説明

グルタミン酸の定量方法及びグルタミン酸定量装置。

【課題】簡便にグルタミン酸を定量する方法及びその方法を実行可能なグルタミン酸定量装置を提供すること。
【解決手段】振動反応を利用してなるグルタミン酸の定量方法とし、その振動反応は、過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液を、半透膜を介して混合させることにより行われる反応であり、また、前記第二の溶液は、前記カタラーゼを0.01mg/ml以上0.1mg/ml以下の範囲内で含有し、前記グルタミン酸オキシダーゼを1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/mlの範囲内で含有するとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタミン酸の定量方法及びグルタミン酸定量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は、動物の体内において代謝に重要な役割を果たすものであるとともに、化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムの中間原料としても製造、利用されている。
【0003】
従来のグルタミン酸の定量に関する技術としては、例えば下記特許文献1に、イオンセンシティブ・電界効果トランジスタ(以下「IS・FET」という。)の表面にL−グルタメート・デカルボキシラーゼを固定化して参照電極とともにKCl溶液等の反応溶液中に装入し、その中に被検試料を注入した後、pH変化に応じたIS・FETの出力電圧の変化を所定時間測定し、その定常値から被検試料中のL−グルタミン酸の濃度を測定する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平8−256793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術においては、IS・FETにL−グルタメート・デカルボキシラーゼを固定化しなければならず、手間がかかるといった課題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を鑑み、より簡便にグルタミン酸を定量する方法及びその方法を実行可能なグルタミン酸定量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者の発明者は、上記課題について鋭意検討を行ったところ、通常非線形現象であると考えられる振動反応を、グルタミン酸の定量に応用できることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の第一の手段に係るグルタミン酸の定量方法は、振動反応を利用してなることを特徴とする。ここで本発明における「振動反応」とは、酵素と基質とをゆっくり混合させた場合において生成物の濃度が周期的な増減を示す反応をいう。また、ここで酵素としては、例えばカタラーゼであることが好ましく、基質としては、過酸化水素を用いることが好ましい。またここで「グルタミン酸」としては、L−グルタミン酸であっても、D−グルタミン酸であっても、これらを混合したものであってもよいが、化学調味料等用途の広いL−グルタミン酸の場合がより有用となる。
【0008】
また、本手段において、限定されるわけではないが、振動反応は、過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液を、半透膜を介して混合させることにより行われる反応であることが好ましい。
【0009】
また、本手段において、限定されるわけではないが、半透膜は、透析膜又はミリポアフィルターであることが好ましい。
【0010】
また、本手段において、限定されるわけではないが、第二の溶液は、カタラーゼを0.01mg/ml以上0.1mg/ml以下の範囲内で含有し、前記グルタミン酸オキシダーゼを1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/mlの範囲内で含有することがより好ましく、第一の溶液は、前記グルタミン酸濃度を1×10−5mol/l以上1×10−4mol/l以下の範囲内で含有してなることがより好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するための第二の手段として、本発明に係るグルタミン酸濃度の定量方法は、過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液と、を半透膜を介して混合させ、第二の溶液における溶存酸素の濃度変化に基づいて、前記第二の溶液に含まれるグルタミン酸の溶液に含まれるL−グルタミン酸濃度を算出することを含む。
【0012】
また、本手段において、限定されるわけではないが、半透膜は、透析膜又はミリポアフィルターの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0013】
また、本手段において、限定されるわけではないが、第二の溶液は、カタラーゼを0.01mg/ml以上0.1mg/ml以下の範囲内で含有し、グルタミン酸オキシダーゼを1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/mlの範囲内で含有することが好ましく、第一の溶液は、グルタミン酸濃度を1×10−5mol/l以上1×10−4mol/l以下の範囲内で含有してなることを特徴とすることがより好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するための第三の手段として、本発明に係るグルタミン酸定量装置は、溶存酸素濃度データ及び時刻データを順次記録していく溶存酸素データ取得手段と、時刻データと溶存酸素濃度データとの関係に基づいて振動反応の周期を判断する周期判断手段と、グルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係を記憶する周期−グルタミン酸関係記憶手段と、グルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係に基づいてグルタミン酸の定量を行うグルタミン酸定量手段と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明は、いわゆる振動反応をグルタミン酸を定量する方法として用いているため、上記従来技術のようにIS・FETにグルタメート・デカルボキシラーゼを固定化する等の煩雑な手続が不要となるため、より簡便なグルタミン酸を定量する方法となる。また、本方法は振動反応を利用するためその周期的な増減を測定するだけの一段階の測定で定量が可能であり、この点においてもより簡便な方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本実施形態に係るグルタミン酸の定量方法(以下「本定量方法」ともいう。)は、振動反応を利用してなることを特徴の一つとする。具体的に説明すると、本定量方法は、過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液を、半透膜を介して浸透、混合させる方法であることが好ましい。グルタミン酸としては、L−グルタミン酸であっても、D−グルタミン酸であってもよく、これらを混合したものであってもよいが、上記のとおり、化学調味料等の用途の広いL−グルタミン酸であることが好ましい。
【0018】
図1に、本実施形態における定量方法における振動反応について説明するための図を示す。図1で示すとおり、半透膜により区切られた容器内の空間の一方に過酸化水素水とグルタミン酸を含む第一の溶液をいれ、他方にカタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを入れた第二の溶液を入れる。すると、第一の溶液における過酸化水素水はゆっくりと半透膜を透過して第二の溶液側に移動する。第二の溶液側では過酸化水素水がカタラーゼと反応し、酸素を発生させる。そして酸素が発生するとグルタミン酸オキシダーゼがこの酵素を用いてグルタミン酸を酸化し、過酸化水素水を発生させる。すなわち、この一連の流れが循環過程となり、その過酸化水素水の濃度が振動する振動反応となる。そしてこの場合、第二の溶液中に溶存している酸素(以下「溶存酸素」という。)の濃度を測定すると、溶存酸素の濃度は周期的な振動を示している。特に、カタラーゼ等溶液中に存在する物質の濃度が好ましい範囲にある場合、振動周期がグルタミン酸の濃度と直線関係となり、この関係を用いてグルタミン酸の精度よい定量が可能となる。
【0019】
本定量方法は、第一の溶液と第二の溶液との反応が十分進行し、周期的な振動となった期間における周期を測定し、予め求めてある周期−グルタミン酸濃度の関係に基づきグルタミン酸濃度を求めることで実現できる。周期については、様々な方法で求めることができ、限定されるわけではないが、本実施形態における反応においては周期的に溶存酸素のピークが現れるため(例えば後述する実験例の図5参照)、このピークの間隔がほぼ一定になったと思われる期間の周期又はその近傍の期間の平均を算出することで求めることができる。また、周期−グルタミン酸濃度の関係は、周期とグルタミン酸濃度を対応させたものであり、周期がわかればグルタミン酸濃度がわかるものであれば限定されるわけではないが、例えば検量線であってもよく、データのテーブルであってもよい。また、限定されるわけではないが、周期−グルタミン酸濃度の関係は、第一及び第二の溶液におけるカタラーゼ、グルタミン酸オキシダーゼの濃度の少なくともいずれかに応じて複数も受けられていることが精度を向上させる点においてより好ましい。
【0020】
なお、第二の溶液において、カタラーゼの濃度は、限定されるわけではないが、0.01mg/ml以上1mg/ml以下の範囲内で含まれていることが好ましく、より好ましくは0.1mg/ml以上0.5mg/ml以下の範囲内である。また、第二の溶液におけるグルタミン酸オキシダーゼの濃度は、上記好ましい過酸化水素水の濃度範囲において1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/ml以下の範囲内で含まれていることが好ましく、より好ましくは2×10−5mg/ml以上8×10−5mg/ml以下の範囲内である。カタラーゼおよびグルタミン酸オキシダーゼの濃度を上記望ましい範囲とすると、通常非線形的な反応である振動反応が良好な直線関係となり、グルタミン酸の精度より定量が簡便に可能となる。なお、第二の溶液における溶媒としては、上記振動反応が可能である限りにおいて限定されないが水であることが好ましい。
【0021】
また第一の溶液において、過酸化水素水の濃度は、限定されるわけではないが0.5重量%以上1.0重量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内にすることで、振動反応の周期をより規則的にすることができるとともに、一般的な溶存酸酸素計の測定可能範囲に収めることができる。また、グルタミン酸の濃度は、測定対象であって、限定されることがないのは当然であるが、概ね2.0×10−5mol/lより高く、1.0×10−3mol/lよりは低くすることが制度の観点から好ましく、より好ましくは1×10−5mol/l以上1×10−4mol/lの範囲内である。仮に、測定時において測定対象となるグルタミン酸の濃度測定の結果において疑問が生じる場合、第一の溶液における溶媒の増量又は減量を行って希釈又は濃縮し、グルタミン酸の濃度を変化させ、測定後この補正を行うことは好ましい態様である。なおここで第一の溶液における溶媒としては、限定されるわけではないが水であることが好ましい。
【0022】
ここで図2に、本実施形態におけるグルタミン酸の定量方法を実現する定量装置(以下「本定量装置」という。)の概略図を示す。図2で示すとおり、本定量装置は、第一の容器1と、第二の容器2と、第一及び第二の容器を接続する接続管3と、第一及容器及び第二の容器を仕切る半透膜4と、を有している。また、本定量装置は、第一の容器1及び第二の容器2に第一の溶液及び第二の溶液がそれぞれ充填され、振動反応が開始された場合にこの振動反応において存在する溶存酸素を測定するための酸素電極5及びこの酸素電極5に接続された溶存酸素計6と、溶存酸素計に接続された情報処理装置7と、を有して構成されている。
【0023】
本実施形態における第一の容器1、第二の容器2としては、第一及び第二の溶液それぞれとは反応せず、それぞれ安定に保持することができる限りにおいて限定されないが、例えばガラスが好ましい。なお、本実施形態においては、第一の容器1と第二の容器2とを別の容器とし、接続管3で接続する構成としているが、例えば図3で示すような構成とすることも可能である。図3では、一つの容器を穴の開いた仕切板で仕切り、仕切板の穴を半透膜4で覆う構成としている。この結果、図3における定量装置においても第一の容器1と、第二の容器2と、第一及び第二の容器を仕切る半透膜4と、を有すると表現することができる。
【0024】
半透膜4は、溶液における一部の成分は通すが他の成分は通さない性質を有する膜であって、限定されるわけではないが、透析膜、ミリポアフィルターの少なくともいずれかであることが好ましい。なお透析膜の場合、限定されるわけではないがセルロースを好ましく挙げることができる。
【0025】
酸素電極5は溶存酸素を測定するために用いられるものであり、第二の溶液側に配置される。酸素電極5は、この電極上で溶存酸素が還元されて水になるときに発生する電子の量に応じ電位を発生させる。酸素電極5の構成は特に限定されず、一般に市販されている周知の酸素電極を用いることができる。
【0026】
溶存酸素計6は、酸素電極5からの電位の発生を受け、溶存酸素の量を算出するものであり、この機能を有する限りにおいて限定はなく、一般に市販されている周知のものを採用することができる。
【0027】
情報処理装置7は、溶存酸素計からの出力を受け、その出力から振動反応の周期を求め、この周期と予め求めてある周期−グルタミン酸の関係とを参照し、グルタミン酸の濃度を算出(定量)する。
【0028】
情報処理装置7としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、コンピュータのハードディスクなどの記憶媒体に記録されたプログラムを実行することで実現することができる。図4に、プログラムが実行された場合における情報処理装置7の機能ブロック図を示す。
【0029】
図4で示すとおり、本情報処理装置7は、プログラムの実行により、溶存酸素計が測定する溶存酸素の濃度に対するデータ(以下「溶存酸素濃度データ」という。)を、その濃度を示した時刻のデータ(以下「時刻データ」という。)とともに順次記録していく溶存酸素データ取得手段701と、時刻データと溶存酸素濃度データとの関係に基づいて振動反応の周期を判断する周期判断手段702と、グルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係を予め記憶してある周期−グルタミン酸関係記憶手段703と、振動反応の周期とグルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係に基づいてグルタミン酸の定量を行うグルタミン酸定量手段704と、して機能する。なおこの場合において、上述のように、グルタミン酸の濃度と振動反応の周期は、カタラーゼやグルタミン酸オキシダーゼの濃度等によって直線の傾きや直線関係を示す範囲が異なってくるため、周期−グルタミン酸関係記憶手段703は、測定における条件の入力を受付、記憶する機能も有すること、更には、その入力に対応する条件に合致した振動の周期とグルタミン酸の濃度との関係を読み出せるようにすることが望ましい(もちろん、予め当該条件における関係を記憶しておくことが必要である)。なおこれにより、情報処理装置7は、グルタミン酸定量装置となる。
【0030】
以上、本実施形態に係る方法により、より簡便にグルタミン酸を定量することができる。
【0031】
(実験例1)
ここで、実際に検量線の作成を行い、上記実施形態に係る方法の有用性について確認した。以下詳細に説明する。
【0032】
まず、図2で示す装置を用いて行った。第一の容器、第二の容器及び接続管3いずれもガラス製のものを用い、接続管3の内径は1cmのものを用いた。半透膜4としては、αセルロース(分画分子量12,000〜14,000)の透析膜を用いた。
【0033】
そして、上記第一の容器1に0.5%の過酸化水素水溶液20ml、L−グルタミン酸溶液を含む第一の溶液を入れ全体で20.1mlとなるようにし、第二の容器2にカタラーゼ0.1mg及びグルタミン酸オキシダーゼ0.074mgを含む第二の溶液25mlをそれぞれ入れた。なお、本実験例ではL−グルタミン酸の濃度を調整し、5種類の異なる第一の溶液を作成し、それぞれ反応させ、振動反応を確認した。溶液の番号(試料溶液番号)とL−グルタミン酸の濃度との関係は以下の表1に示すとおりである。
【0034】
図5に、試料溶液番号2の溶存酸素濃度の時間変化を示す。なお図5において横軸は時間(分)を、縦軸は溶存酸素濃度(mg/l)を示す。そして、この結果から周期を決定した。なおここで周期は、振動反応が開始してから十分な時間が経過し、周期がほぼ一定になった場合における値を採用した。この時間としては資料によって多少の誤差はあったが概ね30分〜1時間程度であった。表1に各試料溶液における周期の結果を示し、図6にこの表の結果をグラフにしたものを示す。なお図6において横軸は周期を縦軸にL−グルタミン酸の濃度を示す。
【表1】

【0035】
この結果、振動の周期とL−グルタミン酸の濃度との関係は直線によって非常によく説明することができることを確認した。特に、本実験例によるとL−グルタミン酸の濃度は1.0×10−5mol/l以上1.0×10−4mol/l以下の範囲において非常によく説明できており、この範囲である場合は特に精度高く近似することができると考えられる。なお、L−グルタミン酸の濃度が2.0×10−5mol/l以下の場合、1.0×10−4mol/l以上の場合は直線として近似できにくかったため、L−グルタミン酸の範囲としては2.0×10−5mol/lより高く、2.0×10−4mol/lよりは低いことが望ましく、より望ましくは1.0×10−5mol/l以上1.0×10−4mol/l以下の範囲内であろうと推測された。
【0036】
以上により、振動反応において、振動反応の周期とL−グルタミン酸の濃度との関係が密接に関係していることを確認し、振動反応の周期を求めることでL−グルタミン酸の濃度を定量化できることを確認した。
【0037】
(実験例2)
振動反応において、より短い周期とすることは測定のアウトプットをあげる上で非常に重要である。そこで本実験例では反応容器を小さくし、電極も小さいものを用いることで周期を短くできるかについて検討を行った。なお、本実験例は以下に示す試料以外はほぼ実験例1と同様とした。小さな酸素電極および内径1cmのガラスセルを用いた場合を次に示す。
【0038】
上記第一の容器1に1.0%の過酸化水素水溶液10ml、L−グルタミン酸溶液及び水を含む第一の溶液を全体で10.1mlとなるように入れ、第二の容器2にカタラーゼ0.1mg及びグルタミン酸オキシダーゼ0.074mgを含む第二の溶液10mlをそれぞれ入れた。なお、本実験例ではL−グルタミン酸の濃度を調整し、4種類の異なる第一の溶液を作成し、それぞれ反応させ、振動反応を確認した。溶液の番号(試料溶液番号)とL−グルタミン酸の濃度との関係は以下の表2に示すとおりである。
【表2】

【0039】
なお、上記各試料溶液に対しても上記同様周期を測定し、周期とL−グルタミン酸の濃度との関係を求めた。この結果を図7に示す。この結果、上記実験例と同様の精度よい直線関係を確認することができた。なお、本実験例においては、周期が短くなっていることが確認できただけでなく、周期がほぼ一定になるまでの時間も20分程度と大幅に短縮できたことを確認した。
【0040】
以上、上記実験結果により、本発明の有効性を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、L−グルタミン酸の定量方法として産業上の利用可能性がある。また、これを実現するためのL−グルタミン酸定量装置としても、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態に係るグルタミン酸の定量方法における振動反応について説明するための図である。
【図2】実施形態に係るグルタミン酸定量装置を説明するための図である。
【図3】グルタミン酸定量装置の他の例を示す図である。
【図4】実施形態に係るグルタミン酸定量装置における情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
【図5】実施例1における溶存酸素濃度の時間変化の一例を示す図である。
【図6】実施例1により求められる周期−グルタミン酸濃度の関係を示す図である。
【図7】実施例2により求められる周期−グルタミン酸濃度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…第一の容器、2…第二の容器、3…接続管、4…半透膜、5…酸素電極、6…溶存酸素計、7…情報処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動反応を利用してなるグルタミン酸の定量方法。
【請求項2】
前記振動反応は、過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液を、半透膜を介して混合させることにより行われる反応である請求項1記載のグルタミン酸の定量方法。
【請求項3】
前記半透膜は、透析膜又はミリポアフィルターである請求項1記載のグルタミン酸の定量方法。
【請求項4】
前記第二の溶液は、前記カタラーゼを0.01mg/ml以上0.1mg/ml以下の範囲内で含有し、前記グルタミン酸オキシダーゼを1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/mlの範囲内で含有する請求項2記載のグルタミン酸の定量方法。
【請求項5】
前記第一の溶液は、前記グルタミン酸濃度を1×10−5mol/l以上1×10−4mol/l以下の範囲内で含有してなることを特徴とする請求項2のグルタミン酸の定量方法。
【請求項6】
過酸化水素及びグルタミン酸を含む第一の溶液と、カタラーゼ及びグルタミン酸オキシダーゼを含む第二の溶液と、を半透膜を介して混合させ、
前記第二の溶液における溶存酸素の濃度変化に基づいて、前記第二の溶液に含まれるグルタミン酸の溶液に含まれるグルタミン酸濃度を算出するグルタミン酸の定量方法。
【請求項7】
前記半透膜は、透析膜又はミリポアフィルターの少なくともいずれかを含む、請求項6記載のグルタミン酸の定量方法。
【請求項8】
前記第二の溶液は、前記カタラーゼを0.01mg/ml以上0.1mg/ml以下の範囲内で含有し、前記グルタミン酸オキシダーゼを1×10−5mg/ml以上1×10−4mg/mlの範囲内で含有する請求項6記載のグルタミン酸の定量方法。
【請求項9】
前記第一の溶液は、前記グルタミン酸濃度を1×10−5mol/l以上1×10−4mol/l以下の範囲内で含有してなることを特徴とする請求項8のグルタミン酸の定量方法。
【請求項10】
溶存酸素濃度データ及び時刻データを順次記録していく溶存酸素データ取得手段と、
時刻データと溶存酸素濃度データとの関係に基づいて振動反応の周期を判断する周期判断手段と、
グルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係を記憶する周期−グルタミン酸関係記憶手段と、
前記グルタミン酸の濃度と振動反応の周期との関係に基づいてグルタミン酸の定量を行うグルタミン酸定量手段と、を有するグルタミン酸定量装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−199925(P2008−199925A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37603(P2007−37603)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】