説明

クレーン用上部旋回体

【課題】本体側ブラケットの変形(横たわみ)を抑制する
【解決手段】本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とを繋ぐように補強部材50が取り付けられる。すなわち、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とが一体構造として形成される。よって、本体側右ブラケット31及び本体側左ブラケット36の横方向(Y方向。本体側右ブラケット31と本体側左ブラケット36とが対向する方向)の曲げ剛性が向上する。したがって、横方向(Y方向)の荷重がかかったときの、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36の横方向(Y方向)の変形(横たわみ)を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン用上部旋回体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より様々な種類のクレーンが知られている。例えば、ラチス構造のブームを備えるとともに無限軌道(クローラ)で自走可能なクレーンであるLBCC(Latice Boom Crawler Crane)が知られている。このLBCCの基本的な構造は次の通りである。図22に示すように、クローラ503cを備えた下部走行体503の上方側(Z1側)に旋回ベアリング504を介して上部旋回体501が設けられる。この上部旋回体501の前方側(X2側)に本体側ブラケット530を介してブーム510が取り付けられる。
【0003】
なお、上部旋回体501の後方側にはカウンターウェイト505が搭載される。また、上部旋回体501に取り付けられたマスト(ガントリ)506の先端部とブーム510の先端部とがガイケーブル(ガイライン)506bで連結される。また、マスト(ガントリ)506の先端部と上部旋回体501に設けたドラム(図示なし)とが起伏ロープ506aで連結される。この起伏ロープ506aを巻出し、巻込みさせることでブーム510が起伏する。次に上部旋回体501についてさらに説明する。
【0004】
図23(a)及び(b)に示すように、上部旋回体501は、上部旋回体本体520と、ブーム510を取り付ける(連結する)ためのブラケット(本体側ブラケット530)と、を備える。この本体側ブラケット530は、例えば4枚の板状部材であり、上部旋回体本体520の前端部524から前方側(X2側)へ突出するように設けられる。
【0005】
図23(b)に示すように、本体側ブラケット530が4枚の板状部材である場合、片側2枚の本体側ブラケット530は、片側1枚のブーム側ブラケット511を挟む。そしてこれらのブラケットに連結ピン540を挿通する。すなわち、前端部524の右側(Y2側)に配置される本体側右ブラケット531(2枚の板状)は、ブーム側右ブラケット512(1枚の板状)を挟む。ここに右連結ピン541を挿通する。また前端部524の左側(Y1側)に配置される本体側左ブラケット536(2枚の板状)は、ブーム側左ブラケット513(1枚の板状)を挟む。ここに左連結ピン542を挿通する。このようにブーム510が上部旋回体501に取り付けられる。
【0006】
本体側ブラケット530は、図22に示すブーム軸力Aaによる鉛直方向の荷重Abに耐えられるように、図23(a)に示す鉛直方向の広がり530Zを持った形状に形成される。
【0007】
なお、ラチス構造のブームを備えるクレーンに係る技術とは異なるが、上部旋回体本体の前端部から前方側に突出したブラケットに係る技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−100839号公報(図3〜図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した上部旋回体501には次の問題がある。
図23(b)に示すように、旋回や横風などによりブーム510が横荷重Ac1(Y方向の荷重)を受けた場合、連結ピン540は本体側ブラケット530に横荷重Ac2を伝える。ここで、連結ピン540は、軸周りに回転自由な状態で配置されるものである。すなわち連結ピン540は、本体側ブラケット530を構成する2枚の板やブーム側ブラケット511を一体として連結するものではない(連結ピン540は強度部材ではない)。よってブーム510が受けた横荷重Ac1は、本体側ブラケット530を構成する板の板厚分の幅(Y方向の幅)のみで支持することとなる。
【0010】
したがって、ブーム510が横荷重Ac1を受けた場合、本体側ブラケット530は横方向(Y方向)に非常にたわみ易いという問題がある(以下このたわみを「横たわみ」と言う)。また図23(c)に示すように、本体側ブラケット530の横たわみにより前端部524が変形するという問題も生じる。
【0011】
本発明の目的は、ブームを取り付けるための本体側ブラケットの横たわみを抑制できるクレーン用上部旋回体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明に係るクレーン用上部旋回体は、前方側にラチス構造のブームが取り付けられる上部旋回体であって、上部旋回体本体と、前記上部旋回体本体の前端部に固定される本体側右ブラケットと、前記前端部に固定され、前記本体側右ブラケットに対向して配置される本体側左ブラケットと、を備え、前記本体側右ブラケットは、前記ブームの後端に設けられたブーム側右ブラケットを連結するための右連結ピンを挿通可能な右ピン孔が形成され、前記本体側左ブラケットは、前記ブームの後端に設けられたブーム側左ブラケットを連結するための左連結ピンを挿通可能な左ピン孔が形成され、前記本体側右ブラケットと前記本体側左ブラケットとを繋ぐように補強部材が取り付けられ、前記補強部材は、前記右ピン孔と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側または上方側の位置で前記本体側右ブラケットに取り付けられるとともに、前記左ピン孔と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側または上方側の位置で前記本体側左ブラケットに取り付けられる。
なお「前記本体側右ブラケットと前記本体側左ブラケットとを繋ぐように」とは、これらを直接繋ぐ場合だけでなく、前記上部旋回体本体の前記前端部を介して繋ぐ場合を含む。
【0013】
このクレーン用上部旋回体では、本体側右ブラケットと本体側左ブラケットとを繋ぐように補強部材が取り付けられる(上部旋回体本体の前端部を介して繋ぐ場合を含む)。すなわち、本体側右ブラケットと本体側左ブラケットとが一体構造として形成される。よって、本体側右ブラケット及び本体側左ブラケットの横方向(本体側右ブラケットと本体側左ブラケットとが対向する方向)の曲げ剛性が向上する。したがって、横方向の荷重がかかったときの、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットの横方向の変形(横たわみ)を抑制できる。
また、この横たわみの抑制により、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットに発生する応力が抑制される。また、この横たわみの抑制により、上部旋回体本体の前端部のせん断剛性が向上する。したがって、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットが疲労破壊に達するまでの寿命を延ばすことができる。
【0014】
また、ブームの荷重は右連結ピン及び左連結ピンを介して右ピン孔および左ピン孔に伝わる。右ピン孔および左ピン孔よりも後方側(付け根側)にのみ補強部材を取り付けた場合は、補強部材よりも前方側で上記の横たわみが生じやすい。
一方で、このクレーン用上部旋回体では、補強部材は、右ピン孔と重なる位置または当該位置よりも前方側で本体側右ブラケットに取り付けられるとともに、左ピン孔と重なる位置または当該位置よりも前方側で本体側左ブラケットに取り付けられる。よって、右ピン孔および左ピン孔よりも後方側にのみ補強部材を取り付けた場合に比べ、上記の横たわみをより抑制できる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に係るクレーン用上部旋回体であって、前記補強部材は、前記右ピン孔および前記左ピン孔を囲うように、前記本体側右ブラケットおよび前記本体側左ブラケットに取り付けられる。
なお「前記右ピン孔および前記左ピン孔を囲うように」とは、前記補強部材のみで囲う場合に限らず、前記上部旋回体本体の前記前端部と前記補強部材とで囲う場合を含む。
【0016】
このクレーン用上部旋回体では、右ピン孔および左ピン孔を囲うように、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットに補強部材が取り付けられる。よって、ブームの荷重が直接伝わる右ピン孔および左ピン孔の周辺が補強される。よって、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットの曲げ剛性がより向上する。したがって、上記の横たわみをより抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明に述べたように、特に本体側右ブラケットと本体側左ブラケットとを繋ぐように補強部材を取り付けた構成により、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットの曲げ剛性が向上するため、本体側右ブラケットおよび本体側左ブラケットの横たわみを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】上部旋回体およびブームを示す図である。図1(a)は斜視図、図1(b)は平面図、図1(c)は図1(b)に示すF1c−F1c矢視断面図である。
【図2】図1(b)に示す本体側ブラケット周辺を拡大した図である。
【図3】変形例1−1の図1相当の図である。
【図4】変形例1−2の図1相当の図である。
【図5】変形例1−3の図1相当の図である。
【図6】変形例1−4の図1相当の図である。
【図7】変形例1−5の図1相当の図である。
【図8】変形例1−6の図1相当の図である。
【図9】変形例2−1の図1相当の図である。
【図10】変形例2−2の図1相当の図である。
【図11】変形例2−3の図1相当の図である。
【図12】変形例2−4の図1相当の図である。
【図13】変形例2−5の図1相当の図である。
【図14】変形例3−1の図1相当の図である。
【図15】変形例3−2の図1相当の図である。
【図16】変形例3−3の図1相当の図である。
【図17】変形例3−4の図1相当の図である。
【図18】変形例4−1の図1相当の図である。
【図19】変形例4−2の図1相当の図である。
【図20】変形例4−3の図1相当の図である。
【図21】変形例4−4の図1相当の図である。
【図22】従来の移動式クレーンの側面図である。
【図23】従来の上部旋回体およびブームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る上部旋回体の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は上部旋回体およびブームを示す図である。図1(a)は斜視図であり、図1(b)は平面図であり、図1(c)は図1(b)に示すF1c−F1c矢視断面図である。
図2は図1(b)に示す本体側ブラケット周辺を拡大した図である。以下、図1および図2を参照して上部旋回体1の構成について詳細に説明する。
【0021】
上部旋回体1は、移動式クレーンの下部走行体の上方側に設けられる部分であり、ブーム10が前方側に取り付けられる部分である(図22の移動式クレーン502、下部走行体503、ブーム510参照)。また、この移動式クレーンはクローラクレーンである。なお、このクレーンは上部旋回体1以外の部分については従来の移動式クレーン502(図22参照)と同様であるので、以下で説明するブーム10と上部旋回体1以外の部分については詳細な説明を省略する。
ここで、図1に示すように、前後方向をX方向とも言う。X方向における前方側(上部旋回体1に対してブーム10(図1(b)参照)が取り付けられる側)をX2側とも言い、後方側をX1側とも言う。また横方向をY方向とも言い、後方側から前方側に向かって見たときの左側をY1側とも言い、同右側をY2側とも言う。また上下方向をZ方向とも言い、上側をZ1側とも言い、下側をZ2側とも言う。
【0022】
ブーム10は、図2に示すように、上部旋回体本体20の前方側に取り付けられるラチスブーム(図22参照)である。このブーム10は、ブーム10の後端(X1側の端)にブーム側ブラケット11が設けられる。
【0023】
ブーム側ブラケット11は、Y2側に配置されるブーム側右ブラケット12と、Y1側に配置されるブーム側左ブラケット13と、を備える。これらが本体側ブラケット30と連結されることで上部旋回体本体20にブーム10が取り付けられる(後述)。
【0024】
上部旋回体1は、図1および図2に示すように、上部旋回体本体20と、上部旋回体本体20の前端部24に配置される本体側ブラケット30と、を備える。
【0025】
上部旋回体本体20は、例えば全体として箱型であり、図示しないドラム、エンジン、油圧モータや油圧ポンプ等が取り付けられる。この上部旋回体本体20は、底板21と、底板21のY方向における両端部に取り付けられる右側板22および左側板23と、右側板22と左側板23とを繋ぐ前端部24と、を備える。
【0026】
右側板22および左側板23は、底板21のY方向における両端部の上方側(Z1側)に取り付けられる、例えば長方形の板である。右側板22は、底板21のY2側(右側)端部に取り付けられる。左側板23は、底板21のY1側(左側)端部に取り付けられる。
【0027】
前端部24は、上部旋回体本体20の前方側(X2側)の部分であり、例えば板や構造物である。すなわち前端部24は、底板21のX2側の端部の上方側(Z1側)に取り付けられ、右側板22と左側板23とを繋ぐ。また、前端部24の前方側(X2側)の面には後述する本体側ブラケット30が取り付けられる。
【0028】
(ブラケット)
本体側ブラケット30は、図2に示すように、ブーム10を上部旋回体1に(上部旋回体本体20に)取り付けるために設ける。この本体側ブラケット30は、上部旋回体本体20の前端部24に固定される本体側右ブラケット31(Y2側の2枚の板)と、前端部24に固定されるとともに本体側右ブラケット31に対向して配置される本体側左ブラケット36(Y1側の2枚の板)と、を備える。以下、これらについてさらに説明する。
【0029】
本体側右ブラケット31は次のように設けられる。位置について説明すると、前端部24のY2側(右側)端部から前方側(X2側)に突出するように固定される。形状について説明すると、図1(a)および(c)に示すように、全体として縦方向(Z方向)に長い形状である。これにより鉛直荷重(Z方向の荷重)に対する剛性を確保している。また、本体側右ブラケット31(2枚の板)は、横方向(Y方向)に相互に対向して配置される右内側ブラケット32(Y1側の1枚の板)と右外側ブラケット33(Y2側の1枚の板)とで構成される。
【0030】
右内側ブラケット32及び右外側ブラケット33は、図2に示すように、ブーム10の後端(X1側の端)に設けられたブーム側右ブラケット12を挟めるように配置される。また右内側ブラケット32及び右外側ブラケット33には右ピン孔34が形成される。
【0031】
右ピン孔34は、ブーム10の後端(X1側の端)に設けられたブーム側右ブラケット12と本体側右ブラケット31とを連結するための右連結ピン41を挿通可能な孔である。さらに詳しくは、この右ピン孔34は、右内側ブラケット32及び右外側ブラケット33それぞれに形成される。それぞれの右ピン孔34は、Y方向に沿うように連通する。そして、この右ピン孔34と、ブーム側右ブラケット12に形成されたブーム側のピン孔と、に右連結ピン41を挿通することで、ブーム側右ブラケット12と本体側右ブラケット31とを連結する。
【0032】
本体側左ブラケット36は、上下方向(Z方向)から見たとき、上部旋回体本体20のY方向における中心を通る線(X方向に沿う中心線。図示なし)に対して、本体側右ブラケット31と線対称に配置される。すなわち本体側左ブラケット36(2枚の板)は、相互に対向して配置される左内側ブラケット37(Y2側の1枚の板)と左外側ブラケット38(Y1側の1枚の板)とで構成される。
【0033】
左内側ブラケット37及び左外側ブラケット38は、ブーム10の後端(X1側の端)に設けられたブーム側左ブラケット13を挟めるように配置される。また、このブーム側左ブラケット13には左連結ピン42を挿通可能な左ピン孔39が形成される。
【0034】
左ピン孔39は、ブーム10の後端(X1側の端)に設けられたブーム側左ブラケット13と本体側左ブラケット36とを連結するための左連結ピン42を挿通可能な孔である。そして、この左ピン孔39と、ブーム側左ブラケット13に形成したブーム側のピン孔と、に左連結ピン42を挿通することで、ブーム側左ブラケット13と本体側左ブラケット36とを連結する。
【0035】
(補強部材)
補強部材50は、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36の変形(横たわみ)を抑制するために設けられる。この補強部材50は、図1(a)および(c)に示すように、2枚の長方形の板状部材であり、以下のように設けられる。
【0036】
補強部材50は、図2に示すように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とを繋ぐように取り付けられる。さらに詳しくは、補強部材50の右側(Y2側)端部50Rが、右内側ブラケット32の左側面(Y1側の面)に取り付けられる。補強部材50の左側(Y1側)端部50Lが左内側ブラケット37の右側面(Y2側の面)に取り付けられる。
【0037】
また、補強部材50は、図1および図2に示すように、右ピン孔34および左ピン孔39より上方側(Z1側)に配置される1枚の長方形の板状の補強部材50aと、同下方側(Z2側)に配置される1枚の長方形の板状の補強部材50bと、を備える。補強部材50aと補強部材50bは、Z方向に対向して配置される。また補強部材50aおよび50bはそれぞれ、短手方向が前後方向(X方向)に沿い、長手方向が横方向(Y方向)に沿い、厚さ方向が上下方向(Z方向)に沿うように配置される。このように補強部材50が2枚の板状部材を備えるので、補強部材が1枚のみの板状部材で構成される場合に比べ、より本体側ブラケット30の変形(横たわみ)を抑制できる。
【0038】
ここで、従来の本体側ブラケット530(図23(b)参照)のうちの1枚の板状部材の断面二次モーメントを次の数1に示す。なお、ここで言う断面とは上下方向(Z方向)から見た断面である。断面二次モーメントの軸は、1枚の板状部材のY方向における中心を通る直線(X方向に沿う中心線)である。また、wは本体側ブラケット530のX方向の長さ、tは本体側ブラケット530のY方向の長さ(板厚)を示す(図2の符号w、tを参照)。
【0039】
【数1】

【0040】
一方、図1および図2に示す補強部材50を設置した場合、右内側ブラケット32と補強部材50と左内側ブラケット37とが一体化している。よって、右内側ブラケット32及び左内側ブラケット37は一体として変形する。そこで、右内側ブラケット32及び左内側ブラケット37の断面二次モーメントを次の数2に示す。なお、断面とは上下方向(Z方向)から見た断面である。断面二次モーメントの軸は、右内側ブラケット32と左内側ブラケット37とのY方向における中心を通る直線(X方向に沿う中心線)である。また図2に示すように、wは本体側ブラケット30のX方向の長さ、tは本体側ブラケット30のY方向の厚さ(板厚)、dは補強部材50のY方向の幅を示す。
【0041】
【数2】

【0042】
数1及び数2に示すように、補強部材50がある場合は、補強部材50がない場合に比べ、本体側ブラケットの断面二次モーメントが大きくなる。すなわち横方向(Y方向)の本体側ブラケット30の変形がより抑制される。
【0043】
(変形例1)
上述した実施形態に係る上部旋回体1では、図1に示すように、補強部材50は2枚の板状部材であった。この補強部材50の形状や配置は様々に変形することができる。変形例1(変形例1−1〜1−6)に係る補強部材151〜156は、図3〜8に示すように、補強部材50(図1参照)と同様の板状部材の配置や枚数を変更したものである。
【0044】
(変形例1−1)
図3に変形例1−1に係る上部旋回体101−1の補強部材151を示す。なお図3は変形例1−1の図1相当図である。すなわち図3(a)は斜視図、図3(b)は平面図、図3(c)は図3(b)に示すF3c−F3c矢視断面図である。なお、後述する変形例1−2〜変形例4−4に係る図4〜図21も図1相当図であり、図4(c)〜図21(c)は、図4(b)〜図21(b)に示すF4c〜F21c矢視断面図である。
【0045】
補強部材151は、1枚の板状部材である。また補強部材151は、図3(a)および(c)に示すように、右ピン孔34と重なる位置で本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)に取り付けられるとともに、左ピン孔39と重なる位置で本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に取り付けられる。なお、図3(c)では右内側ブラケット32側のみ示しているが、左内側ブラケット37側にも同様に補強部材151が取り付けられる(変形例1−2〜変形例4−4の補強部材152〜補強部材454も同様である)。
また補強部材151は、長手方向が横方向(Y方向)に沿うように、短手方向が前後方向(X方向)に沿うように配置される。すなわち、図1に示す補強部材50aを右ピン孔34および左ピン孔39と重なる位置まで下方側(Z2側)に移動させ、補強部材50bを取り除いたものが補強部材151(図3参照)である。
【0046】
(変形例1−2)
図4に変形例1−2に係る上部旋回体101−2の補強部材152を示す。補強部材152は、1枚の板状部材であり、短手方向が前後方向(X方向)に沿い、右ピン孔34および左ピン孔39の上方側(Z1側)に配置される。すなわち、図1に示す補強部材50から、下方側(Z2側)に配置した補強部材50bを取り除いたものが、補強部材152(図4参照)である。
【0047】
(変形例1−3)
図5に変形例1−3に係る上部旋回体101−3の補強部材153を示す。補強部材153は、1枚の板状部材であり、短手方向は上下方向(Z方向)に沿い、右ピン孔34および左ピン孔39と重なる位置で右内側ブラケット32および左内側ブラケット37に取り付けられる。すなわち、右ピン孔34および左ピン孔39をつなぐ直線を軸として、変形例1−1に係る補強部材151(図3参照)を90度回転させたものが補強部材153である。
【0048】
ここで、補強部材153がある場合とない場合との本体側ブラケットの横方向の変形量を比較した。すなわち、ブーム10(図5(b)参照)に横方向(Y方向)の荷重を掛けたときの本体側ブラケット30の横方向(Y方向)の変形量と、図22および図23に示すブーム510に横方向(Y方向)の荷重を掛けたときの本体側ブラケット530の横方向(Y方向)の変形量と、を比較した。
比較結果を表1に示す。なお表1に示す変形量は、補強部材がない場合の本体側左ブラケットの変形量を1とした無次元量である。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示すように、補強部材153がある場合は、補強部材がない場合に比べ、本体側右ブラケット31と本体側左ブラケット36との変形量の差が小さくなった。また、本体側ブラケット30の変形量の最大値が小さくなった。また、本体側右ブラケット31と本体側左ブラケット36との変形量の平均値も小さくなった。すなわち、補強部材50を取り付けたことにより本体側ブラケット30の変形(横たわみ)が抑制された。
【0051】
(変形例1−4)
図6に変形例1−4に係る上部旋回体101−4の補強部材154を示す。補強部材154は、1枚の板状部材であり、短手方向は上下方向(Z方向)に沿い、右ピン孔34および左ピン孔39の前方側(X2側)に配置される。すなわち図5に示す変形例1−3に係る補強部材153を前方側(X2側)に移動させたものが補強部材154である。
【0052】
(変形例1−5)
図7に変形例1−5に係る上部旋回体101−5の補強部材155を示す。補強部材155は、2枚の板状部材を組み合わせたような形状である。具体的には、図7(c)に示すように、Y1側からY2側に向かって見た(右向きに見た)断面が「L」字を上下反転したような形状である。すなわち、図4に示す変形例1−2に係る補強部材152と、図6に示す変形例1−4に係る補強部材154と、を組み合わせたものが補強部材155である。
【0053】
(変形例1−6)
図8に変形例1−6に係る上部旋回体101−6の補強部材156を示す。補強部材156は、2枚の板状部材を組み合わせたような形状である。具体的には、図8(c)に示すように、Y1側からY2側に向かって見た断面が「L」字状である。すなわち、図7に示す変形例1−5に係る補強部材155を、右ピン孔34および左ピン孔39を中心として上下反転させたものが補強部材156である。
【0054】
(変形例2)
上述した変形例1では、図3〜図8に示すように、補強部材は1枚または2枚の板状部材であったが、次のようにも変形できる。変形例2(変形例2−1〜2−5)に係る補強部材251〜255は、右ピン孔34および左ピン孔39を囲うように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)および本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に取り付けられる。すなわち、補強部材251〜255のY方向から見た断面は閉断面である。この閉断面の形状を以下のように様々なものとすることができる。
【0055】
(変形例2−1)
図9に変形例2−1に係る上部旋回体201−1の補強部材251を示す。補強部材251は3枚の板状部材を組合せたものであり、Y1側からY2側に向かって見た断面が「コ」の字を左右反転したような形状である。すなわち、補強部材251は、右ピン孔34および左ピン孔39よりも上方側(Z1側)に配置された補強部材251a、同前方側(X2側)に配置された補強部材251b、及び、同下方側(Z2側)に配置された補強部材251cを備える。
【0056】
補強部材251aおよび251cのX1側端部は前端部24に接する。すなわち、補強部材251は前端部24と共に、右ピン孔34および左ピン孔39を囲うように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)および本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に取り付けられる。なお、この補強部材251は、上記実施形態に係る補強部材50(図1参照)と、変形例1−4に係る補強部材154(図6参照)と、を組み合わせ、補強部材50aおよび50b(図1参照)の後方側(X1側)端部を前端部24に接するようにしたものであると言い換えることができる。
【0057】
(変形例2−2)
図10に変形例2−2に係る上部旋回体201−2の補強部材252を示す。補強部材252は3枚の板状部材を組み合わせたものであり、本体側ブラケット30の前端部に沿うように形成された部分(補強部材252b)を有する点で変形例2−1の補強部材251(図9参照)と異なる。すなわち、変形例2−1に係る補強部材251bのY方向から見た断面(図9(c)参照)はZ方向に沿う。一方で、図10(c)に示すように、本変形例に係る補強部材252bの同断面は、本体側ブラケット30の前端部(X2側端部)に沿う(断面が曲線状である)。この場合、補強部材252は前端部24と共に右ピン孔34および左ピン孔39を囲う。
【0058】
(変形例2−3)
図11に変形例2−3に係る上部旋回体201−3の補強部材253を示す。補強部材253は4枚の長方形の板状部材を組み合わせたものであり、図11(c)に示すようにY方向から見た断面が四角形(例えば正方形)である。すなわち、変形例2−1に係る補強部材251(図9参照)と、右ピン孔34および左ピン孔39の後方側(X1側)に配置される補強部材253aとを備えるものが補強部材253である。
【0059】
(変形例2−4)
図12に変形例2−4に係る上部旋回体201−4の補強部材254を示す。補強部材254は3枚の長方形の板状部材を組み合わせたものであり、図12(c)に示すようにY方向から見た断面が三角形である。この三角形は例えば、右ピン孔34および左ピン孔39の後方側に2つの頂点があり、同前方側に1つの頂点があるような三角形である。そしてこの三角形の内部に右ピン孔34および左ピン孔39が位置する。
【0060】
(変形例2−5)
図13に変形例2−5に係る上部旋回体201−5の補強部材255を示す。補強部材255は、図13(c)に示すようにY方向から見た断面が円形である。すなわち補強部材255は円筒状である。そしてこの円形の内部(例えば中心部)に右ピン孔34および左ピン孔39が位置する。
【0061】
(変形例3)
上述した実施形態および変形例では、図1〜図13に示すように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とを直接繋ぐように補強部材50(151〜156、251〜255)が取り付けられたが、次のようにも変形できる。すなわち、変形例3に係る補強部材351〜354は、図14〜17に示すように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とを、前端部24を介して繋ぐ。このような変形例3として変形例3−1〜3−4について次に説明する。
【0062】
(変形例3−1)
図14に変形例3−1に係る上部旋回体301−1の補強部材351を示す。図14(b)に示すように、補強部材351は、左右(Y1側およびY2側)それぞれに1枚ずつ、合計2枚の三角リブ(三角形の板状部材)を備える。すなわち補強部材351は、Y2側に配置する補強部材351Rと、Y1側に配置する補強部材351Lと、を備える。
【0063】
補強部材351Rおよび補強部材351Lは、図14(b)に示すように、上下方向(Z方向)から見たとき、それぞれ三角形である。補強部材351Rの三角形は、1辺が右内側ブラケット32に接し、他の1辺が前端部24に接する。言い換えれば、補強部材351Rは、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と前端部24とを繋ぐ。補強部材351Lの三角形は、1辺が左内側ブラケット37に接し、他の1辺が前端部24に接する。言い換えれば、補強部材351Lは、本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)と前端部24とを繋ぐ。すなわち、補強部材351は、本体側右ブラケット31と本体側左ブラケット36とを前端部24を介して繋ぐ。
また、図14(c)に示すように、補強部材351Rは右ピン孔34と重なる位置に配置される。また、補強部材351Lは左ピン孔39と重なる位置に配置される。なお、補強部材351R及び351Lの厚さ方向はZ方向に沿う。
【0064】
(変形例3−2)
図15に変形例3−2に係る上部旋回体301−2の補強部材352を示す。補強部材352は、左右(Y1側およびY2側)それぞれ2枚ずつ、合計4枚の三角リブ(三角形の板状部材)を備える。すなわち、補強部材352は、右側(Y2側)に配置される補強部材352Rと、左側(Y1側)に配置される補強部材352Lとを備える。そして補強部材352Rは、変形例3−1に係る補強部材351R(図14参照)を右ピン孔34の上方側に移動させた補強部材352Raと、同下方側に移動させた補強部材352Rbとを備える。同様に補強部材352Lは、変形例3−1に係る補強部材351L(図14(b)参照)を右ピン孔34の上方側及び下方側に移動させた補強部材352Lを備える。この場合、補強部材が合計2枚の三角リブのみを有する場合に比べ、本体側ブラケット30の変形をより抑制できる。
【0065】
(変形例3−3)
図16に変形例3−3に係る上部旋回体301−3の補強部材353を示す。補強部材353は、左右(Y1側およびY2側)それぞれに、四角錐形状の部材を備える。さらに詳しくは、右側(Y2側)に配置される補強部材353Rおよび左側(Y1側)に配置される補強部材353Lは、底面を前端部24とし、高さ方向がX方向に沿うような四角錐形状である。補強部材353Rの四角錐の2辺は右内側ブラケット32のY1側の面に接しする。そして、図16(c)に示すように、この2辺は右ピン孔34に重なる。同様に、補強部材353Lの四角錐の2辺は左内側ブラケット37のY2側の面に接し、この2辺は左ピン孔39に重なる。なお、補強部材353Rおよび353Lの内部は空洞である。
【0066】
(変形例3−4)
図17に変形例3−4に係る上部旋回体301−4の補強部材354を示す。補強部材354は、左右(Y1側およびY2側)それぞれに、三角柱形状の部材を備える。さらに詳しくは、右側(Y2側)に配置される補強部材354Rおよび左側(Y1側)に配置される補強部材354Lの三角柱形状は、高さ方向がZ方向に沿う。この三角柱の底面は、右ピン孔34および左ピン孔の下方側にあり、この三角柱の上面は、右ピン孔34および左ピン孔の上方側にある。また、図17(c)に示すように、補強部材354は、右ピン孔34および左ピン孔39を囲う。
【0067】
(変形例4)
図18〜図21に変形例4に係る上部旋回体401−1〜401−4を示す。上部旋回体401−1〜401〜4には、右連結ピン41および左連結ピン42を抜き差しするためのシリンダー460が、右ピン孔34のY1側および左ピン孔39のY2側に設置される。よって補強部材451〜454はこれら2つのシリンダー460を避けるように配置される。このような変形例4として変形例4−1〜4−4について次に説明する。
【0068】
(変形例4−1)
図18に変形例4−1に係る上部旋回体401−1の補強部材451を示す。補強部材451は、上述した実施形態に係る補強部材50と同様の補強部材(2枚の長方形の板状部材。図1参照)であり、シリンダー460を避けて配置される。すなわち補強部材451のうち上方側(Z1側)の補強部材451aは、シリンダー460の上方側(Z1側)に配置され、下方側(Z2側)の補強部材451bは、シリンダー460の下方側(Z2側)に配置される。なお、補強部材451の後方側(X1側)端部が前端部24に接するように、補強部材451は配置される。
【0069】
(変形例4−2)
図19に変形例4−2に係る上部旋回体401−2の補強部材452を示す。補強部材452は、上述した変形例1−4に係る補強部材154(図6参照)と同様の補強部材(1枚の長方形の板状部材)であり、シリンダー460を避けて配置する。すなわち補強部材452はシリンダー460の前方側(X2側)に配置される。
【0070】
(変形例4−3)
図20に変形例4−3に係る上部旋回体401−3の補強部材453を示す。補強部材453は、上述した変形例2−1に係る補強部材251(図9参照)と同様の補強部材である。すなわちY1側からY2側に向かって見た断面が「コ」の字を左右反転させた形状である(図9参照)。そして、シリンダー460を囲むように補強部材453が配置される。また補強部材453にはコード(ケーブル)を通すための切り欠きや孔(図示なし)が形成される。このような切り欠きや孔を形成したとしても、本体側ブラケット30の変形を抑制するという補強部材453の効果は失われない。なお、遠隔操作(無線)によりシリンダー460を操作する場合は、この切り欠きや孔は不要である。
【0071】
(変形例4−4)
図21に変形例4−4に係る上部旋回体401−4の補強部材454を示す。補強部材454は、上述した変形例2−3に係る補強部材253(図11参照)とほぼ同様の補強部材であり、シリンダー460を避けて配置される。すなわち四角形断面の補強部材454の内側にシリンダー460が位置するように、補強部材454が配置される。なお、補強部材454の後方側(X1側)端部が前端部24に接するように補強部材454が配置される。また、変形例4−3の場合と同様に切り欠きや孔が形成される。
【0072】
(本実施形態の上部旋回体の特徴)
本実施形態の上部旋回体1には以下の特徴がある。
【0073】
上部旋回体1では、図1に示すように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とを繋ぐように補強部材50が取り付けられる(「繋ぐように」には、図14〜図17に示すように、上部旋回体本体20の前端部24を介して繋ぐ場合を含む)。すなわち、図1に示すように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)と本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)とが一体構造として形成される。よって、本体側右ブラケット31及び本体側左ブラケット36の横方向(Y方向。本体側右ブラケット31と本体側左ブラケット36とが対向する方向)の曲げ剛性が向上する。したがって、横方向(Y方向)の荷重がかかったときの、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36の横方向(Y方向)の変形(横たわみ)を抑制できる。
また、この横たわみの抑制により、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36に発生する応力が抑制される。また、この横たわみの抑制により、上部旋回体本体20の前端部24のせん断剛性が向上する。したがって、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36が疲労破壊に達するまでの寿命を延ばすことができる。
なお、補強部材50は、右ピン孔34と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側(図1(c)に示す矢印X3参照)または上方側(矢印Z3参照)の位置で本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)に取り付けられるとともに、左ピン孔39と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側または上方側の位置で本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に取り付けられる。
【0074】
また、ブーム10の荷重は右連結ピン41及び左連結ピン42を介して右ピン孔34および左ピン孔39に伝わる。右ピン孔34および左ピン孔39よりも後方側(X1側。付け根側)にのみ補強部材50を取り付けた場合は、補強部材50よりも前方側(X2側)で上記の横たわみが生じやすい。
一方で、この上部旋回体1では、補強部材50は、右ピン孔34と重なる位置または当該位置よりも前方側(X2側)で本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)に取り付けられるとともに、左ピン孔39と重なる位置または当該位置よりも前方側(X2側)で本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に取り付けられる。よって、右ピン孔34および左ピン孔39よりも後方側(X1側)にのみ補強部材50を取り付けた場合に比べ、上記の横たわみをより抑制できる。
【0075】
なお、図3〜図21に示す変形例1〜4に係る上部旋回体も同様の特徴を有する。すなわち上部旋回体101−1〜101−6、201−1〜201−5、301−1〜301−4、および、401−1〜401−4についても、また、補強部材151〜156、251〜255、351〜354、および、451〜454についても同様の特徴を有する。
【0076】
また、図9に示す上部旋回体201−1では、右ピン孔34および左ピン孔39を囲うように、本体側右ブラケット31(右内側ブラケット32)および本体側左ブラケット36(左内側ブラケット37)に補強部材251が取り付けられる。よって、ブーム10の荷重が直接伝わる右ピン孔34および左ピン孔39の周辺が補強される。よって、本体側右ブラケット31および本体側左ブラケット36の曲げ剛性がより向上する。したがって、上記の横たわみをより抑制できる。
なお、図10〜13、図17、図20、および図21に示す変形例2−2〜2−5、3−4、4−3および4−4に係る上部旋回体も、この特徴を有する。すなわち上部旋回体201−2〜201−5、301−4、401−3、および401−4についても、また、補強部材252〜255、354、453、および454についても、この特徴を有する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0078】
例えば、前記実施形態では上部旋回体1を用いるクレーンをクローラクレーンとしたが(図22参照)、ホイールクレーン、固定式クレーン、その他のクローラクレーン以外のクレーンでも本発明を適用できる。
【0079】
また例えば、図1等に示す上部旋回体本体20の前端部24は、上部旋回体本体20の最も前方側に位置することは必要ではない。すなわち、前端部24より前方側に上部旋回体本体20の一部が存在しても本発明を適用できる。
【0080】
また例えば、図1〜図21及び図23では、本体側ブラケットを左右2枚ずつ合計4枚の板状部材としたが、左右1枚ずつとしても本発明を適用できる。
【0081】
また例えば、図1〜図21及び図23では、本体側ブラケットを左右2枚ずつ合計4枚の板状部材としたが、左右1枚ずつとしても本発明を適用できる。
【0082】
また例えば、図18〜図21に示す変形例4では補強部材451〜454の隙間にシリンダー460のみを設置したが、この隙間にタグラインウインチその他の機械を設置しても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1、101−1〜101−6、201−1〜201−5、301−1〜301−4、401−1〜401−4 上部旋回体(クレーン用上部旋回体)
10 ブーム
12 ブーム側右ブラケット
13 ブーム側左ブラケット
20 上部旋回体本体
24 前端部
31 本体側右ブラケット
34 右ピン孔
36 本体側左ブラケット
39 左ピン孔
41 右連結ピン
42 左連結ピン
50、151〜156、251〜255、351〜354、451〜454 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側にラチス構造のブームが取り付けられる上部旋回体であって、
上部旋回体本体と、
前記上部旋回体本体の前端部に固定される本体側右ブラケットと、
前記前端部に固定され、前記本体側右ブラケットに対向して配置される本体側左ブラケットと、
を備え、
前記本体側右ブラケットは、前記ブームの後端に設けられたブーム側右ブラケットを連結するための右連結ピンを挿通可能な右ピン孔が形成され、
前記本体側左ブラケットは、前記ブームの後端に設けられたブーム側左ブラケットを連結するための左連結ピンを挿通可能な左ピン孔が形成され、
前記本体側右ブラケットと前記本体側左ブラケットとを繋ぐように補強部材が取り付けられ、
前記補強部材は、前記右ピン孔と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側または上方側の位置で前記本体側右ブラケットに取り付けられるとともに、前記左ピン孔と重なる位置または当該位置よりも少なくとも前方側または上方側の位置で前記本体側左ブラケットに取り付けられる、クレーン用上部旋回体。
【請求項2】
前記補強部材は、前記右ピン孔および前記左ピン孔を囲うように、前記本体側右ブラケットおよび前記本体側左ブラケットに取り付けられる、請求項1に記載のクレーン用上部旋回体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−105487(P2011−105487A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264164(P2009−264164)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】