説明

グラブボックス

【課題】ロック機構部及び支持壁間の狭い空間でのロックピンの組付け性向上を図る。
【解決手段】グラブボックスは、本体部、ロック装置及び一対の支持壁63Lを備える。ロック装置は、ロック機構部41、短ロックピン60L及び長ロックピンを備える。支持壁63Lの支持孔64Lは、ロック機構部41のカム部材44Lの軸線L1Lから外れた箇所に位置する。短ロックピン60Lは、カム部材44Lの軸線L1Lと合致する軸線L2Lを有する内ピン部65Lと、支持孔64Lの軸線L3Lと合致する軸線L4Lを有する外ピン部66Lと、内ピン部65L及び外ピン部66Lを繋ぐ連結ピン部67Lとを備える。ロック機構部41に近い側の支持壁63Lには、短ロックピン60Lの内ピン部65L、連結ピン部67L及び外ピン部66Lの各挿通を可能とする組付け補助孔81が、支持孔64Lに連通された状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに設けられるグラブボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のグラブボックスとしては、本体部、操作部材及びロック装置を備えるものが知られている。本体部は、インナ部材と、そのインナ部材に対し後側から取付けられたアウタ部材とを備えており、インストルメントパネルの開口部を開閉する。操作部材は、多くの場合、車幅方向についてアウタ部材の中央部に設けられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ロック装置は、ロック機構部及び一対のロックピンを備える。ロック機構部は、操作部材の操作に応じて、一対の作動部材を互いに車幅方向についての逆方向へ移動させる。各ロックピンは、対応する作動部材に連結されて車幅方向外方へ延びる。ロック装置は、操作部材の非操作時には各ロックピンを開口部の対応する内側壁に入り込ませることにより、本体部を閉位置にロックするとともに、操作部材の操作時には各ロックピンを内側壁から後退させて本体部の前記ロックを解除する。
【0004】
両ロックピンは、アウタ部材の車幅方向両側部に設けられた支持壁の支持孔にそれぞれ挿通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−324201号公報
【特許文献2】特開2004−156331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、グラブボックスが大型化、特に車幅方向に大きくなる傾向にある。これに伴い操作部材が運転席から遠ざかる。操作部材がそれまでのようにアウタ部材の車幅方向中央部に位置すると、運転席から助手席側へ大きく身を乗り出さないと操作部材に手が届かない事態も起こり得る。そこで、操作部材を、車幅方向についてアウタ部材の運転席側側部の近傍に設けることで、操作部材の操作性の向上を図ることが考えられている。この場合には、操作部材の位置に変更に伴い、一対のロックピンの一方が長く、他方が短くなる。
【0007】
ところが、操作部材の位置変更に伴いロック機構部の位置も変更され、長いロックピンを支持する一方の支持壁とロック機構部との間隔が広く、短いロックピンを支持する他方の支持壁とロック機構部との間隔が狭くなる。そのため、短い側のロックピンの形状によっては、間隔の狭いロック機構部と支持壁との間において、支持孔に挿通しつつ作動部材に連結する作業(組付け作業)がしづらくなる。例えば、支持壁の支持孔がロック機構部の作動部材の軸線から外れた箇所に位置する場合には、ロックピンは、作動部材の軸線と合致する軸線を有する内ピン部と、作動部材の軸線と合致する軸線を有する外ピン部と、内ピン部及び外ピン部を繋ぐ連結ピン部とを備え、クランク形状(屈曲形状)をなすこととなる。こういった一直線状でない形状のロックピンを、狭い空間において、支持孔に挿通させるとともに作動部材に連結することは難しい。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ロック機構部及び支持壁間の狭い空間でのロックピンの組付け性向上を図ることができるグラブボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、インナ部材に対し後ろ側からアウタ部材を取付けることにより構成されて、インストルメントパネルの開口部を開閉する本体部と、前記アウタ部材の運転席側側部の近傍に設けられた操作部材の操作に応じて、一対の作動部材を車幅方向について互いに逆方向へ移動させるロック機構部と、前記作動部材に連結されて車幅方向外方へ延びる長ロックピン及び短ロックピンとを有し、前記操作部材の非操作時には前記長短各ロックピンを前記開口部の対応する内側壁に入り込ませて前記本体部を閉位置にロックし、前記操作部材の操作時には前記長短各ロックピンを前記内側壁から後退させて前記本体部の前記ロックを解除するロック装置と、前記アウタ部材の車幅方向両側部に設けられ、かつ前記長短各ロックピンが挿通される支持孔を有する一対の支持壁とを備え、前記各支持孔が、対応する前記作動部材の軸線から外れた箇所に位置し、前記長短各ロックピンが、前記作動部材の軸線と合致する軸線を有する内ピン部と、前記支持孔の軸線と合致する軸線を有する外ピン部と、前記内ピン部及び前記外ピン部を繋ぐ連結ピン部とを備えるグラブボックスであって、前記ロック機構部に近い側の前記支持壁には、前記短ロックピンの前記内ピン部、前記連結ピン部及び前記外ピン部の挿通を可能とする組付け補助孔が、前記支持孔に連通された状態で設けられていることを要旨とする。
【0010】
上記の構成を有するグラブボックスにおいて、ロック機構部と支持壁との間の狭い空間で短ロックピンを組付ける場合には、内ピン部及び連結ピン部が支持壁及びロック機構部間に位置するまで、短ロックピンを組付け補助孔に挿通する。内ピン部の軸線を作動部材の軸線に略平行に保ち、かつ外ピン部の軸線を支持孔の軸線に略平行に保ちつつ、外ピン部が組付け補助孔に挿通された状態の短ロックピンを作動部材及び支持孔側へ移動させる。外ピン部を組付け補助孔から支持孔へ移動させて、同外ピン部の軸線を支持孔の軸線に合致させ、かつ内ピン部の軸線を作動部材の軸線に合致させると、内ピン部を作動部材に連結することが可能となる。内ピン部を作動部材に連結すると、短ロックピンが支持壁及びロック機構部間に組付けられた状態となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記インナ部材は、保持孔が設けられた保持壁を前記アウタ部材の前記各支持壁の車幅方向外側に備えており、前記支持壁の前記支持孔に挿通された長短各ロックピンは、同支持壁近傍の前記保持壁の前記保持孔に挿通されていることを要旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、長ロックピンの外ピン部が挿通された保持孔は、支持孔と協働して、同外ピン部が、支持孔の軸線に直交する方向へ動くのを規制する。また、短ロックピンの外ピン部が挿通された保持孔は、同外ピン部が支持壁の軸線に直交する方向へ動くのを規制し、同外ピン部が支持孔から組付け補助孔へ抜け出るのを阻止する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記短ロックピンの前記外ピン部は矩形の断面形状を有し、相対向する一方の一対の外面をそれぞれ第1外面とし、相対向する他方の一対の外面をそれぞれ第2外面とし、前記支持孔において、前記両第1外面と同一方向に相対向する一対の第1内支持面の間隔は、同両第1外面間の間隔と略同一に設定され、前記保持孔において、前記両第2外面と同一方向に相対向する一対の第2内保持面の間隔は、同両第2外面間の間隔と略同一に設定されていることを要旨とする。
【0014】
上記の構成によれば、各支持孔における一対の第1内支持面は、外ピン部の第1外面に接触することで、短ロックピンが両第1外面の相対向する方向へ動くのを規制する。また、各保持孔における一対の第2内保持面は、外ピン部の第2外面に接触することで、短ロックピンが両第2外面の相対向する方向へ動くのを規制する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記支持孔は、前記ロック機構部の前記作動部材から前方へ偏倚した箇所に配置され、前記組付け補助孔は、前記支持孔に対し上方から連通していることを要旨とする。
【0016】
上記の構成によれば、組付け補助孔が支持孔の上方に位置する。このため、ロック機構部と支持壁と間の狭い空間で短ロックピンを組付ける場合には、短ロックピンを支持孔の上方で、内ピン部及び連結ピン部が支持壁及びロック機構部間に位置するまで、組付け補助孔に挿通する。外ピン部を内ピン部よりも前側に位置させた状態で、内ピン部の軸線を作動部材の軸線に略平行に保ち、かつ外ピン部の軸線を支持孔の軸線に略平行に保ちつつ、外ピン部が組付け補助孔に挿通された短ロックピンを下方へ移動させる。外ピン部を組付け補助孔から支持孔へ移動させて、同外ピン部の軸線を支持孔の軸線に合致させ、かつ内ピン部の軸線を作動部材の軸線に合致させると、内ピン部を作動部材に連結することが可能となる。内ピン部を作動部材に連結すると、短ロックピンが支持壁及びロック機構部間に組付けられた状態となる。
【0017】
また、組付け補助孔が支持孔に連通する方向は、アウタ部材をインナ部材に取付ける際の同アウタ部材の移動方向(前方)と略直交している。そのため、アウタ部材のインナ部材に対する取付けの際に、短ロックピンの外ピン部が支持孔から連通部分を通じて組付け補助孔側へ抜け出ることが起こりにくい。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記組付け補助孔は、前記支持孔との連通部分から後方へ延びる延出部を有することを要旨とする。
上記の構成によれば、支持孔の上側には、連通部分を介して、後方へ延びる延出部が位置する。このため、ロック機構部と支持壁と間の狭い空間での短ロックピンの組付けに際し、外ピン部を内ピン部よりも前側に位置させることで、短ロックピンの各部(内ピン部、外ピン部及び連結ピン部)を組付け補助孔に挿通することが可能である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記ロック装置は、前記アウタ部材の前記インナ部材への取付けに先立ち、同アウタ部材に組付けられるものであり、前記ロック機構部の前記両作動部材は車幅方向外側へ付勢されており、前記アウタ部材の前記インナ部材への取付けに際し、同アウタ部材が同インナ部材に近づけられるに従い、前記付勢された前記長短両ロックピンを車幅方向内側へ後退させるピン後退部をさらに備えることを要旨とする。
【0020】
上記の構成によれば、ロック装置の組付けられたアウタ部材のインナ部材への取付けに際し、同アウタ部材がインナ部材に近づけられると、車幅方向外側へ付勢された長短各ロックピンが、ピン後退部によって車幅方向内側へ後退させられる。外ピン部の軸線が保持孔の軸線に合致すると、車幅方向外側へ付勢された長短各ロックピンは、それぞれ対応する保持孔に入り込む。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記ピン後退部は前記インナ部材に設けられ、かつ後ろ側ほど前記ロック機構部から車幅方向外側へ遠ざかるように前後方向に対し斜めに交差する傾斜面を有することを要旨とする。
【0022】
上記の構成によれば、アウタ部材のインナ部材への取付けに際し、同アウタ部材がインナ部材に近づけられると、長短各ロックピンの外ピン部がピン後退部の傾斜面に接触する。この傾斜面は、後ろ側ほどロック機構部から遠ざかるよう前後方向に対し斜めに交差している。そのため、アウタ部材が前方へ移動してインナ部材に近づくに従い、外ピン部には、これをロック機構部に近づける側、すなわち車幅方向内側へ向かう力が加わる。その結果、アウタ部材がインナ部材に近づくに従い、車幅方向外側へ付勢された長短各ロックピンが、その付勢力に抗して車幅方向内側へ後退させられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のグラブボックスによれば、ロック機構部及び支持壁間の狭い空間でのロックピンの組付け性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した一実施形態におけるグラブボックスの構成部材を分解して示す分解斜視図。
【図2】グラブボックスの正面図。
【図3】ロック装置の一部を破断して示す正面図。
【図4】図2におけるX−X線に沿ったグラブボックスの断面構造を示す断面図。
【図5】図2におけるY−Y線に沿ったグラブボックスの断面構造を示す断面図。
【図6】ロック装置を被着部の前壁に締結する前の状態を示す部分斜視図。
【図7】グラブボックスにおいて、長ロックピン及びその周辺部分を示す部分平断面図。
【図8】グラブボックスにおいて、短ロックピン及びその周辺部分を示す部分平断面図。
【図9】短ロックピンと支持孔及び保持孔との関係を示す説明図。
【図10】(A)〜(D)は、短ロックピンを、ロック機構部及び支持壁間に組付ける手順を示す部分斜視図。
【図11】グラブボックスの図7と同じ箇所について、インナ部材にアウタ部材を取付ける途中の状態を示す部分平断面図。
【図12】グラブボックスの図8と同じ箇所について、インナ部材にアウタ部材を取付ける途中の状態を示す部分平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、左ハンドル仕様車用のグラブボックスに具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載において、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車両の車幅方向であって車両前進時の左右方向と一致するものとする。
【0026】
図4に示すように、車両のインストルメントパネル11において、助手席の前方に相当する箇所には、後面において開口する開口部12が設けられており、この開口部12にグラブボックス13が開閉可能に設けられている。
【0027】
グラブボックス13の多くの部分は本体部14によって構成されている。本体部14は、上端が開放された有底箱状をなし、かつ小物等を収容するためのインナ部材20と、そのインナ部材20に対し、後ろ側(図4の右側)から取付けられたアウタ部材30を備えている。アウタ部材30は本体部14の外壁を構成する部材であり、その後面30Aが意匠面を構成している。アウタ部材30は、その下端部において軸31により上記開口部12の内側壁15に対し、略上下方向に回動可能に支持されている。本体部14は、開口部12よりも助手席側(後ろ側)へ倒れた「開位置」(図4の二点鎖線参照)と、インストルメントパネル11内に格納されて開口部12を閉塞する「閉位置」(図4の実線参照)との間で回動する。
【0028】
図1、図2及び図5の少なくとも1つに示すように、アウタ部材30の上記軸31よりも上方(アウタ部材30の上部)であって、運転席側(図1及び図2の左側)側部の近傍には、その後面30Aにおいて略矩形状に開口し、かつ前方へ凹んだ被着部32が設けられている。被着部32は、前壁34、左右一対の側壁35及び底壁36からなり、アウタ部材30の前側近傍において、上端が開放された有底箱状をなしている。各側壁35の上部には切欠き37が形成されており、同側壁35の上端が前壁34よりも低くなっている(図6参照)。
【0029】
上記本体部14内(インナ部材20及びアウタ部材30間)には、同本体部14を閉位置にロックするとともに、操作部材の操作に応じてロックを解除するロック装置40が設けられている。
【0030】
図1、図3及び図6の少なくとも1つに示すように、ロック装置40は、ロック機構部41、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rを備えている。ロック機構部41は、支持枠42、操作ハンドル43、左右一対のカム部材44L,44R、及び左右一対のばね45を備えている。操作ハンドル43及び両カム部材44L,44Rは、それぞれ特許請求の範囲における操作部材、及び作動部材に該当する。
【0031】
支持枠42は被着部32内に配置されており、ねじ部材46によって前壁34の上部に締結されている(図2参照)。支持枠42の左右両側部には、それぞれ矩形状の孔47(図6参照)を有する支持片48が形成されている。
【0032】
操作ハンドル43は、横長の略長方形板状をなす操作部51と、その操作部51の前側上部に円筒状に一体形成された左右一対のガイド部52とを備えている(図3参照)。各ガイド部52は車幅方向(左右方向)に延びており、両端において開口されている。操作ハンドル43は被着部32における開口33の上部に配置されており、上記左右両支持片48間に配置された両ガイド部52を支点として上下方向へ揺動可能である。なお、図1及び図3中の53は、施錠機構(図示略)を組付けるための孔である。
【0033】
左右の各カム部材44L,44Rは、操作ハンドル43の揺動運動を車幅方向(左右方向)の往復直線運動に変換するためものである。各カム部材44L,44Rは、車幅方向(左右方向)に並設された角筒状部54及び円筒状部55を有しており、円筒状部55において上記操作ハンドル43内に収容され、角筒状部54において対応する上記支持片48の孔47に挿通されている(図6参照)。カム部材44L,44R毎の角筒状部54において、カム部材44L,44Rの各軸線L1L,L1Rを挟んで相対向する2箇所には、係止孔56がそれぞれあけられている(図6参照)。
【0034】
上記角筒状部54及び孔47が断面矩形状をなしていることから、各カム部材44L,44Rの車幅方向(左右方向)への移動は可能であるが、軸周りの回転は不能である。カム部材44L,44R毎の円筒状部55の外周にはカム溝57が形成されており、ガイド部52内に設けられた突起58がこれらのカム溝57に係入されている。そして、操作ハンドル43の揺動に伴い、カム溝57における突起58の係合位置が変化し、カム部材44L,44Rが車幅方向(左右方向)へ往復直線運動してガイド部52から出没する。この出没は、上記各側壁35の切欠き37において行われる。
【0035】
左右の各ばね45は、操作ハンドル43の各ガイド部52内に圧縮状態で配置されており、左右の各カム部材44L,44Rをガイド部52から突出させる方向(車幅方向外方)へ付勢している。この付勢方向は、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rを、開口部12の内側壁15に形成されたロック孔16に係合させる方向である(図7及び図8参照)。
【0036】
短ロックピン60L及び長ロックピン60Rは、ロック機構部41側の端部において、対応するカム部材44L,44Rに連結されている。これらの連結のために、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rのロック機構部41側の上記端部には、二股状の弾性片61が形成されている。各弾性片61の外面には、上記カム部材44L,44Rの係止孔56に係脱可能に係止する突起62が形成されている。そして、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rの両弾性片61がカム部材44L,44Rの角筒状部54内に嵌入され、突起62が係止孔56に係止されることで、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rがカム部材44L,44Rに抜け落ち不能に連結されている。
【0037】
短ロックピン60L及び長ロックピン60Rは、カム部材44L,44Rとの連結部分を起点として、車幅方向外方へ延びている。短ロックピン60L及び長ロックピン60Rは、上記操作ハンドル43の揺動操作に応じたカム部材44L,44Rの往復直線運動に伴い、車幅方向について互いに逆方向へ移動する。すなわち、例えば長ロックピン60Rが左方へ移動するときには、短ロックピン60Lは右方へ移動する。これとは逆に、長ロックピン60Rが右方へ移動するときには、短ロックピン60Lは左方へ移動する。
【0038】
上記構成のロック装置40では、乗員が操作ハンドル43を操作しないときには、図3に示すように、ばね45によって付勢された各カム部材44L,44Rがガイド部52から大きく突出する。これとともに、図7及び図8に示すように、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rの外端部(後述する外ピン部66L,66R)が、対応する内側壁15のロック孔16内に入り込み、グラブボックス13を閉位置(図4の実線参照)にロックする。このときには操作ハンドル43は略垂直状態となる。この状態から乗員が操作ハンドル43を手前に引っ張って上方へ揺動させると、ばね45に抗して各カム部材44L,44Rがガイド部52内に没入する方向(車幅方向内方)へ移動し、これとともに、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rが後退してロック孔16から抜け出す。ロック装置40のロックが解除され、グラブボックス13を開位置(図4の二点鎖線参照)へ向けて回動させることが可能となる。
【0039】
さらに、アウタ部材30の車幅方向についての両側部近傍には、前方へ向けてそれぞれ支持壁63L,63Rが立設されている。運転席に近い側の支持壁63Lは、ロック機構部41の近傍に位置している。支持壁63Lには、短ロックピン60Lの外端部(外ピン部66L)を挿通可能にした支持孔64Lが設けられている。支持孔64Lは、対応する前記カム部材44Lの軸線L1Lから外れた箇所、本実施形態ではカム部材44Lから前方へ偏倚した箇所に設けられている。
【0040】
また、運転席から遠い側の支持壁63Rは、前述したロック機構部41から大きく離れた箇所に位置している。支持壁63Rには、長ロックピン60Rの外端部(外ピン部66R)を挿通可能にした支持孔64Rが設けられている。支持孔64Rは、対応する前記カム部材44Rの軸線L1Rから外れた箇所、本実施形態ではカム部材44Rから前方へ偏倚した箇所に設けられている。
【0041】
短ロックピン60Lは、カム部材44Lの軸線L1Lと合致する軸線L2Lを有する内ピン部65Lと、支持孔64Lの軸線L3Lと合致する軸線L4Lを有する外ピン部66Lと、内ピン部65L及び外ピン部66Lを繋ぐ連結ピン部67Lとを備えている。連結ピン部67Rは、内ピン部65R及び外ピン部66Rと略直交している。
【0042】
長ロックピン60Rは、カム部材44Rの軸線L1Rと合致する軸線L2Rを有する内ピン部65Rと、支持孔64Rの軸線L3Rと合致する軸線L4Rを有する外ピン部66Rと、内ピン部65R及び外ピン部66Rを繋ぐ連結ピン部67Rとを備えている。
【0043】
外ピン部66L,66R及び連結ピン部67L,67Rは、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rにおいて共通している。短ロックピン60L及び長ロックピン60Rでは、内ピン部65L,65Rの長さが大きく異なっている。すなわち、短ロックピン60Lの内ピン部65Lは、長ロックピン60Rの内ピン部65Rよりも短くなっている。
【0044】
インナ部材20は、保持孔69Lが設けられた保持壁68Lを、支持壁63Lの車幅方向についての外側近傍に備えている。保持孔69Lの軸線L5Lは、支持孔64Lの軸線L3Lと合致している。そして、支持孔64Lに挿通された外ピン部66Lが保持孔69Lにも挿通されている。
【0045】
また、インナ部材20は、保持孔69Rが設けられた保持壁68Rを、支持壁63Rの車幅方向についての外側近傍に備えている。保持孔69Rの軸線L5Rは、支持孔64Rの軸線L3Rと合致している。そして、支持孔64Rに挿通された外ピン部66Rが保持孔69Rにも挿通されている。
【0046】
図9に示すように、短ロックピン60Lの外ピン部66Lは矩形の断面形状を有している。外ピン部66Lにおいて、相対向する一方の一対の外面(前面及び後面)はそれぞれ第1外面71を構成し、相対向する他方の一対の外面(上面及び下面)はそれぞれ第2外面72を構成している。また、支持壁63Lの支持孔64Lにおいて、両第1外面71と同一方向に相対向する一対の内面(前面及び後面)は、それぞれ第1内支持面73を構成している。両第1内支持面73間の間隔D2は、両第1外面71間の間隔D1(外ピン部66Lの前後方向の厚み)と略同一に設定されている。
【0047】
保持壁68Lの保持孔69Lにおいて、両第2外面72と同一方向に相対向する一対の内面(上面及び下面)は、それぞれ第2内保持面75を構成している。両第2内保持面75間の間隔D4は、両第2外面72間の間隔D3(外ピン部66Lの上下方向の厚み)と略同一に設定されている。
【0048】
さらに、本実施形態では、前記ロック機構部41に近い側(運転席側)の支持壁63Lには、短ロックピン60Lの各部、すなわち内ピン部65L、連結ピン部67L及び外ピン部66Lの挿通を可能とする組付け補助孔81が、支持孔64Lに連通された状態で設けられている。本実施形態では、組付け補助孔81は、支持孔64Lに対し上方から連通している。組付け補助孔81は、支持孔64Lとの連通部分から後方へ延びる延出部82を有している。
【0049】
図11及び図12の少なくとも一方に示すように、上記ロック装置40は、アウタ部材30のインナ部材20への取付けに先立ち、同アウタ部材30に組付けられる。ロック装置40の組付けられたアウタ部材30がインナ部材20に対し取付けられる前の段階では、前述したように、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rの各外ピン部66L,66Rが、ばね45(図3参照)によって車幅方向外側に付勢されて支持壁63L,63Rの支持孔64L,64Rに挿通されている。本体部14には、上記アウタ部材30をインナ部材20に取付ける際に、各外ピン部66L,66Rを保持壁68L,68Rの保持孔69L,69Rに対し、特別な操作無しで容易に挿通させるための工夫がなされている。
【0050】
すなわち、インナ部材20の各保持壁68L,68Rにおいて、各保持孔69L,69Rよりも後方かつ車幅方向外側にはピン後退部85L,85Rが設けられている。ピン後退部85L,85Rは、アウタ部材30のインナ部材20への取付けに際し、同アウタ部材30が同インナ部材20に近づけられるに従い、ばね45によって付勢された短ロックピン60L及び長ロックピン60Rを車幅方向内側へ後退させるためのものである。このピン後退部85L,85Rは、インナ部材20に設けられ、かつ後ろ側ほどロック機構部41から遠ざかるように前後方向に対し斜めに交差する傾斜面86L,86Rを有している。
【0051】
上記のようにして、本実施形態のグラブボックス13が構成されている。このグラブボックス13の本体部14の製作に際しては、アウタ部材30をインナ部材20に取付ける前に、同アウタ部材30のロック機構部41と支持壁63Rとの間の広い空間で長ロックピン60Rを組付け、同ロック機構部41と支持壁63Lとの間の狭い空間で短ロックピン60Lを組付ける。
【0052】
長ロックピン60Rの組付けに際しては、図11及び図12の少なくとも一方に示すように、同長ロックピン60Rをロック機構部41と支持壁63Rとの間に配置し、外ピン部66Rを支持壁63Rの支持孔64Rに挿通する。また、内ピン部65Rの両弾性片61をカム部材44Rの角筒状部54に嵌入し、突起62を係止孔56に係止させる。すると、長ロックピン60Rがカム部材44Rに抜け落ち不能に連結される。こうしたロック機構部41及び支持壁63R間での長ロックピン60Rの組付けは比較的容易に行うことができる。ロック機構部41及び支持壁63Rの間隔が広いことに加え、その間隔と長ロックピン60Rの長さとの差が同間隔に比べて非常に小さいことから、長ロックピン60Rを、車幅方向に延びる姿勢に保ったまま、外ピン部66Rを支持孔64Rに挿通し、内ピン部65Rをカム部材44Rに連結することが可能だからである。
【0053】
一方、図9及び図10の少なくとも一方に示すように、支持壁63Lでは、組付け補助孔81が支持孔64Lの上方に位置する。より正確には、支持孔64Lの上側には、連通部分を介して、後方へ延びる延出部82が位置する。このため、短ロックピン60Lの組付けに際しては、まず、支持壁63Lよりも車幅方向外側の広い空間で、外ピン部66Lを内ピン部65Lよりも前側に位置させる(図10(A)参照)。この状態で、内ピン部65L及び連結ピン部67Lが支持壁63L及びロック機構部41間に位置するまで、短ロックピン60Lを車幅方向内方へ移動させて、組付け補助孔81に挿通する(図10(B)参照)。
【0054】
上記の挿通により、短ロックピン60Lの外ピン部66Lが支持孔64Lの上方に位置する。この状態で、操作ハンドル43を手前に引っ張って上方へ揺動させることで、ばね45に抗してカム部材44Lをガイド部52内へ没入させる。この状態を保ちながら(操作ハンドル43を引っ張ったまま)、内ピン部65Lの軸線L2Lをカム部材44Lの軸線L1Lに平行に保ち、かつ外ピン部66Lの軸線L4Lを支持孔64Lの軸線L3Lに平行に保ちつつ、短ロックピン60Lを、カム部材44L及び支持孔64L側である下側へ移動させる(図10(C)参照)。
【0055】
外ピン部66Lが組付け補助孔81から支持孔64Lへ移動して、同外ピン部66Lの軸線L4Lを支持孔64Lの軸線L3Lに合致させ、かつ内ピン部65Lの軸線L2Lをカム部材44Lの軸線L1Lに合致させると、内ピン部65Lをカム部材44Lに連結することが可能となる。操作ハンドル43から手を放し、ばね45の付勢力によってカム部材44Lをガイド部52から車幅方向外側へ突出させる。すると、両弾性片61がカム部材44Lの角筒状部54に嵌入する。そして、突起62を係止孔56に係止させると、短ロックピン60Lがカム部材44Lに抜け落ち不能に連結される(図10(D)参照)。
【0056】
続いて、上記のように短ロックピン60L及び長ロックピン60Rの組付けられたアウタ部材30をインナ部材20に取付ける。このアウタ部材30のインナ部材20への取付けに際し、図11及び図12に示すように、同アウタ部材30をインナ部材20に近づけていくと、車幅方向外側へ付勢された短ロックピン60L及び長ロックピン60Rの各外ピン部66L,66Rが、インナ部材20のピン後退部85L,85Rの傾斜面86L,86Rに接触する。これらの傾斜面86L,86Rは、後ろ側ほどロック機構部41から遠ざかるよう前後方向に対し斜めに交差している。そのため、アウタ部材30が前方へ移動してインナ部材20に近づくに従い、各外ピン部66L,66Rには、これをロック機構部41に近づける側、すなわち車幅方向内側へ向かう力が加わる。その結果、アウタ部材30がインナ部材20に近づくに従い、ばね45によって車幅方向外側へそれぞれ付勢された短ロックピン60L及び長ロックピン60Rが、それらの付勢力に抗して車幅方向内側へ後退させられる。
【0057】
なお、組付け補助孔81が支持孔64Lに連通する方向は、アウタ部材30をインナ部材20に取付ける際の同アウタ部材30の移動方向(前方)と略直交している。そのため、アウタ部材30のインナ部材20への取付けの際に、短ロックピン60Lの外ピン部66Lが支持孔64Lから連通部分を通じて組付け補助孔81側へ抜け出ることが起こりにくい。
【0058】
外ピン部66L,66Rの軸線L4L,L4Rが保持孔69L,69Rの軸線L5L,L5Rに略合致すると、車幅方向外側へ付勢された短ロックピン60L及び長ロックピン60Rは、図7及び図8に示すように、それぞれ保持孔69L,69Rに入り込む。
【0059】
図9に示すように、短ロックピン60Lの外ピン部66Lが挿通された保持孔69Lは、同外ピン部66Lが支持孔64Lの軸線L3Lに直交する方向(特に、両第2外面72の相対向する方向(上下方向))へ動くのを規制し、同外ピン部66Lが支持孔64Lからその上側の組付け補助孔81へ抜け出るのを阻止する。また、長ロックピン60Rの外ピン部66Rが挿通された保持孔69Rは、支持孔64Rと協働して、同外ピン部66Rが、支持孔64Rの軸線L3Rに直交する方向へ動くのを規制する(図7参照)。
【0060】
さらに、支持孔64Lにおける一対の第1内支持面73は、外ピン部66Lの第1外面71に接触することで、同外ピン部66Lが両第1外面71の相対向する方向(前後方向)へ動くのを規制する。これに加え、各保持孔69Lにおける一対の第2内保持面75は、外ピン部66Lの第2外面72に接触することで、同外ピン部66Lが両第2外面72の相対向する方向(上下方向)へ動くのを規制する。従って、外ピン部66Lは軸線L4Lに沿う方向には移動(スライド)できるが、それ以外の方向へは動くことができなくなる。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)本実施形態のグラブボックス13は、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rとして、2箇所(連結ピン部67L,67Rのそれぞれの両端部)において屈曲した、いわゆるクランク状をなすものを用いることを前提としている。そして、こうした前提のもと、ロック機構部41に近い側の支持壁63Lに対し、短ロックピン60Lの各部(内ピン部65L、連結ピン部67L及び外ピン部66L)の挿通を可能とする組付け補助孔81を、支持孔64Lに連通させた状態で設けている(図7〜図9)。そのため、ロック機構部41及び支持壁63L間の狭い空間での短ロックピン60Lの組付け性向上を図ることができる。
【0062】
(2)インナ部材20が支持壁63L,63Rの車幅方向外側に保持壁68L,68Rを備えるものにあって、短ロックピン60Lの外ピン部66Lを支持孔64Lだけでなく保持孔69Lにも挿通させている(図7及び図8)。そのため、外ピン部66Lが支持孔64Lから組付け補助孔81側へ抜け出るのを阻止することができる。
【0063】
(3)短ロックピン60Lとして、外ピン部66Lが矩形の断面形状を有するものを用いる。外ピン部66Lにおいて、前後方向に相対向する一対の外面をそれぞれ第1外面71とし、上下方向に相対向する一対の外面をそれぞれ第2外面72とする。支持孔64Lにおいて、両第1外面71と同一方向(前後方向)に相対向する一対の内面(第1内支持面73)の間隔D2を、両第1外面71間の間隔D1(外ピン部66Lの前後方向の厚み)と略同一に設定する。また、各保持孔69Lにおいて、両第2外面72と同一方向(上下方向)に相対向する一対の内面(第2内保持面75)の間隔D4を、両第2外面72間の間隔D3(外ピン部66Lの上下方向の厚み)と略同一に設定している(図9)。このため、両第1外面71の相対向する方向(前後方向)にも、両第2外面72の相対向する方向(上下方向)にも短ロックピン60Lが動くのを規制することができる。
【0064】
(4)支持孔64Lをカム部材44Lから前方へ偏倚した箇所に設け、組付け補助孔81を支持孔64Lに対し上方から連通させている(図9)。このため、短ロックピン60Lの組付けに際し、短ロックピン60Lを支持孔64Lの上方で組付け補助孔81に挿通し、下方へ移動させるといった簡単な動作を行うだけで、外ピン部66Lの軸線L4Lを支持孔64Lの軸線L3Lに合致させ、かつ内ピン部65Lの軸線L2Lをカム部材44Lの軸線L1Lに合致させることができる。
【0065】
また、組付け補助孔81が支持孔64Lに連通する方向が、アウタ部材30をインナ部材20に取付ける際の同アウタ部材30の移動方向(前方)に対し略直交する。そのため、アウタ部材30のインナ部材20への取付けの際に、短ロックピン60Lの外ピン部66Lが支持孔64Lから連通部分を通じて組付け補助孔81側へ抜け出るのを抑制することができる。
【0066】
(5)組付け補助孔81として、支持孔64Lとの連通部分から後方へ延びる延出部82を設けている(図10(A))。このため、ロック機構部41と支持壁63Lと間の狭い空間での短ロックピン60Lの組付けに際し、外ピン部66Lを内ピン部65Lよりも前側に位置させることで、短ロックピン60Lの各部(内ピン部65L、外ピン部66L及び連結ピン部67L)を組付け補助孔81に容易に挿通することができる。
【0067】
(6)アウタ部材30の取付けに際し、同アウタ部材30がインナ部材20に近づけられるに従い、ばね45によって付勢された短ロックピン60L及び長ロックピン60Rを車幅方向内側へ後退させるピン後退部85L,85Rを設けている(図11及び図12)。このため、アウタ部材30をインナ部材20に近づけて行くだけで、外ピン部66L,66Rを車幅方向内側へ後退させることができる。短ロックピン60L及び長ロックピン60Rを、ばね45の付勢力に抗して、直接、車幅方向内側へ後退させる作業を行わなくてすむ。
【0068】
また、外ピン部66L,66Rの軸線L4L,L4Rが保持孔69L,69Rの軸線L5L,L5Rに略合致する箇所までアウタ部材30をインナ部材20に近づけることで、ばね45の付勢力によって外ピン部66L,66Rを保持孔69L,69Rに入り込ませることができる。
【0069】
(7)ピン後退部85L,85Rとして、インナ部材20において、後側ほどロック機構部41から車幅方向外側へ遠ざかるように前後方向に対し斜めに交差する傾斜面86L,86Rを設けている(図11及び図12)。そのため、外ピン部66L,66Rを保持孔69L,69Rに入り込ませる前に、アウタ部材30がインナ部材20に近づくに従い、短ロックピン60L及び長ロックピン60Rをばね45の付勢力に抗して車幅方向内側へ後退させることができる。
【0070】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・短ロックピン60Lの内ピン部65Lを、上記実施形態とは異なる態様で、ロック機構部41のカム部材44Lに連結してもよい。長ロックピン60Rについても同様の変更が可能である。
【0071】
・ロック装置40のロック機構部41は、前記実施形態とは異なる機構によって、左右一対の作動部材を車幅方向について互いに逆方向へ移動させるものであってもよい。この場合、ロック機構部41では、カム部材44L,44Rとは異なる形態の部材を作動部材としてもよい。
【0072】
・ロック装置40は、操作ハンドル43とは異なる形態の操作部材によってロック機構部41を作動させるものであってもよい。
・ロック装置40における操作ハンドル43は、上記実施形態とは異なる方向、例えば左右方向へ揺動操作されるものであってもよい。この場合には、ロック機構部41として、操作ハンドル43の左右方向への揺動運動を車幅方向(左右方向)の往復直線運動に変換するものを用いる。
【0073】
・前記実施形態では、小物類等を収納する部分(収納部)を含むものをインナ部材20としたが、この収納部を含まないものをインナ部材としてもよい。すなわち、インナ部材と収納部とを別構成としてもよい。この場合、収納部はインストルメントパネル11に設けられ、同インストルメントパネル11の後面において開口される。インナ部材はアウタ部材とともに、収納部の開口部を開閉する蓋体を構成する。
【符号の説明】
【0074】
11…インストルメントパネル、12…開口部、13…グラブボックス、14…本体部、15…内側壁、20…インナ部材、30…アウタ部材、40…ロック装置、41…ロック機構部、43…操作ハンドル(操作部材)、44L,44R…カム部材(作動部材)、60L…短ロックピン、60R…長ロックピン、63L,63R…支持壁、64L,64R…支持孔、65L,65R…内ピン部、66L,66R…外ピン部、67L,67R…連結ピン部、68L,68R…保持壁、69L,69R…保持孔、71…第1外面、72…第2外面、73…第1内支持面、75…第2内保持面、81…組付け補助孔、82…延出部、85L,85R…ピン後退部、86L,86R…傾斜面、L1L,L1R,L2L,L2R,L3L,L3R,L4L,L4R,L5L,L5R…軸線、D1,D2,D3,D4…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナ部材に対し後ろ側からアウタ部材を取付けることにより構成されて、インストルメントパネルの開口部を開閉する本体部と、
前記アウタ部材の運転席側側部の近傍に設けられた操作部材の操作に応じて、一対の作動部材を車幅方向について互いに逆方向へ移動させるロック機構部と、前記作動部材に連結されて車幅方向外方へ延びる長ロックピン及び短ロックピンとを有し、前記操作部材の非操作時には前記長短各ロックピンを前記開口部の対応する内側壁に入り込ませて前記本体部を閉位置にロックし、前記操作部材の操作時には前記長短各ロックピンを前記内側壁から後退させて前記本体部の前記ロックを解除するロック装置と、
前記アウタ部材の車幅方向両側部に設けられ、かつ前記長短各ロックピンが挿通される支持孔を有する一対の支持壁とを備え、
前記各支持孔が、対応する前記作動部材の軸線から外れた箇所に位置し、前記長短各ロックピンが、前記作動部材の軸線と合致する軸線を有する内ピン部と、前記支持孔の軸線と合致する軸線を有する外ピン部と、前記内ピン部及び前記外ピン部を繋ぐ連結ピン部とを備えるグラブボックスであって、
前記ロック機構部に近い側の前記支持壁には、前記短ロックピンの前記内ピン部、前記連結ピン部及び前記外ピン部の挿通を可能とする組付け補助孔が、前記支持孔に連通された状態で設けられていることを特徴とするグラブボックス。
【請求項2】
前記インナ部材は、保持孔が設けられた保持壁を前記アウタ部材の前記各支持壁の車幅方向外側に備えており、
前記支持壁の前記支持孔に挿通された長短各ロックピンは、同支持壁近傍の前記保持壁の前記保持孔に挿通されている請求項1に記載のグラブボックス。
【請求項3】
前記短ロックピンの前記外ピン部は矩形の断面形状を有し、相対向する一方の一対の外面をそれぞれ第1外面とし、相対向する他方の一対の外面をそれぞれ第2外面とし、
前記支持孔において、前記両第1外面と同一方向に相対向する一対の第1内支持面の間隔は、同両第1外面間の間隔と略同一に設定され、
前記保持孔において、前記両第2外面と同一方向に相対向する一対の第2内保持面の間隔は、同両第2外面間の間隔と略同一に設定されている請求項2に記載のグラブボックス。
【請求項4】
前記支持孔は、前記ロック機構部の前記作動部材から前方へ偏倚した箇所に設けられ、
前記組付け補助孔は、前記支持孔に対し上方から連通している請求項1〜3のいずれか1つに記載のグラブボックス。
【請求項5】
前記組付け補助孔は、前記支持孔との連通部分から後方へ延びる延出部を有する請求項4に記載のグラブボックス。
【請求項6】
前記ロック装置は、前記アウタ部材の前記インナ部材への取付けに先立ち、同アウタ部材に組付けられるものであり、
前記ロック機構部の前記両作動部材は車幅方向外側へ付勢されており、
前記アウタ部材の前記インナ部材への取付けに際し、同アウタ部材が同インナ部材に近づけられるに従い、前記付勢された前記長短両ロックピンを車幅方向内側へ後退させるピン後退部をさらに備える請求項2〜5のいずれか1つに記載のグラブボックス。
【請求項7】
前記ピン後退部は前記インナ部材に設けられ、かつ後ろ側ほど前記ロック機構部から車幅方向外側へ遠ざかるように前後方向に対し斜めに交差する傾斜面を有する請求項6に記載のグラブボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−131727(P2011−131727A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292726(P2009−292726)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】