説明

クレーン用カウンターウエイト支持装置及びクレーンシステム

【課題】ウエイト支持装置の設置や取り外しに際してコストを抑えることができ、簡易整備された現場環境においてもカウンターウエイトの追従性に問題がなく、また、クレーンごとにウエイト支持装置を準備する必要がなく、さらには、ウエイト支持装置の設置のために広いスペースを必要としないクレーン用ウエイト支持装置を提供する。
【解決手段】カウンターウエイト250を載置するパレット200と、パレット200を持ち上げた状態で移動するトランスポーター100とを有し、パレット200の脚部が伸縮可能に形成され、トランスポーター100に設けられた走行ユニット106も上下方向に伸縮するように構成されている。クレーンが旋回すると、トランスポーター100に対して、旋回方向情報と旋回角度情報を送信することにより、トランスポーター100の受信部がこれを受信し、それらの情報に従い、トランスポーター100が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラークレーンに使用するカウンターウエイトを支持するカウンターウエイト支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、クレーン(特に、クローラークレーン)において、クレーンにカウンターウエイト(カウンタウエイトとしてもよい)を連結して、被吊下げ物を吊り下げる場合等のように重心から離れた位置に荷重が掛かった際に重心の移動が許容範囲に収まるようにしている。
【0003】
ここで、従来より、ウエイト台車付きクレーンとしては、特許文献1や特許文献2に示すように、ブーム及びウインチユニットを備えた本体とウエイト台車とが連結リンクを介して接続されているものが存在する。
【0004】
また、特許文献3の超大型クレーンにおいては、ブームが設けられた第1ベースユニットと、カウンタウエイトが設けられた第2ベースユニットを連結する連結ユニットを、着脱可能なフロント、リヤ両フレームによって構成し、かつ、フロントフレームを、リヤフレームと第2ベースユニットのいずれか一方に選択的に連結しうる構成とすることにより、第1ベースユニットと第2ベースユニット間の距離を調整するものが存在する。
【0005】
また、特許文献4の大型移動式クローラクレーンにおいては、ブーム及びマストを搭載した前部クローラと、バランスウエイトを積載する後部クローラを連結するストラッドが、その軸長を伸縮調整可能とするものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−272457号公報
【特許文献2】特開平9−278374号公報
【特許文献3】実開平1−143790号公報
【特許文献4】特開昭59−223692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の構成においては、クレーンとウエイト支持装置(特許文献1、2では、ウエイト台車、特許文献3では、第2ベースユニット、特許文献4では、後部クローラ)とが連結された構成であるので、ウエイト支持装置をクレーンに連結して設置するのに多大のコストが掛かるという問題があった。
【0008】
すなわち、ウエイト支持装置をクレーンの近傍に運ぶための運搬車や、カウンターウエイトをクレーン近傍に運ぶための運搬車や、ウエイト支持装置にウエイトを積載するための他のクレーン等が必要になる。
【0009】
また、ウエイト台車等のウエイト支持装置は走行用の動力を持たずクレーンと連結リンク等により連結されて従動するのみであるので、ウエイト搭載物の走行に支障がないように、ウエイト搭載物の設置箇所を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する等の必要があり、その点でもコストが掛かる。
【0010】
また、ウエイト支持装置をクレーンから取り外す場合にも、ウエイト支持装置からウエイトを降ろすための他のクレーンや、ウエイト支持装置をクレーンの近傍から運び出すための運搬車や、カウンターウエイトをクレーン近傍から運び出すための運搬車が必要になり、コストが掛かってしまう。
【0011】
また、ウエイト台車等のウエイト支持装置は走行用の動力を持たずクレーンと連結リンク等により連結されて従動するのみであるので、簡易整備された現場環境においては、地面に凹凸や傾斜があるとウエイト支持装置の追従性維持が難しいという問題がある。
【0012】
また、ウエイト台車は、クレーンの種類ごとに専用の装置であるので、クレーンの種類が異なるごとにそのクレーン専用のウエイト台車を準備する必要がある。
【0013】
また、ウエイト支持装置をクレーンに連結する際には、クレーンの近傍にウエイト支持装置組立てユニットやウエイトを運搬し、ウエイト支持装置の組立て、クレーンとの連結作業及びウエイトの積載を行わなければならず、運搬車の搬入スペースやウエイト積載用のクレーンを設置するスペースやその他の作業スペースが必要となり、クレーンの近傍に十分なスペースを必要としてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、ウエイト台車等のウエイト支持装置の設置や取り外しに際してコストを抑えることができ、簡易整備された現場環境においてもカウンターウエイトの追従性に問題がなく、また、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がなく、さらには、クレーンの近傍にウエイト支持装置の設置のために広いスペースを必要としないクレーン用カウンターウエイト支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台を支持する複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(1205)とを有するパレット(200’)と、パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台であるトランスポーター荷台(104)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を上下方向の位置を変更可能に支持する車軸支持部(118、122、126)と、車軸の上下方向の位置を変更する車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、を有し、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0016】
この第1の構成のクレーン用カウンターウエイト支持装置においては、カウンターウエイトをパレットのパレット荷台に載置し、その後、トランスポーターのトランスポーター荷台の上側にパレットのパレット荷台が配置されるようにする。つまり、パレットの隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成され、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを短くして、トランスポーターをパレット荷台の下方に侵入させる。
【0017】
次に、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターにおいて車軸とトランスポーター荷台間の上下方向の距離を長くすることにより、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態とする。トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で、クレーンの近傍に移動し、マストブームからカウンターウエイトを吊り下げた状態とする。
【0018】
クレーンが旋回する場合には、トランスポーターの受信部が、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、旋回方向特定信号と旋回角度特定信号を受信し、制御部が、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する。カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合も、カウンターウエイトを吊り下げるロープを外した後に、カウンターウエイトをパレット荷台に載せ、トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で適宜の場所にトランスポーターを移動させればよい。
【0019】
よって、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合やクレーンから取り外す場合に、パレットにカウンターウエイトを載置した状態でトランスポーターで運ぶことができるので、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車やカウンターウエイトを運ぶ運搬車がそれぞれ必要にならず、コストを低減することができる。
【0020】
また、上部旋回体の旋回やクレーン自体の移動に合わせてカウンターウエイトを移動させる場合に、トランスポータ自体に走行用の動力が設けられて自走能力があるので、パレットの設置位置を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する必要がなく、その点でもコストを低減することができる。
【0021】
また、トランスポーターが自走能力を有するので、簡易整備され、凹凸や傾斜がある設置面であっても、カウンターウエイトをクレーンの旋回や移動に合わせて移動させることができ、特に、クレーンの旋回に合わせて自動でトランスポーターが移動するので、容易にクレーンの動きにカウンターウエイトを追従させることができる。
【0022】
また、トランスポーターとパレットはクレーンの種類が異なっても汎用的に使用することができ、クレーンの種類ごとにトランスポーターやパレットを設ける必要がなく、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がない。
【0023】
また、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合には、他の場所でパレットにカウンターウエイトを載置し、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態でクレーンの近傍に運ぶことができるので、カウンターウエイトをクレーンに取り付けるための下準備をクレーンの近傍で行なう必要がなく、クレーンの近傍に十分なスペースがない場合でも、カウンターウエイトをクレーンに取り付けることができる。また、クレーンから取り外す場合にも、カウンターウエイトを載置したパレットを持ち上げた状態でトランスポーターにより他の場所に移動して、カウンターウエイトをパレットから降ろす作業ができるので、カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合でも、クレーンの近傍に十分なスペースが必要ない。
【0024】
なお、上記第1の構成において、「トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、少なくとも、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合には、トランスポーターをパレット荷台の下方にトランスポーター荷台をパレット荷台の下側にパレット荷台と離間した状態で配置可能であり、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長く、トランスポーターをパレット荷台の下方に配置した状態で、少なくとも、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合には、トランスポーター荷台によりパレット荷台を持ち上げた状態となる」ものとしてもよい。
【0025】
また、第2には、下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台を支持し、伸縮可能な複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(205)とを有するパレット(200)と、パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台であるトランスポーター荷台(104)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を上下方向の位置を変更可能に支持する車軸支持部(118、122、126)と、車軸の上下方向の位置を変更する車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、を有し、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0026】
この第2の構成のクレーン用カウンターウエイト支持装置においては、カウンターウエイトをパレットのパレット荷台に載置し、その後、トランスポーターのトランスポーター荷台の上側にパレットのパレット荷台が配置されるようにする。つまり、パレットの隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成され、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを短くするとともに、脚部の長さを長くして、トランスポーターをパレット荷台の下方に侵入させる。
【0027】
次に、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターにおいて車軸とトランスポーター荷台間の上下方向の距離を長くするとともに、脚部の長さを短くすることにより、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態とする。トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で、クレーンの近傍に移動し、マストブームからカウンターウエイトを吊り下げた状態とする。
【0028】
クレーンが旋回する場合には、トランスポーターの受信部が、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、旋回方向特定信号と旋回角度特定信号を受信し、制御部が、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する。カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合も、カウンターウエイトを吊り下げるロープを外した後に、カウンターウエイトをパレット荷台に載せ、トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で適宜の場所にトランスポーターを移動させればよい。
【0029】
よって、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合やクレーンから取り外す場合に、パレットにカウンターウエイトを載置した状態でトランスポーターで運ぶことができるので、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車やカウンターウエイトを運ぶ運搬車がそれぞれ必要にならず、コストを低減することができる。
【0030】
また、上部旋回体の旋回やクレーン自体の移動に合わせてカウンターウエイトを移動させる場合に、トランスポータ自体に走行用の動力が設けられて自走能力があるので、パレットの設置位置を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する必要がなく、その点でもコストを低減することができる。
【0031】
また、トランスポーターが自走能力を有するので、簡易整備され、凹凸や傾斜がある設置面であっても、カウンターウエイトをクレーンの旋回や移動に合わせて移動させることができ、特に、クレーンの旋回に合わせて自動でトランスポーターが移動するので、容易にクレーンの動きにカウンターウエイトを追従させることができる。
【0032】
また、トランスポーターとパレットはクレーンの種類が異なっても汎用的に使用することができ、クレーンの種類ごとにトランスポーターやパレットを設ける必要がなく、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がない。
【0033】
また、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合には、他の場所でパレットにカウンターウエイトを載置し、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態でクレーンの近傍に運ぶことができるので、カウンターウエイトをクレーンに取り付けるための下準備をクレーンの近傍で行なう必要がなく、クレーンの近傍に十分なスペースがない場合でも、カウンターウエイトをクレーンに取り付けることができる。また、クレーンから取り外す場合にも、カウンターウエイトを載置したパレットを持ち上げた状態でトランスポーターにより他の場所に移動して、カウンターウエイトをパレットから降ろす作業ができるので、カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合でも、クレーンの近傍に十分なスペースが必要ない。
【0034】
なお、上記第2の構成において、「トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、少なくとも、パレットの脚部の長さを最大とし、かつ、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合には、トランスポーターをパレット荷台の下方にトランスポーター荷台をパレット荷台の下側にパレット荷台と離間した状態で配置可能であり、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長く、トランスポーターをパレット荷台の下方に配置した状態で、少なくとも、パレットの脚部の長さを最小とし、かつ、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合には、トランスポーター荷台によりパレット荷台を持ち上げた状態となる」ものとしてもよい。
【0035】
また、第3には、下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する平面視で略長方形状の荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台の4つの角部に設けられていてパレット荷台を支持し、油圧シリンダ(220)により伸縮可能な複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(205)とを有するパレット(200)と、パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台でパレットにおけるパレット荷台の短辺における脚部間の長さよりも短い幅を有する荷台であるトランスポーター荷台(204)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を支持する車軸支持アーム(118、122)と、車軸支持アームを回動可能に支持するアーム支持部(126)と、車軸支持アームをアーム支持部に対して回動させる油圧シリンダである車軸上下用油圧シリンダにより構成された車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、を有し、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0036】
この第3の構成のクレーン用カウンターウエイト支持装置においては、カウンターウエイトをパレットのパレット荷台に載置し、その後、トランスポーターのトランスポーター荷台の上側にパレットのパレット荷台が配置されるようにする。つまり、パレットの隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成され、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを短くするとともに、脚部の長さを長くして、トランスポーターをパレット荷台の下方に侵入させる。
【0037】
次に、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いので、車軸上下位置変更手段によりトランスポーターにおいて車軸とトランスポーター荷台間の上下方向の距離を長くするとともに、脚部の長さを短くすることにより、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態とする。トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で、クレーンの近傍に移動し、マストブームからカウンターウエイトを吊り下げた状態とする。
【0038】
クレーンが旋回する場合には、トランスポーターの受信部が、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、旋回方向特定信号と旋回角度特定信号を受信し、制御部が、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する。カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合も、カウンターウエイトを吊り下げるロープを外した後に、カウンターウエイトをパレット荷台に載せ、トランスポーターがパレットを持ち上げた状態で適宜の場所にトランスポーターを移動させればよい。
【0039】
よって、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合やクレーンから取り外す場合に、パレットにカウンターウエイトを載置した状態でトランスポーターで運ぶことができるので、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車やカウンターウエイトを運ぶ運搬車がそれぞれ必要にならず、コストを低減することができる。
【0040】
また、上部旋回体の旋回やクレーン自体の移動に合わせてカウンターウエイトを移動させる場合に、トランスポータ自体に走行用の動力が設けられて自走能力があるので、パレットの設置位置を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する必要がなく、その点でもコストを低減することができる。
【0041】
また、トランスポーターが自走能力を有するので、簡易整備され、凹凸や傾斜がある設置面であっても、カウンターウエイトをクレーンの旋回や移動に合わせて移動させることができ、特に、クレーンの旋回に合わせて自動でトランスポーターが移動するので、容易にクレーンの動きにカウンターウエイトを追従させることができる。
【0042】
また、トランスポーターとパレットはクレーンの種類が異なっても汎用的に使用することができ、クレーンの種類ごとにトランスポーターやパレットを設ける必要がなく、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がない。
【0043】
また、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合には、他の場所でパレットにカウンターウエイトを載置し、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態でクレーンの近傍に運ぶことができるので、カウンターウエイトをクレーンに取り付けるための下準備をクレーンの近傍で行なう必要がなく、クレーンの近傍に十分なスペースがない場合でも、カウンターウエイトをクレーンに取り付けることができる。また、クレーンから取り外す場合にも、カウンターウエイトを載置したパレットを持ち上げた状態でトランスポーターにより他の場所に移動して、カウンターウエイトをパレットから降ろす作業ができるので、カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合でも、クレーンの近傍に十分なスペースが必要ない。
【0044】
なお、上記第3の構成において、「トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、少なくとも、パレットの脚部の長さを最大とし、かつ、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合には、トランスポーターをパレット荷台の下方にトランスポーター荷台をパレット荷台の下側にパレット荷台と離間した状態で配置可能であり、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長く、トランスポーターをパレット荷台の下方に配置した状態で、少なくとも、パレットの脚部の長さを最小とし、かつ、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合には、トランスポーター荷台によりパレット荷台を持ち上げた状態となる」ものとしてもよい。
【0045】
また、第4には、上記第3の構成において、トランスポーターには、油圧ポンプ(164)と、油圧ポンプにより作動油を供給するための油圧ホース(179)と、油圧ホースの先端に設けられた接続装置(180)とを有し、パレットのパレット荷台には、該接続装置を接続するための接続口(240)が設けられ、脚部における油圧シリンダは、接続口から供給された作動油により作動することを特徴とする。よって、パレットに油圧ポンプが設けられていなくても、パレットにおける油圧シリンダを作動させることができる。
【0046】
また、第5には、上記第1から第4までのいずれかの構成において、受信部が、クレーンの下部走行体の移動方向を示す信号と移動距離を示す信号を受信し、制御部が、受信した移動方向を示す信号と移動距離を示す信号に従い、走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御して、移動するクレーンに追従してトランスポーターを移動させることを特徴とする。よって、クレーンの移動に合わせて自動でトランスポーターが移動するので、容易にクレーンの動きにカウンターウエイトを追従させることができる。
【0047】
また、第6には、クレーンシステムであって、上記第1又は2又は3又は4の構成のクレーン用カウンターウエイト支持装置と、下部走行体に対して上部旋回体が旋回するクレーンで、上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と、旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号とを送信する送信部を有するクレーン(10)と、を有することを特徴とする。
【0048】
また、第7には、クレーンシステムであって、上記第5の構成のクレーン用カウンターウエイト支持装置と、下部走行体に対して上部旋回体が旋回するクレーンで、上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と、旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号と、下部走行体の移動方向を示す信号と、下部走行体の移動距離を示す信号を送信する送信部を有するクレーン(10)と、を有することを特徴とする。
【0049】
また、第8の構成として、上記第1又は第2の構成において、パレットの脚部が油圧シリンダ(220)により伸縮可能であることを特徴とするものとしてもよい。
【0050】
また、第9の構成として、上記第8の構成において、トランスポーターには、油圧ポンプ(164)と、油圧ポンプにより作動油を供給するための油圧ホース(179)と、油圧ホースの先端に設けられた接続装置(180)とを有し、パレットのパレット荷台には、該接続装置を接続するための接続口(240)が設けられ、脚部における油圧シリンダは、接続口から供給された作動油により作動することを特徴とするものとしてもよい。よって、パレットに油圧ポンプが設けられていなくても、パレットにおける油圧シリンダを作動させることができる。
【0051】
また、第10の構成として、上記第1、第2、第8、第9のいずれかの構成において、パレット荷台が平面視で略長方形状を呈し、脚部がパレット荷台の4つの角部に設けられていることを特徴とするものとしてもよい。
【0052】
また、第11には、上記第1、第2、第8、図9、第10のいずれかの構成において、車軸支持部が、車軸を支持する車軸支持アーム(118、122)と、車軸支部アームを回動可能に支持するアーム支持部(126)とを有し、車軸上下位置変更手段としての油圧シリンダである車軸上下用油圧シリンダが車軸支持アームをアーム支持部に対して回動させることにより、車軸の上下方向の位置を変更させることを特徴とするものとしてもよい。
【0053】
なお、上記第1の構成、第2の構成及び第3の構成において、「走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)」の代わりに、「走行ユニット本体106aを略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転可能に支持する支持部と、走行ユニット本体106aを回転させる駆動部」としてもよい。
【0054】
また、上記の構成において、走行ユニット本体が、外周面にウォームと歯合する歯が形成されたホイールで、トランスポーター荷台に対して回転可能に支持されるとともに走行ユニット本体のアーム支持部に固定して設けられたホイールを有し、走行ユニット本体回転手段が、ホイールをトランスポーター荷台に対して回転可能に支持するとともに、ホイールに歯合してホイールを回転させるウォームと、ウオームを回転させる油圧モータとを有することを特徴とするものとしてもよい。
【発明の効果】
【0055】
本発明に基づくクレーン用カウンターウエイト支持装置及びクレーンシステムによれば、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合やクレーンから取り外す場合に、パレットにカウンターウエイトを載置した状態でトランスポーターで運ぶことができるので、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車やカウンターウエイトを運ぶ運搬車がそれぞれ必要にならず、コストを低減することができる。
【0056】
また、上部旋回体の旋回やクレーン自体の移動に合わせてカウンターウエイトを移動させる場合に、トランスポータ自体に走行用の動力が設けられて自走能力があるので、パレットの設置位置を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する必要がなく、その点でもコストを低減することができる。
【0057】
また、トランスポーターが自走能力を有するので、簡易整備され、凹凸や傾斜がある設置面であっても、カウンターウエイトをクレーンの旋回や移動に合わせて移動させることができ、特に、クレーンの旋回に合わせて自動でトランスポーターが移動するので、容易にクレーンの動きにカウンターウエイトを追従させることができる。
【0058】
また、トランスポーターとパレットはクレーンの種類が異なっても汎用的に使用することができ、クレーンの種類ごとにトランスポーターやパレットを設ける必要がなく、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がない。
【0059】
また、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合には、他の場所でパレットにカウンターウエイトを載置し、トランスポーターによりパレットを持ち上げた状態でクレーンの近傍に運ぶことができるので、カウンターウエイトをクレーンに取り付けるための下準備をクレーンの近傍で行なう必要がなく、クレーンの近傍に十分なスペースがない場合でも、カウンターウエイトをクレーンに取り付けることができる。また、クレーンから取り外す場合にも、カウンターウエイトを載置したパレットを持ち上げた状態でトランスポーターにより他の場所に移動して、カウンターウエイトをパレットから降ろす作業ができるので、カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合でも、クレーンの近傍に十分なスペースが必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】クレーンシステムを示す側面図である。
【図2】クレーンシステムを示す斜視図である。
【図3】クレーンの構成を示すブロック図である。
【図4】トランスポーターを示す斜視図である。
【図5】トランスポーターにおいて、走行ユニット本体の上下方向の長さを長くした状態を示す要部説明図である。
【図6】トランスポーターにおいて、走行ユニット本体の上下方向の長さを長くした状態を示す要部説明図で、図5におけるW側から視認した状態を示す要部説明図である。
【図7】トランスポーターにおいて、走行ユニット本体の上下方向の長さを短くした状態を示す要部説明図である。
【図8】トランスポーターの構成を示すブロック図である。
【図9】パレットを示す斜視図である。
【図10】パレットの要部説明図である。
【図11】トランスポーターとパレットの使用方法を示す斜視図である。
【図12】トランスポーターとパレットの使用方法を示す斜視図である。
【図13】クレーンシステムの動作を示す説明図である。
【図14】クレーンシステムの動作を示す説明図である。
【図15】パレットの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明においては、ウエイト台車等のウエイト支持装置の設置に際してコストを抑えることができ、また、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がなく、さらには、クレーンの近傍にウエイト支持装置の設置のために広いスペースを必要としないクレーン用カウンターウエイト支持装置を提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0062】
本発明に基づくクレーンシステム5は、図1〜図10に示すように構成され、クレーン10と、トランスポーター(トランスポータとしてもよい)100と、パレット200と、カウンターウエイト250とを有している。トランスポーター100と、パレット200とでクレーン用カウンターウエイト支持装置を構成する。
【0063】
ここで、クレーン10は、クローラー式のクレーンであり、図1、図2に示すように、下部走行体12と、上部旋回体14とを有している。
【0064】
下部走行体12は、無限軌道を備えた走行機構を有していて、その中央上部に円筒状部12aが設けられている。
【0065】
上部旋回体14は、板状の基部15と、基部15の上面に設けられた運転室を備えた筐体部16と、油圧シリンダ18、20と、ブーム22と、マストブーム24等を有している。
【0066】
上部旋回体14が下部走行体12に対して旋回する旋回機構は、下部走行体12の円筒状部12aに設けられていて、旋回モータ52(図3参照)により上部旋回体14が旋回するように構成されている。例えば、ベアリング(旋回ベアリング)の内輪が下部走行体12側に固定され、ベアリングの内輪にその出力軸が歯合する旋回モータとベアリング(旋回ベアリング)の外輪が上部旋回体14の基部15側に固定されて、旋回モータ52が駆動することにより、上部旋回体14が下部走行体12に対して旋回する。
【0067】
ブーム22は、基部15に回動可能に設けられ、クレーン10において上方斜め前方に延出している。また、マストブーム24は、基部15に回動可能に設けられ、クレーン10において上方斜め後方に延出している。また、基部15には、ブーム22を回動させるための油圧シリンダ18が設けられるとともに、マストブーム24を回動させるための油圧シリンダ20が設けられている。
【0068】
また、上部旋回体14の基部15上に設けられたウインチ(第1ウインチ)(図示せず)からはフックロープ30が繰り出され、このフックロープ30はブーム22の背面側に沿って上方に導かれ、ブーム22の先端に設けられたシーブを介して吊り下げされ、下端にフック32が取り付けられている。
【0069】
また、上部旋回体14の基部15上に設けられたウインチ(第2ウインチ)(図示せず)からはブームペンダントロープ34が繰り出され、このブームペンダントロープ34はブーム22の背面側に沿って上方に導かれ、ブーム22の先端に設けられたシーブを介して下方斜め後方に導かれて、ブームペンダントロープ34の端部がブライドル36に取り付けられてる。
【0070】
また、ブライドル36とマストブーム24の上端に取り付けられたベイル38間にはブーム起伏ロープ40が巻回され、ブーム起伏ロープ40は、シーブを介してマストブーム24の背面側に沿って基部15上に設けられたウインチ(第3ウインチ)(図示せず)に巻回されている。
【0071】
また、基部15上に設けられたウインチ(第4ウインチ)(図示せず)からは懸吊ペンダントロープ42が繰り出され、この懸吊ペンダントロープ42は、マストブーム24の背面側に沿って上方に導かれ、シーブを介して吊り下げられ、懸吊ペンダントロープ42の下端はカウンターウエイト250に取り付けられている。つまり、カウンターウエイト250は、懸吊ペンダントロープ42に吊り下げられている。
【0072】
また、図3に示すように、クレーン10は、運転室に設けられた操作部50と、上記旋回モータ52と、エンコーダ54と、送信部56と、記憶部58と、CPU60とを有している。なお、送信部56や記憶部58やCPU60は、例えば、筐体部16内に設けられている。
【0073】
ここで、操作部50は、クレーンの動作を操作するためのレバーやスイッチ等から構成される。エンコーダ54は、旋回モータ52の出力軸の角度(つまり、回転方向の位置)を検出するものであり、送信部56は、トランスポーター100に設けられた受信部184と通信を行い、トランスポーター100の動作を制御するための信号(旋回方向信号やモータ角度信号)を送信するための送信装置である。また、記憶部58は、CPU60が動作制御するための動作プログラムを記憶している。
【0074】
また、CPU60は、記憶部58に記憶された動作プログラムに従い各部の動作を制御し、特に、図13に示すフローチャートに従い各部の動作を制御する。特に、CPU60は、操作部50により上部旋回体14を旋回するための操作が行われると、旋回方向を示す旋回方向信号と旋回モータ52の出力軸の角度を示すモータ角度信号を送信部56を介してトランスポーター100の受信部184に送信する。
【0075】
すなわち、クレーン10は、従来におけるクローラークレーンと略同様の構成であるが、操作部50により上部旋回体14を旋回するための操作が行われると、旋回方向を示す旋回方向信号と旋回モータ52の出力軸の角度を示すモータ角度信号を送信部56を介してトランスポーター100の受信部184に送信するように構成されている点が異なる。
【0076】
次に、トランスポーター100は、上部に荷台を有する自走式の運搬車であり、本体部102と、筐体部195とを有している。
【0077】
ここで、本体部102は、荷台104と、荷台104の下面に固定して設けられた複数(図4の例では計12個)の走行ユニット106と、荷台104の側辺の下面側に設けられた赤外線距離センサ186とを有している。図4では、赤外線距離センサ186がトランスポーター100の右側面に設けられているが、反対側の左側面にも設けられており、トランスポーター100の前側や後側にも設けてもよい。
【0078】
荷台104は、長方形状の板状を呈し、この荷台104の上面に被積載物(例えば、カウンターウエイト)を載置する。
【0079】
また、走行ユニット106は、走行ユニット本体106aと、荷台側機構部106b(走行ユニット本体回転手段)とを有し、荷台側機構部106bは、荷台104側に固定され、走行ユニット本体106aは、荷台側機構部106bに対して鉛直方向(略鉛直方向としてもよい)の中心軸を中心に回転するように構成されている。また、走行ユニット106(具体的には、走行ユニット本体106a)は、上下方向の長さが伸縮するように構成されている。
【0080】
走行ユニット本体106aは、図5〜図7に示すように構成され、車軸108と、車軸108の両側に取り付けられた一対のタイヤ110と、車軸108を回転させる車軸回転モータ(車軸回転手段)112と、車軸108に固定して設けられた一対の板状部114、116と、板状部114にピン120を介して回動可能に形成された一対のアーム(車軸支持アーム)118と、板状部116にピン124を介して回動可能に形成された一対のアーム(車軸支持アーム)122と、一対のアーム118、122を回動可能に支持するとともに、油圧シリンダ(車軸上下用油圧シリンダ、車軸上下位置変更手段)134を支持する支持部126と、支持部126の上端に固定して設けられたホイール142とを有している。
【0081】
ここで、車軸108は、円筒状を呈し、その両側にタイヤ110が設けられている。また、車軸108の周面には、車軸108の軸線(回転中心を通る中心線)と直角方向に一対の板状部114が設けられ、板状部114にはピン120を挿通するための円形の開口部が形成されている。また、車軸108の周面の板状部114とは反対側には、車軸108の軸線と直角方向に一対の板状部116が設けられ、板状部116にはピン124を挿通するための円形の開口部が形成されている。板状部114と板状部116とは、車軸108の軸線方向には同じ位置に設けられ、板状部114と板状部116とは車軸108における相対する位置に設けられている。また、車軸108には、油圧モータにより構成された車軸回転モータ112が取り付けられ、この車軸回転モータ112を駆動することにより車軸108が回転する。
【0082】
アーム118は、やや湾曲した棒状の板状を呈し、両側の端部にピン120、128を挿通するための開口部が形成されている。アーム118の一方の端部側は、板状部114の外側に隣接していて、ピン120を介してアーム118と板状部114とが互いに回動自在に設けられている。つまり、ピン120は、一対の板状部114の開口部と一対のアーム118の一方の端部側の開口部に挿通して設けられている。
【0083】
アーム122は、やや湾曲した棒状の板状を呈し、両側の端部にピン124、130を挿通するための開口部が形成されている。アーム122の一方の端部側は、板状部116の外側に隣接していて、ピン124を介してアーム122と板状部116とが互いに回動自在に設けられている。つまり、ピン124は、一対の板状部116の開口部と一対のアーム122の一方の端部側の開口部に挿通して設けられている。
【0084】
また、支持部126は、全体に板状のフレーム状に形成され、上面部126aと、上面部126aの相対する両側の側辺から下方に連設された一対の側面部126b、126cと、上面部126aの一対の側辺に隣接する辺部である正面側の辺部から連設され、一対の側面部126b、126cと連設された正面部126dとから構成され、側面部126b、126cは、同大同形状で略三角形状を呈し、正面部126dと上面部126aとがなす角度は、鈍角となっている。
【0085】
側面部126b、126cの下端の互いに対応する位置には、ピン130を挿通するための開口部が形成されている。アーム122の他方の端部側には、側面部126b、126cの外側に隣接して、ピン130を介してアーム122が側面部126b、126cに対して回動するように構成されている。つまり、ピン130は、側面部126b、126cの開口部と一対のアーム122の他方の端部側の開口部に挿通して設けられている。
【0086】
また、側面部126b、126cのピン130を挿通するための開口部の上方の互いに対応する位置には、ピン128を挿通するための開口部が形成されている。アーム118の他方の端部側には、側面部126b、126cの外側に隣接して、ピン128を介してアーム118が側面部126b、126cに対して回動するように構成されている。つまり、ピン128は、側面部126b、126cの開口部と一対のアーム118の他方の端部側の開口部に挿通して設けられている。
【0087】
また、側面部126b、126cの上端側の互いに対応する位置の間には、円柱状の支持部136が設けられ、この支持部136には、油圧シリンダ134が支持部136に吊り下げられている。一対のアーム122における両側の端部の開口部の間の位置には、ピン132を挿通するための開口部が形成され、該開口部に挿通されたピン132には、油圧シリンダ134のピストンロッド134aの先端がピン132に対して回動自在に取り付けられている。つまり、ピストンロッド134aの先端にはリング状部材を有し、このリング状部材にピン132が挿通されている。
【0088】
以上のように構成されていることにより、図5に示すように、油圧シリンダ134におけるピストンロッド134aが伸びた状態になると、アーム122の側面部126b、126c側とは反対側の端部側が下方に回動し、これにより、車軸108が下方に移動して、車軸108と荷台104間の距離が長くなる。車軸108が下方に移動する際には、アーム118の側面部126b、126c側とは反対側の端部側も下方に回動する。逆に、図6に示すように、油圧シリンダ134におけるピストンロッド134aが縮んだ状態になると、車軸108が上方に移動し、これにより、車軸108と荷台104間の距離が短くなる。なお、図5は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最大として、荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さを最大とした状態の図であり、図6は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最小として、荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さを最小とした状態の図である。
【0089】
また、支持部126の上面部126aの上面には、外側の周面にウォーム144と歯合する歯が形成されたホイール142が固定して設けられている。つまり、ホイール142は、ウォームホイールである。このホイール142の内側の周面には、ベアリング(旋回ベアリング)の外輪が固定して設けられている。
【0090】
また、荷台側機構部106bは、荷台104の下面に固定することにより荷台104の下面から突出して形成された円柱状の支持部140と、該支持部140の周面に固定して設けられたベアリング(旋回ベアリング)の内輪と、ホイール142の両側に歯合して設けられた一対のウォーム144(つまり、ウォーム144は、ホイール142と歯合する歯を有する)と、ウォーム144を回転自在に支持し、荷台104の下面に固定して支持された支持板105と、支持板105に取り付けられ、ウォーム144を回転させる走行ユニット本体回転モータ146とを有している。走行ユニット本体回転モータ146は油圧モータにより構成されている。
【0091】
なお、支持部140の周面に固定して設けられたベアリングの内輪と、ホイール142の内側の側面に固定して設けられたベアリングの外輪とでベアリングが形成されている。また、ホイール142とウォーム144によりウォームギアが構成される。
【0092】
以上のように構成されていることにより、走行ユニット本体回転モータ146を回転させることにより、ウォーム144が回転しウォーム144に歯合されたホイール142が回転することにより、走行ユニット本体106aが略鉛直方向の中心軸を中心に回転する。なお、走行ユニット本体106aの荷重は、ベアリングを介して荷台104の下面から突出した支持部140により支持されているといえ、一対のウォーム144には走行ユニット本体106aの荷重は支持されていない。
【0093】
つまり、荷台側機構部106bは、走行ユニット本体106aを回転可能に支持するとともに、走行ユニット本体106aを略鉛直方向の中心軸を中心に回転させる。つまり、荷台側機構部106bは、走行ユニット本体106aを略鉛直方向の中心軸を中心に回転可能に支持する支持部と、走行ユニット本体106aを回転させる駆動部とを有し、該支持部が、支持部140とベアリングの内輪により構成され、該駆動部が、走行ユニット本体回転モータ146とウォーム144により構成される。なお、支持部140は、荷台104の下面を支持部140の形状に突出して形成することにより、荷台104の一部としてもよい。
【0094】
また、筐体部195は、本体部102の前端に設けられ、この筐体部195には、運転室197や後述する油圧ポンプ154、158、162、164やエンジン168等が設けられる。
【0095】
また、トランスポーター100には、図8に示すように、車軸回転モータ112には配管としての油圧パイプを介して方向切換弁152が接続され、さらに、方向切換弁152には油圧パイプを介して油圧ポンプ154が接続されている。また、走行ユニット本体回転モータ146には油圧パイプを介して方向切換弁156が接続され、さらに、方向切換弁156には油圧パイプを介して油圧ポンプ158が接続されている。この方向切換弁156は、各走行ユニット106ごとにタイヤ110の方向を制御できるように、各走行ユニット106ごとに設けられている。また、油圧シリンダ134には油圧パイプを介して方向切換弁160が接続され、さらに、方向切換弁160には油圧パイプを介して油圧ポンプ162が接続されている。
【0096】
油圧ポンプ154、158、162は油圧パイプを介してオイルタンク166に接続され、また、方向切換弁152、156、160は、油圧パイプを介してオイルタンク166と接続されている。
【0097】
また、オイルタンク166には油圧パイプを介して油圧ポンプ164が接続され、この油圧ポンプ164にはカプラ180が油圧ホース179を介して接続され、また、オイルタンク166にはカプラ182が油圧ホースを介して接続されている。油圧ポンプ154、158、162、164は、エンジン168により駆動される。
【0098】
また、車軸108には回転数検出部170が接続され、この回転数検出部170は、車軸の回転数を計測する。回転数検出部170により車軸108の回転数を検出することにより、トランスポーター100の移動距離が検出される。
【0099】
また、油圧シリンダ134には油圧シリンダ134内の内圧を検出する圧力検出部(内圧検出部)172が接続されている。圧力検出部172により油圧シリンダ134内の内圧(具体的には、ピストンを挟んだ2つの油室のうち、ピストンロッドが設けられていない側の油室(つまり、ピストンロッドとは反対側の油室)内の作動油に掛かる圧力)を検出することにより、各走行ユニット本体106aの油圧シリンダ134における内圧が複数の走行ユニット本体106aにおいて略同一(同一としてもよい)になるように油圧シリンダ134を伸縮することにより、トランスポーター100の荷台104の水平が維持される。
【0100】
また、トランスポーター100には、受信部184や赤外線距離センサ(距離計測手段)186や記憶部188やCPU(制御部)190が設けられている。受信部184や記憶部188やCPU190は、例えば、筐体部195内に設けられている。
【0101】
受信部184は、クレーン10に設けられた送信部56から送信された信号を受信する。また、赤外線距離センサ186は、赤外線を照射して反射面から反射された赤外線を受信して赤外線の反射角度を検知することにより反射面との距離を計測する。なお、赤外線距離センサ186は、荷台104における平面視の中心位置を特定してクレーン10の旋回中心と荷台104の平面視の中心位置間の距離(つまり、距離H(図14))を算出しやすくするために、赤外線距離センサ186が設けられた荷台104の側辺の横方向における中心位置に設けるのが好ましい。例えば、図4の例では、荷台104の長手方向の一方の端部から赤外線距離センサ186の該方向の中心までの距離h11と荷台104の長手方向の他方の端部から赤外線距離センサ186の該方向の中心までの距離h12とを同一とする。
【0102】
CPU190は、記憶部188に記憶された動作プログラムに従い動作し、受信部184と赤外線距離センサ186と方向切換弁152、156、160と油圧ポンプ154、158、162、164とエンジン168と回転数検出部170と圧力検出部172に接続され、受信部184からの信号と回転数検出部170と赤外線距離センサ186からの計測結果に従い、エンジン168と油圧ポンプ154、158と方向切換弁152、156の動作を制御する。また、CPU190は、圧力検出部172により各走行ユニット本体106aの油圧シリンダ134の内圧を検出して、油圧シリンダ134の内圧が複数の走行ユニット本体106aにおいて略同一(同一としてもよい)になるように、各走行ユニット本体106aの油圧シリンダ134を伸縮させることにより、トランスポーター100の荷台104の水平を維持させる。さらに、CPU190は、油圧ポンプ164を動作させて、カプラ180を介してパレット200側に作動油を供給する。特に、CPU190は、図13に示すフローチャートに従い各部の動作を制御する。
【0103】
トランスポーター100においては、複数の走行ユニット106が設けられているが、複数の走行ユニット106における各車軸回転モータ112は方向切換弁152に接続され、各走行ユニット106ごとの方向切換弁156は油圧ポンプ158に接続されている。なお、方向切換弁152を各走行ユニット106ごとに設けてもよいし、油圧ポンプ154や油圧ポンプ158を各走行ユニット106ごとに設けてもよい。
【0104】
また、油圧シリンダ134の伸縮を個別に制御してトランスポーター100の水平を維持するために、油圧シリンダ134に接続された方向切換弁160と、方向切換弁160に接続された油圧ポンプ162と、圧力検出部172は、各走行ユニット106ごとに設けられている。
【0105】
また、トランスポーター100は、操作者が無線による遠隔操作機器(図示せず)を操作することにより、トランスポーター100を移動させることが可能となっている。例えば、遠隔操作機器により移動方向を指定して、移動開始用のスイッチを操作することによりトランスポーター100を移動させる。つまり、遠隔操作機器により移動方向を指定すると、その情報が遠隔操作機器を送信されて受信部184において受信され、受信した情報に基づきCPU190が油圧ポンプ158と方向切換弁156を制御することにより走行ユニット本体回転モータ146を制御して走行ユニット本体106aの方向を制御し、移動開始用のスイッチを操作することにより、その情報が遠隔操作機器を送信されて受信部184において受信され、受信した情報に基づきCPU190が油圧ポンプ154と方向切換弁152を制御することにより車軸回転モータ112を制御してトランスポーター100を走行させる。なお、移動停止の操作をすることにより、車軸回転モータ112が停止されて、トランスポーター100の移動が停止される。
【0106】
次に、パレット200は、図9、図10に示すように構成され、荷台(パレット荷台)202と、複数(図9、図10の例では4つ)の脚部205とを有している。
【0107】
荷台202は、全体に略板状を呈し、上面が平面に形成されている。この荷台202の側面には、油圧の配管の接続口240と接続口242とが設けられ、トランスポーター100に設けられたカプラ180、182と接続するように構成されている。また、荷台202の内部には、図10に示す方向切換弁244が設けられ、方向切換弁244の切換えスイッチ244aが脚部本体210に設けられている。なお、切換えスイッチ244aは、パレット200における他の箇所に設けてもよい。また、接続口240、242は、荷台202の他の側面にも設けてもよい。つまり、接続口240、242を荷台202の4つの側面に設けてもよい。
【0108】
また、脚部205は、荷台202の角部に固定され下方に連設された脚部本体210と、脚部本体210内に設けられた油圧シリンダ220と、油圧シリンダ220のピストンロッドの下端に設けられた台部230とを有している。
【0109】
ここで、脚部本体210は、筒状(図9の例では、四角筒状)を呈する筒状部212と、筒状部212の下端に設けられた略板状の底面部214とを有し、底面部214の下端には、油圧シリンダ220のピストンロッド224が突出するための開口部が形成されている。
【0110】
また、油圧シリンダ220は、脚部本体210内部の下端に設けられ、油圧シリンダ220内には、ピストン222が設けられ、ピストン222にはピストンロッド224が取り付けられて、該ピストンロッド224の下端は、油圧シリンダ220から突出するとともに、脚部本体210の下端から突出するように構成されている。
【0111】
脚部205が以上のように構成されていることにより、油圧シリンダ220が伸縮することにより脚部205が伸縮するように構成されている。つまり、トランスポーター100におけるカプラ180を接続口240に接続し、カプラ182を接続口242に接続して、油圧ポンプ164を駆動させて、接続口240から作動油を供給して、切換えスイッチ244aを操作することにより、油圧シリンダ220が伸縮して脚部205が伸縮する。すなわち、切換えスイッチ244aに対して脚部205が伸びるための操作を行なうことにより、油圧パイプ246aに作動油が供給されてピストン222が下方に移動してピストンロッド224において脚部本体210から突出した部分が長くなり、これにより脚部205が伸びる。一方、切換えスイッチ244aに対して脚部205が縮むための操作を行なうことにより、油圧パイプ246bに作動油が供給されてピストン222が上方に移動してピストンロッド224において脚部本体210から突出した部分が短くなり、これにより脚部205が縮む。
【0112】
なお、パレット200の平面視における大きさとしては、短手方向の長さM1は、トランスポーター100がパレット200の短辺側から出入りできるように、トランスポーター100の横幅M2よりも長く形成され、パレット200の短辺側における脚部205間の長さM1aがトランスポーター100の横幅M2よりも長く形成されている。つまり、隣接する脚部205(短手方向に隣接する脚部205)間の長さM1aがトランスポーター100が通過可能な長さに形成されている。なお、長手方向に隣接する脚部205間の長さM1bの方が、長さM1aよりも長いので、長さM1bもトランスポーター100が通過可能な長さに形成されている。また、パレット200の長手方向の長さN1は、トランスポーター100の荷台104の長手方向の長さN2よりも短く形成されている。
【0113】
なお、パレット200長さN1(荷台202の長さとしてもよい)は、トランスポーター100の荷台104の長手方向の長さN2と略同一としてもよく、また、トランスポーター100の全長よりも長くして、トランスポーター100が、パレット200の短手辺の側からのみならず、長手辺の側からもパレット200の荷台204の下側位置に出入りできるようにしてもよい。
【0114】
また、パレット200の高さ方向の大きさは、脚部205が伸縮することにより可変となるが、所定の場合に、荷台202の下側の空間(つまり、荷台202と4つの脚部205により囲まれた空間)内にトランスポーター100が入り込むことができる大きさとなるとともに、所定の場合に、トランスポーター100の荷台104にパレット200が持ち上げられる大きさともなる。
【0115】
すなわち、トランスポーター100の荷台104が荷台202の下側にある状態で、脚部205の長さを短くし、かつ、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を長くすることにより、パレット200の脚部205の下端(つまり、台部230の下端)がパレット200の設置面G(図1参照)から浮いた状態となり、パレット200がトランスポーター100に持ち上げられた状態となる。なお、トランスポーター100の荷台104が荷台202の下側にある状態で、脚部205の長さを短くするか、又は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を長くすることによっても、パレット200の脚部205の下端がパレット200の設置面G(図1参照)から浮いた状態となり、パレット200がトランスポーター100に持ち上げられた状態となる。
【0116】
一方、パレット200がトランスポーター100に持ち上げられた状態で、脚部205の長さを長くし、かつ、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くすることにより、トランスポーター100の荷台104とパレット200の荷台202とが離間した状態となる。なお、パレット200がトランスポーター100に持ち上げられた状態で、脚部205の長さを長くするか、又は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くすることによっても、トランスポーター100の荷台104とパレット200の荷台202とが離間した状態となる。
【0117】
すなわち、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最小とした状態における荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さL2aは、パレット200の脚部205の長さを最大とした状態における荷台202の下端と台部230の下端の間の上下方向の長さL1よりも短く形成され(つまり、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最小とした状態における荷台104の上端の高さは、パレット200の脚部205の長さを最大とした状態における荷台202の下端の高さよりも低く形成されている)、これにより、少なくとも、パレット200の脚部205の長さを最大とし、かつ、トランスポーター100の荷台104と車軸108間の上下方向の長さを最小とした場合には、トランスポーター100を荷台202の下方に荷台104を荷台202の下側に荷台202と離間した状態で配置可能となり、トランスポーター100は、パレット200の荷台202の下側の空間にある。
【0118】
また、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最大とした状態における荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さL2bは、パレット200の脚部205の長さを最小とした状態における荷台202の下端と台部230の下端(つまり、脚部205の下端)の間の上下方向の長さよりも長く形成され(つまり、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最大とした状態における荷台104の上端の高さは、パレット200の脚部205の長さを最小とした状態における荷台202の下端の高さよりも高く形成されている)、これにより、トランスポーター100を荷台202の下方に配置した状態で、少なくとも、パレット200の脚部205の長さを最小とし、かつ、トランスポーター100の荷台104と車軸108間の上下方向の長さを最大とした場合には、パレット200がトランスポーター100に持ち上げられた状態となり、荷台104により荷台202を持ち上げた状態となる。
【0119】
上記構成のクレーンシステム5の使用状態及び動作について説明する。まず、クレーンシステム5の設置方法、特に、クレーン10へのカウンターウエイト250の設置の方法について説明する。
【0120】
パレット200の荷台202の上にカウンターウエイト250を積載する。つまり、クレーン10とは別のクレーンを用いてカウンターウエイト250を吊り上げてパレット200の荷台202の上に載置する。なお、カウンターウエイト250は、荷台202の中央に積載し、少なくともカウンターウエイト250の重心位置が平面視において、荷台202の中央となるように積載する。
【0121】
その後、脚部205の長さを長くし、かつ、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くすることにより(脚部205の長さを長くするのみ、又は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くするのみでもよい)、トランスポーター100が荷台202の下側の空間に侵入できるようにした状態で、荷台202における短辺側からトランスポーター100を進入させて、トランスポーター100の荷台104の上側にパレット200の荷台202が配置されるようにする(図11参照)。その際、荷台104は荷台202の長手方向と短手方向に均等となる位置に配置するのが好ましい。例えば、図11において、荷台104が荷台202の長手方向の両側の端部から突出した部分の長さが同一となるようにするのが好ましい。
【0122】
その後は、パレット200の脚部205の長さを短くし、かつ、油圧シリンダ134のピストンロッドを伸ばしてトランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を長くすることにより(パレット200の脚部205の長さを短くするのみ、又は、油圧シリンダ134のピストンロッドを伸ばしてトランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を長くするのみでもよい)、トランスポーター100によりパレット200を持ち上げた状態とする(図12参照)。トランスポーター100によりパレット200を持ち上げた状態とした場合には、パレット200の脚部205は、パレット200の設置面Gから浮いた状態となる。
【0123】
なお、パレット200の脚部205を伸縮させる場合には、トランスポーター100に設けられたカプラ180をパレット200の接続口240に接続するとともに、カプラ182を接続口242に接続させ、油圧ポンプ164を駆動して作動油をパレット200に供給し、方向切換弁244の切換えスイッチ244aを操作することにより、油圧シリンダ220が伸縮されて、脚部205が伸縮する。よって、パレット200に油圧ポンプが設けられていなくても、パレット200における油圧シリンダ220を作動させることができる。
【0124】
なお、トランスポーター100をパレット200の荷台202の下側の空間に配置させた後に、カウンターウエイト250をパレット200の荷台202に載置してもよい。
【0125】
その後、トランスポーター100を移動させてクレーン10の近傍、つまり、クレーン10の背面側の位置に至らせる。つまり、車軸回転モータ112を回転させることによりトランスポーター100を移動させてクレーン10の背面側に至らせる。その際、当然、トランスポーター100が移動する方向は、走行ユニット本体回転モータ146により走行ユニット本体106aの方向を制御することになる。トランスポーター100の移動は、操作者が無線による遠隔操作機器を操作することにより行なう。
【0126】
そして、クレーン10の懸吊ペンダントロープ42をカウンターウエイト250に取り付けることにより、カウンターウエイト250をクレーン10に取り付ける。
【0127】
クレーン10の上部旋回体14を旋回させない場合やクレーン10自体が移動しない場合には、カウンターウエイト250を移動させる必要がないので、脚部205の長さを長くし、かつ、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くすることにより(脚部205の長さを長くするのみ、又は、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くするのみでもよい)、トランスポーター100によりパレット200を持ち上げた状態を解除して、パレット200の荷台202とトランスポーター100の荷台104とが接しない状態とすればよく、トランスポーター100はパレット200の荷台202の下側の空間から移動して、トランスポーター100を他の作業に使用してもよい。
【0128】
フックロープ30に吊り下げられたフック32により吊り荷を吊り下げる場合には、油圧シリンダ20を駆動してブーム22を回動させるか、フックロープ30をウインチにより引き上げるか、それらの両方を行なう。このように、吊り荷を吊り下げている状態では、カウンターウエイト250はパレット200の荷台202から浮いた状態となる。つまり、カウンターウエイト250を懸吊ペンダントロープ42により吊り下げた状態として、吊り荷の荷重に対する背面側への反力とすることにより、フック32により吊り下げられた吊り荷とカウンターウエイト250とがバランスを保つようにする。
【0129】
次に、クレーン10の上部旋回体14を旋回させる場合について、図13、図14等を使用して説明する。また、図2は、図1に対して上部旋回体14を旋回した状態といえる。なお、以下の上部旋回体14を旋回させる場合の動作は、フック32により吊り荷を吊り下げていない場合とフック32により吊り荷を吊り下げている場合とで同じである。なお、フック32により吊り荷を吊り下げていない場合には、カウンターウエイト250はパレット200の荷台202上に載置され、フック32により吊り荷を吊り下げている場合には、カウンターウエイト250はパレット200の荷台202から浮いた状態となる。
【0130】
クレーン10の上部旋回体14を旋回させる場合には、トランスポーター100によりカウンターウエイト250を載置したパレット200を移動させるので、パレット200をトランスポーター100により持ち上げた状態としておく。
【0131】
クレーン10の運転室の操作者が運転室に設けられた操作部50によりクレーンを旋回させる操作をする。例えば、操作レバーを旋回したい方向に傾けることにより上部旋回体14が旋回し、操作レバーを大きく傾けることにより旋回スピードが上昇するようになっている。
【0132】
旋回操作があったか否かは操作レバーの操作があったか否かで検知できるので、CPU60は、旋回操作があるか否かを所定の周期で検知し(S11)、旋回操作があったことを検知すると、操作レバーを傾けた方向を検知し、操作レバーを傾けた方向に対応した方向に旋回モータ52を回転するように旋回モータ52を制御するとともに、旋回方向を示す旋回方向信号(旋回方向情報を示す信号としてもよい)を送信部56に送る。つまり、この旋回方向信号は、旋回モータ52を制御する信号に対応した信号といえ、旋回方向を特定するための信号(旋回方向特定信号)(旋回方向を特定するための情報を示す信号としてもよい)である。また、旋回モータ52が回転すると、CPU60は、エンコーダ54により旋回モータ52の出力軸の角度を検出し、旋回モータ52の出力軸の角度を示すモータ角度信号を送信部56に送る。このモータ角度信号は、旋回角度を特定するための信号(旋回角度特定信号)(旋回角度を特定するための情報を示す信号としてもよい)である。
【0133】
送信部56は、旋回方向信号とモータ角度信号をトランスポーター100に送信する(S12、S13)。旋回方向信号とモータ角度信号は旋回操作が行われている間は、該所定の周期ごとにトランスポーター100に送信される。なお、CPU60が旋回モータ52を制御する信号をそのまま送信部56に送り、送信部56はこれを旋回方向信号としてトランスポーター100に送ってもよい。
【0134】
トランスポーター100では、受信部184により旋回方向信号とモータ角度信号が受信される(S21、S22)。
【0135】
そして、赤外線距離センサ186によりクレーン10との距離を検出して、クレーン10とトランスポーター100間の距離を検出する(S23)。つまり、赤外線距離センサ186により赤外線をクレーン10の所定の箇所に照射して、該所定箇所と赤外線距離センサ186間の距離を計測する。例えば、クレーン10の下部走行体12の円筒状部12aに向けて赤外線を照射し、赤外線距離センサ186と円筒状部12a間の距離h1(図14参照)を検出し、該距離h1に基づきクレーン10とトランスポーター100間の距離を算出する。例えば、距離h1に円筒状部12aの半径の長さh2とパレット200の荷台202の短辺方向の長さの半分の長さh3を加算することにより(長さh2、h3は予め記憶しておく)、円筒状部12aの上面視の中心位置P(旋回中心)とパレット200の荷台202の中心位置Q間の距離Hを算出する。
【0136】
そして、旋回方向信号とモータ角度信号によりトランスポーター100の移動方向と移動距離を算出する(S24)。移動方向は、距離Hの半径(曲率半径)とする円周方向でクレーン10の旋回方向と同じ方向(クレーン10が右回りの旋回なら右回りで、左回りの旋回なら左回り)である。また、移動距離については、今回受信したモータ角度信号が示す旋回モータ52の出力軸の角度と前回受信した(つまり、1つ前の受信タイミングで受信した)モータ角度信号が示す旋回モータ52の出力軸の角度の差分を算出して、旋回角度(旋回した角度量)αを算出し、2×π×H×α度/360度を移動距離として算出する。移動距離は、図14では、Q1からQ2までの距離といえ、円弧状の移動経路となる。なお、旋回角度信号は、所定の周期で送信されるので、その都度、算出される移動距離は更新されることになる。また、最初にモータ角度信号を受信した段階では旋回角度を算出できないので、実際には、ステップS22におけるモータ角度信号の受信が2回目以降の場合に、ステップS23に移行する。なお、出力軸の角度の差分が旋回角度αを示さない場合には、出力軸の角度の差分と旋回角度の対応を示すテーブルを設けておき、旋回角度を算出する。
【0137】
そして、算出された移動方向と移動距離とに従い、トランスポーター100を移動させる(S25)。つまり、トランスポーター100の移動方向が上記算出された移動方向となるように、各走行ユニット106における走行ユニット本体回転モータ146を制御して走行ユニット本体106aの方向、つまり、タイヤ110の方向を制御する。その際、円周方向に移動するようにするために、各走行ユニット106における走行ユニット本体106aの方向は個別に制御される。そして、車軸回転モータ112を回転させて、算出された移動距離だけ移動させる。その際、回転数検出部170により車軸108の回転数を検出して、移動距離を検出できるので、算出された移動距離分移動するまで車軸回転モータ112を回転させる。上記ステップS21〜S25は、終了信号を受信するまで行なう。
【0138】
つまり、クレーン10における操作部50における旋回操作を解除すると、CPU60はこれを検知して、終了信号を送信部56に送り、送信部56は終了信号をトランスポーター100に送信する(S14)ので、受信部184がこの終了信号を受信すると、最後に受信したモータ角度信号に対応する移動距離を移動したら、車軸回転モータ112の駆動を停止させて移動を終了する(S26、S27)。
【0139】
以上のように、受信部184により受信した旋回方向信号とモータ角度信号と赤外線距離センサ186により計測された距離とに従いトランスポーター100の移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転モータ146と車軸回転モータ112とを制御する。
【0140】
なお、上記のモータ角度信号の代わりに、旋回モータ52の旋回角度を示す信号である旋回角度信号として、この旋回角度信号によりトランスポーター100の移動距離を算出してもよい。つまり、クレーン10では、ステップS13でモータ角度信号を送信する代わりに、旋回モータ52の出力軸の角度を検出して、前回検出した出力軸の角度との差分を算出して、旋回モータ52の旋回角度αを算出し、この旋回角度を示す信号(旋回角度信号)をトランスポーター100の受信部184に送信する。トランスポーター100では、受信した旋回角度信号を用いて、ステップS24において、トランスポーター100の移動距離(2×π×H×α度/360度)を算出する。この場合、旋回角度信号が、旋回角度特定信号となる。
【0141】
なお、トランスポーター100の移動に際して、トランスポーター100の配置領域に凹凸や傾斜があっても、圧力検出部172により油圧シリンダ134内の内圧を検出することにより、各走行ユニット本体106aの油圧シリンダ134における内圧が複数の走行ユニット本体106aにおいて略同一(同一としてもよい)になるように油圧シリンダ134を伸縮することにより、トランスポーター100の荷台104の水平が維持される。
【0142】
また、クレーン10が移動することに伴いカウンターウエイト250を移動させる場合には、遠隔操作装置を操作者が操作して、クレーン10が移動する方向と距離に合わせてトランスポーター100を移動させる。
【0143】
なお、クレーン10の移動に際しても、クレーン10における送信部56からクレーン10の移動方向を示す信号と移動距離を示す信号(例えば、移動方向を示す移動方向信号と移動距離を示す移動距離信号)を送信して、トランスポーター100では、受信した信号が示す情報に従い、トランスポーター100を移動させて、クレーン10の移動に追従させるようにしてもよい。クレーン10の移動方向については、例えば、操作部50における操作を検知することにより移動方向を検知し、前進又は後退、直進又はカーブについての情報や、カーブの場合には、その曲率半径の情報(又はそれに対応した情報)を送信する。また、移動距離については、クローラーを周回させる回転装置の回転数を検出する等して移動距離を検出してその情報を送信する。
【0144】
トランスポーター100では、受信した移動方向の情報に従い、各走行ユニット106における走行ユニット本体回転モータ146を制御して走行ユニット本体106aの方向、つまり、タイヤ110の方向を制御し、受信した移動距離の情報に従い、車軸回転モータ112を回転させて、その移動距離だけ移動させる。つまり、クレーン10の移動方向と同じ方向で、かつ、クレーン10の移動距離と同じ距離だけトランスポーター100を移動させる。つまり、クレーン10の下部走行体12の移動方向の情報と移動距離の情報を受信部184により受信し、受信した移動方向の情報と移動距離の情報に従い、走行ユニット本体回転モータ146と車軸回転モータ112とを制御する。
【0145】
また、クレーン10に取り付けられたカウンターウエイト250を取り外すには、懸吊ペンダントロープ42をカウンターウエイト250から取り外し、トランスポーター100によりカウンターウエイト250を載置したパレット200を持ち上げた状態として、トランスポーター100を適切な場所に移動させ、トランスポーター100によりパレット200を持ち上げた状態を解除してパレット200の脚部205を地面に接地させた後に、他のクレーンでカウンターウエイト250をパレット200の荷台202の上から降ろす。
【0146】
以上のように、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合やクレーンから取り外す場合に、パレット200にカウンターウエイト250を載置した状態でトランスポーター100で運ぶことができるので、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車やカウンターウエイトを運ぶ運搬車がそれぞれ必要にならず(つまり、ウエイト支持装置を運ぶ運搬車とカウンターウエイトを運ぶ運搬車の両方が必要にならず)、コストを低減することができる。
【0147】
また、上部旋回体14の旋回やクレーン10自体の移動に合わせてカウンターウエイト250を移動させる場合に、カウンターウエイト250を載置したパレット200をトランスポーター100により持ち上げた状態で移動させ、トランスポーター100自体に走行用の動力が設けられて自走能力があるので、パレット200の設置位置を整地したり、整地した上面に鉄板を敷設する必要がなく、その点でもコストを低減することができる。
【0148】
また、トランスポーター100が自走能力を有するので、簡易整備され、凹凸や傾斜がある設置面であっても、カウンターウエイト250をクレーン10の旋回や移動に合わせて移動させることができ、特に、クレーン10の旋回や移動に合わせて自動でトランスポーター100が移動するので、容易にクレーン10の動きにカウンターウエイト250を追従させることができる。つまり、クレーン10の送信部56から追尾情報(旋回の場合には、旋回方向信号とモータ角度信号、移動の場合には、移動方向信号と移動距離信号)をトランスポーター100の受信部184に送信して、この追尾情報に合わせてトランスポーター100を移動させるので、容易にクレーン10の動きにカウンターウエイト250を追従させることができる。また、トランスポーター100には、上記のように荷台104を水平に維持する機能を有しているので、カウンターウエイト250を安定してパレット200上に載置しておくことができ、カウンターウエイト250をパレット200上に安定して載置した状態で移動させることができる。
【0149】
また、トランスポーター100とパレット200はクレーン10の種類が異なっても汎用的に使用することができ、クレーンの種類ごとにトランスポーター100やパレット200を設ける必要がなく、クレーンの種類ごとにウエイト支持装置を準備する必要がない。
【0150】
また、カウンターウエイトをクレーンに取り付ける場合には、他の場所でパレット200にカウンターウエイト250を載置し、トランスポーター100によりパレット200を持ち上げた状態でクレーン10の近傍に運ぶことができるので、カウンターウエイトをクレーンに取り付けるための下準備をクレーンの近傍で行なう必要がなく、クレーンの近傍に十分なスペースがない場合でも、カウンターウエイトをクレーンに取り付けることができる。また、クレーンから取り外す場合にも、カウンターウエイト250を載置したパレット200を持ち上げた状態でトランスポーター100により他の場所に移動して、カウンターウエイト250をパレット200から降ろす作業ができるので、カウンターウエイトをクレーンから取り外す場合でも、クレーンの近傍に十分なスペースが必要ない。
【0151】
なお、上記の説明においては、パレット200の脚部205が伸縮するものとして説明したが、脚部205が伸縮しない構成としてもよい。
【0152】
つまり、その場合のパレット200’は、図15に示すように構成され、荷台(パレット荷台)202と、荷台202の角部に固定され下方に連設された脚部1205とを有している。脚部1205は、伸縮しない構成となっている。パレット200’における荷台202の構成は、パレット200における荷台202と同様であるので、詳しい説明を省略する。なお、パレット200’においても、隣接する脚部1205(短手方向に隣接する脚部1205)間の長さM1aがトランスポーター100が通過可能な長さに形成されている。なお、長手方向に隣接する脚部1205間の長さM1bの方が、長さM1aよりも長いので、長さM1bもトランスポーター100が通過可能な長さに形成されているといえる。
【0153】
すなわち、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最小とした状態における荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さL2aは、パレット200’の脚部1205の長さ(荷台202の下端と脚部1205の下端の間の上下方向の長さ)L11よりも短く形成され(つまり、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最小とした状態における荷台104の上端の高さは、パレット200’の荷台202の下端の高さよりも低く形成されている)、これにより、少なくとも、トランスポーター100の荷台104と車軸108間の上下方向の長さを最小とした場合には、トランスポーター100を荷台202の下方に荷台104を荷台202の下側に荷台202と離間した状態で配置可能となり、トランスポーター100は、パレット200’の荷台202の下側の空間にある。
【0154】
また、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最大とした状態における荷台104の上端とタイヤ110の下端の間の上下方向の長さL2bは、パレット200’の脚部1205の長さ(荷台202の下端と脚部1205の下端の間の上下方向の長さ)L11よりも長く形成され(つまり、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の長さRを最大とした状態における荷台104の上端の高さは、パレット200’の荷台202の下端の高さよりも高く形成されている)、これにより、トランスポーター100を荷台202の下方に配置した状態で、少なくとも、パレット200’の脚部1205の長さを最小とし、かつ、トランスポーター100の荷台104と車軸108間の上下方向の長さを最大とした場合には、パレット200’がトランスポーター100に持ち上げられた状態となり、荷台104により荷台202を持ち上げた状態となる。
【0155】
トランスポーター100と、パレット200’と、カウンターウエイト250とを有するクレーンシステムの使用状態及び動作は、クレーンシステム5の場合と同様であるが、トランスポーター100がパレット200’の荷台202の下側の空間に侵入できるようにするには、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を短くし、一方、パレット200’がトランスポーター100に持ち上げられた状態とするには、トランスポーター100において車軸108と荷台104間の上下方向の距離を長くする。
【0156】
なお、上記の説明において、油圧により動作する装置については、電気式で動作する装置に置き換えてもよい。例えば、油圧シリンダ134や油圧シリンダ220の代わりに、スクリュージャッキを用いてもよく、また、油圧モータにより構成される車軸回転モータ112や走行ユニット本体回転モータ146は、電気モータにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0157】
5 クレーンシステム
10 クレーン
12 下部走行体
14 上部旋回体
15 基部
16、195 筐体部
18、20、134、220 油圧シリンダ
22 ブーム
24 マストブーム
30 フックロープ
32 フック
34 ブームペンダントロープ
40 ブーム起伏ロープ
42 懸吊ペンダントロープ
50 操作部
52 旋回モータ
54 エンコーダ
56 送信部
58、188 記憶部
60、190 CPU
100 トランスポーター
102 本体部
104、202 荷台
105 支持板
106 走行ユニット
106a 走行ユニット本体
106b 荷台側機構部
108 車軸
110 タイヤ
112 車軸回転モータ
114、116 板状部
118、122 アーム
120、124、128、130、132 ピン
126、136、140 支持部
134a、224 ピストンロッド
142 ホイール
144 ウォーム
146 走行ユニット本体回転モータ
152、156、160、244 方向切換弁
154、158、162、164 油圧ポンプ
166 オイルタンク
168 エンジン
170 回転数検出部
172 圧力検出部
180、182 カプラ
184 受信部
186 赤外線距離センサ
200、200’ パレット
205、1205 脚部
210 脚部本体
212 筒状部
214 底面部
222 ピストン
230 台部
240、242 接続口
244a 切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、
クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台を支持する複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(1205)とを有するパレット(200’)と、
パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台であるトランスポーター荷台(104)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を上下方向の位置を変更可能に支持する車軸支持部(118、122、126)と、車軸の上下方向の位置を変更する車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、
を有し、
トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とするクレーン用カウンターウエイト支持装置。
【請求項2】
下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、
クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台を支持し、伸縮可能な複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(205)とを有するパレット(200)と、
パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台であるトランスポーター荷台(104)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を上下方向の位置を変更可能に支持する車軸支持部(118、122、126)と、車軸の上下方向の位置を変更する車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、
を有し、
トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とするクレーン用カウンターウエイト支持装置。
【請求項3】
下部走行体と下部走行体に対して旋回する上部旋回体とを有するクレーンにおける上部旋回体に設けられたマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを支持するクレーン用カウンターウエイト支持装置であって、
クレーンのマストブームから吊り下げられたカウンターウエイトを載置するパレットで、カウンターウエイトを載置する平面視で略長方形状の荷台であるパレット荷台(202)と、パレット荷台の4つの角部に設けられていてパレット荷台を支持し、油圧シリンダ(220)により伸縮可能な複数の脚部で、隣接する脚部間の長さがトランスポーターが通過可能な長さに形成された脚部(205)とを有するパレット(200)と、
パレット荷台を下方から持ち上げるための荷台でパレットにおけるパレット荷台の短辺における脚部間の長さよりも短い幅を有する荷台であるトランスポーター荷台(204)と、トランスポーターを走行させる走行ユニットで、車軸(108)と、車軸に設けられたタイヤ(110)と、車軸を回転させる車軸回転手段(112)と、車軸を支持する車軸支持アーム(118、122)と、車軸支持アームを回動可能に支持するアーム支持部(126)と、車軸支持アームをアーム支持部に対して回動させる油圧シリンダである車軸上下用油圧シリンダにより構成された車軸上下位置変更手段(134)とを有する走行ユニット本体(106a)と、トランスポーター荷台に固定された走行ユニット本体回転手段であって、走行ユニット本体を略鉛直方向の中心軸を中心にトランスポーター荷台に対して回転させる走行ユニット本体回転手段(106b)を有する複数の走行ユニット(106)と、クレーンにおける距離計測対象位置との間の距離を計測する距離計測手段(186)と、クレーンに設けられた送信部から送信された信号で、クレーンにおける上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号を受信する受信部(184)と、受信した旋回方向特定信号と旋回角度特定信号と距離計測手段により計測された距離とに従いトランスポーターの移動方向と移動距離を算出し、算出された移動方向と移動距離とに従い走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御する制御部(190)と、を有するトランスポーター(100)と、
を有し、
トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最小とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最大にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも短く、また、トランスポーターのトランスポーター荷台と車軸間の上下方向の長さを最大とした場合のトランスポーター荷台の上端とタイヤの下端の間の上下方向の長さは、パレットの脚部の長さを最小にした場合のパレット荷台の下端と脚部の下端の間の上下方向の長さよりも長いことを特徴とするクレーン用カウンターウエイト支持装置。
【請求項4】
トランスポーターには、油圧ポンプ(164)と、油圧ポンプにより作動油を供給するための油圧ホース(179)と、油圧ホースの先端に設けられた接続装置(180)とを有し、パレットのパレット荷台には、該接続装置を接続するための接続口(240)が設けられ、脚部における油圧シリンダは、接続口から供給された作動油により作動することを特徴とする請求項3に記載のクレーン用カウンターウエイト支持装置。
【請求項5】
受信部が、クレーンの下部走行体の移動方向を示す信号と移動距離を示す信号を受信し、制御部が、受信した移動方向を示す信号と移動距離を示す信号に従い、走行ユニット本体回転手段と車軸回転手段とを制御して、移動するクレーンに追従してトランスポーターを移動させることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載のクレーン用カウンターウエイト支持装置。
【請求項6】
請求項1又は2又は3又は4に記載のクレーン用カウンターウエイト支持装置と、
下部走行体に対して上部旋回体が旋回するクレーンで、上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と、旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号とを送信する送信部を有するクレーン(10)と、
を有することを特徴とするクレーンシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のクレーン用カウンターウエイト支持装置と、
下部走行体に対して上部旋回体が旋回するクレーンで、上部旋回体の旋回方向を特定するための信号である旋回方向特定信号と、旋回角度を特定するための信号である旋回角度特定信号と、下部走行体の移動方向を示す信号と、下部走行体の移動距離を示す信号を送信する送信部を有するクレーン(10)と、
を有することを特徴とするクレーンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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