説明

グラフト共重合体、それらの調製、およびキャピラリー電気泳動での使用

【課題】本発明は、グラフト共重合体、それらの調製、およびそれらを含有する組成物(例えば、電気泳動分離媒体)に関する。
【解決手段】本発明は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(「ポリ(DMA)」)、それらの調製、およびそれらを含有する組成物(例えば、電気泳動分離媒体)に関し、さらに特定すると、これらの重合体を含有する支持体(例えば、キャピラリー)およびキャピラリー電気泳動を使用して生体分子(特に、ポリヌクレオチド)を分離する方法に関する。このグラフト共重合体は、例えば、ポリアクリルアミド単位をポリ(DMA)骨格にグラフト化することにより、調製できる。このようなグラフト共重合体または超高分子量ポリ(DMA)重合体を分離すると、キャピラリー電気泳動による生体分子の分析および分離において、優れた性能が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は、一般に、グラフト共重合体、それらの調製、およびそれらを含有する電気泳動分離組成物に関し、また、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、それらの調製、およびそれらを含有する電気泳動分離組成物に関し、さらに特定すると、これらの重合体を含有する支持体(例えば、キャピラリー)およびキャピラリー電気泳動を使用して生体分子(特に、ポリヌクレオチド)を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.発明の背景)
キャピラリー電気泳動技術(「CE」)は、いくつかの技術上有利な点があるために、広く使用されている分析方法であり、これは、すなわち、以下を提供する:(i)分離媒体を含むキャピラリーは、高い表面−体積比を有し、そして熱を効率滴に消散し、これは、順に、急速に分離するために高電場を使用することが可能となる;(ii)必要な試料の容量が最小である;(iii)優れた解像度が達成できる;そして(iv)この技術は、容易に自動化できる。例えば、Camilleri著、Capillary Electrophoresis:Theory and Practice(CRC Press,Boca Raton,1993);Grossmanら著、Capillary Electrophoresis(Academic Press,San Diego,1992)。これらの利点があるために、生体分子の分離(特に、核酸分析)にCEを適用することは、非常に重要となっている。ポリメラーゼ鎖反応生成物の分析およびDNA断片分析では、核酸(特に、デオキシリボ核酸(「DNA」))を急速かつ正確に分離する必要性が生じる。例えば、Williams,Methods 4:227−232(1992);Drossmanら、Anal.Chem.,62:900−903(1990);Huangら、Anal.Chem.,64:2149−2154(1992);Swerdlowら、Nucleic Acids Research,18:1415−1419(1990)。
【0003】
本願の第2章でのいずれの参考文献の引用も、その参考文献が本願の従来技術であることを認めるものではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(3.発明の要旨)
本発明の第一実施形態は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩に関し、ここで:
(a)各Mは、式(I)を有する:
【0005】
【化3】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各Rは、別個に、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(b)各Mは、式(II)を有する:
【0006】
【化4】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各R10は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なり、そしてAまたはAの少なくとも1個は、Oではない。
【0007】
本発明の第二実施形態は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)に関し、ここで、該ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の分子量は、少なくとも約3Mダルトンである。
【0008】
本発明の第三実施形態は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を製造する方法に関し、該方法は、油相、水相、界面活性剤および開始剤を含有する逆乳濁液中にて、N,N−ジメチルアクリルアミドを重合させて、少なくとも約3Mダルトンの重量平均分子量を有するポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を得る工程を包含する。
【0009】
本発明の第四実施形態は、ポリ(M−g−M)を製造する方法に関し、該方法は、M骨格重合体(すなわち、「ポリ(M)」)の存在下にて、Mを重合させて、ポリ(M−g−M)を得る工程を包含する。
【0010】
本発明の第五実施形態は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩と緩衝液とを含有する組成物に関する。
【0011】
本発明の第六実施形態は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と緩衝液とを含有する組成物に関する。
【0012】
本発明の第七実施形態は、本発明の組成物を製造する方法に関し、該方法は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩を緩衝液を接触させる工程を包含する。
【0013】
本発明の第八実施形態は、本発明の組成物を製造する方法に関し、該方法は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を緩衝液と接触させる工程を包含する。
【0014】
本発明の第九実施形態は、生体分子の混合物を分離する方法に関し、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)本発明の組成物を、生体分子を含有する混合物と接触させる工程;および
(b)該混合物からの生体分子の分離を促進するのに十分な量で、該組成物に電場をかける工程。
【0015】
本発明の第十実施形態は、本発明の組成物を含有するキャピラリーに関する。
【0016】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、以下の説明および図面を参照して、さらによく理解できる。したがって、本発明は、以下をも提供する。
(1)緩衝液と有効量のポリ(M−g−M)またはそれらの塩とを含有する組成物であって、ここで:
(a)各Mは、式(I)を有する:
【化1】


ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各Rは、別個に、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(b)各Mは、式(II)を有する:
【化2】


ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各R10は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる、
組成物。
(2)さらに、シーブ重合体またはそれらの塩を含有し、以下である単量体単位を有する、項目1に記載の組成物:アクリルアミド、N−アセチル−アクリルアミド、N−2−シアノエチル−アクリルアミド、N,N−1,2−ジヒドロキシエチレン−ビス−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−2−シアノエチル−メタクリルアミド、N,N−1,2−ジヒドロキシエチレン−ビス−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N,N−ジメチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
(3)前記シーブ重合体が、ポリ(アクリルアミド)である、項目2に記載の組成物。
(4)前記シーブ重合体が、ポリ(N,N−ジメチル−アクリルアミド)であり、そして該シーブ重合体が、少なくとも約3Mダルトンの重量平均分子量を有する、項目2に記載の組成物。
(5)ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を製造する方法であって、該方法は、油相、水相、界面活性剤および開始剤を含有する逆乳濁液中にて、N,N−ジメチルアクリルアミドを重合させて、該ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を得る工程を包含し、ここで、該ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)は、少なくとも約3Mダルトンの重量平均分子量を有する、
方法。
(6)前記油相が、少なくとも約15個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、約270℃またはそれ以上の正常沸点を有する脂肪族炭化水素、シリコーン油、フッ化炭化水素、液状パーフルオロポリエーテル、またはそれらの混合物を含有する、項目5に記載の方法。
(7)項目5に記載の方法のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)生成物。
(8)さらに、ポリ(ヒドロキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシエチレン−co−オキシプロピレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリ((2−エチル−2−オキサゾリン)−co−(2−メチル−2−オキサゾリン))、ポリ(N−アセトアミドアクリルアミド)、ポリ(アクリルオキシ尿素)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、またはそれらの混合物を含有する、項目1に記載の組成物。
(9)前記ポリ(M−g−M)またはそれらの塩が、約150,000ダルトン〜約20Mダルトンの重量平均分子量を有する、項目1に記載の組成物。
(10)さらに、約100,000ダルトン〜約5Mダルトンの重量平均分子量を有するシーブ重合体またはそれらの塩を含有する、項目9に記載の組成物。
(11)前記シーブ重合体が、実質的に直鎖のポリ(アクリルアミド)である、項目10に記載の組成物。
(12)Mが、以下である、項目1に記載の組成物:
N−アダマンチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−ブチル−アクリルアミド、N−シクロヘキシル−アクリルアミド、N,N−ジブチル−アクリルアミド、N−3−ジ(ブチル)アミノプロピル−アクリルアミド、N,N−ジエチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N−3−(ジメチルアミノ)−プロピル−アクリルアミド、N,N−ジプロピル−アクリルアミド、N−ドデシル−アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、Nモルホリノエチル−アクリルアミド、N−オクタデシル−アクリルアミド、N−プロピル−アクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド、(トリメチルアンモニウム)−プロピル−メタクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
(13)Mが、以下である、項目12に記載の組成物:
アクリルアミド、N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
(14)Mが、以下である、項目12に記載の組成物:
N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−3−メトキシプロピルメタクリルアミド、N−メチル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
(15)前記緩衝液が、水性緩衝液である、項目1に記載の組成物。
(16)前記組成物が、約5〜約11のpHを有する、項目15に記載の組成物。
(17)前記組成物が、約7〜約10のpHを有する、項目15に記載の組成物。
(18)Mが、N,N−ジメチルアクリルアミドであり、そしてMが、アクリルアミドである、項目15に記載の組成物。
(19)さらに、ホルムアミド、尿素、ピロリドン、N−メチルピロリドンまたはそれらの混合物を含有する、項目16に記載の組成物。
(20)さらに、尿素を含有する、項目16に記載の組成物。
(21)さらに、ホルムアミドを含有する、項目16に記載の組成物。
(22)項目1に記載の組成物を含む、キャピラリー。
(23)前記キャピラリーが、キャピラリーチューブである、項目22に記載のキャピラリー。
(24)生体分子の混合物を分離する方法であって、該方法は:
(a)項目1に記載の組成物を、生体分子を含有する混合物と接触させる工程;および
(b)該混合物からの生体分子の分離を促進するのに十分な量で、該組成物に電場をかける工程
を包含する、方法。
(25)前記分離が、キャピラリーチューブ内にて実行され、そして2種またはそれ以上の生体分子が、ポリヌクレオチドである、項目24に記載の方法。
(26)前記分離が、少なくとも400個の塩基対のクロスオーバーを有する、項目25に記載の方法。
(27)少なくとも約3Mダルトンの重量平均分子量を有する、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)。
【0017】
(5.発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、グラフト共重合体、それらの調製、およびそれらを含有する組成物に関し、また、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、それらの調製、およびそれらを含有する組成物に関し、さらに特定すると、これらの重合体を含有する支持体(例えば、キャピラリー)およびキャピラリー電気泳動を使用して生体分子(特に、ポリヌクレオチド)を分離する方法に関する。これらのグラフト共重合体は、例えば、電気泳動分離媒体にて、また、CEにて、電気浸透または電気浸透流(「EOF」)(これは、電場で誘発されるキャピラリー流体の流れを意味する)を効果的に抑制する動的コーティング重合体として使用するために、驚くべきことに、予想外に有効である。本発明の代表的なグラフト共重合体は、ポリアクリルアミド(「PAAm」)側鎖またはペンダント鎖を有するポリ(DNA)(「PDMA」)骨格重合体として、記述できる。
【0018】
本明細書中で使用する「共重合体」とは、少なくとも2個の異なる単量体サブユニットを含む重合体を包含する。それゆえ、3個の異なる単量体から構成される重合体鎖(これはまた、三元共重合体として、知られている)は、3個より多い異なる単量体単位を含む重合体鎖と同様に、「共重合体」に含まれる。共重合体は、例えば、以下による当業者に公知の多くの様式で、形成され得る:2種の異なる単量体を重合させること;ブロック共重合;グラフト共重合(例えば、この場合、既存の重合体鎖は、さらに、異なる単量体と反応される);および重合後反応(例えば、この場合、エステル側鎖基を有する重合体は、部分的に加水分解される)。本明細書中で使用する「重合体」との用語は、単独重合体および共重合体を包含する。
【0019】
高分子の分野では、グラフト重合体は、通例、「ポリ(M−g−M)」と呼ぶのが慣例であり、この場合、Mは、骨格重合体または骨格共重合体、すなわち、ポリ(M)を構成する単量体を意味する;そしてM(これは、グラフトの「g」に続く)は、グラフト重合体またはグラフト共重合体、すなわち、ポリ(M)(これは、時には、本明細書中にて、ペンダント、ペンダント重合体、ペンダント鎖または側鎖重合体と呼ばれている)を構成する単量体を意味する。ポリ(M)およびポリ(M)は、同一または異なる単独重合体または共重合体であり得ることが理解できるはずである。この命名法のそれ以上の説明および例については、例えば、G.Odian,Principles of Polymerization,McGraw−Hill Book Co.,New York,1970,pp.366,633およびDeNicola,Jr.らの米国特許第6,319,976B1号を参照。
【0020】
例えば、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド−g−アクリルアミド)は、骨格重合体がポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)でありペンダント重合体がポリ(アクリルアミド)であるグラフト共重合体を意味し、ポリ((N,N−ジメチルアクリルアミド−co−N,N−ジエチル−メタクリルアミド)−g−アクリルアミド)は、骨格重合体がN,N−ジメチルアクリルアミドとN,N−ジエチル−メタクリルアミドとの共重合体でありペンダント重合体がポリ(アクリルアミド)であるグラフト共重合体を意味し、そしてポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド−g−(アクリルアミド−co−N−ブトキシメチル−メタクリルアミド−co−N−メトキシメチル−アクリルアミド)は、骨格重合体がポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)でありペンダント重合体がアクリルアミドとN−ブトキシメチル−メタクリルアミドとN−メトキシメチル−アクリルアミドとの共重合体であるグラフト共重合体を意味する。
【0021】
(5.1 グラフト共重合体ポリ(M−g−M))
本発明の第一実施形態は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩のグラフト共重合体に関し、ここで:
(a)各Mは、式(I)を有する:
【0022】
【化5】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各Rは、別個に、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(b)各Mは、式(II)を有する:
【0023】
【化6】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各R10は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なり、そしてAまたはAの少なくとも1個は、Oではない。
【0024】
ポリ(M−g−M)またはそれらの塩の各Mまたは各Mは、同一である必要はないことが理解できるはずである。むしろ、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩は、異なるMおよびM基を含有でき、すなわち、その骨格、ペンダントまたは両方は、共重合体であり得る。しかしながら、他の実施形態では、各Mまたは各Mは、同一である。ある実施形態では、各Mおよび各Mは、同一である。
【0025】
ある実施形態では、各Mについて、RおよびRは、Hであり、そしてRは、Hまたはメチルである;そして各Mについて、RおよびRは、Hであり、そしてRは、Hまたはメチルである。
【0026】
本明細書中で使用する「アルキル」との用語は、直鎖または分枝の炭化水素鎖を意味する。アルキル基の例には、低級アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三級ブチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3、3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなど;高級アルキル、例えば、n−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。当業者は、多数の直鎖(すなわち、直線状)および分枝アルキル基に精通しており、これらは、本発明の範囲内である。それに加えて、このようなアルキル基はまた、ヘテロアルキル基を包含し得る。
【0027】
「ヘテロアリール」との用語は、関連技術の当業者に理解されているように、本発明の状況では、広義には、鎖内、ペンダントおよび/または末端官能基を有するアルキル基を意味する。鎖内官能基の例としては、カルボニル基(これは、もちろん、炭素数値に含まれる)、鎖内のヘテロ原子(例えば、少なくとも1個の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素)、エステル、アミド、ウレタンおよびそれらのチオ誘導体(すなわち、この場合、少なくとも1個の酸素原子は、イオウ原子で置き換えられる)が言及され得る。ペンダントおよび/または末端官能基の例としては、水素含有基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、アルデヒド、カルボキシル、チオおよびアミド)、およびハロゲンが言及され得る。それゆえ、代表的なヘテロアルキル基には、ブトキシメチル、ジメトキシブチル、ジメトキシエチル、3−(トリメチルアンモニウムクロライド)−プロピル、トリメチルブチル、アセチル、グリコール酸メチルエステル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メトキシプロピル、2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル、トリ(ヒドロキシメチル)−メチル、ペンタフルオロエチル、ブロモ、クロロ、3−ヨードプロピルなどが挙げられる。
【0028】
本明細書中で使用する「シクロアルキル」との用語は、炭素原子および水素原子を含有し炭素−炭素多重結合を有しない単環式または多環式の環を意味する。シクロアルキル基の例には、C〜Cシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル)、アダマンチル、飽和の環式および二環式テルペンなどが挙げられる。シクロアルキル基は、非置換であり得るか、または1個またはそれ以上の適当な置換基で置換できる。
【0029】
本明細書中で使用する「ヘテロシクロアルキル」との用語は、その環および/またはペンダントにヘテロ原子(例えば、少なくとも1個の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素)を含むシクロアルキル基を意味する。それゆえ、ヘテロシクロアルキル基は、非置換であり得るか、または1個またはそれ以上の適当な置換基で置換できる。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピロリジニル、ピロリジノ、ピペリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ピペラジノ、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノなとが挙げられる。
【0030】
本明細書中で使用する「アリール」との用語は、共役二重結合系を持った炭化水素環を含む単環式または多環式の芳香族ラジカルを意味する。ある実施形態では、共役二重結合系を持った炭化水素環を含む多環式の芳香族ラジカルは、少なくとも6個のπ(pi)電子を含む。アリール基は、非置換であり得るか、または1個またはそれ以上の適当な置換基で置換できる。アリール基の例には、フェニル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、アニシル、トルイル、キシレニルなどが挙げられる。
【0031】
本明細書中で使用する「ヘテロアリール」との用語は、例えば、その環内および/またはペンダントにヘテロ原子(例えば、少なくとも1個の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素)を含むアリール基を意味する。それゆえ、ヘテロアリール基は、非置換であり得るか、または1個またはそれ以上の適当な置換基で置換できる。ヘテロアリール基の例には、ハロフェニル、ニトロフェニル、ヒドロキシフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、(1,2,3,)−および(1,2,4)−トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、チアゾリル、フリル、フィエニル(phienyl)、イソキサゾリル、オキサゾリル、イソキノリニル、ジヒドロキシイソキノリニル、イソキノリノニル、キナゾリニル、キナゾリノニル、ナフタリミジル、フェナントリジノニルなどが挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用する「化合物用語」、例えば、−(シクロアルキル)(アルキル)とは、広義には、その原子価が炭素原子または適当なヘテロ原子から水素原子を除去することにより誘導された一価第一基(ここでは、シクロアルキル)を意味し、この場合、この第一基は、さらに、少なくとも1個の第二基(ここでは、アルキル基、例えば、3−メチルシクロヘキシルまたはイソボルニル)で置換されている。さらに詳細な説明として、−(アルキル)(アリール)のような化合物用語は、少なくとも1個の第二基(ここでは、アリール基、例えば、ベンジルまたは2,2−ジフェニルエチル)でさらに置換された第一基(ここでは、アルキル)を意味する。
【0033】
本明細書中で使用する重合体の「塩」とは、少なくとも1個のアニオン電荷、カチオン電荷またはそれらの両方を有する重合体(例えば、両性重合体)を意味し、この場合、各電荷は、その適当な対イオンと会合している。「対イオン」とは、その重合体のアニオン電荷またはカチオン電荷を均衡させるイオンを意味する。カチオン電荷を含む重合体の代表的な対イオンには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、ギ酸塩、硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、テトラフェニルホウ化物、硝酸塩、および芳香族または脂肪族カルボン酸のアニオンが挙げられる。アニオン電荷を含む重合体の代表的な対イオンには、アンモニウム、四級ホスホニウム(例えば、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム)、およびLi、Na、K、Rb、CsおよびAgのカチオンが挙げられる。
【0034】
本発明の1実施形態では、このグラフト共重合体は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩であり、ここで:
(a)Mは、N−アダマンチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N,N−ジブチル−アクリルアミド、N,N−ジエチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N,N−ジプロピル−アクリルアミド、N−ドデシル−アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−オクタデシル−アクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド、N−アダマンチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N,N−ジブチル−メタクリルアミド、N,N−ジエチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N,N−ジメチル−メタクリルアミド、N,N−ジプロピル−メタクリルアミド、N−ドデシル−メタクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−メタクリルアミド、N−イソボルニル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−メタクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(b)Mは、アクリルアミド、N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる。
【0035】
本発明の他の実施形態では、このグラフト共重合体は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩であり、ここで:
(a)Mは、N−アダマンチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N,N−ジブチル−アクリルアミド、N,N−ジエチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N,N−ジプロピル−アクリルアミド、N−ドデシル−アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−オクタデシル−アクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド、N−アダマンチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N,N−ジブチル−メタクリルアミド、N,N−ジエチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N,N−ジメチル−メタクリルアミド、N,N−ジプロピル−メタクリルアミド、N−ドデシル−メタクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−メタクリルアミド、N−イソボルニル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−メタクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(b)Mは、N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルアクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる。
【0036】
本発明の他の実施形態では、このグラフト共重合体は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩であり、ここで:
(a)Mは、N−アダマンチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N,N−ジブチル−アクリルアミド、N,N−ジエチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N,N−ジプロピル−アクリルアミド、N−ドデシル−アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−オクタデシル−アクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド、N−アダマンチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N,N−ジブチル−メタクリルアミド、N,N−ジエチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N,N−ジメチル−メタクリルアミド、N,N−ジプロピル−メタクリルアミド、N−ドデシル−メタクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−メタクリルアミド、N−イソボルニル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−オクタデシルメタクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−メタクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(b)Mは、N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルアクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる。
【0037】
の代わりにまたはそれに加えて、このペンダントは、ポリ(ヒドロキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシエチレン−co−オキシプロピレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリ((2−エチル−2−オキサゾリン)−co−(2−メチル−2−オキサゾリン))、ポリ(N−アセトアミドアクリルアミド)、ポリ(アクリルオキシル尿素)、水溶性多糖類(例えば、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース)、またはそれらの混合物を含有できる。
【0038】
他の実施形態では、このポリ(M−g−M)またはそれらの塩は、ポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジブチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジプロピル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−イソボルニル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−ブトキシメチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジブチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N,N−ジプロピル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ(N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド−g−アクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−アクリルアミド−co−N,N−ジブチル−アクリルアミド)−g−アクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−アクリルアミド−co−N,N−ジブチル−メタクリルアミド)−g−アクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−メタクリルアミド−co−N,N−ジブチル−アクリルアミド)−g−アクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−メタクリルアミド−co−N,N−ジブチル−メタクリルアミド)−g−アクリルアミド)、ポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g(アクリルアミド−co−N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド))、ポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g(アクリルアミド−co−N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド))、ポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジブチル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジプロピル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−イソボルニル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−ブトキシメチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジブチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジプロピル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド−g−メタクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−アクリルアミド−co−N,N−ジブチル−アクリルアミド)−g−メタクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−アクリルアミド−co−N,N−ジブチル−メタクリルアミド)−g−メタクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−メタクリルアミド−co−N,N−ジブチル−アクリルアミド)−g−メタクリルアミド)、ポリ((N,N−ジメチル−メタクリルアミド−co−N,N−ジブチル−メタクリルアミド)−g−メタクリルアミド)、ポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g(メタクリルアミド−co−N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド))またはポリ(N−ブトキシメチル−アクリルアミド−g−(メタクリルアミド−co−N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド))である。
【0039】
1実施形態では、Mは、N,N−ジメチルアクリルアミドであり、そしてMは、アクリルアミドである。
【0040】
他の実施形態では、本発明のグラフト共重合体は、大気圧にて、約0.01〜約1重量%の濃度および約20℃〜約70℃(例えば、25℃)で、水溶性、水膨潤性またはそれらの両方である。本発明の目的のために、水膨潤性のグラフト共重合体は、一般に、水中で膨潤するが非常に解離速度が遅いので完全には溶解するように思われないもの(例えば、実質的に架橋していないが非常に高い重量平均分子量を有するグラフト共重合体);または例えば、この共重合体を一定量の架橋剤または分枝剤を含むように合成することにより一定の低い程度まで架橋されているので水中で完全には溶解できないもののいずれかである。1実施形態では、本発明のグラフト共重合体は、圧力または真空の補助でまたはそれなしでキャピラリーに流入または流出できるように、実質的に架橋されていない。他の実施形態では、本発明のグラフト共重合体は、化学共有結合により、実質的に架橋されていない。
【0041】
その骨格重合体の重量平均分子量(「Mw」)は、広く変えることができる。1実施形態では、この骨格重合体のMwは、約50,000ダルトン(「Da」)である。他の実施形態では、この骨格重合体のMwは、約75,000Da〜約15メガダルトン(「MDa」)である。他の実施形態では、この骨格重合体のMwは、約100,000Da〜約10MDaである。他の実施形態では、この骨格重合体のMwは、約500,000Da〜約8MDaである。他の実施形態では、この骨格重合体のMwは、約800,000Da〜約5MDaである。
【0042】
このペンダント/骨格の重量比、すなわち、ポリ(M−g−M)中に存在している全てのM単位の重量の合計を存在している全てのM単位の合計で割った値は、広く変えることができる。1実施形態では、このペンダント/骨格の重量比は、約0.01〜約500である。他の実施形態では、このペンダント/骨格の比は、約0.05〜約200である。他の実施形態では、このペンダント/骨格の重量比は、約0.1〜約20である。
【0043】
このポリ(M−g−M)のMwは、広く変えることができる。1実施形態では、このポリ(M−g−M)のMwは、約150,000Da〜約20MDaである。他の実施形態では、このポリ(M−g−M)のMwは、約500,000Da〜約10MDaである。他の実施形態では、このポリ(M−g−M)のMwは、約1MDa〜約6MDaである。
【0044】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(「GPC」)(これはまた、サイズ排除クロマトグラフィーまたはSECとしても、知られている)の通常の方法は、重合体および共重合体の分子量を決定する信頼できる方法である。重合体の絶対的な特性付け(例えば、それらの数平均分子量および重量平均分子量の決定)のためにマルチアングルレーザー光散乱検出器をGPC器具(「GPC−MALLS」)に適用する基礎は、従来知られている。例えば、Wyatt、Analytica Chimica Acta 272:1−40(1993)を参照。例えば、GPC−MALLSは、特に、50,000Da未満から1MDa以上までの分子量を有する数種の水溶性重合体および共重合体のMwを測定するのに使用されている。Nagy,Proc.Int’l.GPC Symposium,Orlando,Florida,June 1994 95−0315:71−95(1994)。さらに、分子量測定のためのGPC(特に、GPC−MALLS)の精度は、当該技術分野でよく認識されている。例えば、数種の異なる高度なオンライン検出システム(GPC−MALLSを含めて)を使用して同一重合体試料について得られたGPCの分子量の結果は、遜色がない。S.Yau、Chemtracts−Macromolecular Chemistry 1:1−36(1990)。従って、GPC−MALLSは、本発明のポリ(M)、ポリ(M)およびポリ(M−g−M)重合体の数平均分子量および重量平均分子量を測定する便利な方法である。
【0045】
(5.2 グラフト共重合体を製造する方法)
グラフト共重合体を製造する多くの方法は、当該技術分野で公知であり、そして本発明のポリ(M−g−M)を調製するのに使用できる。例えば、いくつかのこのような方法は、以下の章で要約されている:Costelloら、「Copolymers」Kirk−Othmer Encyc.of Chem Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1993,Vol.7,pp.349−381。これらの通常の方法は、適当な反応部位を備えた重合体骨格を選択する工程、本発明の単量体(例えば、M)を選択する工程、次いで、その単量体の重合(これは、例えば、遊離ラジカル手段、アニオン手段またはカチオン手段により、開始される)を行ってグラフト共重合体を形成する工程を包含する。前出、pp.356−358。このような重合は、もちろん、バルク、溶液、懸濁液、乳濁液またはマイクロ乳濁液中で行うことができ、広範囲の重合開始剤が使用できる。前出、pp.356。
【0046】
多くの種類の遊離ラジカル開始剤が適当であり、例えば、アゾおよびジアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」))、有機過酸化物、ヒドロキシペルオキシド、過硫酸塩およびヒドロ過硫酸塩(例えば、過酸化ベンゾイル、無機過酸化物および過硫酸塩(例えば、過酸化物−レドックス系))、炭素−炭素開始剤(例えば、ヘキサ置換エタン)および光開始剤がある;非常に多くの実施例は、当該技術分野で公知である。Sanchezら、「Initiators(Free−Radical)」Kirk−Othmer Encyc. of Chem.Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1995,Vol.14,pp.431−460を参照。適当なアニオン開始剤は、当該技術分野で公知であり、これには、芳香族ラジカルアニオン(例えば、ナトリウムナフタレン);アルキルリチウム化合物(例えば、t−ブチルリチウム);フルオレニルカルボアニオン;1,1−ジフェニルメチルカルボアニオン;クミルカリウム;および以下で記述されているものが挙げられる:Quirkら、「Initiators(Anionic)」Kirk−Othmer Encyc.of Chem.Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1995,Vol.14,pp.461−476。
【0047】
適当なカチオン開始剤もまた、当該技術分野で公知であり、これには、プロトン酸、カチオン供与体(開始剤)/フリーデルクラフツ酸(共開始剤)系、適当なカチオン塩、および以下で記述されているものが挙げられる:Faust,「Initiators(Cationic)」Kirk−Othmer Encyc. of Chem.Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1995,Vol.14,pp.476−482。この遊離ラジカル開始剤、アニオン開始剤またはカチオン開始剤は、これが重合を開始するのに必要であるとき、任意の公知手段により、例えば、熱的または光的に分解を受け得る。
【0048】
適当な骨格重合体(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド)(「PDMA」)は、例えば、以下で開示されているように、当該技術分野で公知の技術を使用して、合成できる:Trossarelliら、J.Polymer Sci.,57:445−452(1962)および米国特許第5,916,426号(Madabhushiら)。
【0049】
特に、溶液重合によるジオキサン中でのPDMAの遊離ラジカル開始の合成の8つの例は、後者の実施例1(10欄、40行目〜11欄、12行目)で開示されており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。以下の代表的な手順は、良好なPDMAを形成するのに適当に有用である。三角フラスコ中にて、約25℃で、ジオキサン1ccあたり5〜70%gのDMAおよび1.2〜16.4mgの遊離ラジカル開始剤AIBN/DMA(1g)を混合し、その溶液に、室温で、10分間にわたって、アルゴンガスを泡立たせる。DMAの重合は、その温度を約55℃まで上げることにより、開始する。単量体の濃度に依存して、約10〜約25分間の重合時間が適当である。重合後、形成された重合体の各々は、例えば、ヘキサン中で3回沈殿し塩化メチレンに溶解することにより、精製され得る。最後に、このヘキサン沈殿物は、真空デシケータ中にて、一晩乾燥され得、次いで、凍結乾燥され得る。得られたPDMAのMwは、GPCを使用して便利に測定されるが、約54,000〜約99,000Daの範囲であるはずである。
【0050】
さらに、溶液重合による第三級ブチルアルコール中でのPDMAの遊離ラジカル開始合成の4つの実施例は、米国特許第5,916,426号の実施例2、11欄、13〜35行目で開示されており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。この第三級ブチルアルコールは、溶媒としてだけでなく、外連細動剤(これは、PDMAの分子量を低下させる)として、作用する。以下の代表的な手順は、代替的に、良好なPDMAを形成するのに有用である。三角フラスコ中にて、約25℃で、第三級ブチルアルコール1ccあたり50〜70%gのDMAおよび1.2〜1.7mgのAIBN/DMA(1g)を混合し、その溶液に、約20分間にわたって、アルゴンガスを泡立たせる。DMAの重合は、上記のようにして開始され、そして約15分間継続される。得られた重合体は、上記のようにして単離され、そして凍結乾燥されて、約81,000〜約112,000DaのMwを備えたPDMAが得られる。
【0051】
当業者は、もちろん、PDMAのMwが通常の方法(例えば、単量体に対して異なる連鎖移動定数を有する多の連鎖移動剤(例えば、n−ブタノールまたはイソプロパノール)で置換すること、および/または存在している連鎖移動剤の量を変えること)により制御できることを認識する。特に、このMwは、その出発単量体濃度に対する開始剤の濃度を下げることにより、および/または存在している連鎖移動剤の量を少なくするか連鎖移動剤を全くなくすことにより、高めることができる。
【0052】
このPDMA骨格のMwは、広く変えることができる。1実施形態では、このPDMA骨格のMwは、そのPDMAを溶液重合で調製するとき、約50,000Daから約3MDa未満である。他の実施形態では、溶液重合したPDMAのMwは、約75,000Da〜約2MDaである。(例えば、約2MDaおよびそれ以上で開始して)標的PDMAのMwを高めるにつれて、その溶液が過度に粘稠となり、例えば、均一性、乏しい熱移動および混合しにくさという問題を引き起こし得るので、溶液重合がより困難となる。約3MDaより高いMwを有するPDMAについては、他の方法(下記のものを含めて)が有効であり得る。本明細書中で使用する高重量平均分子量(「HMw」)重合体(特に、HMw PDMA重合体)には、約3MDa未満までのMwを有するものが挙げられる。本明細書中で使用する超高重量平均分子量(「UHMw」)重合体(特に、UHMw PDMA重合体)には、3MDaより高いMwを有するものが挙げられる。それゆえ、通常の溶液重合方法で調製したPDMA骨格重合体は、HMw PDMAに限られる。
【0053】
(5.3 DMAからUHMw PDMAへの逆乳化重合)
驚くべきことに、UHMw PDMAは、逆乳化重合法(「IEP」)により調製され得ることが発見されている。このIEP法の多くの局面は、例えば、「Inverse Emulsion(Microemulsion)Polymerization」、Chapter 4 in Radical Polymerization in Disperse Systems,Bartonら、Ellis Horwood,New
York,1994,pp.187−215;Candauら、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,23:193−214(1985);およびProssら、Polym.Int'l.,45:22−26(1998)で詳細に記述され
ている。IEPは、時には、逆マイクロ懸濁重合(Pross,p.22.)または逆マイクロ乳化重合(Barton,Id.)と呼ばれている。しかしながら、IEP法によるUHMw PDMAの調製は、従来、知られておらず、記述または示唆されていなかった。
【0054】
その逆乳濁液を形成するには、任意の適当なオイルが使用できる。DMAから所望のUHMw PDMAを生成するためには、このDMAは、水相で存在するべきである。特定の理論で束縛されないが、DMAは、IEP用の油相として当該技術分野で通例使用されるオイルに部分的に溶解性であるので、そのオイル溶解度は、このようなオイルを使用するときに生成される重合体の最大分子量を限定すると考えられている。それゆえ、UHMw重合体を製造するとき、それらの単量体は、選択したオイルに実質的に不溶性であることが望ましい。
【0055】
適当な単量体/オイルの組合せを選択する目的のために、「油溶性」とは、以下の複雑な試験により、定義される。初めから終わりまで20℃の温度で、選択した単量体または単量体混合物1mLを選択したオイル6mLに入れ、そして1分間にわたって、渦流で混合する。この混合を停止し、その液体を10分間放置する。この単量体は、10分後に肉眼で相分離(例えば、半透明、曇りおよび/または別の層)が観察できるなら、このオイルに不溶性である。逆に、この単量体は、層分離が観察されない(すなわち、透明な溶液)なら、このオイルに溶解性である。
【0056】
例えば、この試験により、DMAは、アセトニトリル、アセトン、メタノール、1−デカノール、エチルエーテル、ヘキサン、デカン、石油エーテル(正常沸点範囲;35〜60℃)および石油スペシャル(正常沸点範囲;180〜220℃)に溶解性であることが判明した。従って、これらの物質のいずれも、個々には、IEPによりDMAからUHMw PDMAを形成するのに好ましい油相である。しかしながら、DMAは、この試験により、例えば、少なくとも約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素に不溶性であることが判明した。あるいは、DMAは、この試験により、例えば、約270℃以上の正常沸点を有する脂肪族炭化水素に溶解性であることが判明した。IEPによりDMAからUHMw PDMAを形成するのに適当なオイルである代表的な炭化水素には、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、白色軽鉱油またはパラフィン油、白色重油またはパラフィン油、およびNujol調製に適当な鉱油またはパラフィン油が挙げられる。
【0057】
DMAはまた、上記試験により、例えば、シリコーン油、少なくとも部分的にフッ化した炭化水素および液状過フッ化ポリエーテル(「PEPE」)(これは、過フッ化ポリアルキルエーテル(「PEPAE」)とも呼ばれている)に不溶性である。
【0058】
IEPによりDMAからUHMw PDMAを形成するのに従来適当なオイルである代表的なシリコーンには、ポリ(ジメチルシロキサン)ベースのオイル(例えば、DC200、DC510、DC550およびDC710(それらの各々は、種々の粘度等級(例えば、DC200については、10cSt〜12,500cSt)で、Dow Comingから入手可能であり得る)およびポリ(メチルフェニルシロキサン)ベースのオイル(例えば、AR200;これもまた、Dow Coming製である)が挙げられる。
【0059】
IEPによりDMAからUHMw PDMAを形成するのに従来適当な代表的な少なくとも部分的にフッ化した炭化水素液体には、FLUORIERTシリーズ(これは、3Mから入手でき、例えば、FC−40、FC−43、FC−70、FC−72、FC−77、FC−84、FC−87、FC−3283、FC−5312およびFC−5320)が挙げられる。
【0060】
IEPによりDMAからUHMw PDMAを形成するのに従来適当な代表的な液状PFPEsには、DEMNUIMシリーズ(これは、Daikin Industries,Ltd.から入手でき、例えば、S−20、S−65、S−100およびS−200)、KRYTOXシリーズ(これは、DuPontから入手でき、例えば、GPL100、GPL101、GPL102、GPL103、GPL104、GPL105、GPL106、GPL107、143AB、143ACおよびVPF1525)、およびFOMBLIN Y、ZおよびMシリーズ(これは、Ausimont Montedison Groupから入手でき、例えば、Y04、Y06、Y25、Y−L VAC25/6、YR、YR1500、YR1800、Z03、Z15、Z25、Z60、M03、M15、M30およびM60)が挙げられる。例えば、Hamada,Phys.Chem.Chem.Phys.,2:115−122(2000)で開示されているように、DEMNUIM型PFPEsは、式F−[CFCFCFO]−Hを有し、KRYTOX型PFPEsは、式F−[CF(CF)CFO]−Hを有し、そしてFOMBLIN−Z−型PFPEsは、式F−[(CFCFO)2−(CFO)]−Hを有し、ここで、n、lおよびmは、例えば、異なる鎖長および粘度を与えるように、変えられる。
【0061】
1実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEP用のオイルには、少なくとも約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素、約270℃より高い正常沸点を有する脂肪族炭化水素、シリコーン油、少なくとも部分的にフッ化した炭化水素、液状過フッ化ポリエーテル、またはそれらの混合物が挙げられる。他の実施形態では、DMAからUHMw
PDMAへのIEP用のオイルには、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、白色軽鉱油またはパラフィン油、白色重油またはパラフィン油、およびNujol調製に適当な鉱油またはパラフィン油が挙げられる。他の実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEP用のオイルは、Nujol調製に適当な鉱油である。
【0062】
この逆乳濁液を形成するには、少なくとも1種の界面活性剤が使用される。複数の界面活性剤が存在しているとき、追加界面活性剤は、時には、共界面活性剤と呼ばれる。界面活性剤をその親水性/親油性バランス(「HLB」)で特徴付けることは、常套的であり、これは、水およびオイルに対する界面活性剤の相対的な同時誘引力の尺度である。1〜40のHLBにて、比較的に親油性の界面活性剤は、低い数値を有するのに対して、比較的に親水性の界面活性剤は、高い数値を有する。
【0063】
広範囲の界面活性剤が利用可能であることが知られており、多くは、McCutcheon’s Emulsifiers & Detergents,North American Ed.,Manufacturing Confectioner Pub.Co.,Glen Rock,NJ,1988,pp.1−217にて、HLB値と共に列挙されている。この界面活性剤は、非イオン性であり得るか、またはアニオン電荷、カチオン電荷、またはそれらの両方(例えば、両性界面活性剤)を有し得、この場合、各電荷は、適当な対イオンと会合している;各々の多数の例は、当該技術分野で公知である。Lynn,Jr.ら、「Surfactants」Kifk−Othfner Encyc.of Chem.Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1997,Vol.23,pp.483−541を参照。
【0064】
適当な種類の非イオン性界面活性剤は、当該技術分野で公知であり、これらには、ポリオキシエチレン界面活性剤(例えば、アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレート);カルボン酸エステル(例えば、グリセロールエステルおよびポリオキシエチレンエステル);アンヒドロソルビトールエステル(例えば、ソルビタンおよび脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−エステル);ポリアルキレンオキシドブロック共重合体;およびポリ(オキシエチレン−co−オキシプロピレン)非イオン性界面活性剤が挙げられる。前出、pp.506−523。
【0065】
適当な種類のアニオン性界面活性剤は、当該技術分野で公知であり、これらには、カルボキシレート(例えば、石鹸、ポリアルコキシカルボキシレートおよびN−アシルサルコシネート);スルホネート(例えば、アルキルベンゼンスルホネート);サルフェート(例えば、アルコールサルフェートおよびエトキシ化および硫化アルコール);およびホスフェート(例えば、リン酸エステル)が挙げられる。前出、pp.491−505。
【0066】
適当な種類のカチオン性界面活性剤は、当該技術分野で公知であり、これらには、アミン(例えば、脂肪酸およびロジン酸から誘導した脂肪族モノ−、ジ−およびポリアミン);および四級アンモニウム塩(例えば、ジアルキルジメチルおよびアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムおよびハロゲン化アルキルピリジニウム)が挙げられる。前出、pp.524−530。適当な種類の両性界面活性剤は、当該技術分野で公知であり、これらには、アルキルベタイン、アミドプロピルベタインおよびイミダゾリニウム誘導体が挙げられる。前出、pp.530−532。
【0067】
逆乳濁液を形成するのに適当な界面活性剤または界面活性剤ブレンドを選択する際に典型的に考慮される要件は、従来知られており、例えば、Griffin,「Emulsions」Kirk−Othmer Encyc.of Chem.Technol.,第3版,John Wiley & Sons,New York,1979,Vol.8,pp.909−919で要約されている。さらに、一部の単量体(例えば、アクリルアミド)は、時には、共界面活性剤として作用できることが認められている。Candau,p.204;Barton,p.191。このような場合、その乳化系の全体的なHLBは、選択した界面活性剤または界面活性剤ブレンドのHLBとは異なり得る。Barton,p.191。さらに、当業者なら、界面活性剤を選択する際に、この逆乳濁液の特定の特性を考慮しなければならないことを認識する。例えば、フッ化オイルを使用するとき、また、少なくとも部分的にフッ化した界面活性剤を選択することが望ましい。このような要件を考慮して、当業者は、IEPによりDMAからUHMw重合体(特に、UHMw PDMA)を形成するための水溶性単量体のIEPに適当な界面活性剤(これは、個々に、または組み合わせて、使用される)を選択できる。
【0068】
1実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEP用の界面活性剤は、約7以下のHLBを有する。他の実施形態では、この界面活性剤のHLBは、約6以下である。他の実施形態では、この界面活性剤のHLBは、約3〜約6である。他の実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEP用の界面活性剤は、約4〜約6のHLBを有する。他の実施形態では、界面活性剤には、以下が挙げられる:Fluka製のSPAN−80、以下の構造を有すると考えられるソルビタンモノオレエート:
【0069】
【化7】

これは、約429Daの分子量および約4.3のHLBを有する;BASF製のTETRONIC 1301、以下の構造を有すると考えられるアミンベースのブロック共重合体非イオン性界面活性剤:
【0070】
【化8】

これは、約6,800Daの分子量および約2.0のHLBを有する;またはそれらの混合物。
【0071】
適当な乳濁液またはマイクロ乳濁液が形成されるように、十分な量の界面活性剤が使用される;その量を決定するには、当業者による常套的な実験が使用できる。重合後、高い重合体含量のマイクロ乳濁液を得るために、水相と油相との比(重量基準)は、通常、できるだけ高くなるように選択される。この比は、例えば、約1:10〜約4:1の範囲であり得る。他の実施形態では、この比は、例えば、約1:2〜約3:1の範囲であり得る。他の実施形態では、固形重合体生成物の量は、その全乳濁液重量の約10重量%より高い。
【0072】
上述の多くの種類の開始剤はまた、逆乳化重合で使用するのに適当である(例えば、遊離ラジカル開始剤(例えば、アゾ化合物、有機過酸化物および過硫酸塩、無機過酸化物および過硫酸塩、炭素−炭素開始剤)だけでなく、光開始剤(例えば、McGinniss,「Radiation Curing」Kirk−Othmer Encyc.of Chem.Technol.,第4版,John Wiley & Sons,New York,1996,Vol.20,pp.848−850で記述されているもの))。重合はまた、もちろん、高エネルギーイオン化放射線源により、行われ得る。
【0073】
1実施形態では、逆乳化重合開始剤には、アゾ化合物(油溶性型(例えば、AIBN)または水溶性型(例えば、アゾブチロアミジン)のいずれか)、油溶性過酸化物および過硫酸塩(例えば、過酸化ジベンゾイル)、水溶性過酸化物および過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウム)、レドックス開始系(これには、ペルオキシレドックス型(例えば、K/Naまたは硫酸第一鉄アンモニウム/過硫酸アンモニウム)が挙げられる)、および光開始剤(例えば、Michlerのケトン、すなわち、4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンおよびIRGACURE−1700およびDAROCURE−1173(Ciba−Geigy製);これらは、(25%のビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド+75%の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンであると考えられている)が挙げられる。他の実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEP用の開始剤には、油溶性アゾ化合物、水溶性過酸化物および過硫酸塩、レドックス開始系、光開始剤、またはそれらの混合物が挙げられる。他の実施形態では、DMAからUHMw PDMAへのIEPに使用される開始剤には、AIBN,過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、Michlerのケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、またはそれらの混合物がある。
【0074】
この逆乳濁液および/またはその水相はまた、もし望ましいなら、このような他の添加剤を含有し得る。これらには、重合開始剤を除去するキレート化剤、連鎖移動剤、pH調節剤、共開始剤、増感剤、連鎖移動錯体または供与体−受容体錯体(光開始剤を使用するとき)、およびそれらの通常の割合で使用される他の通常の添加剤が挙げられる。この逆乳濁液またはマイクロ乳濁液の重合は、例えば、Griffin,pp.919−923;Neffらの米国特許第5,530,069号、3欄、39〜65行目および5欄、29行目〜6欄、44行目;およびそこで引用された参考文献で一般に記述されているように、当業者に公知の任意の様式で、実行され得る。さらに、DMAからUHMw PDMAへのIEPは、上記文献の実施例6.1.1〜6.1.3で記述されている。
【0075】
PDMAのMwは、ポリ(M)として使用するとき、広く変えることができる。1実施形態では、ポリ(M)として使用されるPDMAのMwは、UHMw PDMAをIEPで調製するとき、約3〜約20MDaである。他の実施形態では、逆乳化重合したPDMA ポリ(M)のMwは、約3〜約10MDaである。他の実施形態では、本発明は、本明細書中でそれを製造する方法のいずれかのUHMw PDMA生成物に関する。他の実施形態では、本発明は、本明細書中でそれを製造するIEP方法のいずれかのUHMw PDMA生成物に関する。
【0076】
例えば、生体分子を分離するCE分離媒体では、UHMw PDMA単独重合体(非グラフト共重合体)(これは、すなわち、ポリ(M)を含まない)はねまた、有効である。それゆえ、本発明の第二実施形態は、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)に関し、この場合、このポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の重量平均分子量は、少なくとも約3MDaである。他の実施形態では、このシーブ重合体は、少なくとも約3MDaを有するポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)である。他の実施形態では、このUHMw PDMAは、約3MDa〜約10MDaの重量平均分子量を有する。さらに、本発明の第三実施形態は、超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を製造する方法に関し、該方法は、逆乳濁液(これは、油相、水相、界面活性剤および開始剤を含有する)中でDMAを重合させて、少なくとも約3MDaの重量平均分子量を有するポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)を提供する工程を包含する。本発明の他の実施形態は、この方法のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)生成物に関する。
【0077】
(5.4 グラフト共重合体を製造する方法(続き))
一旦、重合体骨格が得られるか調製されると、例えば、上述のように、単量体Mと遊離ラジカルグラフト化することにより、ペンダント形成重合が行われ得、それにより、本発明のグラフト共重合体が形成される。特定の理論で束縛されないが、本発明の代表的なポリ(M−g−M)を遊離ラジカルグラフト化する提案された機構では、ポリ(DMA−g−AAm)は、以下のスキームで示される。例えば、重合の開始において遊離ラジカル開始剤の熱分解または光分解で形成された遊離ラジカルは、AAm2の重合を開始して、伝播しているマクロラジカル3を形成する:
【0078】
【化9】

遊離ラジカル1またはマクロラジカル3は、PDMA4から水素原子を抽出して、マクロラジカル5および/または6を形成できる:
【0079】
【化10】

3と5または6とをカップリングすることによる停止反応により、PDMA骨格にPAAmペンダントを結合したグラフトポリ(DMA−g−AAm)7が得られる:
【0080】
【化11】

あるいは、マクロラジカル5または6は、AAm2の重合を開始でき、伝播しているPAAmペンダント鎖(図示せず)(これは、PDMA骨格にグラフトされた)を形成できる。しかしながら、特定の理論で束縛されないが、マクロラジカル5および6は、それぞれ、2の重合の開始剤としては、無効であると考えられる。
【0081】
例えば、不均一化により停止すると、ポリ(DMA−g−AAm)7が得られる。もし、停止が、このような2個の伝播しているPAAmペンダント鎖の間のカップリングによるなら、架橋(図示せず)が予想できる。しかしながら、例えば、下記の実施例6.2で報告された結果に基づいて、ここで調製されたポリ(DMA−g−AAm)生成物が水溶性であるので、相当量の架橋は起こらない。
【0082】
本発明の第四実施形態は、ポリ(M−g−M)を製造する方法に関し、該方法は、ポリ(M)の存在下にてM2を重合させて、ポリ(M−g−M)を得る工程を包含する。ポリ(M)は、単独重合体または共重合体であり得ることが分かる。この重合は、少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤、アニオン性開始剤および/またはカチオン性開始剤により、開始され得る。他の実施形態では、この重合は、少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤により、開始される。この遊離ラジカル開始剤は、この重合を開始する際に、熱的または光分解的に解離され得る。他の実施形態では、このポリ(M−g−M)生成物は、約150,000Da〜約20MDaの重量平均分子量を有する。他の実施形態では、本発明は、それを製造する本明細書中の方法のいずれかのポリ(M−g−M)生成物に関する。
【0083】
本発明の第四実施形態は、ポリ(M−g−M)を製造する方法に関し、ポリ(M)は、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)であり、そしてMは、アクリルアミドである。他の実施形態では、その遊離ラジカル開始剤は、熱的または光分解的に解離される開始剤であり、これは、アジ化合物、ジアゾ化合物、有機過酸化物、有機ヒドロペルオキシド、有機過硫酸塩、有機ヒドロ過硫酸塩、無機過酸化物、無機過硫酸塩、過酸化物レドックス系、炭素−炭素開始剤、光開始剤またはそれらの混合物から選択される。ここで、そのPDMA骨格は、約100,000Da〜約10MDaのMwを有し得る。それゆえ、この重合体骨格は、溶液重合したPDMAであり得、そして約500,000Daから約3MDa未満のMwを有するか、または本発明の逆乳化重合したUHMw PDMAであり得、そして約3MDaより高く約10MDaまでのMwを有する。
【0084】
もちろん、当該技術分野で公知の重合を開始する他の方法はもまた、本発明のポリ(M−g−M)を製造するのに使用できる。例えば、通常、光開始剤および高エネルギーイオン化放射線源(例えば、60Coまたは137Co源、α−粒子、β−粒子、高速中性子およびX線に由来のγ−放射線)の存在下にて、ポリ(M)および単量体を、電子線、紫外線に晒すと、遊離ラジカルおよび/またはイオンの発生を引き起こし得、これは、順に、グラフト重合を開始する。Sanchezら、「Initiators(Free−Radical)」 at 454−457;Sheppardら、「Initiators」Kirk−Othmer Encyc.of Chem.Technol.,第3版,John Wiley & Sons,New York,1981,Vol.13,pp.367−370。少なくとも以下の3つの放射線グラフト化方法は、従来知られている:(1)「プレ照射」方法であって、ここで、骨格重合体は、単量体と相互作用する前に、照射される;(2)「相互照射グラフト化」方法であって、ここで、骨格重合体および単量体は、照射が起こっている間に、接触される;および(3)「過酸化物」方法であって、ここで、骨格重合体は、単量体と相互作用する前に、空気または酸素の存在下にて、照射される。Stannettら、「Polymerization by High−Energy Radiation」Comprehensive Polymer Science,Pergamon Press,Oxford,1989,Vol.4,Eastmondら著、p.327−334。あるいは、基移動重合を使用してグラフト共重合体を合成することが可能である。Costello,p.359。
【0085】
本発明のポリ(M−g−M)を調製するのに使用できるグラフト共重合体を調製する他の通常の方法は、テレケリック重合体(これはまた、「マクロモノマー」として知られている)を使用することである。Costello,pp.360−361。本明細書中で使用する「テレケリック重合体」とは、他の分子と結合を形成できる少なくとも1個の末端官能基を有する重合体またはオリゴマーを意味する。例えば、ビニル末端重合体から本質的になるテレケリック重合体が適当に使用され得る。このようなテレケリック重合体の末端ビニル基は、本発明の単量体(例えば、M)と共重合体して、ペンダント鎖としてテレケリック重合体の重合体を有するグラフト共重合体を形成できる。特に、このテレケリック重合体は、ビニル末端PAAmであり得、これは、本発明のMと共重合したとき、ポリ(M−g−アクリルアミド)(すなわち、Mとしてアクリルアミド)を生じる。
【0086】
共重合でテレケリック重合体を使用する多くの方法が知られている。例えば、Le−Khacら、の米国特許第6,214,958 B1号、3欄、55行目〜6欄、8行目は、1種またはそれ以上のテレケリック重合体から重合体骨格およびペンダント重合体側鎖を含む共重合体を調製する複数の異なる方法を開示しており、これらには、回分法、半回分法または半連続法(すなわち、単量体を2回またはそれ以上で別々に加える)、1段階連続法および多段階連続法が挙げられる。
【0087】
あるいは、本発明のポリ(M−g−M)は、重合体出発物質から調製でき、これもまた、グラフト共重合体を製造する際に従来知られている方法である。例えば、水素除去または炭素−炭素結合開裂により、例えば、ポリ(M)およびポリ(M)の組合せをイオン化放射線源に晒すと、マクロラジカル中間体が形成できる。次いで、このマクロラジカル中間体は、カップリングして、それらの出発重合体に比べて分子量を高めた単一(例えば、グラフト化)共重合体を形成できる。Adler,Science,141:321−323(1963);McGinniss,「Radiation Curing」Kirk−Othmer Encyc.of Clzem.Technol.,第3版,John Wiley & Sons,New York,1982,Vol.19,p.612。さらに、反応加工法(例えば、反応押出)は、ポリ(M)およびポリ(M)の組合せを使って実行される重合体加工操作中にて、その場でグラフト共重合体を製造するのに使用できる。Costello,p.377。
【0088】
(5.5 本発明の組成物)
本発明の第五実施形態は、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩と緩衝液とを含有する組成物に関する。この組成物は、電気泳動分離媒体として、有用である。1実施形態では、この組成物は、さらに、シーブ重合体またはそれらの塩(これは、以下でさらに詳細に記述する)を含有する。他の実施形態では、この組成物は、さらに、変性剤を含有する。これらの組成物では、このポリ(M−g−M)またはそれらの塩は、以下のようである:
(a)各Mは、式(I)を有する:
【0089】
【化12】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各Rは、別個に、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(b)各Mは、式(II)を有する:
【0090】
【化13】

ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各R10は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる。
【0091】
他の実施形態では、Mは、以下である:N−アダマンチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−ブチル−アクリルアミド、N−シクロヘキシル−アクリルアミド、N,N−ジブチル−アクリルアミド、N−3−ジ(ブチル)アミノプロピル−アクリルアミド、N,N−ジエチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N−3−(ジメチルアミノ)−プロピル−アクリルアミド、N,N−ジプロピル−アクリルアミド、N−ドデシル−アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル−アクリルアミド、N−イソボルニル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、Nモルホリノエチル−アクリルアミド、N−オクタデシル−アクリルアミド、N−プロピル−アクリルアミド、N−3−(トリメチルアンモニウム)−プロピル−アクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−アクリルアミド、(トリメチルアンモニウム)−プロピル−メタクリルアミドクロライド、N−1,1,3−トリメチルブチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
【0092】
他の実施形態では、Mは、以下である:アクリルアミド、N−アセチル−アクリルアミド、N−ブトキシメチル−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−ブトキシメチル−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
【0093】
特定の理論で束縛されないが、本発明の組成物の有効性は、それらがCEにおいてEOFを抑制または排除する性能から生じると考えられる。
【0094】
本発明の組成物中で存在しているポリ(M−g−M)の重量割合(これは、組成物の全重量を基準にしている)は、約0.0001〜約0.02である。他の実施形態では、本発明の組成物中で存在しているポリ(M−g−M)の重量割合は、約0.001〜約0.015である。他の実施形態では、本発明の組成物中で存在しているポリ(M−g−M)の重量割合約0.001〜約0.005である。
【0095】
(5.5 緩衝液)
本発明の組成物は、pHを制御する緩衝系を含有する。1実施形態では、この緩衝液は、水性緩衝液である。他の実施形態では、この緩衝液は、実質的に無水の緩衝液である。他の実施形態では、この緩衝液は、無水緩衝液である。他の実施形態では、この緩衝液は、約5〜約11のpHを有する緩衝化組成物を提供する。他の実施形態では、この緩衝液は、約7〜約10のpHを有する緩衝化組成物を提供する。代表的な水性緩衝液には、有機酸(例えば、クエン酸、酢酸またはギ酸)の水溶液;双性イオン(例えば、N−トリス(ヒドロキシメチル)−2−アミノエタンスルホン酸(「TES」)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(「BICINE」)、2−(2−アミノ−2−オキソエチル)−アミノ)エタンスルホン酸(「ACES」)またはグリシルグリシン;無機酸(例えば、リン酸);および無機塩基(例えば、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(「TRIS」))が挙げられる。代表的な実質的に無水の緩衝液は、上記水性緩衝液の各々から水を実質的に蒸発させることにより、調製できる。代表的な無水緩衝液は、上記水性緩衝液の各々から水を完全に蒸発させることにより、調製できる。
【0096】
緩衝液の濃度は、例えば、約1mmol〜約1molで広く変えることができ、しばしば、約20mmol/リットルの水が適当である。通常のCE用途に代表的な緩衝溶液には、以下が挙げられる:一本鎖ポリヌクレオチド分離のためには、0.1M TRIS、0.25Mホウ酸、約7.6のpHを有する7M尿素;または二本鎖ポリヌクレオチド分離のためには、0.089M TRIS、0.089Mホウ酸、0.005Mエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)。
【0097】
他の実施形態では、これらの緩衝液には、「GA」緩衝液、「TTE」緩衝液またはそれらの混合物が挙げられる。GA緩衝液は、3−((2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル))−アミノ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩(「TAPS」)およびEDTAを含有し、その緩衝液のpHが約8.0になるように、100mMのTAPSあたり、約1〜約4mMのEDTAが存在している。TTE緩衝液は、TRIS、TAPSおよびEDTAを含有し、その緩衝液のpHが約8.4になるように、50mMのTRIS+50mMのTAPSあたり、約1mMのEDTAが存在している。
【0098】
本発明の組成物中で存在している水性緩衝液の有効濃度は、約10mM〜約300mMである。1実施形態では、水性緩衝液の有効濃度は、約25mM〜約200mMである。他の実施形態では、本発明の組成物中で存在している水性緩衝液の濃度は、約50mM〜約100mMである。
【0099】
(5.5.2 シーブ重合体)
必要に応じて、本発明の組成物は、シーブ重合体を含有する。他の実施形態では、本発明の組成物は、シーブ重合体を含有する。CEでは、異なる大きさの生体分子(例えば、ポリヌクレオチド)の第一分離機構は、それらの電荷−摩擦抵抗比に基づいていると仮定される。それゆえ、シーブ重合体は、もし、それが存在しない状態で、CEにおいて、2種またはそれ以上の生体分子が共に移動する(すなわち、ほぼ同じ移動度で移動する)なら、存在していることが望ましい。本願の目的のために、「シーブ重合体」とは、試料混合物の少なくとも2成分をCEにおいて異なる移動度で移動させるのに有効な量で存在している重合体を意味する。
【0100】
ゲル化または架橋重合体は、有用なシーブ重合体であり得る。他の実施形態では、例えば、以下で開示されているように、非共有結合的に架橋したシーブ重合体が使用され、これは、ヒドロキシアルキルセルロース、アガロース、酢酸セルロース、事実上直鎖のPAAmなどを含有する:Bode,Anal.Biochem.,83:204−210(1977);Bode,Anal.Biochem.,83:364−371(1977);Bode,Anal.Biochem.,92:99−110(1979);Hjertenら、J.LiquidGlaromatogaplay,12:2471−2477(1989);Grossmanの米国特許第5,126,021号;およびTietzら、Electrophoresis,13:614−616(1992)。
【0101】
1実施形態では、このシーブ重合体は、本発明の組成物中で存在しているとき、1種またはそれ以上の実質的に架橋されていない重合体である。他の実施形態では、このシーブ重合体は、1種またはそれ以上の実質的に直鎖の重合体である。
【0102】
他の実施形態では、このシーブ重合体は、大気圧、約0.01〜約1重量%および約20℃〜約70℃(例えば、25℃)で、水溶性である。
【0103】
1実施形態では、本発明の組成物中でシーブ重合体が存在しているとき、このシーブ重合体は、約100,000Da〜約5MDaの重量平均分子量を有する。他の実施形態では、このシーブ重合体は、約500,000Da〜約2MDaの重量平均分子量を有する。他の実施形態では、このシーブ重合体は、存在しているとき、約800,000Da〜約2MDaのMwを有する。
【0104】
1実施形態では、このシーブ重合体は、以下である単量体単位を含有する:アクリルアミド、N−アセチル−アクリルアミド、N−2−シアノエチル−アクリルアミド、N,N−1、2−ジヒドロキシエチレン−ビス−アクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−アクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−アクリルアミド、N−メトキシメチル−アクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−アクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−アクリルアミド、N−モルホリノエチル−アクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−アクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アセチル−メタクリルアミド、N−2−シアノエチル−メタクリルアミド、N,N−1,2−ジヒドロキシエチレン−ビス−メタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチル−メタクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N,N−ジメチル−メタクリルアミド、N−2−グリコール酸メチルエステルメタクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル−.メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−メタクリルアミド、N−メトキシメチル−メタクリルアミド、N−3−メトキシプロピル−メタクリルアミド、N−メチル−メタクリルアミド、N−メチル−、N−2,2−ジメトキシエチル−メタクリルアミド、N−モルホリノエチル−メタクリルアミド、N−2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド、N−トリ(ヒドロキシメチル)−メチル−メタクリルアミド、またはそれらの混合物。
【0105】
それに加えて、このシーブ重合体は、以下を含有できるか、または以下である:ポリ(ヒドロキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシエチレン−co−オキシプロピレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)、ポリ((2−エチル−2−オキサゾリン)−co−(2−メチル−2−オキサゾリン))、ポリ(N−アセトアミドアクリルアミド)、ポリ(アクリルオキシ尿素)、水溶性多糖類(例えば、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロース)、またはそれらの混合物。
【0106】
1実施形態では、このシーブ重合体は、アクリルアミド単量体単位を含有する。他の実施形態では、このシーブ重合体単量体単位の少なくとも約80mol%は、アクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体単量体単位の少なくとも約90mol%は、アクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体単量体単位の少なくとも約95mol%は、アクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体は、実質的に直鎖のポリ(アクリルアミド)であり、すなわち、ここで、些細な量の分枝しか存在していない。
【0107】
1実施形態では、このシーブ重合体は、N,N−ジメチルアクリルアミド単量体単位を含有する。他の実施形態では、このシーブ重合体の少なくとも約80mol%は、N,N−ジメチルアクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体の少なくとも約90mol%は、N,N−ジメチルアクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体の少なくとも約95mol%は、N,N−ジメチルアクリルアミドである。他の実施形態では、このシーブ重合体は、少なくとも約3Mダルトンの重量平均分子量を有するポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)である。
【0108】
存在するとき、本発明の組成物中のシーブ重合体の重量割合は、その組成物中に存在している全成分の全重量を基準にして、約0.001〜約0.1である。他の実施形態では、本発明の組成物中のシーブ重合体の重量割合は、約0.005〜約0.05である。他の実施形態では、本発明の組成物中のシーブ重合体の重量割合は、約0.01〜約0.03(0.01重量割合=1重量%)である。
【0109】
(5.5.3 変性剤)
例えば、ポリヌクレオチド中で二重鎖または二次構造を形成するのを防止するのが望ましいとき、本発明の組成物には、任意の追加成分(例えば、変性剤)が含有できる。1実施形態では、変性剤には、ホルムアミド、尿素、洗浄剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、および市販のラクタム(例えば、ピロリドンおよびN−メチルピロリドン)だけでなく、それらの混合物が挙げられる。電気泳動で変性剤を使用することは、従来知られており、例えば、一般に認められた分子生物学の参考文献(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning.A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989))で記述されている。他の実施形態では、この変性剤は、存在しているとき、ホルムアミド、尿素、ピロリドン、N−メチルピロリドンまたはそれらの混合物である。他の実施形態では、この変性剤は、存在しているとき、尿素である。他の実施形態では、この変性剤は、存在しているとき、ホルムアミドである。
【0110】
存在しているとき、本発明の組成物中の変性剤の濃度は、約0.5M〜約8Mである。他の実施形態では、変性剤の濃度は、約2M〜約8Mである。他の実施形態では、本発明の組成物中の変性剤の濃度は、約6M〜約8Mである。
【0111】
本発明の第六実施形態は、UHMw PDMAおよび緩衝液を含有する組成物に関する。この組成物は、電気泳動分離媒体として、有用である。1実施形態では、この組成物は、さらに、シーブ重合体またはそれらの塩を含有する。他の実施形態では、この組成物は、さらに、変性剤を含有する。
【0112】
本発明の組成物中でUHMw PDMAの重量割合は、その組成物中に存在している全成分の全重量を基準にして、約0.0001〜約0.02である。他の実施形態では、存在しているUHMw PDMAの重量割合は、約0.001〜約0.015である。他の実施形態では、存在しているUHMw PDMAの重量割合は、約0.001〜約0.005である。緩衝液、シーブ重合体(存在しているとき)および変性剤(存在しているとき)の量は、上で示したとおりである。
【0113】
(5.6 組成物を製造する方法)
本発明の第七実施形態は、上で詳細に記述したポリ(M−g−M)から組成物を製造する方法に関し、該方法は、該ポリ(M−g−M)またはそれらの塩を水性緩衝液と接触させる工程、必要に応じて、また、シーブ重合体またはそれらの塩および/または変性剤と接触させる工程を包含する。この組成物は、電気泳動分離媒体として、有用である。例えば、この組成物は、25℃で、重合体成分(これは、ポリ(M−g−M)またはそれらの塩を含有し、存在するとき、このシーブ重合体またはそれらの塩を含有する)を水に溶解する工程に続いて、濃縮形状の緩衝液を加える工程を包含する。あるいは、このポリ(M−g−M)またはそれらの塩は、この水性緩衝液またはその溶液に加えた任意のシーブ重合体に直接溶解できる。この変性剤は、このシーブ重合体を加える前または後のいずれかで、存在し得る。それゆえ、このポリ(M−g−M)およびシーブ重合体(存在しているとき)は、どの組合せを使用するかに依存して、水、水性緩衝液、水+変性剤、または水性緩衝液+変性剤に加えることができる。さらに、このシーブ重合体が存在しているとき、それは、例えば、このポリ(M−g−M)を導入する前に、この緩衝液に溶解できる。ポリ(M−g−M)を含有するこのような組成物を製造するためにこれらの成分を加える任意の適当な順序は、本発明のこの実施形態の範囲内である。
【0114】
本発明の第八実施形態は、上で詳細に記述したUHMw PDMAから組成物を製造する方法に関し、該方法は、該UHMw PDMAを水性緩衝液と接触させる工程、必要に応じて、また、シーブ重合体またはそれらの塩および/または変性剤と接触させる工程を包含する。この組成物は、電気泳動分離媒体として、有用である。ポリ(M−g−M)を含有する組成物を製造する方法に関して先に述べたように、UHMw PDMAから本発明の組成物を製造ときの接触を起こす順序は、重要ではない。それゆえ、UHMw PDMAを含有するこのような組成物を製造するためにこれらの成分を加える任意の適当な順序は、本発明のこの実施形態の範囲内である。
【0115】
(5.7 分離方法)
本発明の第九実施形態では、本発明の組成物は、サンプルまたは分析物(例えば、生体分子または生体分子の混合物)を検出または分離するための方法において有用である。本明細書中に記載される場合、「分析物」は、例えば、サンプル中の存在および/または含まれる量について、特定のサンプルが試験される物質を含む。
【0116】
例えば、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための適切な方法は、以下を包含する:
(a)ポリ(M−g−M)またはその塩および緩衝液を含む組成物を、生体分子を含む混合物と接触させる工程;ならびに
(b)混合物からの生体分子の分離を促進するのに十分な量で、電場を組成物に適用する工程。
【0117】
本発明の組成物を使用して、生体分子の混合物を分離するための別の適切な方法は、以下を包含する:
(a)UHMw PDMAおよび緩衝液を含む組成物を、生体分子を含む混合物と接触させる工程;ならびに
(b)混合物からの生体分子の分離を促進するのに十分な量で、電場を組成物に適用する工程。
【0118】
別の実施形態において、この組成物は、さらに、シーブ重合体またはその塩を含む。別の実施形態において、この組成物はさらに、変性剤を含む。
【0119】
別の実施形態において、この組成物は、生体分子との接触の前に、例えば、キャピラリーチューブまたはカラムのような支持体中に入れられる。
【0120】
生体分子は、ポリヌクレオチドであり得る。1つの実施形態において、生体分子としては、タンパク質、糖タンパク質、天然および合成のペプチド、アルカロイド、多糖、ポリヌクレオチドなどが挙げられる。別の実施形態において、生体分子は、ポリヌクレオチドを指す。
【0121】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、二本鎖および一本鎖のデオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、そのα−アノマー形態などを含む、天然または改変されたヌクレオチド単量体の直鎖状重合体を指す。
【0122】
通常、ヌクレオシド単量体は、ホスホジエステル結合またはそのアナログで結合されて、少数の単量体単位(例えば、約8〜約40)から、数千の単量体単位までの大きさの範囲のポリヌクレオチドを形成する。ポリヌクレオチドが、「GTTACTG」のような文字列で表される場合、ヌクレオチドが、左から右に向かって5’→3’の順序であり、他に記されない限り、「A」が、デオキシアデノシン、「C」がデオキシシチジン、「G」がデオキシグアノシン、そして「T」がデオキシチミジンを示すことが理解される。ホスホジエステル結合のアナログとしては、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ホスホラミデートなどが挙げられる。
【0123】
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオシド」は、2’−デオキシおよび2’ヒドロキシ形態を含む天然のヌクレオシド(例えばKombergおよびBaker,DNA Replication,第2版(Freeman,San Francisco,1992)に記載されるもの)を含む。ヌクレオシドを参照しての「アナログ」とは、改変された塩基部分および/または改変された糖部分を有する合成ヌクレオシド(例えば、一般に、Scheit,Nucleotide Analogs(John Wiley,New York,1980)に記載される)を含む。
【0124】
サンプルまたは分析物の分離の程度を考慮して、「分解能」すなわち「Rs」が以下のように定義されることが、CEにおいて慣習的である:
Rs=0.59(X−X)/FWHM (1)
ここで、XおよびXは、2つの隣接するCEピークの中央であり、FWHMは、両方のピークが実質的に同じ幅を有すると仮定した場合の半分の高さのピーク幅である(例えば、Albarghouthi,Electrophoresis,21:4096−4111(2000)を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、「クロスオーバー」は、その(X−X)値がそのFWHM値と等しい塩基対である。言い換えると、650塩基対(「bp」)のクロスオーバーは、650番目の塩基対の分解能が0.59であることを意味する。
【0125】
1つの実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約400bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約600bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約700bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約800bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約900bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約1000bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約1100bpのクロスオーバーを有する。別の実施形態において、本発明の組成物を使用して生体分子の混合物を分離するための方法は、少なくとも約1200bpのクロスオーバーを有する。
【0126】
特定の比較分離媒体が、保存の際に不都合にも相分離を起こし、2相に分かれることが知られている。振盪、転倒混和または激しい機械撹拌のいずれかによってこのような相分離した比較分離媒体を再混合しても、例えば、保存前のCEの性能と比較した場合に、有意に減少したクロスオーバー値を生じ得る。しかし、電気泳動分離媒体の保存安定性は、有効量の本発明のポリ(M−g−M)に分離媒体を接触させることによって改善され得ることが見出されている。ポリ()が添加される前の組成物中の全成分の合計重量に基づいて、相分離組成物に添加されるポリ()の重量分画は、約0.0001〜約0.02である(例えば、GC1(実施例6.2に記載される)の0.18重量%が添加により相分離した比較分離媒体のCE性能を回復した)。
【0127】
不都合にも特定の保存条件下で相分離を起こしたことが既知の比較分離媒体とは対照的に、本発明の組成物は、比較的安定であり、例えば、長期保存後のDNA配列決定性能における有意な変化は示さない。例えば、組成物IC3(実施例6.3に記載される)は、CEを使用するDNA配列決定性能のためのその調製および評価の時点で、相分離を起こさない水−透明な溶液であった。
【0128】
3ヶ月のエイジングの後、IC3組成物は、水−透明な溶液のままであり、相分離は観察されなかった。エイジング後のIC3のCE性能は、その調製直後に評価された同じ組成物と有意に異ならなかった。
【0129】
さらに、IC3のエイジング後のCE性能の結果は、多数の実行にわたって、非常に再現性があった。さらに、6ヶ月のエイジング後、組成物IC2(実施例6.3に記載される)は、水−透明な溶液のままであり、相分離は観察されなかった。IC2のエイジング後のCE性能は、改善し、すなわち、その調製直後に評価された同じ組成物の既に良好なCE性能と比較した場合、短い実行時間において高度なクロスオーバーを生じた。
【0130】
(5.8 電気泳動A)
適切な電気泳動装置は、本発明の組成物のための支持体(例えば、キャピラリー)を備える。1つの実施形態において、支持体は、電源の極性端部の反対側の端部に接続可能な細長チャネルを規定し、本発明の組成物を含有するのに適している(例えば、分離媒体)。
【0131】
本明細書中で使用される場合、用語「キャピラリー」は、電気泳動を実施するために、一定容量の本発明の組成物を支持し得るチューブまたはチャネルまたは他の構造体をいう。支持体またはキャピラリーの幾何学は、広範に変化し得、これらとしては、円形、長方形、または正方形の断面を有するチューブ、チャネル、溝、プレートなどが挙げられ、これらの各々は、広範囲の技術によって製造され得る。例えば、支持体は、一束のキャピラリーチャネルのCEアレイを含み得る。
【0132】
あるいは、支持体は、例えば、Liuら、AnaLChem.,71:566−573(1999)に記載されるようなガラスウェハに化学的にエッチングされたチャネルのような微小製造型であり得る。CEマイクロチップ装置を説明する例示的な参考文献としては、前出の引用、および、複数の支持チャネル(各々が、50μm幅および8μmの深さ)を備えるCEマイクロチップを開示する、Woolleyら、Anal.Chem.,67:3676−3680(1995)が挙げられる。
【0133】
本発明の組成物と共に使用するために適した支持体の重要な特徴は、本発明の組成物の容量と接触する、支持体内部表面の表面面積 対 体積比である。この比の値が高いと、電気泳動の間に組成物からの良好な熱伝導が可能になる。1つの実施形態において、約20,000〜約200,000の範囲の値が採用される。これらは、約200μm〜約10μmの内径を有する円形断面を有する管状キャピラリーの表面面積 対 体積比に対応する。
【0134】
別の実施形態において、支持体は、約10〜約200cmの長さを有する管状キャピラリーである。別の実施形態において、支持体は、約100cm未満の長さを有する管状キャピラリーである。別の実施形態において、支持体は、約10〜約200μmの内径を有する管状キャピラリーである。別の実施形態において、支持体は、約25〜約75μmの内径を有する管状キャピラリーである。
【0135】
本発明を用いる用途に適したキャピラリーは、ケイ素、融合ケイ素、ケイ酸ベースのガラス(例えば、ケイ酸ホウ素ガラス、アルミナ含有が足す、リン酸ガラス、石英など)、
または他のシリカ様物質から作製され得る。1つの実施形態において、キャピラリーは、融合ケイ素を含む。キャピラリーは、その外側表面がコーティングされていなくてもよい。別の実施形態において、キャピラリーは、外側表面がポリイミド層でコーティングされ、例えば、適切な機械的強度を提供し、そして/または扱いの容易さを促進する。キャピラリーは、その内側表面を、1つまたは複数の層(代表的には、Kargerらに対する米国特許第4,997,537号、第5欄、第9行〜第6欄、第14行に記載されるような、ケイ素由来のコーティングおよび/またはPAAm)でコーティングされ得る。別の実施形態において、キャピラリーは、内側表面がコーティングされていない。
【0136】
キャピラリー電気泳動を実施するための装置は、周知である。いくつかのCE機器が、市販されており、例えば、Applied Biosystems Inc.(ABI,Foster City,Calif.)製のモデル310キャピラリー電気泳動遺伝子分析装置が挙げられる。CE装置およびその操作を記載する例示的な参考文献としては、以下が挙げられる:Colburnら、Applied Biosystems Research News,第1号(1990年冬版);Grossmanら編、Capillary Electrophoresis(Academic Press,San Diego,1992);Harrisonら、Science,261:895−897(1993);Paceに対する米国特許第4,908,112号;Kambaraらに対する米国特許第5,192,412号;およびSeilerら、Anal.Chem.,65:1481−1488(1993)。
【0137】
支持体が、組成物を含むように、本発明の組成物を支持体に接触させる工程は、従来の方法を用いて(例えば、シリンジの一端を接続し、制御された圧力下で支持体に組成物を注入することによって)、実施され得る。支持体がキャピラリーである場合、注入圧は、適切には約50〜約800psiである。別の実施形態において、キャピラリー支持体についての注入圧は、約200〜約400psiである。あるいは、支持体が組成物を含むように、本発明の組成物を支持体と接触させる工程は、キャピラリー支持体を接続して、チューブを充填し、組成物の粘性に依存して、約100〜約500psiの窒素またはヘリウムの気体圧を、約5〜約60分間適用することによって、実施され得る。Kargerらに対する米国特許第4,997,537号は、PAAmで充填したTEFLON(登録商標)チューブおよびシリンジを開示する。
【0138】
内部に組成物が含まれるように、支持体に組成物を導入するための別の方法は、本発明の組成物を含有するレザバに支持体の2つの末端のうちの1つを浸漬し、組成物に対する空気圧が、大気圧を超えるまで増加して、それによって、正の圧力を介して支持体へと組成物を集中させることによるものである。あるいはその浸漬された端部と反対側の支持体の端部における空気圧は、大気圧以下まで減少され得、それによって、吸引により支持体内に組成物を引き込む。
【0139】
使用される方法によらず、含まれる組成物は、支持体を実質的に均一かつ均質的に充填するはずであり、すなわち、組成物は、支持体全体にわたって実質的に均一であり、実質的に途切れたり空隙を有したりすることがないことが、当該分野で公知である。例えば、Menchenらに対する米国特許第5,468,365号、第16欄、33〜45行を参照のこと。本発明の組成物のブルックフィールド粘度は、適切には、約100〜約1000cPsである。別の実施形態において、本発明の組成物のブルックフィールド粘度は、約200〜約500cPsである。本発明の組成物は、適切には、「Standard
Test Methods for Rheological Properties
of Non−Newtonian Materials by Rotational(Brookfield type)Viscometer」との表題のASTM D
2196−99試験の方法Aにより特徴付けられる。この試験およびその中に記載される「方法A」により、見かけ上の粘度またはブルックフィールド粘度が、25℃の温度にて、液体組成物内を一定速度で回転するスピンドル上のトルクを実験的に測定することによって決定される。スピンドル番号00は、ブルックフィールドモデルRV粘度計または全てのこれらの実験のための等価物において、10rpmの回転速度で使用される。
【0140】
本発明の第十の実施形態は、本発明の組成物を含有する支持体に関する。別の実施形態において、支持体は、キャピラリーである。別の実施形態において、支持体はチューブである。
【0141】
別の実施形態において、複数のCEの実行が、所定の組成物/分析物の組み合わせについて行われる場合、組成物は実質的(すなわち、99%)、各CE実行の完了時にキャピラリーから取り除かれ、組成物の新たなアリコートが、次のCE実行の開始前に導入される。別の実施形態において、全ての除去および充填操作は、例えば、信頼性のある、再現可能なCE結果を促進するために、自動制御下で実施される。
【0142】
陰極レザバは、組成物を含み得、この中に、カソードおよびキャピラリーの陰極端部が、サンプルが導入される短時間を除いて、電気泳動の間に浸漬される。組成物にかかる空気圧は、例えば、正の圧力によるキャピラリーへの組成物の充填のために、精巧に制御され得る。陽極レザバは、組成物を含み得、この中に、アノードおよびキャピラリーの陽極端部が、電気泳動の間に浸漬される。この組成物の部分にかかる空気圧はまた、所望される場合、例えば、減圧下でキャピラリーへとキャピラリーを引くために、精巧に制御され得る。別の実施形態において、陰極レザバ内の組成物は、陽極レザバ内の組成物と実質的に同一である。CE装置全体は、分離実行の間中ずっと、予め選択された一定温度に維持される。
【0143】
高電圧源は、約2〜約60kVの範囲の一定の実行能力が、CEの間中ずっと、電極を介して生成されるように、カソードとアノードとの間に接続される。別の実施形態において、電位は、約5〜約20kVの範囲である。あるいは、またはさらに、選択された周波数のパルス電圧が、必要に応じて電極間に適用され得る。CE実行の間にキャピラリーを通る電流は、適切にはマイクロアンペア範囲であり、デイ標的には、約2〜約100μAである。別の実施形態において、CE実行の間にキャピラリーを通る電流は、約5〜約30μAである。
【0144】
CEを使用して分析される適切なサンプルまたは分析物は、生体分子またはこのような生体分子の混合物を含む。CE実行を始めるために、サンプルが、任意の公知の手段(例
えば、シリンジ積層注入または差次的圧力によって)組成物に導入され得る。別の実施形態において、サンプルは、電気動力学的注入(例えば、カソードおよびキャピラリーの陰極端部をサンプル溶液に入れ、次いで、短時間にわたって、キャピラリーに注入電圧および電流を適用することによって)によって、導入される。サンプルは、適切には、約0.
5〜約18kVの電位下で、約3〜約150秒間にわたって、電気動力学的に注入される。カソードおよびキャピラリーの陰極端部をカソードレザバ内に戻し、実行電位および実行電流を適用した後に、分離が開始する。
【0145】
キャピラリーおよびその陽極端部に近接して配置されるオンライン検出器は、キャピラリーの検出ゾーンを通って移動するサンプルの分離バンドをモニタリングする。
【0146】
代表的に、光学的検出ゾーンは、キャピラリーの領域を含み、ここで、外側のコーティングが取り除かれて、UV光および/または可視光(例えば、蛍光)が、分離された分析物の検出を可能にする。しかし、広範な種々の検出スキームが、本発明の用途に対して受け入れられ、これらとしては、UV吸収、蛍光放射、レーザー誘導蛍光、電動力、放射性排出物などが挙げられる。例えば、蛍光分析物のための検出系は、Zareらに対する米国特許第4,675,300号およびFolestadらに対する米国特許第4,548,498号に記載される。あるいは、荷電連結デバイス検出器と組み合せて使用される、488nmと514nmの波長の光を放射する蛍光励起光源としてアルゴンイオンレーザーを利用する、DNA分析において慣用的な4色検出系が、Madabhushiらに対する米国特許第号に記載されている。
【0147】
異なる分析物および/または組成物を用いるその使用の前に、キャピラリーが、例えば、20カラム容積の水、20カラム容積のテトラヒドロフラン(THF)、20カラム容積の1M NaOH、および20カラム容積の水でフラッシュされ得、その後、新しいバッチの組成物を含めるために使用される。例えば、信頼性があり、かつ、再現性のあるCE結果を提供するために、一つの実施形態において、使用済みのキャピラリーは、新しい組成物を含む未使用のキャピラリーと交換され、サンプルが、上記のように、電気動力学的注入により導入される。
【0148】
(6.実施例)
上で述べように、これらのグラフト共重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体;該グラフト共重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体を製造する方法;および該グラフト共重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体をCEで使用する方法は、生体分子の分析および分離において、優れたCE性能を生じる。上で述べたように、これらのUHMw PDMA重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体;該UHMw PDMA重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体を製造する方法;および該UHMw PDMA重合体およびそれらを含有する組成物および分離媒体をCEで使用する方法は、生体分子の分析および分離において、優れたCE性能を生じる。以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をさらに説明する。これらの実施例は、例示の目的でのみ提供されており、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものではない。
【0149】
(6.1.1 UHMwポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の調製)
超高分子量ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(「PDMA」)を調製するために、以下の逆乳化重合法を使用した。
【0150】
蒸留水18.0g中でN,N−ジメチルアクリルアミド(これは、Monomer−Polymer & Dajac Laboratories,Inc.,Feasterville,PAから得、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール75ppmを含有する)12.022g(121.28mmol)、EDTA(99.999%であって、これは、Aldrich Chemicalから得た)4.9mg(0.0132mmol)および過硫酸アンモニウム(99.99%であって、これは、Aldrich Chemicalから得た)6.1mg(0.021mmol)を含有する溶液を、鉱油(これは、Nujol mull用に保証され、そしてAldrich Chemicalから得た)およびSPAN−80(4.0g)を含有する500mLポリプロピレンビーカーに注いだ。この混合物を、2,000rpmで5分間攪拌することにより、2インチの棒形磁気攪拌棒を使用して、乳化した。
【0151】
得られた乳色の乳濁液を、500mL三ッ口丸底フラスコ(これは、2インチのTEFLON攪拌刃を有する機械攪拌機、水冷式冷却器、ゴム隔壁、泡立て用のブリーディングチューブおよび通気用の12ゲージ注射針を備えている)に移した。この乳濁液の脱酸素化は、200rpmで絶えず攪拌しつつ、130mL/分で1時間にわたってアルゴンを泡立たせることにより、達成した。このゴム隔壁を通って、注射器を使って、5μLのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(「TEMED」、Armescoから得た超純粋等級)を加えた。200rpmで絶えず攪拌しつつ、次いで、この反応フラスコを油浴(これは、22時間にわたって、40±1℃で維持した)に浸した。この反応時間の最後に、この油浴を取り除いた。200rpmで絶えず攪拌しつつ、この反応混合物に、5分間にわたって、空気を泡立たせて、この反応をクエンチした。
【0152】
その生成物混合物を4個の50mLポリエチレン遠心チューブに分割し、各々を、18,000rpmおよび15℃で、30分間遠心分離した。その上澄み層をデカントし、得られたペレットをn−ヘキサンでリンスして、この鉱油を除去した。得られた重合体を35℃で一晩真空乾燥して、18.0gの重合体を得た。
【0153】
残留している鉱油を除去するために、この生成物の5.6g試料をアセトン150mLに加え、そして攪拌して、半透明溶液を得た。このアセトン溶液を、激しく攪拌しつつ、ファインストリーム中にて、n−ヘキサン1Lに注いだ。沈殿した重合体をn−ヘキサンでリンスし、そして40℃で、16時間真空乾燥して、4.6gのPDMA(これは、UPDMA−1と称する)を得た。UPDMA−1のMwは、バッチ様式のMALLS試験で測定したとき、8.0MDaであった。
【0154】
(6.1.2 UHMwポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の調製)
以下の改良を行ったこと以外は、実施例6.1.1でUHMw PDMAを調製した逆乳化重合方法を実行した。DMA(12.022g)に、攪拌しつつ、EDTA(4.2mg)、過硫酸アンモニウム6.3mgおよび蒸留水18.0gの冷却溶液を加えた。この溶液を、250mLビーカー(これは、鉱油80.143gおよびTETRONIC 1301(1.05g)を含有する)に注いだ。その混合物を、10分間にわたって、2インチの棒形磁気攪拌棒を使用して、乳化した。
【0155】
得られた乳色の乳濁液を、250mL三ッ口丸底フラスコ(これは、実施例6.1.1のような装置を備えている)に移した。この乳濁液の脱酸素化は、75分間にわたって水飽和アルゴンを泡立たせることにより、達成した。次いで、絶えず攪拌し130mL/分で水飽和アルゴンでパージしつつ、この反応フラスコを油浴(これは、2時間にわたって、50±1℃で維持した)に浸した。この反応時間の最後に、この油浴を取り除き、その反応混合物に空気を泡立たせて、この反応をクエンチした。
【0156】
残留している単量体および鉱油を除去するために、その上澄み層をデカントし、ヘキサン200mLを加え、得られた混合物を5分間にわたって激しく攪拌し、次いで、1,000rpmで、2分間遠心分離した。この手順を3回繰り返したのに続いて、その上澄み液を最終デカントした。得られた重合体ペレットを凍結乾燥して、11.50gの重合体を得た。
【0157】
残留している鉱油をさらに除去するために、この生成物の1.007g試料を、三角フラスコ250mL中にて、アセトン20mLに加え、攪拌し、そして溶解して、透明水溶液を生成した。このアセトン溶液を、ファイルストリームにて、激しく攪拌したヘキサン20mLに注いで、沈殿した重合体を得、これを、過剰のヘキサンでリンスした。次いで、上記アセトン溶解手順全体を繰り返した。得られた沈殿重合体を、45℃で、16時間にわたって、真空乾燥して、0.75gのPDMA(これは、繊維状の外観を有する)を生成した。
【0158】
最終精製のために、真空乾燥した上記重合体を125mLポリプロピレンビーカー(これは、Dionics Corp.水精製システム(約10MΩcmの導電率)から得た比較的に純粋な水62gを含有する)に入れ、攪拌し、そして溶解して、透明な水溶液を得た。この溶液を5μACRODISC注射器フィルターで濾過した。その濾液を上記のように凍結乾燥して、白色重合体生成物(これは、繊維状の外観を有し、UPDMA−2と称する)を生成した。UPDMA−2のMwは、GPC試験により、6.1MDaであることが判明した。
【0159】
(6.1.3 UHMwポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の調製)
以下の改良を行ったこと以外は、実施例6.1.2でUHMw PDMAを調製した逆乳化重合方法を実行した。DMA(12.02g)に、攪拌しつつ、EDTA(3.7mg)および蒸留水18.0gの冷却溶液を加えた。この溶液を、250mLビーカー(これは、鉱油80.02gおよびSPAN−80(4.01g)を含有する)に注いだ。その混合物を乳化し、250mL三ッ口丸底フラスコ(これは、実施例6.1.1のような装置を備えている)に移し、そして60分間にわたって水飽和アルゴンを泡立たせることにより、脱酸素化した。
【0160】
得られた脱酸素化乳濁液に、過硫酸アンモニウム6.2mgおよびTEMED(4μL)を加えた。次いで、200rpmで絶えず攪拌しつつ、次いで、この反応フラスコを油浴(これは、22時間にわたって、42±1℃で維持した)に浸した。
【0161】
実施例6.1.1で記述したように、得られた生成物混合物を4個の遠心チューブに分割し、各々を、18,000rpmおよび10℃で、30分間遠心分離した。その上澄み層をデカントし、得られたペレットをヘキサンで簡単にリンスして、この鉱油を除去した。次いで、各遠心チューブ内のペレットをヘキサン40mLに再分散し、各分散液を、再度、18,000rpmおよび10℃で、30分間遠心分離した。その上澄み液をデカントし、得られた重合体ペレットを、35℃で、8時間にわたって、真空乾燥した。
【0162】
残留している鉱油を除去するために、この生成物の3.5g試料をアセトン75mLに加え、そして攪拌して、透明水溶液を得た。このアセトン溶液を、激しく攪拌したヘキサン500mLに注いだ。得られた沈殿重合体をヘキサンでリンスし、そして真空乾燥して、PDMA(これは、繊維状の外観を有し、UPDMA−3と称する)を得た。UPDMA−3のMwは、GPC試験(American Polymer Standard Corporation,Mentor,Ohio)により、6.2MDaであることが判明した。
【0163】
(6.2 ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリルアミドからのポリ(DMA−g−AAm)の調製)
以下の代表的な手順により、ポリ(ジメチルアクリルアミド−g−アクリルアミド)(「ポリ(DMA−g−AAm)」)を調製した。500mL三ッ口丸底フラスコ(これは、機械攪拌機、ガラスブリーディングチューブおよび注射器排気口(これは、シリコーン油洗気ビンに連結されている)を備えている)に、MILLI−Q Water System(Millipore Corp.,Bedford,MA)から得た比較的に純粋な水250.0g、AAm単量体の28.57重量%水溶液7.0gおよび透析し凍結乾燥したPDMA(約2g)を充填した。このPDMAを、水を2回変えて(各5ガロン)、4日間にわたって、50K MWCO Spectra/Por−7再生セルロース膜で透析し、その使用前に、凍結乾燥した。このPDMAの重量平均分子量および数平均分子量は、GPC−MALLSで測定したとき、以下であった:Mw=984,000DaおよびMn=315,000Da。上記混合物中に存在しているAAmの量は、約2.0gであると計算された。溶解を促進するために、この混合物を戸外で攪拌した。
【0164】
この透明な水溶液に、1.98重量%過硫酸アンモニウム(8.5mg)の0.43mL水溶液を加えた。その混合物を、150mL/分の流速で、60分間にわたって、超純粋ヘリウムでパージした。このパージの最後に、2−プロパノール0.10mLを加えた。表1は、使用した物質を要約している。次いで、その反応混合物を油浴(これは、50±1℃で維持した)に下げた。絶えず攪拌しつつ、100mL/分の流速で泡立たせている超純粋ヘリウム下にて、その温度で、16時間にわたって、重合を行った。
【0165】
(表1.ポリ(DMA−g−AAm)の調製で使用した処方)
【0166】
【表1】

重量供給比=(単量体の重量、g)/(骨格重合体の重量、g)
16時間後、この反応を停止し、その反応混合物を上記のように透析した。凍結乾燥後、第一グラフト共重合体(「GC1」)3.7gを得た(収率92%)が、これは、GPC−MALLSにより測定したとき、以下の分子量を有していた:Mw=1,477,000Da、Mn=471,000Da。
【0167】
この精製したGC1(1.93g)の一部をソックスレー抽出器に移し、そして沸騰しているアセトンで、3日間にわたって、連続抽出して、PDMAの単独重合体(これは、アセトンに溶解性であることが知られている)を除去した。この抽出の最後に、膨潤した重合体を、40℃で、5時間にわたって、真空乾燥して、1.42gの抽出GC1生成物を得、これは、その極端な抽出条件のために、おそらく、PDMA単独重合体を含んでいなかった。GPC−MALLSの測定により、抽出したGC1グラフト共重合体は、以下の特性を有することが明らかとなった:Mw=1,422,500DaおよびMn=499,500Da。
【0168】
表1で示すように、2−プロパノールおよび過硫酸アンモニウムの量およびAAmとPDMAとの供給比を変えたこと以外は上記手順を使用して、同じ出発物質から、異なるAAm/PDMA比を有するさらに高い分子量のグラフト共重合体2(「GC2」)を調製した。
【0169】
本実施例は、特定の成分および方法を記述しているものの、例えば、2−イソプロパノール以外の連鎖移動剤を使用することにより、上記手順を変えることによって、良好な結果が得られることが理解できるはずである。さらに、連鎖移動剤の組合せが使用できる。同様に、過硫酸アンモニウム以外の開始剤が使用でき、または開始剤の組合せが使用できる。
【0170】
(6.3 ポリ(DMA−g−AAm)を使用するDNAのキャピラリー電気泳動))
本発明のグラフト共重合体を含む組成物を、DNA配列決定におけるそのキャピラリー電気泳動分離媒体としての適性について評価した。以下の実施例において、各組成物および/または分離媒体を、47cmの長さ、50μmの内径の未コーティングの融合したシリカキャピラリーを備える、ABI310キャピラリー電気泳動遺伝子分析装置を使用して、CEにおいて評価した。
【0171】
各比較分離媒体において、GA緩衝液またはTTE緩衝液のいずれかを使用した。尿素変性剤もまた存在した。各分離媒体は、25℃で緩衝液+変性剤中に重合成分を溶解することによって調製した。
【0172】
CSM2および3は、各々、凍結乾燥した、実質的に直鎖のPAAmを用いて調製し、これらは、GPC−MALLSにより決定すると、以下のおよその分子量:Mw=984,000Daを有した。CSM1および3は各々、凍結乾燥したPDMAを用いて調製し、GPC−MALLSにより決定すると、以下のおよその分子量:Mw=1.5MDaを有した。
【0173】
これらの比較分離媒体についてのCE配列決定の実行を、35bp、50bp、75bp、100bp、139bp、150bp、160bp、200bp、250bp、300bp、340bp、350bp、400bp、450bp、490bp、500bp、550bp、600bp、650bpおよび700bpの長さを有する、TET色素で標識したフラグメントのラダーの存在下、いくつかの温度(通常、50℃、60℃および70℃)にて、1.5kVの注入電圧、10秒の注入時間、そして、9.5kVの実行電圧にて実施した。クロスオーバーおよび実行時間は、各温度にて決定した。
【0174】
これらの比較分離媒体の各々についての組成およびCE配列決定性能を表2にまとめる。
【0175】
(表2.比較分離媒体のCEクロスオーバーおよび実行時間、平均4回の実行)
【0176】
【表2】

PAAmを含まないCMS1は、532bpの低い50℃クロスオーバー値および、過剰な実行時間(92.5分)を有した。CMS1において、PDMAも任意の他の動的コーティングも存在しなかった。この処方は、非常に低い50℃のクロスオーバー値である232bpを示し、これは、これらの3つの比較分離媒体の最も低い解像度であったが、49.5分という比較的短い実行時間を有した。
【0177】
本発明の組成物は、例えば、上記の方法によって、しかし、本発明の、透析、凍結乾燥、抽出した、グラフト共重合体を使用することによって、ポリ(DMA−g−AAm)から調製した。透析手順は、上記の通りであった。IC1−3を、CSM2において使用したものと同じPAAmを用いて各々調製した。IC1および2を、実施例6.2に記載されるグラフト共重合体GC2を用いて各々調製し、一方で、IC3は、この実施例6.2に記載されるアセトンで抽出したグラフト共重合体GC1を用いて調製した。TET−色素で標識したフラグメントの配列決定実行を、CSM分離媒体について上記したように実施した。本発明の各組成物についての組成およびCE配列決定性能を表3にまとめる。表2および3において、特定の重量%値は、組成物(すなわち、分離媒体)の総重量に基づく。
【0178】
(表3.本発明の組成物のCEクロスオーバーおよび実行時間、平均8回の実行)
【0179】
【表3】

表3に例示されるように,IC1は、CEにおいて有効であった。IC1は、CSM1の532bpおよびCSM2の232bpと比較して、643bpという50℃における改善されたクロスオーバー値を提供した。50℃において、IC1は、CSM1およびCMS2よりも短い実行時間を有した。
【0180】
また、表3に例示されるように、IC1において2.02重量%からIC2において1.52重量%まで減少したPAAm(すなわち、シーブ重合体)の量(それぞれ、0.22重量%から0.88重量%までのグラフト共重合体の増加量に対応する)はまた、例えば、CMS1(それぞれ、637bp〜532bp)と比較して、より高い50℃のクロスオーバー値を生じた。50℃において、IC2はまた、CSM1およびCSM2よりも短いか、または、これらに匹敵する実行時間を有した。
【0181】
IC3と呼ばれる低分子量グラフト共重合体GC1を含む本発明の組成物はまた、CEにおいて有効である。IC3は、CSM1の532bpおよびCSM2の232bpと比較して、633bpという50℃において改善されたクロスオーバー値を提供し、そしてまた、短い実行時間を有した。
【0182】
(6.4.ポリ(DMA−g−AAm)の構造の確認としてのCE)
本発明のポリ(DMA−g−AAm)グラフト共重合体を、実施例6.2に記載されるよ
うにして、PDMA水溶液中で、アクリルアミドのフリーラジカル重合を使用して調製した。透析および凍結乾燥の後、また、そこに記載されるようにして、未反応のアクリルアミド(開始剤)および他の低分子量不純物を取り除き、以下の重合生成物のみが、単離体中に存在し得た:(1)ポリ(DMA−g−AAm);(2)PAAm(比較的アセトンに不溶性);および(3)未処理のPDMA(アセトンに非常に可溶性)。
【0183】
実施例6.2に記載されるように、「精製GC1」を、煮沸アセトン抽出に供し、「抽出したGC1」を生成した。GC1もGC2もアセトンに可溶性であるため、このような抽出を使用した。PDMAは、アセトンに非常に可溶性であり、かつ、実施例6.2の精製したGC1は、ソックスレー抽出器における3日間のアセトン抽出について、煮沸アセトン中で膨張したので、検出できない量のPDMAが抽出したGC1中に残った。
【0184】
CEを使用するDNA配列決定からの結果は、PPAmのみを含有する分離媒体と、PDMAおよびPAAmを含有する分離媒体とを明白に区別する。単独の重合成分としてPAAmを含有する分離媒体(すなわち、上記の表2におけるCMS2)は、高いクロスオーバー値を生じるのに十分なEOFを抑制しない。対照的に、分離媒体として使用される本発明の組成物中にPAAmと共に存在する場合、抽出したコポリマー生成物(表3のIC−3)は、例えば、CSM2と比較して高いクロスオーバー値により示されるように、比較的抑制性のEOFによって、CMS2よりも顕著によく働いた。この非常に改善されたCE性能は、PDMA反応物が、IC1〜3中に存在するグラフト共重合体GC1およびGC2に化学的に組み込まれたことを確認する。
【0185】
(6.5.UHMw PDMAを使用する、DNAのキャピラリー電気泳動)
各々本発明のUHMw PDMA重合体を含む、キャピラリー電気泳動分離媒体IC4およびIC5を、DNA配列決定に対する適性について評価した。
【0186】
IC4は、実施例6.1.2の手順により調製された、3.6重量%のUPCMA−2
UHMw PDMAから作製した。IC5は、実施例6.1.3の手順により調製された、2.6重量%のUPDMA−3UHMw PDMAから作製した。GA緩衝液を使用し、そして、39.2重量%の尿素変性剤もまた、IC4およびIC5の各々に存在した。これらの分離媒体の各々は、25℃にて、緩衝液+変性剤中にUHMw PDMAを溶解することによって調製した。
【0187】
IC4を、実施例6.3に記載されるように、CEを使用して、DNA配列決定性能について評価した。この結果は、以下の通りであった:76分の実行時間で、625bpの50℃クロスオーバー値、この各々は、平均4回の実行に由来する。従って、UPDMA−2を含有し、PAAmを含まないIC4は、低分子量のPDMAを含有し、また、PAAmを含まないCSM1で得られる532bpと比較した場合に、625bpという非常に高い50℃のクロスオーバー値を有した。さらに、50℃におけるIC4についての76分の実行時間は、有利なことには、CSM1の92.5分という実行時間と比べた場合に、かなり短かった。
【0188】
IC5はまた、実施例6.3に記載されるように、CEを使用して、DNA配列決定性能について評価した。結果は以下の通りであった:52分の実行時間で、610bpの50℃クロスオーバー、この各々は、平均4回の実行に由来する。UPDMA−3を含有するIC5は、低分子量のPDMAを含有し、また、PAAmを含まないCSM1で得られる532bpと比較した場合に、610bpという非常に高い50℃のクロスオーバー値を有した。さらに、50℃におけるIC4についての52分の実行時間はまた、CSM1の92.5分という実行時間と比べた場合に、劇的に、そして、有利にからに短かった。
【0189】
上記刊行物および特許出願の全ての内容は、各個々の刊行物および特許出願が具体的かつ個々に本明細書中で参考として援用されている同じ範囲まで、本明細書中で参考として援用されている。
【0190】
全ての濃度は、特に明記しない限り、重量基準である。
【0191】
本発明は、特定の実施形態を参照して記述されているものの、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および改良を行い得ることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】図1は、DNA配列決定における組成物IC3のCE性能を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝液と有効量のポリ(M−g−M)またはそれらの塩とを含有する組成物であって、ここで:
(a)各Mは、式(I)を有する:
【化1】


ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各Rは、別個に、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(b)各Mは、式(II)を有する:
【化2】


ここで、各Aは、別個に、O、SまたはNXである;
、R、RおよびRの各々は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)または−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)である;
各R10は、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C20ヘテロアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12シクロアルキル)、−(C〜C12シクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロシクロアルキル)、−(C〜C12ヘテロシクロアルキル)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜C20アルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜C20ヘテロアルキル)(C〜C12ヘテロアリール)、−(C〜C12ヘテロアリール)(C〜C20ヘテロアルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;そして
各Xは、別個に、H、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12ヘテロアリール、−(C〜C20アルキル)(C〜C12アリール)、−(C〜C12アリール)(C〜C20アルキル)、−(C〜Cアルキル)NH、−(C〜Cアルキル)CONH、−(C〜Cアルキル)NHCONH、−(C〜Cアルキル)NHCOHまたは−(C〜Cアルキル)NHCOCHであって、ここで、各qは、0または1である;
(c)但し、少なくとも1個のMは、少なくとも1個のMと異なる、
組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−46686(P2009−46686A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241864(P2008−241864)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【分割の表示】特願2004−524901(P2004−524901)の分割
【原出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】