説明

グリーンカット作業車

【課題】コンクリート打継面に起伏や傾斜があっても或いは回転ブラシが使用に伴い磨耗した場合でもレイタンスを確実に除去して効率良く回収することができるグリーンカット作業車を提供すること。
【解決手段】レイタンスを除去するブラシ機構と、レイタンスを回収する回収機構を有し、回収機構は、吸引装置30と吸引ホース31とタンク32とを備えており、ブラシ機構は、車両前方に取り付けられたフレーム1と、フレーム内に囲繞されるように配設されてコンクリート打継面に対して平行な面内において回転する複数の回転ブラシ2と、回転ブラシをコンクリート打継面に対して押し付ける油圧シリンダ3と、コンクリート打継面に対する回転ブラシの回転軸の角度を調整するためのブラシ角度調整機構とを備えており、ブラシ角度調整機構は、前後方向の角度を調整する前後角度調整機構と、左右方向の角度を調整する左右角度調整機構とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打継面に生じるレイタンスを除去して回収するためのグリーンカット作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム等の巨大なコンクリート構造物の構築作業は、所定厚さのコンクリートの層を打設し、これを養生した後に新たなコンクリートを打ち継いでいくという作業を繰り返すことにより行われる。
この作業において、既設のコンクリート打継面にはレイタンスが生じているため、新たなコンクリートを打ち継ぐ前にこのレイタンスを除去する作業(グリーンカット作業)が必要となる。
【0003】
従来、グリーンカット作業を行うための作業車としては、高圧水を噴射することによりレイタンスを除去する作業車や、回転ブラシを使用することによりレイタンスを除去する作業車が知られている。
【0004】
しかしながら、従来のグリーンカット作業車にはいくつかの問題点が存在していた。
先ず、高圧水を噴射してレイタンスを除去する作業車は、大量の水を使用しなければならないために高コストとなり、また水圧の調整が難しいためにコンクリート打継面を過剰に削り取ってしまう虞があった。
一方、回転ブラシを使用してレイタンスを除去する作業車は、コンクリート打継面に起伏があると、回転ブラシをコンクリート打継面に追従させることが難しく、レイタンスを確実に除去することができないという問題があった。
【0005】
このような問題点に鑑みて、下記特許文献1には、回転ブラシをコンクリート打継面に追従させることが可能な構造を有するグリーンカット作業車が開示されている。
特許文献1に開示されたグリーンカット作業車によれば、コンクリート打継面に起伏があっても、回転ブラシをコンクリート打継面に追従させることが可能であるため、レイタンスを確実に除去することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたグリーンカット作業車は、以下に述べるような多くの問題点を有していた。
第一に、回転ブラシは上下動可能であるもののコンクリート打継面に対する角度を調整することができないため、コンクリート打継面が傾斜を有する場合等において回転ブラシをコンクリート打継面に対して適切に接触させることができなかった。
第二に、回転ブラシが使用に伴って磨耗すると、回転ブラシをコンクリート打継面に対して適切に接触させることができなくなるが、これを補正することができなかった。
第三に、回転ブラシにより除去されたレイタンスを回収するための機構を備えていないため、別途レイタンス回収用の車両を用意する必要があり、作業効率が悪かった。
【0007】
ここで、回転ブラシにより除去されたレイタンス(コンクリート残渣)を回収するための機構を備えたグリーンカット作業車は、下記特許文献2に開示されている。
しかし、仮に特許文献2に開示された回収機構を特許文献1に開示されたグリーンカット作業車に適用したとしても、回転ブラシにより除去されたレイタンスがブラシの回転に伴って周囲に飛散してしまうため、レイタンスを効率良く確実に回収することが困難であった。特に、コンクリート打継面に起伏や傾斜が存在していた場合には回収がより困難であった。
【0008】
また、特許文献2に開示されたグリーンカット作業車は、除去されたレイタンスを回収するための回収タンク(集塵ボックス)を備えているが、その容量が小さいために回収したレイタンスを収容するための定置式タンクを別途用意する必要があった。
更に、回収タンクからのレイタンスの排出を円滑に且つ迅速に行うことが困難であった。また、タンクの位置が低いために、例えば回収したレイタンスを他の車両(運搬用車両等)へと移すことが困難であった。
【0009】
また、特許文献2に開示されたグリーンカット作業車は、吸引のためのブロワを備えているが、吸引動作のオンオフを運転席から行うことができず、わざわざ運転席の外に出て行なわなければならないため、作業効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−305506号公報
【特許文献2】特許第2816652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、コンクリート打継面に起伏や傾斜があっても或いは回転ブラシが使用に伴って磨耗した場合でも、回転ブラシをコンクリート打継面に対して適切に接触させることが可能であってレイタンスを確実に除去することができ、更に除去されたレイタンスを確実に効率良く回収することが可能であって、タンクに回収されたレイタンスを円滑に且つ迅速に他の車両等に排出することができ、しかも運転席から吸引動作のオンオフが可能であり作業効率に優れているグリーンカット作業車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、コンクリート打継面に生じるレイタンスを除去するためのブラシ機構と、該ブラシ機構により除去されたレイタンスを回収するための回収機構とを備えたグリーンカット作業車であって、前記回収機構は、吸引力を発生させる吸引装置と、該吸引装置により発生した吸引力を導く吸引ホースと、該吸引ホースにより吸引された回収物を収容するタンクとを備えており、前記ブラシ機構は、車両前方に取り付けられたフレームと、該フレーム内に囲繞されるように配設されてコンクリート打継面に対して平行な面内において回転する複数の回転ブラシと、該回転ブラシをコンクリート打継面に対して押し付けるための油圧シリンダと、コンクリート打継面に対する前記回転ブラシの回転軸の角度を調整するためのブラシ角度調整機構とを備えており、前記ブラシ角度調整機構は、前後方向の角度を調整する前後角度調整機構と、左右方向の角度を調整する左右角度調整機構とからなることを特徴とするグリーンカット作業車に関する。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記回転ブラシはブラケットを介して前記フレームに取り付けられており、該ブラケットは、前記フレームに対する上下方向及び左右方向の位置が調整可能とされていることを特徴とする請求項1記載のグリーンカット作業車に関する。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記フレームは、前記回転ブラシの左右外側に配置された外フレームと、前記回転ブラシが取り付けられるブラシ取付フレームとからなり、前記外フレームは、前方に向けて先端が左右に拡がった平面視略半円弧状に形成され、前記ブラシ取付フレームは、前記外フレームの左右の先端を連結するとともに、前後方向に延びて該外フレームの基端とも連結された平面視略T字状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のグリーンカット作業車に関する。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記外フレームの下部には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材もしくはスリットを備えたスカート部材が取り付けられていることを特徴とする請求項3記載のグリーンカット作業車に関する。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記複数の回転ブラシは、前方に配置された前方回転ブラシと、後方に配置された後方回転ブラシとからなり、前記前方回転ブラシ及び前記後方回転ブラシはいずれも左右一対の回転ブラシからなり、前記前方回転ブラシ同士の間隔が、前記後方回転ブラシ同士の間隔よりも広く設定されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のグリーンカット作業車に関する。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記ブラケットが平行リンク機構の一要素である前方ブラケットを構成し、前記回転ブラシは該平行リンク機構を介して前記ブラシ取付フレームに取り付けられており、前記平行リンク機構は、互いに平行に前後に配置された前記前方ブラケット及び後方ブラケットと、これら前後のブラケットを連結するように互いに平行に上下に配置された上部連結部材及び下部連結部材とからなり、前記前方ブラケットは、前記ブラシ取付フレームに取り付けられ、前記後方ブラケットには前記回転ブラシが取り付けられており、前記上部連結部材は、前記前方ブラケットに連結された前方部材と、前記後方ブラケットに連結された後方部材とからなり、前記前方部材と前記後方部材は、夫々の端部に設けられたねじの螺合により互いに連結されていることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載のグリーンカット作業車に関する。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記前方ブラケットと前記下部連結部材は、油圧シリンダにより連結されており、該油圧シリンダは、前記前方ブラケットの上方寄り位置と前記下部連結部材の後方寄り位置とを連結するように、且つ前方から後方に向けて下向きに傾斜するように取り付けられていることを特徴とする請求項6記載のグリーンカット作業車に関する。
【0019】
請求項8に係る発明は、前記吸引ホースの吸引口は、前記一対の後方回転ブラシの中間位置且つ後方においてコンクリート打継面に向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のグリーンカット作業車に関する。
【0020】
請求項9に係る発明は、前記吸引口の周囲には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材と、車両の走行に応じて前後左右に向きを変えて回転する複数の車輪が取り付けられていることを特徴とする請求項8記載のグリーンカット作業車に関する。
【0021】
請求項10に係る発明は、前記吸引ホースの先端部には、前記吸引口の周囲に拡がる吸引口拡張カバーが取り付けられており、該吸引口拡張カバーは、下面及び前面が開放された箱形の部材であって、その前部には前方に向けて上向きに傾斜して延出され且つ平面視扇形状に拡がったガイド部が形成されていることを特徴とする請求項8又は9記載のグリーンカット作業車に関する。
【0022】
請求項11に係る発明は、前記車輪は、前記吸引ホースの先端部に固定されたプレートに取り付けられており、該プレートは、リンクアーム及び紐状連結部材を介して、車両前方に固定されて前記フレームが取り付けられた取付部材と連結されており、前記リンクアームは、一端部が前記プレートと回動可能に枢着され、他端部が前記取付部材と回動可能に枢着されており、前記紐状連結部材は、一端部が前記取付部材と連結され、中途部が車両前方に取り付けられたガイドローラの周面に沿うように掛け渡され、他端部が前記プレートの上面に連結されていることを特徴とする請求項9又は10記載のグリーンカット作業車に関する。
【0023】
請求項12に係る発明は、前記タンクは、前記吸引装置の上部においてダンプアップ可能に配設されていることを特徴とする請求項8乃至11いずれかに記載のグリーンカット作業車に関する。
【0024】
請求項13に係る発明は、前記吸引装置が乾式ルーツブロワからなり、該乾式ルーツブロワの吸引口と前記タンクとを連結する配管の中途部に、運転席にて開閉操作が可能である負荷開放弁が設けられていることを特徴とする請求項8乃至12いずれかに記載のグリーンカット作業車に関する。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明によれば、車両前方に取り付けられたフレームと、該フレーム内に囲繞されるように配設されてコンクリート打継面に対して平行な面内において回転する複数の回転ブラシと、該回転ブラシをコンクリート打継面に対して押し付けるための油圧シリンダとを備えているグリーンカット作業車であるから、油圧シリンダにより常に一定の力で回転ブラシをコンクリート打継面に押し付けることが可能であり、コンクリート打継面の起伏に回転ブラシを追従させてレイタンスを確実に除去することができる。
また、コンクリート打継面に対する回転ブラシの回転軸の角度を調整するためのブラシ角度調整機構を備えており、該ブラシ角度調整機構は、前後方向の角度を調整する前後角度調整機構と、左右方向の角度を調整する左右角度調整機構とからなることから、コンクリート打継面に傾斜があっても、回転ブラシをコンクリート打継面に対して適切に接触させることが可能となり、レイタンスを確実に除去することができる。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、回転ブラシはブラケットを介してフレームに取り付けられており、該ブラケットはフレームに対する上下方向及び左右方向の位置が調整可能とされていることから、回転ブラシが使用に伴って磨耗した場合には、コンクリート打継面に対する回転ブラシの位置を適切に調整することができ、レイタンスの除去効率が低下することが防がれる。また、回転ブラシの交換頻度を減らすことができ、作業車の維持コストを削減することが可能となる。
【0027】
請求項3に係る発明によれば、フレームが回転ブラシの左右外側に配置された外フレームと回転ブラシが取り付けられるブラシ取付フレームとからなり、外フレームは前方に向けて先端が左右に拡がった平面視略半円弧状に形成され、ブラシ取付フレームは外フレームの左右の先端を連結するとともに前後方向に延びて該外フレームの基端とも連結された平面視略T字状に形成されていることから、ブラシ取付フレームが、回転ブラシを取り付けるための役割と、外フレームの強度を補強して外力による変形や破損を防ぐ機能を有するものとなる。そのため、部品点数が少ない簡易な構成で、フレームの高強度化と回転ブラシの取り付け容易性を両立させることができる。
【0028】
請求項4に係る発明によれば、フレームの下部には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材もしくはスリットを備えたスカート部材が取り付けられていることから、回転ブラシにより除去されたレイタンスがフレームの外に飛散することが防がれ、レイタンスを確実に効率良く回収することができる。
【0029】
請求項5に係る発明によれば、複数の回転ブラシが、前方に配置された前方回転ブラシと、後方に配置された後方回転ブラシとからなり、前方回転ブラシ及び後方回転ブラシはいずれも左右一対の回転ブラシからなり、前方回転ブラシ同士の間隔が後方回転ブラシ同士の間隔よりも広く設定されていることから、レイタンスは一対の前方回転ブラシの間に集められた後、間隔の狭い一対の後方回転ブラシへと送られることとなる。そのため、車両の進行に伴ってレイタンスを車両幅方向の中央に集めることができ、レイタンスの飛散を防いで効率的に回収することが可能となる。
【0030】
請求項6に係る発明によれば、前方部材と後方部材とのねじの噛み合い長さを調整することにより、上部連結部材の長さを調整することができ、これによりリンク機構を介して回転ブラシの前後方向の角度を調整することができる。従って、極めて容易に且つ精密に回転ブラシの前後方向の角度を調整することが可能となる。
【0031】
請求項7に係る発明によれば、油圧シリンダの伸縮によってリンク機構を介して回転ブラシを垂直方向に上昇及び下降させることができるとともに、ブラシ角度調整機構を構成しているリンク機構を回転ブラシの上下動の機構としても利用することができるため、部品点数を減らして機構をコンパクト化することが可能となる。
【0032】
請求項8に係る発明によれば、吸引ホースの吸引口が一対の後方回転ブラシの中間位置且つ後方においてコンクリート打継面に向けて開口していることから、車両幅方向の中央に集められたレイタンスを吸引口から効率良く確実に回収することができる。
【0033】
請求項9に係る発明によれば、吸引口の周囲にはコンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材と、車両の走行に応じて前後左右に向きを変えて回転する複数の車輪が取り付けられていることから、回転ブラシにより除去されたレイタンスを外方に飛散させることなく確実に吸引口へと導いて回収することができるとともに、コンクリート打継面に起伏や傾斜が存在していた場合には車輪によって吸引口を追従させることができ、レイタンスを効率良く確実に回収することが可能となる。
【0034】
請求項10に係る発明によれば、吸引ホースの先端部には吸引口の周囲に拡がる吸引口拡張カバーが取り付けられており、該吸引口拡張カバーは下面及び前面が開放された箱形の部材であって、その前部には前方に向けて上向きに傾斜して延出され且つ平面視扇形状に拡がったガイド部が形成されていることにより、前方の回転ブラシにて除去されたレイタンスを確実に吸引口拡張カバー内へと導いて吸引口より吸引回収することができる。
【0035】
請求項11に係る発明によれば、車輪が取り付けられたプレートが、リンクアーム及び紐状連結部材を介してフレームが取り付けられた取付部材と連結されていることにより、走行面に段差や傾斜がある場合でも、フレーム及び回転ブラシに対する吸引口及び吸引口拡張カバーの位置をほぼ一定に維持しながら、吸引口及び吸引口拡張カバーを上下動させることができる。そのため、レイタンスを効率良く確実に回収することが可能となる。
【0036】
請求項12に係る発明によれば、タンクが吸引装置の上部においてダンプアップ可能に配設されていることから、回収したレイタンスを収容するための定置式タンクを別途用意する必要がなく、回収タンクからのレイタンスの排出を円滑に且つ迅速に行うことができる。また、タンクの位置が高いために、回収したレイタンスを他の車両(運搬用車両等)へと容易に移すことが可能となる。
【0037】
請求項13に係る発明によれば、吸引装置が乾式ルーツブロワからなるため、回転ブラシを利用してレイタンスを除去し、乾式ルーツブロワによる吸引力を利用してレイタンスを回収することができ、水を全く使用することなくグリーンカット作業を行うことが可能となる。
また、乾式ルーツブロワの吸引口とタンクとを連結する配管の中途部に、運転席にて開閉操作が可能である負荷開放弁が設けられていることから、運転席の外に出ずとも吸引動作のオンオフが可能であり、作業効率に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るグリーンカット作業車の全体を示す図であって、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図2】ブラシ機構の拡大側面図である。
【図3】ブラシ機構の拡大平面図である。
【図4】フレームの平面図である。
【図5】フレームの側面図である。
【図6】フレームの背面図である。
【図7】ブラシ機構の要部を抽出した拡大側面図である。
【図8】図7の各部分を示す図であって、(a)は矢印A部分、(b)は矢印B部分、(c)は矢印C部分、(d)は矢印D部分を夫々示している。
【図9】回収機構の前方部分を示す拡大側面図である。
【図10】回収機構の前方部分を示す拡大平面図である。
【図11】タンクを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】満量装置の断面図である。
【図13】車両の右側面図である。
【図14】負荷開放弁を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係るグリーンカット作業車の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るグリーンカット作業車の全体を示す図であって、(a)は側面図(左側面図)、(b)は平面図、(c)は背面図である。
本発明に係るグリーンカット作業車は、ダム等のコンクリート構造物を構築する作業過程でコンクリート打継面に生じるレイタンスを除去するためのブラシ機構と、該ブラシ機構により除去されたレイタンスを回収するための回収機構とを備えている。
【0040】
ブラシ機構は、車両前方に取り付けられたフレーム(1)と、該フレーム内に囲繞されるように配設されてコンクリート打継面に対して平行な面内において回転する複数の回転ブラシ(2)と、該回転ブラシをコンクリート打継面に対して押し付けるための油圧シリンダ(3)と、コンクリート打継面に対する回転ブラシの回転軸の角度を調整するためのブラシ角度調整機構とを備えている。
【0041】
図2はブラシ機構の拡大側面図、図3はブラシ機構の拡大平面図である。
図4〜図6はフレームを示す図であって、図4は平面図、図5は側面図、図6は背面図である。
フレーム(1)は、車両(4)の前方に固定された取付部材(5)に対して取り付けられている。
尚、本明細書に記載された前後、左右、上下等の方向を表す文言は、全て車両(4)における方向を意味している。例えば、前方とは車両(4)の前方向(進行方向)を指し、右方とは車両(4)の右方向を指す。
【0042】
フレーム(1)は、回転ブラシ(2)の左右外側に配置された外フレーム(11)と、回転ブラシ(2)が取り付けられるブラシ取付フレーム(12)とからなる。
外フレーム(11)は、前方に向けて先端が左右に拡がった平面視略半円弧状に形成されている。
ブラシ取付フレーム(12)は、外フレーム(11)の左右の先端(前端)を連結するように左右方向に延びた部分と、当該部分の略中心から前後方向に延びて外フレーム(11)の基端(後端)と連結された部分からなり、平面視略T字状に形成されている。
ブラシ取付フレーム(12)は、回転ブラシ(2)を取り付けるための役割と、外フレーム(11)の強度を補強して外力による変形や破損を防ぐ機能を有している。
【0043】
回転ブラシ(2)は、平面視円形のブラシであって、前方に配置された前方回転ブラシ(21)と、後方に配置された後方回転ブラシ(22)とからなる。
前方回転ブラシ(21)及び後方回転ブラシ(22)はいずれも左右一対の回転ブラシからなり、前方回転ブラシ(21)同士の間隔が後方回転ブラシ(22)同士の間隔よりも広く設定されている。つまり、4つの回転ブラシ(2)は、外フレーム(11)に沿うように、前方に拡がった平面視略円弧状に配置されている。
このような配置を採用することにより、レイタンスは一対の前方回転ブラシ(21)の間に集められた後、間隔の狭い一対の後方回転ブラシ(22)へと送られることとなる。そのため、車両の進行に伴ってレイタンスを車両幅方向の中央に集めることができ、レイタンスの飛散を防いで効率的に回収することが可能となる。
【0044】
左右方向の位置関係において、左右一対の後方回転ブラシ(22)は内側部分で一部が重なるように配置されており、右側の前方回転ブラシ(21)の内側部分は右側の後方回転ブラシ(22)の外側部分と一部重なり、左側の前方回転ブラシ(21)の内側部分は左側の後方回転ブラシ(22)の外側部分と一部重なるように配置されている。
このような配置を採用することにより、車両の幅方向において、4つの回転ブラシ(2)でコンクリート打継面を隙間無く確実に清掃することが可能となる。
【0045】
回転ブラシ(2)は、ブラケット(6)を介してブラシ取付フレーム(12)に取り付けられている。
図7はブラシ機構の要部を抽出した拡大側面図である。
図8は図7の各部分を示す図であって、(a)は矢印A部分、(b)は矢印B部分、(c)は矢印C部分、(d)は矢印D部分を夫々示している。
図8(a)に示すように、ブラケット(6)には上下方向に長い複数の長孔(61)が設けられており、ブラケット(6)が取り付けられるブラシ取付フレーム(12)には、長孔(61)と対応する位置に夫々左右方向に長い複数の長孔(121)が設けられている。そして、長孔(61)と長孔(121)が重なった位置においてブラケット(6)とブラシ取付フレーム(12)とがボルト止めされている。
これにより、ブラシ取付フレーム(12)に対するブラケット(6)の位置を上下方向及び左右方向に調整することができる。そして、ブラケット(6)には回転ブラシ(2)が取り付けられているため、ブラケット(6)と共に回転ブラシ(2)の位置を上下左右に調整することができる。
このように、回転ブラシ(2)の位置を上下左右に調整することができるため、回転ブラシ(2)が使用に伴って磨耗した場合には、回転ブラシ(2)同士の間隔を狭くしたり、回転ブラシ(2)を下降させたりして、コンクリート打継面に対する回転ブラシの位置を適切に調整することが可能となる。その結果、長期の使用に伴って経時的にレイタンスの除去効率が低下することが防がれる。また、回転ブラシ(2)の交換頻度を減らすことができ、作業車の維持コストを削減することが可能となる。
【0046】
ブラケット(6)は平行リンク機構の一要素を構成しており、回転ブラシ(2)は平行リンク機構を介してブラシ取付フレーム(12)に取り付けられている(図7参照)。
平行リンク機構は、互いに平行に前後に配置されたブラケット(6)及びブラケット(7)と、これら一対のブラケット(6)(7)を連結するように互いに平行に上下に配置された上部連結部材(8)及び下部連結部材(9)とからなる。
以下、前方に位置するブラケット(6)を前方ブラケット(6)、後方に位置するブラケット(7)を後方ブラケット(7)と称する。
【0047】
前方ブラケット(6)は上述したようにブラシ取付フレーム(12)に取り付けられ、後方ブラケット(7)には回転ブラシ(2)が取り付けられている。
上部連結部材(8)は、前方ブラケット(6)に連結された前方部材(81)と、後方ブラケット(7)に連結された後方部材(82)とからなる。
前方部材(81)の後端部には雄ねじが設けられ、後方部材(82)の前端部には雌ねじが設けられ、前方部材(81)と後方部材(82)はこれら雄ねじと雌ねじが螺合されることにより互いに連結されている。
そのため、前方部材(81)と後方部材(82)とのねじの噛み合い長さを調整することにより、上部連結部材(8)の長さを調整することができる。
上部連結部材(8)の長さを長くすると回転ブラシ(2)は前方が上がるように傾斜し、短くすると回転ブラシ(2)は後方が上がるように傾斜する。つまり、上部連結部材(8)は、回転ブラシ(2)の前後方向の角度を調整する前後角度調整機構として作用する。
【0048】
回転ブラシ(2)は、取付板(10)を介して後方ブラケット(7)に取り付けられている。
取付板(10)と後方ブラケット(7)は、下方のブッシュ(16)と上方のボルト(17)により連結されている。
取付板(10)には円弧状の長孔(101)が形成されており(図8(b)参照)、この長孔(101)にボルト(17)が嵌挿されている。これにより、取付板(10)はブッシュ(16)を支点として、長孔(101)の範囲内で左右に回動することができる。そして、取付板(10)には回転ブラシ(2)が取り付けられているため、取付板(10)と共に回転ブラシ(2)を左右に回動させることができる。
取付板(10)を右方向に回動させると回転ブラシ(2)は左方が上がるように傾斜し、左方向に回動させると回転ブラシ(2)は右方が上がるように傾斜する。つまり、取付板(10)と後方ブラケット(7)は、回転ブラシ(2)の左右方向の角度を調整する左右角度調整機構として作用する。
【0049】
ブラケット(6)と下部連結部材(9)は、油圧シリンダ(3)により連結されている。油圧シリンダ(3)は、前方ブラケット(6)の上方寄り位置と下部連結部材(9)の後方寄り位置とを連結するように、且つ前方から後方に向けて下向きに傾斜するように取り付けられている(図7参照)。
油圧シリンダ(3)が伸縮すると、図7中に仮想線で示すように下部連結部材(9)の後端部が上昇又は下降し、平行リンク機構の作用により、回転ブラシ(2)が垂直方向に上昇又は下降する。図7において、後端部が上昇した状態の下部連結部材を符号(9a)、後端部が下降した状態の下部連結部材を符号(9b)で示している。
油圧シリンダ(3)は、コンクリート打継面の起伏に応じて伸縮することにより、常に一定の圧力で回転ブラシ(2)をコンクリート打継面に押し付ける。
【0050】
回転ブラシ(2)は円周方向に3つに分割されている(分割線を図7に符号(23)で示す)。つまり、回転ブラシ(2)は中心角120°の3つの平面視扇形状の部材を組み合わせて構成されている。
そのため、回転ブラシ(2)の交換作業は、回転ブラシ(2)を垂直方向に上昇させて3つの部材を個々に取り外すことにより行なうことができる。このとき、3つの部材は小さくて軽量であるために作業を容易に行うことができる。
【0051】
外フレーム(11)の下部には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材(20)が取り付けられている。
スカート部材(20)は、上下方向に長い複数の長孔(201)を有しており、これらの長孔(201)に夫々挿通されたボルトにより、外フレーム(11)の下部に取り付けられている(図4〜図6参照)。
これにより、スカート部材(20)は長孔(201)の範囲内で上下動することができるため、スカート部材(20)の下端部をコンクリート打継面に接触させておくことで、スカート部材(20)をコンクリート打継面の起伏に追従させて上下動させることが可能となる。
そのため、コンクリート打継面に起伏がある場合でも、回転ブラシ(2)により除去されたレイタンスを外方に飛散させることなく確実に吸引口(後述する)へと導いて回収することができる。
また、スカート部材(20)に長孔を設けて上下動自在とする代わりに、スカート部材(20)の長さ方向に所定間隔で、上下方向に延びるスリット(図示せず)を設けても、同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
ブラシ取付フレーム(12)の後端部には、車両(4)の前方に固定された取付部材(5)に対して回動可能に取り付けられる取付部(121)が設けられている(図4参照)。
ブラシ取付フレーム(12)の取付部(121)よりも前方位置には、油圧シリンダ(26)(図2,3参照)の先端部が連結される連結部(122)が設けられている(図4参照)。
油圧シリンダ(26)の基端部は、取付部材(5)から上方に延出された取付ブラケット(27)に連結されている(図2参照)。
取付ブラケット(27)は、フレーム(1)より上方に延びているため、油圧シリンダ(26)は後方から前方に向けて下向きに傾斜するように、ブラシ取付フレーム(12)と取付ブラケット(27)とを連結している。
これにより、油圧シリンダ(26)を短縮させることで、図2中の仮想線で示すようにフレーム(1)の前方を回転ブラシ(2)と共に持ち上げることが可能となる。
【0053】
回収機構は、吸引力を発生させる吸引装置(30)と、該吸引装置(30)に接続された吸引ホース(31)と、該吸引ホース(31)により吸引された回収物を収容するタンク(32)とを備えている(図1参照)。
【0054】
図9及び図10は回収機構の前方部分を示す拡大図であって、図9は側面図、図10は平面図である。
吸引ホース(31)の先端部の吸引口(311)は、一対の後方回転ブラシ(22)の中間位置且つ後方においてコンクリート打継面に向けて開口している。
吸引ホース(31)の先端部には、吸引口(311)の周囲に拡がる吸引口拡張カバー(33)が取り付けられており、更に当該先端部の吸引口拡張カバー(33)の上方には4つの車輪(34)が下部に取り付けられたプレート(35)が取り付けられている。
【0055】
吸引口拡張カバー(33)は下面及び前面が開放された箱形の部材であって、その前部には前方に向けて上向きに傾斜して延出され且つ平面視扇形状に拡がったガイド部(331)が形成されている。
このガイド部(331)により、前方の回転ブラシにて除去されたレイタンスを確実に吸引口拡張カバー(33)内へと導いて吸引口(311)より吸引回収することができる。
【0056】
スカート部材(45)は、上下方向に長い複数の長孔(451)を有しており、これらの長孔(451)に夫々挿通されたボルトにより、吸引口拡張カバー(33)の下部に取り付けられている。
これにより、スカート部材(45)は長孔(451)の範囲内で上下動することができるため、スカート部材(45)の下端部をコンクリート打継面に接触させておくことで、スカート部材(45)をコンクリート打継面の起伏に追従させて上下動させることが可能となる。
そのため、コンクリート打継面に起伏がある場合でも、吸引口拡張カバー(33)内に導かれたレイタンスを外方に飛散させることなく確実に吸引口(311)へと導いて回収することができる。
【0057】
4つの車輪(34)は、車両の走行に応じて前後左右に向きを変えて回転可能なようにプレート(35)の四隅に取り付けられている。
吸引ホース(31)は車輪(34)と連動して移動することができるため、このような車輪(34)を設けることにより、コンクリート打継面に起伏や傾斜が存在していた場合でも、吸引口(311)を起伏や傾斜に追従させて移動させることができ、レイタンスを効率良く確実に回収することが可能となる。
【0058】
車輪(34)が取り付けられたプレート(35)は、リンクアーム(36)及び紐状連結部材(37)により、フレーム(1)が取り付けられた取付部材(5)と連結されている。
リンクアーム(36)は、互いに平行に前後方向に延びる左右一対のアームからなり、その一端部が吸引ホース(31)の右側と左側においてプレート(35)の上面に回動可能に枢着されている。また他端部は取付部材(5)の下面に回動可能に枢着されている。
紐状連結部材(37)は図示例ではチェーンからなり、一端部が取付部材(5)の後部と連結され、中途部が車両(4)の前方に取り付けられたガイドローラ(38)の周面に沿うように掛け渡され、他端部がプレート(35)の上面に連結されている。
【0059】
このように、車輪(34)が取り付けられたプレート(35)が、リンクアーム(36)及び紐状連結部材(37)を介してフレーム(1)が取り付けられた取付部材(5)と連結されていることにより、走行面に段差や傾斜がある場合でも、フレーム(1)及び回転ブラシ(2)に対する吸引口(311)及び吸引口拡張カバー(33)の位置をほぼ一定に維持しながら、吸引口(311)及び吸引口拡張カバー(33)を上下動させることができる。そのため、レイタンスを効率良く確実に回収することが可能となる。
【0060】
吸引装置(30)としては真空ポンプが使用され、具体的には乾式ルーツブロワが好適に使用される。
回転ブラシ(2)を利用してレイタンスを除去し、乾式ルーツブロワによる吸引力を利用してレイタンスを回収することにより、水を全く使用することなくグリーンカット作業を行うことができる。
【0061】
タンク(32)は、吸引装置(30)の上方に位置するように車両(4)の架台上に搭載されている。
図11はタンク(32)を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
タンク(32)は、後端部に開閉可能なハッチ(39)を有しており、油圧シリンダ(40)によりダンプアップ可能とされている。
そのため、タンク(32)を油圧シリンダ(40)によりダンプアップして前方を持ち上げて、ハッチ(39)を開くことにより、吸引ホース(31)を介してタンク内に回収されたレイタンスを効率良く排出することができる。
ここで、タンク(32)が吸引装置(30)の上方に位置しているため、ハッチ(39)の高さが高くなる。そのため、タンク内に回収したレイタンスを直接に他の車両(運搬用車両等)へと移すことが可能となり、作業効率が向上する。
【0062】
タンク(32)の内部には、吸引装置(30)の安全装置として作用する満量装置(41)が配設されている。
図12は満量装置(41)の断面図である。
満量装置(41)は、四角筒状のケースの内部を仕切板(411)により上下に仕切った構造を有している。
仕切板(411)には円形穴(411a)が形成されており、仕切板(411)の上方空間と下方空間はこの円形穴(411a)を介して連通している。
仕切板(411)の上方空間には、吸引装置(30)の吸引口と連結された吸引管(42)(図13参照)が接続されている。これにより、吸引装置(30)の駆動により発生する真空吸引力はタンク(32)の内部全体に作用する。
【0063】
仕切板(411)の下方空間は、タンク(32)の内部と連通している。
この下方空間には、水に浮くことができるボール(412)が収容されている。
ボール(412)は、その周囲を上下方向に延びる複数本のガイド棒(413)により囲まれており、複数本のガイド棒(413)の上端部は仕切板(411)の下面において円形穴(411a)の周囲に固定されている。複数本のガイド棒(413)の下端部には円板(414)が固定されており、ボール(412)は、円板(414)、ガイド棒(413)、仕切板(411)により囲われる空間内に収容されており、タンク(32)内の水位上昇に伴ってガイド棒(413)に沿って上下方向に移動可能となっている。
ボール(412)の直径は、円形穴(411a)の直径よりも大きく設定されており、タンク(32)内の水位が一定以上になると、円形穴(411a)はボール(412)により塞がれる。
【0064】
仕切板(411)の上部には、メッシュ状の周面を有する円筒(415)が固定されている。円筒(415)の直径は円形穴(411a)の直径よりも大きく設定されており、レイタンスを含む水と一緒に吸引された夾雑物を円筒(415)のメッシュにより通過を防止し、吸引装置(30)への噛み込み事故を防止する。
【0065】
図13は車両(4)の右側面図である。この図では車両(4)の前方は省略している。
吸引管(42)と吸引装置(30)の吸引口を連結する配管(46)の中途部(図13の矢印A部分)には、運転席にて開閉操作が可能である負荷開放弁を設けることが好ましい。
図14は負荷開放弁(43)を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
負荷開放弁(43)は、運転席の操作部と電気回路にて接続された電動シリンダ(44)により開閉可能となっている。
負荷開放弁(43)が開放されると、吸引装置(30)により発生した吸引力が吸引管(42)へと伝達されなくなるため、吸引口(311)からの吸引動作を停止することができる。
ここで、負荷開放弁(43)は、運転席での操作により開閉可能となっているため、運転席の外に出ずとも吸引動作のオンオフが可能となり、作業効率に優れたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るグリーンカット作業車は、ダム等の巨大なコンクリート構造物の構築作業においてレイタンスを除去して回収するために利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 フレーム
11 外フレーム
12 ブラシ取付フレーム
2 回転ブラシ
21 前方回転ブラシ
22 後方回転ブラシ
3 油圧シリンダ
4 車両
5 取付部材
6 前方ブラケット
7 後方ブラケット
8 上部連結部材
81 前方部材
82 後方部材
9 下部連結部材
20 スカート部材
30 吸引装置
31 吸引ホース
311 吸引口
32 タンク
33 吸引口拡張カバー
331 ガイド部
34 車輪
35 プレート
36 リンクアーム
37 紐状連結部材
43 負荷開放弁
45 スカート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打継面に生じるレイタンスを除去するためのブラシ機構と、該ブラシ機構により除去されたレイタンスを回収するための回収機構とを備えたグリーンカット作業車であって、
前記回収機構は、吸引力を発生させる吸引装置と、該吸引装置により発生した吸引力を導く吸引ホースと、該吸引ホースにより吸引された回収物を収容するタンクとを備えており、
前記ブラシ機構は、車両前方に取り付けられたフレームと、該フレーム内に囲繞されるように配設されてコンクリート打継面に対して平行な面内において回転する複数の回転ブラシと、該回転ブラシをコンクリート打継面に対して押し付けるための油圧シリンダと、コンクリート打継面に対する前記回転ブラシの回転軸の角度を調整するためのブラシ角度調整機構とを備えており、
前記ブラシ角度調整機構は、前後方向の角度を調整する前後角度調整機構と、左右方向の角度を調整する左右角度調整機構とからなる
ことを特徴とするグリーンカット作業車。
【請求項2】
前記回転ブラシはブラケットを介して前記フレームに取り付けられており、
該ブラケットは、前記フレームに対する上下方向及び左右方向の位置が調整可能とされていることを特徴とする請求項1記載のグリーンカット作業車。
【請求項3】
前記フレームは、前記回転ブラシの左右外側に配置された外フレームと、前記回転ブラシが取り付けられるブラシ取付フレームとからなり、
前記外フレームは、前方に向けて先端が左右に拡がった平面視略半円弧状に形成され、
前記ブラシ取付フレームは、前記外フレームの左右の先端を連結するとともに、前後方向に延びて該外フレームの基端とも連結された平面視略T字状に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載のグリーンカット作業車。
【請求項4】
前記外フレームの下部には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材もしくはスリットを備えたスカート部材が取り付けられていることを特徴とする請求項3記載のグリーンカット作業車。
【請求項5】
前記複数の回転ブラシは、前方に配置された前方回転ブラシと、後方に配置された後方回転ブラシとからなり、
前記前方回転ブラシ及び前記後方回転ブラシはいずれも左右一対の回転ブラシからなり、
前記前方回転ブラシ同士の間隔が、前記後方回転ブラシ同士の間隔よりも広く設定されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のグリーンカット作業車。
【請求項6】
前記ブラケットが平行リンク機構の一要素である前方ブラケットを構成し、前記回転ブラシは該平行リンク機構を介して前記ブラシ取付フレームに取り付けられており、
前記平行リンク機構は、互いに平行に前後に配置された前記前方ブラケット及び後方ブラケットと、これら前後のブラケットを連結するように互いに平行に上下に配置された上部連結部材及び下部連結部材とからなり、
前記前方ブラケットは、前記ブラシ取付フレームに取り付けられ、前記後方ブラケットには前記回転ブラシが取り付けられており、
前記上部連結部材は、前記前方ブラケットに連結された前方部材と、前記後方ブラケットに連結された後方部材とからなり、
前記前方部材と前記後方部材は、夫々の端部に設けられたねじの螺合により互いに連結されていることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載のグリーンカット作業車。
【請求項7】
前記前方ブラケットと前記下部連結部材は、油圧シリンダにより連結されており、
該油圧シリンダは、前記前方ブラケットの上方寄り位置と前記下部連結部材の後方寄り位置とを連結するように、且つ前方から後方に向けて下向きに傾斜するように取り付けられていることを特徴とする請求項6記載のグリーンカット作業車。
【請求項8】
前記吸引ホースの吸引口は、前記一対の後方回転ブラシの中間位置且つ後方においてコンクリート打継面に向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のグリーンカット作業車。
【請求項9】
前記吸引口の周囲には、コンクリート打継面の起伏に応じて上下動自在なスカート部材と、車両の走行に応じて前後左右に向きを変えて回転する複数の車輪が取り付けられていることを特徴とする請求項8記載のグリーンカット作業車。
【請求項10】
前記吸引ホースの先端部には、前記吸引口の周囲に拡がる吸引口拡張カバーが取り付けられており、
該吸引口拡張カバーは、下面及び前面が開放された箱形の部材であって、その前部には前方に向けて上向きに傾斜して延出され且つ平面視扇形状に拡がったガイド部が形成されていることを特徴とする請求項8又は9記載のグリーンカット作業車。
【請求項11】
前記車輪は、前記吸引ホースの先端部に固定されたプレートに取り付けられており、
該プレートは、リンクアーム及び紐状連結部材を介して、車両前方に固定されて前記フレームが取り付けられた取付部材と連結されており、
前記リンクアームは、一端部が前記プレートと回動可能に枢着され、他端部が前記取付部材と回動可能に枢着されており、
前記紐状連結部材は、一端部が前記取付部材と連結され、中途部が車両前方に取り付けられたガイドローラの周面に沿うように掛け渡され、他端部が前記プレートの上面に連結されていることを特徴とする請求項9又は10記載のグリーンカット作業車。
【請求項12】
前記タンクは、前記吸引装置の上部においてダンプアップ可能に配設されていることを特徴とする請求項8乃至11いずれかに記載のグリーンカット作業車。
【請求項13】
前記吸引装置が乾式ルーツブロワからなり、
該乾式ルーツブロワの吸引口と前記タンクとを連結する配管の中途部に、運転席にて開閉操作が可能である負荷開放弁が設けられていることを特徴とする請求項8乃至12いずれかに記載のグリーンカット作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−255262(P2010−255262A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105715(P2009−105715)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000165343)兼松エンジニアリング株式会社 (23)
【出願人】(596149958)矢野口自工株式会社 (2)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】