説明

グランザイムBプロテアーゼを使用した融合タンパク質の開裂

グランザイムBプロテアーゼ(EC3.4.21.79)を用いた融合タンパク質の酵素開裂により真正形態の興味のあるポリペプチドを調製する方法。興味のあるポリペプチドおよび融合パートナーを含む融合タンパク質も提供され、ここにおいて興味のあるポリペプチドと融合パートナーの間の結合領域は、興味のあるポリペプチドに隣接するグランザイムBプロテアーゼ開裂部位、およびシステイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに突然変異しているヒトグランザイムBプロテアーゼ変種を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、グランザイムBプロテアーゼの使用による組み換え産生された融合タンパク質の酵素開裂により真正形態の興味のあるポリペプチドを調製する方法に関する。さらに、本発明は、グランザイムB開裂部位を含む融合タンパク質、およびヒトグランザイムB変種に関する。
【0002】
(背景技術)
高度に精製され、よく特徴づけられた形態における医薬タンパク質などの組み換えポリペプチドの製造および精製は、一般に蛋白質工学の分野、特に製薬業界における主な課題になっている。
このような組み換えポリペプチドの調製は、しばしば、融合タンパク質またはハイブリッドタンパク質としてのポリペプチドの産生を含む技術に依存し、ここにおいて興味のあるタンパク質またはポリペプチドは担体または融合パートナー、例えばポリペプチドまたはタンパク質と融合する。
【0003】
興味のあるポリペプチドと融合した融合パートナーまたは担体の存在は、前記融合タンパク質をタンパク質分解に対してさらに耐性にし、向上された発現および分泌を促進し、溶解度を改善し、融合タンパク質のその後のアフィニティー精製を可能にすることができるという利点を有する。さらに、融合タンパク質発現により、潜在的な生体有害物質、例えばペプチドホルモンを不活性形態において製造することができ、これを次いで融合パートナーの開裂によりインビトロで活性化することができる。
しかしながら、融合パートナーは、例えば興味のあるポリペプチドの生物学的活性または安定性に影響を及ぼし得、タンパク質が臨床的に使用されるならば、抗原性の問題を起こし得るので、このような融合タンパク質は通常最終生成物として好適でない。従って、融合タンパク質を開裂させて、興味のあるポリペプチドを放出する必要がある。
【0004】
原則として、これは化学的または生化学的方法、例えば酵素開裂により達成することができる。しかしながら、例えば興味のあるポリペプチドの生体活性により非常に影響を及ぼし得るので、開裂は高度に特異性であり、興味のあるポリペプチドと融合パートナー間の開裂配列、すなわち接合領域においてのみ起こるが、好ましくは興味のあるポリペプチドそれ自体内では起こらないことが重要である。このような方法は、ペプチド結合の加水分解により作用する薬剤を使用し、開裂剤の特異性は、開裂されるペプチド結合またはその付近のアミノ酸残基の同一性により決定される。
融合タンパク質を開裂するための生化学的方法は、プロテアーゼ(タンパク分解酵素)の使用に基づく。しかしながら、融合タンパク質の酵素開裂は、開裂部位に特異的なアミノ酸が同時に興味のあるポリペプチドそれ自体においても存在し得る点で限定されている。従って、興味のあるポリペプチドと融合パートナー間の開裂部位に加えて、興味のあるポリペプチド中に特定のアミノ酸配列が再度存在する可能性は、開裂配列の認識および開裂に必要なアミノ酸の数が大きくなるほど低くなるので、開裂させるために、1つのアミノ酸だけでなく、アミノ酸の配列を認識する酵素が特に好適である。
【0005】
現在までのところ、適当な条件下でプロテアーゼと融合タンパク質を接触させることにより融合タンパク質を酵素開裂するために多くのプロテアーゼが用いられてきた。
WO03/010204は、この文献によると、ユビキチンなどのタンパク質のC末端でアミノ酸配列RGGの隣に結合したペプチドを開裂する酵素であるユビキチン開裂酵素の使用により、興味のあるポリペプチドを融合タンパク質から分離するための方法に関する。
米国特許第6010883号は、血液凝固因子Xa(EC3.4.21.6;限定されたタンパク分解によりプロ酵素因子Xから形成されるS1セリンタイプペプチダーゼ)が融合タンパク質から融合パートナーを開裂するために使用される方法を開示している。このプロテアーゼはアミノ酸配列X−Y−Gly−Arg(ここにおいてXはIle、Leu、ProまたはAlaであり、YはGlu、Asp、GlnまたはAsnである)の後を切断する。Xa因子は好ましくは開裂配列Ile−Glu−Gly−Argの後を切断する。
【0006】
融合タンパク質を特異的に開裂するための方法において示唆され、使用されてきた他の先行技術の酵素は、タバコエッチウイルスNlaプロテイナーゼ、コラゲナーゼ、エンテロキナーゼ、サブチリシンおよびスロンビンを包含する。
しかしながら、融合タンパク質系においてタンパク分解開裂を用いる場合、いくつかの問題が生じる。1つの主な問題は、融合タンパク質の非特異性タンパク分解攻撃が起こり、その結果、いくつかの位置で開裂が起こり、その結果、生成物が失われ、汚染フラグメントが生じることである。また、融合タンパク質の非効率的または不完全な開裂に関する問題が現在公知の酵素に関してしばしば起こる。このような効率の悪い開裂は、収率を低下させ、精製されたタンパク質に不均一性を導入し、その結果、所望のタンパク質の小さなフラクションしか回収されない。
【0007】
融合タンパク質開裂に現在適用される酵素のいくつかに関連するさらなる問題は、擬似または異質アミノ酸がしばしば開裂されたポリペプチド産物(興味のあるポリペプチド)に結合することである。これらのアミノ酸は典型的にはリンカーが開裂した場合に存在し、関係のないアミノ酸残基が結果として得られる興味のあるポリペプチドの性質に影響を及ぼし得る。これは人間の治療のために製造されるタンパク質について重大である。従って、異質アミノ酸短配列または残基のない純粋な真正ポリペプチドを製造できることが非常に望ましい。
開裂後の興味のあるポリペプチド上に残存する異質アミノ酸に関する問題は、米国特許第4543329号において説明されており、この特許はコラゲナーゼの使用により融合タンパク質を選択的に開裂する方法を記載する。しかしながら、この酵素の使用により、そのN末端に異質アミノ酸配列Gly−Proを有する興味のあるポリペプチドが産生される。真正形態における興味のあるポリペプチドを得るためには、これらの異質アミノ酸(GlyおよびPro)はその後、1以上の異なるアミノペプチダーゼ(例えば、アミノアシルプロリンアミノペプチダーゼおよびプロリンアミノペプチダーゼ)の使用によりさらなる工程において除去されなければならない。
【0008】
この問題は、米国特許第5427927号にも説明され、この特許は、IgAプロテアーゼの使用による融合タンパク質の配列特異的開裂の方法を記載し、ここにおいて、IgAプロテアーゼ認識部位は融合タンパク質の接合領域中に挿入され、これはその後IgAプロテアーゼで開裂される。IgAプロテアーゼの認識部位は、アミノ酸配列Y−Pro↓X−Proであり、ここにおいて、Xは任意のアミノ酸であり、Yは1またはいくつかの任意のアミノ酸であり、↓は開裂部位を示す。しかしながら、IgAプロテアーゼの開裂後に形成される興味のあるタンパク質は、そのN末端にX−Pro異質アミノ酸配列を有することにより特徴づけられる。すなわち、結果として得られる興味のあるポリペプチドはその天然または真正形態でない。
現在、融合タンパク質開裂に最も広く用いられているタンパク質分解酵素は、セリンプロテアーゼXa因子およびスロンビンである。しかしながら、どちらの酵素も融合タンパク質の非特異的開裂を行うことが知られている。加えて、Xa因子はウシ血清から単離されなければならず、その結果、これが治療用途のためにタンパク質を開裂するために用いられる場合、存在し得るウイルスおよびプリオンなどの病原性因子(例えば、プリオンは牛海綿状脳症を引き起こす)を検出するために高度の精製および分析がその後必要である。さらに、これらの酵素はかなり高価である。
【特許文献1】WO03/010204
【特許文献2】米国特許第6010883号
【特許文献3】米国特許第4543329号
【特許文献4】米国特許第5427927号
【0009】
従って、これらの従来技術の欠点および不利益を考慮して、本発明の目的は、融合タンパク質の酵素開裂のための改善された方法を提供することである。
前記の技術的問題は、融合タンパク質の酵素開裂にグランザイムBプロテアーゼ(EC3.4.21.79)を使用することにより克服できることが本発明者らにより見いだされた。かくして、グランザイムBプロテアーゼが、高度の開裂特異性を有するグランザイムBプロテアーゼ開裂部位を有する融合タンパク質の非常に効率のよい開裂を可能にすることが意外にも見いだされた。特に、グランザイムBプロテアーゼは、現行の、広く用いられているプロテアーゼXa因子よりもさらに特異的な融合タンパク質開裂を行うことが証明された。さらに、N末端融合パートナーと興味のあるC末端ポリペプチドの間に位置するグランザイムB認識配列を含有する融合タンパク質のグランザイムB開裂(ここにおいて、開裂部位は興味のあるポリペプチドに隣接している)の結果、開裂部位に由来する異質アミノ酸を有さない興味のあるポリペプチド、すなわち真正形態のポリペプチドが得られることも証明された。従って、天然のアミノ酸配列を有する興味のある組み換えタンパク質を、グランザイムBの融合タンパク質開裂の結果として得ることができる。また、グランザイムBプロテアーゼは組み換えにより産生することができるという利点を有する。最後に、ヒトグランザイムBにおいてシステインアミノ酸No.228(キモトリプシノゲンナンバリング)をフェニルアラニンで置換することにより、組み換えヒトグランザイムBを産生する際に、さらに高い最終タンパク質回収率を得ることができることが見いだされた。
【0010】
(発明の開示)
従って、本発明は、第一の態様において、真正形態における興味のあるポリペプチドの調製法に関する。この方法は:(i)そのN末端からC末端までに、(a)融合パートナー、(b)グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位、(c)興味のあるポリペプチド(前記開裂部位が興味のあるポリペプチドに隣接している)を含む融合タンパク質を提供する工程、および(ii)前記融合タンパク質をグランザイムBプロテアーゼ(EC3.4.21.79)と接触させて、これを前記開裂部位で開裂させて、真正形態の興味のある前記ポリペプチドを得る工程を含む。
【0011】
さらに別の態様において、そのN末端からC末端までに(a)融合パートナー、(b)グランザイムB開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位、および興味のあるポリペプチドを含む融合タンパク質が提供され、ここにおいて、前記開裂部位は興味のあるポリペプチドに隣接している。
システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに突然変異しているヒトグランザイムBプロテアーゼ変種も提供される。
さらに別の態様において、このような融合タンパク質またはヒトグランザイムBプロテアーゼ変種をエンコードする単離された核酸配列、単離された核酸配列を含む組み換えベクター、かかるベクターで形質転換された宿主細胞、および融合タンパク質またはヒトグランザイムBプロテアーゼ変種の産生法であって、(i)プロモーターに操作可能に結合した、かかる組み換えベクターを提供する工程、(ii)前記組み換えベクターで宿主細胞を形質転換する方法、(iii)前記宿主細胞を、前記融合タンパク質を発現する条件下で培養する工程、および(iv)所望により前記融合タンパク質またはヒトグランザイムBプロテアーゼ変種を単離する工程を含む方法が提供される。
【0012】
(発明の詳細な記載)
一態様において、本発明は融合タンパク質の酵素開裂により真正形態の興味のあるポリペプチドを形成する方法に関する。従って、この方法は、前記のように、そのN末端からC末端までに、融合パートナー、グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位および興味のあるポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する工程を含み、ここにおいて開裂部位は興味のあるポリペプチドに隣接した位置にある。融合タンパク質をその後グランザイムBプロテアーゼと接触させて、グランザイムBプロテアーゼ開裂部位で融合タンパク質を開裂させ、真正形態の興味のあるポリペプチドを得る。本明細書において用いられる場合「融合タンパク質」なる用語は、少なくとも2つの異なるタンパク質からのタンパク質ドメインを含むポリペプチドを意味する。
【0013】
本発明に従って、真正形態の興味のあるポリペプチドを産生する方法が提供される。本明細書において用いられる場合、「真正形態」なる用語は、任意の追加のアミノ酸残基がないアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。前記のように、融合タンパク質開裂に現在適用される酵素のいくつかに関連する主な問題は、擬似または異質アミノ酸がしばしば開裂したポリペプチド産物に結合したままであり、すなわちその結果、「真正形態」でないポリペプチドが得られることである。従って、この点に関して、真正形態の興味のあるポリペプチドとは、興味のあるポリペプチドをコードする天然の遺伝子配列によりエンコードされるものと同じ第一アミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する、すなわち、任意の非天然のアミノ酸を含有しない。「天然の遺伝子配列」は必ずしも天然に存在する遺伝子配列でなくてもよいが、部分的または完全に人工的であってもよい。同様に、真正形態の興味のあるポリペプチドは必ずしも天然に存在するポリペプチドでなくてもよいが、部分的または完全に人工的であってもよい。対照的に、「非真正」ポリペプチドは、興味のあるポリペプチドをコードする天然の遺伝子配列によりエンコードされない少なくとも1つのアミノ酸を含有する。
【0014】
本発明によると、興味のあるポリペプチドと融合パートナー間の接合領域は、グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を有するグランザイムBプロテアーゼ認識部位を含む。このような認識部位とは、グランザイムBに融合パートナーと興味のあるポリペプチド間の接合領域を認識させ、開裂させる所定のアミノ酸配列を意味する。開裂部位は従って、融合タンパク質の開裂が起こるアミノ酸配列の2つのアミノ酸間の部位として理解される。接合領域は、興味のあるポリペプチドの一部でない任意の適当な長さのリンカー配列の形態であってもよい。しかしながら、真正形態の興味のあるポリペプチドを得るためには、グランザイムB開裂部位は、その結果として得られる興味のあるポリプチドに結合したままである擬似または異質アミノ酸が生じないでそのN末端での融合タンパク質の特異的開裂を可能にするために、興味のあるポリペプチドのN末端に隣接した位置にある。従って、「隣接する」なる用語は、数例においてはリンカー配列の後にあるか、またはリンカー配列の一部であるグランザイムB認識配列は、グランザイムB開裂部位が興味のあるポリペプチドのN末端に隣接する様な位置にあることを意味する。
【0015】
グランザイムは、標的細胞認識後、T細胞およびナチュラルキラー細胞による細胞傷害性防御反応に関与する顆粒貯蔵セリンプロテアーゼである。グランザイムの主な機能は、ウイルスに感染した細胞および他の潜在的に有害な細胞の死を誘発することである。グランザイムBはグランザイムの1種であり、標的細胞と接触すると、方向的に開口分泌され、パーフォリン(細胞傷害性T細胞およびナチュラルキラー細胞により発現される細胞溶解性タンパク質)により助けられて標的細胞に侵入する。グランザイムBは様々なプロカスパーゼを処理し、活性化させ、これにより標的細胞におけるアポトーシスを誘発する。本発明によると、「グランザイムBプロテアーゼ(本明細書においてはGrBとも言う)」なる用語は、酵素命名データベース、Release34(2004年2月)(http://www.expasy.org/enzyme)において酵素寄託番号EC3.4.21.79で分類されるかまたは分類することができる酵素を包含する。従って、本発明によると、ヒトグランザイムBプロテアーゼ、マウスグランザイムBプロテアーゼおよびラットグランザイムBプロテアーゼをはじめとする任意の好適なグランザイムBプロテアーゼを用いることができる。本発明の方法が人間の治療用タンパク質生成物の調製に用いられる場合、ヒトグランザイムBを使用するのが一般に好ましい。ヒトグランザイムBプロテアーゼは、生物学的機能がよく知られているほとんどのヒト組織において存在する。従って、最終治療用タンパク質生成物における微量の残留グランザイムBの存在は、治療用タンパク質生成物が投与される患者に対して最小の危険性しか示さない。従って、活性なグランザイムBプロテアーゼが人間の血流中に注入されるならば、これはアルファ−2−マクログロブリンにより迅速にトラップされ、複合体はLRP除去レセプターにより除去される。グランザイムBプロテアーゼは、別の名前「細胞傷害性t−リンパ球プロテイナーゼ2”」でも呼ばれる。
【0016】
グランザイムBプロテアーゼはアスパルテート残基(D)後の開裂に対して優先傾向を有することが知られ、グランザイムBはP1−タンパク質分解特異性を有することが知られている唯一の哺乳動物セリンプロテアーゼである。従って、本発明によると、有用な具体例におけるグランザイムB開裂部位は、前記開裂部位に対してN末端に位置するP1位でアスパルテート残基を少なくとも含むと考えられる。現在公知のグランザイムBプロテアーゼ認識部位のいくつかは、Harrisら(1998)において開示されている。従って、有用な具体例において、認識部位は開裂部位に対してN末端に位置する一般式:P4P3P2P1↓のアミノ酸配列を有し、ここにおいて、P4は好ましくはアミノ酸IまたはVであり、P3は好ましくはアミノ酸E、QまたはMであり、P2はXであり、ここにおいてXは任意のアミノ酸であり、P1は好ましくはアミノ酸Dであり、↓はグランザイムBプロテアーゼの開裂部位である。
【0017】
本発明者らにより、グランザイムBプロテアーゼは、興味のあるポリペプチド上に非天然アミノ酸が残留することなく、融合タンパク質から興味のあるポリペプチドを開裂させることができることが見いだされた。特に、グランザイムBは、P1’−P4’位、すなわち、開裂部位後のアミノ酸位で特定のアミノ酸残基について厳密な要件なしにP1位後の融合タンパク質からポリペプチドを認識し、開裂させることが意外にも見いだされた。これは、従来技術における知見と反対である。例えば、Sunら(2001)において、グランザイムB基質のP1’−P4’残基は基質結合に重要であると結論づけられ、基質に対する最高の親和性は、酸性P4’残基が存在する場合(すなわち、アスパルテートまたはグルタミン酸のいずれか)に観察される。さらに、Harrisら(1998)は、グランザイムBがP2’位のグリシン残基に対して強力な優先性を有すると結論づけた。これらの従来技術の知見にもかかわらず、グランザイムBプロテアーゼは一般に、P1’−P4’位で特定のアミノ酸残基を必要とせず、融合タンパク質から興味のあるポリペプチドを開裂させるために用いることができる。
【0018】
前述のように、本発明のさらなる具体的な利点は、グランザイムBプロテアーゼが、高度の開裂特異性を有する興味のあるポリペプチドに対してN末端に位置するグランザイムBプロテアーゼ開裂部位を有する融合タンパク質の非常に有効な開裂を可能にするという知見である。特に、グランザイムBプロテアーゼは現在、融合タンパク質開裂に広く使用されているプロテアーゼ、すなわちXa因子よりもさらに特異的な融合タンパク質開裂を行うことが見いだされた。従って、以下の実施例から明らかになるように、Xa因子開裂可能な融合タンパク質としてあらかじめ調製された5つの異なる融合タンパク質がグランザイムBプロテアーゼにより開裂された場合、その結果、Xa因子に関して見られるのと同程度、またはさらにはより特異的である開裂性能が得られる。これは、例えば実施例8および融合タンパク質H6−IEGR−RAPおよびH6−IEPD−RAPのそれぞれXa因子およびグランザイムBでの消化の長時間にわたるPAGE分析を示す関連する図11からわかる。この実験から、30分後に、両プロテアーゼでの融合タンパク質の本質的に完全な開裂が起こったことが明らかにわかる。しかしながら、グランザイムBと比較してより多くの分解生成物がXa因子の使用により生じた。これは、グランザイムBが非常に特異的であり、さらには広く用いられるプロテアーゼXa因子よりもさらに特異的であることを明らかに示す。グランザイムBの高度のバーサティリティーおよび柔軟性は、グランザイムBが比較的短いN末端タグ、例えばhexa−Hisテールを興味のあるポリペプチドから開裂させることができ、かつ短いリンカー配列により非常に近接して連結された融合パートナーと興味のあるポリペプチドを開裂させることができるという発見により本明細書においてさらに実証される。
【0019】
必要ではないが、ある実施形態において、興味のあるポリペプチドが融合タンパク質の一部である場合に、N末端でアミノ酸P1’およびP2’を含み、その結果、式P4P3P2P1↓P1’P2’(式中、P1’はXであり、Xは任意のアミノ酸を表し、P2’はGである)の一般的なグランザイムB認識部位を得るように興味のあるポリペプチドを選択するのが有利である。グランザイムBプロテアーゼはP1’位に関して厳密なアミノ酸選択性を有さないが、この位置で、Trp(T)、Leu(L)、Phe(F)およびIle(I)をはじめとする大きな疎水性アミノ酸について一般的な優先傾向がある。従って、有用な一実施形態において、P1’位のアミノ酸は、T、L、FおよびIから選択される。ある実施形態において、P2’位でPro(P)を含まないのが有利である。本発明のさらに別の態様において、興味のあるポリペプチドが融合タンパク質の一部である場合、N末端がP4’位で酸性アミノ酸、例えばDまたはEを含むように選択されるのが有利である。
【0020】
本発明の状況において、「アミノ酸」および「アミノ酸残基」なる用語は、あらゆる天然に存在するL−アルファ−アミノ酸を意味する。この定義は、ノルロイシン、オルニチン、およびホモシステインを包含することを意味する。アミノ酸は、3文字または1文字表示のいずれかにより識別される:
Asp、D:アスパラギン酸 Ile、I:イソロイシン
Thr、T:スレオニン Leu、L:ロイシン
Ser、S:セリン Tyr、Y:チロシン
Glu、E:グルタミン酸 Phe、F:フェニルアラニン
Pro、P:プロリン His、H:ヒスチジン
Gly、G:グリシン Lys、K:リシン
Ala、A:アラニン Arg、R:アルギニン
Cys、C:システイン Trp、W:トリプトファン
Val、V:バリン Gln、Q:グルタミン
Met、M:メチオニン Asn、N:アスパラギン
Nle、J:ノルロイシン Orn、O:オルニチン
Hcy、U:ホモシステイン Xxx、X:任意のL−アルファ−アミノ酸
【0021】
さらに有用な実施形態において、グランザイムBプロテアーゼ認識部位は、ICPD↓、IEAD↓、IEPD↓、IETD↓、IQAD↓、ISAD↓、ISSD↓、ITPD↓、VAPD↓、VATD↓、VCTD↓、VDPD↓、VDSD↓、VEKD↓、VEQD↓、VGPD↓、VEID↓、VRPD↓、VTPD↓、LEED↓、LEID↓、LGND↓、LGPD↓、AQPD↓から選択されるアミノ酸配列を有する(ここにおいて、↓はグランザイムBの開裂部位である)。これらの認識部位および開裂部位は、Casciola−Rosenら(1999)により既に記載されている。
【0022】
本発明によると、「興味のあるポリペプチド」または「所望のポリペプチド」は、その発現が融合タンパク質内であるのが望ましいポリペプチドを意味する。本明細書において用いられる場合、「ポリペプチド」なる用語は、必ずしも興味のある所望のポリペプチドのサイズに関する制限を示すものではない。従って、この用語は、その広義において解釈されるべきであり、従って、ジ、トリ、テトラ、ペンタおよびヘキサペプチドなどのオリゴペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を包含するおよそ50までまたはそれ以上のペプチドを包含する。興味のあるポリペプチドは、中間体生成物または最終生成物であってもよく、例えば医療分野、研究、環境保護、または工業プロセスまたは生成物において用いることができる。既に記載されているように、融合タンパク質において、興味のあるポリペプチドは、もう一つのタンパク質またはタンパク質ドメイン、融合パートナーと結合または融合して、例えば興味のあるポリペプチドの安定性を向上させ、融合タンパク質の精製を容易にする。有用な実施形態において、興味のあるポリペプチドは、例えば分泌されたタンパク質などのタンパク質である。分泌されたタンパク質は、医薬および診断薬を包含する様々な工業用途を有する。現在利用可能なほとんどのタンパク質薬、例えば血栓溶解剤、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポイエチン、コロニー刺激因子、および様々な他のサイトカインは分泌されたタンパク質である。有用な実施形態において、興味のあるポリペプチドは、ポリペプチドホルモン、たとえば、ソマトトロフィン、グルカゴン、インシュリンまたはインターフェロン、単鎖抗体可変領域フラグメント(scfv)、またはアポリポタンパク質、例えばアポリポタンパク質a−i(apoA−I)、アポリポタンパク質A−II、またはアポリポタンパク質A−IVである。
【0023】
本発明のさらにもう一つの態様において、興味のあるポリペプチドは、酵素、例えばグランザイムBである。従って、本発明に従って融合タンパク質を提供し、グランザイムBプロテアーゼを興味のあるポリペプチドとして選択することにより、自己活性化グランザイムBプロテアーゼが提供され、これは不活性プログランザイムBを提供する可能性をもたらし、これはその後、主に活性グランザイムBプロテアーゼの一分子を添加することにより活性化することができる。これにより、例えばその活性化に関して外部アクチベーター生物製剤の添加に依存しないプログランザイムBが提供される。以下の実施例から明らかになるように、グランザイムB自己活性化は、定量的に進行して完了し、さらに数日間インキュベーションに付されたグランザイムBプロテアーゼの自己活性化サンプルは、安定な活性レベルを保持し、最小量の自己分解生成物を生じることが判明した。これは明らかに、自己活性化グランザイムBプロテアーゼは、実施例5および図3に示すように、自己分解(カニバリズム)に対して非常に安定であるという利点を有することを示す。
【0024】
融合パートナーは、本発明によると、テトラペプチド、ペンタペプチドおよびヘキサペプチドを包含するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であるとするならば、任意の安定な種類のものである。融合タンパク質をタンパク質分解に対してさらに耐性にし、融合タンパク質の向上された発現および分泌を促進し、溶解度を向上させ、その後の融合タンパク質のアフィニティー精製を可能にするように選択することができる。
本発明の融合タンパク質は、有用な実施形態においてはアフィニティータグである融合パートナーを含む。このようなアフィニティータグは、例えばアフィニティー樹脂上での融合タンパク質の精製を可能にするアフィニティードメインである。アフィニティータグは、ヘキサヒスタグ、ポリアルギニンタグ、FLAG−タグ、Strep−タグ、c−myc−タグ、S−タグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ペプチド、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグ、またはマルトース結合タンパク質を包含するポリヒスチジンタグでもある。
【0025】
前述のように、ヒトグランザイムBプロテアーゼ、マウスグランザイムBプロテアーゼおよびラットグランザイムBプロテアーゼをはじめとする任意の適当なグランザイムBプロテアーゼは、本発明に従って用いることができる。しかしながら、以下の実施例から明らかになるように、ヒトグランザイムBプロテアーゼにおいてシステイン残基No.228(キモトリプシノゲンナンバリング)をフェニルアラニンで置換することにより、ヒトグランザイムBプロテアーゼ変種が提供され、その結果、ヒトグランザイムBを産生する場合に、開裂特異性または結果として得られるグランザイムBの活性に目立った程度に影響を及ぼすことなく最終タンパク質収率が高くなることが判明した。この知見は、アミノ酸フェニルアラニン(芳香族アミノ酸)はシステイン(親水性アミノ酸)と化学的に非常に異なり、従ってシステイン置換について通常選択されないので、予想されるものと反対である。従って、本発明の好ましい実施形態において、本発明のグランザイムBプロテアーゼは、システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに突然変異しているヒトグランザイムBプロテアーゼ変種である。「ヒトグランザイムBプロテアーゼ変種」なる用語は、システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)突然変異に加えて、天然のヒトグランザイムBプロテアーゼの完全長配列において、あるいは様々なドメインにおいてさらなる変化を有する変種、例えば完全長天然グランザイムBプロテアーゼのNまたはC末端で1以上のアミノ酸残基が付加されているか、または欠失しているグランザイムBプロテアーゼ変種も包含する。このようなさらなる変化は、例えば当該分野において公知の保存的または非保存的突然変異についての技術およびガイドラインの任意のものを用いて行うことができる。変化は、ヒトグランザイムBプロテアーゼをエンコードし、その結果、好ましくはヒトグランザイムBプロテアーゼ特異性および/または活性に悪影響を及ぼすことなくヒトグランザイムBプロテアーゼの天然の配列と比較してヒトグランザイムBプロテアーゼのアミノ酸配列に変化をもたらす1以上のコドンの置換、欠失または挿入である。また、完全長天然グランザイムBアミノ酸配列のフラグメント、例えばシステイン残基228番の突然変異を有する活性化形態は、「ヒトグランザイムBプロテアーゼ変種」の意味するものに含まれる。有用な実施形態において、グランザイムBプロテアーゼ変種は、配列番号57に示される変種である。
【0026】
一般に、融合パートナーは、簡単な単離に寄与する特徴に基づいて典型的には選択され、最も望ましくは、融合タンパク質を産生する微生物により容易に分泌されるものである。例えば、ポリヒスチジン配列、グルタチオンS−トランスフェラーゼおよびマルトース結合タンパク質は、これらが結合でき、溶出できる容易に入手可能なアフィニティーカラムがあるので一般に好ましい。
本発明の方法は、有用な実施形態において、融合タンパク質の酵素開裂により形成される興味のあるポリペプチドを単離するためのその後の単離工程を含む。この単離工程は、イオン交換、サイズによる分画およびアフィニティー精製の使用を包含するタンパク質単離の分野において公知の任意の適当な手段により行うことができ、その選択は、興味のあるポリペプチドの性質に依存する。従って、興味のあるポリペプチドは、アフィニティー精製の目的で、例えば前記アフィニティータグシステムを用いて、結果として得られる興味のあるポリペプチドの単離に備えるためにC末端結合したアフィニティータグをさらに含むことができる。
【0027】
本発明にしたがって、融合タンパク質をグランザイムBプロテアーゼと接触させて、興味のあるポリペプチドと隣接するグランザイムBプロテアーゼ開裂部位で融合タンパク質を開裂させて、真正形態において興味のあるポリペプチドを得る。この反応は、グランザイムBを用いてバッチごとに行うことができるか、あるいは例えば吸着、共有結合、エントラップメントまたは膜コンファインメントにより、固定化形態においてグランザイムBプロテアーゼを用いることにより行うことができる。固定化グランザイムBプロテアーゼの適当な担体は、通常の担体、例えば、ポリアクリルアミド、キチン、デキストラン、カッパカラギーナン、セライトおよびセルロースを包含する。不溶性マトリックスに対する共有結合による酵素の固定化は、広く用いられている技術である。リシン残基は、その広範囲におよぶ表面暴露および高い反応性のために、不溶性支持体に酵素を共有結合させるために最も一般的に有用な基であることが判明している。従って、有用な実施形態において、グランザイムBプロテアーゼは、リシンアミノ酸残基により固定化される。さらに別の態様において、グランザイムBプロテアーゼはそのC末端で、例えばヘキサヒスチジンタグをはじめとするポリヒスチジンタグにより固定化される。反応は、遊離グランザイムBプロテアーゼを膜型のバイオリアクターと組み合わせて用いることによるか、または連続型バイオリアクターを固定化グランザイムBプロテアーゼと共に用いることにより行うこともできる。
【0028】
以下の実施例から明らかになるが、ヘキサヒスチジンなどのポリヒスチジン融合パートナーを含む遊離融合タンパク質(すなわち固定化されていないもの)の開裂に必要な時間は、融合タンパク質をNi2+イオンおよびニトリロトリ酢酸(NTA)の存在下でグランザイムBプロテアーゼと接触させる場合に著しく減少することが意外にも判明した。この開裂速度の顕著な増加の主な理由は、Ni2+イオンが融合タンパク質のN末端ポリヒスチジン融合パートナーと結合し、グランザイムBプロテアーゼが開裂部位に接近するのを促進するためであると考えられる。さらに、NTAの添加は、溶液中のNi2+イオンをNi2+−NTAアガロースカラム上と同様にシールドし、これにより融合タンパク質および得られるタンパク質の両方の沈殿を回避すると考えられる。このような開裂プロセスを行う場合、Ni2+の濃度が1〜20mMの範囲であり、NTAの濃度が1〜20mMの範囲であるのが一般的に好ましい。さらに、温度は好ましくは15〜50℃の範囲(20〜45℃の範囲を含む)である。好ましい実施形態において、温度は20〜30℃の範囲、例えば約23℃である。別のあまり好ましくない実施形態において、温度は30〜45℃の範囲、例えば約37℃である。しかしながら、最適温度範囲は異なる温度での融合タンパク質の安定性に一部依存するので、各融合蛋白質について決定されなければならない。
【0029】
本発明に従って、既に記載したように、そのN末端からそのC末端までに、(a)融合パートナー、(b)グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位、および(c)興味のあるポリペプチドを含む融合タンパク質も提供され、ここにおいて開裂部位は興味のあるポリペプチドに隣接する。有用な実施形態において、興味のあるポリペプチドはグランザイムBであり、これは自己活性化グランザイムBプロテアーゼを提供する。特に、そのN末端からそのC末端までに、グランザイムB認識部位および開裂部位とそれに続いて活性化ヒトグランザイムBのアミノ酸配列、そして最後にグランザイムBのC末端に融合したヘキサ−ヒスチジンタグ(H6)を有する7のアミノ酸残基プロ配列を含む自己活性化ヒトプログランザイムB融合タンパク質が提供される。従って、グランザイムB開裂部位は、活性化グランザイムBのアミノ酸配列のIle16(キモトリプシノゲンナンバリング)に隣接した位置にある。さらに詳細には、ヒト自己活性化グランザイムB融合タンパク質pro−IEPD−GrB−H6(配列番号2)およびpro−IEAD−GrB−H6(配列番号3)が提供される。既に記載されるように、システイン残基(キモトリプシノゲンナンバリング)をアラニン(A)、スレオニン(T)、バリン(V)、またはフェニルアラニン(P)と部位指向性突然変異により置換することが有利であることが判明している。従って、さらに有用な実施形態において、pro−IEPD−GrB−H6 C228A(配列番号5)、pro−IEPD−GrB−H6 C228T(配列番号6)、pro−IEPD−GrB−H6 C228V(配列番号7)、およびpro−IEPD−GrB−H6 C228F(配列番号8)からなる群から選択される自己活性化融合タンパク質が提供される。
【0030】
本発明の融合タンパク質またはグランザイムBプロテアーゼ変種は、融合タンパク質をエンコードするベクターで形質転換された宿主を融合タンパク質が発現される条件下で培養することにより、任意の適当な標準的タンパク質発現系において発現することができる。好ましくは、発現系は、それから所望の融合タンパク質が容易に単離され、インビトロでリホールドされ得る系である。一般的問題として、高収率のタンパク質を得ることができ、有効な精製およびリホールディング法が利用可能であるので、原核生物発現系が好ましい。しかしながら、特に望ましい哺乳動物、昆虫、真菌および細菌宿主細胞を包含する多くの宿主細胞を記載された融合タンパク質の形質転換および発現に適切に選択することができる。通常用いられる細菌種としては、バチルス(Bacillus)およびイー・コリ(E.coli)をはじめとするエシェリキア(Escherichia)が挙げられる。従って、当業者らは実験を行わずに適当な、または好ましい宿主および発現系を選択することができる。同様に、本発明の融合タンパク質の第一アミノ酸配列が一旦選択されると、当業者らは、選択された宿主におけるコドンバイアス、宿主における分泌シグナル配列の必要性、シグナル配列内のプロテイナーゼ開裂部位の導入などの因子を考慮して、本発明の融合タンパク質またはグランザイムBプロテアーゼ変種をエンコードする適当な組み換え核酸配列またはDNA構築物を容易に設計することができる。これらの組み換えDNA構築物は、選択された宿主に対して適切な多くの発現ベクターの任意のものにフレーム内に挿入することができる。適当または好ましい発現ベクターの選択も当業者の能力および裁量の範囲内である。好ましくは、発現ベクターは組み換え構築物の発現を行うための強力なプロモーターを含む。
【0031】
最後に、本発明の融合タンパク質またはグランザイムBプロテアーゼ変種の製造法であって、(i)プロモーターに操作可能に結合した本発明の融合タンパク質またはグランザイムBプロテアーゼ変種をエンコードする単離された核酸配列を含む組み換えベクターを提供する工程、(ii)宿主細胞をこの組み換えベクターで形質転換する工程、(iii)融合タンパク質を発現する条件下で宿主細胞を培養する工程、および(iv)任意に融合タンパク質またはグランザイムBプロテアーゼ変種を単離する工程を含む方法が提供される。
【0032】
本発明を例として以下の非制限的実施例および図面において説明する。
(図面の記載)
図1は、以下の比色検定を用いて数日間追跡したGrB−H6のFXとのインキュベーションの活性を示す:500μlの緩衝液(100mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH8.0)、4μlの100mM Ac−IEPD−pNAおよび5μlのGrB−H6。100μlのGrB−H6(約10μg)と1μlのFXとの混合物をインキュベーションの間4℃に維持し、活性を0時間、2時間、5時間、19時間、2日および5日後に測定した。
【0033】
図2は、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fの両方のいくつかの発色性基質:Ac−IEPD−ρNA、Ac−LEED−pNA、Ac−VEID−pNA、Ac−YVAD−pNA、およびAc−DEVD−pNAに対する活性を示す。活性検定は、500μlの100mM HEPES(pH7.75)中、基質濃度400μMで、各測定について1μgのプロテアーゼを添加して行った。測定はすべて23℃で3回行い、得られた活性は、Ac−IEPD−ρNAに関して測定された活性を100%に設定することにより標準化した。
【0034】
図3、パネル(A)は、GrB−H6 C228Fを100mM HEPES(pH7.4)中、4℃、23℃、および37℃でインキュベーションして得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
レーンA〜Nの説明:
A:分子量マーカー
B:GrB−H6 C228F、インキュベーション前
C:4℃で1日インキュベートしたGrB−H6 C228F
D:4℃で3日インキュベートしたGrB−H6 C228F
E:4℃で6日インキュベートしたGrB−H6 C228F
F:4℃で15日インキュベートしたGrB−H6 C228F
G:23℃で1日インキュベートしたGrB−H6 C228F
H:23℃で3日インキュベートしたGrB−H6 C228F
I:23℃で6日インキュベートしたGrB−H6 C228F
J:23℃で15日インキュベートしたGrB−H6 C228F
K:37℃で1日インキュベートしたGrB−H6 C228F
L:37℃で3日インキュベートしたGrB−H6 C228F
M:37℃で6日インキュベートしたGrB−H6 C228F
N:37℃で15日インキュベートしたGrB−H6 C228F
【0035】
レーンBはそのままのGrB−H6 C228Fを示す。そのままのプロテアーゼのこのバンドは、全てのレーンにおいて見られる(1)。レーンI〜Nにおいて、別のバンドが出現し(2)、これはプロテアーゼの分解生成物であり、おそらくは配列IQDD↓FVにおけるAsp50およびPhe51間の自動開裂により生じたものである。
【0036】
図3、パネル(B)は、100mM HEPES(pH7.4)中、4℃、23℃、および37℃でインキュベートし、0、6、(10)、および15日後に測定したGrB−H6 C228Fのサンプルの活性を示す。活性は、500μlの100mM HEPES(pH7.4)および400μM Ac−IEPD−pNA中、各測定についてインキュベーションから得られる0.2μgのGrB−H6 C228Fを添加して測定した。
【0037】
図4は、GrB−H6と12時間インキュベーションした後のH6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−IEPD−TN123インキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
レーンA〜Jの説明:
A:分子量マーカー
B:12時間インキュベーションした後のH6−TripUB IEPD↓SP単独
C:12時間インキュベーションした後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+1μlのGrB−H6
D:12時間インキュベーションした後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+10μlのGrB−H6
E:FXと共にインキュベートしたH6−FX−TripUB
F:12時間インキュベーションした後のF6−IEPD−TN123単独
G:12時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−TN123+1μlのGrB−H6
H:12時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−TN123+10μlのGrB−H6
I:レーンDおよびHにおけるのと同じ濃度でのGrB−H6単独
J:FXで開裂されたネズミH6−FX−TN123
【0038】
レーンBは、非開裂H6−TripUB IEPD↓SP(1)であって、GrB−H6が添加されていないものを示し、一方、レーンCおよびDは、1および10μlのGrB−H6が添加された2つのインキュベーションを示す。これらのレーンのどちらにおいても、開裂反応の生成物;正しく開裂されたH6−TripUB IEPD↓SP(2)が非開裂融合タンパク質に加えて見られる。レーンEにおいて、GrB認識部位IEPDの代わりにFX認識部位IQGRを含有する構築物H6−FX−TripUBをFXにより開裂させて、GrB−H6開裂H6−TripUB IEPD↓SPと同じサイズの生成物を得る。
【0039】
レーンF〜Jは12時間後のGrB−H6+H6−IEPD−TN123インキュベーションを示す。レーンFにおいて、非開裂H6−IEPD−TN123(3)が示される。レーンGおよびHは、Ca2+が存在しない場合にH6−IEPD−TN123がどれくらいGrB−H6により開裂されるかを示す(4)。バンドパターンを図12において示す。レーンJにおいて、ネズミH6−FX−TN123構築物は、FXにより開裂され、正しく開裂された生成物のサイズを示す。
図において(5)により示したのは、10μlのGrB−H6が添加されたサンプルにおいてと同じ濃度のGrB−H6の位置である。
【0040】
図5は、インキュベーションの12、19および24時間後のGrB−H6+H6−TripUB IEPD↓SPインキュベーションからのサンプル、ならびにGrB−H6−IEPD−TN123インキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。
レーンA〜Kの説明:
A:分子量マーカー
B:12時間インキュベーション後のH6−TripUB IEPD↓SP単独
C:12時間インキュベーション後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+1μlのGrB−H6
D:19時間インキュベーション後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+1μlのGrB−H6
E:24時間インキュベーション後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+1μlのGrB−H6
F:19時間インキュベーション後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+10μlのGrB−H6
G:24時間インキュベーション後の200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+10μlのGrB−H6
H:FおよびGにおけるように希釈されたGrB−H6単独
J:12時間インキュベーション後の200μlのH6−IEPD−TN123単独
J:12時間インキュベーション後の200μlのH6−IEPD−TN123+1μlのGrB−H6
K:12時間インキュベーション後の200μlのH6−IEPD−TN123+10μlのGrB−H6
【0041】
レーンBは、非開裂H6−TripUB IEPD↓SPを示す(1)。レーンC〜Eにおいて、正しく開裂された生成物はすべてのレーンにおいて見られ、図において(2)により示される。より多くのGrB−H6が添加され、インキュベーション時間がより長いほど、レーンにおいてより多くの開裂生成物が出現する。
図3におけるレーンI、J、およびKは、H6−IEPD−TN123+GrB−H6インキュベーションについての図2におけるレーンF、G、およびHと同じであるが、図3においては、より大きなサンプルをゲル上にかけた。バンドは従って図2よりもずっと明瞭である。(3)で示したバンドは、非開裂H6−IEPD−TN123であり、(4)、(5)、(6)および(7)で示されたバンドパターンを図12において説明する。
【0042】
図6は、図2および3におい観察される単純なバンドパターンを説明する。GrB−H6が添加されない場合、開裂は起こらず、非開裂融合タンパク質からのバンドのみがゲルにおいて見られる。GrB−H6が添加される場合、小さなN末端配列が開裂し、ゲルにおいて、残存する非開裂融合タンパク質に加えて正しく開裂された生成物が出現する。GrB−H6により開裂される小さなN末端配列は小さすぎるのでSDSゲル上では見ることができない。
【0043】
図7、8および9は、添加無し(1)、4.2mMのNi2+を添加(2)、および4.2mMのNi2++5mMのNTAを添加(3)した、23℃(図5)、37℃(図6)および42℃(図7)でのH6−TripUB IEPD↓SP+GrB−H6インキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
レーンA〜Kの説明(全ての温度について同じ):
【0044】
A:分子量マーカー
B:非開裂H6−TripUB IEPD↓SP
C:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、添加無し
D:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、添加無し
E:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、添加無し
F:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+
G:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+
H:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+
I:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+および5mMのNTA
J:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+および5mMのNTA
K:200μlのH6−TripUB IEPD↓SP+5μlのGrB−H6、4.2mM Ni2+および5mMのNTA
【0045】
Ni2+またはNTAが添加されていない3つの図全てにおけるーンC〜Eにおいて(1)、H6−TripUB IEPD↓SP融合タンパク質は、異なる温度について異なる割合で開裂される。23℃で22時間後、融合タンパク質の約40%が開裂した。37℃および42℃では22時間後に23℃よりも多くが開裂し、37℃で約60%、42℃で50%であった。
4.2mMのNi2+で、37℃および42℃で観察されるタンパク質の沈殿のために、2時間インキュベーションした後の融合タンパク質のさらなる開裂はゲルにおいて見られなかった。従って、図6(37℃)および7(42℃)におけるレーンF〜H(2)においては、図5(23℃)におけるレーンF〜H(2)よりも少ないタンパク質が見られ、22時間インキュベーションした後、融合タンパク質の約50%が開裂して生成物になり、これはNi2+を添加しないで開裂したものより多い。
4.2mM のNi2++5mMのNTAをインキュベーションに添加すると、沈殿は観察されなかった。図5レーンI〜K(3)において、レーンC〜E(1)およびF〜H(2)よりも多くの生成物が見られ、従って、添加無しでわずか約40%、Ni2+単独で50%であるのに比較して、23℃で、Ni2+およびNTAの両方の存在下で22時間インキュベーションした後に、融合タンパク質の約60%が開裂した。
温度をさらに37℃(図6レーンI〜K(3))および42℃(図7レーンI〜K(3))まで上昇させることにより、開裂の速度においてさらに大きな増加が見られる。37℃で22時間インキュベーション後、ほとんど全ての融合タンパク質が開裂して正しい生成物になる。42℃では22時間後にほとんど開裂しない。
【0046】
図10は、1または10μlのGrB−H6と共にH6−IEPD−RAPをインキュベーションしたものからのサンプルのSDS PAGEを示す。レーン(A〜L)の説明:
A:分子量マーカー
B:5時間インキュベーションした後のH6−IEPD−RAP単独
C:5時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−RAP+1μlのGrB−H6
D:5時間インキュベーションした後の200μ;のH6−IEPD−RAP+10μlのGrB−H6
E:23時間インキュベーションした後のH6−IEPD−RAP単独
F:23時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−RAP+1μlのGrB−H6
G:23時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−RAP+10μlのGrB−H6
H:FXで部分的に切断されたH6−IEPD−RAP、精製
I:FXでほぼ完全に切断されたH6−IEPD−RAP、精製
J:26時間インキュベーションした後のH6−IEPD−RAP単独
K:26時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−RAP+1μlのGrB−H6
L:26時間インキュベーションした後の200μlのH6−IEPD−RAP+10μlのGrB−H6
【0047】
非開裂H6−IEPD−RAP(1)をレーンB、E、およびJに示す。レーンCおよびDにおいて、前記のように1または10μlのGrB−H6のいずれかとともにわずか5時間インキュベーションした後に全てのH6−IEPD−RAPが開裂されて、最終生成物(2)が得られることは明らかである。これらのレーンに出現する2つの低い側のバンドを生じさせるRAPにおける少なくとも1つの内部開裂部位があることも明らかである。すなわち、最終生成物はゲル上で2つのどちらも可視の断片に開裂される(3)。レーンFおよびGならびにレーンKおよびLは本質的にレーンCおよびDと同じであるが、RAPにおける見かけの内部部位においてより多くの開裂を生じさせるサンプルは後に(GrB−H6とのインキュベーションの23および26時間後)採取された。
レーンHおよびIは、最終RAP生成物を得るために、FXにより部分的(レーンH)または完全(レーンI)に開裂されたH6−IEGR−RAPの精製されたサンプルを示す。これらのレーンにおいて、FXによる内部開裂から得られる分解生成物を精製により除去した。
【0048】
図11は、H6−IEPD−RAP+GrB−H6およびH6−IEPD−RAP+FXインキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。レーン(A〜O)の説明:
A:分子量マーカー
B:H6−IEGR−RAP単独 27時間インキュベーション後
C:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 1/2時間インキュベーション後
D:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 1時間インキュベーション後
E:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 3時間インキュベーション後
F:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 5時間インキュベーション後
G:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 7時間インキュベーション後
H:400μlのH6−IEGR−RAP+1μlのFX 27時間インキュベーション後
I:H6−IEPD−RAP単独 27時間インキュベーション後
J:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 1/2時間インキュベーション後
K:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 1時間インキュベーション後
L:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 3時間インキュベーション後
M:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 5時間インキュベーション後
N:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 7時間インキュベーション後
O:400μlのH6−IEPD−RAP+2μlのFX 27時間インキュベーション後
【0049】
レーンにおいて、B〜HはH6−IEGR−RAPインキュベーションからのサンプルであり(1)、ここにおいてレーンBは非開裂H6−IEGR−RAPを示す。レーンC〜Hは、わずか半時間後にほとんど全ての融合タンパク質がFXにより開裂されて正しい生成物が得られることを示す。レーンD〜Gにおいて、いくつかの分解生成物が出現し、レーンHにおいてはインキュベーションの27時間後に融合タンパク質の全てが分解して、様々な小さな断片になり、正しく開裂された生成物は残っていない。
【0050】
レーンI〜Oは、H6−IEPD−RAPインキュベーションからのサンプル(2)を示す。レーンIは、非開裂H6−IEPD−RAPを示し、H6−IEGR−RAPに関しては、レーンJに関して見られるように、わずか1/2時間GrB−H6と共にインキュベーションした後にほとんど全てのH6−IEPD−RAPが正しく開裂された。レーンK〜Nにおいて、分解生成物が出現するが、H6−IEGR−RAPインキュベーションほど多くない。レーンOにおいて、27時間のインキュベーション後、かなり多くの正しく開裂された生成物が残っている。
【0051】
図12は、H6Ubi−IEPD−ApoA1+GrB−H6 C228FおよびH6Ubi−IEGR−ApoA1+FXインキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。レーン(A〜M)の説明:
A:分子量マーカー
B:H6Ubi−IEGR−ApoA1単独、0時間インキュベーション
C:400μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228、1時間インキュベーション
D:400μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228、3時間インキュベーション
E:400μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228、6時間インキュベーション
F:400μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228、24時間インキュベーション
G:400μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228、48時間インキュベーション
H:H6Ubi−IEGR−ApoA1単独、0時間インキュベーション
I:350μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg GrB−H6 C228、1時間インキュベーション
J:350μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg GrB−H6 C228、3時間インキュベーション
K:350μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg GrB−H6 C228、6時間インキュベーション
L:350μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg GrB−H6 C228、24時間インキュベーション
M:350μg H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg GrB−H6 C228、48時間インキュベーション
【0052】
レーンにおいて、B〜GはH6Ubi−IEPD−ApoA1インキュベーションからのサンプルであり(1)、ここにおいてレーンBは非開裂H6Ubi−IEGR−ApoA1調製物を示す。レーンH〜Mは、H6Ubi−IEPD−ApoA1インキュベーションからのサンプルを示し(2)、ここにおいてレーンHは非開裂H6Ubi−IEPD−Apo1調製物を示す。そのままの、非開裂融合タンパク質の位置は、(3)により示される。(4)により示されるバンドは、正しく開裂されたApoA1生成物であり、一方、(5)により示されるバンドはH6Ubi融合パートナーである。
【0053】
図13は、Ca2+を添加せずに12時間および5日間H6−IEPD−TN123+GrB−H6インキュベーションして得られるサンプルのSDS PAGEである。一部のサンプルは還元されていた。レーン(A〜N)の説明:
A:分子量マーカー
B:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6 5日のインキュベーション後
C:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6 5日のインキュベーション後、サンプルは還元された
D+E:H6−IEPD−TN123単独 5日のインキュベーション後
F:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6 5日のインキュベーション後
G:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6 5日のインキュベーション後
H:GrB−H6単独 CおよびGにおいてと同様に希釈
I:H6−IEPD−TN123単独 12時間インキュベーション後
J:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6 12時間インキュベーション後
K:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6 12時間インキュベーション後
L:H6−IEPD−TN123単独 12時間インキュベーション後、サンプルは還元された
M:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6 12時間インキュベーション後、サンプルは還元された
N:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6 12時間インキュベーション後、サンプルは還元された
【0054】
レーンI〜Kは、図2におけるレーンF〜hHおよび図3におけるI〜K、すなわち0、0.2または2μgのいずれかのGrB−H6ととも12時間インキュベーションした後のサンプルと同じである。バンドパターン(1)は、H6−IEPD−TN123のTN123部分の内部開裂を示し、このパターンは図12においてさらに説明する。レーンD〜Gは、5日後のインキュベーションを示し、ほとんどの融合タンパク質は開裂している。レーンG(10μlのGrB−H6が添加されている)において、融合タンパク質のほとんど全ては2回;IEPD↓配列ならびに配列AQPD↓を有するTN123における内部部位で開裂された(2)。
【0055】
レーンL〜NおよびB〜Dは、それぞれ12時間および5日後の同じサンプルを示すが、サンプルは還元されている。このバンドパターン(3)も図12において説明され、ここでも融合タンパク質のほとんど全ては10μlのGrB−H6で5日後に2回開裂された(レーンC)(4)。
【0056】
図14は、5mM Ca2+を添加して12時間および2日後のH6−IEPD−TN123+GrB−H6インキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。一部のサンプルは還元された。レーン(A〜K)の説明:
A:分子量マーカー
B:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6および5mM CaCl、サンプルは還元された
C:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6および5mM CaCl、サンプルは還元された
D:H6−IEPD−TN123単独
E:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6および5mM CaCl
F:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6およびCaCl無し
G:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6および5mM CaCl
H:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6およびCaCl無し
I:GrB−H6単独 GおよびHにおいてと同様に希釈
J:200μl H6−IEPD−TN123+1μg GrB−H6およびCaCl無し、2日インキュベーション後
K:200μl H6−IEPD−TN123+10μg GrB−H6およびCaCl無し、2日インキュベーション後
【0057】
レーンB〜HおよびJ〜Kは、それぞれ12時間および2日後のH6−IEPD−TN123とGrB−H6のインキュベーションを示す。
レーンDは非開裂H6−IEPD−TN123を示す。レーンEおよびG(+5mM Ca2+)をレーンFおよびH(Ca2+無し)と比較すると、5mM Ca2+が存在すると2つのバンドしか出現しないが(1)、Ca2+が存在しないと、図2、3、10および12に関して記載したように4つのバンドが出現する(2)。10μlのGrB−H6とともに12時間インキュベーション後、Ca2+が存在する場合、融合タンパク質の約40%が正しく開裂するが(レーンG)、Ca2+が存在しない場合、2つの部位の開裂は少し速く起こる(レーンHは12時間後、Kは2日後)。レーンKにおいて、融合タンパク質のほとんど全ては2回開裂された(3)。レーンBおよびCにおけるサンプルは還元され、依然として2つのバンド;非開裂H6−IEPD−TN123およびH6が除去された正しく開裂された生成物しか出現しない(4)。
【0058】
図15は、図2、3、10および11におけるSDS PAGEゲル上で観察されるバンドパターンの概略図を示す。
【0059】
(A):Ca2+が存在しない場合、H6−IEPD−TN123構築物は「GrB−H6→」により示される2つの異なる部位で開裂される。開裂された小さなN末端部分は小さすぎるのでゲル上で見ることはできない。結果として得られる分子は、ジスルフィド結合によりつなげられた2つのポリペプチド鎖からなる。
【0060】
(1)および(2):非還元ゲルにおいて、(2)におけるバンドパターンは、開裂が完全でない場合に得られる。(1)は非開裂H6−IEPD−TN123であり、(2)において残存する非開裂融合タンパク質は、一番上から2番目のバンドである。(2)における一番上のバンドは内部部位、AQPD↓で開裂されたH6−IEPD−TN123であり、非開裂H6−IEPD−TN123と同じサイズであるが、それほど密でない分子を得る。一番下のバンドは、正しく開裂された融合タンパク質であり、一番上から三番目のバンドは2回;正しいIEPD↓部位および内部AQPD↓部位の両方で開裂された融合タンパク質である。内部部位で開裂されると、分子はあまり密ではなく、従って正しく開裂された融合タンパク質よりもゲルにおいて移動距離が短い。
【0061】
(3)および(4):サンプルが還元されるならば、(4)におけるバンドパターンが観察される。任意のジスルフィド結合は破断され、ゲルにおいて1つのポリペプチド鎖しか見られない。(3)は、非開裂・還元H6−IEPD−TN123の位置を示す。(4)における一番上のバンドは、残存する非開裂H6−IEPD−TN123であるが、一番上から2番目のバンドは正しく開裂され、還元されたH6−IEPD−TN123である。還元条件下で、内部部位で開裂される分子は、ジスルフィド結合により連結されず、内部開裂後の2つのポリペプチドのうち大きい方のみをゲルにおいて見ることができる。従って、一番上から3番目のバンドは、内部開裂した融合タンパク質の大きい方の部分であり、一番下のバンドは、内部部位および正しいIEPD↓部位の両方での開裂後のこの大きい方の部分である。
【0062】
(B):5mM Ca2+がインキュベーションに添加される場合、内部開裂は観察されない。Ca2+イオンは、H6−IEPD−TN123分子と、GrB−H6が内部AQPAD↓部位で融合タンパク質から開裂するのを防止するような方法で結合する。AQPD↓部位を接近不可能にすると、開裂は正しいIEPD↓部位でのみ起こる。
(5)および(6):正しいIEPD↓部位での開裂のみが起こる場合、(6)におけるバンドパターンが観察される。非開裂H6−IEPD−TN123の位置を(5)に示し、(6)における一番上のバンドは、残存する非開裂H6−IEPD−TN123である。一番下のバンドは、正しい部位で1回だけ開裂された融合タンパク質である。小さなN末端ペプチドは小さすぎてゲルにおいては見ることができない。
【0063】
図16は、5つのH6−TripUB変種ののうちの3つとGrB−H6のインキュベーションから得られるサンプルである。3つの変種はH6−TripUB IEPD↓SP、H6−TripUB IQAD↓SPおよびH6−TripUB IQAD↓SGである。レーン(A〜P)の説明:
A:分子量マーカー
B:H6−TripUB IEPD↓SP単独 24時間インキュベーション後
C:200μl H6−TripUB IEPD↓SP+5μl GrB−H6 2時間インキュベーション後
D:200μl H6−TripUB IEPD↓SP+5μl GrB−H6 6時間インキュベーション後
E:200μl H6−TripUB IEPD↓SP+5μl GrB−H6 24時間インキュベーション後
F:200μl H6−TripUB IEPD↓SP+5μl GrB−H6 48時間インキュベーション後
G:H6−TripUB IQAD↓SP単独 24時間インキュベーション後
H:200μl H6−TripUB IQAD↓SP+5μl GrB−H6 2時間インキュベーション後
I:200μl H6−TripUB IQAD↓SP+5μl GrB−H6 6時間インキュベーション後
J:200μl H6−TripUB IQAD↓SP+5μl GrB−H6 24時間インキュベーション後
K:200μl H6−TripUB IQAD↓SP+5μl GrB−H6 48時間インキュベーション後
L:H6−TripUB IQAD↓SP単独 24時間インキュベーション後
M:200μl H6−TripUB IQAD↓SG+5μl GrB−H6 2時間インキュベーション後
N:200μl H6−TripUB IQAD↓SG+5μl GrB−H6 6時間インキュベーション後
O:200μl H6−TripUB IQAD↓SG+5μl GrB−H6 24時間インキュベーション後
P:200μl H6−TripUB IQAD↓SG+5μl GrB−H6 48時間インキュベーション後
【0064】
レーンBにおいては、非開裂H6−TripUB IEPD↓SPが示され、レーンC〜FにおいてはGrB−H6と共にインキュベーションした後、より多くの正しく開裂された生成物が出現する。レーンFにおいて、48時間インキュベーション後、非開裂H6−TripUB IEPD↓SPのもとの量の約2/3が正しく開裂された。レーンG〜Kにおいては、H6−TripUB IQAD↓SPサンプルが示され、レーンGにおける非開裂H6−TripUB IQAD↓SPとレーンH〜Kにおける正しく開裂された生成物の量を増加させたH6−TripUB IEPD↓SPについては事実上同じ図が得られる。しかしながら、開裂は、IEPD↓SP配列の開裂よりもずっと遅く、48時間インキュベーション後にごく少量しか開裂されなかった。レーンL〜PにおけるH6−TripUB IQAD↓SPサンプルに関して、開裂はH6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−TripUB IQAD↓SPのどちらについてよりもずっと速いことは明らかである。レーンLは、非開裂H6−TripUB IQAD↓SGを示し、わずか2時間インキュベーション後に、融合タンパク質の大部分が開裂されて、正しい生成物が得られる。
【0065】
図17は、5つのH6−TripUB変種のうちの2つとGrB−H6のインキュベーションから得られるサンプルを示す。2つの残存する変種は、H6−TripUB VGPD↓SPおよびH6−TripUB VGPD↓FGである。レーン(A〜K)の説明:
A:H6−TripUB VGPD↓SP単独 24時間インキュベーション後
B:200μl H6−TripUB VGPD↓SP+5μl GrB−H6 2時間インキュベーション後
C:200μl H6−TripUB VGPD↓SP+5μl GrB−H6 6時間インキュベーション後
D:200μl H6−TripUB VGPD↓SP+5μl GrB−H6 24時間インキュベーション後
E:200μl H6−TripUB VGPD↓SP+5μl GrB−H6 48時間インキュベーション後
F:H6−TripUB VGPD↓FG単独 24時間インキュベーション後
G:200μl H6−TripUB VGPD↓FG+5μl GrB−H6 2時間インキュベーション後
H:200μl H6−TripUB VGPD↓FG+5μl GrB−H6 6時間インキュベーション後
I:200μl H6−TripUB VGPD↓FG+5μl GrB−H6 24時間インキュベーション後
J:200μl H6−TripUB VGPD↓FG+5μl GrB−H6 48時間インキュベーション後
K:分子量マーカー
【0066】
レーンにおいて、Aは非開裂H6−TripUB↓SPであり、レーンB〜Eにおいて、H6−TripUB IEPD↓SP(レーンB〜F、図16)においてみられるようにより多くの正しく開裂された生成物が出現する。融合タンパク質のほぼ半分の量が48時間後に開裂される。レーンFにおいて、非開裂H6−TripUB VGPD↓FGが示され、レーンG〜Jにおいて、H6−TripUB VGPD↓FGの正しく開裂された生成物が出現する。わずか2時間インキュベーション後に、融合タンパク質の全てが正しく開裂される。
【0067】
図18は、H6−TripUB IEPD↓SP、H6−TripUB IEPD↓TQおよびH6−TripUB IEPD↓IVをGrB−H6とプロテアーゼ:融合タンパク質比が1:500で、23℃でインキュベーションして得られるサンプルを示す。
レーンA〜Mの説明:
A:分子量マーカー
B:H6−TripUB IEPD↓SP、0時間インキュベーション
C:250μl H6−TripUB IEPD↓SP+1μl GrB−H6 C228F、4時間インキュベーション後
D:250μl H6−TripUB IEPD↓SP+1μl GrB−H6 C228F、24時間インキュベーション後
E:250μl H6−TripUB IEPD↓SP+1μl GrB−H6 C228F、96時間インキュベーション後
F:H6−TripUB IEPD↓TQ、0時間インキュベーション
G:250μl H6−TripUB IEPD↓TQ+1μl GrB−H6 C228F、4時間インキュベーション後
H:250μl H6−TripUB IEPD↓TQ+1μl GrB−H6 C228F、24時間インキュベーション後
I:250μl H6−TripUB IEPD↓TQ+1μl GrB−H6 C228F、96時間インキュベーション後
J:H6−TripUB IEPD↓IV、0時間インキュベーション後
K:250μl H6−TripUB IEPD↓IV+1μl GrB−H6 C228F、4時間インキュベーション後
L:250μl H6−TripUB IEPD↓IV+1μl GrB−H6 C228F、24時間インキュベーション後
M:250μl H6−TripUB IEPD↓IV+1μl GrB−H6 C228F、96時間インキュベーション後
【0068】
レーンB〜Eにおいて、H6−TripUB IEPD↓SPを示し(1)、開裂は96時間後でほとんど100%完了する。レーンF〜Iは、H6−TripUB IEPD↓TQの開裂であり(2)、これはわずか24時間後でほぼ100%完了する。これは、レーンJ〜Mにおいて示されるH6−TripUB IEPD↓IVの開裂に関してと同様である。H6−TripUB IEPD↓TQはH6−TripUB IEPD↓SPの欠失突然変種であるので、そのままの開裂したH6−TripUB IEPD↓TQのバンドはすべてゲルにおいてH6−TripUB IEPD↓SPのバンドよりも若干低い位置にある。もう一つ別の欠失突然変種であるH6−TripUB IEPD↓IVのバンドは、欠失がH6−TripUB IEPD↓TQよりも大きいので、さらに低い位置にある。
【0069】
図19、パネルAは、H6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−TripUB IEPD↓EPとGrB−H6 C228Fをプロテアーゼ:融合タンパク質比1:500、合計体積200μlで、21℃と37℃の両方でインキュベーションして得られるサンプルを示す。
レーンA〜Oの説明:
A:分子量マーカー
B:H6−TripUB IEPD↓SP、0時間インキュベーション
C:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、21℃、4時間
D:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、21℃、24時間
E:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、21℃、48時間
F:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、37℃、4時間
G:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、37℃、24時間
H:24μg H6−TripUB IEPD↓SP+0.048μg GrB−H6、37℃、48時間
I:H6−TripUB IEPD↓EP、0時間インキュベーション
J:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、21℃、4時間
K:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、21℃、24時間
L:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、21℃、48時間
M:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、37℃、4時間
N:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、37℃、24時間
O:36μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.072μg GrB−H6、37℃、48時間
【0070】
未反応の非開裂H6−TripUB IEPD↓SPをレーンB(1)に示し、21℃および37℃での開裂をそれぞれレーンC〜E(2)およびレーンF〜H(3)に示す。2つの温度にはほとんど差はない。48時間後、ほぼ40%が21℃で開裂した。非開裂H6−TripUB IEPD↓EPをレーンI(4)に示し、21℃および37℃での開裂反応をそれぞれレーンJ〜L(5)およびレーンM〜O(6)に示す。ここでも2つの温度にほとんど差はなく、21℃で48時間後、約35〜40%が開裂した。すなわち、GrB−H6 C228Fは両基質を等しく開裂させる。
【0071】
図19、パネルBは、H6−TripUB IEPD↓EGおよびH6−TripUB IEPD↓EPとGrB−H6 C228Fをプロテアーゼ:融合タンパク質比が1:500、合計体積200μlで、22℃と37℃の両方でインキュベーションして得られるサンプルを示す。
レーンA〜Oの説明:
A:分子量マーカー
B:H6−TripUB IEPD↓EG、0時間インキュベーション
C:H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、6時間
D:40μg H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、24時間
E:40μg H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、50時間
F:40μg H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、6時間
G:40μg H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、24時間
H:40μg H6−TripUB IEPD↓EG+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、50時間
I:H6−TripUB IEPD↓EP、0時間インキュベーション
J:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、6時間
K:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、24時間
L:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、23℃、50時間
M:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、6時間
N:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、24時間
O:38μg H6−TripUB IEPD↓EP+0.08μg GrB−H6 C228F、37℃、50時間
【0072】
そのままの非開裂H6−TripUB IEPD↓EGをレーンB(1)に示し、21℃および37℃での開裂をそれぞれレーンC〜E(2)およびレーンF〜H(3)に示す。2つの温度でほとんど差はなく、わずか6時間後に開裂は完了した。非開裂H6−TripUB IEPD↓EPをレーンI(4)に示し、21℃および37℃での開裂反応をそれぞれレーンJ〜L(5)およびレーンM〜O(6)に示す。図19パネルAに示すように、21℃で50時間後にほぼ40%が開裂した。驚くべきことに、GrB−H6 C228FはIEPD↓SPおよびIEPD↓EPよりもずっと良好にIEPD↓EG基質を開裂させる。
【0073】
図20は、H6−TripUB IQAD↓SPまたはH6−TripUB IQAD↓SGのいずれかと固定化GrB−H6 C228Fの6つの異なる調製物(実験A〜F(実施例9に記載))とのインキュベーションから得られるサンプルを示す。
レーンA〜Mの説明:
A:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験A
B:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験B
C:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験C
D:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験D
E:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験E
F:H6−TripUB IQAD↓SP+固定化GrB−H6 C228F、実験F
G:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験A
H:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験B
I:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験C
J:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験D
K:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験E
L:H6−TripUB IQAD↓SG+固定化GrB−H6 C228F、実験F
M:分子量マーカー
【0074】
H6−TripUB IQAD↓SPとのインキュベーションをレーンA〜F(1)に示し、H6−TripUB IQAD↓SGインキュベーションをレーンG〜L(2)に示す。非開裂融合タンパク質(H6−TripUB IQAD↓SPまたはH6−TripUB IQAD↓SG)を表すバンドを(3)により示し、正しく開裂された生成物のバンドの位置を(4)により示す。
【0075】
(実施例)
実施例1
ヒトグランザイムB発現ベクターの設計および構築
不活性プログランザイムB構築物を調製するために、活性化ヒトグランザイムB(E.C.3.4.21.79)をエンコードする配列、すなわちIle21(キモトリプシノゲンナンバリングにおけるIle16)からTyr246を、C末端にhexa−Hisタグ(H6)を含有するpT7クローニングベクター(pT7C−termH6)中にクローンし、その結果、発現ベクターpT7−IEGR−GrB−H6を得た。血激凝固因子X(FX)認識配列IEGRを含有する配列MGSIEGRは従ってグランザイムBのIle21に対してN末端に位置し、Arg(R)とIle21の間にFX開裂部位を提供する。結果として得られる、FX認識配列およびC末端hexa−Hisタグを含有する融合タンパク質プログランザイムBは以下、pro−IEGR−GrB−H6と称し、配列番号1に示される。
【0076】
自己活性化プログランザイムBタンパク質を形成するために、発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6およびpT7−IEAD−GrB−H6を構築し、ここにおいて、IEGRのFX認識配列をグランザイムB認識部位IEPDまたはIEADとそれぞれ置換した。結果として得られる自己活性化GrBタンパク質は以下それぞれpro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6と称し、配列番号2および3に示される。ベクターのデザインおよびクローニングを次の節で概要を述べる。
【0077】
ヒトグランザイムB、特に前記グランザイムBタンパク質、pro−IEGR−GrB−H6、pro−IEPD−GrB−H6、およびpro−IEAD−GrB−H6におけるアミノ酸位228(確立された標準的キモトリプシノゲンアミノ酸ナンバリングシステムを使用)での遊離システインの存在は、実施例2に記載されるリホールディングプロセスの間に複雑な問題を引き起こす可能性があり、活性化酵素の安定性を低下させ、ジスルフィド含有基質に対してさらに高い非酵素反応性をもたらす。従って、構築物pT7−IEPD−GrB−H6の部位指向性突然変異により、Cys228アミノ酸残基(キモトリプシノゲンアミノ酸ナンバリング)がセリン(S)、アラニン(A)、スレオニン(T)、バリン(V)、またはフェニルアラニン(F)で置換されたpro−IEPD−GrB−H6に基づく多くの組み換え突然変異タンパク質が生じ、発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6 C228S、pT7−IEPD−GrB−H6 C228A、pT7−IEPD−GrB−H6 C228T、pT7−IEPD−GrB−H6 C228V、およびpT7−IEPD−GrB−H6 C228Fをそれぞれ得た。結果として得られる突然変異タンパク質は以下それぞれpro−IEPD−GrB−H6 C228S(配列番号4)、pro−IEPD−GrB−H6 C228A(配列番号5)、pro−IEPD−GrB−H6 C228T(配列番号6)、pro−IEPD−GrB−H6 C228V(配列番号7)、およびpro−IEPD−GrB−H6 C228F(配列番号8)と称し、まとめてpro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種と称する。これらの突然変種はすべて自己活性化グランザイムBプロテアーゼとして構築された。
【0078】
pT7 C−termH6クローニングベクターの構築
オリゴヌクレオチドプライマーH6C−term fw(配列番号9)およびH6C−term rev(配列番号10)から調製されたDNAフラグメントをNcoIおよびEcoRI切断ベクター、pT7(Christensen JHら、1991)中に標準的手順を用いて結紮することによりクローニングベクターpT7C−termH6を構築した。
ヒトグランザイムBのpT7C−termH6クローニングベクター中へのクローニング
cDNAの混合物から増幅し、ヒト骨髄、ヒト白血球、ヒトリンパ節、およびリンパ腫(Raji)細胞(Clontech Laboratories,Inc カタログ番号7181−1、7181−2、7164−1、7167−1)(オリゴヌクレオチドプライマーGrBfw(配列番号11)およびGrBrevEcoRI(配列番号12))から単離されたBamHIおよびEcoRI制限DNAフラグメントGrBEcoRIをBamHIおよびEcoRI切断ベクター、pT7C−termH6中に標準的手順を用いて結紮することにより発現ベクターpT7−IEGR−GrB−H6を構築した。結果として得られるGrB EcoRIのヌクレオチド配列の概要を配列番号13に示す。
【0079】
自己活性化ヒトグランザイムB、pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6の発現ベクターの構築
自己活性化プログランザイムBタンパク質をエンコードする発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6およびpT7−IEAD−GrB−H6を、製造業者のプロトコルに従ってQuikChange部位指向性突然変異誘発キット(STRATAGENE、カタログ番号200518)を用いることにより構築した。発現ベクターpT7−IEGR−GrB−H6をテンプレートとして使用した。オリゴヌクレオチドプライマーGrB GR−PDfwおよびGrB GR−PDrev(配列番号14および15)をpT7−IEPD−GrB−H6の構築に使用し、オリゴヌクレオチドプライマーGrB GR−AD fwおよびGrB GR−AD rev(配列番号16および17)をpT7−IEAD−GrB−H6の構築に使用した。
【0080】
自己活性化pro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種の発現ベクターの構築
自己活性化pro−GrB−H6 C228X突然変異タンパク質をエンコードする発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6 C228XはすべてQuikChange部位指向性突然変異誘発キット(STRATAGENE、カタログ番号200518)を用い、製造業者のプロトコルに従って構築された。発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6をテンプレートとして使用した。変性オリゴヌクレオチドプライマーGrB SAT fwおよびGrB SAT rev(配列番号18および19)をpT7−IEPD−GrB−H6 C228S、pT7−IEPD−GrB−H6 C228A、およびpT7−IEPD−GrB−H6 C228Sの構築に使用し、ここにおいて、表1に示されるGrB SAT fwおよびGrB SAT revプライマー配列において、D=A、G、またはTであり、H=T、C、またはAである。変成オリゴヌクレオチドプライマーGrB VF fwおよびGrB VF rev(配列番号20および21)をpT7−IEPD−GrB−H6 C228VおよびpT7−IEPD−GrB−H6 C228Fの構築に使用し、ここにおいて、表1に示すGrB VF fw および GrB VF revプライマー配列において、K=GまたはTであり、M=AまたはCである。
【0081】
【表1】

【0082】
実施例2
自己活性化ヒトグランザイムBの発現およびリホールディング
FX活性化可能な組み換えPro−IEGR−GrB−H6
Studier FWら(1990)により記載されているようにして中程度のスケール(3×1リットル)で、イー・コリBL21細胞において実施例1で調製された発現ベクターpT7−IEGR−GrB−H6を成長させ、発現することにより、FX活性化可能な組み換えプログランザイムB融合タンパク質pro−IEGR−GrB−H6(配列番号1)を産生した。37℃で指数関数的に成長する培養物はOD600=0.8で約5の多重度でバクテリオファージλCE6に感染した。培養物を37℃成長させ、感染後50分に、0.1g/Lリファンピシン(メタノール中0.1g/mLとして溶解させる)を添加した。37℃でさらに3時間後、細胞を遠心分離により収穫した。細胞を浸透圧衝撃および音波処理により溶解させ、全細胞タンパク質をフェノール中に抽出した(Trisma塩基でpH8に調節)。2.5体積のエタノールを添加し、遠心分離することによりタンパク質をフェノール相から沈殿させた。タンパク質ペレットを、6Mグアニジウムクロリド、50mM Tris−HCl pH8、および100mMジチオトレイトールを含有する緩衝液中に溶解させた。Sephadex G−25Fine(Amersham Biosciences)上で8M尿素、0.5M NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および5mM 2−メルカプトエタノール中にゲル濾過した後、粗タンパク質調製物をNi2+活性化NTA−アガロースカラム(Ni2+−NTA−アガロース、Quiagen)上に適用した。
【0083】
粗タンパク質抽出物をNi2+−NTA−アガロースカラムにかけて、融合タンパク質pro−IEGR−GrB−H6を、1カラム体積のローディング緩衝液、次いで1カラム体積の8M尿素、0.5M NaCl、50mMリン酸ナトリウムpH6.3および5mM2−メルカプトエタノール、1/2カラム体積の6Mグアニジウムクロリド、50mM Tris−HCl pH8、および5mM 2−メルカプトエタノールおよび最後に1/2カラム体積の8M尿素、0.5M NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および3mM還元グルタチオンで洗浄することにより大部分のイー・コリおよびλファージタンパク質から精製した。
Thogersenら(国際特許出願番号WO9418227)に記載されているような環状リホールディング処理を用いて、pro−IEGR−GrB−H6融合タンパク質をNi2+−NTA−アガロースカラム上でリホールドさせた。勾配管理プロフィールを以下の表2に示し、0.5M NaCl、50mM Tris−HCl pH8、2mM還元グルタチオン、および0.2mM酸化グルタチオンを緩衝液Aとして、そして6M尿素、0.5M NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および3mM還元グルタチオンを緩衝液Bとして使用した。
【0084】
【表2−1】


【表2−2】

【0085】
環状リホールディング処理が完了した後、pro−IEGR−GrB−H6融合タンパク質をNi2+−NTA−アガロースカラムから0.5M NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM EDTA pH8を含有する緩衝液で溶出させた。
Ni2+−NTA−アガロースカラムから溶出させた後、HClでpHを7に調節する前に、pro−IEGR−GrB−H6タンパク質を1体積の50mM Tris−HCl pH8.0で希釈した。タンパク質を次いでSPセファロースファーストフロー(Amersham Bioscience)イオン交換カラム上にかけた。タンパク質を250mM NaCl、50mM Tris−HCl pH7.0から1M NaCl,50mM Tris−HCl pH7.0の直線的勾配で10カラム体積で溶出した。溶出プロフィールからのサンプルはSDS−PAGE分析において1つの独立したバンドとして出現し、モノマーpro−IEGR−GrB−H6の予想分子量27.4kDaで移動した。
【0086】
自己活性化pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6
実施例1において調製されたベクターpT7−IEPD−GrB−H6およびpT7−IEAD−GrB−H6からの発現により自己活性化組み換えグランザイムB融合タンパク質pro−IEPD−GrB−H6(配列番号2)およびpro−IEAD−GrB−H6(配列番号3)を生成させた。ここにおいて、発現、リホールディング、および精製は、本質的に前記pro−IEGR−GrB−H68に関して記載されたのと同様にして行った。
2つの酵素、pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6の自己活性化は次の実施例3において記載する通りである。
自己活性化pro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種
全てのpro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種(配列番号4、5、6、7および8)を、本質的に前記pro−IEGR−GrB−H6の発現に関して記載したのと同様にしてpT7−IEPD−GrB C228X発現ベクターから発現した。pro―IEPD−GrB−H6 C228X突然変種のリホールディングも、本質的には前記pro−IEGR−GrB−H6と同様に行い、カチオン交換カラム上での活性化は、pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6に関して記載されているのと同様にして行った。
【0087】
自己活性化pro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種の精製および完全な活性化は、リホールドされたタンパク質をプロ形態でカチオン交換カラムSPセファロースファーストフロー(Amersham Biosciences)にかけ、250mM NaCl、50mM TrisHCl、pH7.0で4時間洗浄し、最後に活性化タンパク質を750mM NaCl、50mM TrisHCl、pH7.0で溶出することによりわずか4時間で行われた。溶出後、活性化突然変種はGrB−H6 C228S、GrB−H6 C228A、GrB−H6 C228T、GrB−H6 C228V、およびGrB−H6 C228Fと称する。
【0088】
pro−IEPD−GrB−H6 C228X突然変種の発現レベルは、pro−IEPD−GrB−H6発現レベルと類似していた。しかしながら、リホールディング効率はpro−IEPD−GrB−H6と比較して最高90%異なっていた。1つの突然変種pro−IEPD−GrB−H6 C228Sは非常に低いリホールディング効率を有し、従ってさらに分析しなかった。セリンはタンパク質において天然に存在する全てのアミノ酸のうち、大きさ、親水性および化学的にシステインと最もよく類似しているので、システインの置換の明らかな保守的な選択はセリンであると予想されることに反している。
3つの他の突然変種pro−IEPD−GrB−H6 C228A、pro−IEPD−GrB−H6 C228T、およびpro−IEPD−GrB−H6 C228Vのリホールディング効率は、pro−IEPD−GrB−H6と類似していた。
【0089】
非常に興味深い知見は、Cys228アミノ酸残基を含む非突然変異pro−IEPD−GrB−H6の場合よりも、システインがフェニルアラニンで置換されているpro−IEPD−GrB−H6 C228F突然変種についてリホールディングおよび精製後により高いタンパク質回収が得られることである。従って、Bradford検定(Coomassie (登録商標) Plus Protein Assay Reagent Kit、Pierce Biotechnology)によりタンパク質標準としてウシ血清アルブミンを使用して推定された70mgのpro−IEPD−GrB−H6 C228Fまたは非突然変異pro−IEPD−GrB−H6のいずれかを前記リホールディングおよび精製法に適用した場合、最終収率(タンパク質回収率)はそれぞれ1.5%および0.5%であることが判明した。これから明らかに、突然変異pro−IEPD−GrB−H6 C228Fは改善された最終タンパク質回収率をもたらすことがわかる。低い回収率についての推論は、非突然変異pro−IEPD−GrB−H6タンパク質がカチオンクロマトグラフィーによる精製および活性化に適用された場合、タンパク質は沈殿する傾向にあり、従って活性な酵素の最終収率(回収率)が減少する。pro−IEPD−GrB−H6 C228Fについては顕著な沈殿は観察されなかった。従って、システイン228のフェニルアラニンでの置換は、グランザイムBについて、特に自己活性化グランザイムBについて好ましいようである。アミノ酸フェニルアラニンはシステインと化学的に非常に異なり、通常システイン置換に選択されないので、これは非常に驚くべきことである。
次の実施例において、本発明者らはC228F突然変種、pro−IEPD−GrB−H6 C228Fを比較のためにpro−IEGR−GrB−H6とあわせて重点的に取り組んだ。
【0090】
実施例3
精製ウシX因子を用いたpro−IEGR−GrB−H6融合タンパク質の活性化ならびにpro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6の自己活性化
因子によるpro−IEGR−GrB−H6の活性化
実施例2において記載されるようにして産生されたモノマー不活性pro−IEGR−GrB−H6のサンプルをSPセファロースイオン交換からの溶出液から直接採取した。50μgのFX(1mg/mlを50μg)を添加することにより1mgのpro−IEGR−GrB−H6(約10ml)を活性化し、室温で数日間インキュベートした。GrB−H6が得られるpro−IEGR−GrB−H6のFXによる開裂/活性化の程度をSDS PAGEにより評価した。
加えて、pro−IEGR−GrB−H6をFXとともにインキュベーションする間のグランザイムB活性を、次の比色検定を用いて数日間追跡した:500μlの緩衝液(100mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8.0)、4μlの100mM Ac−IEPD−pNA、および5μlのインキュベーション混合物。100μlのpro−IEGR−GrB−H6(約10μg)を1μlのFX(1mg/ml)と混合することによりインキュベーション混合物を調製し、インキュベーションの間4℃に保持した。結果を表3および図1にまとめる。
【0091】
【表3】

添加されたFXを除去するために、インキュベーション混合物を、250mM NaCl、50mM Tris−HCl pH7.0中で洗浄したSPセファロースファーストフロー(Amersham Biosciences)イオン交換カラムにかけた。FXはカラム物質に結合せず、結果として得られるGrB−H6は750mM NaCl、50mM Tris−HCl pH7.0でカラムから溶出された。
【0092】
比色活性測定
添加されたFXが適切にインキュベーション混合物から除去されたかどうかを確認するために、GrB−H6およびFX活性の両方を添加されたFXの除去の前後で基質S2222(N−ベンゾイル−L−イソロイシル−L−グルタミル−グリシル−L−アルギニン−p−ニトロアニリン、Chromogenix(イタリア)、カタログ番号S2222)およびAc−IEPD−pNA(N−アセチル−L−イソロイシル−L−グルタミル−L−プロリル−L−アスパラチル−p−ニトロアニリン、Calbiochem(ラ・ホーヤ、アメリカ合衆国)、カタログ番号368067)での比色検定を用いて測定した。ここにおいて、吸光度は405nmで約3分間測定し、ΔOD405/分を計算した。次のミックスを用いてFX活性を測定した:500μlの緩衝液、25μlの3mM S2222および5μlのFX。GrB−H6活性を次のミックスを用いて測定した:500μlの緩衝液、2μlの100mM Ac−IEPD−pNA、および5μlのGrB−H6。
【0093】
使用した緩衝液は、100mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8.0または100mM HEPES pH 7.4のいずれかであった。100mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8.0緩衝液を使用する例を以下の表3に示す。ここにおいて、FXa除去後のSPセファロース溶出液からのトップフラクションを使用した:
【0094】
【表4】

前記表4からわかるように、添加されたFXはSPセファロースファーストフローカラム上でのイオン交換により活性化混合物から完全に除去された。100mM HEPES pH7.4を含む緩衝液で同じ結果が得られた。
【0095】
pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6の自己活性化
組み換え自己活性化ヒトグランザイムB誘導体IEPD−GrB−H6およびIEAD−GrB−H6を実施例2に記載されているようにして、実施例1において記載される発現ベクターpT7−IEPD−GrB−H6およびpT7−IEAD−GrB−H6を用いて産生した。IEAD−GrB−H6およびIEPD−GrB−H6タンパク質をSPセファロースカラムから溶出させ、4℃で2日間保存した後、比色検定を用いてそれぞれのトップフラクションの活性を測定した。この目的のために、次のものを混合した:500μlの緩衝液(100mM HEPES pH7.5)、2μlの100mM Ac−IEPD−pNA、および5μlのタンパク質溶液。吸光度における変化を次いで405nmで3分間測定した。さらに1日および2日間4℃でインキュベーションした後に活性をさらに測定した。結果を表5にまとめる。
【0096】
【表5】

表5からわかるように、自己活性化誘導体pro−IEPD−GrB−H6およびpro−IEAD−GrB−H6をあらかじめ活性化されたグランザイムBを添加せずに活性化し、自己活性化は4℃で少なくとも3または4日後に完了しなかった。
【0097】
実施例4
小発色性ペプチド基質に関して測定されたグランザイムB活性
Ac−IEPD−pNA基質を用いて異なる緩衝液中で活性化され、精製されたGrB−H6の活性を測定した:500μlの緩衝液、2μlの100mM Ac−IEPD−pNA、および5μlのGrB−H6。特に記載しない限り、ΔOD405/分を最初の0.75分から計算した。
【0098】
【表6】

TN =100mM NaCl、50mM Tris−HCl
前記表6からわかるように、100mM HEPES pH7.4〜7.5は評価された緩衝液のGrB−H6活性の最良の緩衝液である。
【0099】
GrB−H6 C228Fに関して行った後のpHスキャニング実験において、基質Ac−IEPD−pNAに対する活性の最適pHは100mM HEPES中pH7.5〜7.8の範囲で見られた。
定常状態速度パラメーターKおよびkcatを評価するために、検定キュベット中合計体積500μlで前記と同じ比色検定を用いた。検定緩衝液は100mM HEPES pH7.75であり、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fのどちらも各測定において20nMの濃度で使用した。Lineweaver−Burkプロットを作成するために、次の基質濃度を使用した:5、40、150、300、および600μM。得られた結果を以下の表7に示す。
【0100】
【表7】

GrB−H6およびGrB−H6 C228Fについて前記表7に示すKに関して得られた値kcatおよびkcat/Kは、組み換えラットGrBについて見られる値と非常に類似している(Harris J.L.ら、1998)。
【0101】
実施例5
GrB−H6およびGrB−H6 C228Fの特異性およびGrB−H6 C228Fの安定性の評価
GrB−H6およびGrB−H6 C228Fの特異性
発色性基質Ac−LEED−pNA、Ac−VEID−pNA、Ac−YVAD−pNA、およびAc−DEVD−pNAを、実施例4において適用したAc−IEPD−pNA基質に加えて使用して、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fプロテアーゼの両方の特異性を調べた。500μlの100mM HEPES pH7.75と400μMの濃度の基質中で活性検定を再び行った。各測定に関して、1μgのプロテアーゼを検定キュベットに添加した。測定は全て3回行い、得られた活性は、Ac−IEPD−pNAで測定された活性を100%に設定することにより標準化した。結果を図2に示す。GrB−H6プロテアーゼは少なくともGrB−H6 C228Fプロテアーゼと同程度に特異性であることがわかる。
【0102】
GrB−H6 C228Fの安定性
GrB−H6 C228Fプロテアーゼの安定性を測定するために、GrB−H6 C228Fのサンプルを100mM HEPES pH7.4中で15日間4℃、23℃および37℃でインキュベートした。自己開裂および変性を調べるために100mM HEPES緩衝液を選択したが、SDS PAGEにより評価すると顕著な「カニバリズム」は観察されなかった(図3A参照)。発色性基質Ac−IEPD−pNAに対する加水分解活性もインキュベーション期間中に測定した。図3B参照。
GrB−H6 C228Fプロテアーゼは4℃および23℃で著しく安定である。活性は15日間23℃で約10%若干減少し、ゲルにおいて変性フラグメントはほとんど見られなかった。37℃でも、15日後に依然として約20%の活性があり、ゲルにおいてごくわずかしか変性フラグメントは出現しなかった。
10分の短期間スケールでGrB−H6 C228Fプロテアーゼは50℃まで安定であることが判明した(ここでは省略)。この実験において、プロテアーゼのサンプルを10分間所定の温度でインキュベートし、次いで23℃で10分インキュベートすることにより室温に戻した。Ac−IEPD−pNAに対する活性を次いで23℃で測定した。50℃のインキュベーション温度まで、室温(23℃)でインキュベーションした後、プロテアーゼはほとんど100%活性に戻すことができるが、50℃を越える温度に曝された後は、プロテアーゼはもはや活性形態に戻ることができず、ごくわずかの活性しか検出できない。
【0103】
実施例6
GrB−H6およびGrB−H6 C228Fにより開裂可能な認識配列を含有する融合タンパク質の発現ベクターの設計および構築

GrB−H6およびGrB−H6 C228Fの基質として適当な融合タンパク質を調製するために、FX開裂可能な融合タンパク質H6−FX−TripBUB、H6−IEGR−RAP、H6Ubi−IEGR−ApoA1、およびH6−FX−TN123(それぞれpT7H6−FX−TripBUB、pT7H6−FX−RAP、pT7H6Ubi−FX−ApoA1、およびpT7H6−FX−TN123によりエンコードされる)におけるFX認識配列を、IEGRまたはIQGRのいずれかからIEPDに変更し、H6−TripUB IEPD↓SP(配列番号22)、H6−IEPD−RAP(配列番号23)、H6Ubi−IEPD−ApoA1(配列番号24)、およびH6−IEPD−TN123(配列番号25)の構築物を得た。
【0104】
H6−TripUB IEPD↓SPの構築物において、グランザイムB認識配列はIEPD↓SPであり、ここにおいて↓は開裂部位を示す。この認識配列は、構築物のH6とTripUB部分の間に位置し、ここにおいて、2つの残基SP、切断可能な結合に対するC末端はTripUB部分のN末端部分である。
次のH6−TripUB融合タンパク質(H6−TripUB変種と称する)の認識配列は、XXXX↓YY(ここにおいて、XXXXはhexa−His部分H6とTripUB部分の間のグランザイムB認識配列の一部であり、YY残基はTripUB部分の一部である)のようにその名前の最後の部分として表示される。
【0105】
H6−TripUB IEPD↓SP構築物におけるIEPD↓SP開裂部位を8つの他の開裂部位に変更して、次の変種を得た:H6−TripUB IQAD↓SP(配列番号26)、H6−TripUB IQAD↓SG(配列番号27)、H6−TripUB VGPD↓SP(配列番号28)、H6−TripUB VGPD↓FG(配列番号29)、H6−TripUB IEPD↓TQ(配列番号30)、H6−TripUB IEPD↓IV(配列番号31)、H6−TripUB IEPD↓EP(配列番号32)、およびH6−TripUB IEPD↓EG(配列番号33)(ここにおいて、↓は開裂部位を示す)。これらの8つの構築物のうち6つにおいて、すなわち、H6−TripUB IQAD↓SG、H6−TripUB VGPD↓FG、H6−TripUB IEPD↓TQ、H6−TripUB IEPD↓IV、H6−TripUB IEPD↓EP、およびH6−TripUB IEPD↓EGにおいて、融合タンパク質のP’およびP’部位(どちらもTripUB部分の一部)が変更された。
【0106】
融合タンパク質発現ベクターの構築
製造業者のプロトコルに従って、テンプレートとしてベクターpT7H6−FX−TripBUB(国際特許出願番号WO9856906)およびオリゴヌクレオチドプライマー:TripUB GrB fw(配列番号34)およびTripUB GrB rev(配列番号35)を用いて、QuikChange部位指向性突然変異キット(STRATAGENE、カタログ番号200518)を用いることにより発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SPを構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−FX−RAP(Nykjaerら、1992)およびオリゴヌクレオチドプライマー:RAP GrB fw(配列番号36)およびRAP GrB rev(配列番号37)を用いて、前記のような部位指向性突然変異誘発によりベクターpT7H6−IEPD−RAPを構築した。
【0107】
テンプレートとしてベクターpT7H6Ubi−FX−ApoA1(国際特許出願番号WO0238609)およびオリゴヌクレオチドプライマー:Mut−GrB fw(配列番号38)およびMut−GrB rw(配列番号39)を用いて前記のような突然変異誘発によりベクターpT7H6Ubi−IEPD−ApoA1を構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−FX−TN123(Holtetら、1997)およびオリゴヌクレオチドプライマー:TN GrB fw(配列番号40)および TN GrB rev(配列番号41)を用いて前記のような部位指向性突然変異誘発により、発現ベクターpT7H6−IEPD−TN123を構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−FX−TripBUB(WO9856906)およびオリゴヌクレオチドプライマー:PC7TripUB GR−AD fw(配列番号42)およびPC7TripUB GR−AD rev(配列番号43)を使用して、前記のような突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB IQAD↓SPを構築した。
【0108】
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IQAD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:PC7TripUB P−G fw(配列番号44)およびPC7TripUB P−G rev(配列番号45)を使用して、前記のような部位指向性突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB IQAD↓SGを構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:DNATrip IE−VG fw(配列番号46)およびDNATrip IE−VG rev(配列番号47)を用いて、前記のような部位指向性突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB VGPD↓SPを構築した。
【0109】
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB VGPD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:DNATrip SP−FG fw(配列番号48)およびDNATrip SP−FG rev(配列番号49)を使用して、前記のような突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB VGPD↓FGを構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:Trip IEPD−TQ(配列番号50)およびUB3(配列番号52)を使用して、PCR反応により発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓TQを構築した。得られたPCR産物をBamHIおよびHindIIIで消化し、BamHI−HindII切断pT7H6(GS)3ベクター(Christensen J.Hら、1991)中に結紮した。
【0110】
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:Trip IEPD−IV(配列番号51)およびUB3(配列番号52)を使用して、PCR反応により発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓IVを構築した。得られたPCR産物をBamHIおよびHindIIIで消化し、BamHI−HindII切断pT7H6(GS)3ベクター(Christensen J.Hら、1991)中に結紮した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:TripUB EP fw(配列番号53)およびTripUB EP rev(配列番号54)を使用して、前記のような部位指向性突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓EPを構築した。
テンプレートとしてベクターpT7H6−TripUB IEPD↓EPおよびオリゴヌクレオチドプライマー:TripUB EG fw(配列番号55)およびTripUB EG rev(配列番号56)を使用して、前記のような部位指向性突然変異誘発により発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓EGを構築した。
【0111】
【表8】

【0112】
実施例7
GrB−H6およびGrB−H6 C228Fにより開裂可能な認識配列を含有する融合タンパク質の発現、精製およびリホールディング
融合タンパク質の発現
キメラ融合タンパク質H6−TripUB IEPD↓SP、H6−IEPD−RAP、H6−IEGR−RAP、H6Ubi−IEPD−ApoA1、H6Ubi−IEGR−ApoA1、H6−IEPD−TN123およびH6−TripUB変種を調製するために、発現ベクターpT7H6−TripUB IEPD↓SP、pT7H6−IEPD−RAP、pT7H6−FX−RAP、pT7H6Ubi−IEPD−ApoA1、pT7H6Ubi−IEGR−ApoA1、pT7H6−IEPD−TN123、pT7H6−TripUB IQAD↓SP、pT7H6−TripUB IQAD↓SG、pT7H6−TripUB VGPD↓SP、pT7H6−TripUB VGPD↓FG、pT7H6−TripUB IEPD↓TQ、pT7H6−TripUB IEPD↓IV、pT7H6−TripUB IEPD↓EP、およびpT7H6−TripUB IEPD↓EG(最後の8つはH6−TripUB変種と称する)を、Studier FWら(1990)により記載されているようにして、イー・コリBL21細胞中中程度のスケールで成長させた(3リットル;2xTY培地、5mM MgSOおよび0.1mg/mlアンピシリン)。37℃で指数関数的に成長する培養物をOD600=0.8でバクテリオファージλCE6で、約5の多重度で感染させた。培養物を37℃でさらに4時間成長させ、遠心分離により細胞を収穫した。細胞を100mlの750mM NaCl、100mM Tris−HCl pH8、および1mM EDTA pH8中に懸濁させた。フェノール(150ml、Trisoma塩基でpH8に調節)をそれぞれに添加し、混合物を音波処理して、全タンパク質を抽出した。遠心分離(10.000gで25分)により清澄化した後、2.5体積の96%エタノールを添加し、遠心分離することにより、粗タンパク質フラクションをフェノール相から沈殿させた。タンパク質ペレットを75mlの6Mグアニジウムクロリド、50mM Tris−HCl pH8、および100mMジチオトレイトール(DTT)中に溶解させた。
【0113】
H6−TripUB IEPD↓SP、H6−IEPD−RAP、H6−IEGR−RAP、H6Ubi−IEPD−ApoA1、H6Ubi−IEPD−ApoA1およびH6−TripUB変種の精製
Sephadex G−25 Fine(Amersham Biosciences)上で、8M尿素、500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール中にゲル濾過した後、H6−IEPD−TripUBおよびH6−IEPD−RAP融合タンパク質の粗タンパク質調製物をバッチ吸着により、精製のために、Ni2+活性化NTA−アガロース(Ni2+−NTA−アガロース、Quiagen)カラム(通常50〜75mlカラム体積)にかけた(Hochuli Eら、1988)。カラムを次のもので洗浄した:
1.2xカラム体積の8M尿素、500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール
2.1xカラム体積の8M尿素、500mM NaCl、50mMリン酸ナトリウム pH6.3、および10mM 2−メルカプトエタノール
3.1xカラム体積の6Mグアニジウムクロリド、および50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール
4.2xカラム体積の500M NaCl、および50mM Tris−HCl pH8
精製された融合タンパク質を次いで500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM EDTAで溶出した。
【0114】
H6−IEPD−TN123融合タンパク質の精製およびリホールディング
Sephadex G−25 Fine(Amersham Biosciences)上で8M尿素、500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール中にゲル濾過した後、H6−IEPD−TN123融合タンパク質の粗タンパク質調製物を、精製およびインビトロリホールディングのためにバッチ吸着によりNi2+活性化NTA−アガロース(Ni2+−NTA−アガロース、Quiagen)カラム(通常、50〜75mlカラム体積)にかけた。カラムを次のもので洗浄した:
1.2xカラム体積の8M尿素、500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール
2.1xカラム体積の8M尿素、500mM NaCl、50mMリン酸ナトリウム pH6.3、および10mM 2−メルカプトエタノール
3.1xカラム体積の6Mグアニジウムクロリド、50mM Tris−HCl pH8、および10mM 2−メルカプトエタノール
各融合タンパク質を次いで、Thogersenら(国際特許出願番号WO9418227)によりプラスミノーゲンクリングル4について記載されているような反復リホールディング処理に付した。リホールディング処理が完了した後、それぞれのリホールドされた融合タンパク質を次いで500mM NaCl、50mM Tris−HCl pH8、10mM EDTA中Ni2+−NTA−アガロースから溶出させた。
【0115】
それぞれのリホールドされた融合タンパク質を50mM NaCl、25mM酢酸ナトリウム pH5.0、および1mM CaCl中にゲル濾過し、50mM NaCl、25mM酢酸ナトリウムpH5.0および1mM CaClから1M NaCl、25mM酢酸ナトリウムpH 5.0、1mM CaClの塩勾配を使用して、SP SepharoseTM Fast Flow(Amersham Biosciences、1.6(内径)×20センチメートルカラム)イオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製した。
それぞれの正しくホールドされたタンパク質生成物の最終精製を次いで、25mM NaCl、10mM Tris−HCl pH 8、および1mM CaCl中にゲル濾過し、続いて25mM NaCl、10mM Tris−HCl pH8、および1 mM CaClから500mM NaCl、10mM Tris−HCl pH8、および1mM CaClの塩勾配を使用して、Qセファロースファーストフロー(Amersham Biosciences、1.6(内径)×20センチメートルカラム)上イオン交換クロマトグラフィーにより行った。
【0116】
実施例8
GrB−H6、GrB−H6 C228FおよびFXaによる調製された融合タンパク質の開裂
GrB−H6によるH6−TripUB IEPD↓SPの開裂
Ni2+−NTA−アガロースカラムから溶出された融合タンパク質H6−TripUB IEPD↓SP(実施例7において記載するようにして調製)を100mM HEPES pH7.5中にゲル濾過し、トップフラクションの200μlのサンプルを室温で0、1または10μlのいずれかの活性化GrB−H6(約0、0.2および2μgのGrB−H6)と共にインキュベートした。
SDS PAGEのサンプルを12、19、および24時間のインキュベーション後に採取し、ゲルを図4および5に示す。
図4中レーンC〜Dおよび図5中レーンC〜Gにおいて正しく開裂された生成物のみが出現し、1および10μlのGrB−H6の両方の添加について、インキュベーション時間が長くなるほど、レーンにおいてより多くの開裂生成物が出現した。観察される簡単なバンドパターンを図6において説明する。IEPD配列後の正しい部位での開裂は図4中レーンEにおいて確認され、ここにおいて、GrB認識部位IEPDの代わりにFX認識部位IQGRを含有する構築物H6−FX−TripUBをFXにより開裂させて、GrB−H6開裂H6−TripUB IEPD↓SPと同じ大きさの生成物を得る。
【0117】
GrB−H6によるH6−TripUB IEPD↓SPの開裂に対する温度ならびにNi2+およびNTAの添加の影響
各インキュベーションについて200μlのH6−TripUB IEPD↓SPおよび5μlのGrB−H6(約1μgのGrB−H6)を用いてH6−TripUB IEPD↓SP融合タンパク質を用いて、次の9種のインキュベーション(表9)を準備した。
【0118】
【表9】

【0119】
インキュベーションの2、7および22時間後にSDS PAGE用のサンプルを採取した。図7、8およに9参照。
Ni2+イオンは融合タンパク質のhexa−Hisテール(H6)のN末端に結合し、GrB−H6により認識される開裂部位への接近を促進すると考えられる。加えて、Ni2+イオンは、GrB−H6構築物のC末端hexa−Hisテールに結合する。Ni2+−NTAアガロースビーズ上と同様に溶液中のNTAのNi2+イオンをシールドするために、すなわち、Ni2+−NTAアガロースカラム上の状態を刺激するためにNTAの添加を行った。
図7は23℃、図8は37℃、図9は42℃でのインキュベーションを示す。Ni2+またはNTAが添加されない場合、H6−TripUB IEPD↓SP融合タンパク質は図4および5においてみられるのと同様に開裂したが、22時間後、37℃でのインキュベーションが試験された3種の温度のうち最適であるようである。
【0120】
4.2mM Ni2+を添加すると、一部のタンパク質は37℃および42℃の高温で沈殿するが、23℃では沈殿は見られなかった。このために、これらの2種の温度では2時間インキュベーション後に融合タンパク質の開裂はゲルにおいて見られず、この場合、H6−TripUB IEPD↓SPおよびGrB−H6のどちらも一部沈殿するようである。23℃で、Ni2+を添加しないよりも22時間後に多くの融合タンパク質が開裂した。
観察される沈殿の問題は、インキュベーションに5mMのNTAを添加することにより解消された。23℃で22時間インキュベーション後、Ni2+またはNTAを添加しないよりも多くの融合タンパク質が開裂し、したがってNi2+およびNTAの添加は開裂反応を促進するようである。さらに温度を37℃および42℃に上昇させることにより、開裂速度のさらなる増大が見られる。37℃で22時間インキュベーション後に、融合タンパク質のほとんど全てが開裂して正しい生成物になった。42℃で22時間後にはほとんど開裂しなかった。
図4および6において示される実験において当初推定される開裂速度を、ここで観察される開裂速度と比較すると、Ni2+およびNTAの添加ならびに37℃でのインキュベーションはGrB−H6によるH6−TripUB IEPD↓SPの特異的開裂を劇的に促進することは明らかである。
【0121】
GrB−H6によるH6−IEPD−RAPの開裂
Ni2+−NTA−アガロースカラムから溶出される融合タンパク質H6−IEPD−RAP(実施例7に記載するようにして調製)を100mM HEPES pH7.4中にゲル濾過し、トップフラクションの200μlのサンプルを室温で、0、1または10μlのいずれかの活性化GrB−H6(約0、0.2および2μgのGrB−H6)と共に室温でインキュベートした。5、23および26時間インキュベーション後にSDS PAGE用サンプルを採取した。図10参照。
前記のような1または10μlのGrB−H6とわずか5時間インキュベーション後に、H6−IEPD−RAPの全部が開裂して、最終生成物を得た。RAPにおいて少なくとも1つの内部開裂部位が存在するが、この内部部位はIEPD配列よりもずっと遅く開裂することは明らかである。このIEPD配列でGrB−H6がH6を正しく開裂させたことは、生成物の大きさを、FXにより部分的(レーンH)または完全(レーンI)に開裂されたH6−FX−RAPの精製されたサンプルと生成物のサイズを比較することによりわかる。これらのレーンにおいて、FXによる任意の内部開裂から得られる変性生成物を精製により除去した。
【0122】
GrB−H6によるH6−IEGR−RAP開裂とFXによるH6−IEPD−RAP開裂の比較
GrB−H6によるH6−IEPD−RAPの開裂を、FXによるH6−IEGR−RAPの開裂と比較した。H6−IEPD−RAPおよびH6−IEGR−RAPのどちらも100mM HEPES pH7.4中溶液であり、プロテアーゼ:融合タンパク質比1:1000、室温(23℃)で次のインキュベーションを準備した:
1.400μl(約500μg)H6−IEGR−RAP+0.5μl FX(1mg/ml)(約0.5μg)
2.400μl(約400μg)H6−GrB−RAP+2μl GrB−H6(約0.4μg)
【0123】
インキュベーションの0、1/2、1、3、5、7および27時間後にSDS PAGE用サンプルを採取した。図11参照。
両融合タンパク質がそのそれぞれのプロテアーゼにより非常に迅速に開裂したことは明らかである。わずか1/2時間後にほとんど全ての融合タンパク質が開裂して、両インキュベーションについて正しい生成物が得られた。
しかしながら、H6−IEGR−RAP+FXインキュベーションについて、融合タンパク質の全ては分解して、27時間後に様々なより小さなフラグメントが得られ、正しく開裂された生成物は残っていなかった。
H6−IEPD−RAP+GrB−H6インキュベーションにおいて、分解フラグメントも見られるが、H6−IEGR−RAP+FXインキュベーションにおけるほど多くない。19の可能な部位(RAP生成物における19Asp残基)のうちRAPにおけるGrB−感受性部位の1つだけしかないようであるが、いくつかのFX感受性部位(26の可能な部位、26Arg残基)があるようである。これはGrB−H6によるH6−IEPD−RAPの分解を遅くし、これによりかなり多くの正しく開裂された生成物(約25%)がインキュベーションの27時間後にも依然として存在する。
まとめると、GrB−H6によるRAP融合タンパク質の正しい開裂はFXによるのとちょうど同じくらい速いが、GrB−H6によるRAP融合タンパク質の分解は、FXによる分解よりもずっと遅い。この実施例において、GrB−H6プロテアーゼは従ってFXよりも優れ、GrB−H6は非常に特異的なプロテアーゼであることが示される。
【0124】
GrB−H6 C228FによるH6Ubi−IEPD−ApoA1開裂およびFXによるH6Ubi−IEGR−ApoA1開裂の比較
H6Ubi−IEPD−ApoA1+GrB−H6 C228FおよびH6Ubi−IEGR−ApoA1+FXの開裂反応のために、プロテアーゼ:基質比はここでも1:1000であり、23℃、100mM HEPES pH7.75中で行った:
1.250μl(約400μg)H6Ubi−IEPD−ApoA1+0.4μg GrB−H6 C228F
2.250μl(約350μg)H6Ubi−IEGR−ApoA1+0.35μg FX
【0125】
0、1、3、6、24および48時間23℃でインキュベーション後にSDS PAGE用にサンプルを採取した。図12参照。
GrB基質、H6Ubi−IEPD−ApoA1は23℃でわずか6時間インキュベーション後に約100%が開裂するが、FX基質、H6Ubi−IEGR−ApoA1は6時間後に小フラクションしか開裂しなかった。FXは、FX基質の開裂を完了するために48時間以上を必要とすることもわかる。
前記の2つおn実施例において、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fプロテアーゼは、精製されたウシFX(ここにおいて、Xは認識部位IEPDまたはIEGRを示す)より速く(H6Ubi−X−ApoA1の場合)またはより特異的に(H6−X−RAPの場合)開裂するので、どちらも上記のようにFXよりも優れている。これらの2つの実施例で、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fはどちらもhexa−Hisテール(H6−IEPD−RAPにおけるH6)のような短いN末端タグを開裂でき、かつ興味のあるポリペプチドに隣接するGrB開裂部位を含む短リンカー配列(ここにおいて、H6Ubi−IEPD−ApoA1におけるApoA1、リンカー配列GGSIEPDを有する、ここにおいて、IEPDはGrB認識部位である)により非常に近接して結合した2つのタンパク質ドメイン間を開裂できる。上記の場合のどちらにおいてもN末端シーケンシングによりGrB−H6およびGrB−H6 C228Fは正しく開裂された生成物を生成することが立証された。
【0126】
GrB−H6によるH6−IEPD−TN123の開裂
Qセファロースから溶出される融合タンパク質H6−IEPD−TN123(実施例7に記載されるようにして調製)は最終精製後、100mM HEPES pH7.5中にゲル濾過され、トップフラクションの200μlのサンプルを室温で、0、1、または10μlのいずれかの活性化GrB−H6(約0、0.2および2μgのGrB−H6)と共にインキュベートした(どちらも5mM CaClの存在下および不在下で)。CaClが存在しないインキュベーションから12、19および24時間ならびに5日インキュベーション後にSDS PAGE用サンプルを採取した。図4、5および13参照。CaClの存在下および不在下の両方でのインキュベーションからのSDS PAGE用サンプルを約20および48時間インキュベーション後に採取した。図14参照。
【0127】
Ca2+無し:
図4、5および13においてみられるように、H6−IEPD−TN123がCa2+の不在下でGrB−H6で開裂された場合に、サンプルは独立したバンドパターンを示した。H6−IEPD−TN123はIEPD配列で正しく開裂されたが、配列AQPDの内部部位と同程度に迅速であった。バンドパターンを図15に示す。H6−IEPD−TN123が正しいIEPD↓部位で開裂されたことは図4のレーンJからわかり、ここにおいてネズミH6−FX−TN123はFXにより開裂され、H6−IEPD−TN123のGrB−H6開裂からの生成物と同じ大きさの生成物が得られ、内部開裂はなく、すなわち、パターンにおいて4つのバンドの最低のバンドである。
図13のレーンB〜DおよびL〜Nにおけるようにサンプルが還元された場合、異なるバンドパターンが出現する。このパターンも図15において説明され、特異的内部開裂部位AQPDの概念を支持する。
【0128】
Ca2+有り:
図11はGrB−H6を用いたH6−IEPD−TN123のインキュベーションを示し、ここにおいて、5mM CaClをインキュベーションの一部に添加した。Ca2+が存在する場合、2つのバンドしか出現せず(レーンEおよびG)、一方、図4、5、13および15に示すように、Ca2+が存在しない場合、4つのバンドが出現する。これは、Ca2+をインキュベーションに添加することにより、テトラネクチン(TNq123)における内部開裂部位AQPDはGrB−H6に接近できなくなることを示す。これは、AQPD配列がループ内に位置するためであり、この場合、QおよびD残基はテトラネクチンにおけるCa2+−イオン結合に関与する。従って、融合タンパク質において特定のIEPD部位で正しい開裂のみが起こり、TN123における内部開裂部位はCa2+の添加により「停止」される。
【0129】
H6−TripUB変種の開裂
Ni2+−NTA−アガロースカラムから溶出される融合タンパク質のそれぞれを100mM HEPES pH7.4中にゲル濾過し、5つの異なるH6−TripUB変種のほぼ同じ濃度のフラクションを使用した。5つの変種は、H6−TripUB IEPD↓SP、H6−TripUB IQAD↓SP、H6−TripUB IQAD↓SG、H6−TripUB VGPD↓SPおよびH6−TripUB VGPD↓FGであった。それぞれの融合タンパク質のうち、200μlを室温、23℃で、5μlの活性化GrB−H6(約1μgのGrB−H6)と共にインキュベートした。プロテアーゼ:融合タンパク質比は従って1:500であった。SDS PAGE用サンプルを2、6、24および48時間インキュベーション後に採取し、ゲルを図16および17に示す。
【0130】
図16において、H6−TripUB IEPD↓SP、H6−TripUB IQAD↓SPおよびH6−TripUB IQAD↓SGのサンプルを示す。48時間インキュベーション後、非開裂H6−TripUB IEPD↓SPのもとの量のおよそ2/3が正しく開裂された。比較して、配列IQAD↓SPの開裂は、H6−TripUB IEPD↓SPにおけるIEPD↓SP配列の開裂よりもずっと遅かった。2時間インキュベーション後に見ることができる生成物は無く、ごく少量が48時間インキュベーション後に開裂した。H6−TripUB IQAD↓SGサンプルから、開裂はH6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−TripUB IQAD↓SPのどちらについてよりもずっと速いことは明らかであった。2時間インキュベーション後、融合タンパク質の大部分は開裂して、正しい生成物を得た。認識配列におけるP2’部位でPro(P)がGly(G)に1回突然変異することは、開裂速度におけるこの劇的な変化に十分であった。
【0131】
図17において、H6−TripUB VGPD↓SPおよびH6−TripUB VGPD↓FGインキュベーションからのサンプルを示す。VGPD↓SP配列の開裂は、図16におけるH6−TripUB IEPD↓SPとほとんど同程度に速かった。2時間後に少量の生成物が形成され、融合タンパク質の量のほぼ半分は48時間後に開裂した。反応速度における劇的な変化は、P1’およびP2’部位がH6−TripUB VGPD↓SPにおいてSPからFGに変化した場合に起こった。わずか2時間インキュベーション後に、融合タンパク質の全部が正しく開裂された。
図18は、H6−TripUB IEPD↓SPと比較したH6−TripUB IEPD↓TQおよびH6−TripUB IEPD↓IVの開裂のサンプルを示す。H6−TripUB IEPD↓TQおよびH6−TripUB IEPD↓IVの2つの構築物は、H6−TripUB IEPD↓SPのTrip部分の欠失突然変種であり、この場合、H6−TripUB IEPD↓TQにおいて最初の7つの残基が欠失し、H6−TripUB IEPD↓IVにおいて最初の13の残基が欠失している。
【0132】
ここでもプロテアーゼ:融合タンパク質比は1:500であり、反応は23℃で行われた。SDS PAGE用サンプルを、4、24、および96時間インキュベーション後に採取した。
図18において示されるゲルから、H6−TripUB IEPD↓TQおよびH6−TripUB IEPD↓IVのどちらの開裂もH6−TripUB IEPD↓SPについてよりずっと速いことは明かである。次の図19に示すように、これはH6−TripUB IEPD↓SPのP2’部位におけるProのためである。
図19、パネルAは、H6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−TripUB IEPD↓EPの開裂を示し、パネルBはH6−TripUB IEPD↓EPおよびH6−TripUB IEPD↓EGの開裂を示す。ここでもプロテアーゼ:融合タンパク質比は1:500であり、開裂反応ミックスを23℃および37℃の両方でインキュベートした。パネルAにおけるゲルについて、SDS PAGE用サンプルを0、4、24および48時間後、パネルBにおけるゲルについては0、6、24および50時間後に採取した。
これらのゲルから、P2’部位におけるProはGrB−H6 C228Fによる開裂の速度について不利であることは明らかである。しかし驚くべきことに、GrB−H6 C228FはIEPD↓EP部位を含有する基質を開裂させることができる。これはこの部位をIEPD↓SP部位と同じ低効率で開裂させるが、P’部位におけるGlu(E)などの酸性残基は、ほとんどのセリンプロテアーゼ、例えば精製されたウシFXなどによる開裂を廃することで有名である。
【0133】
本発明者らは、IEPD↓SP、IQAD↓SP、IQAD↓SG、IEPD↓EP、およびIEPD↓EGにおけるP’P’部位を考慮するならば、プロリンからグリシンへのP’部位における変化は開裂を劇的に向上させることを示す。このP’位におけるGについての優先性は、Harris JLら、1998により、wt rat GrBについて、ファージ粒子上に提示されたペプチド基質を用いて見いだされた。ここでも、GrB−H6 C228Fは、P’におけるEの代わりにIEPD↓EG部位での驚くほど有効な開裂を示し、これは前記のように、ほとんどのセリンプロテアーゼによる開裂の妨害について当該分野において周知である。プロテアーゼ:基質比が1:500で、GrB−H6 C228FがH6−TripUbi IEPD↓EGの開裂を完了するのに5時間未満かかる。この点に関しても、GrB−H6 C228FはFXより優れている。
これらの観察に加えて、48時間GrB−H6またはGrB−H6 C228Fと共にインキュベーションした後でさえも、H6−TripUB変種のいずれにおいても内部開裂は起こらず、このことは、TripUB配列が7の他のAsp(D)残基を含有していても、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fが操作された認識部位で非常に特異的に開裂することを示す。
【0134】
実施例9
グランザイムBの固定化
開裂混合物からグランザイムBを容易に除去できるようにするために、以下に記載するような6つの実験においてゲルマトリックス上に固定化するために、GrB−H6 C228F変種を使用した。
固定化は、0.3M NaHCO/NaOH、pH8.6中、Mini−Leak(Kem−En−Tec)と呼ばれるジビニルスルホン活性化マトリックスを使用して行われた。2レベルの活性化を使用した;1リットルの沈殿したビーズあたりそれぞれ2〜5ミリモルおよび10〜50ミリモルのビニル基、活性化の各レベルについて、異なるタンパク質濃度およびPEG20000の存在下または不在下で3回の実験を行った。6回の実験を表10にまとめる。固定化のために、0.3M NaHCO/NaOH;pH8.6中GrB−H6 C228Fを、タンパク質標準としてウシ血清アルブミンを使用したBradford検定から推定すると4mg/mlのタンパク質濃度で使用した。GrB−H6 C228F溶液の酵素活性を、緩衝液0.3M NaHCO/NaOH;pH8.6および30%PEG20000;0.3M NaHCOを検定緩衝液として使用して、実施例4に記載するようにして測定した。固定化は、流出ゲル、タンパク質溶液、および緩衝液を混合することにより行い、表10に記載した体積および濃度を得、続いて室温で48時間混合した。
【0135】
【表10】

【0136】
遠心分離によりゲルを抜き取り、上清を除去した後に600μlの0.2Mエタノールアミン、pH9.0を添加することにより過剰の活性基をブロックし、続いて室温で一夜混合した。ゲルを3回1M NaClで洗浄することにより未結合タンパク質を除去し(遠心分離、それに続いて上清を除去)、最後にゲルを250mM NaCl;50mM Tris−HCl、pH8.0で洗浄した。抜き取られたゲルマトリックスを秤量し、100mM HEPES、pH7.75;400μM Ac−IEPD−pNA(Calbiochem)を含有する300μlの基質溶液と混合することにより固定化GrB−H6 C228Fの酵素活性を推定し、次いである期間インキュベーションした後の上清のΔOD405nmを測定して、抜き取ったゲル1グラムあたりの基質溶液1ミリリットルあたりのΔOD405nm/分を決定した。適用された酵素の全てがカップリングし、活性である場合の計算された酵素活性のパーセンテージとしてカップリング効率を決定するために固定化GrB−H6 C228Fの酵素活性を使用した。
【0137】
カップリング効率も表10に記載し、2つの活性化レベル間にカップリング効率の有意な差は無く、効率も2つのタンパク質濃度について同じ範囲内であり、固定化混合物において高いタンパク質濃度を使用する場合に最高のカップリングレベルが得られる。PEG20000をカップリング混合物に添加することが固定化に好ましいかどうかを推定することはできず、高いタンパク質濃度についても評価しなかった。
固定化GrB−H6 C228Fの尿素およびグアニジウムクロリド(GdmCl)に対する安定性を、高いタンパク質濃度での2つの固定化について決定した(実験CおよびF)。実験CおよびFからのゲルマトリックスをそれぞれ3つの小スピンカラム中アリコートに分け、8M尿素;0.5M NaCl;50mM Tris−HCl、pH8.0(尿素)と6Mグアニジウムクロリド;50mM Tris−HCl、pH8.0(GdmCl)、または100mM HEPES、pH7.75(HEPES)のいずれかと30分間室温でインキュベートした後、100mM HEPES、pH7.75中で洗浄し、平衡化した。固定化GrB−H6 C228Fの酵素活性を次いで前記のようにして測定した。
得られた酵素活性を以下の表11に示す。非変性HEPES緩衝液とともにインキュベーションした場合と比較してインキュベーション後に酵素活性は増大するので、尿素での変性は固定化GrB−H6 C228Fに好ましいようであるが、グアニジウムクロリドでの変性は酵素活性を若干減少させる効果を有するようである。
【0138】
【表11】

固定化GrB−H6 C228Fの機能は、実施例6に記載されるようにして調製された融合タンパク質H6−TripUB IQAD↓SPおよびH6−TripUB IQAD↓SGの開裂により証明された。開裂実験は、6つの固定化実験からの50μlの各ゲルマトリックスで行った。ゲルマトリックスを100mM HEPES、pH7.75を含有する200μlの緩衝液中に再懸濁させ、2つの融合タンパク質のそれぞれの100μlタンパク質溶液とともに室温で一夜振とうしながらインキュベートした。上清のサンプルを抜き取り、非還元性SDS−PAGEにより分析した。図20参照。
12の開裂実験の全てについて、融合タンパク質を開裂させて、これからH6融合タンパク質が開裂されるTripUbi部分に対応する1つの生成物を得る。予想されるように、若干多くの融合タンパク質が実験CおよびFからのゲルマトリックスにより開裂され、これは最高のカップリングレベルを有する。開裂効率は評価しなかった。
【0139】
引用文献
Christensen J.H.ら(1991)、FEBS Letters、281(1−2):181−184.
Nykjaer A.ら(1992)、Journal of Biological Chemistry,267(21):14543−14548.
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Thogersenら(1994)、国際特許出願WO9418227
Sun J.ら(2001)、Journal of Biological Chemistry 276(18):15177−15184.
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、以下の比色検定を用いて数日間追跡したGrB−H6のFXとのインキュベーションの活性を示す。
【図2】図2は、GrB−H6およびGrB−H6 C228Fの両方のいくつかの発色性基質:Ac−IEPD−ρNA、Ac−LEED−pNA、Ac−VEID−pNA、Ac−YVAD−pNA、およびAc−DEVD−pNAに対する活性を示す。
【図3】図3、パネル(A)は、GrB−H6 C228Fを100mM HEPES(pH7.4)中、4℃、23℃、および37℃でインキュベーションして得られるサンプルのSDS PAGEを示す。図3、パネル(B)は、100mM HEPES(pH7.4)中、4℃、23℃、および37℃でインキュベートし、0、6、(10)、および15日後に測定したGrB−H6 C228Fのサンプルの活性を示す。
【図4】図4は、GrB−H6と12時間インキュベーションした後のH6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−IEPD−TN123インキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
【図5】図5は、インキュベーションの12、19および24時間後のGrB−H6+H6−TripUB IEPD↓SPインキュベーションからのサンプル、ならびにGrB−H6−IEPD−TN123インキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。
【図6】図6は、図2および3におい観察される単純なバンドパターンを説明する。
【図7−9】図7、8および9は、添加無し(1)、4.2mMのNi2+を添加(2)、および4.2mMのNi2++5mMのNTAを添加(3)した、23℃(図5)、37℃(図6)および42℃(図7)でのH6−TripUB IEPD↓SP+GrB−H6インキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
【図10】図10は、1または10μlのGrB−H6と共にH6−IEPD−RAPをインキュベーションしたものからのサンプルのSDS PAGEを示す。
【図11】図11は、H6−IEPD−RAP+GrB−H6およびH6−IEPD−RAP+FXインキュベーションから得られるサンプルのSDS PAGEを示す。
【図12】図12は、H6Ubi−IEPD−ApoA1+GrB−H6 C228FおよびH6Ubi−IEGR−ApoA1+FXインキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。
【図13】図13は、Ca2+を添加せずに12時間および5日間H6−IEPD−TN123+GrB−H6インキュベーションして得られるサンプルのSDS PAGEである。
【図14】図14は、5mM Ca2+を添加して12時間および2日後のH6−IEPD−TN123+GrB−H6インキュベーションからのサンプルのSDS PAGEを示す。一部のサンプルは還元された。
【図15】図15は、図2、3、10および11におけるSDS PAGEゲル上で観察されるバンドパターンの概略図を示す。
【図16】図16は、5つのH6−TripUB変種ののうちの3つとGrB−H6のインキュベーションから得られるサンプルである。
【図17】図17は、5つのH6−TripUB変種のうちの2つとGrB−H6のインキュベーションから得られるサンプルを示す。
【図18】図18は、H6−TripUB IEPD↓SP、H6−TripUB IEPD↓TQおよびH6−TripUB IEPD↓IVをGrB−H6とプロテアーゼ:融合タンパク質比が1:500で、23℃でインキュベーションして得られるサンプルを示す。
【図19】図19、パネルAは、H6−TripUB IEPD↓SPおよびH6−TripUB IEPD↓EPとGrB−H6 C228Fをプロテアーゼ:融合タンパク質比1:500、合計体積200μlで、21℃と37℃の両方でインキュベーションして得られるサンプルを示す。 図19、パネルBは、H6−TripUB IEPD↓EGおよびH6−TripUB IEPD↓EPとGrB−H6 C228Fをプロテアーゼ:融合タンパク質比が1:500、合計体積200μlで、22℃と37℃の両方でインキュベーションして得られるサンプルを示す。
【図20】図20は、H6−TripUB IQAD↓SPまたはH6−TripUB IQAD↓SGのいずれかと固定化GrB−H6 C228Fの6つの異なる調製物(実験A〜F(実施例9に記載))とのインキュベーションから得られるサンプルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真正形態における興味のあるポリペプチドの調製法であって:
(i)そのN末端からC末端までに、(a)融合パートナー、(b)グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位、(c)興味のあるポリペプチド(前記開裂部位が興味のあるポリペプチドに隣接している)を含む融合タンパク質を提供する工程、および
(ii)前記融合タンパク質をグランザイムBプロテアーゼと接触させて、これを前記開裂部位で開裂させて、真正形態の興味のある前記ポリペプチドを得る工程を含む方法。
【請求項2】
グランザイムBプロテアーゼ認識部位が、一般式:
P4P3P2P1↓
(式中、
P4はアミノ酸IまたはVであり
P3はアミノ酸E、QまたはMであり
P2はX(ここにおいて、Xは任意のアミノ酸である)であり
P1はアミノ酸Dであり
↓は前記グランザイムBプロテアーゼの開裂部位である)
のアミノ酸配列を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
グランザイムBプロテアーゼ認識部位が、ICPD↓、IEAD↓、IEPD↓、IETD↓、IQAD↓、ISAD↓、ISSD↓、ITPD↓、VAPD↓、VATD↓、VCTD↓、VDPD↓、VDSD↓、VEKD↓、VEQD↓、VGPD↓、VEID↓、VRPD↓、VTPD↓、LEED↓、LEID↓、LGND↓、LGPD↓、AQPD↓からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、ここにおいて↓が前記グランザイムBプロテアーゼの開裂部位を表す、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一般式がさらに、アミノ酸P1’およびP2’を含み、その結果、一般式P4P3P2P1↓P1’P2’(式中、P1’はXであり、ここにおいてXは任意のアミノ酸を表し、P2’はGであり、ここにおいてP1’およびP2’は興味のあるポリペプチドの一部である)になる、請求項2記載の方法。
【請求項5】
一般式がさらに、アミノ酸P1’、P2’、P3’およびP4’を含み、その結果、一般式P4P3P2P1↓P1’P2’ P3’P4’(式中、P4’はDまたはEであり、ここにおいてP1’、P2’、P3’およびP4’は興味のあるポリペプチドの一部である)になる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
興味のあるポリペプチドが、酵素、ポリペプチドホルモン、単鎖抗体可変領域フラグメント、およびアポリポタンパク質Aからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ポリペプチドホルモンが、ソマトトロフィン、グルカゴン、インシュリンおよびインターフェロンからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
酵素がグランザイムBである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
融合パートナーがアフィニティータグである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
アフィニティータグが、ポリヒスチジンタグ、ポリアルギニンタグ、FLAG−タグ、Strepタグ、c−myc−タグ、S−タグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ペプチド、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグ、およびマルトース結合タンパク質からなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
グランザイムBプロテアーゼが、ヒトグランザイムBプロテアーゼ、マウスグランザイムBプロテアーゼおよびラットグランザイムBプロテアーゼからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
グランザイムBプロテアーゼが、システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに変異している、配列番号57に示されるヒトグランザイムBプロテアーゼ変種である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
グランザイムBプロテアーゼが固定化形態である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
グランザイムBプロテアーゼがC末端を介して固定化される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
グランザイムBプロテアーゼがリシンアミノ酸残基により固定化される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
アフィニティータグがポリヒスチジンタグであり、融合タンパク質がNi2+イオンおよびニトリロトリ酢酸(NTA)の存在下でグランザイムBプロテアーゼと接触する、請求項10記載の方法。
【請求項17】
Ni2+の濃度が1〜20mMの範囲であり、NTAの濃度が1〜20mMの範囲である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
そのN末端からC末端までに、(a)融合パートナー、(b)グランザイムBプロテアーゼ開裂部位を含むグランザイムBプロテアーゼ認識部位、および(c)興味のあるポリペプチド(ここにおいて、前記開裂部位は興味のあるポリペプチドに隣接している)を含む、融合タンパク質。
【請求項19】
グランザイムBプロテアーゼ認識部位が、一般式:
P4P3P2P1↓
(式中
P4はアミノ酸IまたはVであり
P3はアミノ酸E、QまたはMであり
P2はXである(ここにおいて、Xは任意のアミノ酸である)
P1はアミノ酸Dであり
↓はグランザイムBプロテアーゼの開裂部位である)
のアミノ酸配列を有する、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項20】
グランザイムBプロテアーゼ認識部位が、ICPD↓、IEAD↓、IEPD↓、IETD↓、IQAD↓、ISAD↓、ISSD↓、ITPD↓、VAPD↓、VATD↓、VCTD↓、VDPD↓、VDSD↓、VEKD↓、VEQD↓、VGPD↓、VEID↓、VRPD↓、VTPD↓、LEED↓、LEID↓、LGND↓、LGPD↓、AQPD↓からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、ここにおいて↓は前記グランザイムBプロテアーゼの開裂部位である、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項21】
一般式がさらに、アミノ酸P1’およびP2’を含み、その結果、一般式P4P3P2P1↓P1’P2’(式中、P1’はXであり、ここにおいてXは任意のアミノ酸を表し、P2’はGであり、ここにおいてP1’およびP2’は興味のあるポリペプチドの一部である)になる、請求項19記載の融合タンパク質。
【請求項22】
一般式がさらに、アミノ酸P1’、P2’、P3’およびP4’を含み、その結果、一般式P4P3P2P1↓P1’P2’ P3’P4’(式中、P4’はDまたはEであり、ここにおいてP1’、P2’、P3’およびP4’は興味のあるポリペプチドの一部である)になる、請求項19記載の融合タンパク質。
【請求項23】
興味のあるポリペプチドが、酵素、ポリペプチドホルモン、単鎖抗体可変領域フラグメント、およびアポリポタンパク質Aからなる群から選択される、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項24】
ポリペプチドホルモンが、ソマトトロフィン、グルカゴン、インシュリンおよびインターフェロンからなる群から選択される、請求項23記載の融合タンパク質。
【請求項25】
酵素がグランザイムBである、請求項23記載の融合タンパク質。
【請求項26】
グランザイムBがC末端ポリヒスチジンタグを含む、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項27】
pro−IEPD−GrB−H6(配列番号2)およびpro−IEAD−GrB−H6(配列番号3)からなる群から選択される、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項28】
pro−IEPD−GrB−H6 C228A(配列番号5)、pro−IEPD−GrB−H6 C228T(配列番号6)、pro−IEPD−GrB−H6 C228V(配列番号7)、およびpro−IEPD−GrB−H6 C228F(配列番号8)からなる群から選択される、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項29】
酵素グランザイムBが、システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに変異している、ヒトグランザイムBプロテアーゼ変種である、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項30】
ヒトグランザイムBプロテアーゼ変種が配列番号57に示される通りである、請求項25記載の融合タンパク質。
【請求項31】
融合パートナーがアフィニティータグである、請求項18記載の融合タンパク質。
【請求項32】
アフィニティータグが、ポリヒスチジンタグ、ポリアルギニンタグ、FLAG−タグ、Strep−タグ、c−myc−タグ、S−タグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ペプチド、キチン結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼタグ、およびマルトース結合タンパク質からなる群から選択される、請求項31記載の融合タンパク質。
【請求項33】
システイン残基228番(キモトリプシノゲンナンバリング)がフェニルアラニンに変異しているヒトグランザイムBプロテアーゼ変種。
【請求項34】
配列番号57に示される、請求項33記載のヒトグランザイムBプロテアーゼ変種。
【請求項35】
請求項33または34に記載のヒトグランザイムBプロテアーゼ変種の使用。
【請求項36】
請求項19〜32のいずれかに記載の融合タンパク質または請求項33または34のいずれかに記載のヒトグランザイムBプロテアーゼ変種をコード化する単離された核酸配列。
【請求項37】
請求項36に記載の単離された核酸配列を含む組換えベクター。
【請求項38】
請求項37に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項39】
請求項18に記載の融合タンパク質または請求項33または34に記載のヒトグランザイムBプロテアーゼ変種の製造法であって:
(i)プロモーターに操作可能に結合した請求項36に記載の単離された核酸配列を含む組換えベクターを提供する工程、
(ii)前記組換えベクターで宿主細胞を形質転換する工程、
(iii)前記宿主細胞を前記融合タンパク質またはヒトグランザイムBプロテアーゼ変種を発現する条件下で培養する工程、および
(iv)所望により前記融合タンパク質またはヒトグランザイムBプロテアーゼ変種を単離する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−524364(P2007−524364A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504365(P2006−504365)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000282
【国際公開番号】WO2004/094478
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505161909)ボレアン・ファルマ・アクティーゼルスカブ (2)
【氏名又は名称原語表記】BOREAN PHARMA A/S
【Fターム(参考)】