グァバ葉抽出エキスを加えて発泡性を改良した新規な炭酸飲料及び容器詰めしたグァバ葉抽出エキス
【課題】 グァバ葉抽出ポリフェノール成分を各種炭酸飲料の飲用時における発泡性向上に役立てて、グァバ葉抽出ポリフェノールの独特の癖のある味わいを感じられないものとすることで新しい味わいの炭酸飲料と、高血糖予防及び脂質代謝阻害低減効果など優れた健康効果のあるポリフェノールをより好適に摂取する手段を提供する。
【解決手段】 炭酸飲料に水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上含まれるグァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とするグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料及びこの水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【解決手段】 炭酸飲料に水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上含まれるグァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とするグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料及びこの水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を加えることによって飲用時における発泡性を向上させるとともに、グァバ葉抽出ポリフェノールに特有の癖のある味や臭いを感じられない位に低減し、従来にない新しい味わいの各種炭酸飲料と、更に、高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が期待されるポリフェノールをより好適に摂取する手段として容器詰めしたグァバ葉抽出エキスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は、コーラやサイダーといった清涼飲料やビールその他の炭酸アルコール飲料として古くから人類に親しまれてきている飲み物である。このような炭酸飲料類は瓶や缶といった容器に溶入した炭酸ガスが、開封してコップなどに注いだ際に細かな泡として飲料の味わいや吸収に変化を与え、それが多くの人達の嗜好性に合致することから世界中に普及しているものと言える。
【0003】
このような発泡性炭酸飲料の嗜好性を左右する大きな要素のひとつが発泡性にあり、泡立ちの強さや量、泡の持続性などに独自の研究・工夫がなされていると理解されるが、発泡性炭酸飲料では泡立ちそのものが清涼感を与えて嗜好性に訴える要素となっているので、これを向上させることが望ましい。そのために密封容器中から溶入した炭酸ガスが抜けることを阻止しようとする技術やより多くの炭酸ガスを溶け込ませる技術などが種々提案されている。
【0004】
また、例えば、赤ワインに含有されるポリフェノールは、動脈硬化や抗酸化性を高める等の健康効果が注目されている。一般的にポリフェノールの種類は数多く存在し、その効能も種々認められ、これを含んだ食材や飲料が広く市場に出回っているが、ポリフェノール特有の苦味やエグ味成分が存在し、継続して安定的に摂取するための研究・工夫が引き続きなされているのが現状である。
【0005】
この中で、グァバ葉抽出ポリフェノールは健康効果に優れたものと認められ、サプリメント商品やお茶飲料やさまざまな料理への利用が図られてきている。グァバ葉抽出ポリフェノールの効能が注目を集めてきている背景は以下のようなものである。すなわち、近年の研究成果として、グァバ葉抽出ポリフェノールが体内で糖分解酵素であるα−アミラーゼの活動を阻害する作用を有しており、その作用によって血糖値の上昇を穏やかにする顕著な効果があることが明らかにされている。
【0006】
また、脂質消化酵素のパーゼインヒビター脂質の消化吸収を抑制することも確認されており、これらの効能によって体内での糖質・脂質の吸収を抑え、体脂肪の過剰蓄積である肥満を解消・防止することや脂質代謝改善作用などが、グァバ葉抽出ポリフェノールの優れた効能として認められている。さらには最近の研究では、抗酸化効果も認められつつあり、花粉症改善及び美白効果などの様々な健康効果が期待されるようになってきている。
【0007】
このように優れた効能を持つグァバ葉抽出ポリフェノールであるが、従来のグァバ葉抽出ポリフェノールには特有の癖のある味や臭いがあるために、効能を達成するのに必要な摂取量である1回当たり30〜100mg、好ましくは60〜80mgを継続的に摂取することは非常に困難であった。この癖のある味わいを低減すべくマスキング効果を目的とした技術開発がなされている。
【0008】
既存の各種炭酸飲料はそれぞれに特有な発泡性を有しているが、コーラやサイダーのような炭酸清涼飲料にはそれに相応しい泡立ちが、ビールなどのアルコール炭酸飲料にもそれに相応しい泡立ちというように習慣的な固定観念にしばられており、この発泡に関する特性に顕著な変化を加えることで新しい嗜好性を持った炭酸飲料を開発する試みは実現されていない。
【0009】
つまり、例えば、コーラならコーラの泡立ち(泡の量やサイズ、持続時間など)としてほぼ固定観念化されており、コップに注ぐとコップ容積のほぼ4分の1程度の泡が立ち、数秒から十数秒程度で泡が消えると言うのが一般的なコーラのイメージであった。これに変化を与えて新規な味わいを提案しようとすることは殆どなされていない。
【0010】
また、各種のポリフェノールは、動脈硬化や抗酸化性を高めるなど健康効果があり、特にグァバ葉に由来したポリフェノール成分の優れた効能には注目が集まっており、様々な商品化がなされているが、その多くは健康サプリメント的な用途のものであり、それ自体が美味しいという感覚のものではなく、健康維持効果ないし健康増進効果のため必要に迫られて摂取するというものが殆どであった。特に、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の独特の風味を味覚的に良いものにするという発想とは別に、炭酸飲料に加えて発泡性を大きく向上させる点に着目したり、胃の粘膜にある血管から吸収されるのを速くする点に着目した技術開発はなされていない。
【0011】
特許文献1〜10には炭酸飲料の発泡感を増強する効果や癖の強い味わいを向上するマスキング効果に関して記載されているが、本発明とはその解決方法がまったく異なる。すなわち、特許文献1には、泡沫の保持性の高い密閉容器入り飲料として、乳由来のタンパク質を0.6質量%以上、動物性由来の脂肪及び/又は植物性由来の脂肪を0.2質量%以上含有し、該飲料の総HLBが14以上となる乳化剤が開示されている。
【0012】
特許文献2には、起泡性飲料としてオクテニルコハク酸澱粉と茶葉の水及び/又はエタノール抽出物とを配合することにより改善された、泡質及び優れた喉越しの炭酸ガス含有飲料が開示され、特許文献3には、泡安定化剤及び該泡安定化剤を添加した飲食品として、酵母細胞壁由来可溶性画分の起泡剤・泡安定化剤であり、飲食品に添加することにより起泡性・泡安定化性を付与し、酵母細胞壁由来可溶性画分は、酵母菌体内の可溶性成分を除去した後の残渣を酵素処理、アルカリ処理及び酸処理等から得られる可溶性画分又は酵母細胞壁可溶性画分放出能を有する酵母から得られる酵母可溶性画分が開示されている。
【0013】
特許文献4には、エンドウホエー由来の可溶性ポリペプチド、発泡剤及びその製造方法として、エンドウホエー中の不純物を除去する工程と、分子量が3000以上の画分を得る濾過工程、該不純物が除去された画分を乾燥して粉末状のポリペプチドを得る乾燥工程からなる製造方法が開示されている。
【0014】
特許文献5には、飲料用起泡剤及び/又は泡安定剤並びにこれを含有する発泡飲料として、大豆多糖類、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも1種から構成され、これによりきめの細かい均質な泡の発生が可能となり、炭酸ガス溶入飲料に含有させることで泡保持性も優れ、飲用時にのど越しすっきりとして口当たり、清涼感を向上させる技術が開示されており、特許文献6には、起泡性炭酸飲料として少なくとも酵母細胞壁由来可溶性画分と炭酸ガスを含有する起泡炭酸飲料が開示されている。
【0015】
特許文献7には、ビール様清涼飲料としてガラナの種実から抽出されたガラナ抽出液と起泡剤と着色料を含有し、該ガラナ抽出液100質量部に対して起泡剤を0.5〜7質量部、好ましくは3〜5質量部含有する技術が開示され、特許文献8には、泡感の改善された炭酸飲料として2価の無機金属塩、例えば塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれるものを含有する技術が開示されている。
【0016】
特許文献9は、発泡感付与剤がセンブリ抽出物、ジンジャー抽出物及びラムエーテルから選択する2種以上からなる技術が開示されており、特許文献10には、飲料の泡増強にシソ科ハーブ調合物を使用する方法として、泡増強調合物を完成した飲料又は飲料製造の工程に加えて多数の飲料の泡特性を増強する技術が開示されている。
【0017】
しかしながら、上記の従来技術は炭酸飲料の発泡感や発泡剤についての発明に関するものであるが、グァバ葉抽出エキス又はグァバ葉抽出ポリフェノールを用いて炭酸飲料の発泡性を向上る技術を開示するものは見出されていない。更に、グァバ葉抽出エキスを加えて発泡性を向上させたり胃での吸収を速めたりする新規な炭酸飲料を提供し、或いはグァバ葉抽出エキスを加えて高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康維持効果との相乗効果を発揮する炭酸飲料に関する技術については一切開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−50259号公報
【特許文献2】特開2009−11199号公報
【特許文献3】特開2008−271820号公報
【特許文献4】特開2007−302606号公報
【特許文献5】特開2007−181427号公報
【特許文献6】特開2007−159471号公報
【特許文献7】特開2007−82538号公報
【特許文献8】特開2006−246771号公報
【特許文献9】特開2005−13167号公報
【特許文献10】PCT/US2004/029674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本願発明者は、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の各種飲料への応用の可能性について鋭意研究している過程において、コーラのような炭酸清涼飲料に水溶性且つ高純度のグァバ葉由来の抽出エキス(「グァバ葉抽出エキス」と称する)を加えたときに発生する泡がきめ細かく且つ泡の発生量と持続時間が前記エキスを加えないときに比較して格段に向上することを見出し、本発明に想到したものであり、本願発明の目的は、グァバ葉抽出エキスを加えることによって各種炭酸飲料の飲用時における発泡性を向上させると共に、該エキスの主成分であるポリフェノールに特有の癖のある味や臭いを感じられない位に低減し且つ胃での吸収を速めた、従来にない全く新しい味わいと吸収効果を合わせ持った炭酸飲料、更に、高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が併せて有するポリフェノールをより好適に摂取する手段として容器詰めしたグァバ葉抽出エキスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の課題を解決するために、本発明は、ポリフェノール成分50%以上且つグァバ葉から抽出された界面活性作用成分を含む、グァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料とする(請求項1)。
【0021】
前記の課題を解決するために、本発明のグァバ葉抽出エキスは、グァバ葉を原料とし、含水有機溶剤を溶出溶媒として、クロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られることを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項2)。
【0022】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上含れるように加えることによって、泡立ち量及び泡立ち持続時間が30%以上増加向上することを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項3)。
【0023】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることによってグァバ葉抽出ポリフェノールの苦味を抑制することを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項4)。
【0024】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項5)。
【0025】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキスとすることが好ましい(請求項6)。
【0026】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される1回当たりに摂取する相当量のグァバ葉抽出エキスの分量を充填してなることを特徴とする前記の容器詰めしたグァバ葉抽出エキスとすることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0027】
本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料は、前記のように構成され、各種炭酸飲料の飲用時における発泡性を向上させるとともに、グァバ葉抽出ポリフェノールに特有の癖のある味や臭いが感じられない位に低減し、従来にない全く新しい味わいの炭酸飲料を実現した。このように新しい味わいの炭酸飲料を飲用するだけで効能を達成するのに必要な摂取量である1回当たり30〜100mg、好ましくは60〜80mgを継続的に摂取することが可能となる。その結果、グァバ葉抽出エキスを高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が期待される。更に、グァバ葉抽出エキスを所定量ずつ容器詰めすることによって、より好適に摂取することが可能となる。更に、速く胃の粘膜の血管から吸収されるので、よりおいしく感じることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1と比較例1の発泡性の比較を示す模式図である。
【図2】実施例3に係るポーションタイプの容器と該容器にグァバ葉抽出エキスを充填した状態を示す説明図である。
【図3】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図4】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図5】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図6】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図7】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図8】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図9】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図10】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図11】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図12】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図13】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図14】グァバ1次抽出液とグァバ2次濃縮液のHPLCチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態(以下「実施の形態」と称する)について、以下に図に基づいて詳細に説明する。しかし、本発明は、かかる実施の形態に限定されるものではない。本願発明の実施の形態に係るグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料は、水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上含まれるグァバ葉抽出エキスを加えたことを特徴とする。
【0030】
本実施の形態に用いるグァバ葉抽出エキスは、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上、好ましくは70%以上含有し水溶性に調整したものがよい。水溶性に調整するのは、炭酸飲料に本グァバ葉抽出エキスを加えたときに水に不溶な成分が残らないように考慮したものである。また、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%未満であると、泡立てに必要なグァバ葉抽出エキスの添加量を増やすこととなり、グァバ葉特有の癖のある味や臭いが生じるおそれがある。従って、このグァバ葉特有の癖のある味や臭いを避けるためになるべくグァバ葉抽出ポリフェノール成分濃度の高いグァバ葉抽出エキスを用いることが好ましい。しかし、現行の精製技術では70〜80%強程度である。
【0031】
前記濃度のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含むグァバ葉抽出エキスを加えることにより、これらの炭酸飲料をコップなどに注いだ際の発泡量が増加し、しかも泡の持続時間も長期化できるようになる。また、泡のサイズも通常より微細化しきめ細かくなる傾向が認められる。用いるグァバ葉抽出エキスは、炭酸飲料と速やかに混合する観点から濃縮水溶液が好ましいが、濃縮水溶液をフリーズドライ(高真空冷凍乾燥機)又はスプレードライヤーによって乾燥して粉末化した粉末又は顆粒状等でもよい。
【0032】
本実施の形態におけるグァバ葉抽出エキスの製造方法としては、限定されるわけではないが、例えば特開2006−56793号公報に開示された方法を用いて製造することができる。この方法によれば、グァバ葉を原料とし、エタノール等アルコール類、ケトン類等有機溶剤を濃度30〜80質量%、好ましくは濃度40〜60質量%含む含水有機溶剤を溶出溶媒として予め抽出した予備抽出物を水に溶解しクロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られる。このようにして得られたポリフェノール含有生成物(グァバ葉抽出エキス)には、水溶性のグァバ葉抽出ポリフェノール成分と共に炭酸飲料の泡に作用して発泡性を向上させる界面活性作用成分が豊富に含まれており、且つ、特異な癖のある味や臭いの成分がカットされるので好ましい。
【0033】
本発明における「グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上、好ましくは70%以上含有し」という場合、グァバ葉抽出エキス中ポリフェノール成分の含有率は、例えば、前記のポリフェノール含有画分をフォーリン・デニス法により定量して得られるポリフェノール成分の含有率に基づく。ポリフェノール成分の含有率が大きなグァバ葉抽出エキスは、同じポリフェノール含有画分に含まれる界面活性作用成分の含有率も大きく、ポリフェノール成分の含有率、すなわち炭酸飲料に加えるポリフェノール成分の添加率は泡立ち性を向上させる程度の目安となる。
【0034】
本発明のグァバ葉抽出エキスは前記製造方法に限定されないが、前記製造法のポリフェノール含有画分に相当するポリフェノール含有生成物には、エラグ酸やフラボノイド等の低分子ポリフェノールと、それらの複合結合したタンニン系物質が含まれ、グァバ葉抽出ポリフェノールは、水溶性の加水分解型タンニンが多く(40〜55%)含まれるのが特徴とされる。そして抽出した予備抽出物を水に溶解した水溶液(グァバ1次抽出液)を疎水クロマトグラフィーに注入し、水で未吸着物質を洗浄して含水有機溶剤(30〜80質量%含水エタノール)で溶出したグァバ葉抽出エキス(グァバ2次濃縮液)は、水に不溶な臭物質等が取り除かれ、水溶性のポリフェノール含有生成物が得られるのでより好ましい。前記グァバ1次抽出液とグァバ2次濃縮液のHPLCチャートを図14に示す。
【0035】
グァバ葉抽出エキスの発泡性を向上するメカニズムを以下に説明する。一般に炭酸飲料などの泡は水のもつ大きな界面張力が泡の薄い膜を引きつらせて内部の気体に圧縮力を加えて泡を破壊するので泡は持続性がない。しかし、この炭酸飲料に界面活性作用成分を加えると、それらが水と空気の界面に集まり界面張力を小さくし泡を安定化するので泡の発生量と持続性が増す。特に、本発明における前記のグァバ葉抽出エキスのポリフェノール含有生成物が前記の界面活性作用成分として炭酸飲料の泡に対して相乗的に作用して発泡性の向上に寄与しているものと考えられる。
【0036】
前記のグァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上、好ましくは30mg相当以上、より好ましくは40mg相当以上含まれるように加えることによって、炭酸飲料の泡立ち量及び泡持ち持続時間が30%以上増加向上することは他に類を見ない顕著な効果であり、係る炭酸飲料を飲用したときに、グァバ葉抽出エキスを加えない炭酸飲料との差を実感することができ、従来の炭酸飲料とは違った嗜好性が実現されることとなる。
【0037】
1日に飲用する所定量の炭酸飲料中に、高血糖予防効果及び脂質代謝阻害低減効果が期待される成人一回当りの摂取量70mgのグァバ葉抽出ポリフェノール成分が含まれるように添加量を調整してなることにより、発泡性の向上による炭酸飲料の味わいの良さに加えてポリフェノールの健康効果が正確に達成できるようになる。一日当りの摂取量を何回かに分けて飲用してもよい。
【0038】
前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることにより、難消化性デキストリンとグァバ葉抽出エキスのポリフェノール含有生成物との相乗効果によりグァバ葉抽出ポリフェノール特有の味、臭い、苦みなどを抑制して、炭酸飲料の味わいを更に良好なものとすることが可能となる。
【0039】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることが好ましい。難消化性デキストリンの配合割合が80質量部未満では苦みなどの抑制効果が乏しく、95質量部を超えるとグァバ葉抽出ポリフェノール成分の効果が発揮されない可能性がある。このように適量の難消化性デキストリンを加えることによって更なる味わいを改善できるようになる。
【0040】
水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして、例えば、ポーションタイプの容器などに容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることが可能となる。グァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない市販の炭酸飲料に必要に応じて容器詰めしたグァバ葉抽出エキスを加えて飲用できるので便利である。
【0041】
グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される相当量とすることにより、一回当たりの摂取量に応じて選択すれば、適切な量のポリフェノールを簡単かつ確実に摂取することができる。30〜150mgの範囲としたのは、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30mg未満ではポリフェノール摂取効果が得られにくく、150mgを超えても更なる摂取効果が期待出来ないことによる。
【0042】
次に、本発明の実施例について以下に図に基づいて説明する。本実施例では、前記グァバ葉抽出エキス粉末(グァバ葉抽出ポリフェノール成分が70%以上含まれる)0.5gとデキストリン9.5gを水に溶解して100ccの水溶液とした株式会社エコビジネス製の「濃縮グァバ茶エキス」を用いた。表1は前記グァバ葉抽出エキス粉末の品質規格表であり、表2は、同じくその分析表である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【実施例1】
【0045】
図1(a)に示すように、実施例1として、グラス4に「濃縮グァバ茶エキス」1をポーションタイプの容器1個分13cc(ポリフェノール分約45mg)とを入れ、次に、炭酸飲料として市販のコーラ3を100ccグラス4の上方約10cmの高さからから注ぎ、両者が混合されて泡立った状態のまま放置して、泡の状態を目視で観察した。
【0046】
一方、比較例1として、前記実施例1におけるグラス4に「濃縮グァバ茶エキス」1を入れない空の状態で、実施例1と同じ市販のコーラ3を100ccグラス4の上方約10cmの高さからから注ぎ、そのまま放置して、泡の状態を目視で比較観察した。その結果の泡立ちの状態を示したものが図1(b)である。
【0047】
液体部分に関しては実施例1と比較例1とも外観上の相違は特に見られない。発泡状態に関しては、注いだ直後は、実施例1の方が比較例1に比べて2倍程度の量の泡立ちとなり、泡のきめ細かさに関しては、実施例1の方が比較例1に比べてよりきめ細かな泡の状態が観察された。発生した泡の持続時間に関しては、実施例1は4分間以上持続していたのに対して、比較例1は20秒程度で殆どの泡が消えてしまった。
【0048】
液体部分のみの香りや味わいに関しては、両者に顕著な相違はなく、両者を飲み比べれば若干の違いがわかるものの、個別に試飲する限りではどちらが通常のコーラか区別することは困難であった。一方、泡部分を口中に含んだ味わいは明らかに異なり、実施例1の清涼飲料はきめ細かな泡に起因する細やかな味わいと今までにない新鮮な舌触りを感じた。以上の評価は10人のモニターに感想を聞き、ほぼ共通して得られた結果である。
【実施例2】
【0049】
実施例2は、前記実施例1において炭酸飲料として市販のコーラに代えて市販のビールを用いた以外は実施例1と同様である。
比較例2は、前記比較例1において炭酸飲料として市販のコーラに代えて市販のビールを用いた以外は比較例1と同様である。
【0050】
液体部分の外観に関しては、実施例2は比較例2と比べてグァバ葉抽出ポリフェノール成分の褐色が加わることで、ビールの色も濃くなり、コクのある外観となるが、何ら不自然なものではない。グラスに注いだ直後の泡立ちに関しては、実施例2の方が比較例2よりも約50パーセント程度、泡が豊富であった。
【0051】
液体部分の味わいについてはグァバ特有の臭いもなく、実施例1よりも多くのグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含んでいることから違いはやや際立つものとなっているが、かえって濃く深みのある味わい感じられるものとなっていた。泡立ち部分を含めた味わいに関しても、本発明の泡のほうが滑らかな泡が多いため、10人のモニターに共通して好意的な評価を得ることができた。
【0052】
泡の持続時間に関しても、実施例2の場合は5分間以上持続していたのに対し、比較例2では4分経過位で泡は消えてしまった。表3は、実施例と比較例における泡の持続時間を比較したものである。前記実施例において、100ccの炭酸飲料に対して「濃縮グァバ茶エキス」の添加量を変化させて泡の持続性等を観察したところ、前記「濃縮グァバ茶エキス」を1cc(ポリフェノール分約3.5mg)以上添加することによって発泡性の向上と持続効果等が得られることが確認された。
【0053】
【表3】
【0054】
また、図3〜図6は実施例1に相当し、「濃縮グァバ茶エキス」を入れたメスシリンダーにコーラを注ぎ、泡の経時変化を撮った写真を示すものであり、図3は10秒後、図4は30秒後、図5は60秒後、図6は300秒後を示す。図7〜図9は比較例1に相当し、「濃縮グァバ茶エキス」を入れないメスシリンダーにコーラを注ぎ、泡の経時変化を撮った写真を示すものであり、図7は10秒後、図8は20秒後、図9は30秒後を示す。図10〜図13は実施例2と比較例2を同時に行い、泡の経時変化を写真に撮ったものであり、図10は10秒後、図11は30秒後、図12は60秒後、図13は300秒後を示す。
【0055】
上記実施例の結果から明らかなように、本発明の各種炭酸飲料では、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の添加による味わいの低下が全く感じられず、それどころか、ベースとなるコーラやビールといったものの発泡性が、泡のきめ細やかさにおいて顕著に向上することから、従来にない新鮮な快感を得られるものとなっている。さらに発生した泡の持続時間も大幅に伸びることから、このような良好な味わい性が長持ちする炭酸飲料が実現できた。
【0056】
また、実施例1、2で示したグァバ葉抽出ポリフェノール成分の量は血糖値低下効果や脂質代謝異常低減などの健康効果が期待される1日の大まかな摂取量であり、本発明の各種炭酸飲料の心地よい味わいを楽しみながら、健康効果という特別な意識を持たなくても必要量のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を摂取することができるようになる。
【実施例3】
【0057】
前記のように、本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を混合した各種炭酸飲料を作るに当たって、前述の健康効果を適切に得られるように望ましい摂取量を確実に摂るようにするため、所定量毎のポーション式容器を図2に示すように作成準備した。
【0058】
すなわち、ポーション容器7はその蓋部8及び容器本体9によって構成されているものであり、所定量のグァバ葉抽出ポリフェノール成分1を保存又は携行し、簡単に利用することが可能となる。
【0059】
ポーション式容器の容量は、本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分をそれぞれ30mg、70mg、100mg含めるようなサイズに設定した。これは健康効果を得るために必要な摂取量を1回〜数回に分けて摂ることができるように考えて調整したものである。
【0060】
具体的な使い方としては、ポーションの中身であるグァバ葉抽出ポリフェノール成分をグラスに入れ、さらにコーラやサイダー、ビールなどの各種炭酸飲料を好みに応じて注ぎ込んで混合する。その際、グラスの上方10cm程度から注ぐようにすると本発明による発泡性向上効果が顕著に現われる。
【0061】
このようにして、グァバ葉抽出ポリフェノールであることをまったく感じさせず、発泡性向上によって新しい魅力ある味わいの嗜好性のある炭酸飲料として、毎日確実に摂取することが可能となった。
【0062】
こうした発泡性の優れた炭酸飲料としてグァバ葉抽出ポリフェノールを継続的に摂取し続けた場合の健康効果について以下に述べる。
【0063】
グァバ葉抽出ポリフェノール成分の健康効果に関して、糖尿病患者に対するグァバ葉飲料の臨床効果」(栄養評価と治療 vol.22 No.2:2005年)、「境界域軽症高脂血症者に対するグァバ葉飲料の有効性と安全性の検証」(栄養評価と治療vol.124No.6:2007年)の各論文に発表した内容に基づいて説明する。
【0064】
上記各論文は、出願人の浅野が中心となって行った研究成果に関わるもので、研究所併設のクリニックに通院する複数の患者を被験者として継続調査した結果に基づく考察を行っている。これらの論文によれば、グァバ葉抽出ポリフェノールは糖質分解酵素活性を阻害することによる食後血糖値上昇を抑制することはもちろん、軽症高血圧者の収縮期血圧低下や脂質代謝においても有意な低下を示すことが確認された。また、糖尿病薬などとの併用についても副作用などの心配がなく安全性が確認された。
【0065】
このようなグァバ葉抽出ポリフェノール成分は、食後過血糖抑制と脂質代謝改善作用を持ちながら、副作用などもない安全性の高いものであると結論されている。本発明による炭酸飲料を継続的に利用しているモニターの感想としては、本発明のような手法によってグァバ葉抽出ポリフェノール成分を摂取するのであれば、何の違和感もなく、かえってその発泡性向上による味わい性によって進んで摂取を望むようになり、1日当りの必要摂取量以上であっても楽に取ることができるというものが殆どであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、炭酸清涼飲料やアルコール炭酸飲料などの各種炭酸飲料を泡立ち性に優れると共に味わい性をまろやかにする新たな嗜好性があり且つ胃での吸収のよい炭酸飲料として提供することが可能となり、この分野において新たに大きな需要を喚起することが期待される。また、前記泡立ち性向上を実現する物質が、悪玉コレステロールを下げ、心臓血管障害防止や動脈硬化防止などを含む健康維持効果を有するグァバ葉抽出ポリフェノール成分であることから、該成分関連商品の消費量を大幅にアップさせる結果、市場拡大を促し大きな産業上の利用可能性が期待される。
【符号の説明】
【0067】
1 実施例1のグァバ葉抽出エキス
2 炭酸飲料容器
3 炭酸飲料
4 グラス
5 実施例1の炭酸飲料
6 泡部分
7 ポーション容器
8 ポーション容器蓋
9 ポーション容器本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を加えることによって飲用時における発泡性を向上させるとともに、グァバ葉抽出ポリフェノールに特有の癖のある味や臭いを感じられない位に低減し、従来にない新しい味わいの各種炭酸飲料と、更に、高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が期待されるポリフェノールをより好適に摂取する手段として容器詰めしたグァバ葉抽出エキスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は、コーラやサイダーといった清涼飲料やビールその他の炭酸アルコール飲料として古くから人類に親しまれてきている飲み物である。このような炭酸飲料類は瓶や缶といった容器に溶入した炭酸ガスが、開封してコップなどに注いだ際に細かな泡として飲料の味わいや吸収に変化を与え、それが多くの人達の嗜好性に合致することから世界中に普及しているものと言える。
【0003】
このような発泡性炭酸飲料の嗜好性を左右する大きな要素のひとつが発泡性にあり、泡立ちの強さや量、泡の持続性などに独自の研究・工夫がなされていると理解されるが、発泡性炭酸飲料では泡立ちそのものが清涼感を与えて嗜好性に訴える要素となっているので、これを向上させることが望ましい。そのために密封容器中から溶入した炭酸ガスが抜けることを阻止しようとする技術やより多くの炭酸ガスを溶け込ませる技術などが種々提案されている。
【0004】
また、例えば、赤ワインに含有されるポリフェノールは、動脈硬化や抗酸化性を高める等の健康効果が注目されている。一般的にポリフェノールの種類は数多く存在し、その効能も種々認められ、これを含んだ食材や飲料が広く市場に出回っているが、ポリフェノール特有の苦味やエグ味成分が存在し、継続して安定的に摂取するための研究・工夫が引き続きなされているのが現状である。
【0005】
この中で、グァバ葉抽出ポリフェノールは健康効果に優れたものと認められ、サプリメント商品やお茶飲料やさまざまな料理への利用が図られてきている。グァバ葉抽出ポリフェノールの効能が注目を集めてきている背景は以下のようなものである。すなわち、近年の研究成果として、グァバ葉抽出ポリフェノールが体内で糖分解酵素であるα−アミラーゼの活動を阻害する作用を有しており、その作用によって血糖値の上昇を穏やかにする顕著な効果があることが明らかにされている。
【0006】
また、脂質消化酵素のパーゼインヒビター脂質の消化吸収を抑制することも確認されており、これらの効能によって体内での糖質・脂質の吸収を抑え、体脂肪の過剰蓄積である肥満を解消・防止することや脂質代謝改善作用などが、グァバ葉抽出ポリフェノールの優れた効能として認められている。さらには最近の研究では、抗酸化効果も認められつつあり、花粉症改善及び美白効果などの様々な健康効果が期待されるようになってきている。
【0007】
このように優れた効能を持つグァバ葉抽出ポリフェノールであるが、従来のグァバ葉抽出ポリフェノールには特有の癖のある味や臭いがあるために、効能を達成するのに必要な摂取量である1回当たり30〜100mg、好ましくは60〜80mgを継続的に摂取することは非常に困難であった。この癖のある味わいを低減すべくマスキング効果を目的とした技術開発がなされている。
【0008】
既存の各種炭酸飲料はそれぞれに特有な発泡性を有しているが、コーラやサイダーのような炭酸清涼飲料にはそれに相応しい泡立ちが、ビールなどのアルコール炭酸飲料にもそれに相応しい泡立ちというように習慣的な固定観念にしばられており、この発泡に関する特性に顕著な変化を加えることで新しい嗜好性を持った炭酸飲料を開発する試みは実現されていない。
【0009】
つまり、例えば、コーラならコーラの泡立ち(泡の量やサイズ、持続時間など)としてほぼ固定観念化されており、コップに注ぐとコップ容積のほぼ4分の1程度の泡が立ち、数秒から十数秒程度で泡が消えると言うのが一般的なコーラのイメージであった。これに変化を与えて新規な味わいを提案しようとすることは殆どなされていない。
【0010】
また、各種のポリフェノールは、動脈硬化や抗酸化性を高めるなど健康効果があり、特にグァバ葉に由来したポリフェノール成分の優れた効能には注目が集まっており、様々な商品化がなされているが、その多くは健康サプリメント的な用途のものであり、それ自体が美味しいという感覚のものではなく、健康維持効果ないし健康増進効果のため必要に迫られて摂取するというものが殆どであった。特に、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の独特の風味を味覚的に良いものにするという発想とは別に、炭酸飲料に加えて発泡性を大きく向上させる点に着目したり、胃の粘膜にある血管から吸収されるのを速くする点に着目した技術開発はなされていない。
【0011】
特許文献1〜10には炭酸飲料の発泡感を増強する効果や癖の強い味わいを向上するマスキング効果に関して記載されているが、本発明とはその解決方法がまったく異なる。すなわち、特許文献1には、泡沫の保持性の高い密閉容器入り飲料として、乳由来のタンパク質を0.6質量%以上、動物性由来の脂肪及び/又は植物性由来の脂肪を0.2質量%以上含有し、該飲料の総HLBが14以上となる乳化剤が開示されている。
【0012】
特許文献2には、起泡性飲料としてオクテニルコハク酸澱粉と茶葉の水及び/又はエタノール抽出物とを配合することにより改善された、泡質及び優れた喉越しの炭酸ガス含有飲料が開示され、特許文献3には、泡安定化剤及び該泡安定化剤を添加した飲食品として、酵母細胞壁由来可溶性画分の起泡剤・泡安定化剤であり、飲食品に添加することにより起泡性・泡安定化性を付与し、酵母細胞壁由来可溶性画分は、酵母菌体内の可溶性成分を除去した後の残渣を酵素処理、アルカリ処理及び酸処理等から得られる可溶性画分又は酵母細胞壁可溶性画分放出能を有する酵母から得られる酵母可溶性画分が開示されている。
【0013】
特許文献4には、エンドウホエー由来の可溶性ポリペプチド、発泡剤及びその製造方法として、エンドウホエー中の不純物を除去する工程と、分子量が3000以上の画分を得る濾過工程、該不純物が除去された画分を乾燥して粉末状のポリペプチドを得る乾燥工程からなる製造方法が開示されている。
【0014】
特許文献5には、飲料用起泡剤及び/又は泡安定剤並びにこれを含有する発泡飲料として、大豆多糖類、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム及びグァーガムからなる群より選ばれる少なくとも1種から構成され、これによりきめの細かい均質な泡の発生が可能となり、炭酸ガス溶入飲料に含有させることで泡保持性も優れ、飲用時にのど越しすっきりとして口当たり、清涼感を向上させる技術が開示されており、特許文献6には、起泡性炭酸飲料として少なくとも酵母細胞壁由来可溶性画分と炭酸ガスを含有する起泡炭酸飲料が開示されている。
【0015】
特許文献7には、ビール様清涼飲料としてガラナの種実から抽出されたガラナ抽出液と起泡剤と着色料を含有し、該ガラナ抽出液100質量部に対して起泡剤を0.5〜7質量部、好ましくは3〜5質量部含有する技術が開示され、特許文献8には、泡感の改善された炭酸飲料として2価の無機金属塩、例えば塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれるものを含有する技術が開示されている。
【0016】
特許文献9は、発泡感付与剤がセンブリ抽出物、ジンジャー抽出物及びラムエーテルから選択する2種以上からなる技術が開示されており、特許文献10には、飲料の泡増強にシソ科ハーブ調合物を使用する方法として、泡増強調合物を完成した飲料又は飲料製造の工程に加えて多数の飲料の泡特性を増強する技術が開示されている。
【0017】
しかしながら、上記の従来技術は炭酸飲料の発泡感や発泡剤についての発明に関するものであるが、グァバ葉抽出エキス又はグァバ葉抽出ポリフェノールを用いて炭酸飲料の発泡性を向上る技術を開示するものは見出されていない。更に、グァバ葉抽出エキスを加えて発泡性を向上させたり胃での吸収を速めたりする新規な炭酸飲料を提供し、或いはグァバ葉抽出エキスを加えて高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康維持効果との相乗効果を発揮する炭酸飲料に関する技術については一切開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−50259号公報
【特許文献2】特開2009−11199号公報
【特許文献3】特開2008−271820号公報
【特許文献4】特開2007−302606号公報
【特許文献5】特開2007−181427号公報
【特許文献6】特開2007−159471号公報
【特許文献7】特開2007−82538号公報
【特許文献8】特開2006−246771号公報
【特許文献9】特開2005−13167号公報
【特許文献10】PCT/US2004/029674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本願発明者は、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の各種飲料への応用の可能性について鋭意研究している過程において、コーラのような炭酸清涼飲料に水溶性且つ高純度のグァバ葉由来の抽出エキス(「グァバ葉抽出エキス」と称する)を加えたときに発生する泡がきめ細かく且つ泡の発生量と持続時間が前記エキスを加えないときに比較して格段に向上することを見出し、本発明に想到したものであり、本願発明の目的は、グァバ葉抽出エキスを加えることによって各種炭酸飲料の飲用時における発泡性を向上させると共に、該エキスの主成分であるポリフェノールに特有の癖のある味や臭いを感じられない位に低減し且つ胃での吸収を速めた、従来にない全く新しい味わいと吸収効果を合わせ持った炭酸飲料、更に、高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が併せて有するポリフェノールをより好適に摂取する手段として容器詰めしたグァバ葉抽出エキスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の課題を解決するために、本発明は、ポリフェノール成分50%以上且つグァバ葉から抽出された界面活性作用成分を含む、グァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料とする(請求項1)。
【0021】
前記の課題を解決するために、本発明のグァバ葉抽出エキスは、グァバ葉を原料とし、含水有機溶剤を溶出溶媒として、クロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られることを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項2)。
【0022】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上含れるように加えることによって、泡立ち量及び泡立ち持続時間が30%以上増加向上することを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項3)。
【0023】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることによってグァバ葉抽出ポリフェノールの苦味を抑制することを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項4)。
【0024】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることを特徴とする前記の発泡性に優れた炭酸飲料とすることが好ましい(請求項5)。
【0025】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキスとすることが好ましい(請求項6)。
【0026】
前記の課題を解決するために、本発明は、前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される1回当たりに摂取する相当量のグァバ葉抽出エキスの分量を充填してなることを特徴とする前記の容器詰めしたグァバ葉抽出エキスとすることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0027】
本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料は、前記のように構成され、各種炭酸飲料の飲用時における発泡性を向上させるとともに、グァバ葉抽出ポリフェノールに特有の癖のある味や臭いが感じられない位に低減し、従来にない全く新しい味わいの炭酸飲料を実現した。このように新しい味わいの炭酸飲料を飲用するだけで効能を達成するのに必要な摂取量である1回当たり30〜100mg、好ましくは60〜80mgを継続的に摂取することが可能となる。その結果、グァバ葉抽出エキスを高血糖予防及び脂質代謝異常低減などに優れた健康効果が期待される。更に、グァバ葉抽出エキスを所定量ずつ容器詰めすることによって、より好適に摂取することが可能となる。更に、速く胃の粘膜の血管から吸収されるので、よりおいしく感じることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1と比較例1の発泡性の比較を示す模式図である。
【図2】実施例3に係るポーションタイプの容器と該容器にグァバ葉抽出エキスを充填した状態を示す説明図である。
【図3】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図4】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図5】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図6】実施例1の発泡性を示す写真である。
【図7】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図8】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図9】比較例1の発泡性を示す写真である。
【図10】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図11】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図12】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図13】実施例2と比較例2の発泡性を示す写真である。
【図14】グァバ1次抽出液とグァバ2次濃縮液のHPLCチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態(以下「実施の形態」と称する)について、以下に図に基づいて詳細に説明する。しかし、本発明は、かかる実施の形態に限定されるものではない。本願発明の実施の形態に係るグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含む発泡性に優れた炭酸飲料は、水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上含まれるグァバ葉抽出エキスを加えたことを特徴とする。
【0030】
本実施の形態に用いるグァバ葉抽出エキスは、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上、好ましくは70%以上含有し水溶性に調整したものがよい。水溶性に調整するのは、炭酸飲料に本グァバ葉抽出エキスを加えたときに水に不溶な成分が残らないように考慮したものである。また、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%未満であると、泡立てに必要なグァバ葉抽出エキスの添加量を増やすこととなり、グァバ葉特有の癖のある味や臭いが生じるおそれがある。従って、このグァバ葉特有の癖のある味や臭いを避けるためになるべくグァバ葉抽出ポリフェノール成分濃度の高いグァバ葉抽出エキスを用いることが好ましい。しかし、現行の精製技術では70〜80%強程度である。
【0031】
前記濃度のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含むグァバ葉抽出エキスを加えることにより、これらの炭酸飲料をコップなどに注いだ際の発泡量が増加し、しかも泡の持続時間も長期化できるようになる。また、泡のサイズも通常より微細化しきめ細かくなる傾向が認められる。用いるグァバ葉抽出エキスは、炭酸飲料と速やかに混合する観点から濃縮水溶液が好ましいが、濃縮水溶液をフリーズドライ(高真空冷凍乾燥機)又はスプレードライヤーによって乾燥して粉末化した粉末又は顆粒状等でもよい。
【0032】
本実施の形態におけるグァバ葉抽出エキスの製造方法としては、限定されるわけではないが、例えば特開2006−56793号公報に開示された方法を用いて製造することができる。この方法によれば、グァバ葉を原料とし、エタノール等アルコール類、ケトン類等有機溶剤を濃度30〜80質量%、好ましくは濃度40〜60質量%含む含水有機溶剤を溶出溶媒として予め抽出した予備抽出物を水に溶解しクロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られる。このようにして得られたポリフェノール含有生成物(グァバ葉抽出エキス)には、水溶性のグァバ葉抽出ポリフェノール成分と共に炭酸飲料の泡に作用して発泡性を向上させる界面活性作用成分が豊富に含まれており、且つ、特異な癖のある味や臭いの成分がカットされるので好ましい。
【0033】
本発明における「グァバ葉抽出ポリフェノール成分が50%以上、好ましくは70%以上含有し」という場合、グァバ葉抽出エキス中ポリフェノール成分の含有率は、例えば、前記のポリフェノール含有画分をフォーリン・デニス法により定量して得られるポリフェノール成分の含有率に基づく。ポリフェノール成分の含有率が大きなグァバ葉抽出エキスは、同じポリフェノール含有画分に含まれる界面活性作用成分の含有率も大きく、ポリフェノール成分の含有率、すなわち炭酸飲料に加えるポリフェノール成分の添加率は泡立ち性を向上させる程度の目安となる。
【0034】
本発明のグァバ葉抽出エキスは前記製造方法に限定されないが、前記製造法のポリフェノール含有画分に相当するポリフェノール含有生成物には、エラグ酸やフラボノイド等の低分子ポリフェノールと、それらの複合結合したタンニン系物質が含まれ、グァバ葉抽出ポリフェノールは、水溶性の加水分解型タンニンが多く(40〜55%)含まれるのが特徴とされる。そして抽出した予備抽出物を水に溶解した水溶液(グァバ1次抽出液)を疎水クロマトグラフィーに注入し、水で未吸着物質を洗浄して含水有機溶剤(30〜80質量%含水エタノール)で溶出したグァバ葉抽出エキス(グァバ2次濃縮液)は、水に不溶な臭物質等が取り除かれ、水溶性のポリフェノール含有生成物が得られるのでより好ましい。前記グァバ1次抽出液とグァバ2次濃縮液のHPLCチャートを図14に示す。
【0035】
グァバ葉抽出エキスの発泡性を向上するメカニズムを以下に説明する。一般に炭酸飲料などの泡は水のもつ大きな界面張力が泡の薄い膜を引きつらせて内部の気体に圧縮力を加えて泡を破壊するので泡は持続性がない。しかし、この炭酸飲料に界面活性作用成分を加えると、それらが水と空気の界面に集まり界面張力を小さくし泡を安定化するので泡の発生量と持続性が増す。特に、本発明における前記のグァバ葉抽出エキスのポリフェノール含有生成物が前記の界面活性作用成分として炭酸飲料の泡に対して相乗的に作用して発泡性の向上に寄与しているものと考えられる。
【0036】
前記のグァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上、好ましくは30mg相当以上、より好ましくは40mg相当以上含まれるように加えることによって、炭酸飲料の泡立ち量及び泡持ち持続時間が30%以上増加向上することは他に類を見ない顕著な効果であり、係る炭酸飲料を飲用したときに、グァバ葉抽出エキスを加えない炭酸飲料との差を実感することができ、従来の炭酸飲料とは違った嗜好性が実現されることとなる。
【0037】
1日に飲用する所定量の炭酸飲料中に、高血糖予防効果及び脂質代謝阻害低減効果が期待される成人一回当りの摂取量70mgのグァバ葉抽出ポリフェノール成分が含まれるように添加量を調整してなることにより、発泡性の向上による炭酸飲料の味わいの良さに加えてポリフェノールの健康効果が正確に達成できるようになる。一日当りの摂取量を何回かに分けて飲用してもよい。
【0038】
前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることにより、難消化性デキストリンとグァバ葉抽出エキスのポリフェノール含有生成物との相乗効果によりグァバ葉抽出ポリフェノール特有の味、臭い、苦みなどを抑制して、炭酸飲料の味わいを更に良好なものとすることが可能となる。
【0039】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることが好ましい。難消化性デキストリンの配合割合が80質量部未満では苦みなどの抑制効果が乏しく、95質量部を超えるとグァバ葉抽出ポリフェノール成分の効果が発揮されない可能性がある。このように適量の難消化性デキストリンを加えることによって更なる味わいを改善できるようになる。
【0040】
水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして、例えば、ポーションタイプの容器などに容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることが可能となる。グァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない市販の炭酸飲料に必要に応じて容器詰めしたグァバ葉抽出エキスを加えて飲用できるので便利である。
【0041】
グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される相当量とすることにより、一回当たりの摂取量に応じて選択すれば、適切な量のポリフェノールを簡単かつ確実に摂取することができる。30〜150mgの範囲としたのは、グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30mg未満ではポリフェノール摂取効果が得られにくく、150mgを超えても更なる摂取効果が期待出来ないことによる。
【0042】
次に、本発明の実施例について以下に図に基づいて説明する。本実施例では、前記グァバ葉抽出エキス粉末(グァバ葉抽出ポリフェノール成分が70%以上含まれる)0.5gとデキストリン9.5gを水に溶解して100ccの水溶液とした株式会社エコビジネス製の「濃縮グァバ茶エキス」を用いた。表1は前記グァバ葉抽出エキス粉末の品質規格表であり、表2は、同じくその分析表である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【実施例1】
【0045】
図1(a)に示すように、実施例1として、グラス4に「濃縮グァバ茶エキス」1をポーションタイプの容器1個分13cc(ポリフェノール分約45mg)とを入れ、次に、炭酸飲料として市販のコーラ3を100ccグラス4の上方約10cmの高さからから注ぎ、両者が混合されて泡立った状態のまま放置して、泡の状態を目視で観察した。
【0046】
一方、比較例1として、前記実施例1におけるグラス4に「濃縮グァバ茶エキス」1を入れない空の状態で、実施例1と同じ市販のコーラ3を100ccグラス4の上方約10cmの高さからから注ぎ、そのまま放置して、泡の状態を目視で比較観察した。その結果の泡立ちの状態を示したものが図1(b)である。
【0047】
液体部分に関しては実施例1と比較例1とも外観上の相違は特に見られない。発泡状態に関しては、注いだ直後は、実施例1の方が比較例1に比べて2倍程度の量の泡立ちとなり、泡のきめ細かさに関しては、実施例1の方が比較例1に比べてよりきめ細かな泡の状態が観察された。発生した泡の持続時間に関しては、実施例1は4分間以上持続していたのに対して、比較例1は20秒程度で殆どの泡が消えてしまった。
【0048】
液体部分のみの香りや味わいに関しては、両者に顕著な相違はなく、両者を飲み比べれば若干の違いがわかるものの、個別に試飲する限りではどちらが通常のコーラか区別することは困難であった。一方、泡部分を口中に含んだ味わいは明らかに異なり、実施例1の清涼飲料はきめ細かな泡に起因する細やかな味わいと今までにない新鮮な舌触りを感じた。以上の評価は10人のモニターに感想を聞き、ほぼ共通して得られた結果である。
【実施例2】
【0049】
実施例2は、前記実施例1において炭酸飲料として市販のコーラに代えて市販のビールを用いた以外は実施例1と同様である。
比較例2は、前記比較例1において炭酸飲料として市販のコーラに代えて市販のビールを用いた以外は比較例1と同様である。
【0050】
液体部分の外観に関しては、実施例2は比較例2と比べてグァバ葉抽出ポリフェノール成分の褐色が加わることで、ビールの色も濃くなり、コクのある外観となるが、何ら不自然なものではない。グラスに注いだ直後の泡立ちに関しては、実施例2の方が比較例2よりも約50パーセント程度、泡が豊富であった。
【0051】
液体部分の味わいについてはグァバ特有の臭いもなく、実施例1よりも多くのグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含んでいることから違いはやや際立つものとなっているが、かえって濃く深みのある味わい感じられるものとなっていた。泡立ち部分を含めた味わいに関しても、本発明の泡のほうが滑らかな泡が多いため、10人のモニターに共通して好意的な評価を得ることができた。
【0052】
泡の持続時間に関しても、実施例2の場合は5分間以上持続していたのに対し、比較例2では4分経過位で泡は消えてしまった。表3は、実施例と比較例における泡の持続時間を比較したものである。前記実施例において、100ccの炭酸飲料に対して「濃縮グァバ茶エキス」の添加量を変化させて泡の持続性等を観察したところ、前記「濃縮グァバ茶エキス」を1cc(ポリフェノール分約3.5mg)以上添加することによって発泡性の向上と持続効果等が得られることが確認された。
【0053】
【表3】
【0054】
また、図3〜図6は実施例1に相当し、「濃縮グァバ茶エキス」を入れたメスシリンダーにコーラを注ぎ、泡の経時変化を撮った写真を示すものであり、図3は10秒後、図4は30秒後、図5は60秒後、図6は300秒後を示す。図7〜図9は比較例1に相当し、「濃縮グァバ茶エキス」を入れないメスシリンダーにコーラを注ぎ、泡の経時変化を撮った写真を示すものであり、図7は10秒後、図8は20秒後、図9は30秒後を示す。図10〜図13は実施例2と比較例2を同時に行い、泡の経時変化を写真に撮ったものであり、図10は10秒後、図11は30秒後、図12は60秒後、図13は300秒後を示す。
【0055】
上記実施例の結果から明らかなように、本発明の各種炭酸飲料では、グァバ葉抽出ポリフェノール成分の添加による味わいの低下が全く感じられず、それどころか、ベースとなるコーラやビールといったものの発泡性が、泡のきめ細やかさにおいて顕著に向上することから、従来にない新鮮な快感を得られるものとなっている。さらに発生した泡の持続時間も大幅に伸びることから、このような良好な味わい性が長持ちする炭酸飲料が実現できた。
【0056】
また、実施例1、2で示したグァバ葉抽出ポリフェノール成分の量は血糖値低下効果や脂質代謝異常低減などの健康効果が期待される1日の大まかな摂取量であり、本発明の各種炭酸飲料の心地よい味わいを楽しみながら、健康効果という特別な意識を持たなくても必要量のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を摂取することができるようになる。
【実施例3】
【0057】
前記のように、本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分を混合した各種炭酸飲料を作るに当たって、前述の健康効果を適切に得られるように望ましい摂取量を確実に摂るようにするため、所定量毎のポーション式容器を図2に示すように作成準備した。
【0058】
すなわち、ポーション容器7はその蓋部8及び容器本体9によって構成されているものであり、所定量のグァバ葉抽出ポリフェノール成分1を保存又は携行し、簡単に利用することが可能となる。
【0059】
ポーション式容器の容量は、本発明のグァバ葉抽出ポリフェノール成分をそれぞれ30mg、70mg、100mg含めるようなサイズに設定した。これは健康効果を得るために必要な摂取量を1回〜数回に分けて摂ることができるように考えて調整したものである。
【0060】
具体的な使い方としては、ポーションの中身であるグァバ葉抽出ポリフェノール成分をグラスに入れ、さらにコーラやサイダー、ビールなどの各種炭酸飲料を好みに応じて注ぎ込んで混合する。その際、グラスの上方10cm程度から注ぐようにすると本発明による発泡性向上効果が顕著に現われる。
【0061】
このようにして、グァバ葉抽出ポリフェノールであることをまったく感じさせず、発泡性向上によって新しい魅力ある味わいの嗜好性のある炭酸飲料として、毎日確実に摂取することが可能となった。
【0062】
こうした発泡性の優れた炭酸飲料としてグァバ葉抽出ポリフェノールを継続的に摂取し続けた場合の健康効果について以下に述べる。
【0063】
グァバ葉抽出ポリフェノール成分の健康効果に関して、糖尿病患者に対するグァバ葉飲料の臨床効果」(栄養評価と治療 vol.22 No.2:2005年)、「境界域軽症高脂血症者に対するグァバ葉飲料の有効性と安全性の検証」(栄養評価と治療vol.124No.6:2007年)の各論文に発表した内容に基づいて説明する。
【0064】
上記各論文は、出願人の浅野が中心となって行った研究成果に関わるもので、研究所併設のクリニックに通院する複数の患者を被験者として継続調査した結果に基づく考察を行っている。これらの論文によれば、グァバ葉抽出ポリフェノールは糖質分解酵素活性を阻害することによる食後血糖値上昇を抑制することはもちろん、軽症高血圧者の収縮期血圧低下や脂質代謝においても有意な低下を示すことが確認された。また、糖尿病薬などとの併用についても副作用などの心配がなく安全性が確認された。
【0065】
このようなグァバ葉抽出ポリフェノール成分は、食後過血糖抑制と脂質代謝改善作用を持ちながら、副作用などもない安全性の高いものであると結論されている。本発明による炭酸飲料を継続的に利用しているモニターの感想としては、本発明のような手法によってグァバ葉抽出ポリフェノール成分を摂取するのであれば、何の違和感もなく、かえってその発泡性向上による味わい性によって進んで摂取を望むようになり、1日当りの必要摂取量以上であっても楽に取ることができるというものが殆どであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、炭酸清涼飲料やアルコール炭酸飲料などの各種炭酸飲料を泡立ち性に優れると共に味わい性をまろやかにする新たな嗜好性があり且つ胃での吸収のよい炭酸飲料として提供することが可能となり、この分野において新たに大きな需要を喚起することが期待される。また、前記泡立ち性向上を実現する物質が、悪玉コレステロールを下げ、心臓血管障害防止や動脈硬化防止などを含む健康維持効果を有するグァバ葉抽出ポリフェノール成分であることから、該成分関連商品の消費量を大幅にアップさせる結果、市場拡大を促し大きな産業上の利用可能性が期待される。
【符号の説明】
【0067】
1 実施例1のグァバ葉抽出エキス
2 炭酸飲料容器
3 炭酸飲料
4 グラス
5 実施例1の炭酸飲料
6 泡部分
7 ポーション容器
8 ポーション容器蓋
9 ポーション容器本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分50%以上とグァバ葉抽出界面活性作用成分を含むグァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項2】
前記グァバ葉抽出エキスは、グァバ葉を原料とし、含水有機溶剤を溶出溶媒としクロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られることを特徴とする請求項1に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項3】
前記のグァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上含まれるように加えることによって泡立ち量及び泡立ち持続時間が30%以上増加向上することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項4】
前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることによってグァバ葉抽出ポリフェノールの苦味を抑制することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項5】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることを特徴とする請求項4に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【請求項7】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される1回当たりに摂取する相当量のグァバ葉抽出エキスの分量を充填してなることを特徴とする請求項6記載の容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【請求項1】
水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分50%以上とグァバ葉抽出界面活性作用成分を含むグァバ葉抽出エキスを加えてなることを特徴とする発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項2】
前記グァバ葉抽出エキスは、グァバ葉を原料とし、含水有機溶剤を溶出溶媒としクロマトグラフィーによってポリフェノール含有画分を溶出させて得られることを特徴とする請求項1に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項3】
前記のグァバ葉抽出エキスを炭酸飲料100ccに対してグァバ葉抽出ポリフェノール成分として3.5mg相当以上含まれるように加えることによって泡立ち量及び泡立ち持続時間が30%以上増加向上することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項4】
前記グァバ葉抽出エキスに難消化性デキストリンを加えることによってグァバ葉抽出ポリフェノールの苦味を抑制することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項5】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分と難消化性デキストリンとの配合割合がグァバ葉抽出ポリフェノール成分5〜20質量部に対して難消化性デキストリン95〜80質量部であることを特徴とする請求項4に記載の発泡性に優れた炭酸飲料。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の水溶性に調整したグァバ葉抽出ポリフェノール成分を所定量含むようにグァバ葉抽出エキスを小分けして容器詰めし、該グァバ葉抽出エキスをグァバ葉抽出ポリフェノール成分を含まない通常の炭酸飲料に加えて炭酸飲料の発泡性を向上させることを特徴とする容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【請求項7】
前記グァバ葉抽出ポリフェノール成分が30〜150mgの範囲から選択される1回当たりに摂取する相当量のグァバ葉抽出エキスの分量を充填してなることを特徴とする請求項6記載の容器詰めしたグァバ葉抽出エキス。
【図1】
【図2】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−39960(P2012−39960A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185085(P2010−185085)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510139689)株式会社エコビジネス (1)
【出願人】(510226772)有限会社 プランドール (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510139689)株式会社エコビジネス (1)
【出願人】(510226772)有限会社 プランドール (1)
【Fターム(参考)】
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