説明

グリップ部に圧電ゴムを用いた電源制御型の電装化ゴルフクラブおよびその製造方法

【課題】本発明は、電装化された練習用のゴルフクラブに於いて、従来の機能などを殆ど損なうことなしに、単にグリップ部分を握るだけで、その電源の、スイッチがオン(通電)の状態にしたいという新しい課題に対し、新しい手段を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、グリップ部に感圧(性)ゴム(同類を含めた圧力センサーゴムと言う用語の代表で用いた)を用い、感圧ゴムが、品質・特性が、極めてバラツクことを踏まえ、電極を設け、通電が一定の閥値(バツチ)を超えた時のみ、「オン」の状態にし、その後、一定時間後、新たな信号が無ければ、「オフ」の状態にする方法をとった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は電装化されたゴルフクラブのグリップ部に関する。特にクラブを握るとクラブに装備した情報発信機器の電源が自動的に通電(オン)される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電装化されたゴルフクラブ(以後、総称して電装化ゴルフクラブという)の提案は多くあり、一々ここに記載するまでも無く、例えばエバンスの特許(特許文献1及び特許文献2)を始め数多く知られている。電装化とは、ゴルフクラブのヘッドの速度とか、打撃位置、加速度、打撃応力、握り力などを電気的に測定し、表示することである。
【0003】
一般に、クラブは持ち運ぶので、独立の電池等の電源が要るが、どのようにそれらの電源を入れるかと言うことが問題である。スイッチを設けると、大げさになるし、重くなる、重いとクラブのバランスが狂うし、急な雨で水が浸入しやすくなるなどの問題がある。
【0004】
公式には、認められていないが、練習用ラウンドには、かかる電装化されたクラブを持ち運びたいのが常である。急に雨が降る時に、外に開放されたスイッチでは、雨水の浸入が起こり得る。また、熱中していると一々スイッチを入れるのは面倒である。また、クラブを自動的に入れ放しにすると電池の寿命が短くなる。
【0005】
本発明者の特許検索によると、米山らの特許文献3には、「ゴルフ、テニス、野球などのスポーツ用打具で打撃スイングをする際に、該打具に設けたグリップに発生する把握力を検出する把握力センサにおいて、スイング時に該グリップと手や指との間に把握力として発生する摩擦力を単独に検出可能な構成により該グリップに把握力センサを設けること」と言う表現で、グリップにおける工夫が記載されている。
【0006】
ところが、練習用機器にもかかわらず、電子化されたクラブを持つと、そのままラウンドしたいという欲望が湧き、その場合としては、驚くべきことに、スイッチをオンするのを、再々忘れたり、面倒になる事態が発生した。恐らくゲームとなると平常心を失うのであろう。他方、特許文献4には、ディンプルを付けたグリップ部の開示がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許 USP3,270,564
【特許文献2】米国特許 USP3,792,863
【特許文献3】特許公開2005−292061
【特許文献4】特許公開2003−325712
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、グリップを握れば自動的に、通電状態になることが、求められた。上記のように本発明は、従来には全く無かった新しい課題を解決することである。これまでの特許文献には、我々の調べた範囲では、ゴルフクラブのグリップを握るだけで、電装化されたクラブの電源が、入るものは、皆無であった。すなわち、かかる新規課題もその達成手段も無かった。解決すべき新規課題としては、次の通りである。ゴルフクラブのグリップを握るだけで、通電状態にしたい。
【0010】
電装化したクラブにおいて、次の諸項目を満足する事である。
(1)グリップ表面は、最も普通のクラブと同様ゴム状物であること。
(2)急な雨に対処しうること。
(3)新規なスイッチの増設の重量増加を防げること。
【0011】
(4)違和感の無い機構にしたいこと。
(5)感性視点でも、満足し易いこと。
(6)衝撃に耐えること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一発明の骨子は、電装化されたゴルフクラブにおいて、(1)グリップ部に、(2)ゴム的な特性を有し、かつ(3)圧力に対し電気的特性が変化する素材が設けられてなることを特徴とする、握るだけで電源回路が「オン」の状態になるゴルフクラブである。
【0013】
ここで言うゴム的な感圧電気材料としては、特に圧電ゴムは、感圧導電(性)ゴム、加圧導電ゴム、感圧材料、通電ゴム、感圧ゴムとも一般的に言われている。以後これらの用語を混然と使う場合がある。また、その類の素材は、電気的特性が、大いにバラツクこと、つまり特性が安定しないことが多々あり、多くの用途が制限されている。
【0014】
また、かかる故に、圧力と電気特性は、多くが正しく比例し難い。使うためには、非常な工夫が必要である。シリコーンや、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタンなどのゴム状物に、各種の炭素粉末(アセチレン系のカーボンを含む)、黒鉛、金、銅、銀、亜鉛などの金属、金属酸化物(導電性酸化亜鉛、酸化スズ)、金属硫化物(流化銅を含む)などを、練り込むのが均一とならず、バラツキの原因の一つであるとされている。頭で考えるようにはいかない。
【0015】
また、練り込みの状態は、作業現場を見れば、いかに困難かが肯けよう。また、反復繰り返し圧で、粒子の構造変化や、配列変化が起こることも、バラツキの要因だとも言われている。ゴム的な特性を有し、かつ(3)圧力に対し電気的特性が変化する素材を用いる本発明は、これらの欠点を乗り越えた新規な手法で、ゴルフクラブに、新しい手段を見出したとも言える。
【0016】
本発明は、グリップ部をゴムにした事以外に、圧力変化を使うが、比例特性を使うものではない。つまり最も単純な「オンーオフ」のみに使う。グリップ部は、元々ゴムを使うので、違和感が生じない。感圧ゴムの諸欠点を巧みに克服できた。
【0017】
第二の発明の骨子は、電装化されたゴルフクラブにおいて、(1)グリップ部に、(2)ゴム的な特性を有し、かつ(3)圧力に対し電気的特性が変化する素材が設けられ、(4)該素材は電極とリード線に接続されており、(5)該素材は、さらにゴム状素材で覆われていることを特徴とするゴルフクラブである。
【0018】
ゴム的素材でも、電極は必要であり、ゴムの一部が押さえられると、通電して、閾値よりも上の値になると電源が「オン」の状態になる。一定時間以上になっても、ゴム状物が、押えられないと、電源が切れるように、回路設計がなされる。後者だけの回路設定は、すでに公知である。
【0019】
第三の発明の骨子は、グリップ部に、ゴム的な特性を有し、かつ圧力に対し電気的特性が変化する素材が設けられてなる電装化されたゴルフクラブにおいて、該電装化には、少なくとも打撃位置を特定する電装ディバイス(例:特願2007−333133)であることを特徴とするゴルフクラブである。また、既に本発明者らにかかる打撃位置検出手段の電源の「オンーオフ」に、好ましく用いられることは申すまでもない。
【0020】
第四の発明の骨子はグリップ部に、ゴム的な特性を有し、かつ圧力に対し電気的特性が変化する素材が設けられてなる電装化されたゴルフクラブにおいて、該電装化には、少なくとも打撃速度を特定する電装ディバイスであることを特徴とするゴルフクラブである。上記と同様に、打撃速度を特定する電装ディバイスの電源の「オンーオフ」にも好ましく用いられることは申すまでもない。
【0021】
第五の発明の骨子は電装化されたゴルフクラブにおいて、(1)グリップ部に、(2)ゴム的な特性を有し、かつ(3)圧力に対し電気的特性が変化する素材が設けられてなり、(4)感圧ゴムの両面に極板とリドード線を付加した構成となっていることを特徴とするゴルフクラブである。
【0022】
ここでグリップ部に付加したという意味は、グリップに巻きつけること、その上から、被せるように筒状のゴム的カバーを、被せることも含まれる。また、巻き付けないでも、沿わせることも、含まれる。その上から、被せるように筒状のゴム的カバーを、被せることも含まれる。
【0023】
第六の発明の骨子は電装化されたゴルフクラブの製法において、(1)グリップ部に圧力に対応して電気的特性が変化するものを設ける工程と、(2)その特性変化から電源をオンーオフする回路とを結ぶ工程、(3)手の握りによって通電しかつ(4)通電後一定時間は通電が続行する回路を設ける工程を含むことを特徴とするゴルフクラブの製法である。これらは、上記発明の説明で十分明らかであろう。
【0024】
第七の発明の骨子は電装化されたゴルフクラブの製法において、(1)グリップ部の圧力に対応して、電気的特性が変化するものを設ける工程と、(2)その特性変化から電源をオンーオフする回路と結ぶ工程と、(3)特定部位の指による押さえに対して通電し、かつ(4)通電後一定時間は通電が続行する回路を設ける工程を含むことを特徴とするゴルフクラブの製法である。これも、上記発明の説明で十分明らかであろう。
【0025】
本発明の内容を詳しく説明すると次の通りである。感圧ゴムは、実生産品は、押さえ圧に対して比例した安定した特性を示し難いが、本発明では、比例特性のバラツキを超越し、ラフな特性でも使えるように「オンーオフ」のみに使うものである。しかも、ゴムであるので、元々、ゴム的特性を必要とする部位にゴムを使うものであるので、違和感が生じない。
【発明の効果】
【0026】
本構成を採ることにより、次の効果が発揮された。すなわち
効果1)グリップ表面は、最も普通のゴム状物にし得た。
効果2)その結果、その上に、ゴム状のグリップカバーを容易に嵌め易くなった。
効果3)急な雨に対処しうるグリップにできた。(ゴムで締め付けられるため)
効果4)新規なスイッチの増設による重量増加を防げた。
【0027】
効果5)違和感の無い機構にしえた。
効果6)感性視点でも、満足し易いものにできた。
効果7)衝撃に耐えるようにできた。
効果8)スイッチの入れ忘れ、切り忘れが防止できた。
効果9)電池の長寿命化ができた。
などである。
【実施例】
【0028】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。しかし、本実施例により、本発明の有効性が,限定解釈されるものではない。むしろ、更なる展開をもたらすものである。
【実施例1】
【0029】
先ず、シャフトに表示器を取り付けた。次にシャフトグリップ部に、銅箔を両面テープでとりつけた。その上に導電性接着剤(MELECO MODEL1225SN742 BASE+同ACT)を用いて導電性ゴム(イナバゴム社製)を巻き付けた。
【0030】
更に、その上に導電性接着剤を用いて、銅箔を取り付けた。電池をシャフト内に、電池ボックスを用いて取り付けた。電池のプラス(+)側を、銅箔の一方に取り付け、他方の銅箔から表示器のプラス(+)側に接続した。電池のマイナス側を、表示機のマイナス側に接続した。ゴムゴリップを取り付けるために、両面テープをシャフト部に貼り付けた。
【0031】
ここで、グリップ内部および両面テープ上に揮発性の油を塗りつけた(秘訣)。次にゴムグリップを取り付けた。これで完成したので、クラブのグリップを握り、通電することを確認した。これを20秒放置し、設計した通り電源が切れることを確認した。念のために、これを97回繰り返した。100回ではないが、十分確認が取れたと見なし、この時本発明を出願した。
【0032】
[発明の様々な様態の確認]
なお、本発明には、表現こそ既に掲げた請求項とは完全には一致しないが、実質的に次の各種の付加的事項を、発明の内容として、含むものである。
【0033】
A.ゴルフクラブのグリップ部の直ぐ近くに、モニター部つまり表示部、電子回路基 盤部、電子制御部を設けること。
B.グリップ部のより内部に、電池部、バッテリー部を設けること。
C.配線部に、未硬化のゴムをぬることまたは/及び接着剤を塗ること。
【0034】
D.グリップ部に配線すること。
E.本発明によるグリップに、筒状のゴムカバー(グリップカバー)を被せること。
F.圧電ゴムに電極部、さらにリード線を設けること。
G.クラブに、シャフトカバー、グリップカバーを付属させること。
これにより、ゴルフバッグの輸送中の事故を防止すること、電装化されたクラブ固有の事故が防止できた。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は具体的には,電装化したゴルフのクラブのグリップ部に好ましく用いられ、練習用機器の産業に広く用いられる。

【特許請求の範囲】


【公開番号】特開2011−120609(P2011−120609A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114525(P2008−114525)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(506287615)株式会社MUGEN (3)
【Fターム(参考)】