説明

クローズド型のショーケースおよび冷却器の収容構造

【課題】通常時には所望の冷気循環経路が構築される一方、清掃時にはより広い作業スペースが確保されるような、クローズド型のショーケース、その他のタイプのショーケース、及び、冷却器の収容構造を提供すること。
【解決手段】後面側通流口が、基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供される。カバー部材は、基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されている。前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部側に設けられた基台と、前面側を密閉するように設けられた透明材と、後面側に設けられた開閉可能な扉と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なクローズド型のショーケースに関している。また、本発明は、底部側に設けられた基台と、前面側に設けられた前面材と、後面側に設けられた後面材と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なショーケースに関している。また、本発明は、ショーケースに用いられる冷却器の収容構造に関している。
【背景技術】
【0002】
冷気循環が行われるショーケースにおいては、一般に、冷却用ファンから送風される空気が冷却器に送られる。このとき、陳列室内を循環している空気は、陳列室内の小さなチリやほこり等を含んでおり、更に、陳列品の鮮度を保つための湿度を含んでいる。このチリやほこり及び湿度を有する空気が冷却器において冷却されると、飽和水蒸気圧の低下によって結露して、チリやほこりを含んだ水滴となって滴下する。そのため、冷却器下部にチリやほこりが堆積しやすい。この冷却器下部は、陳列室内を循環している空気の通り道になっているから、そこに溜まったチリやほこりは、ショーケース内の陳列品の衛生を保つために、清掃して取り除く必要がある。
【0003】
小型のショーケースにおいては、冷却器が容易に取り外し可能なものもあるが、大型のショーケースになると、冷却器も大きいため、固定設置せざるを得ない。従って、清掃時には、冷却器を取り外すために、例えば業者等に依頼しなければならず、コストがかかる。
【0004】
本件出願人による特許文献1(特許第3457648号公報)には、基台内に設けられた冷却器室に冷却用ファンと冷却器とが設けられたショーケースにおいて、冷却器を取り外すことなく容易に冷却器下部を清掃可能なショーケースの清掃装置が開示されている。この特許発明では、冷却器室の底面と冷却器との間に形成される隙間に、弾力性を有し、少なくとも前記冷却器の底面以上の面積を有し、挿入及び取り外しが可能であるシート状のゴミ受けを設けている。これにより、従来は冷却器を取り外さなければ清掃できなかった箇所が簡単に清掃可能となり、清掃コストの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3457648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許発明に従って、シート状のゴミ受けを配置することによって、格段に清掃コストを低減させることができた。しかしながら、清掃作業の便宜のためには、シート状のゴミ受けを取り外す等のための作業スペースが広ければ広い程よい。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、基台内に冷却器が設けられたショーケースにおいて、通常時には所望の冷気循環経路が構築される一方、清掃時にはより広い作業スペースが確保されるような、クローズド型のショーケース、その他のタイプのショーケース、及び、冷却器の収容構造を提供することである。
【0008】
クローズド型のショーケースは、前面側が密閉されていて、前面側からの清掃が困難であるから、清掃時により広い作業スペースが確保されることは、より重要度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、底部側に設けられた基台と、前面側を密閉するように設けられた透明材と、後面側に設けられた開閉可能な扉と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なクローズド型のショーケースにおいて、前記基台の内部に冷却器が収容されており、前記基台の前面側には、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口が設けられており、前記基台の後面側にも、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口が設けられており、前記前面側通流口と前記後面側通流口とを通って前記基台の上部側の領域内を冷気が循環するように冷気用ファンが設けられており、前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっていることを特徴とするクローズド型のショーケースである。
【0010】
好ましくは、前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている。
【0011】
また、好ましくは、前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている。
【0012】
また、好ましくは、前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている。
【0013】
あるいは、本発明は、底部側に設けられた基台と、前面側に設けられた前面材と、後面側に設けられた後面材と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なショーケースにおいて、前記基台の内部に冷却器が収容されており、前記基台の前面側には、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口が設けられており、前記基台の後面側にも、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口が設けられており、前記前面側通流口と前記後面側通流口とを通って前記基台の上部側の領域内を冷気が循環するように冷気用ファンが設けられており、前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっていることを特徴とするショーケースである。
【0014】
好ましくは、前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている。
【0015】
また、好ましくは、前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている。
【0016】
また、好ましくは、前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている。
【0017】
あるいは、本発明は、ショーケースに用いられる冷却器の収容構造であって、内部に冷却器が収容される基台と、前記基台の前面側に設けられた、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口と、前記基台の後面側に設けられた、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口と、を備えており、前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を所望に位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっていることを特徴とする冷却器の収容構造である。
【0018】
好ましくは、前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている。
【0019】
また、好ましくは、前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている。
【0020】
また、好ましくは、前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カバー部材を支持するための前方支持部が、カバー部材の装着時には、後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、カバー部材の装着位置を所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、カバー部材を外して基台の内部を清掃する時には、後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっている。このため、通常時には所望の冷気循環経路が構築される一方、清掃時にはより広い作業スペースが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態におけるクローズド型のショーケースの斜視図である。
【図2】図1のショーケースの縦断面図である。
【図3】図1及び図2のショーケースの冷却器近傍の拡大断面図である。
【図4】図1及び図2のショーケースのカバー部材近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるクローズド型のショーケースの斜視図である。図2は、図1のショーケースの縦断面図である。図3は、図1及び図2のショーケースの冷却器近傍の拡大断面図である(本図では、カバー部材及びルーバーの図示が、あえて省略されている)。図4は、図1及び図2のショーケースのカバー部材近傍の拡大断面図である。
【0024】
本実施の形態のクローズド型のショーケースは、図1乃至図3に示すように、底部側に設けられた基台5と、前面側を密閉するように設けられた透明なガラス製(アクリル製やポリカーボネート製でもよい)の板部材6と、後面側に設けられた開閉可能な引き違いの扉10、11と、を備えている。また、本実施の形態のクローズド型のショーケースは、上面側に設けられた天壁9と、一対の側壁7、8と、をも備えている。
【0025】
本実施の形態のクローズド型のショーケースは、図1乃至図3から明らかなように、基台5の上面板14の上部側の領域を陳列室として利用できるようになっている。当該目的のために、側壁7、8に、陳列棚12が懸架されている。図2において、符号12Cは、照明灯を保護するための保護カバーを示している。
【0026】
そして、基台5の内部に、冷却器1が収容されている。冷却器1としては、公知の種々のタイプの冷却器が用いられ得るが、後述するゴミ受け2(弾力性のあるシート)の挿入及び取り外し作業の便宜のため、図2及び図3に示すように、後面の底部側が欠けた(引き込んだ)横断面を有することが好ましい。。
【0027】
基台5の前面側(ガラス製の板部材6の側)には、基台5の内部と基台5の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口15が設けられている。本実施の形態では、図2に示すように、当該前面側通流口15は、ガラス製の板部材6と基台5の上面板14との間に設けられた細長い開口部によって提供されている。
【0028】
基台5の後面側(引き違いの扉10、11の側)にも、基台5の内部と基台5の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口17が設けられている。本実施の形態では、当該後面側通流口17は、図2乃至図4に示すように、後述するカバー部材21を支持する前方支持部26(基台5の上面板14をも支持する)及び冷却器1と基台5の後面側端部との間に形成された後面側開口部20と、当該後面側開口部20に装着されるカバー部材21に形成されたスリット状開口21g(隙間)と、によって提供されている。
【0029】
カバー部材21は、左右方向に長いアルミニウム製の部材であり、通常は押し出し成形によって製造される。図4に示すように、カバー部材21には、冷気を整流するための複数のフィン21fが設けられている。複数のフィン21fは、本例ではカバー部材21とは別体に製造されてカバー部材21に取り付けられているが、カバー部材21に一体的に設けられてもよい。また、複数のフィン21fの形状(冷気整流のパターン)は、図4に示すタイプに限定されず、種々のものが採用され得るし、位置に応じて異なっていてもよい。カバー部材21は、基台5に設けられた後方支持部25(左右方向に長い)と前方支持部26(左右方向に長い)とによって着脱自在に支持されている。
【0030】
そして、本実施の形態の前方支持部26は、カバー部材21の装着時には、後面側開口部20の内側に所定の前後方向幅(後面側開口部20の前後方向幅の約4分の1程度)だけ入り込んで、カバー部材21の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、カバー部材21を外して基台5の内部を清掃する時には、後面側開口部20の内部へのアクセスの障害とならないように、後面側開口部20から遠ざかるように待避可能になっている。具体的には、本実施の形態では、前方支持部26は、基台5の内部に収容された冷却器1の上面上に配置された水平固定基板31の上面に、固定ヒンジ結合部32によって取り付けられており、カバー部材21の装着時の位置から、カバー部材21を外して基台5の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている。
【0031】
ここで、基台5の内部を清掃する時の前方支持部26の位置は、図3において破線ないし二点鎖線で示す通り、水平固定基板31の上面から十分な距離を保った位置に設定されて、作業者が指を挟んで怪我をすることがないよう、安全上の配慮がなされている。前方支持部26の回動がそのような位置で停止するために、前方支持部26の左右両端の位置に、適宜のストッパ部材が設けられている。ストッパ部材については、それ自体特に特徴を有するものではないので、説明は省略する。ストッパ部材が設けられた部位では、当該ストッパ部材によって作業者の指が挟まれるおそれが残るが、前方支持部26の左右両端の位置に限られているから、そのおそれは極めて小さいと評価できる。
【0032】
また、図4に示すように、前方支持部26は、基台5の上面板14の後方縁をも支持するようになっている。
【0033】
また、本実施の形態では、前記水平固定基板31に対して固定ヒンジ結合部33を介して回動して持ち上げ可能な第1リフト板34と、当該第1リフト板34に対して浮遊ヒンジ結合部35を介して回動可能な第2リフト板36と、が設けられており、当該2つのリフト板34、36は協働して折れ戸状に持ち上げられるようになっている。これにより、前面側からの冷却器1へのアクセスをも許容されるようになっている。もっとも、本実施の形態は、前面が密閉されたクローズド型のショーケースであるので、前面側から冷却器1へアクセスすることは基本的に無い。
【0034】
さらに本実施の形態では、第2リフト板36は、非持ち上げ時に、傾斜した状態で基台底面13との間で冷却器1側の領域を区画するようになっている。そして、当該第2リフト板36には、複数の円形の孔が設けられていて、当該孔の各々に冷気用ファン16が直結されている。
【0035】
これにより、当該ファン16が作り出す気流によって、前面側通流口15から基台5の内部に冷気が吸い込まれ、冷却器1によって冷却され、後面側通流口17(カバー部材21のスリット状開口21g)から基台5の上部へと冷気が吐出されて、基台5の上部側の領域内で冷気が好適に行き渡って循環するようになっている。
【0036】
また、図4に示すように、本実施の形態では、後方支持部25は、カバー部材21の後方縁が載置される単なるコーナー縁部である。
【0037】
また、後面側開口部20の底部に、排水路(ドレン排水口)4が設けられている。そして、基台5の底面13は、排水路4に向かって僅かに下降するように傾斜している。これにより、陳列室内や基台5の内部をシャワー等で洗浄した際の水を効果的に排出することができる。さらに、後面側開口部20の側面と底面との境界部にアール部や傾斜部を設けることも(図3参照)、排水効果を高める上で好ましい。
【0038】
そして、冷却器1の下方に(冷却器1の底面と基台5の内部の底面13との間に)、弾力性のあるシートであるゴミ受け2が挿入されている。
【0039】
次に、以上のように構成された本実施の形態のクローズド型のショーケースの作用について説明する。
【0040】
ショーケースの通常利用時には、カバー部材21が、前方支持部26によって支持された状態にある(図4参照)。この状態では、前方支持部26は、後面側開口部20の内側に所定の幅だけ入り込んでいて、所望の冷気循環経路が構築されるようになっている。
【0041】
この状態において、ファン16が作り出す気流によって、前面側通流口15から基台5の内部に冷気が吸い込まれ、冷却器1によって冷却され、後面側通流口17から基台5の上部へと冷気が吐出されて、基台5の上部側の領域(陳列室)内で冷気が好適に行き渡りつつ循環する。
【0042】
この際、陳列室内を循環している空気は、当該陳列室内の小さなチリやほこり等を含んでおり、更に、陳列品の鮮度を保つための湿度を含んでいる。このチリやほこり及び湿度を有する空気が冷却器1において冷却されると、飽和水蒸気圧の低下によって結露して、チリやほこりを含んだ水滴となって滴下する。この水滴はゴミ受け2に付着する。
【0043】
冷却器1において冷却された気流は、後面側通流口17から陳列室内に送られる。この際、当該気流は、フィン21fによって所望の方向に整流され、陳列室内に効果的に行き渡る。
【0044】
一方、基台5の内部の清掃時には、カバー部材21が、前方支持部26から取り外される。その後、前方支持部26は、後面側開口部20から遠ざかるように待避する。具体的には、本実施の形態では、ヒンジ結合部32の回動作用によって、前方支持部26が、カバー部材21の装着時の位置から、ヒンジ結合部32を前面側に超えた位置(図3において破線ないし二点鎖線で示す位置)まで、回動移動される。ヒンジ結合部32を前面側に超えた当該位置が、基台5の内部を清掃する時の位置となる。
【0045】
この状態において、ゴミ受け2を取り外して、シャワー等を用いて水で洗浄して清掃することで、基台5内を清潔に維持することができる。この時の後面側開口部20の前後方向の開口幅は、前方支持部26が回動移動して待避することによって、従来の基台構造と比較して顕著に広げられているため、清掃作業の容易性が顕著に向上される。
【0046】
なお、上記実施の形態では、ヒンジ結合を利用することで、前方支持部が後面側開口部から遠ざかるように待避可能となっているが、少なくとも本願出願の時点では、当該構造に限定されない。例えば、前方支持部が水平方向にスライド移動する構造も、採用され得るかもしれない。もっとも、構造的な強度及びコストを考慮すると、少なくとも本願出願の時点では、ヒンジ結合を利用した上記実施の形態の態様の方が好ましい。
【0047】
また、上記実施の形態は、クローズド型のショーケースについて説明しているが、本発明の本質的部分は、冷却器の収容構造にある。従って、少なくとも本願出願の時点では、特許請求の範囲において冷却器の収容構造をも規定して、模倣からの保護を求める。また、同様の理由により、少なくとも本願出願の時点では、クローズド型でない他のタイプのショーケースについても、模倣からの保護を求める。
【符号の説明】
【0048】
1 冷却器
2 ゴミ受け(ポリカーボネートシート)
4 排水路
5 基台
6 ガラス製の板部材(前壁)
7、8 側壁
9 天壁
10、11 引き違い扉
12 陳列棚
12C 照明灯の保護カバ−
13 基台の底面
14 基台の上面板
15 前面側通流口
16 冷気用ファン
17 後面側通流口
20 後面側開口部
21 カバー部材
21f フィン
21g スリット状開口
25 後方支持部(基台のコーナー角部)
26 前方支持部(基台とは別体の回動部材)
31 水平固定基板
32 固定ヒンジ結合部
33 固定ヒンジ結合部
34 第1リフト板
35 浮遊ヒンジ結合部
36 第2リフト板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部側に設けられた基台と、前面側を密閉するように設けられた透明材と、後面側に設けられた開閉可能な扉と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なクローズド型のショーケースにおいて、
前記基台の内部に冷却器が収容されており、
前記基台の前面側には、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口が設けられており、
前記基台の後面側にも、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口が設けられており、
前記前面側通流口と前記後面側通流口とを通って前記基台の上部側の領域内を冷気が循環するように冷気用ファンが設けられており、
前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、
前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、
前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっている
ことを特徴とするクローズド型のショーケース。
【請求項2】
前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている
ことを特徴とする請求項1に記載のクローズド型のショーケース。
【請求項3】
前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクローズド型のショーケース。
【請求項4】
前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクローズド型のショーケース。
【請求項5】
底部側に設けられた基台と、前面側に設けられた前面材と、後面側に設けられた後面材と、を備え、前記基台の上部側の領域を陳列室として利用可能なショーケースにおいて、
前記基台の内部に冷却器が収容されており、
前記基台の前面側には、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口が設けられており、
前記基台の後面側にも、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口が設けられており、
前記前面側通流口と前記後面側通流口とを通って前記基台の上部側の領域内を冷気が循環するように冷気用ファンが設けられており、
前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、
前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、
前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を、所望の冷気循環経路が構築されるように位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっている
ことを特徴とするショーケース。
【請求項6】
前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている
ことを特徴とする請求項5に記載のショーケース。
【請求項7】
前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている
ことを特徴とする請求項5または6に記載のショーケース。
【請求項8】
前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のショーケース。
【請求項9】
ショーケースに用いられる冷却器の収容構造であって、
内部に冷却器が収容される基台と、
前記基台の前面側に設けられた、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる前面側通流口と、
前記基台の後面側に設けられた、前記基台の内部と前記基台の上部側の領域との間で冷気を通流させる後面側通流口と、
を備えており、
前記後面側通流口は、前記基台の上面に設けられた後面側開口部と、当該後面側開口部に装着されるカバー部材に形成された隙間と、によって提供されており、
前記カバー部材は、前記基台に設けられた後方支持部と前方支持部と、によって着脱自在に支持されており、
前記前方支持部は、前記カバー部材の装着時には、前記後面側開口部の内側に所定の幅だけ入り込んで、前記カバー部材の装着位置を所望に位置決めする一方、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時には、前記後面側開口部の内部へのアクセスの障害とならないように、前記後面側開口部から遠ざかるように待避可能になっている
ことを特徴とする冷却器の収容構造。
【請求項10】
前記前方支持部は、前記基台にヒンジ結合によって取り付けられており、前記カバー部材の装着時の位置から、前記カバー部材を外して前記基台の内部を清掃する時の位置まで、回動自在となっている
ことを特徴とする請求項9に記載の冷却器の収容構造。
【請求項11】
前記後面側開口部の底部に、排水路が設けられている
ことを特徴とする請求項9または10に記載の冷却器の収容構造。
【請求項12】
前記冷却器の下方に、弾力性のあるシートが挿入されている
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の冷却器の収容構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−24771(P2011−24771A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173401(P2009−173401)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(398059965)株式会社保坂製作所 (3)
【Fターム(参考)】