説明

グリル包装材およびそれを用いたグリルの包装構造

【課題】焼き網を支持体から取り外すことを可能にして、焼き網の清掃時に支持体が邪魔にならないようにした、グリルを備えた加熱調理器を輸送する際などに、振動や衝撃によって焼き網が支持体から脱落しないようにする包装することが可能な包装材および包装構造を提供する。
【解決手段】グリル包装材9を、載置部材7が支持体7a上に載置された状態における載置部材7の上方向への移動を牽制する載置部材上方移動牽制部9aと、載置部材上方移動牽制部が支持体から浮き上がることを規制する牽制部浮き上がり規制部9bと、グリル包装材自体の、支持体に対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部9cと、グリル包装材自体の、グリル庫に対する上方向の移動を規制して位置決めをする包装材位置決め部9dとを備えた構成とする。
さらに、支持体上方移動規制部9eを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル包装材およびグリルの包装構造に関し、詳しくは、魚などの被調理物を焼くのに用いられるグリルを包装するためのグリル包装材およびそれを用いたグリルの包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加熱調理器として、魚などの被調理物を焼くためのグリルを備えた加熱調理器が広く用いられている。
このようなグリルを備えた加熱調理器として、例えば、特許文献1のようなグリル装置を備えた加熱調理器が知られている(特許文献1、図1〜4など参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている加熱調理器において、グリル庫の前部にはグリル扉が装備されており、グリル庫内には、調理物の載置部材としての焼き網と、その焼き網の下方に配置される汁受け皿とが装備されている。
そして、焼き網を支持する前後一対の支持体が焼き網に設けられており、支持体は汁受け皿の前端部および後端部に着脱可能に装着されている。
【0004】
また、汁受け皿およびグリル扉は、グリル庫に対して一体的に出退可能に支持され、焼き網が、汁受け皿に支持された状態で、グリル庫に対して出退されるように構成されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の加熱調理器のように、焼き網を支持する前後一対の支持体を焼き網と一体に設けた場合、例えば、加熱調理器を輸送する際などにおいて、振動などが加わった場合にも、支持体から焼き網が脱落することがなく、取扱上好都合であるが、その一方で焼き網の清掃を行う際に、支持体が邪魔になり、清掃しにくいという問題点がある。
【0006】
これに対し、例えば、汁受け皿に支持体を載置しこの支持体に焼き網を載置する構造にすることで、支持体からの焼き網を取り外し可能にして、焼き網の清掃時に、支持体が邪魔にならないようにすることができる。
しかしながら、このようにした場合、加熱調理器の輸送する際の振動や衝撃によって、焼き網が支持体から脱落するおそれがあり、また、それによりグリル庫やグリル扉を傷つけるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−079831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、グリルを備えた加熱調理器において、焼き網を支持体から取り外すことを可能にして、焼き網の清掃を行うときに支持体が邪魔にならないようにした場合にも、輸送する際の振動や衝撃などによって、焼き網が支持体から脱落しないように包装することが可能なグリル包装材およびそれを用いたグリルの包装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のグリル包装材は、
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルを包装するためのグリル包装材であって、
前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動を牽制する載置部材上方移動牽制部と、
前記載置部材上方移動牽制部が前記支持体から浮き上がることを規制する牽制部浮き上がり規制部と、
グリル包装材自体の、前記支持体に対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部と、
グリル包装材自体の、前記グリル庫に対する上方向の移動を規制して位置決めをする包装材位置決め部と
を具備すること
を特徴としている。
【0010】
また、本発明のグリル包装材においては、前記載置部材上方移動牽制部と、前記牽制部浮き上がり規制部と、前記包装材水平移動規制部と、前記包装材位置決め部とが、1つの板状部材に一体に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記牽制部浮き上がり規制部が、前記載置部材上方移動牽制部から延設される延設部と、前記延設部に設けられ、包装された状態において、前記支持体と係合する係止部とを備えた構成とされていることが好ましい。
【0012】
また、前記グリルは、前記支持体の一部を前記汁受け皿に穿設した係合孔に嵌入することにより、前記支持体と前記汁受け皿とが水平方向に位置決めされるように構成されており、かつ、
前記載置部材上方移動牽制部には、前記支持体の一部の前記係合孔への嵌入状態を前記載置部材上方移動牽制部の上方から視認するための視認用開口が設けられていること
が好ましい。
【0013】
また、前記包装材位置決め部により前記グリル庫に対して位置決めされた状態において、前記支持体の上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部を備えていることが好ましい。
【0014】
また、前記支持体上方移動規制部が、前記載置部材上方移動牽制部、前記牽制部浮き上がり規制部、前記包装材水平移動規制部、および前記包装材位置決め部とともに、1つの板状部材に一体に設けられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明のグリルの包装構造は、
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルを備えたグリルの包装構造であって、
上述のグリル包装材(請求項1〜4のいずれかに記載のグリル包装材)が用いられ、
前記載置部材上方移動牽制部により、前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動が牽制され、
前記牽制部浮き上がり規制部により、前記グリル包装材が、前記支持体から浮き上がることが規制され、
前記包装材水平移動規制部により、前記グリル包装材の前記支持体に対する水平方向の移動が規制され、
前記包装材位置決め部により、前記グリル包装材の前記グリル庫に対する上方向の移動が規制されていること
を特徴としている。
【0016】
また、本発明の他のグリルの包装構造は、
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルの包装構造であって、
請求項5または6記載のグリル包装材が用いられ、
前記載置部材上方移動牽制部により、前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動が牽制され、
前記牽制部浮き上がり規制部により、前記グリル包装材が、前記支持体から浮き上がることが規制され、
前記包装材水平移動規制部により、前記グリル包装材の前記支持体に対する水平方向の移動が規制され、
前記包装材位置決め部により、前記グリル包装材の前記グリル庫に対する上方向の移動が規制され、
前記支持体上方移動規制部により、前記グリル包装材が、前記包装材位置決め部により前記グリル庫に対して位置決めされた状態において、前記支持体の上方向の移動が規制されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のグリル包装材は、支持体上に載置された状態における載置部材の上方向への移動を牽制する載置部材上方移動牽制部と、載置部材上方移動牽制部が支持体から浮き上がることを規制する牽制部浮き上がり規制部と、グリル包装材自体の、支持体に対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部と、グリル包装材自体の、グリル庫に対する上方向の移動を規制して位置決めをする包装材位置決め部とを具備しているので、グリル内の焼き網を支持体から取り外し可能にして、焼き網の清掃を容易にした場合、輸送する際の振動や衝撃によって、焼き網が支持体から脱落しないように包装することが可能になる。
すなわち、支持体から焼き網を取り外し可能にすることで、焼き網の清掃を容易にする清掃対応性を向上させたグリルを包装するにあたって、輸送中の振動や衝撃によっても、焼き網が支持体から脱落するおそれのない包装を実現することができる。
【0018】
また、本発明のグリル包装材を構成する載置部材上方移動牽制部と、牽制部浮き上がり規制部と、包装材水平移動規制部と、包装材位置決め部とを、1つの板状部材に一体に設けるようにした場合、簡潔な構成で、信頼性の高いグリル包装材を提供することが可能になる。
【0019】
また、牽制部浮き上がり規制部が、載置部材上方移動牽制部から延設される延設部と、延設部に設けられ、支持体と係合する係止部とを備えた構成とされている場合、上記の延設部を設けるとともに、延設部に係止部を設けるだけの簡潔な構成で、高い包装信頼性を備えたグリル包装材を提供することが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【0020】
また、支持体の一部を汁受け皿に穿設した係合孔に嵌入することにより、支持体と汁受け皿とが水平方向に位置決めされ、かつ、グリル包装材を構成する載置部材上方移動牽制部に、支持体の一部の係合孔への嵌入状態を載置部材上方移動牽制部の上方から視認するための視認用開口が設けられた構成とすることにより、支持体の一部の係合孔への嵌入を容易かつ確実に視認することが可能になり、支持体と汁受け皿との水平方向の位置決めをより容易かつ確実なものとすることができる。
【0021】
また、グリル包装材が、包装材位置決め部によりグリル庫に対して位置決めされた状態において、支持体の上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部を備えている場合、輸送中の振動や衝撃により焼き網が支持体から脱落することのみならず、支持体が上方に移動することをも防止して、より安定した状態で焼き網を保持することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0022】
また、支持体上方移動規制部を、載置部材上方移動牽制部、牽制部浮き上がり規制部、包装材水平移動規制部、および包装材位置決め部とともに、1つの板状部材に一体に設けた構成とすることにより、簡潔な構成で、信頼性の高いグリル包装材を提供することが可能になる。
【0023】
また、本発明のグリルの包装構造は、上述の本発明のグリル包装材を用いてグリルを包装することにより得られる包装構造であり、グリル内の焼き網を支持体から取り外し可能にして、焼き網の清掃を容易にした場合において、輸送の際の振動や衝撃によって、焼き網が支持体から脱落しないようなグリルの包装構造を提供することができる。
【0024】
なお、本発明の他のグリルの包装構造では、支持体上方移動規制部により、グリル包装材が、包装材位置決め部によりグリル庫に対して位置決めされた状態において、支持体の上方向の移動を規制するようにしているので、輸送中の振動や衝撃により焼き網が支持体から脱落することのみならず、支持体が上方に移動することをも防止して、より安定した状態で焼き網を保持することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のグリル包装材による包装の対象であるグリルを備えた加熱調理器の斜視図である。
【図2】図1の加熱調理器の要部、すなわち、グリルを構成する汁受け皿、支持体、載置部材(焼き網)およびグリル扉の支持構造を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態において用いられているグリル包装材の展開平面図である。
【図4】汁受け皿、支持体、載置部材(焼き網)およびグリル包装材と、グリル庫との位置関係を示す正面断面図である。
【図5】汁受け皿、支持体および載置部材(焼き網)とグリル包装材との位置関係を模式的に示す側面図である。
【図6】支持体および載置部材(焼き網省略)とグリル包装材との位置関係を模式的に示す斜視図である。
【図7】グリル包装材の載置部材上方移動牽制部に、支持体の一部の係合孔への嵌入状態を視認するための視認用開口を設けた別実施例を示す斜視図である。
【図8】焼き網と支持体を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0027】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態にかかるグリルを備えた加熱調理器を示す斜視図、図2は、加熱調理器の要部、すなわち、グリルを構成する汁受け皿、支持体、載置部材(焼き網)およびグリル扉の支持構造を示す側面図である。
【0028】
図1に示すように、本発明のグリル包装材を用いて包装を行う対象であるグリルを備えた加熱調理器は、コンロバーナとして、標準バーナ1a、小バーナ1bおよび高火力バーナ1cを備え、かつ、天板2の下方にグリルGを設けた、ビルトインタイプのグリル付ガスコンロであり、ガスコンロ前側面には、コンロバーナやグリルGの点火および消火や火力調節を指令する手動操作部Sが設けられている。
【0029】
また、図2および図4に示すように、グリルGには、前面部および背部が開口した筒状に形成されたグリル庫5が備えられている。また、グリル庫5の後方側には、燃焼排ガスをグリル排気口4に導く排気ダクト6(図2参照)が接続され、グリル庫5の前部には、グリル扉Aが装備されている。
さらに、グリル庫5内には、被調理物の載置部材としての焼き網7と、その焼き網7の下方に配置される汁受け皿8とが装備されている。
【0030】
そして、この実施形態にかかる加熱調理器においては、焼き網7を位置決め状態で支持する、下フレーム7b、前フレーム7c、後フレーム7dよりなる支持体7aが(図8参照)、汁受け皿8に着脱可能に載置されている。
【0031】
なお、焼き網7は、図8に示すように、前フレーム7cおよび後フレーム7dの横方向における中央部が上方向に突出する突出部7fが、焼き網7の前端および後端に設けられた位置決め領域7gに嵌入することにより、支持体7aに対して位置決めされるように構成されている。
【0032】
さらに、支持体7aの、下フレーム7bから下方に突設された突起7e(図8)が、汁受け皿8に穿設された位置決め用孔(図示せず)に挿入されて、支持体7aと汁受け皿8とが水平方向に位置決めされており、これにより支持体7aが汁受け皿8上に載置されたときに、焼き網7が汁受け皿8に対して位置決めされるように構成されている。
【0033】
ちなみに、図4に示すように、汁 受け皿8およびグリル扉Aは、後述の如く、グリル庫5に対して一体的に出し入れ可能に支持され、焼き網7が、汁受け皿8に支持された状態で、グリル庫5に対して出し入れが行われるように構成されている。
また、グリル庫5の上壁部には、焼き網7に載置された被調理物を上方から加熱する輻射式の上バーナ19が装備されている。
【0034】
グリル庫5の側壁5Aよりも外方箇所に、焼き網7に載置された被調理物を加熱するためのバーナとして、左右一対の下バーナ10が、側壁5Aに形成した炎通過孔11を通してグリル庫5内に伸びる炎を形成する状態で設けられている。
【0035】
なお、左右一対の下バーナ10のそれぞれは、焼き網7よりも横外方に位置する状態で配置されている。つまり、左右一対の下バーナ10は、長手方向に沿って燃料噴出口10aを備える円筒状に形成されており、長手方向がグリル庫5の前後方向に沿う姿勢で、グリル庫5の側壁5Aの外方箇所に、焼き網7よりも下方側でかつ焼き網7よりも横外方に位置する状態で配置されている。
【0036】
また、左右一対の下バーナ10は、グリル庫5の背部側に相当する一端部から燃料ガスが供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって供給され、かつ、グリル庫5の底部に形成した空気孔(図示せず)などから外気が二次空気として取り入れられて燃焼する、いわゆるブンゼン式バーナとして構成されている。
【0037】
<グリルにおける汁受け皿、支持体、載置部材(焼き網)およびグリル扉の支持構造>
図2、図4に示すように、本発明のグリル包装材による包装の対象である加熱調理器が備えるグリルGには、グリル庫5の左右の側壁5Aの下部に設けた凹入部Uに、長手方向をグリル庫の前後向に向けた姿勢でグリル庫5に固定設置される固定側レール部13が配設されている。
【0038】
そして、その固定側レール部13に対してグリル庫5の前後方向に移動可能に支持される中間レール14、および、その中間レール14に対してグリル庫5の前後方向に移動可能に支持される可動レール部15を備えたスライドレール式の案内機構が設けられている。
【0039】
また、汁受け皿8の左右の端縁部が、左右の案内機構における可動レール部15に対して、上方に取り外し可能な状態で、載置支持されている。
また、グリル扉Aが、左右の案内機構における可動レール部15の先端部に支持されている。
【0040】
したがって、汁受け皿8は、グリル庫5の前方に引き出した状態で、上方に持ち上げることにより、可動レール部15から取り外すことができるため、可動レール部15から取り外した状態で、容易かつ確実に洗浄を行うことができる。
【0041】
なお、詳細な構造についての説明は省略するが、グリル扉Aは、可動レール部15に対して着脱可能に取り付けられて、可動レール部15から取り外した状態で洗浄を行うことができるように構成されている。
【0042】
<グリル包装材の構成について>
図3は、本発明の実施形態において用いられているグリル包装材の展開平面図である。
【0043】
グリルGを構成する汁受け皿8、支持体7a、および載置部材(焼き網)7と、グリル包装材9との係合関係や、それらとグリル庫5との位置関係、すなわち、グリル内部の包装構造については以下に詳しく説明するが、まず、本発明の実施形態において用いられているグリル包装材9の構成について説明する。
【0044】
この実施形態で用いられているグリル包装材9は、図3〜6に示すように、
(a)支持体7a上に載置された状態における載置部材7の上方向への移動を牽制する載置部材上方移動牽制部9aと、
(b)載置部材上方移動牽制部9aが支持体7aから浮き上がることを規制する牽制部浮き上がり規制部9bと、
(c)グリル包装材9自体の、支持体7aに対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部9cと、
(d)グリル包装材9自体が、グリル庫5に対して上方向に移動することを規制して位置決めをする包装材位置決め部9dと、
(e)グリル包装材9が、グリル庫5に対して位置決めされた状態において、支持体7aの上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部9eと
を備えている。
【0045】
また、牽制部浮き上がり規制部9bは、載置部材上方移動牽制部9aから延設される延設部9hと、延設部9hに設けられ、包装された状態において支持体と係合する係止部9iとを備えた構成とされている。
【0046】
また、この実施形態では包装の対象であるグリルにおいては、支持体7aの一部を汁受け皿8に穿設した係合孔(図示せず)に嵌入することにより、支持体7aと汁受け皿8とが水平方向に位置決めされるように構成されており、かつ、グリル包装材9を構成する載置部材上方移動牽制部9aには、支持体7aの一部の上記係合孔への嵌入状態を載置部材上方移動牽制部9aの上方から視認するための視認用開口9gが設けられている。
【0047】
なお、包装が行われた状態でグリル包装材9自体が上方向に移動することを規制して位置決めをする包装材位置決め部9dは、グリル包装材9が、グリル庫5に対して位置決めされた状態において、支持体7aの上方向への移動を規制する支持体上方移動規制部9eとしても機能するように構成されている。
【0048】
また、このグリル包装材9は、図3からも明らかなように、載置部材上方移動牽制部9a、牽制部浮き上がり規制部9b、包装材水平移動規制部9c、包装材位置決め部9d、支持体上方移動規制部9eを1つの板状部材(段ボール紙)に一体に設けることにより形成されている。
そして、グリル包装材9には所定の折り曲げ位置20には、加工を容易にするための折り曲げ予備加工(型押し加工)が施されており、包装を容易に行うことができるように構成されている。
【0049】
<グリル包装材を用いた包装構造について>
次に、図3〜図6を参照しつつ、上述のグリル包装材9を用いた包装構造、すなわち、汁受け皿8、支持体7a、および載置部材(焼き網)7と、グリル包装材9との係合関係、および、それらとグリル庫5との位置関係について説明する。
【0050】
なお、包装構造を示す図6においては、包装材9と支持体7aとの位置関係を理解し易くするため、グリル包装材9と支持体7aとの間に挟持される焼き網7の記載を省略してある。
【0051】
図3〜図6に示すように、載置部材(焼き網)7が支持体7a上に載置された状態において、載置部材7が上方向に移動することを牽制する載置部材上方移動牽制部9a、載置部材上方移動牽制部9aの支持体7aからの浮き上がりを規制する牽制部浮き上がり規制部9b、グリル包装材9の支持体7aに対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部9c、グリル包装材9をグリル庫5に対して位置決めする包装材位置決め部9d、支持体7aの上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部9eを備えたグリル包装材9を、所定の折り曲げ位置で折り曲げて、包装が行われることにより、グリル庫5内に収容される載置部材(焼き網)7、支持体7aの包装が行われる。そして、載置部材(焼き網)7、支持体7aが所定の位置に保持されるとともに、グリル包装材9自体も、所定の位置に保持される。
【0052】
この実施形態のグリル包装材を用いた包装構造においては、図5に示すように、焼き網7の上面にグリル包装材9の載置部材上方移動牽制部9aが配置され、載置部材上方移動牽制部9aの前端から、支持体7aの前フレーム7cの前側を経て下方向に延設される延設部9hが、支持体7aの下フレーム7bの前端の下側を後方向に伸びて載置部材上方移動牽制部9aの支持体7aからの浮き上がりを規制する牽制部浮き上がり規制部9bを構成する。
【0053】
また、上述のように後方向に伸びた牽制部浮き上がり規制部9bの左右端が、支持体7aの下フレーム7bの左右端の上側で、下フレーム7bの左右端より横方向に突出して、包装が行われた状態でグリル包装材9自体が上方向に移動することを規制して位置決めを行う包装材位置決め部9dは、グリル包装材9が、グリル庫5に対して位置決めされた状態において、支持体7aの上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部9eとしても機能する。
【0054】
また、載置部材上方移動牽制部9aの後端においても、載置部材上方移動牽制部9aの後端から、支持体7aの後フレーム7dの後側を経由して下方向に延設される延設部9hが、支持体7aの下フレーム7bの後端の下側を前方向に伸びて載置部材上方移動牽制部9aの支持体7aからの浮き上がりを規制する牽制部浮き上がり規制部9bを構成し、牽制部浮き上がり規制部9bの左右端が、支持体7aの下フレーム7bの左右端の上側で、支持体7aの下フレーム7bの左右端より横方向に突出して、グリル包装材9自体が上方向に移動することを規制する包装材位置決め部9dを形成するとともに、支持体7aの上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部9eを形成する。
【0055】
ちなみに、載置部材上方移動牽制部9aの後端において、支持体7aの後フレーム7dの後側を経由して下方向に延設される延設部9hが、支持体7aの下フレーム7bの後端の下側を前方向に伸び、この前方向に伸びた部分には切り込み9fが設けられており、この切り込み9fに下フレーム7bを挟み込んで、切り込み9fより前側の部分が下フレーム7bの左右端の上側で下フレーム7bの左右端より横方向に突出して、グリル包装材9自体が上方向に移動することを規制する包装材位置決め部9dを形成するとともに、支持体7aの上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部9eを形成している。
【0056】
なお、図6に示すように、載置部材上方移動牽制部9aの後端において載置部材上方移動牽制部9aの後端から後フレーム7dの後側を経由して下方向に延設される延設部9hと載置部材上方移動牽制部9aとの境界には、後フレーム7dの一部がグリル包装材9の上方に突出して、グリル包装材9の支持体7aに対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部(水平移動規制孔)9cが設けられている。
また、上述の切り込み9fもグリル包装材9の支持体7aに対する水平方向の移動を規制する機能を果たす。
【0057】
上述のように支持体7aに焼き網7を載置した状態でグリル包装材9を配設することにより、支持体7aと焼き網7とグリル包装材9とが一体に保持されるとともに、支持体7aと焼き網7とグリル包装材9からなる包装構造体Rは不用意には分離されない一体品として取り扱うことが可能になる(図5参照)。
【0058】
また、グリル扉Aと接続された可動レール部15に載置された汁受け皿8上に、上述の包装構造体Rを載置して、汁受け皿8をグリル庫5内に収納すると、図4に示すように、支持体7aの下フレーム7bの上に位置する支持体上方移動規制部9eが、凹入部Uの上端付近に形成された隙間、すなわち、可動レール部15上に配設された汁受け皿8の周縁部上面に位置する、支持体7aの下フレーム7bの上側に形成された間隙に挿入される。
【0059】
なお、図4においては、構成を簡潔に表現するために、グリル包装材9に関して支持体上方移動規制部9e(包装材位置決め部9d)付近のみを記載してあり、グリル包装材9のうち支持体上方移動規制部9e(包装材位置決め部9d)以外の部分についての記載は省略してある。
【0060】
また、グリル包装材9自体の上方向への移動は、上述のように、支持体上方移動規制部9eとしても機能する包装材位置決め部9dによって制限される。つまり、この実施形態の包装構造においては、グリル包装材9をグリル庫5に対して上方向の移動を規制して位置決めをする包装材位置決め部9dと支持体7aの上方向への移動を規制する支持体上方移動規制部9eは兼用されており、1つの部材(部位)が、包装材位置決め部9dと、支持体上方移動規制部9eを兼ねるように構成されている。
【0061】
この図4に示す状態でグリルGに多少の振動や衝撃が印加されても、グリル包装材9によって支持体7aおよび焼き網7の上方向への移動が規制されることから、支持体7aと焼き網7とグリル包装材9とが一体に包装された包装構造体Rの汁受け皿8からの分離・脱落が抑制される。その結果、グリルGを備えた加熱調理器の輸送中の振動や衝撃によっても、焼き網が支持体から不用意に脱落することを確実に抑制、防止することが可能になる。
【0062】
[別実施形態]
上記実施形態では、包装材位置決め部9dが、支持体上方移動規制部9eを兼ねるように構成されている場合を例にとって説明したが、包装材位置決め部9dと、支持体上方移動規制部9eとを別体で構成してもよい。
【0063】
また、図7に示すように、載置部材上方移動牽制部9aに、支持体7aの下フレーム7bから下方に突設された突起7eが汁受け皿8に穿設された視認用開口に嵌入されていることを載置部材上方移動牽制部9aの上方から視認するための視認用開口9gを設けると、包装構造体Rの汁受け皿8の所定位置への載置が確実にしかも容易に行える。
【0064】
なお、図7においても、グリル包装材9と支持体7aとの位置関係を理解し易くするため、グリル包装材9と支持体7aとの間に挟持される焼き網7の記載を省略してある。
【0065】
上記実施例では、コンロとグリルとを備えた加熱調理器を例にとって説明したが、加熱調理器は、ガスコンロを備えないグリルであってもよい。
また、加熱調理器の燃料はガスに限定されず、ガス以外の燃料またはエネルギによって加熱を行うものであってもよい。
【0066】
また、グリル包装材は、ダンボール以外の、例えば樹脂の板材などの素材により構成してもよい。
【0067】
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1a 標準バーナ
1b 小バーナ
1c 高火力バーナ
2 天板
4 グリル排気口
5 グリル庫
5A 側壁
6 排気ダクト
7 載置部材(焼き網)
7a 支持体
7b 下フレーム
7c 前フレーム
7d 後フレーム
7e 突起
7f 突出部
7g 位置決め領域
8 汁受け皿
9 グリル包装材
9a 載置部材上方移動牽制部
9b 牽制部浮き上がり規制部
9c 包装材水平移動規制部(水平移動規制孔)
9d 包装材位置決め部
9e 支持体上方移動規制部
9f 切り込み
9g 視認用開口
9h 延設部
9i 係止部
10 下バーナ
10a 燃料噴出口
11 炎通過孔
13 固定側レール部
14 中間レール
15 可動レール部
19 上バーナ
20 折り曲げ位置
A グリル扉
R 包装構造体
S 手動操作部
G グリル
U 凹入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルを包装するためのグリル包装材であって、
前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動を牽制する載置部材上方移動牽制部と、
前記載置部材上方移動牽制部が前記支持体から浮き上がることを規制する牽制部浮き上がり規制部と、
グリル包装材自体の、前記支持体に対する水平方向の移動を規制する包装材水平移動規制部と、
グリル包装材自体の、前記グリル庫に対する上方向の移動を規制して位置決めをする包装材位置決め部と
を具備すること
を特徴とするグリル包装材。
【請求項2】
前記載置部材上方移動牽制部と、前記牽制部浮き上がり規制部と、前記包装材水平移動規制部と、前記包装材位置決め部とが、1つの板状部材に一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のグリル包装材。
【請求項3】
前記牽制部浮き上がり規制部が、前記載置部材上方移動牽制部から延設される延設部と、前記延設部に設けられ、包装された状態において、前記支持体と係合する係止部とを備えた構成とされていることを特徴とする請求項1または2記載のグリル包装材。
【請求項4】
前記グリルは、前記支持体の一部を前記汁受け皿に穿設した係合孔に嵌入することにより、前記支持体と前記汁受け皿とが水平方向に位置決めされるように構成されており、かつ、
前記載置部材上方移動牽制部には、前記支持体の一部の前記係合孔への嵌入状態を前記載置部材上方移動牽制部の上方から視認するための視認用開口が設けられていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグリル包装材。
【請求項5】
前記包装材位置決め部により前記グリル庫に対して位置決めされた状態において、前記支持体の上方向の移動を規制する支持体上方移動規制部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のグリル包装材。
【請求項6】
前記支持体上方移動規制部が、前記載置部材上方移動牽制部、前記牽制部浮き上がり規制部、前記包装材水平移動規制部、および前記包装材位置決め部とともに、1つの板状部材に一体に設けられていることを特徴とする請求項5記載のグリル包装材。
【請求項7】
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルの包装構造であって、
請求項1〜4のいずれかに記載のグリル包装材が用いられ、
前記載置部材上方移動牽制部により、前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動が牽制され、
前記牽制部浮き上がり規制部により、前記グリル包装材が、前記支持体から浮き上がることが規制され、
前記包装材水平移動規制部により、前記グリル包装材の前記支持体に対する水平方向の移動が規制され、
前記包装材位置決め部により、前記グリル包装材の前記グリル庫に対する上方向の移動が規制されていること
を特徴とするグリルの包装構造。
【請求項8】
(a)グリル庫と、
(b)前記グリル庫内に装備される、
(イ)調理物が載置される載置部材と、
(ロ)前記載置部材の下方に配置される汁受け皿と、
(ハ)前記汁受け皿の上に、前記汁受け皿に対して、水平方向に位置決めされた状態で配置され、前記載置部材を支える支持体と
を有するグリルの包装構造であって、
請求項5または6記載のグリル包装材が用いられ、
前記載置部材上方移動牽制部により、前記支持体上に載置された状態における前記載置部材の上方向への移動が牽制され、
前記牽制部浮き上がり規制部により、前記グリル包装材が、前記支持体から浮き上がることが規制され、
前記包装材水平移動規制部により、前記グリル包装材の前記支持体に対する水平方向の移動が規制され、
前記包装材位置決め部により、前記包装材の前記グリル庫に対する上方向の移動が規制され、
前記支持体上方移動規制部により、前記グリル包装材が、前記包装材位置決め部により前記グリル庫に対して位置決めされた状態において、前記支持体の上方向の移動が規制されていること
を特徴とするグリルの包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112357(P2013−112357A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258652(P2011−258652)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)
【Fターム(参考)】