユニットは、前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの動的な影響も少なくとも部分的に補正するように構成され得る。このため、前記補正ユニットは、動的影響をモデル化して負荷質量を決定する際に補正するようにも構成され得る。
【0011】
本発明によれば、有利には、前記補正ユニットは、前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの静的及び/又は動的な影響をモデル化した、昇降動作の物理的モデルに基づくように構成され得る。前記補正ユニットは、少なくともこれらの静的及び/又は動的な影響をこのモデルによって補正することができる。
【0012】
ここで、有利には、前記補正ユニットは、前記クレーンの位置及び/又は移動についてのデータに基づいて作動するように構成され得る。
【0013】
この点において、前記補正ユニットには、有利には、ホイスティングギヤの位置及び/若しくは移動についてのデータ、並びに/又は、ブーム及び/若しくはタワーの位置及び/若しくは移動についてのデータが含まれる。
【0014】
ここで、有利には、前記測定装置は、前記クレーン構造の要素と前記ホイストケーブルとの間の連結要素、特にディフレクションプーリ又はホイスティングギヤに配置されるように構成される。ここで、有利には、前記補正ユニットは、前記測定装置の配置の静的及び/又は動的な影響を少なくとも部分的に補正するように構成される。ここで、有利には、補正ユニットは、前記測定装置の配置の前記ケーブル力への影響を補正する。
【0015】
ここで、有利には、前記補正ユニットは、前記ホイストケーブルの正味重量を考慮に入れるケーブル質量補正部を有するように構成される。前記ホイストケーブルは、無視できず、本発明による負荷質量の決定をもはや偽ることのできない正味重量を有している。ここで、前記補正ユニットは、有利には、負荷質量を計算する際に、負荷を上げ下げするときのケーブル長さの変化の影響を考慮に入れる。本発明のシステムは、これを考慮に入れる。
【0016】
ここで、本システムは、有利には、ウインチを有するホイスティングギヤにおいて用いられ、ウインチの回転角度及び又は回転速度が前記ケーブル質量補正部において入力値として含まれる。ケーブル長さ及び/又はケーブル速度は、回転角度及び/又は回転速度に基づいて決定されることができ、前記ケーブル力へのその/それらの影響は、前記負荷質量の計算において考慮に入れられ得る。
【0017】
代わりに、ケーブル長さ及び/又はケーブル速度は、測定ロールによっても決定され得る。例えば、それは、前記ケーブルに個別に配置されることができ、又は、ディフレクションプーリとして作られ得る。
【0018】
さらに有利には、前記ケーブル質量補正部は、前記ウインチに巻かれたホイストケーブルの正味重量を考慮するように構成される。これは、ウインチに巻かれたケーブルは測定装置に支持されていて測定値に影響を与えるので、ケーブル力を測定するために測定装置がホイストウインチ、特にホイストウインチのトルク支持部に配置されているときに、特に有効である。
【0019】
さらに有利には、前記ケーブル質量補正部は、クレーン構造の移動によって変化する、ホイストケーブルの各部分の長さを考慮に入れる、及び/又は、ホイストケーブルの各部分の配置を考慮に入れるように構成される。これは、クレーン構造の移動、特にブームの移動に基づいてその長さ及び配置が変化するホイストケーブルシステムを有するようなクレーンにおいて、特に重要である。とりわけ、これは、ケーブルがクレーンにおいてブームと平行に案内されておらず、むしろ、ブームに対するケーブルの角度がブームの上げ下げにより変化する場合である。このように、クレーン構造、特にブームの位置に依存して、ホイストケーブルの各部分の長さ及び配置が異なるようになり、続いて、測定装置の出力信号へ、ホイストケーブルの正味重量の影響を与える。
【0020】
さらに有利には、補正ユニットは、1つ又は複数の前記ディフレクションプーリ回りでの前記ホイストケーブルの曲げによって生じる摩擦の影響を考慮に入れるディフレクションプーリ補正部を有するように構成される。ここで、特に、ホイストケーブルの曲げ撓みのために要する曲げ仕事は、有利には、摩擦の影響として考慮される。代わりに、又は、それに加えて、ディフレクションプーリにおける回転摩擦も考慮に入れられ得る。
【0021】
ここで、有利には、前記ディフレクションプーリ補正部は、ディフレクションプーリの回転方向及び/又は回転速度を考慮に入れるように構成される。この点において、特に、回転方向は、ケーブル力に対して、わずかではない影響を有している。
【0022】
ここで、有利には、前記ディフレクションプーリ補正部は、前記クレーン構造の移動及びホイスティングギヤの移動によって生じるディフレクションプーリの回転の方向及び/又は回転の速度を計算する。特に、タワーとブームとの間のホイストケーブルに多軸型のディフレクションプーリが設けられている場合には、前記測定装置の出力信号への対応する影響を有する複雑な移動パターンが生じ得る。
【0023】
ここで、有利には、前記ディフレクションプーリ補正部は、前記測定されたケーブル力に依存して、摩擦の影響を決定する。ここで、有利には、線形関数は物理的状況を相対的に良好に近似するので、摩擦の影響は、前記測定されたケーブル力の線形関数に基づいて決定される。
【0024】
さらに有利には、本発明に係るシステムでは、前記補正ユニットは、負荷質量を決定する際に、前記ケーブル力への、負荷質量及び/又はホイスティングギヤの加速の影響を考慮に入れるように構成される。ここで、負荷質量及び/又はホイスティングギヤの加速は、本発明に係る補正によって少なくとも部分的に補正される、ホイスト力の動的成分を生じさせる。ここで、有利には、補正ユニットは、前記ケーブル力への負荷質量及び/又はホイスティングギヤの加速の影響を表す物理的モデルに基づいて動作する。
【0025】
さらに有利には、前記演算ユニットは、前記負荷質量の決定の際に、前記ホイストケーブルの弾性によって生じる振動力学を考慮に入れるように構成される。ホイスティングギヤに起因して誘導される加速によって生じる加速に加えて、ケーブル及び負荷のシステムはまた、前記ホイストケーブルの弾性によって生じる振動力学を有する。有利には、前記補正ユニットは、これらの振動力学を少なくとも部分的に補正する。ここで、有利には、振動力学の補正のための前記補正ユニットは、物理的モデルに基づいている。
【0026】
ここで、本発明に係るシステムの演算ユニットは、有利には、前記ケーブル及び負荷のバネ質量モデルに基づく負荷質量オブザーバを有する。ここで、有利には、実際の負荷の質量の他に負荷吊り下げ手段及び吊り紐の質量が、モデルに表されている。その一方、前記ウインチと負荷吊り下げ手段との間のケーブルは、バネとしてモデルに含まれている。
【0027】
ここて、有利には、負荷質量オブザーバは、予め測定されたケーブル力に基づいて、前記測定されたケーブル力とバネ質量モデルを参照して予測したケーブル力とを絶えず、比較する。この比較に基づいて、前記負荷質量オブザーバは、ケーブル及び負荷のバネ質量モデルにおいてパラメータとして含まれる、負荷の負荷質量を推定する。これにより、負荷質量は、高い正確性で、動的な影響が補正された状態で決定される。
【0028】
ここで、負荷質量オブザーバは、有利には、測定された信号の測定ノイズを考慮に入れる。有利には、この目的のために、白色ノイズがない平均値が用いられる。
【0029】
有利には、ケーブル力を決定するための測定装置の出力信号に加えて、ケーブルの長さに関するデータが測定された信号として含まれる。ここで、有利には、許容最大負荷に関してノルムが定義されたケーブル力が、前記負荷質量オブザーバのパラメータとして使用される。
【0030】
さらに、本発明は、前述の、ホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステムを備えたクレーンを含む。ここで、クレーンは、特に、ブームが水平なラフィング軸回りに上下動され得るブームクレーンである。さらに有利には、クレーンは、鉛直な回転軸回りに回転可能である。ここで、特に、ブームは、下部構造に関して鉛直な回転軸回りに回転可能なタワーに揺動可能に連結されている。ここで、特に、ブームは、港の移動式クレーンであり得る。しかしながら、本発明に係るシステムは、他のクレーンタイプ、例えば、ガントリークレーン又はタワー旋回クレーンにおいても同様に用いられ得る。
【0031】
ここで、有利には、システムは、前記ケーブル力を測定するための測定装置がクレーン構造の要素とホイストケーブルとの間の連結要素、特に、ディフレクションプーリ又はホイスティングギヤに配置されたクレーンにおいて用いられ得る。これにより、とても頑丈であって、それにもかかわらず、本発明に係るシステムによって負荷質量の正確な決定が可能な配置がもたらされる。
【0032】
ここで、本発明に係るシステムによって、従来の不正確なシステムでは実現できなかった様々な適用が可能である。例えば、本発明に係るシステムに基づいて、負荷が降ろされていることを見分ける、ケーブルの弛み認識を導入することができる。その結果、巻かれていないケーブルによるケーブルの損傷を防ぐための、ホイスティングギヤの緊急のスイッチオフが行われるようになる。これにより、弛んだケーブルの機械的なスイッチは、任意に、無くされる。加えて、ここでは、空のコンテナのようなとても小さな負荷の認識も同様に可能となる。
【0033】
さらに、本発明に係るシステムは、負荷質量を、より大きな時間遅れ無しに決定できるという、平均フィルタに対する大きな利点がある。これにより、負荷質量信号が負荷モーメント制限システムに使用されるときに停止がほとんど生じなくなるので、回転率が高くなる。それに加えて、負荷モーメント制限システムが、大きな時間遅れ無しに介入するので、クレーンの耐用年数が長くなり得る。
【0034】
さらに、システム及びクレーンに加えて、本発明は、ホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定する方法であって、ホイストケーブルにおけるケーブル力を測定するステップと、該ケーブル力に基づいて負荷質量を演算するステップとを含み、該ケーブル力によって負荷質量を決定することの影響をモデルにおいて求めて、少なくとも部分的に補正する方法を備えている。
【0035】
ここで、特に、補正は、この決定による静的及び/又は動的影響に基づいて実行される。これにより、これらの影響は、補正ユニットによって演算され、少なくとも部分的に補正される。
【0036】
本発明に係る方法は、有利には、システム及びクレーンに関して上述されたように実行される。ここで、特に、本発明に係る方法は、上述のシステムによって実行される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るクレーンの実施形態である。
【図2】本発明に係るシステム及び方法の実施形態の概略図である。
【図3】ホイストウインチにおける測定装置の配置である。
【図4】ホイストウインチにおける測定装置の配置及びディフレクションプーリによるホイストケーブルのケーブル案内である。
【図5】ディフレクションプーリ補正部において考慮される力を示す図である。
【図6】ケーブル質量補正部において考慮される力を示す図である。
【図7】本発明に係るケーブル質量オブザーバに基づく質量バネモデルの概略図である。
【図8】本発明に係るケーブル質量オブザーバの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、本発明は、実施形態及び図面を参照しながら、さらに詳細に説明される。
【0039】
図1は本発明に係るクレーンの実施形態を示す。そこでは、クレーンケーブルに吊り下げられた負荷の負荷質量を決定するための本発明に係るシステムの実施形態が使用されている。実施形態におけるクレーンは、港の移動式クレーンである。この点において、クレーンは、シャーシ9を有する下部構造1を備えている。これにより、クレーンは、港内を移動させられる。持ち上げ場所においては、クレーンは、サポートユニット10によって支持され得る。
【0040】
タワー2は、鉛直な回転軸回りに回転可能に、下部構造1の上に配置されている。ブーム5は、水平軸回りに回転可能に、タワー2に結合されている。この点において、ブーム5は、液圧シリンダ7によって、ラフィング平面内を上下に旋回され得る。
【0041】
この点において、クレーンは、ブームの先端においてディフレクションプーリの回りに巻回されたホイストケーブル4を備えている。負荷3を持ち上げることができる負荷吊り下げ手段12が、ホイストケーブル4の終端に配置されている。ここで、負荷吊り下げ手段12又は負荷3は、ホイストケーブル4を動かすことによって、上げられたり、下げられたりする。負荷吊り下げ手段12又は負荷3の鉛直方向における位置の変化は、ホイストケーブル4の長さlsを減少させたり、増加させることによって起こる。このために、ホイストケーブルを動かすウインチ13が設けられている。ここで、ウインチ13は、上部構造に配置されている。さらに、ホイストケーブル4は、始め、ウインチ13から、タワー2の先端の第1ディフレクションプーリ6を介して、ブーム5の先端のディフレクションプーリ14まで案内され、そこからタワー2に戻って、そこで第2ディフレクションプーリ8を介してブームの先端のディフレクションプーリ11へ案内され、そこから、ホイストケーブルは負荷3の方へ垂れ下がっている。
【0042】
負荷吊り下げ手段12又は負荷は、さらに、タワー2を角度φで回転させることによって水平方向へ移動させられ、角度φでブーム5を上下させることによって移動させられる。上部構造にウインチ13を配置することによって、半径方向への負荷の移動に加えて、ブーム5を上下動するときに負荷3の上昇移動が生じる。これは、ウインチ13の対応する制御によって任意に補正されなければならない。
【0043】
図2は、クレーンのホイストケーブルに吊り下げられた負荷の負荷質量を決定するための本発明に係るシステムの実施形態を示す。ここで、ホイストケーブルのケーブル力を測定するための測定装置から生成された信号20は、システムの入力値として機能する。この信号は、本発明に係る、負荷質量を決定するための演算ユニット26に供給される。演算ユニット26は、正確な負荷質量を出力信号24として供給する。演算ユニットは、ケーブル力から負荷質量を決定する影響を少なくとも部分的に補正する補正ユニットを有している。補正ユニットは、クレーン状態ユニット25から演算ユニット26に送信されるクレーン状態に関するデータに基づいて、該影響を演算する。ここで、特に、ブームの上下動の角度又は上下動の角速度が演算ユニットにおいて利用される。さらに、特にホイストウインチ13の位置及び/又は速度によって決定されるケーブル長さ及び/又はケーブル速度が、演算ユニットに含まれ得る。
【0044】
ここで、補正ユニットは、ケーブル力及び負荷質量への、ホイストシステムの各構成要素の影響を計算することができるホイストシステムの物理的モデルに基づいている。これにより、補正ユニットは、これらの影響を計算して、少なくとも部分的に補正することができる。
【0045】
ここで、本実施形態では、補正ユニットは、3つの構成要素を有している。ただし、それらは、互いに独立にも使用され得る。ここで、補正ユニットは、まず、ディフレクションプーリにおけるケーブルの摩擦を補正するディフレクションプーリ補正部21を有している。さらに、補正ユニットは、ケーブル力へ、ひいては、負荷質量へのケーブルの重さの影響を補正するケーブル質量補正部を有している。さらに、補正ユニットは、負荷又はホイスティングギヤの加速による信号への動的干渉、特に、ホイストケーブル及び負荷のシステム固有の動力学のために生じる動的干渉を考慮した負荷質量オブザーバ23を有している。
【0046】
ここで、本発明に係るシステムの個々の構成要素は、詳細に説明される。
【0047】
本発明に係るクレーンのホイストウインチは、該ホイストウインチに配置され、ケーブル力を測定するための測定装置34と共に、図3a,3bに示される。ここで、ホイストウインチ30は、2つのフレーム要素31,35において、回転軸32回りに回転可能に設けられている。力測定装置34は、フレーム要素31にトルク支持部として配置されている。ここで、フレーム要素31は、軸33回りに回転可能にクレーンに結合されている。フレーム要素31は、反対側の位置で、力測定装置34によって回転可能にクレーンに結合されている。ここで、力測定装置34は、棒状に形成されており、ボルト設備36を介してフレーム31に、ボルト設備37を介してクレーンにボルト締結されている。ここで、張力ロードセル(TLC)が力測定装置34として使用され得る。代わりに、例えば、ロードボルト(load bolt)又はロードセルも、力測定装置34として使用し得る。
【0048】
ケーブル力Fは、クレーン構造とウインチとの間に力測定装置34が配置されているために始めにウインチに作用して、ウインチフレームを介して力測定装置34に作用し、そこで、カーブル力Fによって力FTLCが発生する。
【0049】
力測定装置34によって測定されたから力FTLCケーブル力Fを計算するために、ウインチにおける力測定装置34の配置の幾何学形状が考慮されなければならない。ここで、力測定装置34に支持され、それ故にケーブル力に対抗して作用する、ウインチ自体の質量も考慮されなければならない。
【0050】
それに加えて、図3bに示すように、力測定装置34は2つのフレーム要素31,35の一方だけに配置されていることも、場合によっては考慮しなければならない。この点において、フレーム要素35はクレーン構造に固定的にボルト締結されている。ホイストウインチのための駆動装置は、このフレーム要素35に配置される。
【0051】
ここで再び、ケーブル力、又は、測定装置34により測定された力を参照するだけでなく、このプロセスで生じる力も参照した負荷質量の測定原理が、全て図4に示されている。
【0052】
ここで、ホイストケーブル4は、ウインチ30からディフレクションプーリ6,14,8を介して、ブーム先端のディフレクションプーリ11まで延び、そこから、ホイストケーブル4は負荷3まで引き延ばされている。ここで、負荷3の質量によってホイストケーブル4において力が発生し、ホイストケーブルはそれをウインチ30に伝える。この点において、ウインチ30は、ウインチフレームに回転可能に結合されており、それに対応する力を作用させる。これにより、力FTLCが、ウインチフレームのフレーム要素31をクレーン構造に連結する力測定装置34に伝えられる。ホイストケーブル、ホイストウインチ、ウインチフレーム及び力測定装置の間の幾何学的関係のために、力測定装置34により測定された力から、負荷の質量の結論を出すことが可能である。
【0053】
しかしながら、クレーン構造とホイストケーブルとの間の連結要素中に測定装置が配置されているため、補正無しの負荷質量の決定においては、かなりの不正確さを引き起こし得る、一連の影響が生じる。
【0054】
この点において、まず、ディフレクションプーリにおける摩擦効果を補正する、本発明に係るディフレクションプーリ補正部について、図5を参照しながら、より詳細に説明する。ここで、ホイストケーブル4は、ディフレクションプーリ6,14,8,11において、何れのケースも特定の角度で曲げられる。これにより、ケーブル力に一連の摩擦の影響が生じる。この点において、測定装置によって測定される力を状況に応じて、特に、ディフレクションプーリの回転方向に応じて増加又は減少させる摩擦力が、各ディフレクションプーリにおいて発生する。
【0055】
ここにおいて、ストリーベック曲線(Striebeck curve)に従って決定される転がり摩擦が、ディフレクションプーリの軸受に生じる。しかしながら、この転がり摩擦は、比較的小さく、そのため、無視できる。ディフレクションプーリにおけるホイストケーブルの角度的な曲げは、より大きな影響を有している。ここにおいて、ホイストケーブルは、ディフレクションプーリに巻き掛かるときと、ディフレクションプーリから離れるときとの両方で変形する傾向にあり、それにより、それに相当する変形のための仕事量が必要となる。ここで、ディフレクションプーリにおけるホイストケーブルの変形のために生じる摩擦の大きさは、ディフレクションプーリの半径及びケーブル力によって実質的に決定される。
【0056】
この点において、測定により、各ディフレクションプーリにおける摩擦の総量は、実質的に、ケーブル力に対して線形的に大きくなることがわかっている。その一方、ディフレクションプーリの角速度は、摩擦にほとんど影響を与えない。しかしながら、この点において、各ディフレクションプーリにおける摩擦は、ディフレクションプーリの回転方向に応じて、測定された摩擦力に足されなければならないか、又は、そこから引かれなければならないことに留意しなければならない。ここで、負荷を上げているときには、ディフレクションプーリの摩擦力は、ホイストウインチによって生成される吊り上げ力に対抗するように作用し、測定されたケーブル力をその摩擦力により増大させる。それに対して、負荷がホイスティングギヤによって降ろされているときには、測定されたケーブル力は対応する量だけ減じられる。
【0057】
ここにおいて、さらに、ホイストケーブルは、タワーの先端に配置された2つのディフレクションプーリ6,8とブームの先端の2つのディフレクションプーリ14,11との間を案内されて、行ったり来たりすることを考慮に入れなければならない。そのため、ディフレクションプーリ6は、巻き上げ機構の移動無しには動かない一方で、ブームが上下動するときにディフレクションプーリ8,11,14の移動も同様に生じる。したがって、ブームが上下動するときには、巻き上げ機構によって負荷を上げ下げするときの摩擦力の3/4に相当する摩擦力が生じる。
【0058】
ここで、本発明に係る補正ユニットは、ディフレクションプーリにおける摩擦を通じて生じる影響を補正する。このために、補正ユニットは、ホイスティングギヤ及びブームの位置及び/又は移動に基づいてディフレクションプーリのそれぞれの回転方向を決定する。ここで、ディフレクションプーリの複雑な移動パターンが、ホイスティングギヤ及びブームの複合的な動きにおいて非常によく起こり得り、全てのディフレクションプーリがケーブル力に対して同じ符号とはならないことを考慮に入れなければならない。そのため、ディフレクションプーリ補正は、ウインチ速度及びブームの上下動速度に基づいて実行されることが有利である。
【0059】
本発明に係る演算ユニットは、さらに、ケーブル質量補正を含み、これは図6を参照してさらに詳細に説明される。測定装置34の測定信号からのケーブル力の計算においては、前述の如く、力測定装置34に支持されているウインチの重量F36が、まず考慮に入れられなければならない。しかしながら、ホイストケーブルはさらに、少なくとも部分的にウインチに巻き掛けられている。このように、ホイストウインチに巻き掛けられたホイストケーブルの質量も同様に力測定装置34に支持されている。そのため、ウインチに巻き掛けられたホイストケーブルの荷重FRW37も考慮に入れられなければならない。例えば、この荷重は、ホイストウインチの回転角度に基づいて決定され得る。
【0060】
さらに、ケーブルのディフレクションプーリ間の個々の部分の質量も、ケーブル力への、ひいては負荷質量の決定への影響を有する。この点において、ケーブルの部分41,42は、ケーブルの質量のために、測定されたケーブル力を増大させる一方、ケーブルの部分43,44,45は、測定されたケーブル力を減少させる。ケーブルの部分の長さ及び水平方向に対する角度は、この影響を計算する際に、それぞれ考慮されなければならない。このプロセスにおいて、ケーブルの部分45だけが不変の長さ及び不変の角度を有することが考慮されなければならない。それに対して、部分41は、負荷を上げ下げするときに長さが変わる。部分42−44は、ブームの上下動によって、長さ及び配列が次々に変わる。そのため、ケーブル質量補正は、ブーム及びホイストウインチの位置に基づいて行われる。
【0061】
このように、ディフレクションプーリ補正及びケーブル質量補正は、実質的に、ホイストウインチにおける測定装置の配置の影響を補正する。ホイストウインチにおける前記測定装置の配置の代わりに、測定装置をディフレクションプーリの1つ、特に、ブーム先端のディフレクションプーリ8に組み込むことも考えられる。測定装置のこのような配置においては、測定された力への摩擦の影響及びケーブル質量の影響は、測定装置の異なる配置に応じて適合されなければならないが、上述の原理に従って補正が順次行われる。
【0062】
本発明に係るシステムは、クレーン構造とホイストケーブルとの間の接続要素における測定装置の配置が有する、負荷質量の決定への系統的な影響を考慮に入れるだけでなく、負荷質量及び/又はホイスティングギヤの加速並びにホイストケーブルの弾性に基づく動的作用も補正する。
【0063】
この点において、ホイストケーブル及び負荷のシステムは、実質的に、ホイストケーブルの弾性に起因してホイスティングギヤによって励起されるバネ質量系の振り子を形成する。これにより、質量負荷に対応するケーブル力信号の静的な部分に重ね合わされる振動が生じる。このプロセスにおいて、負荷質量オブザーバは、ホイストケーブル及び負荷のバネ質量系の物理的モデルに基づいている。ここで、モデルを図7に概略的に示す。負荷質量オブザーバ23は、物理的モデルにパラメータとして用いられる正確な負荷質量を、このモデルから求められるケーブル力と測定されたケーブル力とを比較することによって推定する。
【0064】
拡張カルマンフィルタ(EKF)として組み込まれる、本発明に係る負荷質量オブザーバの実施形態が、より詳しく、以下に説明される。
【0065】
2 ホイスティングギヤ列のモデル化
ホイスティンギヤ列のための動力学的モデルが、以下のセクションで導かれる。図1は、港の移動式クレーン(LHM)の全構造を示している。質量mの負荷は、負荷吊り下げ手段を用いてクレーンによって上げられ、全長lのケーブルを介してホイストウインチに連結されている。ケーブルは、負荷吊り下げ手段から、ブーム先端及びタワーにおける各ディフレクションプーリによって曲げられている。ここで、ケーブルはブーム先端からホイストウインチへ直接曲げられているのではなく、ブーム先端からタワーへ向かい、ブーム先端へ戻り、そこからタワーを介してホイストウインチへ曲げられていることに留意しなければならない(図1参照)。こうして、ケーブルの全長は、以下のようになる。
【0066】
【数1】

【0067】
ここで、l,l,lは、ホイストウインチからタワーまでの部分の長さ、タワーからブーム先端までの部分の長さ、ブーム先端から負荷吊り下げ手段までの部分の長さである。ホイストウインチ、ケーブル及び負荷質量を有するホイスティングギヤ列は、以下のバネ質量系として簡略化された形にモデル化され、図7に示される。
【0068】
ニュートンの運動の法則によれば、バネ質量減衰系の運動方程式は以下のようになる。
【0069】
【数2】

【0070】
ここで、重力加速度g、バネ定数c、減衰係数d、負荷位置z、負荷速度z'及び負荷加速度z''である。ケーブル速度は、l'は、以下のように、ウインチ速度φ'及びウインチ半径rから得られる。
【0071】
【数3】

【0072】
長さlのケーブルのバネ剛性cは、フックの法則を用いて、以下のように計算され得る。
【0073】
【数4】

【0074】
ここで、E及びAは、弾性率及びケーブルの断面積である。港の移動式クレーンnにおいては平行なケーブルで負荷を上げるので(図1参照)、ホイスティングギヤ列のバネ剛性cは、以下のようになる。
【0075】
【数5】

【0076】
ホイスティングギヤ列の減衰係数dは、以下のように得られる。
【0077】
【数6】

【0078】
ここで、Dは、ケーブルの、Lehrの減衰係数を示している。
【0079】
負荷質量オブザーバの主な目的は、当時最新の負荷質量の推定であるので、負荷質量に対して動力学的方程式が導かれなければならない。負荷質量mは、このワークの範囲内での酔歩過程としてモデル化されており、すなわち、mは、平均自由白色ノイズの干渉を受ける。こうして、以下の、負荷質量についての動力学的方程式が導かれる。
【0080】
【数7】

【0081】
ここで、γは、平均自由白色ノイズを示す。
3.オブザーバ設計
EKFに基づくオブザーバは、このセクションで設計される。ここで、個々のパラメータの値の範囲は大きく異なることに留意しなければならない。通常、ケーブル長さl及び負荷位置zは、100mから200mの間であり、ケーブル速度l'及び負荷速度z'は、0m/sから2m/sの間であり、負荷質量は、0kgから150×10kgの間である。それに加えて、2つのパラメータE及びAは、とても異なる値の範囲を有する。これらの値の範囲、オブザーバのオンライン式の推定において、数値的な問題を引き起こし得る。これらの数値的な問題を回避するために、オブザーバ設計のための新しいパラメータを導入する。
【0082】
【数8】

【0083】
ここで、mmaxは、各クレーンのタイプにおける最大許容持ち上げ負荷である。それに加えて、負荷質量mはオブザーバには直接使用されず、ノルムが定義された負荷質量m/mmaxが使用される。
【0084】
ウインチ位置φは、クレーンにおいて増分発生器(incremental generator)を介して測定され、ウインチ速度φ'が測定される。力測定センサは、ウインチにおいて測定されたケーブル力Fを供給する。ケーブル長さ及びケーブル速度は、ウインチ位置及びウインチ速度から式(3)によって計算され得る。ウインチにおいて測定されたケーブル力Fに関して、ここでは、負荷質量に基づく力だけでなく、ディフレクションプーリの摩擦の影響やケーブルの正味重量も測定されていることに留意しなければならない。しかしながら、これらの干渉の影響は、補正アルゴリズムによって取り除くことができ、当時最新のバネ力F(式(2)参照)は、ウインチにおいて測定されたケーブル力Fから計算され得る。
【0085】
システムの入力パラメータu及び出力パラメータyは、始め、オブザーバ設計のために定義されなければならない。当面の問題のため、ケーブル速度l'が唯一のシステム入力として選択される。ケーブル長さl及びノルムが定義されたバネ力F/mmaxが、出力パラメータとして選択される。
【0086】
式(2)、(4)、(5)、(6)、(8)を含む動力学的モデルは、状態ベクトルを用いた状態空間に変換される。
【0087】
【数9】

【0088】
結果としてシステムは、一階微分方程式で以下のようになる。
【0089】
【数10】

【0090】
ここで、
【0091】
【数11】

【0092】
【数12】

【0093】
【数13】

【0094】
前述したように、オブザーバはEKFとして実現される。EKFは、非線形で、離散時間型のシステムのためのオブザーバであり、推定誤差である、
【0095】
【数14】

【0096】
の誤差の共分散を各時間ステップにおいて最小にする[3]。
【0097】
【数15】

【0098】
ここで、
【0099】
【数16】

【0100】
は、当時最新の推定状態を表す。離散サンプリングレートΔtを有する、
【0101】
【数17】

【0102】
が式(13)及び以下に適用される。しかしながら、状態空間表現(9)は、連続系を表しているので、前述のシステムは、以下のように、オイラーの順方向方法[2]を使って離散化される。
【0103】
EKFは、状態の推定のために、各時間ステップにおいて予測ステップ及び修正ステップを行う。次の時間ステップへの状態は、予測ステップ中においてシステム方程式(9)に基づいて予測される。
【0104】
【数18】

【0105】
システム状態に加えて、予測ステップ中において、誤差共分散マトリックスも予測される。
【0106】
【数19】

【0107】
ここで、Pk−1は、時間ステップ(k−1)Δtへの誤差共分散マトリックスであり、Aは、最新状態についての線形化システムの遷移マトリックスであり、Qは、システムノイズの時間離散共変マトリックスである。Aは、行列指数関数のテイラー級数によって第1要素まで近似的に計算される。
【0108】
【数20】

【0109】
図8は、負荷質量オブザーバの実施形態のブロック図を示す。ウインチで測定された力Fに加えて、ホイストケーブルの長さlが、負荷質量オブザーバの測定信号として含まれる。ここで、全ての力は、上記で詳しく説明したように、始め、ケーブル重量及び摩擦の影響に関して補正され、最大許容負荷質量mmaxで規準化される。それから、負荷質量オブザーバは、規準化された負荷質量をxとして推定し、このxは、mmaxを乗じることによって結果的に再び負荷質量mに変換される。それに加えて、負荷質量オブザーバは、ケーブル長さl、負荷の位置z及び負荷速度z'も推定し、これらは、同様に制御の目的で使用され得る。
【0110】
本発明は、ホイストウインチのトルク支持部又はディフレクションプーリのようなクレーン構造とホイストケーブルとの間の連結要素によるケーブル力を測定する測定装置の配置の影響と、ホイストケーブルの弾性により生じる動力学的影響との両方が考慮される、負荷質量の正確な決定を可能とする。この点において、負荷質量は、制御作業及びデータ評価の何れにも使用され得る。特に、負荷質量は、例えば、データベースのような記憶ユニットに各昇降機ごとに記録され、評価され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するためのシステムであって、
ホイストケーブルにおけるケーブル力を測定するための測定装置と、
前記ケーブル力に基づいて前記負荷質量を決定するための演算ユニットとを備え、
前記演算ユニットは、前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの影響をモデルにおいて求めて、該影響を少なくとも部分的に補正する補正ユニットを有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記補正ユニットは、前記クレーンの位置及び/若しくは移動についてのデータに基づいて、特に、ホイスティングギヤの位置及び/若しくは移動についてのデータ、並びに/又は、ブーム及び/若しくはタワーの位置及び/若しくは移動についてのデータに基づいて機能するシステム。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムにおいて、
前記クレーンは、該クレーンの前記ホイストケーブルによって運ばれる負荷を上げ下げするためのホイスティングギヤを有し、
前記ホイストケーブルは、前記クレーンの少なくとも1つのディフレクションプーリを用いて、前記測定装置から前記負荷まで導かれていると共に/か又は、前記ホイストケーブルにおけるケーブル力を測定するための前記測定装置は、ディフレクションプーリ若しくはホイスティングギヤに配置されており、
前記補正ユニットは、結果となる負荷質量への前記測定装置の配置の影響を少なくとも部分的に補正するシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、
前記補正ユニットは、前記負荷質量の計算において前記ホイストケーブルの重量、特に前記負荷が上げ下げされるときの前記ケーブルの長さの変化の影響を考慮に入れるケーブル質量補正部を有し、
前記ホイスティングギヤは、ウインチを有し、
前記ウインチの回転角度及び/又は回転速度は、前記ケーブル質量補正部の入力パラメータとして用いられるシステム。
【請求項5】
請求項4のシステムにおいて、
前記ケーブル質量補正部は、前記ウインチに巻き付けられた前記ホイストケーブルの重量を考慮に入れるシステム。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1つのシステムにおいて、
前記ケーブル質量補正部は、前記クレーン構造の移動によって生じる、前記ホイストケーブルの各部分の長さ及び/又は配置の変化を考慮に入れるシステム。
【請求項7】
前記請求項の何れか1つのシステムにおいて、
前記補正ユニットは、1つ又は複数の前記ディフレクションプーリ回りでの前記ホイストケーブルの曲げによって生じる摩擦の影響を考慮に入れるディフレクションプーリ補正部を有するシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムにおいて、
前記ディフレクションプーリ補正部は、前記ディフレクションプーリの回転方向及び/又は回転速度を考慮に入れ、
前記ディフレクションプーリ補正部は、前記クレーン構造の移動及び/又は前記ホイスティングギヤの移動によって生じる前記ディフレクションプーリの回転の方向及び/又は回転の速度を計算するシステム。
【請求項9】
請求項7又は8のシステムにおいて、
前記ディフレクションプーリ補正部は、前記測定されたケーブル力に依存して、特に前記測定されたケーブル力の線形関数に基づいて、摩擦の影響を計算するシステム。
【請求項10】
前記請求項の何れか1つのシステムにおいて、
前記補正ユニットは、前記負荷質量の決定において、前記ケーブル力への該負荷質量及び/又はホイスティングギヤの加速の影響を考慮に入れるシステム。
【請求項11】
請求項10のシステムにおいて、
前記演算ユニットは、前記負荷質量の決定において、前記ホイストケーブルの弾性のために生じる振動力学を考慮に入れるシステム。
【請求項12】
請求項10又は11のシステムにおいて、
前記演算ユニットは、前記ケーブル及び負荷のバネモデルに基づく負荷質量オブザーバを有するシステム。
【請求項13】
ホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するための前記請求項の何れか1つのシステムを備えたクレーン。
【請求項14】
ホイストケーブルによって運ばれる負荷の負荷質量を決定するための方法であって、
前記ホイストケーブルにおけるケーブル力を計測するステップと、
前記ケーブル力に基づいて負荷質量を演算するステップとを含み、
前記ケーブル力を用いて前記負荷質量を間接的に決定することの影響が、モデルにおいて求められて、部分的に補正される方法。
【請求項15】
請求項14の方法において、
前記負荷質量の決定は、前記請求項の何れか1つのシステムを用いて実施される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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