説明

グリップの製造方法

本発明は、ハンマー、スクリュー・ドライバー、コテ、プライヤ、ナイフなどの工具用グリップに関連している。
発明に基づき、グリップ(1)は間欠サンドイッチ法で製造され、その場合、グリップ・コア被覆(9)、軟質層(10)および外部層(11)によって、グリップ・コア(6)を簡単な方法で覆うことができる。グリップ・コア(9)と外部層(11)は、ここでは第一材料によって形成され、一方、軟質層(10)は、それより柔らかい第二材料によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とくにねじりモーメントを伝達する工具のグリップ製造方法に関するものであり、例えば、スクリュー・ドライバー用グリップの製造方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
工具グリップの形態基準および評価基準には、とくに以下のものがある。
−グリップの製造コスト
−グリップの重さ
−ひとつの手、場合によっては様々な大きさの手、および様々なグリップ使用者の力に対応するグリップの適応性
−力およびモーメント、とくにスクリュー・ドライバーのようなねじりモーメントを伝達する工具のねじりモーメント伝達性能
従来の技術から、工具用グリップおよびその製造方法については、以下に示すように様々な形態が公知である。
【0003】
スクリュー・ドライバー専用グリップ
US−PS2,871,899は、グリップの触覚を改善する目的で、硬質プラスチック製スクリュー・ドライバーのような工具用グリップを最初に改良したものである。これによると、あらかじめ製造された軟質プラスチック製の外被がグリップ・コアに貼り付けられる。グリップ・コアとグリップ外被とは、ねじりモーメントを伝達するために、溝を取り付けることによる周辺方向への形状結合によって相互に接続されている。軟質プラスチックを使用することにより、グリップの握りが向上する。しかし、このグリップの実地テストでは、負荷が大きい場合に、軟質のグリップ外被がグリップ・コアから外れて、皺ができる可能性のあることが示された。これは「縮絨」と呼ばれ、グリップ外被がコアから離れることにより、グリップを長時間連続して使用する場合に、使用者の手の表面に水疱ができて痛みが生じ、炎症を引き起こしかねない過度の負担が手の骨にかかることになる。
【0004】
このような欠点を解消するために、材料結合的に接続することでグリップ・コアをグリップ外被と結合する以下の方法が提案された。その際、軟質プラスチックは、
−周辺方向へ配分されたグリップ外被部分のみを形成する、または、
−周辺方向に密閉された状態でグリップ・コアを取り囲む。
とくに、DE9202550U1、DE4304965A1、DE29515833U1、DE19539200A1、DE29517276U1、DE29900746U1、DE29904082U1を参照。
【0005】
このように、2種類のプラスチック構成部品から作られたグリップの場合、工具は、第一グリップ部分である硬質プラスチックのグリップ・コアに固定されている。このようなグリップ・コアは、引き続き、軟質プラスチックのグリップ外被で押し出し被覆され(例えば、EP0627974B1を参照)、この部分は第二グリップ部分とも呼ばれる。軟質プラスチックのグリップ外被には一定の柔軟性があり、硬質プラスチックのみで作られたグリップよりも握った時の感触がよくなる。さらに、軟質プラスチックは、場合によっては硬質プラスチックよりも高い摩擦係数を有する。従って、場合によっては、このような「2種類の構成部品によるグリップ」を用いた方が、同サイズの硬質プラスチック製グリップを使用するよりもさらに高いねじりモーメントを伝達することができる。このことは、スクリュー・ドライバー、ねじクランプなどのグリップでは重要となる。
【0006】
US2,871,899は、グリップ・コアに縦方向の穴を設け、その穴に工具のシャフトを圧入し、摩擦接続するという、ねじりモーメントを伝達するグリップを発表している。このグリップ・コアは、シリンダ形の面を有し、内径とほぼ同じ大きさのスリーブをその上にはめ込むことができ、スリーブはそこで摩擦により保持されている。スリーブの材質は、グリップ・コアの材質よりも柔軟で、緩衝作用がより強い。そのために、例えば、硬度が40〜90ショアAで、緩衝性のある、ゴムに似た材料が使用されている。とくにネオプレン・ゴムは硬度が55〜70ショアAであり、引張強さは、約350%の伸びで1500〜2000ポンド/インチである。スリーブとグリップ・コアとの摩擦接続の他に、接着剤を使用したり、前後方向に弾性のある形状結合を用いたりすることもできる。このスリーブは、射出成形部品にすることができる。さらに、周辺方向への形状結合を行うために、グリップ・コアの外面およびスリーブの内面に前後方向に走る溝、突出部または歯を取り付けることができる。
【0007】
DE69421765T2(EP0635337B1)は、スクリュー・ドライバーのシャフトの上にプラスチック材料を重ね合わせて層を形成するという従来の技術を前提としている。スクリュー・ドライバーのシャフトが埋め込まれている中心の層は、第一層として形成され、グリップの外周となる層がこの中心層の上、または中間層の上に形成される。このような形態には、複数の押出しヘッド(通常は2つまたは3つのヘッド)を使ったトランスファー成形が用いられる。これに基づいて、この文献では、スクリュー・ドライバーのシャフトをプラスチック・グリップに埋め込むことを提案している。グリップ外被面の前方部分は、プラスチック・スリーブによって形成されている。プラスチック・スリーブは、断面がリング状で、2つの部分が同軸上で相互に入り込むように形成されており、その際、内側の部分は射出成形方式で製造されており、この部分の上で外被面を形成するもうひとつの部分も、射出成形方式で形成される。プラスチック・スリーブの両方の部分を形状結合的に接続するために、これらの部分には補足的に凸部と凹部とがある。このスリーブは、2つの押出しヘッドをもつ従来の成形プレスで製造される。その後に続くプロセスで、このスリーブの中に半径すき間を形成してシャフトが取り付けられる。次に、プラスチック材料によって、スリーブ先端部分から外側の半径方向に、スリーブ内部、グリップの丸い先端部および端部側の外被部分の隙間が満たされるように、プラスチック材料が適当なフォームの中に注入される。スリーブの内側部分は、スリーブの外側部分よりも硬いプラスチックで形成されている。その結果、これは、弾性のある比較的薄いプラスチック外層と硬質プラスチックのグリップ・コアとを有し、一般に流通している2種類の構成部品からなるグリップとなるが、手で加える力の作用による変形は起きない。
【0008】
EP1314519A1は、同様にスクリュー・ドライバーのグリップに関するものである。この場合、シャフトは、比較的硬いプラスチックからなるグリップ・コアに埋め込まれている。グリップ・コアは、少なくとも部分的に変形可能なエラストマ材料で覆われている。この変形可能な外被材料の損傷を防ぐために、外被には薄いコーティングが施されており、このコーティングが保護層およびエラストマ外被の保持層を形成する。変形可能な外被にエラストマ材料を使用する代わりに、ゲル材料を使用することもできる。さらに、この文献では、スリーブの中に密閉された変形可能な被覆(ここではゲル・クッション)を配置することが発表されている。このようなスリーブを、ショベルの柄やハンマーの柄に取り付けて、そこにグリップを作ることができる。グリップ表面が少なくとも部分的に変形可能であることにより、例えば、ある一定の個所を使用者が他の個所よりも強い力で握るときに、グリップの変形が可能となる。使用者の手が標準の形および標準サイズではない場合でも、この方法で、グリップの握りおよび操作がうまく行えるようになる。外被が変形する度合は、個々の場合の状態およびグリップの種類またはこのグリップと一緒に使用される工具の種類に左右される。グリップの変形は、例えば、使用者が握るグリップ・エレメントの全範囲に広げることが可能である。同様に、変形をグリップ表面の一部分に制限することも可能である。例えば、使用者の手のひらが触れる部分は変形可能にし、使用者の指先が触れるグリップ部分は変形しないように形成することもできる。このようなグリップ表面の仕様は、例えばスクリュー・ドライバーなど、グリップ表面の特定の部分が、指先で工具を素早く回転させることを考慮して形成されている場合に用いられる。この場合、グリップ表面の変形はグリップ表面から特定の深さまでに制限されていなければならない。内部には硬いグリップ・コアがあり、これは、シャフトとの接続に働くだけではなく、手から工具へ動きを伝達するための強固な支えでもある。しかし、変形可能な層の厚さが小さすぎるため、使用者の手に合わせてグリップを調整することはできない。
【0009】
申請者DE9202550U1は、ポリプロピレンなどの硬質プラスチックのグリップ・コアを有した、2種類の構成部品からなるスクリュー・ドライバー用グリップを発表しており、第一の形態では、これがはめ込まれたシャフトと一緒に製造される。第二の形態では、グリップ・コアが、熱可塑性プラスチック製エラストマなどの、硬度60〜80ショアAの軟質プラスチックによって覆われている。ドーム形の部分を製造するため、正面がドームの形をしたシリンダ形の成形部材を鋳型の中へ軸方向に挿入することにより、作成されたドームは、継ぎ目なく次のグリップ外被面に移行する(DE4304965A1も参照)。このグリップもまた、今日一般に市販されている2種類の構成部品によるグリップであるが、使用者の手に対する適応機能はない。
【0010】
DE3525163C2は、まず、硬質プラスチックのグリップ・コアがシャフトを覆っているスクリュー・ドライバー用グリップを発表している。硬質プラスチックからなる先端の人参形ドームは別個に形成可能であり、後からグリップ・コアと接続するか、グリップ・コアに取り付けて成形することができる。ドームがグリップ・コアよりも硬い材料からできている場合には、複数の部分に分けることが適当である。複数の部分に分ける形態の場合、ドーム中央のピンを、対応するグリップ・コアの凹部に入れることができる。グリップ・コアは、ほぼ中央で半径方向に拡張しており、その部分では、グリップ・コアが硬質プラスチックとともにグリップ外被面の一部を構成している。この部分から軸方向に前後して位置している外被面の部分は、グリップ・コアの外被とともに軟質プラスチックで構成されており、その際、グリップ・コアの拡張部には、周辺方向に分配された4つの軸方向のホールがあり、これらのホールによって、軟質プラスチックによる外被面の前方部分と後方部分とが相互に接続されている。
【0011】
少なくとも軸方向の一部または外被面の一部が、硬いグリップ・コアの上に射出された軟質プラスチックによって形成されている、その他の2種類またはそれ以上の構成部品からなるグリップ(とくにスクリュー・ドライバー用)は、例えばDE19539200A1、DE29517276U1、EP0208942A2、DE9202550U1またはDE29904082U1から公知である。
【0012】
EP0358883A1は、最大直径の中央部分から前半分および後半分が、段を形成することなく連続的に細くなっているスクリュー・ドライバー用グリップを発表している。この形態では、グリップが、半分の鋳型を2個使って射出成形方式で製造され、スクリュー・ドライバーの前後方向の軸に対して横向きの分割継ぎ目ができる。
【0013】
US3,189,069は、グリップ・コアの中に交換可能な状態で摩擦保持されたシャフトを有するスクリュー・ドライバーを発表している。グリップ・コアは、外被面の部分に軸方向に走る突起部および溝を有している。さらに、グリップ・コアの周辺部に溝がつけられている。グリップ・コアの上から、軸方向にグリップ外被が押し込まれ、その際、内側を向いたグリップ外被の突き出し部は、周辺方向に形状結合的にグリップ・コアの溝にかみ合っている。グリップ外被は、もうひとつの突き出し部で周辺部の溝の中にかみ合っており、これによって、グリップ外被はグリップ・コアに固定されている。前述の形状結合的接続の他に、グリップ外被のいくつかのセグメントでは、半径方向への押し圧力が形成されることによりグリップ・コアに圧着し、摩擦による接続が生じている。グリップ外被の材料には、グリップ・コアの材料よりも柔らかい材料(ゴムなど)が選択される。
【0014】
文献WO00/43166およびEP1163088B1により、形態を左右非対称にすることによって、一般に流通しているグリップと比較して人間工学的な特性を向上させているグリップが公知である。このグリップの欠点は、軟質プラスチックによるグリップ外被の厚さが小さいため、僅かしか変形しないことである。使用者の手のサイズや形が様々に異なっている一方で、製造面で、グリップは一定のサイズと形に標準化されている。従って、とくに異なる使用者が様々に異なった手でグリップを使用する場合には、この公知のグリップでは最良の人間工学が保障されない。さらに、スクリュー・ドライバー用グリップの場合には、ネジ止めする際に、グリップを回す使用者の手は、途中でグリップを持つ場所を周辺方向へ変えている。従って、WO00/43166やEP1163088B1による左右非対称のグリップにおいて、使用中のグリップの握り場所が主として一個所しかないような場合のように、グリップを人間工学の理想的なひとつの基本形態に形成することはできない。
【0015】
プライヤ用グリップ
DE202004019156U1は、2つのリムと、同形に形成された2つのグリップをもつプライヤを説明している。各グリップは、外被面の範囲に3つの部分があり、これらの部分は順番に並べられ、グリップの先端部方向に行くに従って硬度が増していく。もっとも硬い部分は、先端部側の外被面とともにグリップ・ボディを形成し、その上に、それ以外の外皮面を形成する別の部分が取り付けられている。第一の部分には硬質プラスチックのような硬い材料が使用されており、これは射出成形で製造することができる。第二の部分は、軟質プラスチックから作られる。第三の部分は、ゲル・クッションで形成されている。工具のシャフトは第一の部分に埋め込まれている。
【0016】
EP0538632A1は、同様にプライヤ用グリップに関しており、この場合、プライヤのリムのシャフトは、外側の部分が、ポリビニールクロライドやポリエチレンなどの、硬度65〜82ショアA、とくに66〜70ショアAの軟質プラスチックで覆われており、一方、内側の部分は、セルロースアセテートやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂などの、硬度85〜92ショアA、とくに86〜90ショアAの、形状の安定した硬質プラスチックによって覆われている。さらに、内部の周辺部分には、外部の周辺部分に合わせて同じく軟質プラスチックからできたインサートを準備することが可能であり、それによって、周辺方向に硬質プラスチックと軟質プラスチックとが交互に配置される。
【0017】
とくにスクリュー・ドライバー、コテ、プライヤ、やすり、鋸などの2種類の構成部品からなるすべてのグリップの場合、従来の技術によると、外側の層はグリップ・コアよりも柔らかく、比較的薄い。
【0018】
打つ道具のためのグリップ
US6,370,986B1は、ハンマーが一般に金属などの硬質材料、複合材料または合成材料からできたグリップ・コアを有し、グリップを形成するために、グリップ・コアが、ゴムのような、比較的硬いスリーブで覆われているという従来の技術に基づいている。公開されているのは、手動で操作して衝撃を与えたり、打ったりする道具である。グリップは、内部層および外部層を有している。内部層と外部層は、ポリビニールクロライド、ポリプロピレンまたは熱可塑性エラストマ材料など、同一の材料からできている。外部層は、内部層よりも硬いが、同様に柔軟性があり、衝撃を緩和することができる。内部層と外部層の硬度の違いは、使用される材料によって生じるのではなく、内部層には気泡が入れられ、外部層には気泡が入れられないことによって生じる。内部層および外部層の材料は、化学的に相溶性があるように適切に選択されるため、層の密着または接合が可能である。内部の層は、工具のヘッドに加わる衝撃や打撃の力を、それが使用者の手に伝わってくる際に緩和する働きがある。さらにこの文献は、ねじりモーメントを伝達する工具の問題とは別の、衝撃を与えたり、打ったりする道具に特有の問題を説明している。打つ道具は、例えば金属から作られた芯を有し、これが直接かつ中間層を介在することなく気泡の入った内部層と接続されているため、芯と内部層と外部層とによる三層構造が選択されている。芯は、断面が長方形に形成され、先端部分が膨らんでいるため、簡単に描写すると、ダブルT形またはI形をしている。芯は、膨らみ部分、すなわちダブルT形の横の突出部だけがグリップ内に伸びており、一方、ダブルT形の縦部分はここで遮断されるか、隙間を付けて形成されている。この隙間は、内部層の材料が入り込むことが可能である。突出しているダブルT形の先端部は振動を吸収するエレメントとなる。外部層は、半径方向の内側へ方向づけられ、周辺方向に配置された、グリップの前後方向に伸びる突起部を有し、これは気泡の入った内部層材料の該当する溝に入っている。これらの突起部はグリップを補強し、芯に対して内部層の圧縮を制御する働きがある。さらに外部層は、周辺部にかけて伸びる突起部を有し、前後方向に方向づけられた突起部の機能をさらに補強する。グリップ部分は、2段階の射出成形(「ツー・ショット」、「ダブル・ショット」射出成形法)で製造される。第一段階では、芯が第一の鋳型にセットされ、ポリビニールクロライドと一緒に発砲させられる。芯には、凹部を配置することが可能であり、射出成形法においてその中へ気泡の入った材料が入ることによって、芯と内部層との間の機能的結合を向上させることができる。続いて、第一の層によって被覆された芯は、第二の鋳型にはめ込まれ、次に、その中で2回目の射出成形法においてより硬いポリビニールクロライドが注入される。内部層には、45〜65ショアA、とくに55ショアAの硬度が選択され、一方、外部層の硬度は、66〜76ショアA、とくに71ショアAとなっている。選択された2段階の射出成形の場合に有利な点は、製造中、内部層の寸法と外部層の肉厚を精密に規定できることである。別の製造方法を使ったグリップの製造、とくにモノ・サンドイッチ射出成形法の使用が、同様に包括的に言及されている。問題なのは、内部層がまだ柔らかいグリップで、2段階の射出成形をグリップに行うかどうかである。外部層の射出では、この方式の場合600〜800barのとなる油圧が内部層の表面にかかる。このような圧力の下で、発泡層が圧縮されるため、この層は多孔質ではなくなり、使用されるプラスチックの硬度によって許容されるだけの弾力性しか残らない。しかし、45〜65ショアAは、十分な弾力性を提供するには高すぎる硬度である。
【0019】
US3,770,033から、ハンマー用グリップが公知である。グリップはインテグラル・フォーム部品として製造される。このようなグリップでは、硬いコア、ハンマーの柄または芯が発泡構造からできた実際のグリップ・ボディによって覆われている。グリップ・ボディの断面は、芯に接触している層、比較的厚みのある外層および厚みの小さな中間層から構成されている。このようなグリップ構造により、グリップの断面が弾力的に変形することができ、ハンマーを使って作業をする場合の衝撃を緩和する。さまざまな厚みをもつ薄い層は、細孔を形成するための推進剤が気化し、材料表面層が鋳型空洞の壁に押され、ここで圧縮されるときに、材料の内部で生じる圧力の作用によって生じる。しかし、例えばスクリュー・ドライバーの場合のように、より高いねじりモーメントを伝達するためには、このようなグリップは適していない。なぜなら、このコアの直径が(非円形の断面においても)、小さすぎるか、あるいはねじりモーメントを生じさせるためのレバーアームが小さすぎるからであり、また、多孔質の内部層だけでは十分なねじり剛性がないからである。
【0020】
US3,770,033は、ハンマー、大ハンマー、手斧、斧など、衝撃を与えたり、打ったりする道具のためのグリップに関している。グリップのボディは、剛性の高い樹脂発泡体で形成され、厚さが35〜45ポンド/フットの範囲にあり、中心には、強化されたグリップ・コアを有している。グリップ・ボディは、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から形成することが可能である。樹脂発泡体は、任意の鋳型の中へ、グリップ・コアの周囲に注入され、その際、完成したグリップのボディは、グリップ・コアとの一種の「打込みばめ」によって形成するべきである。この成形方法は、ボディの内部層と外部層によって形成される内在層を作り、内在層の厚さは、厚みの少ない内部層と外部層との間にある中間層の厚みよりも大きい。内部層と外部層は、通常、0.04〜0.05インチ(1.016〜1.27mm)の厚さをもつ。
【0021】
DE10113368A1は、打つための道具に使うグリップを発表し、衝撃を吸収するためのシャフトが、弾力性材料から作られたグリップの中に収容されている。このグリップには、上面と下面に、軸方向の連続的な凹部があり、グリップの外被面上に分配され、半径方向の別の凹部がそこに合流している。
【0022】
DE19732421C2は、同様に、打つための道具に関係し、シャフトのエンド・ピースの上部と下部から指が軸方向に伸びており、弾性のあるグリップ膜によって覆われている。これらの指によって、衝撃吸収が達成されるようになっている。
【0023】
US2003/0172498A1は、打つまたは衝撃を与える道具を使用する際、振動を緩和するグリップを発表している。グリップの上面および下面には、弾性のある外被と、この中に密閉された気泡からなるクッションがそれぞれ配置されている。弾性のある外被には、サーモ・プラスチック・オレフィン、サーモ・プラスチック・ゴム、サーモ・プラスチック・ポリウレタン、ポリビニールクロライド、スチレン系熱可塑性ポリマーおよび言及した材料の組み合わせが取り入れられている。材料は、射出成形法で加工される。クッションは、射出成形機の中でエラストマ材料に発泡剤が混ぜられることによって製造される。次に融解された混合物が鋳型に注入される。注入している間、温度のより低い鋳型が放熱板となり、材料の温度は鋳型との接触部分で内部よりも急速に冷却される。これによって、非発泡のエラストマ材料による外被が作られる。内部では、混合物が高温のまま維持され、内部に気泡が形成されることによって、外被内部の使用可能な空間が気泡によって満たされる。グリップが鋳型から取り除かれると、適切に温度を設定すれば、外被内部においてさらに気泡が増加して、外被が広がり、非発泡層の壁の厚さを減少させることが可能となる。最終的な冷却により、外被だけでなく発泡部分も硬化する。発泡剤には、個体の粒子、液体またはガスが使用できる。とくに発泡剤は吸熱型になっている。エラストマ材料と発泡剤割合は、1〜10%の濃度が適用される。
【0024】
その他に、打ったり、衝撃を与えたりする道具用のグリップは、US5,490,437およびUS6,619,408B1に説明されている。
【0025】
DE29904043U1は、衝撃を与えたり、打ったりする道具に似た使用領域、つまり、ドリル、研磨機など工作機械に関連している。プラスチックまたは金属などから作られたグリップ・シェルは、様々なセル構造の可能なポリウレタン製の表面層を備えている。
【0026】
その他の用途に用いるグリップ
US4,023,606では、管状スリーブ内のピッケル・ブレードの配置が発表されている。スリーブとシャフトとの間にプラスチックの発泡材料が注入されている。
【0027】
US4,338,270は、ゴルフ・クラブ用のグリップに関しており、このグリップは摩擦によりシャフトに取り付け可能である。このグリップは、柔軟性のあるフォーム材でできたスリーブで形成され、このフォーム材は半径方向の外部で表皮を形成している。非セル状または非多孔質の外被は、約0.005インチ〜0.020インチ(0.127〜0.508mm)の厚さがある。フォーム材部分の硬度は、55〜65ショアAである。外皮は、使用の際におけるグリップの摩耗または腐食に対する保護の役割を果たす。グリップの先端部分には、内部または外部スリーブを有する丸い頂部があり、その際、スリーブは半径方向の突起部によって互いに接続されている。外部のスリーブが先端部で外被を形成する一方で、内部のスリーブはシャフトの丸い頂部を支持する役目を果たす。頂部の材料は、硬度70〜90ショアAが使用される。グリップを形成するフォーム材に使用できる材料は、ポリオートとイソシアネートを組み合わせたポリウレタンである。促進剤には、主として、トリクロロフルオロメタンが使用される。
【0028】
US5,355,552は、衝撃を吸収するためにエア・クッションが施された、テニスラケット、ハンマー、自転車などのグリップに関するものである。このために、グリップには中空部分があり、その中に空気が入れられ、場合によっては圧力が高められている。
【0029】
US4,321,040は、2つの部分に分かれた医療器具用のグリップを発表しており、この場合、フレキシブルな外部スリーブとグリップ・コアとの間に変形を可能にする隙間が準備されている。
【特許文献1】US−PS2,871,899
【特許文献2】DE9202550U1
【特許文献3】DE4304965A1
【特許文献4】DE29515833U1
【特許文献5】DE19539200A1
【特許文献6】DE29517276U1
【特許文献7】DE29900746U1
【特許文献8】DE29904082U1
【特許文献9】EP0627974B1
【特許文献10】US2,871,899
【特許文献11】DE69421765T2(EP0635337B1)
【特許文献12】EP1314519A1
【特許文献13】DE3525163C2
【特許文献14】EP0208942A2
【特許文献15】EP0358883A1
【特許文献16】US3,189,069
【特許文献17】WO00/43166
【特許文献18】EP1163088B1
【特許文献19】DE202004019156U1
【特許文献20】EP0538632A1
【特許文献21】US6,370,986B1
【特許文献22】US3,770,033
【特許文献23】DE10113368A1
【特許文献24】US2003/0172498A1
【特許文献25】US5,490,437
【特許文献26】US6,619,408B1
【特許文献27】DE29904043U1
【特許文献28】US4,023,606
【特許文献29】US4,338,270
【特許文献30】US5,355,552
【特許文献31】US4,321,040
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明は、必要な手順を簡単な形で行う製造方法によって、冒頭に列挙したような選択的または累積的評価基準をもつグリップの製造が可能な工具用グリップ製造方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0031】
発明の課題は、独立した請求項1の特徴をもつ発明に基づいた方法によって解決される。解決方法のその他の形態は、独立の請求項2〜29の特徴に従って発生する。発明に従って製造されたグリップは、請求項30の特徴に従って発生する。
【0032】
冒頭に列挙した従来の技術では、工具用グリップを層状構造に製造することが、個々の層に様々な鋳型空洞を用いることに基づいている。とりわけ、
a) 外部層が内部層と別個に製造され、その後で、両方の層が材料結合的または形状結合的に接続される、または
b) 鋳型空洞の直径が次第に大きくなる鋳型に段階的にセットすることにより、層を内部から外部へ段階的に製造する
(前に公開されていなかった特許請求PCT/EP2005/014003も参照)。一方、発明に基づく解決方法では、異なる材料からできた少なくとも2つのグリップ層が、唯一の鋳型空洞の中で、とくにひとつの作業工程において製造され得るという製造方法を提案している。
【0033】
まず、鋳型空洞の中に硬質プラスチックのグリップ・コアを入れ、次に第一材料が注入される。これが最終的に硬化する前に、まだ液状の第一材料の中心部分に、第二材料の注入を開始する。第一材料の量は、第一材料の注入が終了しても鋳型空洞が完全に満たされておらず、まだ鋳型空洞に部分的に容積が残るように計量する。このプロセスの間、第一材料は、まず、外側の半径方向に鋳型空洞の壁と接触する。鋳型の壁で、第一材料は、鋳型空洞の内側部分における液状位相部分よりも強く冷却される。このことによって、半径方向の外側にある第一材料が最初に硬化し、外部層を形成する。同様のことが、選択的または累積的に、半径方向の内側にあるグリップ・コア表面部分に該当する。
【0034】
鋳型の壁と第一材料との接触部を作成するために、以下の2つの方法を選択的または累積的に、本発明に利用することができる。
a) 鋳型空洞への注入ダクトの位置を決定し、方向づけることにより、第一材料を鋳型へ注入する場合、材料が鋳型空洞の壁に直接塗布されるように材料の流れを調整するか、または、材料がまずグリップ・コアに当たり、そこから外側へ向きを変えるように調整することができる。
b) 同様に、第二材料を注入する際、
− 注入方向
− 作用する圧力
− 注入速度および/または
− 注入場所
などの注入条件により、第一材料が少なくとも部分的に第二材料によって外側へ押され、それにより鋳型の壁に押しつけられるように材料の流れを作ることも可能である。
【0035】
前述した射出成形条件およびパラメータの構成により、硬化の後、グリップの外被面または外部層は鋳型の内部で、優先的に第一材料によって形成される結果となる。この場合、このような外被面は、すでに工具用グリップの後の外被面を形成することができる。同様に、次の工程段階において、この外被面を軟質または硬質の別材料によって部分的または全体的に被覆することも可能である。
【0036】
第一材料によって形成された外被面から内側の半径方向に、発明に基づく工程段階の最後で、少なくとも部分的に第二材料が内側の層に配置される。発明に基づく範囲は、とくに、周辺部分および/または軸方向の部分である。
【0037】
US6,370,986に言及されている、唯一の材料をただひとつの工程において鋳型に注入するモノ・サンドイッチ方式によるハンマーの製造に対して、発明に基づく製造は、様々な材料を間欠的に、とくに時間的な中断なく順番に注入するという、一種の「間欠サンドイッチ方式」で行う。
【0038】
発明に基づく製造方法によって、鋳型の交換を必要とせずに、工具用グリップまたは少なくとも2層の工具用グリップの製造が可能である。この方法を実施するには、少なくとも2種類の材料による射出成形法を行うための条件とパラメータの調節だけが必要であり、このことは、少なくとも1台の適切に装備された射出成形機を自動化することによって可能である。他方では、少なくともまだ部分的に液状状態の中で、第一と第二材料によって形成された層を結合することによって、極めて信頼性のある材料結合的な接続が可能となる。
【0039】
第一と第二材料には、物理的特性および後の構造に関して、自働化された方法で、材料をひとつの鋳型に注入可能であり、互いに材料結合する限りにおいて、何も制限はない。
【0040】
グリップの特別な形態においては、第二材料が第一材料よりも柔らかく形成され、それによって、内部層は外部層よりも軟質となる。このことは、このブリップの場合、発明に基づく方法を実施した後、より柔らかい材料が硬い材料の内側に配置されていることを意味する。工具用グリップ、とくにねじりモーメントを伝達する工具用グリップの形態では、以下のような矛盾を解決しなければならない。
− 一方で、グリップ外被を形成する材料の剛性が減少すると、使用者の手およびさまざまな大きさの手に対するグリップ外被の適合性が増加し、それによって手とグリップ外被との接触面が拡大される。
− 他方、グリップを介して、より大きな力とねじりモーメントを伝達するためには、グリップ外被にできるだけ硬い材料を使用し、場合によっては、グリップ外被からグリップ・コアまでは固定結合が望ましい。
− また、グリップの使用条件が厳しい場合には、グリップ外被の外見を損ない、グリップを使う使用者の手に悪い影響を与えるグリップ外被のひび割れや亀裂を防ぐために、グリップの外部層は柔らかすぎないことが望ましい。
【0041】
後のグリップの外被面が第一材料で形成されるという発明に基づく形態は、2種類の構成材料によるグリップとも呼ばれ、従来の技術から公知の形態では、通常、使用者の手のために、外側の層を柔らかく形成して柔軟性を与える一方、半径方向の内側ではグリップの剛性を高めるという専門家の先入観とは異なっている。発明に従って、厳しい使用条件での使用が可能で、例えばエッジの鋭いものや先の尖ったものによる外被の損傷を軽減する比較的硬いグリップ外被を、第一材料によって作ることがまず可能である。他方では、このような最初の層は、使用材料の剛性または硬度の選択および層の厚さを、空洞に注入する第二材料の容量調整および/または鋳型空洞の温度によって規定することにより、発明に基づく方法を用いて、使用者によって外被面にかけられる力が伝わって、第一材料で形成されたグリップの外被面または外部層だけではなく、第二材料の内側部分または内部層も同様に変形し、しかも使用によって生じる力が確実に伝達されるように形成することが可能である。第一材料の硬度が上がるに従って、場合によっては第一材料で形成される外被面の厚さを減少させる必要がある。このような形態から生じるその他の利点および硬い外側の外被面と弾力のある柔軟なチャンバまたは柔らかな内部層をもつその他の形態は、DE102005037504.9−15に示される。
【0042】
発明に基づく方法のさらなる特徴によると、第一材料が、硬化後にグリップ外被面の少なくとも一部を形成する外側の半径方向だけに押しやられるばかりではなく、第一材料の少なくとも一部の容量が第二材料によって内部の半径方向へも導かれるか、押しやられるように材料の流れが形成される。ここで、第一材料は、硬化後、グリップ・コアを取り巻く内部層の少なくとも一部を形成する。それによって、例えば、第一材料よりも柔らかい材料を第二材料で選択した場合、この材料は、少なくとも外部および内部の方へより硬い第一材料によって覆われるか、または「封入」される。このことは、例えば、グリップ・コアまたは工具のシャフトに、例えばグリップ・コア外被の形で、グリップを接続することに利用できる。それにより、力またはモーメントが軟質材料を介してグリップ・コアまたはシャフトへ直接伝達されることがなくなり、第二材料とグリップ・コアまたはシャフトとの間の移行部分で亀裂が発生するような、応力のピーク値や障害が生じることはない。
【0043】
発明に基づく方法の特殊な形態では、逆方向に流れる2つの分流が生じるように、材料の流れを調節する。このことは、例えば、向かい合って配置された、空洞に流れ込む2つの注入開口部または注入ダクトから材料が流れ出ることによって達成され、これによって、反対の周辺方向に分れる2つの体積流が生じる。さらに、ひとつの形態では、ひとつまたは複数の体積流を流入、分割および/または方向転換させることによって、互いに逆方向を向いた分流が生じる。驚くべきことに、その際、第一材料が外側へ押し寄せる作用の他に、材料の流れと冷却条件の形態が適切である場合、もうひとつの作用を生じることが判明した。すなわち、簡単に説明すると、第二材料の分流が第一材料を周辺方向へも押しやり、その押しやられた材料は、2つの分流が遭遇すると、「停止」する。材料の表面は流れている間に冷え、2つの分流が遭遇する部分では、冷却された表面が内部の熱い材料によってそれ以上破られたり、液状にされたりすることはない。そして、冷却された表面から、半径方向に、第一材料によるウェブまたは突起部または突出部ができる。これらは、グリップ・コアに接する内部層とグリップの表面を形成する外部層とを接続する。このようなウェブ、突起部または突出部の形と厚さは、材料の流れ、射出条件および/または温度の設定によって制御することができ、そのために突起部、ウェブまたは突出部を作るための鋳造壁は必要ない。他方、ウェブ、突出部または突起部は、自然と材料結合的に外被面の第一材料と接続するようになっている。これらの突出部、ウェブまたは突起部により、スプリング剛性、ねじり剛性および/または減衰作用といった機械的特性の影響をグリップに生じさせることができる。このことは、スクリュー・ドライバーのように、グリップによってねじりモーメントを伝達する場合にとくに有利である。
【0044】
このことは、例えば、比較的硬いプラスチックの第一材料が、半径方向外部にあるグリップ外被面の層ばかりでなく、グリップ・コア被覆またはグリップ・コアの内部層をも形成しているという形態の場合で説明されよう。この形態は、突起部なしに、前述の層と層との間に配置された柔らかい第二材料にせん断応力がかかることを意味し、それによって、グリップのねじり剛性は、第二材料の半径方向への広がり、第二材料の周辺方向への広がりおよび第二材料の弾力特性に左右される。ウェブ、突起部または突出部の使用により、ねじり剛性は、多くの作用によって構造的に影響を受ける。すなわち、
− 一方で、内部層に対する外被面のねじれでは、周辺方向の隣り合う突起と突起の間にある第二材料は、ねじりが要求されると「押しつぶされ」、それによって、第二材料は周辺方向に圧力がかけられる。それにより、第二材料のせん断剛性に加えて、圧縮剛性が動力伝達に加わり、半径方向の柔らかな第二材料にもかかわらず、全体として高いねじり剛性を得ることができる。
− 他方では、突起部、ウェブまたは突出部が半径方向に連続して形成されていない場合には、ウェブ、突起部または突出部の正面と内部層または外被面を形成する外部層との間に第二材料を配置することができる。この部分の第二材料は、同様にせん断応力がかかるが、第二材料の半径方向への広がりは、突出部、突起部またはウェブの使用により、突出部、突起部またはウェブが半径方向へ広がっている分だけ小さくなり、せん断応力により形成されたねじり剛性も減少する。
【0045】
実際に、状況によっては、言及した種類の応力が累積する場合がある。それに加え、ウェブ、突出部または突起部の形成によって、半径方向の剛性特性が影響を受け、場合によっては、周辺方向に変化する剛性特性が生じる。
【0046】
とりわけ単純に製造することができるのは、第一材料と第二材料の注入に別々の吸入口または注入ダクト(以下注入口)が準備されるのではなく、むしろ、第一と第二材料の注入は同一の吸入口から行われる場合である。この場合、第一材料を注入するためのノズルまたは注入管をまず吸入口の部分にもってきて、開口部と接続する。引き続き、第二材料のための別のノズルまたは注入管を吸入口の部分にもってきて、開口部と接続する。または、第一材料と第二材料を、同一の吸入口から、とくに異なる材料用に2つの射出ユニットが装備された射出成形機によって鋳型の中へ入れる。その際、射出成形機の内部は、機械のノズルを介する材料配管内の特別なバルブ機構によって、第一材料の噴射から第二材料の噴射へと切り換えられる。
【0047】
材料の流れを設定するため、第二材料を注入する間および/または第一材料から第二材料への吐出切り換えの際、例えば、材料の流れを中断させながら(このとき、冷却により第一材料の粘性が変化する、および/または、材料の流れが静止する)、材料を導入することにより、層の構造に影響を与えることが可能である。しかし、申請者の研究は、材料の流れを中断することなく第一と第二材料を注入させる製造方法も有効であることを示した。それによって、鋳型の充填に必要な時間を短縮し、それによってグリップの製造サイクルを短くすることができる。
【0048】
第一材料および/または第二材料の注入は、ひとつまたは複数の吸入口から行うことができ、それらの吸入口は、軸方向および/または周辺方向に、グリップまたは鋳型に関して対称的または非対称的である。前述したウェブ、突起部または突出部の形成には、例えば、周辺方向に配分された吸入口の数によって、周辺に配分されるウェブ、突出部または突起部の数を決定することができ、これらは、主として隣り合う吸入口と吸入口の中間部から偏心して生じるか、またはほぼ中間部に生じる。
【0049】
特殊な形態の場合、2つの吸入口が周辺方向に互いに向かい合って準備されている。このことは、ひとつには、周辺方向への材料の流れが2つの吸入口から2つの方向へ、ほぼ同じ経路を進むという利点がある。ウェブ、突起部および突出部の形成では、互いに周辺方向へ向かい合う位置に配置された吸入口は、ウェブ、突出部または突起部をほぼ向い合せに配置するという作用をもち、それによって、ウェブの部分で対面している比較的硬い部分とその間に配置された比較的柔らかい部分により、左右対称なグリップの剛性特性が生じる。
【0050】
発明に基づく方法の優先的なその他の形態では、第一材料および第二材料の注入前に、グリップ・コアが鋳型に入れられる。優先的には、グリップ・コアはすでに工具のシャフトを有しており、硬質プラスチックで形成されている。材料がグリップ・コアに自動的に結合すること以外に、場合によっては、発明に基づき、第一材料の注入に伴って、比較的冷たいグリップ・コア表面でも第一材料の冷却が生じ、それによって第一材料がグリップ・コアの外被面部分において内部層を形成できるような形態が利用される。さらに、セットされたグリップ・コアによって、ウェブ、突起部または突出部を形成するための材料の流れを向上させることができる。まず、第一材料の流れがグリップ・コア上に生じ、そこからすでに多少冷却されて、半径方向に方向を変え、この面で流れが衰える材料によって固い表面層を形成することが可能である。2つの吸入口から供給される材料は、表面層に接触し、壁で互いに融合する。その際、この材料は、液状のまま再び溶けることがなくなるまで冷却され、後から注入される第二材料によって押しやられることはない。
【0051】
グリップ・コアの補強された先端に、アイまたは横穴を有するグリップを製造したい場合には、このアイが周辺方向の同一面上にあり、その中で逆方向の分流が遭遇するようにグリップ・コアを鋳型に入れ、吸入口と向かい合うようにすると有利である。このことは、アイが形成されている硬い部分が軸方向へウェブ、突起部または突出部に続くことによって、アイがウェブ、内部層、グリップ・コアおよびシャフトおよび/または外部層に強固に接続されていることを意味する。このような場合には、例えば、スクリュー・ドライバーのアイに別の工具を取り付けることができる。その工具によって高められたねじりモーメントは、アイを介してスクリュー・ドライバーのグリップおよびシャフトへ加えられる。
【0052】
グリップ・コアと第一および第二材料で形成された層との結合は、グリップ・コアが円筒型または曲線状または曲った外被面に対して、ずれながら半径方向の外側へ向いた突起部を有することによって達成される。グリップ・コアは、突起部とともに鋳型に挿入され、その突起部は、逆方向に流れる分流の遭遇する部分に伸び、ウェブ、突起部または突出部が形成される。それによって、例えばスクリュー・ドライバーの場合、力とねじりモーメントは、外部層によって形成された外被面からウェブ、突起部およびグリップ・コアを介してシャフトへ伝達される。それによって、強固かつ確実な伝達が可能であり、外被面とシャフト間の力の流れにおける機械的な障害を継続して回避することができる。
【0053】
本方法のその他の形態では、使用する鋳型の分割面が、逆方向に流れる分流が遭遇する部分に対して90°ずれて広がっている。この場合、2つの材料吸入口があり、これらは優先的に分割面の中に配置されており、それによって、材料はほぼ分割面方向へ流れ、鋳型空洞に入る。
【0054】
場合によっては、グリップの長さ全体にわたって、第一材料と第二材料による2つの異なる層で形成する必要はない。例えば、先端部分および正面は比較的硬いグリップ・コアによって形成し、先端部分と先端部分の間は2つの異なる軟質材料を別々の層に配置することができる。その際、これらの層は、主として使用者が手にもつ部分である。材料注入のためのチャンバは、半径方向の外側で鋳型から区切られ、一方、半径方向の内部では、グリップ・コアの外被から区切られ、また、正面では対面する先端部分から区切られている。
【0055】
発明に基づく方法により、プライヤ・リムを覆っているプライヤ用グリップの製造では、第一および第二材料の吸入口が、プライヤを組み立てた状態において、反対方向を向いているプライヤ・リムの面上に配置される場合は、有利である。これによって、軟質材料による層構造を、主に使用者が手でにぎるプライヤ・リムの外側に配置することができる。しかし、吸入口は、グリップの後部先端がある鋳型空洞の場所にも配置することができる。ハンマーやコテに使うグリップにも同様に有効である。
【0056】
発明のその他の形態では、硬化した第一材料および第二材料が密閉構造を有しており、そのため、これらの材料で形成された層および部分の剛性は、材料の剛性と層の広がりとに左右される。その他にも、第二材料は硬化によって多孔質構造を形成することができることから、形成する細孔の数と大きさ、または注入量およびそれによって決定される拡大の大きさによって、剛性に影響を与えることが可能である。
【0057】
特殊な形態では、第一材料と第二材料に同一のプラスチックを原材料として使用することが可能である。しかし、この場合、第一材料および/または第二材料の多孔性によって、例えば、促進剤の供給量を変えることによって、および/または、鋳型空洞内の圧力状態を調整することによって剛性に影響を与えることができる。
【0058】
層の厚さを形成するためには、注入条件を設定する際に特別な処置が必要となる。たとえば、より厚い外部層は、鋳型の壁を急激に冷却することによって生じる。層の厚さの選択は、グリップの大きさにも左右される。グリップが小さい場合、大きなグリップよりも厚さを小さくする。さらに、目的とする変形を得るため、外部の第一層の厚さは、それに使用したプラスチックの硬度が高ければ高いほど、小さくしなければならない。硬度が高いと、損傷に対する抵抗が大きくなり、汚れの付着を少なくするため、外部層により高い硬度をもつプラスチックを使用することが求められる。厚さを少なくすることは、インターバル法、すなわちサンドイッチ法においても可能であり、その際には、しかし、硬度の低いプラスチックによる内部の第二層の厚さが同時に増加する。そのねじり剛性は少ないので、ねじり剛性を高める別の要素を導入することが必要である。これには、断面の丸いグリップ・コアに半径方向の突起部を取り付ける、あるいはグリップ・コアから外部層までをウェブ状の接続にする、または一般的に、グリップ・コアの断面を非円形にすることができる。これについては図の説明に詳細が述べられている。これらの前提条件のもとで、0.5〜2.5mm、最大4mmの層の厚さが実現され、厚さは主として求められるグリップの変形とその大きさに左右される。層の厚さは、軸方向にも変更することができる。
【0059】
優先的に、隆起部または突起部は、グリップ・コアの2つの(またはそれより多くの)部分範囲に広がっており、それによって、これらの部分範囲でグリップの剛性特性の異方性が適切に作られ、とくに、隆起部または突起部が半径方向により大きく広がって第二層の中に入り込み、その際、これらの2つの部分範囲を周辺全体に適切に配分することができる場合、使用者の手が既定された位置にあると、グリップはとりわけよく手に適合することができる。例えば、指が接触している部分では変形度が大きいか、または手の内側のくぼみ部分が接触している範囲よりも剛性が小さくなっていることが判明した。グリップは、一般に、断面だけでなく、前後方向にも非対称の形にすることもできる。層の形成は、発明に基づいた非対称のグリップの場合、主として、対称的なグリップの場合と同じように形成される。コテやハンマー用グリップは、EP01915000.2−2316の申請者に対応して、非対称に形成することができると考えられる。発明による変形性によって、グリップの人間工学的な特性がさらに飛躍的に向上し、これは対称的グリップの場合にも当然当てはまる。
【0060】
特殊な形態の場合、2つの部分は、内部層の半径方向への広がりが縮小されて周辺方向に配置されるか、または突起部による変形性の縮小または剛性の増加を伴って、お互いにほぼ向かい合う形に配置されている。グリップにこのような「優先方向」が備えられている場合、これらの優先方向がグリップの使用者に明白にされれば有利である。このことは、例えば、グリップ外側の外被面の形状を左右非対称にする、および/または、外被面に色をつけることによって可能である。同様に、グリップの後方先端にアイ(グリップの横穴)を取り付けることが可能である。その際、アイの開口部は、主として第一層の半径方向の広がりが最少であるか、剛性がより高い部分にある。
【0061】
グリップ・コアは、少なくともひとつの部分断面において、
a)少なくとも半径方向の外側に伸びる突起部をもつ丸い断面を有することができる。
b)最初の近接部分において長方形の断面外形を有し、その際、その部分範囲は、長方形の短い面で、外部層のほぼ内側まで達する。
星形の断面外形を有し、その際、例えば、星の先端は、それぞれ一種の突起部を形成し、半径方向の外側へ細くなりながら、周辺方向へ伸びている。
【0062】
グリップ・コアの突出部またはその丸い形状により、グリップ・コアと内部層との間の接触面が広くなり、それによって、内部層の材料のねじり剛性が大きくなる。なぜなら、とくにグリップ・コアの突出部または形状が半径方向に内部層へ広く伸びており、それによってグリップ・コアのレバーアームが長くなる場合には、内部層の材料は圧力(接触面によって加えられる)よりもせん断力による負荷の方が小さいからである。
【0063】
発明のもうひとつの提案では、第一の外部層が、少なくとも軸方向の突起部分において本質的に同じ弾性特性を有している。このことは、例えば、突起部がグリップの軸方向の外形にほぼ連続している外形を有し、それによって突起部の上部エッジがグリップの外被面に対してほぼ一定の間隔をもち、その間隔は第一層によって「ブリッジ」されることにより達成される。
【0064】
複数の吸入口の代わりに、ひとつの吸入口だけを準備した場合、例えば、軸方向に方向づけられた集中吸入口では突起部が形成されない。他方、分散配置の場合、突起はグリップ半分にひとつだけ形成することができ、この突起は、主に吸入口から向かい合って配置される。
【0065】
コストがかからず、信頼性があり、必要な機械的特性をもつ第一層の材料としては、とくに熱可塑性エラストマ、熱可塑性ポリオレフィン、ポリプロピレン、EPDMカウチュック、PVCまたはスチロール・ブロック共重合体がある。
【0066】
同様に、第一層が充てん材を有することも可能である。可能な充てん材としては、粒状コルク、粉末コルク、木材粉末などの顆粒またはグラスファイバーなど繊維状の充てん材が考えられる。このような充てん材の少なくとも一部が、グリップの外被面部分に配置されている場合、グリップの外被面は完全に平滑ではなく、耐滑性が向上するため、例えば、工具によって伝達可能なねじりモーメントが高められる可能性がある。粉末コルクや木材粉末は別の利点があり、工具での作業中に発生する手の汗を吸収する。これによって、同様に耐滑性もさらに向上する。第一層の総重量に対する充てん材の可能な重量割合は、例えば50%以下であり、とくに5%〜30%である。
【0067】
ひとつの実施形態では、グリップの外被面がプラスチック・フィルムで形成され、これが材料結合的に内部の層、例えば第一層に接続している。このようなグリップの製造は、例えば、鋳型にプラスチック・フィルムをセットすることによって可能である。フィルムは、鋳型に充填することによって材料結合的に接続される。物理的特性およびフィルムの表面は、例えば、とくに油や化学物質に耐性があり、表面の滑りを防止するなど、グリップの外被面が向上するように選択・形成することができる。
【0068】
発明の有利な形態は、請求項、説明および図に記載されている。説明の冒頭に言及した特徴の利点および複数の特徴の組み合わせによる利点は単なる例であり、選択的または累積的に効果をあらわすことができるのであり、発明に基づく実施形態によって、これらの利点が絶対に達成されなければならないということではない。その他の特徴は、図(とくに、図に描かれている構造および多くの部品の相対寸法ならびにそれらの相対的配置および接続)に示されている。発明の様々な実施形態の特徴または様々な請求項の特徴の組み合わせは、やはり選択された請求項の遡及適用とは異なって可能であり、ここに提案されるものである。このことは、別個の図に示されているような特徴、または図の説明で言及されているような特徴も当てはまる。これらの特徴は、様々な請求項の特徴とも組み合わされる。同じく、請求項に記載された特徴は、発明のその他の実施形態では省略することができる。
【実施例】
【0069】
I.概要
以下において、例えば、外部層とは、使用者の手によって握られるグリップの外被面を形成する外側外被面のグリップ層を指し、一方、内部層は、外部層に接して半径方向の内側にあり、硬質プラスチックでできた、シャフトを覆うグリップ・コアを取り巻いている。当然、これとは異なり、外部層がグリップの内部にあることもあり得るし、および/または、内部層とグリップ・コアとの間に少なくともひとつの内層、フリップ・コア被覆または同様のものが中間に配置されている場合もある。
【0070】
本発明は、工具用グリップ1に関しており、グリップの中に、工具の機能部品であるシャフト2が半径方向の内部に横たわった状態で支持されており、工具の使用者は半径方向の外側にある外被部分のグリップ上に力を加えることができる。この場合の力は、以下に関連している。
− 縦軸3−3方向の力
− これに対して横の力
− 縦軸3−3のねじりモーメントまたは
− 縦軸に対する横の曲げモーメント
工具は、頻繁に用いられる種類であり、とくに、鋸、コテ、ハンマー、プライヤ、突きのみ、園芸用具またはナイフなどである。
【0071】
特殊な使用目的の場合では、工具の主要な使用目的または補助的な使用目的として、例えばスクリュー・ドライバーの場合など、グリップによって縦軸3−3にかかるねじりモーメントを伝達しなければならない工具に、本グリップが使用される。このような工具は、衝撃を加えたり、打ったりする道具とはとくに区別される。
【0072】
打つため道具を操作する場合、この道具は、使用者によって手を振り上げる動作において加速され、衝撃が加えられる。こうした打つ道具の加速には、工具の剛性はあまり問題ではないため、工具は、柔らかいグリップの場合も硬いグリップの場合も同じように十分に加速され、打とうとする対象物に運ばれる。打つ道具は、いわゆる衝撃を伴って、打とうとする対象物に当たり、その際、工具の衝撃は、打とうとする対象物へ伝達される。打とうとする対象物に加えられた衝撃は、このとき、工具が衝突時にしっかりと保持されているか、その対象物の上に押し付けられるか、または「自由に跳ね返る」ことができるかどうかには左右されない。従って、専門家は、打つ道具によって打つ場合、打とうとする対象物にこれを押し付けるのではなく、打つ道具は、打とうとする対象物に衝撃を伝達するために、むしろ自由に跳ね返している。このことは、跳ね返りのために、使用者の手が必ずしもグリップに強く密着していなければならないというのではなく、任意で柔らかい弾性のあるグリップも使用できることを意味している。それによって、実際に衝突している間、使用者は、グリップを介して、主として横に操作する力を打つ道具に伝達する。「不適切な」固いグリップ被覆の場合でも、使用者の手に伝達される衝撃を緩和するか、防止するために、冒頭に述べた、衝撃を与えたり、打ったりする道具に関する文献は、グリップが軟質または弾性のある構成部品を有し、適切な弾性を衝撃方向につけるため、それらを、とくに衝撃方向および上面ならびに下面に準備することを提案している。従って、突いたり、打ったりする道具に使用するグリップの形態は、伝達しようとする力、すなわち衝撃の方向に弾性があって、緩衝作用があり、柔らかいグリップにすることが考えられる。これとは異なるグリップ、とくにモーメントを前後方向の軸に伝達しなければならないグリップに、このような形態を使用した場合、その工具は実際には使い物にならない。ねじりモーメントを伝達するグリップの使用目的として考えられる工具は、例えば、スクリュー・ドライバーやクランプなどである。
【0073】
基本的に、グリップは半径方向の内側にシャフト2を有し、このシャフトは非円形の伝達断面4または円形の断面から出た突起部5を有し得る。シャフト2は、グリップ・コア6によって、部分的または完全に覆われ、その際、伝達断面4の部品またはシャフトの突起部5の部品は、半径方向の外側へ広がることができる。グリップ・コア6の外面は、優先的に、伝達断面7または突起部8と同様に非円形に形成されている。グリップ・コア6は、グリップ・コア被覆9によって部分的または完全に覆われており、その際、伝達断面7または突起部8の部分範囲は、グリップ・コア被覆9を突き抜けて伸びることができる。さらに、グリップ・コア被覆9が少なくとも部分的に覆っている軟質層10(内側の層28)を準備することができ、この層は少なくとも部分的に外部層11(外側の層27)によって覆うことができる。グリップ・コア被覆9、軟質層10および/または外部層11は、突起部、突出部、飛び出し部、ウェブ(以下、突起部12)を有し、それによって、前述の層9−11が隣接する層を介してその他の層と接続されている。選択的あるいは追加的に、突起部、突出部、飛び出し部またはウェブ(以下、突起部13)を準備することができ、これらの突起部は、部分的にのみ隣接する層に伸び、それらの部分では、隣接する層の広がりが縮小している。その際、突起部13は、突起部をもつ層から半径方向の内側へも、半径方向の外側へも方向づけることができる。
【0074】
前述したグリップ1の全構成部品は、選択的または累積的に使用可能である。同様に、その他の追加層、分散顆粒、ゲルまたは液体を間に配置することも同様に可能である。
【0075】
その他の実施形態では、軟質層10または内部層28が部分的または完全に硬質の外部層11または外側の層27によって覆われており、その際、これらの層は、剛性の選択および半径方向の広がりに関して、使用者の手によって加えられた力により外部層11が半径方向へ変形し、それによって軟質層10の弾性変形が生じるように構造的に準備されている。
【0076】
前述のグリップ1の構成部品以外に、グリップ1は、とくに機能部品から離れたグリップ1の先端部に、例えばアイ15または横孔などの追加の構成部品を有することができる。その場合、アイ15は、縦軸3−3に対して先端部を横に通過する形で伸びている。アイ15を使って、工具を吊るしたり、グリップ1の補助エレメントを差し込んだりすることができる。例えば、別のスクリュー・ドライバーのシャフトをアイ15から通し、そのシャフトによって追加の作動トルクをグリップ1に加えることができる。
【0077】
グリップ1の構成部品は、材料結合的に相互に接続することができる。同様に、交換可能な機能部品をグリップと一緒に使用することも考えられる。この場合、機能部品のシャフト2は、とくに取り囲んでいる層と一緒に、その他の半径方向の外側にあるグリップの構成部品に対して、交換可能に取り付けられる。とくに、このような交換可能な機能部品に関連して、グリップ1は追加の固定装置を使用することができる(例えば、特許出願番号EP0500321.2およびEP05017193.3を参照)。グリップのその他のオプション構成部品は、グリップ先端部の丸い頂部であり、これを使って衝撃や打撃をグリップに加えることができる。
【0078】
軟質層10(内側の層28)では、任意に半径方向の広がりを一定にしたり、変化をつけたりすることが可能である。このような広がりは、層11の厚さは別にして、グリップ・コアからグリップ表面までの半径方向の距離の差から生じる。半径方向の広がりは、グリップの長さ全体にかけての軸方向の変化で変わり、グリップの前方終点でついにゼロになる。他方、半径方向の広がりは、グリップの絶対直径に左右される。例えば、半径方向の広がりは、少なくとも広がりが最大の部分で3.5、4、6または8mmの範囲にあり、一方、該当する最少の広がりは0.5〜3mmであり、とくに1〜2.5mmであるか、1.5mm、2mmまたは2.5mmより小さい。このことは、軟質材料で形成された内側の層28(第二材料23、軟質層10)およびグリップ表面の最大直径部分にとくに該当する。これに対して、外部層11(第一材料22、外側の層27)は、0.5〜4mmまたは0.5〜2.5mmの範囲で周辺方向に一定した半径方向の広がりを有し、軸方向における半径方向の広がりは変化することができる。
【0079】
特殊な形態では、外側の層27の厚さが、少なくとも内側の層28の半径方向の広がりの30〜100%の範囲で半径方向へ広がることができる。
【0080】
隣接する層または構成部品は、形状結合的、材料結合的および/または摩擦により、あるいはスナップ方式またはロック方式で相互に接続することができる。
【0081】
II. 材料
シャフト2は、例えば、繊維強化プラスチック、金属、鉄鋼または木材で形成することができる。
【0082】
個々の構成部品またはグリップ層の材料として、コストが安く、信頼性があるのは、グリップ・コア6では硬質プラスチックであり、一方、グリップ・コア被覆9および外部層11(外側の層27)には第一の軟質材料22が使用され、軟質層10(内側の層28)には第二の軟質材料23が使用される。その際、両方の軟質材料は、硬度がそれぞれ異なっている。つまり、外側の層27は、内側の層28よりも硬い。使用可能な材料は、熱可塑性エラストマ(TPE)、熱可塑性プラスチック・ポリウレタン(TPU)、熱可塑性プラスチック・ポリオレフィン(TPO)、ポリプロピレン、EPDMカウチュック、PVCまたはスチロール・ブロック重合体が使用される(これらの材料だけに制限されるものではない)。ここに列挙した材料は多孔質構造を有するが、優先的には閉じた非多孔質構造を有する。
【0083】
使用されるプラスチックの硬度は、とくに軟質層10または内側の層28または第二材料23の場合、例えば10〜55ショアAである。グリップ・コア6、グリップ・コア被覆9および/または外部層11(外側の層28、第一材料22)には、とくに、硬度30〜105ショアA、優先的には30〜85ショアAが使用される。グリップ・コア6は、優先的に圧入硬度45〜65N/mmを有するプリプロピレンなどの硬質プラスチックによって製造される。
【0084】
同様に、少なくともひとつの層が充てん材を有することが可能である。可能な充てん材としては、粒状コルク、粉末コルク、木材粉末などの顆粒またはグラスファイバーなど繊維状の充てん材が考えられる。グリップの層または構成部品の総重量に対する充てん材の重量割合は、例えば50%以下であり、とくに5%〜30%である。
【0085】
III. 製造方法
図1〜9に発明に基づく製造方法を示す。これは、また、「サンドイッチ法」または「間欠法」とも呼ばれ、少なくとも層の一部またはグリップの構成部品を製造する。
【0086】
硬化したグリップ・コア6で覆われたシャフト2は鋳型16の中にセットされ、この鋳型は、縦軸3−3を通る中心面で分割されている。鋳型16の内形は、本質的に、製造されるグリップ1の形に対応する。図1〜6に示された実施例の場合、グリップ・コア6は先端部17、18を有する。先端部17は、機能部品側を向き、半径方向の外側に向いた周辺フランジを有し、その部分で、グリップ・コア6が鋳型16を半径方向に隙間なく満たしている。先端部17の反対側にある先端部18は、ほぼ球形のグリップ正面を形成し、この部分で先端部18は、同様に半径方向へ隙間なく鋳型16に接している。グリップ・コア6の円筒形の中央部分26(場合によっては、追加のアイ8などが付いて)、先端部17、18および鋳型16の内形によって、周辺方向に縦軸3−3の周りを囲むチャンバ19が区切られている。周辺方向に向かい合っている2つの吸入口または注入ダクト20、21(以下、「吸入口」)は、半径方向にチャンバ19内へ合流し、優先的には、チャンバ19および後のグリップ1の半径方向の最大拡張部に配置されている。吸入口20、21を介して、まず、第一材料22が鋳型16およびチャンバ19内に注入される。第一材料22の注入量は、チャンバ19の容量よりも小さい。第一材料22は、グリップ・コア6の外被面上に注入され、および/または、鋳型空洞を区切っている壁の方向へ向きを変え、ここで冷却される。それによって、グリップ・コア6に隣接して、または鋳型空洞を区切る壁の部分で、第一材料22は急速に冷却されるか、他の部分よりも粘性が高くなる。
【0087】
続いて、第一材料の最終的な硬化の前に、図3および図4に従って、同じ吸入口20、21を介し、第二材料22が、チャンバ19および第一材料22の中へ、また第一材料の下へ、あるいは第一材料を突き抜けて注入される。第二材料は、吸入口20、21から半径方向のダクト24を通り、第一材料22の内部またはその下へ流れ込む。第二材料23の注入が増えるに従って、第一材料22は、縦軸3の方向および先端部17、18方向および半径方向の鋳型空洞の壁の方向へ押し寄せ、その際、第二材料23は、半径方向の外側、半径方向の内側、両方の軸方向へ、上述のダクトに達するまで第一材料22によって覆われる。第一材料22がグリップ・コア6との接触部分であらかじめ冷却されていることにより、第二材料23は、グリップ・コア6まで達しない。第一材料は、その表面層が第二材料よりも、すでに若干冷却されているため、表面層は第二材料によって突き破られることはない。第二材料23は、第一材料22を半径方向の外側へも押しやり、それによって、第一材料は、外部層11または外側の層27を形成する。説明された軸方向への押し出しの他に、第一材料22によって囲まれている第二材料23は、両方の吸入口20、21から、グリップ・コア6の周りを周辺方向へ広がり、それによって、最後に反対方向へ流れた材料と接触する。材料22の外部層は、すでにある程度冷却されているので、外部層は、材料23によってそれ以上突き破られたり、粘性が高くなったりすることはなく、材料22の外部層は、接触する材料の流れに融合して、その際、グリップ・コア両側のほぼ同一面上で壁を形成し、これは、第一材料22の半径方向のウェブまたは突起部12として残り、グリップ・コアの周囲を形成する第一材料の層、同様に第一材料によるグリップ・コア被覆9、外部層11または外側の層27を一体形成で接続する。グリップ・コア被覆9の周りを前後方向にも形成しているこれらのウェブ12は、グリップのねじり剛性を高め、外部層11からグリップ・コア6へのトルクの伝達を補強する。
【0088】
射出成形のために選択された温度条件、粘性および注入速度は、周辺方向へのこうしたアプローチによって、この部分が終了するのではなく、この部分では、半径方向に貫通するウェブ12にも、半径方向に貫通しないウェブ13にもなるように適切に調整される。
【0089】
第二材料23の注入が終了すると、チャンバ19は完全に満たされる。ダクト24は、グリップ1の製造が終了しても、さらに第二材料を充てんすることができる。さらに、製造工程の終わりで、もう一度第一材料22を少量注入し、ダクト24およびグリップの注入口を第一材料で満たして閉じることが可能である。図に示された製造方法の実施例では、吸入口20、21が12時のポジションならびに6時のポジションにあり(図6を参照)、一方、突起部12は、3時のポジションおよび9時のポジションに伸びている。軟質層10または内側の層28は、第二材料23によって形成されている。作成されたグリップ・コア被覆9または外部層11の半径方向の広がりは、軟質層10の広がりよりも小さく、とくに、軟質層10の半径方向への広がりの1/3、1/5、1/8または1/10よりも小さい。
【0090】
注入量の設定によって、層27、28の厚さを一定に規定することとは別に、外側の層27の厚さは鋳型空洞の壁の温度(または壁と注入材料との間の温度差)によっても影響を与えることができる。低い温度の場合、注入された第一材料の外層は、高い温度の場合よりも速く冷える。その結果、外側の層27の厚さは、注入プロセスのその他のパラメータが同じ場合では、高温の場合よりも低温の場合のほうが増加する。
【0091】
本方法を使うには、第一材料22と第二材料23のための個別コンポーネントで溶融物を供給し、特殊な機械制御プログラムと特別な機械のバルブ機構とによって、鋳型16に注入される材料22、23の迅速かつ正確な配合作業を可能にする2つの射出成形ユニット付き射出成形機が必要である。驚いたことに、注入口20、21の数および位置ならびに注入速度および注入圧力、溶解温度および鋳型とグリップ・コアの温度によって、グリップ・コア被覆9、軟質層10、外部層11、突起部12および軸方向の広がりに影響を及ぼし得ることが発見された。
【0092】
サイズが105mmのスクリュー・ドライバー用グリップで、実施例を限定しない場合では、以下の注入パラメータが用いられた。
第一材料22の注入時の注入圧力: 800bar
第一材料22の注入体積流量率: 40ccm/秒
4点による注入圧プロファイルは、低下しながら制御
溶解温度: 4つのゾーンで180−210℃
第二材料23の注入時の注入圧力: 1,000bar
第二材料23の注入体積流量率: 50ccm/秒
4点による注入圧プロファイルは、低下しながら制御
溶解温度: 4つのゾーンで180−210℃
上記のパラメータは、グリップの形状、デザイン、使用プラスチックの種類および機械に応じて、とくに20%または10%の範囲で、大きく上下に変動する。
【0093】
図に示した2つの吸入口20、21を有する実施形態とは別に、任意の吸入口の数を軸方向および/または周辺方向に分配することができる。その際、場合によって、軸方向に多数の吸入口20、21がある場合、ウェブもまた、軸方向に相次いで動くフィード流によって生じ、それによって、ウェブが周辺方向へ環状に形成され得る。周辺方向へ環状に流れるフィード流の場合、とくに、隣り合う吸入口と吸入口との間に突起部12が形成され、それによって、例えば、吸入口を周辺方向に3つに分配した場合、3つの突起部12が形成される。図1〜6のように、吸入口20、21を左右対称に配置する以外に、吸入口を非対称的に配置することも同様に可能である。これによって、非対称の突起部12が形成され、その結果、グリップ1の剛性特性が非対称的になる。突起部の位置をずらすことは、吸入口からの注入速度および/または圧力を変更することによっても達成される。
【0094】
図7〜9は、前述したプライヤ50のプライヤ・リム25用グリップの製造方法を示している。このようなグリップ1の実施形態では、グリップ・コア6がないため、グリップ・コア被覆9が直接プライヤ・リム25のシャフト2の上に配置されている。プライヤ・リム25の外面には、吸入口20のみが配置されている。図に示された製造方法では、材料22、23の注入条件は、第二材料23が軟質層10(内側の層28)を形成し、シャフト2周辺の一部分だけに広がるように調整される。それによって、第一材料22が外被面14の内側で、第一の近接部において、2つのチャンバが外方向へ相互に並ぶ8の字形の断面(丸みのある外形)を形成する。その際、内側チャンバにはシャフト2が配置され、一方、外側のチャンバは第二材料23が充てんされている。プライヤで使用するグリップ1の場合、第二材料23は、使用者の持ち手部分にあたる太い断面部分にのみ広がり、グリップ1の前後方向の長さのほぼ1/3〜2/3の範囲に広がっている。ここでは、軟質層10(内側の層28)が第二材料によって、一種の弾性のあるクッションを形成し、一方、第一材料22は、硬質材料によって、負荷に耐えるようにプライヤ・リム25と接続している。
【0095】
別の製造方法の場合、グリップ1は、少なくとも2つの構成部品で製造され、その際、グリップ1の半径方向の外側に配置された構成部品が、内側に凹部をもつように製造される。この部分では、構成部品の接合が、半径方向の内側にある構成部品によって可能である。突起部5、8、12、13によって、場合によっては材料結合的接続ではないにもかかわらず、構成部品間のねじりモーメントを伝達することができる。同様に、材料結合的接続は、少なくとも2つの構成部品を接合することによって製造できる。構成部品の固定は、構成部品を接合した後で、摩擦や形状結合的な接続、弾性のあるスナップ方式またはロック方式によっても行うことができる。外側にある構成部品は、この場合、すでに説明したサンドイッチ方式によって製造することができる。
【0096】
IV. 工具用グリップのその他の実施例
以下の実施形態は、すでに第III章で述べた製造方法によって製造され、その際、第I章に列記した可能な形態および選択肢を以下の実施形態に転用することができ、全構成部品および層の材料構成については、第II章に従って、ひとつの実施形態について選択が可能である。
【0097】
図10、11に示された実施形態におけるグリップは、次のように構成されている。シャフト2は、先端部17、18およびセンタ部分26をもつグリップ・コア6によって覆われている。センタ部分26は、グリップ・コア被覆9によって覆われた、主として円筒形の外被面を有する。突起部8は、グリップ・コア6と一体形成で、グリップ・コア6からグリップ・コア被覆9を通り抜けて伸び、その際、図11に示された断面では、突起部8が12時のポジションと6時のポジションに配置されている。突起部8とグリップ・コア被覆9は、軟質層10によって周辺方向に連続して取り囲まれており、その際、軟質層10はさらに、周辺方向に環状に形成され、外被面14を形成する外部層11によって取り囲まれている。軟質層10は、軟質プラスチックで作られた内側の層28を形成し、その外側に外部層11とともに外側の硬い層27が材料結合的に接続されている。第一材料および、それによって外側の層27の材料で作られた追加の層9が、グリップ・コア被覆9を形成している。グリップ・コア6には、突起部8が一体形成で取り付けられている。図10に示されている縦断面において、突起部8の外形が外被面14の外形に対して平行になっているのが分かり、それによって、グリップ1の内側の層28の半径方向への広がりは、前後の軸3−3の方向へほぼ一定している。突起部8は、外側の層27の軸方向の一部にかけてのみ伸びており、それによって、グリップ1の前方部分では、外側の層27が材料結合的にグリップ・コア被覆9と直接接続されている。突起部8は、図11に示されているように、向き合って配置するか、図に示されていない形で周辺方向にずらして配置することができる。図に示された実施形態では、突起部8が長方形の断面をしており、その際、突起部は、これとは別に、少し外側に近く、上部エッジを丸くしたり、厚さも縮小したりするなど、任意の形に形成することもできる。
【0098】
外側の層27または外部層11には、硬度30〜85ショアA、優先的には40〜60ショアAのプラスチック、軟質層10または内側の層28には、硬度10〜55ショアA、優先的には15〜30ショアAのプラスチックの使用が適切であることが判明している。同じタイプのプラスチックでも、異なるタイプのプラスチックでも、それらの材料結合が互いに良好な場合には使用可能である。場合によっては、突起部8の上部エッジと外側の層27との間でも良好な材料結合的接続が得られなければならない。
【0099】
図12および13には、図10および11に対応するグリップ・コア6に突起部8が付いていない、その他のグリップ1の実施形態が示されている。その代り、少なくともグリップ・コア6の一部の断面がほぼ長方形であり、グリップ・コア6は周辺方向にグリップ・コア被覆9で完全に囲まれている。グリップ・コア6のこのような長方形の断面は、前後方向の長さ29のほぼ全体に伸びており、主として、長方形の長さと幅の比が変化しているか、または長方形の長さが小さくなる。
【0100】
図14に示されているその他のグリップ1の実施形態の場合、軟質層10によって形成されている内側の層28は、グリップ・コア6およびグリップ・コア被覆9の外形に応じて、6つの角をもつ星形に形成されている。内側の層28は、12時、2時、4時、6時、8時、10時のポジションに半径方向への最大の広がりをもつ。
【0101】
同様に、コテ用グリップの場合のように、外被面14の形状とグリップ1の構造形態を左右非対称にすることも考えられる(図23、24を参照)。このようなグリップの場合、グリップ・コア6は、目的に合わせて、前後方向の長さ全体にわたってほぼ同じ形に保たれている。だが、断面の基本形状または半径方向に広がるグリップ・コア6内の突出部または突起部のどちらかによって、断面の形状を非円形にすることは有利である。通常、このようなグリップでは、スクリュー・ドライバーの場合のように、高いねじりモーメントを伝達する必要がないとしても、グリップを半径方向にある程度補強することは適切である。
【0102】
図15および16には、突起部8、12が内側の層28を突き抜けて伸びている実施例が示されている。グリップ・コア6から形成されている突起部8、12は、その正面部分が材料結合的に外部層11または外側の層27に接続され、それによって、外部層11とグリップ・コア6の丸い断面との間の接続が直接行われ、また強固になる。この例では、外部層11または外側の層27が厚くなっているが、これは、鋳型空洞の壁を強力に冷却することによって達成される。とくに、外側の層27の半径方向への広がり41は、グリップ1の直径が最大の個所で測定して、内側の層28の半径方向への広がり40の30%〜100%である。
【0103】
図17には、本質的には図15および16に示された実施形態に対応しているが、伝達断面7が長方形であり、材料結合的に外部層11および外側の層27に接続されているグリップ・コア6を有するグリップ1の実施形態が示されている。
【0104】
図18には、グリップ・コア6が先端部17、18を有し、その際、先端部18は、使用者の手によって軸方向へ力を加えるための丸い頂部であるグリップの実施例が示されている。グリップ・コア6は、周辺部に同じ形で分配された6つの突起部13を有する。図に示された実施例の場合、外部層11(外側の層27)とグリップ・コア被覆9は、図に示された実施例において、周辺方向に周りを取り囲む環状のフランジとして形成されている半径方向のウェブ42によって互いに接続されており、縦断面の半分では、グリップ・コア被覆9、ウェブ42および外部層11が前方の開いた横U字型を形成している。グリップ・コア被覆9を形成する横U字の脚は、とくに、ほぼ前後方向の広がり29によって形成されている外側の外被面14の形成する脚よりも短くなっている。グリップ・コア被覆9は、突起部8、13によって強化されている。グリップ・コア被覆9と外部層11との間には、軟質層10が配置されており、これが内側の層28を形成する。また、グリップ・コア6は、第一剛性となる硬質プラスチックから形成されている。グリップ・コア被覆9と軟質層10がグリップ・コア6の上に注入・製造されているとき、グリップ・コア6は、先端部17および18により、グリップ1の製造中、鋳型空洞の壁にぴったりと密着している。外部層11は、第三剛性を有し、一方、軟質層10は第二剛性を有している。第二および第三の剛性は、弾性のあるプラスチックによって、硬度を変えて形成されており、その際、第三剛性に使用されるプラスチックは、第二剛性に使用されるプラスチックよりも高い硬度を有している。手でグリップ1に力が加えられると、外部層11および軟質層10が空間的に変形し、グリップ1を握っている手の形に適合し、グリップと手の最適な連結が達成される。この方法によって、グリップ1は、様々な使用者の多様な形の手に適応する。グリップ・コア6、グリップ・コア被覆9、軟質層10および外部層11は、使用プラスチックの適切な選択によって、射出工程での溶接により材料結合的に相互に連結されている。これに加えて、とりわけ、ねじりモーメントを伝達しなければならないグリップの場合、突起部8、13およびグリップ・コア被覆9および軟質層10の内側部分の間では、形状結合的接続が行われる。グリップ・コア被覆9は、軟質層10よりも高い硬度を有し、グリップ・コア6の表面と材料結合的に接続されているため、グリップ・コア被覆9は、ねじりモーメントの伝達に有効に働く。
【0105】
グリップ1の製造は、まず、グリップ・コア6が第一の射出成形鋳型で製造され、その際、シャフト2がグリップ・コア6の中に鋳込まれる。第二の射出成形鋳型において、グリップ・コア被覆9、軟質層10および外部層11が、鋳型の中にセットされたグリップ・コア6の上に間欠サンドイッチ法に従って射出される。最初に、グリップ・コア被覆9、ウェブ42および外部層11(外側の層27)を形成する第一材料22が鋳型の中に注入され、その後すぐ、硬化する前に、軟質層10(内側の層28)を形成する第二材料のプラスチックが注入される。第二材料23は、最初に注入された、まだ部分的に液状の第一材料22を鋳型空洞の壁またはグリップ・コア6の壁に押しやり、それによって、グリップ・コア9、ウェブ42および外部層11が形成される。このような手順を介して、グリップ1の表面の外部層11を厚い層として形成することが可能となる。この層の厚さは、例えば、材料22、23の割合と配合量および/または射出成形のパラメータなどによって調整できる。いずれにしても層の厚さは、作業時にグリップ1を包み込む手によって力が作用する際に、外部層11および軟質層10の半径方向の変形がなくならないように、しかし、一方では、スクリュー・ドライバー用グリップを使用する場合に必要なねじりモーメントを十分伝達できるように調整される。外部層の厚さは、およそ0.5〜2.5mmが適当であることが判明した。その際、外被面14の厚さは変えることができる。外部層11の形成には、化学物質、油脂またはオイルに対して、使用に十分な耐性をもつ材質またはプラスチックが使用される。このような耐性は、軟質層10に使用されるプラスチックには必ずしも必要ではないため、場合によっては経費を節約することができる。材料22、23の硬度および種類またはタイプの組み合わせは、ひとつには、これらの材料が相互に、そしてグリップ・コア6と材料結合的に十分結合するように、もうひとつは、必要な変形が得られるように選択される。
【0106】
このようなグリップ1は、選択的に、以下のように製造することができる。

‐ 先端部43、グリップ・コア被覆9、軟質層10(内側の層28)および外部層11(外側の層)とともに、ある種のグリップ・スリーブを別個に製造する、または、
‐ グリップ・コア6で覆われたシャフト2とともに他の構成部品を別個に製造する。

この場合、最初に述べた構成部品の中に、例えば、適切な鋳型中子を用いて、長軸3−3の方向に走る中央の空洞を作り、これは、グリップ6の該当する外被面と形状結合的に接続するため(例えば、突起部8、13を取り付けるため)、非円形の断面を有することができる。選択的に、この空洞は、前後方向に走る形成ポケットのある、6角形または円形の断面を有することができる。空洞を製造するための鋳型中子の周りには、すでに説明したように、第一材料22からなる硬度の高いプラスチックでできたグリップ・コア被覆9が形成される。グリップ・コア6は、対応する断面、すなわち、同様に6角形または円形断面を有し、この断面は、最初の構成部品のポケットにかみ合う、半径方向に突き出した突起部8、13をもち、非円形の断面を介して、ねじりモーメントを伝達することができる。両方の断面の寸法および公差は、第一構成部品がぴったりと合ってグリップ・コア6へ押し込むことができるように相互に調整されている。目的に応じて、両方の構成部品はさらに互いに接着することができる。先端部43は、周辺に分配された突起44または環状の突出部を有し、これは、スナップ方式で形状結合的にグリップ・コア6に配置された溝45の中に納まっている。このような突起44と溝45のスナップ方式による接続によって、軸方向にロックがかかる(場合により、交換可能)。当然、スナップ接続は、他の方法でも形成可能であり、また、別の方法によって軸方向のロックを準備することができる。
【0107】
図19に示されたグリップ1の実施形態の場合、外被面14は、グリップ・コア6の先端部17、18が半径方向に拡大されて形成されている。先端部と先端部の間には、弾性をもつグリップ1の部品が配置されており、この部分は、軟質層10(内側の層28)ならびに縦断面において軟質層10を密閉しているグリップ・コア被覆9および外部層11(外側の層)による被覆によって形成されている。この弾性のあるグリップ部品を、まず、独自の射出成形部品として、同様にサンドイッチ法で製造し、柔軟に広げながら、後部から先端部18にかけてグリップ・コア6の上に取り付けるか、あるいは、すでに言及した実施形態で説明したように、サンドイッチ法で直接グリップ・コア6の上にこのグリップ部品を射出することができる。
【0108】
図20に示された実施例の場合は、グリップ1において、グリップ・コア6がグリップ1の先端まで連続しないように形成されている。むしろ、グリップ・コア6の先端部18は、同様にグリップ・コア被覆9、軟質層10(内側の層28)および外部層11(外側の層27)によって覆われており、それによって、外部層11が正面の外被面または丸い頂部を形成する。この実施例によるグリップの場合、少なくともひとつの、または唯一の吸入口20をグリップ1の先端部中央に配置することが有効である。
【0109】
図21に示された実施例の場合、グリップ・コア6は、先端部18の半径方向への膨張がないまま、グリップ1の先端部まで続いている。
【0110】
図18〜21に示された実施例の場合、軟質層10または内側の層28は、とくに、硬度10〜45ショアAの密閉構造で、プラスチックの鋳型において第二材料23により形成される。選択的に、軟質層10は、多孔質構造で形成することができ、その初期硬度は20〜80ショアAである。外部層11(外側の層27)および/またはグリップ・コア被覆9には、第一材料がプラスチック鋳型において使用され、硬度は30〜105ショアA、とくに30〜85、優先的には40〜60ショアAである。軟質層10の半径方向への広がりは、外部層11および/またはグリップ・コア被覆9の広がりよりも大きい。グリップ・コア9および/または外部層11の厚さは、0.5〜4mmである。グリップ・コア6は、グリップの丸い先端を形成する頂部を有しており、その直径は、シャフトまたはグリップ・コア6の中心部26の直径よりも大きい。選択的に、グリップ・コア6は、丸い頂部をもたないようにもでき、シャフトまたは中心部26がグリップ1の先端まで、連続する一定の断面になるようにすることが可能である。さらに、グリップ・コアが、グリップ1の先端まで連続していないように形成することも可能である。
【0111】
図22〜24に示されたグリップの実施形態は、コテに使用される。グリップ1は、図23に示された縦断面に従って、前方先端部47、中央部26および後方先端部48を有している。先端部47、48は、それぞれグリップ・コア6の半径方向への広がりによって形成されている。中央部26は、すでに示した実施形態に従って、グリップ・コア被覆9、第二材料23による軟質層10(内側の層28)および第一材料22による外部層11(外側の層27)によって形成され、その際、図に示された実施形態には、外部層11およびグリップ・コア被覆9が、先端部47、48の移行部分において、ウェブ42またはフランジ様の前面の層によってそれぞれ材料結合的に相互に接続されており、それによって、軟質層10は硬い材料22による層によって完全に覆われている。グリップ・コア被覆9、軟質層10および外部層11は、サンドイッチ法での材料22、23の注入によって製造される。図24に示されたグリップ1の断面から、これが前後方向の軸3−3を横切る軸49−49に対して、非対称であることが分かる。もちろん、グリップは対称的な形にすることもできる。
【0112】
図18〜26で示されているように、グリップ1の内部では、材料22によるグリップ・コア被覆9と外部層11との間は、必ずしもウェブや突起部によって連続的に接続されていない。というのも、そのようなウェブによる接続は、サンドイッチ法の場合、どうしても自動的には生じないからである。
【0113】
図25、26に示した実施例の場合、下の図において、グリップ・コア6の突起部8、13が準備され、これらは、図26で分かるように、両方の半径方向に向かってグリップ・コア被覆9を通り抜け、軟質層10(内側の層28)へ伸びている。この場合、6つの突起部8、13は均等に周辺方向へ配分され、その際、2つの向かい合う突起部8、13は、その他の突起部8、13に対して、半径方向への伸びが大きくなっている。しかし、また、すべての突起部が半径方向へ同一の伸びをもつようにすることも可能である。図10、11の例とは異なり、突起部は、層10の中へ深く伸びていない。従って、ねじり剛性は、図10、11のグリップよりも少ない。鋳型および注入ダクトの設置ならびにプロセスの調整が適切であり、図に示されたグリップ1を間欠サンドイッチ法で製造する場合には、しかし、ウェブ12がグリップ・コア6またはグリップ・コア被覆9と外部層11との間に形成され、このウェブは、図27および図25の上半分から分かるように、軸方向における層10の広がり全体に及んでいる。
【0114】
図28は、プライヤ・リム25用グリップの実施形態を示している(図7、8、9も参照)。プライヤ・リム25に取り付けられている下部51は、硬質プラスチックで覆われている。上部52は、プライヤ・リム25の外側の面で下部51と材料結合的に接続されており、その際、この接続の場合には、下部51がスクリュー・ドライバー用実施例のグリップ・コア6に匹敵する。上部51は、軟質層10または内側の層28で形成され、これは、断面図において、互いに移行し合う外部層11または外側の層ならびに「グリップ・コア被覆」9によって完全に囲まれている。上部52と下部51とが接続して構成されているグリップ1の製造は、後付けの個別部品としてプライヤ・リムに取り付けることもできるし、スクリュー・ドライバーのグリップ・コア6の上に層10、11を射出成形するように、サンドイッチ法においてプライヤ・リム25の上へ直接射出成形することも可能である。
【0115】
図29、30は、グリップ1の実施形態を有するハンマー53の縦断面図と横断面図である。少なくとも、使用者の手によって握られるグリップの範囲には、グリップ1がグリップ・コア被覆9、軟質層10(内側の層28)および外部層11(外側の層27)によって形成され、これらはサンドイッチ法で製造することができる。図に示された実施形態とは別に、ハンマーの柄は、スクリュー・ドライバー用グリップでの丸い頂部18のような、空洞内に密着するエンド・ピースを装備することもできる。
【0116】
図31および32に示された実施例は、硬質のプラスチックによるグリップ・コア被覆9なしに製造されている。その代り、グリップ・コア6は、向かい合って配置された両方の突起部8、13が直接または間接的にグリップ・コア被覆9を相互に接続する形で、軟質層10(内側の層28)によって覆われており、この層はサンドイッチ法で製造され、第二材料23によって形成されている。軟質層10は、半径方向の外側で外部層11(外側の層27)によって覆われ、この層はサンドイッチ法で製造され、第一材料22によって形成されている。外部層11の厚さは、この形態の場合、鋳型空洞に注入される材料22と23の量を適切に配合し、鋳型空洞の壁を強力に冷却することによって、優先的には、グリップの大きさに応じて、2〜4mmの範囲で調整される。それによって、層27、28の接続は、突起部8、13が軟質層10に深く入っていなくても、すでに良好なねじり剛性を得ている。ねじり剛性をさらに向上させるには、突起部8を外部層11(外側の層27)の内面まで延長することによって可能である。極端な場合には、突起部が外部層27に材料結合的に接合する(図15、16を参照)。ねじり剛性を高めるには、グリップ・コア6自体がほぼ長方形の断面をもち、材料結合的に外部層11の内面に接合することによって可能となる(図17を参照)。
【0117】
図33は、ほぼ同じ軸方向のポジションで、3つの吸入口20、21、54が周辺方向に均等に配分された、発明に基づく方法の実施形態を示している。この方法で、吸入口20、21、54間の周辺方向の中央部に、3つの突起部12を製造することができ、これらの突起部は、軸方向と半径方向に伸びている。
【0118】
図34は、2つの吸入口20、21が周辺に向かい合って配置されているが、軸方向にはずれた位置に配置され、発明に基づく方法の実施形態を示している。この場合、説明したサンドイッチ法では、周辺方向に閉じられているか、前後方向の軸3−3を中心に周る螺旋形に形成され、層9と11を結ぶ突起部12が生じている。図に示された実施形態とは異なり、吸入口20、21が、周辺方向に向き合わないでずれている場合には、生じる突起部12は、前後方向の軸に対して横方向の面に伸び、一方、図に示された実施形態では、前後方向の軸3−3に対して螺旋の勾配角γが生じる。注入条件および注入口20、21の場所によって、螺旋の勾配角γを規定することができる。
【0119】
優先的に、本発明は、様々な工具のためのグリップのみならず、サイズやシャフトの形が異なる工具セット用のひとつまたは複数のグリップにも適用される。
【0120】
スクリュー・ドライバー用グリップの場合、多孔質な層の形態は優先されない。発明に基づく方法は、スクリュー・ドライバー用グリップのような左右対称の断面をもつグリップの製造に使用することができるが、また、EP00907448.5およびEP01915000.2の申請者によるコテ用グリップまたはハンマー用グリップのように、左右非対称の断面をもつグリップにも使用できる。発明の形態では、硬質プラスチックによるグリップ・コアの横断面積が既成グリップの横断面積と比べて小さく、そのことによって、弾性のある、柔軟な層の容量を比較的大きくできることが、本方法に基づいて製造されるグリップに特徴的なことである。従って、このグリップは、硬質プラスチックによるグリップ・コアの断面積が軟質プラスチックによるグリップ被覆の断面積に比べて大きいという、従来の技術による2つの構成部品からなるグリップとは異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0121】
以下に、図に示された優先的な実施例を使って、本発明をさらに説明する。
【0122】
【図1】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図2】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図3】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図4】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図5】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図6】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、発明に基づいたスクリュー・ドライバー用グリップの製造を示した図。
【図7】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、プライヤ用グリップの製造を示した図。
【図8】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、プライヤ用グリップの製造を示した図。
【図9】第一材料および第二材料を同一鋳型へ連続注入するサンドイッチ法における、プライヤ用グリップの製造を示した図。
【図10】丸い基本断面と2つの対面する周辺面に突出した突起部のあるグリップ・コアを有する、発明に基づいたグリップの実施形態の縦断面図と横断面図。
【図11】丸い基本断面と2つの対面する周辺面に突出した突起部のあるグリップ・コアを有する、発明に基づいたグリップの実施形態の縦断面図と横断面図。
【図12】第一の近接部分に長方形のグリップ・コアを有する、発明に基づくグリップの実施形態の縦断面図と横断面図。
【図13】第一の近接部分に長方形のグリップ・コアを有する、発明に基づくグリップの実施形態の縦断面図と横断面図。
【図14】断面で星形のグリップ・コアを有する、発明に基づくグリップの実施形態を示した図。
【図15】発明に基づくグリップ実施形態の縦断面図と横断面図。この場合、グリップ・コアは、内部層を通過して比較的厚いグリップ外部層まで伸びる隆起部を有している。
【図16】発明に基づくグリップ実施形態の縦断面図と横断面図。この場合、グリップ・コアは、内部層を通過して比較的厚いグリップ外部層まで伸びる隆起部を有している。
【図17】発明に基づくグリップの実施形態の横の断面図。この場合、図15および16に示された実施例とは異なり、第一の近接部に長方形の断面をもつグリップ・コアが準備され、その断面は内部層を通過して外部層まで伸びている。
【図18】発明に基づくグリップの実施形態の縦断面図。この場合、グリップはスナップ式接続によって、または軸方向の形状結合によって互いに接続された2つの構成部品で形成されている。
【図19】発明に基づくグリップの実施形態の縦断面図。この場合、グリップ・コアがダンベル形の先端部を有し、端部と端部との間で、グリップ・コア中間部の周りにグリップ・コア被覆、内部層および外部層が広がっている。
【図20】発明に基づくグリップの実施形態の縦断面図。この場合、グリップ・コアがグリップの終端まで伸びておらず、グリップ・コアの終端がグリップ・コア被覆、柔らかい内部層および外部層によって覆われている。
【図21】発明に基づくグリップの実施形態の縦の部分断面図。この場合、グリップ・コアが終点部分で変化しないまま、連続する断面で形成されている。
【図22】発明に基づく、コテ用グリップの実施形態。グリップ付きコテを上から見た図ならびにグリップの縦断面図および横断面図。
【図23】発明に基づく、コテ用グリップの実施形態。グリップ付きコテを上から見た図ならびにグリップの縦断面図および横断面図。
【図24】発明に基づく、コテ用グリップの実施形態。グリップ付きコテを上から見た図ならびにグリップの縦断面図および横断面図。
【図25】図25の下半面と関連した、発明に基づくグリップの実施形態の縦および横断面図。この場合、グリップ・コアの突起部がグリップ・コア被覆を貫通し、硬い外部層によって覆われた内部層に伸びている。
【図26】図25の下半面と関連した、発明に基づくグリップの実施形態の縦および横断面図。この場合、グリップ・コアの突起部がグリップ・コア被覆を貫通し、硬い外部層によって覆われた内部層に伸びている。
【図27】図25の上半面と関連した、発明に基づくグリップの実施形態の横断面図。この場合、グリップ・コアの突起部が、一体形成で外部層をグリップ・コア被覆と接続し、外部層とグリップ・コア被覆との間に配置された柔らかい内部層を貫通するウェブに移行している。その際、周辺方向の内部層はウェブによって中断されている。
【図28】発明に基づくプライヤ・リム用グリップの実施形態断面図。図8および9に類似。
【図29】発明に基づくハンマー用グリップの実施形態の縦および横断面図。
【図30】発明に基づくハンマー用グリップの実施形態の縦および横断面図。
【図31】発明に基づくグリップ実施形態の縦および横断面図。この場合、突起部をもつグリップ・コアが柔らかい層によって覆われており、さらにその層が固い、比較的厚い外部層によって覆われている。
【図32】発明に基づくグリップ実施形態の縦および横断面図。この場合、突起部をもつグリップ・コアが柔らかい層によって覆われており、さらにその層が固い、比較的厚い外部層によって覆われている。
【図33】発明に基づいて、サンドイッチ法でグリップを製造するための鋳型の横断面図。この場合、鋳型は、周辺に配分された3つの吸入口を有している。
【図34】発明に基づいて、サンドイッチ法でグリップを製造するための鋳型の縦断面図。この場合、鋳型は、軸方向にずれた吸入口を有している。
【符号の説明】
【0123】
1 グリップ
2 シャフト
3 長軸
4 シャフトの伝達断面
5 突起部
6 グリップ・コア
7 グリップ・コアの伝達断面
8 グリップ・コア突起部
9 グリップ・コア被覆
10 軟質層
11 外部層
12 突起部またはウェブ
13 突起部
14 外被面
15 アイ
16 鋳型、鋳型空洞
17 先端部
18 先端部
19 チャンバ
20 吸入口
21 吸入口
22 第一材料
23 第二材料
24 ダクト
25 プライヤ・リム
26 中間部
27 外側の層
28 内側の層
29 前後方向の広がり
30 突起部の伸び/長方形の伝達断面
31 グリップ・コア半径
34 外被面半径
40 半径方向の広がり
41 半径方向の広がり
42 ウェブ、フランジ
43 先端部
44 突起
45 溝
46 コテ
47 前方先端部
48 後方先端部
49 横軸
50 プライヤ
51 下部
52 上部
53 ハンマー
54 吸入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材料によるグリップ・コア(6)、軟質の第一材料(22)による外部層(27)および外部層(27)の内側にあり、半径方向の外側の層に接している軟質の第二材料(23)による内側の層(28)を有し、その際、層(27、28)の層の厚さと剛性は、使用者がグリップ(1)に手で力を加えた場合、外部層(27)と内側の層(28)の両方に弾性による変形が生じ、
a)まず、鋳型(16)に第一材料(22)が注入され、
b)第一材料(22)の注入に続いて、鋳型(16)内の第一材料(22)が最終的に硬化する前に、第二材料(23)が液状のままの第一材料(22)中に注入され、その際、第二材料(23)の注入によって第一材料(22)が空間的に押しやられ、鋳型(16)の壁に当たるまで移動し、
c)硬化した後、
ca) 外側の層(27)は第一材料(22)で形成され、
cb) 内側の層(28)は第二材料(22)で形成される、
以上の段階を経る工具用グリップ(1)の製造方法。
【請求項2】
内側の層(28)および外側の層(27)が閉じた構造をもって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第二材料(23)が第一材料(22)よりも柔らかいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一材料(22)の注入に続いて、鋳型(16)内の第一材料(22)が最終的に硬化する前に、第二材料(23)が注入され、
a)第一材料(22)が部分的に第二材料(23)によって外側へ押しやられ、硬化した後、そこでグリップ(1)の外皮面(14)の少なくとも一部を形成し、
b)第一材料(22)が部分的に第二材料(23)によって内側に押しやられ、硬化した後、そこで内部層(グリップ・コア被覆9)の少なくとも一部を形成する、
以上のように材料が流れることを特徴とする、請求項1〜3に記載の方法。
【請求項5】
鋳型(16)内で第一材料(22)が最終的に硬化する前に、第二材料(23)が少なくとも2つの注入口(22、21)から注入され、材料が互いに逆方向へ流れることによって、第一材料(22)が、
a)部分的に第二材料(23)によって外側へ押しやられ、硬化した後、そこでグリップ(1)の外皮面(14)の少なくとも一部を形成し、
b)少なくとも、互いに逆方向に流れた分流が遭遇する部分で、第一材料(22)が留まり、それによって、硬化した後、その部分で第一材料(22)によるウェブ、突出部または突起部(12)を形成し、これらが材料結合的に外側の層(27)および/または内部層(グリップ・コア被覆9)に接続されている、
以上のことを特徴とする、請求項1〜4に記載の方法。
【請求項6】
反対方向に流れる分流が遭遇する部分において、冷却された第一材料(22)の外層が移動したり、溶けたりするのではなく、一体化することによって、硬化した後、この部分において、第一材料(22)によるウェブ、突出部または突起部(12)が形成され、これらは材料結合的に外側の層(27)および/または内部層(グリップ・コア被覆9)に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第一材料(22)と第二材料(23)の注入が同一の吸入口(20;21)から行われることを特徴とする、請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
第一材料(22)と第二材料(23)が、材料の流れを中断せずに、時間的に途切れることなく順番に注入されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
周辺方向に互いに向かい合う2つの吸入口(20、21)が準備されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
唯一の吸入口(20;21)が準備されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
材料(22、23)を注入する前に、グリップ・コア(6)が鋳型(16)の中にセットされることを特徴とする、請求項1〜10に記載の方法。
【請求項12】
グリップ・コア(6)がアイ(15)を有し、ウェブ、突出部または突起部(12)が形成される部分にアイ(15)があるようにグリップ・コア(6)が鋳型(16)の中にセットされ、吸入口(20、21)と向かい合っていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
グリップ・コア(6)が半径方向の外側に方向づけられた突起部(8)を有し、逆方向の分流が互いに遭遇し、ウェブ、突出部または突起部(12)が形成される部分に突起部(8)が伸びるように、グリップ・コア (6) が鋳型の中にセットされることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
逆方向の分流が遭遇し、ウェブ、突出部または突起部(12)が形成される部分に対して、鋳型(16)の分割面が約90°ずれていることを特徴とする、請求項1〜13に記載の方法。
【請求項15】
グリップ・コア(6)が向かい合う2つの先端部(17、18)を有し、それらが外皮面(14)の末端部分を形成し、その際、先端部(17、18)、グリップ・コア(6)またはグリップ・コア被覆(9)および鋳型(16)は、材料(22、23)が注入される前に、チャンバ(19)を形成していることを特徴とする、請求項11〜14に記載の方法。
【請求項16】
工具が2つのプライヤ・リム(25)をもつプライヤであり、リムは、それぞれグリップ(1)によって覆われており、その際、第一材料(22)および第二材料(23)の吸入口(20)が、組み立てられた状態で、互いに別の方向を向いたプライヤ・リム(25)の側に配置されているか、グリップの後方または前方の端部に配置されていることを特徴とする、請求項1〜15に記載の方法。
【請求項17】
第一材料(22)が注入され、その硬度が25〜90ショアA、優先的には30〜85ショアA、とくに30〜60ショアAであることを特徴とする、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項18】
第二材料(23)が注入され、その硬度が10〜40ショアA、優先的には15〜35ショアAであることを特徴とする、請求項1〜17に記載の方法。
【請求項19】
内側の層(28)の半径方向への広がりが小さい2つの部分が生じるように、注入条件が規定されることを特徴とする、請求項1〜18に記載の方法。
【請求項20】
グリップ・コア(6)に突起部(8)が準備され、これらが外側の層(27)の内面まで伸びていることを特徴とする、請求項1〜19に記載の方法。
【請求項21】
主として長方形の断面をもつグリップ・コア(6)が挿入され、その長い方の面が外側の層(27)とかなり近い距離まで伸びていることを特徴とする、請求項1〜19に記載の方法。
【請求項22】
外側の層の厚さが0.5〜4mmになるように注入条件が設定されることを特徴とする、請求項1〜21に記載の方法。
【請求項23】
内側の層(28)の半径方向への広がりが、少なくともグリップの最大直径の部分で外側の層(27)の半径方向への広がりよりも大きくなるように注入条件が設定されることを特徴とする、請求項1〜22に記載の方法。
【請求項24】
グリップ(1)の最大直径(直径=2.0×半径(34))とグリップ・コアの直径(直径=2.0×半径(33))の比が、少なくとも同じ地点で、1.5よりも大きく、とくに2よりも大きくなるように注入条件が設定されることを特徴とする、請求項1〜23に記載の方法。
【請求項25】
外側の層(27)が、少なくとも軸方向の広がり(29)の部分で、最大mmの一定の厚さを有するように注入条件が設定されることを特徴とする、請求項1〜24に記載の方法。
【請求項26】
第一材料(22)として、熱可塑性エラストマ、熱可塑性ポリオレフィン、ポリプロピレン、EPDMカウチュック、PVC、スチロール・ブロック共重合体が注入されることを特徴とする、請求項1〜25に記載の方法。
【請求項27】
外側の層(27)が充填材を有することを特徴とする、請求項1〜26に記載の方法。
【請求項28】
グリップ(1)の外皮面(14)がシート・フォイルによって形成され、材料結合的に内部の層に接合されていることを特徴とする、請求項1〜27に記載の方法。
【請求項29】
材料(22、23)の吸入口(20、21)が相互に軸方向にずれて配置されていることを特徴とする、請求項1〜28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜29に記載の特徴を有し、請求項1〜29に記載の方法によって製造される、とくにスクリュー・ドライバーに用いる工具用グリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2009−520609(P2009−520609A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546152(P2008−546152)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006045
【国際公開番号】WO2007/079787
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508177312)フェロ−ウェルクズーグ−ファブリック ホーランド−レッツ ジーエムビーエイチ (1)
【Fターム(参考)】