説明

クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料

【課題】安全性が高く、クロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を有する動物用の飼料及び抗クロストリジウム剤の提供。
【解決手段】炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを含有するクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料;炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを有効成分とする抗クロストリジウム剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物のクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びに抗クロストリジウム剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家畜及び家禽のクロストリジウム パーフリンゲンス感染症は、クロストリジウム パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)の感染によって起こる疾病で、代表的な症状として壊疸性腸炎があり、またエンテロトキセミア、悪性水腫の原因にもなる。罹病率、致死率がともに高く、採卵鶏、ブロイラー、養豚、酪農業界に与える経済的被害は大きい。従って、家畜及び家禽の数ある疾病の中でもその防除対策の確立が急がれる最も重要な疾病の一つである。
壊疸性腸炎は、子豚、雛等の疾病臨床的には、下痢がみられ、腸粘膜への細菌の侵入、小腸の壊死を伴うことを特徴とする。
エンテロトキセミアは、クロストリジウム パーフリンゲンスが動物の小腸内で増殖し、その産生する毒素により、壊死性、出血性の病変を起こし、かつ毒血症のために急性死を招く疾病である。
悪性水腫は、偶発的または外科手術により生じた創面に、菌が侵入して発生し、その菌が発芽、増殖して毒素を出し毒血症、菌血症を起こし死に至らせる疾病である。
【0003】
このように、クロストリジウム パーフリンゲンス感染症は重大な伝染病にあるにもかかわらず、予防・治療方法が未だ確立されていなく、予防方法として、飼育管理を適切に行なわれているに過ぎない。また、治療に当たっては、抗生物質、合成抗菌剤からなる化学治療剤が主に使用されてきたが、抗生物質又は化学治療剤では副作用の発現、薬剤への耐性獲得による効果の減退等の問題があった。しかも、薬剤を投与した動物の肉や卵等を人間が食する場合には、動物の体内に残留した薬剤の人体への移行の問題があり、その使用量や投与期間に厳しい制限が必要であった。
【0004】
そこで、上記したような問題がなく、安全性が高いクロストリジウム症に対する予防及び/又は治療剤として、例えばカンゾウ等の生薬を含有する家畜及び家禽のクロストリジウム パーフリンゲンス感染症の予防及び治療剤(特許文献1);枯草菌を有効成分とする抗クロストリジウム生菌剤(特許文献2、3);マンノース類、シアル酸類及びラクト−N−フコペンタオースから選ばれる1種以上を配合する飼料(特許文献4);クエン酸、ギ酸、乳酸及びプロピオン酸、担体からなり、家畜又は家禽のクロストリジウム・パーフリンゲンス症の予防に有効な抗菌性組成物(特許文献5)等が知られている。
しかしながら、斯かる従来の飼料によっても、未だ十分満足のいく効果が得られていないのが実状であった。
【特許文献1】特許第2599161号公報
【特許文献2】特公平8−18996号公報
【特許文献3】特開平11−285378号公報
【特許文献4】特開平8−38064号公報
【特許文献5】特開2004−236597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、クロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を有する動物用の飼料及び抗クロストリジウム剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、当該課題を解決すべく、種々研究を重ねた結果、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルを動物に給与すれば、クロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。
【0008】
また、本発明は、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを有効成分とすることを特徴とする抗クロストリジウム剤により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飼料を動物に給与、あるいは本発明の薬剤を動物に投与すれば、副作用を引き起こすことなく、動物のクロストリジウム症を予防及び/又は治療することができる。また、クロストリジウム症による飼育成績の低下、生産性の低下を防止することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられるグリセリンモノエステルは、グリセリンと炭素数8〜14の脂肪酸とのモノエステルである。グリセリンモノエステルを構成する脂肪酸としては、炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖状の、飽和又は不飽和の脂肪酸が挙げられ、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が挙げられる。具体的には、グリセリンカプリル酸モノエステル、グリセリンカプリン酸モノエステル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンミリスチン酸モノエステルが挙げられる。
グリセリンモノエステルのHLB値は3以上、好ましくは3〜10である。ここでのHLB値は界面活性剤の親水性と親油性のバランスを表す指標で、Griffinの方法により求めた数値である。
グリセリンモノエステルは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明で用いられるポリグリセリンモノエステルは、グリセリンの縮合体であるポリグリセリンの水酸基に脂肪酸が結合したエステルである。
【0012】
ポリグリセリンモノエステルを構成する脂肪酸は、炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖状の、飽和又は不飽和の脂肪酸であるが、好ましくは飽和脂肪酸である。脂肪酸としては前述したものを挙げることができる。
また、ポリグリセリンの平均重合度は2〜30が好ましく、特に2〜10が好ましい。具体的には、ジグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノミリステート等が挙げられる。
【0013】
ポリグリセリンモノエステルのHLB値は5以上であることが好ましく、特に5〜17が好ましい。HLB値は、前述した方法によって求めることができる。
【0014】
ポリグリセリンモノエステルは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、グリセリンモノエステルとポリグリセリンモノエステルとを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明においては、クロストリジウム症に対する効果の点から、グリセリンモノエステルを用いるのが好ましく、特にグリセリンラウリン酸モノエステルを用いるのが好ましい。
【0015】
後記実施例に示すように、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルを給与することにより、動物のクロストリジウム症に対して優れた予防及び/又は治療効果を有する。従って、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを飼料中に添加することにより種々の動物のクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料が得られる。また、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを添加混合することによって抗クロストリジウム剤が得られる。この薬剤はそのまま直接動物に投与してもいいし、あるいは飼料等に添加して動物に給与してもよい。
【0016】
本発明において、飼料中の炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常これら成分を添加する前の飼料に(外割)0.005〜2質量%、好ましくは0.01〜1質量%の範囲で添加することが最適である。添加量が0.005質量%より少ないと、クロストリジウム症に対する効果が得られにくく、他方2質量%より多いとコストアップを招き好ましくない。
【0017】
本発明の飼料に用いる飼料原料としては、特に制限されず、例えば、とうもろこし、マイロ、大麦、小麦等の穀類;ふすま等の糟糠類;大豆油粕、菜種油粕等の植物性油粕類;魚粉、肉骨粉等の動物性飼料;食塩、オリゴ糖類、ケイ酸、各種ビタミン類、炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム等のミネラル類;アミノ酸類及び有機酸類等が挙げられる。
【0018】
本発明において、抗クロストリジウム剤中の炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、製剤中に0.005〜50質量%、好ましくは0.01〜30質量%の範囲であることが最適である。添加量が0.005質量%より少ないと、抗クロストリジウム剤として投与する量が多くなり短期間に投与することが困難となる。他方50質量%より多いと製剤化が難しく取扱いも困難となる。
【0019】
本発明においては、適宜、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、嬌味嬌臭剤等を使用して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の経口投与製剤とするのが好ましく、上述のように飼料等に添加して動物に給与するのが好ましい。
【0020】
本発明において、飼料の給与量、あるいは薬剤の投与量は、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルとして2〜4,000mg/体重kg/日とするのが好ましく、特に4〜2,000mg/体重kg/日とするのが好ましい。本発明の飼料の給与又は薬剤の投与は、全飼育期間にわたって行っても、産まれた直後から飼育期間の一定期間のみ行ってもよいが、特に鶏の場合は産まれた直後から全期間に給与するのが、高い抗クロストリジウム効果が得られる点で好ましい。
【0021】
本発明の飼料及び薬剤を給与する動物の種類は特に限定されず、例えば鶏、アヒル等の家禽類、牛、豚、羊等の家畜類を挙げることができ、特に鶏に好適である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【0023】
実施例1 in vitro抗菌力評価
(1)培地の調製
クロストリジウム パーフリンゲンス(Clostridium Perfringens)を培養するための液体培地は、ABCM液体培地(メーカー:栄研化学、製品番号:E- MG22)を46g/Lで蒸留水に溶かして調製した。ここへ抗菌力を評価する物質をそれぞれ0.1質量%(以下、単に%)含有させた。
評価物質としては、下記のものを用いた。
・グリセリンカプリル酸モノエステル(太陽化学、サンソフトNo.700P-2 [HLB7.2])
・グリセリンカプリン酸モノエステル(太陽化学、サンソフトNo.760 [HLB6.5])
・グリセリンラウリン酸モノエステル(太陽化学、サンソフトNo.750 [HLB5.3])
・グリセリンミリスチン酸モノエステル(和光純薬、モノミリスチン)
・ポリグリセリンラウリン酸モノエステル(三菱化学フーズ、L-10D [HLB16]、平均重合度10、平均エステル化率 ポリグリセリン:脂肪酸=1:1)
・ポリグリセリンラウリン酸モノエステル(三菱化学フーズ、L-7D [HLB17]、平均重合度10、平均エステル化率 ポリグリセリン:脂肪酸=1:0.7)
・グリセリンパルミチン酸モノエステル(太陽化学、サンソフトNo.433 [HLB3])
・グリセリンステアリン酸モノエステル(関東化学、モノステアリン)
・ショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ、L-195 [HLB1])
・ショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ、L-595 [HLB5])
・ココナッツヤシ油、MCT(花王、ヘルシップML)
【0024】
上記の物質のうち、油性で水に不溶なもの(ココナッツヤシ油、MCT)は、評価物質1gと抗菌性のないPVP(ポリビニルピロリドン、メーカー:和光純薬、以下同じ)1gを混合し、そこへ滅菌水9gを少量ずつ加えながら乳鉢を使ってなじませて乳化し10%溶液を作った。その他の評価物質は、最終的な培地中濃度の10倍濃度になるように滅菌水中に溶かし水溶液を作り、ABCM液体培地は通常の2倍濃度で調製した。そして、そのABCM液体培地5mLと10倍濃度の水溶液1mLを混合し、さらに滅菌水を4mL加えて10mLになるよう調製し、目的濃度の物質を含む液体培地とした。
対照として、対照(i):ABCM液体培地に評価物質を添加しないもの、対照(ii):ABCM液体培地にPVP0.1gを添加したもの、の2つを用意した。
【0025】
(2)菌株の調製
供試したクロストリジウム パーフリンゲンスは、ブロイラーの糞便から採取し、リン酸緩衝液で10倍に希釈してクロストリジウム パーフリンゲンスの選択培地であるCW培地に塗布して37℃、24時間嫌気培養後に、レシチナーゼ反応によって陽性を確認したコロニーを使用した。菌数測定に用いるCW培地は、カナマイシン含有CW培地(日水製薬、05405、粉末)を60g/Lで蒸留水に溶かし卵黄液(卵黄:生理食塩水=1:1)を10%で混合して作製した。そして上記のシャーレから釣菌してBL培地に塗り広げ、37℃24時間嫌気状態で純培養した。BL培地(日水製薬 05430)を58g/L蒸留水に溶かした後、馬脱線維酵素(メーカー:コージンバイオ、製品名:馬無菌脱線維血液)を5%添加して調製した。
【0026】
(3)培養
CW培地において、クロストリジウム パーフリンゲンス と判定した後、BL培地において37℃24時間、純培養を行い、培地上に形成されたコロニーをエーゼ(メーカー:株式会社アテクト、製品名:ディスポマイクロループ、製品コード:3101017-02101)で一円分採取し、PBS(リン酸緩衝液)2mL中に混合、拡散させて菌体液とした。ここでの菌液濃度は104CFU/gとなるよう調整した。更に、これを103倍にPBSで希釈し、菌数測定が可能な範囲になるように調整した。PBSは、ペプトン食塩緩衝液(日水製薬、05430)1.61%、細菌用粉末寒天(日水製薬、05835)0.02%を蒸留水に溶かし、加熱滅菌(121℃、20分)済みのものを使用した。
この希釈した菌体液を、各評価物質を特定濃度で混合したABCM液体培地に50Lずつ加え撹拌後、嫌気状態で37℃24時間培養した。
【0027】
(4)菌数測定
培養した菌液を、PBSで102倍、104倍、106倍と段階希釈を行い、それぞれをCW培地に100μLを塗り広げたものを嫌気状態で37℃48時間培養した。その後、培地上にレシチナーゼ反応を示したコロニーを数え、菌数をlogCFU/gで表した。
また、クロストリジウム パーフリンゲンスに対する抗菌力の判断基準としては、コロニー未形成のものを「○」、コロニーが形成されたものを「×」とした。
【0028】
(5)結果
結果を表1に示す。表1から明らかなように、炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル又はポリグリセリンモノエステルには、クロストリジウム パーフリンゲンスに対して抗菌効果があることが確認された。一方、ショ糖ラウリン酸エステル、ココナッツヤシ油及びMCTに抗菌効果は認められなかった。なお、ココナッツヤシ油及びMCTは中鎖脂肪酸トリグリセリドで、その脂肪酸組成は表2のとおりである。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
実施例2 in vitro抗菌力評価
グリセリンラウリン酸モノエステルの添加濃度を0.01%、1%とした以外は実施例1に準じて抗菌力評価を行った。
その結果、0.01%、1%いずれにおいてもコロニー形成は認められず、クロストリジウム パーフリンゲンス生菌数は検出限界未満であった。
【0032】
実施例3
チャンキー種の雄鶏120羽(10羽×3種類×4反復、3日令)を3区に分けて供試した。それぞれの区に、表3に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料をバタリーケージ内において水桶流水式で25日間給餌した。なお、本試験で用いた基礎飼料は、ライ麦を30%配合しており、これにより、腸管内でのクロストリジウム・パーフリンゲンスの増殖が促進され、雛の発育が抑制される。
飼育試験における増体重(g/羽)、飼料摂取量(g/羽)及び飼料要求率を表4に示す。
(区分)
第1区:試験区1(基礎飼料+グリセリンラウリン酸モノエステル0.03質量%)
第2区:対照区2(基礎飼料+エンラマイシン*1 7ppm)
第3区:対照区1(基礎飼料のみ)
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
表4の結果から、グリセリンラウリン酸モノエステルを添加した飼料(第1区)では、ライ麦を多給して、クロストリジウムの増殖を促進し、人為的にクロストリジウムの影響を受けるように設定した実験系において、増体重が改善されており、クロストリジウムの感染による発育の影響を軽減できることが確認された。
【0036】
実施例4 in vivo盲腸内容物クロストリジウム試験
(1)希釈液及び培地の調製
PBS(リン酸緩衝液)作製:ペプトン食塩緩衝液(日水製薬、05430、粉末)1.61%、細菌用粉末寒天(日水製薬、05835、粉末)0.02%を蒸留水に溶かし込んで調製した後、121℃、20分で滅菌した。CW培地作製:カナマイシン含有CW培地(日水製薬、05405、粉末)を60g/Lで蒸留水に溶かし、煮沸及び50℃程度まで冷却後、卵黄液(卵黄:生理食塩水=1:1)を10%で混合して調製した。
【0037】
(2)盲腸サンプリング
盲腸内容物は、実施例3の各雄鶏を解体し、腸管の盲腸の付け根の上下部2箇所をタイラップバンドで結束して内容物を密封してから、腸管を切断し凍結保存した。
【0038】
(3)希釈・培養及び判定
凍結した盲腸を融解し、ピンセットとハサミを使って切り開き内容物を採取した。採取した内容物をPBSで10倍に希釈し、さらに102倍、103倍、104倍と段階希釈を行い、10倍、102倍、103倍、104倍の盲腸内容物希釈液を作った。希釈した内容物液をCW培地にそれぞれ20L塗り広げ、37℃、24時間嫌気培養後に、レシチナーゼ反応によって陽性を示すコロニーを数えた。その結果に希釈倍率をかけ、盲腸内容物中の菌数をlogCFU/gで表した。
(4)結果
結果を表5に示す。表5から明らかなように、グリセリンラウリン酸モノエステルを添加した飼料(第1区)では対照区1(第3区)と比較して生菌数、検出率ともに減少しており、優れた抗クロストリジウム効果が得られることが確認できた。
【0039】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料。
【請求項2】
炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステルが、グリセリンラウリン酸モノエステルである請求項1記載のクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料。
【請求項3】
炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステル及び/又はポリグリセリンモノエステルを有効成分とすることを特徴とする抗クロストリジウム剤。
【請求項4】
炭素数8〜14の脂肪酸のグリセリンモノエステルが、グリセリンラウリン酸モノエステルである請求項3記載の抗クロストリジウム剤。

【公開番号】特開2010−126472(P2010−126472A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301842(P2008−301842)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(399106505)日清丸紅飼料株式会社 (25)
【Fターム(参考)】