説明

グループB連鎖球菌の抗原及び対応するDNA断片

【課題】GBS感染を防止し、診断し及び/又は処置するために用いることができる有用なポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、宿主細胞、それらの使用を提供する。
【解決手段】抗原、特にグループB連鎖球菌(GBS)〔ストレプトコッカス・アガラクティエ(S.agalactiae)〕の抗原、又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチド。該ポリヌクレオチドによってコード化されるポリペプチド、薬学組成物、発現調節領域に操作可能に連結されるポリヌクレオチドを含むベクター、並びに前記ベクターを用いてトランスフェクトされる宿主細胞及び前記宿主細胞を発現に適切な条件下で培養することを含むポリペプチドの製造方法。該抗原は連鎖球菌の感染を防止し、診断し及び/又は処置するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループB連鎖球菌(Group B Streptococcus)(GBS)〔ストレプトコッカス・アガラクティエ(S. agalactiae)〕のポリペプチドに関し、このポリペプチドは、連鎖球菌の感染を防止し、診断し及び/又は処置するのに用いることができるる。
【背景技術】
【0002】
連鎖球菌はグラム(+)細菌であり、その細胞表面上に見出せるグループ特異的な糖質抗原A〜Oによって区別される。さらに、連鎖球菌群は型−特異的な莢膜多糖類抗原によって区別される。GBSについて種々の血清型が確認されている:Ia,Ib,II,III,IV,V,VI,VII及びVIII。また、GBSは“C-プロテイン”(アルファ、ベータ、ガンマ及びデルタ)として知られる抗原性タンパク質を含み、そのいくつかはクローニングされている。
【0003】
GBSは正常なヒトの膣及び結腸の菌相の通常成分であるが、この病原体は、長い間、新生仔、妊娠中の母親(expectant mother)、数種の非妊娠成体(non-pregnant adult)での感染、並びに酪農用家畜の群れ(dairy herd)での乳腺炎の主要な原因と認識されている。GBSに曝された妊娠中の母親は、分娩後の感染の危険性があり、及び産道を通る子供のようにそれらの仔にその感染を移すことがある。
【0004】
幼児におけるGBS感染は極めて初期の乳児期に制限される。約80%の幼児感染は生活の最初の日に起こり、いわゆる早発性の疾病である。遅発性の感染は、1週及び2〜3月の齢の間に幼児において起こる。新生児におけるGBS疾病の臨床的な症候群には、敗血症、髄膜炎、肺炎、蜂窩織炎、骨髄炎、敗血症性関節炎、心内膜炎及び喉頭蓋が含まれる。GBSによる急性の病気、それ自体費用がかかるが、それに加え、新生児におけるGBS感染は、死、能力障害、及びまれな事例では感染の再発に至ることがある。生物体は抗生剤に感受性があるが、新生仔における敗血症及び幼児における髄膜炎の高い発病率及び急激な発症は、高い罹患率及び死亡率を招く。
【0005】
妊婦の間では、GBSは、軽度の(mild)尿路感染から重篤な敗血症及び髄膜炎に至るまでの、骨髄炎、心内膜炎、羊膜炎(amnionitis)、子宮内膜炎、創傷感染(帝王切開後及び会陰切開後)、蜂窩織炎及び筋膜炎をも含む臨床的な病気を生じさせる。
【0006】
非妊娠の成体の間では、侵襲的なGBS疾病の臨床所見は、一次菌血症の形態をとることが最も多いが、皮膚又は軟部組織感染、肺炎、尿性敗血症(urosepsis)、心内膜炎、腹膜炎、髄膜炎又は膿症(empyema)もある。皮膚又は軟部組織感染には、蜂窩織炎、感染した末梢性潰瘍、骨髄炎、敗血症性関節炎及び褥瘡又は創傷感染が含まれる。人々の間では、糖尿病及び癌のような慢性病を患う人々、又は高齢の人々のような衰弱した宿主に危険性がある。
【0007】
GBS感染はまた、動物において起こり、酪農用家畜の群れにおいて乳腺炎を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
型−特異的な多糖類は、宿主において免疫原性が低いことが証明されており、多糖類が起源である特定の血清型に限られる。さらに、莢膜の多糖類はT細胞に非依存の応答を誘発し、すなわちIgG生産を誘発しない。その結果、莢膜多糖類の抗原は、GBS感染に対する保護のためのワクチン成分として不適切である。
【0009】
他には、マウス及びラビットのモデルで免疫原性の特性が示されたC-プロテインベータ抗原に焦点があてられている。このタンパク質は、ヒトIgAのFc領域との高い親和性及び非免疫原性の様式での相互作用のその望ましくない特性のため、ヒトのワクチンとして不適切であることが見出された。C-プロテインアルファ抗原は、ほとんどのGBS媒介条件を引き起こす血清型であるGBSのタイプIII血清型においてまれであり、それは、ほとんどのGBS媒介条件の原因である血清型であり、従ってワクチン成分としてほとんど用いられない。
【0010】
GBS感染を防止し、診断し及び/又は処置するために用いることができるGBSポリペプチドについてまだ満たされてない需要が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概略
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
1局面によれば、本発明は配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドに関する。
【0013】
他の局面において、本発明のポリヌクレオチドによってコード化されるポリペプチド、薬学組成物、発現調節領域に操作可能に連結される本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、並びに前記ベクターを用いてトランスフェクトされる宿主細胞及び前記宿主細胞を発現に適切な条件下で培養することを含むポリペプチドの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1−1】血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS954からのBVH-A5遺伝子のDNA配列;(配列番号:1)を示す図である。配列の下線部分はリーダペプチドをコードする領域を示す。
【図1−2】血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS954からのBVH-A5遺伝子のDNA配列;(配列番号:1)を示す図である。配列の下線部分はリーダペプチドをコードする領域を示す。
【図2】血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS954からのBVH-A5ポリペプチドのアミノ酸配列;(配列番号:2)を示す図である。下線を付した配列は43個のアミノ酸残基のリーダペプチドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、精製し及び単離したポリヌクレオチドを提供し、このポリヌクレオチドは、連鎖球菌の感染を防止し、診断し及び/又は処置するために用いることができる連結球菌のポリペプチドをコード化する。
【0016】
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
1局面によれば、本発明は、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも98%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
1局面によれば、本発明は配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。
【0022】
1局面によれば、本発明はアミノ酸配列の配列番号2又はその断片又は類似物によって特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0023】
1局面によれば、本発明は配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドのエピトープ関連部分(epitope bearing portion)をコード化するポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
1局面によれば、本発明は配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドのエピトープ関連部分に関する。
【0025】
1局面によれば、本発明は、配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
1局面によれば、本発明は、配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも90%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0027】
1局面によれば、本発明は、配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
1局面によれば、本発明は、配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも98%の同一性を有するポリペプチドをコード化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
1局面によれば、本発明は配列番号2を含むポリペプチドに関する。
【0030】
1局面によれば、本発明はアミノ酸配列の配列番号2によって特徴付けられるポリペプチドに関する。
【0031】
1局面によれば、本発明は配列番号2を含むポリペプチドのエピトープ関連部分をコード化するポリヌクレオチドを提供する。
【0032】
1局面によれば、本発明は配列番号2を含むポリペプチドのエピトープ関連部分に関する。
【0033】
1局面によれば、本発明は、分離されたポリヌクレオチドであって、次の:
(a)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有し;
(b)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有し;
(c)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含み;
(d)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得;
(e)ポリペプチドのエピトープ関連部分をコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含み;
(f)配列番号1又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリヌクレオチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)中のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選ばれるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0034】
1局面によれば、本発明は、分離されたポリヌクレオチドであって、次の:
(a)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有し;
(b)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有し;
(c)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含み;
(d)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得;
(e)ポリペプチドのエピトープ関連部分をコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含み;
(f)配列番号1から選ばれる配列を含むポリヌクレオチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)中のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選ばれるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0035】
1局面によれば、本発明は、分離されたポリペプチドであって、次の:
(a)配列番号2又はその断片又は類似物を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号2又はその断片又は類似物を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチド;
(d)配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得るポリペプチド;
(e)配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドのエピトープ関連部分;
(f)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであってN末端メチオニン残基が欠失しているポリペプチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであって分泌性のアミノ酸配列が欠失しているポリペプチド
から選ばれるポリペプチドを含むポリペプチドを提供する。
【0036】
1局面によれば、本発明は、分離されたポリペプチドであって、次の:
(a)配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2を含むポリペプチド;
(d)配列番号2を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得るポリペプチド;
(e)配列番号2を含むポリペプチドのエピトープ関連部分;
(f)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであってN末端メチオニン残基が欠失しているポリペプチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであって分泌性のアミノ酸配列が欠失しているポリペプチド
から選ばれるポリペプチドを含むポリペプチドを提供する。
【0037】
当業者は、本発明には、DNA分子、すなわち、本特許出願において説明するように、かかるポリペプチドのポリヌクレオチド及びその変異体、変異形、類似体及び誘導体のような類似物をコード化するそれらの相補的な配列が包含されることを理解するであろう。本発明には、また、本発明のDNA分子に相当するRNA分子も包含される。DNA及びRNA分子に加えて、本発明には、相当するポリペプチド及びかかるポリペプチドに特異的に結合する単一特異的な(monospecific)抗体が包含される。
【0038】
本発明に従って、本発明のポリペプチドをコード化するすべてのポリヌクレオチドは本発明の範囲内にある。
【0039】
更なる具体例において、本発明に従うポリペプチドは抗原性である。
【0040】
更なる具体例において、本発明に従うポリペプチドは免疫原性である。
【0041】
更なる具体例において、本発明に従うポリペプチドは宿主において免疫応答を誘発することができる。
【0042】
更なる具体例において、本発明は、また、上述のような本発明のポリペプチドに対して結合特異性を有する抗体を生じさせることができるポリペプチドに関する。
【0043】
“結合特異性を有する”抗体は、試料、例えば、生物学的試料であって、選定されたペプチドを必然的に含有する試料中の選定されたポリペプチドを認識し結合するが、他の分子を認識せず結合しない。特異的な結合は、選定されたポリペプチドを抗原として使用するELISAアッセイを用いて測定することができる。
【0044】
本発明に従って、生物学的研究における“保護”は、生存曲線、生存率又は生存期間における著しい上昇によって規定する。生存曲線を比較するための対数順位試験(Log rank test)を用いる統計的分析、及び生存率及び死亡までの日数を比較するためのフィッシャーの直接確率試験(Fisher exact test)は、それぞれ、P値を計算し及び2種の群の間の違いが統計的に有意かどうかを決定するのに有用である。0.05のP値は有意でないと考えられる。
【0045】
本発明の追加の局面において、本発明のポリペプチド、又はその類似物の抗原性の/免疫原性の断片を提供する。
【0046】
本発明の断片は1又はそれより多いかかるエピトープ領域を含むか、又はかかる領域に十分に類似してそれらの抗原性の/免疫原性の特性を保持する必要がある。したがって、本発明にかかる断片について、同一性の程度はおそらく無関係であり、その理由は、本明細書に記載するように、それらが、ポリペプチド又はその類似物の特定部分と100%同じであり得るからである。本発明は、さらに、本発明のポリペプチド配列からの少なくとも10個の近接する(contiguous)アミノ酸残基を有する断片を提供する。1具体例においては、少なくとも15個の近接するアミノ酸残基である。1具体例においては、少なくとも20個の近接するアミノ酸残基である。
【0047】
当業者は、本発明のポリペプチドの類似物が、また、本発明との関連での使用、すなわち抗原性の/免疫原性の物質としての使用が見出されることを理解する。したがって、例えば、1種又はそれより多い付加、欠失、置換又はその種の他のものを包含するタンパク質又はポリペプチドが本発明によって包含される。
【0048】
本明細書で用いるように、本発明のポリペプチドの“断片”、“類似物”又は“誘導体”には、1種又はそれより多いアミノ酸残基を、保存されるか又は保存されないアミノ酸残基で置換し(好ましくは保存される)及び天然であるか又は不自然であってもよいそれらのポリペプチドが包含される。
【0049】
1具体例において、本発明のポリペプチドの誘導体及び類似物は、図面に例示するそれらの配列と約80%の同一性を有するか、又はその断片を有する。すなわち、それらの残基の80%が同じである。
【0050】
更なる具体例において、ポリペプチドは80%より高い同一性を有する。更なる具体例では、ポリペプチドは85%より高い同一性を有する。更なる具体例で、ポリペプチドは90%より高い同一性を有する。更なる具体例で、ポリペプチドは95%より高い同一性を有する。更なる具体例で、ポリペプチドは99%より高い同一性を有する。
【0051】
更なる具体例において、本発明のポリペプチドの類似物は、約20個より少ないアミノ酸残基の置換、修飾又は欠失を有し、及びより一層好ましくは10個より少ない。
【0052】
これらの置換は、ポリペプチドの二次構造及び疎水性親水性指標(hydropathic)の性質に最小限の影響しか有さないものである。好ましい置換は、保存されるようなこの技術で既知のもの、すなわち、置換された残基が、疎水性、大きさ、荷電又は官能基のような物理的又は科学的特性を共有する。これらには、Dayhoff(デイホフ), M.による「Atlas of Protein Sequence and Structure 5, 1978」に、及びArgos(アルゴス), P.による「EMBO J. 8, 779-785, 1989」に記載のもののような置換が包含される。例えば、アミノ酸で、天然又は不自然のいずれかで、次の群の1種に属するものは保存的変化を示す:
ala, pro, gly, gln, asn, ser, thr, val;
cys, ser, tyr, thr;
val, ile, leu, met, ala, phe;
lys, arg, orn, his;及び
phe, tyr, trp, his。
また、好ましい置換には、相当するL-アミノ酸についてのD-鏡像異性体の置換が包含される。
【0053】
代わりの手法において、類似物は、例えば、所望のポリペプチドへの効果的な標識付け(tagging)によって精製をより一層容易にさせる一部分を組み合わせた融合タンパク質でよい。“標識(tag)”は、除去する必要がある場合があり、又は融合ポリペプチドがそれ自体有用であるのに十分な抗原性を保持する場合がある。
【0054】
相同性の割合は、アミノ酸の種類の同一性の割合と類似度又は保存の割合とを加えた合計として定義される。
【0055】
1具体例において、本発明のポリペプチドの類似物は、図面に例示するそれらの配列と約80%の同一性又はその断片を有する。すなわち、残基の80%が同じである。更なる具体例においては、ポリペプチドは85%より高い同一性を有する。更なる具体例において、ポリペプチドは90%より高い同一性を有する。更なる具体例では、ポリペプチドは95%より高い同一性を有する。更なる具体例で、ポリペプチドは99%より高い同一性を有する。更なる具体例では、本発明のポリペプチドの類似物は、約20個より少ないアミノ酸残基の置換、修飾又は欠失を有し、及びより一層好ましくは10個より少ない。
【0056】
1具体例において、本発明のポリペプチドの類似物は、図面に例示するそれらの配列と約80%の相同性を有するか、又はその断片を有する。更なる具体例においては、ポリペプチドは85%より高い相同性を有する。更なる具体例において、ポリペプチドは90%より高い相同性を有する。更なる具体例では、ポリペプチドは95%より高い相同性を有する。更なる具体例で、ポリペプチドは99%より高い相同性を有する。更なる具体例では、本発明のポリペプチドの類似物は、約20個より少ないアミノ酸残基の置換、修飾又は欠失を有し、及びより一層好ましくは10個より少ない。
【0057】
CLUSTAL(クラスタル)プログラムのようなプログラムを用い、アミノ酸配列を比較することができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較し、及び必要に応じていずれかの配列中に空間を挿入することによって最適な配列比較(alignment)を見出す。最適な配列比較のためのアミノ酸の同一性又は相同性を計算することができる。BLASTxに似ているプログラムは、同様の配列の最も長い伸展を整列させ、及びそのかみ合い(fit)に値を割り当てる。したがって、比較を得ることができ、その比較で、種々の領域の類似度が見出され、それぞれが異なった点数を有する。双方の種類の同一性分析が本発明において考慮される。
【0058】
代わりの手法において、類似物又は誘導体は、例えば、所望のタンパク質又はポリペプチドへの効果的な標識付けによって精製をより一層容易にさせる一部分を組み合わせた融合ポリペプチドでよく、“標識”は、除去する必要がある場合があり、又は融合ポリペプチドがそれ自体有用であるのに十分な抗原性を保持する場合がある。
【0059】
抗原性のポリペプチドをスクリーニングし、エピトープ領域、すなわち、ポリペプチドの抗原性又は免疫原性を担っているこれらの領域を同定することができることはよく知られている。かかるスクリーニングを実行する方法はこの技術においてよく知られている。したがって、本発明の断片は、1種又はそれより多いかかるエピトープ領域を含むか、又はかかる領域に十分類似しそれらの抗原性/免疫原性の特性を保持する必要がある。
【0060】
したがって、類似物、誘導体及び断片のために重要なのは、それらが導き出されるタンパク質又はポリペプチドの抗原性/免疫原性の少なくともある程度をそれらが所有することである。
【0061】
また、ポリペプチドの生物学的又は薬学的特性を変える他の化合物、すなわち、半減期を増加させるポリエチレングリコール(PEG);精製を簡単にするためのリーダ又は分泌アミノ酸配列;プレプロ−及びプロ−配列;及び(多)糖類をそれに融合させたポリペプチドが包含される。
【0062】
さらに、アミノ酸領域が多形であると見出されるそれらの状況において、1種又はそれより多い特定のアミノ酸を変えて異なる連結球菌株の異なったエピトープをより一層効果的に擬態するのが望ましい場合がある。
【0063】
また、本発明のポリペプチドを、末端-NH2のアシル化(例えば、アセチル化、又はチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシアミド化、例えば、アンモニア又はメチルアミンを用いる)により修飾して、安定性、支持体又は他の分子への連結又は結合のための高められた疎水性を提供することができる。
【0064】
また、ポリペプチド断片及び類似物のヘテロ及びホモポリペプチド多量体も考えられる。これらの重合体の形態には、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒド又はジメチルスーパーイミデート(dimethylsuperimidate)のような架橋剤を用いて架橋した1種又はそれより多いポリペプチドが包含される。かかる重合体の形態には、また、組換えDNA技術により生み出される多重シストロンの(multicistronic)mRNAsから生産される2種又はそれより多い直列のか又は逆位の近接配列を含むポリペプチドが包含される。
【0065】
更なる具体例において、本発明はまた、本出願の図面において定義されるような1種又はそれより多いポリペプチド又はその断片又は類似物を含むキメラポリペプチドに関する。
【0066】
更なる具体例において、本発明はまた、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を有する2種又はそれより多いポリペプチドを含み;これらのポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されることを条件とするキメラポリペプチドに関する。
【0067】
更なる具体例において、本発明はまた、配列番号2から選ばれる配列を有する2種又はそれより多いポリペプチドを含み、これらのポリペプチドがキメラポリペプチドを形成するように連結されることを条件とするキメラポリペプチドに関する。好ましくは、本発明のポリペプチドの断片、類似物又は誘導体は、少なくとも1種の抗原性領域、すなわち、少なくとも1種のエピトープを含む。
【0068】
抗原性の重合体(すなわち、合成多量体)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ニトロアリールハロゲン化物、又はその種の他のものを有するポリペプチドを用いることができ、これらの試薬はチオ基に特異的である。したがって、異なったポリペプチドの2種のメルカプト基の間の連結は、単結合であることができ、又は少なくとも2個、代表的には少なくとも4個で、16個以下であるが、通常約14個以下の炭素原子の連結基を構成することができる。
【0069】
特定の具体例において、本発明のポリペプチド断片及び類似物は、メチオニン(Met)又はバリン(Val)の開始残基(starting residue)を含まない。好ましくは、ポリペプチドはリーダ配列又は分泌配列(シグナル配列)を組み込まれていない。本発明のポリペプチドのシグナル部分は確立された分子生物学の技術に従って決定することができる。一般的に、対象のポリペプチドを連鎖球菌の培養物から分離し、及び次いで配列決定して、成熟したタンパク質の最初の残基、従って成熟したポリペプチドの配列を決定する。
【0070】
ポリペプチドを生産し及び/又はそれらの開始コドン(メチオニン又はバリン)を用いずに及び/又はリーダペプチドを用いずに使用して、組換えポリペプチドの生産及び精製を助けることができることが理解される。リーダペプチドをコード化する配列を有さないクローン遺伝子は、ポリペプチドをE. coli(大腸菌)の細胞質に限定し、及びそれらの回収を促進することが知られている〔"Molecular biotechnology: Principles and applications of recombinant DNA", 2nd edition, ASM Press, Washington DC, p.109-143におけるGlick(グリック), B. R.及びPasternak(パステルナーク), J. J.の(1998年) Manipulation of gene expression in prokaryotes参照〕。
【0071】
本発明の他の局面によれば、(i)本発明のポリペプチドを、担体と共に、希釈剤又は補助剤と含有する物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチド及び担体、希釈剤又は補助剤を含有する薬学組成物;(iii)本発明のポリペプチド及び担体、希釈剤又は補助剤を含有するワクチン;(iv)宿主において、免疫原として(immunogenically)効果的な量の本発明のポリペプチドを投与し、免疫反応、例えば、連鎖球菌に対する防御免疫反応を誘発することによって、連鎖球菌に対する免疫反応を誘導するための方法;及び特に、(v)予防的な又は治療的な量の本発明のポリペプチドを宿主に必要により投与することによって連鎖球菌の感染を防止し及び/又は処置する方法をも提供する。
【0072】
本発明の他の局面によれば、(i)本発明のポリヌクレオチドを、担体と共に、希釈剤又は補助剤と含有する物質の組成物;(ii)本発明のポリヌクレオチド及び担体、希釈剤又は補助剤を含有する薬学組成物;(iii)宿主において、免疫原として効果的な量の本発明のポリヌクレオチドを投与し、免疫反応、例えば、連鎖球菌に対する防御免疫反応を誘発することによって、連鎖球菌に対する免疫反応を誘導するための方法;及び特に、(iv)予防的な又は治療的な量の本発明のポリヌクレオチドを宿主に必要により投与することによって連鎖球菌の感染を防止し及び/又は処置する方法をも提供する。
【0073】
免疫化の前に、本発明のポリペプチドを、また、破傷風毒素、ジフテリア毒素、B型肝炎ウイルス表面抗原、灰白髄炎ウイルスVP1抗原又は任意の他のウイルス又は細菌毒素又は抗原又は任意の適切なタンパク質のような担体タンパク質と対にするか又は接合し、より一層強い免疫反応の発生を刺激することができる。この対合又は接合は化学的にか又は遺伝的に行うことができる。ペプチド−担体の接合のより一層詳細な説明は、Van Regenmortel(ファンレーゲンモルテル), M. H. V., Briand(ブライアン) J. P., Muller(ミューラー) S., Plaue(プラウ) S.の<Synthetic Polypeptides as antigens>in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol.19 (ed.) Burdou(ブルドー), R. H.及びVan Knippenberg(ファンクニッペンバーグ) P. H.(1988), Elsevier New Yorkにおいて入手できる。
【0074】
他の局面によれば、1種又はそれより多い本発明の連鎖球菌のポリペプチドが薬学的に許容できる補助剤との混合物中に含有される薬学組成物を提供する。適切な補助剤には、(1)MF59TM, SAFTM, RibiTMのような水中油滴エマルジョン製剤;(2)完全又は不完全フロインドアジュバント;(3)塩、すなわち、AlK(SO4)2, AlNa(SO4)2, AlNH4(SO4)2, Al(OH)3, AlPO4,シリカ、カオリン;(4)StimulonTMのようなサポニン誘導体又はISCOMs(免疫賦活性複合体)のようなそれから生じる粒子;(5)インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン;(6)炭素ポリヌクレオチド、すなわち、ポリIC及びポリAU、解毒したコレラ毒素(CTB)及び粘膜免疫の誘導のためのE. coliの熱に不安定な毒素が包含される。補助剤のより一層詳細な説明は、Pharmaceutical Research, vol. 11, No. 1 (1994) pp2-11のM.Z.I.Khan(カーン)等による総説において、及びVaccine, Vol. 13, No. 14, pp1263-1276 (1995)及び国際公開第WO99/24578号パンフレットのGupta(グプタ)等による他の総説においても入手することができる。好ましい補助剤には、QuilATM, QS21TM, AlhydrogelTM及びAdjuphosTMが包含される。
【0075】
本発明の薬学組成物は、注射、迅速な注入、鼻咽頭吸収、皮膚吸収(dermoabsorption)、又は頬側の吸収によって非経口的にか、又は経口によって投与することができる。
【0076】
また、薬学組成物の用語は、抗体を含むことを意味する。本発明に従って、本発明のポリペプチドに対しての結合特異性を有する1種又はそれより多い抗体の、連鎖球菌感染及び/又は連鎖球菌感染によって媒介される疾病及び症状の処置又は予防のための使用を提供する。
【0077】
本発明の薬学組成物は、Manual of Clinical Microbiology, P.R.Murray(マリー)(編集長), E. J. Baron(バロン), M. A. Pfaller(ファーラー), F. C. Tenover(テノバー)及びR. H. Yolken(ヨーケン).ASM Press, Washington, D.C. seventh edition, 1999, 1773pに記載されているように、連鎖球菌感染及び/又は連鎖球菌によって媒介される疾病及び症状の予防又は処置のために用いられる。1具体例において、本発明の薬学組成物は、咽頭炎、丹毒及び膿痂疹、猩紅熱、及び菌血症及び壊死性の筋膜炎及び更に毒素ショックのような侵襲性疾病の予防又は処置のために用いる。1具体例では、本発明の薬学組成物は、連鎖球菌感染及び/又は連鎖球菌感染、特に、グループB連鎖球菌(GBS又はS. agalactiae)、グループA連鎖球菌〔化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)〕、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)、エス・ディスガラクティエ(S. dysgalactiae)、エス・ウベリス(S. uberis)、エス・ノカルジア(S. nocardia) 並びに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって媒介される疾病及び症状の処置又は予防のために用いる。更なる具体例において、連鎖球菌感染はグループB連鎖球菌(GBS又はS. agalactiae)である。
【0078】
更なる具体例において、本発明は、連鎖球菌の感染を受け易い宿主において、前記宿主に予防的か又は治療的な量の本発明の組成物を投与することを含む、連鎖球菌感染の予防又は処置のための方法を提供する。
【0079】
更なる具体例では、本発明は、GBSの感染を受け易い宿主において、前記宿主に予防的か又は治療的な量の本発明の組成物を投与することを含む、GBS感染の予防又は処置のための方法を提供する。
【0080】
本明細書で用いるように、“宿主”の用語には哺乳類が包含される。更なる具体例で、哺乳類は酪農用家畜の群れの一員である。更なる具体例で、哺乳類は妊娠中の母親である。更なる具体例で哺乳類はヒトである。更なる具体例で宿主は妊婦である。更なる具体例で宿主は非妊娠成体である。更なる具体例では、宿主は新生仔又は幼児である。
【0081】
特定の具体例では、薬学組成物を、幼児、高齢者及び免疫無防備状態の(immunocompromised)宿主のように連鎖球菌の感染の危険性があるそのような宿主に投与する。
【0082】
薬学組成物は、好ましくは約0.001〜100μg/kg(抗体/体重)、及びより一層好ましくは0.01〜10μg/kg、及び最も好ましくは0.1〜1μg/kgの単位投与形態で、免疫化の間に1〜3回、約1〜6週の間隔を空ける。
【0083】
好ましくは、薬学組成物は、約0.1μg〜10mg、及びより一層好ましくは1μg〜1mg、及び最も好ましくは10〜100μgの単位投与形態で、免疫化の間に1〜3回、約1〜6週の間隔を空ける。
【0084】
他の局面によれば、配列番号2又はその断片又は類似物を含むアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを提供する。
【0085】
1具体例において、ポリヌクレオチドは配列番号1に例示するものであり、これには読み取り枠(ORF)が含まれ、本発明のポリペプチドをコード化する。
【0086】
図面に例示するポリヌクレオチドの配列を、縮重コドンで変え、なおまだ、本発明のポリペプチドをコード化することができることは理解できる。したがって、本発明は更に、本明細書において上述したポリヌクレオチドの配列(又はその相補的配列)で、配列間に80%の同一性を有する配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。1具体例において、配列間に少なくとも85%の同一性がある。1具体例では、配列間に90%の同一性がある。更なる具体例では、ポリヌクレオチドは、厳密な条件、すなわち、少なくとも95%の同一性を有する条件下にハイブリダイズし得る。更なる具体例で、97%より高い同一性である。
【0087】
ハイブリデーションのための適切な厳密条件は、当業者によって容易に決定することができる〔例えば、Sambrook(サムブルック)等の(1989) Molecular cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed, Cold Spring Harbor, N.Y.; Current Protocols in Molecular Biology, (1999) Ausubel(オースベル) F. M.等編、John Wiley & Sons, Inc., N.Y.参照〕。
【0088】
更なる具体例では、本発明は、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物(complement)のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;前記ポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0089】
更なる具体例では、本発明は、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;前記ポリペプチドが配列番号2を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0090】
更なる具体例では、本発明は、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;前記ポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドからの少なくとも10個の近接するアミノ酸残基を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0091】
更なる具体例では、本発明は、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;前記ポリペプチドが配列番号2を含むポリペプチドからの少なくとも10個の近接するアミノ酸残基を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0092】
更なる具体例では、ポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをコード化する配列番号1に例示するものである。
【0093】
当業者によって容易に理解されるように、ポリヌクレオチドには、DNA及びRNAが包含される。
【0094】
本発明は、また、本明細書に記載したポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
【0095】
他の局面では、本発明のポリペプチドをコード化するポリヌクレオチド、又はその断片、類似物又は誘導体をDNA免疫化の方法において用いることができる。すなわち、それらは、注入により複製し及び発現することができ、それによって、インビボで抗原性のポリペプチドを生産するベクターに組み入れることができる。例えば、ポリヌクレオチドは、真核細胞中で機能するCMVプロモータの制御下に、プラスミドベクターに組み込むことができる。好ましくは、ベクターは筋肉内に注入する。
【0096】
他の局面では、前記ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを、宿主細胞中で発現させ及び発現したポリペプチドの生成物を回収することによる組換え技術によって、本発明のポリペプチドを生産する方法を提供する。
【0097】
代わりに、ポリペプチドは、確立された合成化学技術、すなわち、リゲートし十分なポリペプチドを生成するオリゴペプチドの溶液相又は固相の合成(ブロックリゲーション)に従って生産することができる。
【0098】
ポリヌクレオチド及びポリペプチドの獲得及び評価の一般的な方法は、以下の参考文献
に記載されている:Sambrook等のMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel F.M.等による編集, John Wiley and Sons, Inc. New York;Molecular Cloning to Genetic Engineering, White(ホワイト) B. A., Humana Press, Totowa, New Jersey, 1997, 490 pages からのPCR Cloning Protocols;Protein Purification, Principles and Practices, Scopes(スコープス) R. K., Springer-Verlag, New York, 3rd Edition, 1993, 380 pages;Current Protocols in Immunology, Coligan(コーリガン) J. E.等による編集, John Wiley & Sons Inc., New York。
【0099】
本発明は、前記ポリペプチドの発現に適切な条件下に宿主細胞を培養することを含む本発明のポリペプチドの製造方法を提供する。
【0100】
組換え生産のために、宿主細胞を、本発明のポリペプチドをコード化するベクターでトランスフェクトし、及び次いで、プロモータの活性化、形質転換体の選定又は遺伝子の増幅に適切なように修飾した栄養培地中で培養する。適切なベクターは、選定された宿主において生存可能で及び複製可能であり、及び染色体性の、非染色体性の及び合成のDNA配列、例えば、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミド及びファージDNAの組合せから導かれるベクターを包含するものである。ポリペプチド配列は、ベクター中で、適切な部位に、プロモータ、リボゾーム結合部位(コンセンサス領域又はシャイン−ダルガルノの配列)、及び随意にオペレータ(調節要素)を含む発現制御領域にそれが操作可能に連結するように制限酵素を用いて組み込むことができる。所定の宿主及びベクターにとって適切な発現制御領域の個々の成分は、確立された分子生物学の原理に従って選定することができる(Sambrook等のMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel F.M.等による編集, John Wiley and Sons, Inc. New York参照)。適切なプロモータには、これに限定されないが、LTR又はSV40プロモータ、E. coliのlac, tac又はtrpプロモータ及びファージラムダPLプロモータが包含される。好ましくは、ベクターは、複製起点並びに選択マーカ、すなわち、アンピシリン耐性遺伝子を組み込む。適切な細菌ベクターには、pET, pQE70, pQE60, pQE-9, pD10ファージスクリプト(phagescript), psiX174, pブルースクリプト(pbluescript) SK, pbsks, pNH8A, pNH16a, pNH18A, pNH46A, ptrc99a, pKK223-3, pKK233-3, pDR540, pRIT5及び真核生物のベクターpBlueBacIII, pWLNEO, pSV2CAT, pOG44, pXT1, pSG, pSVK3, pBPV, pMSG及びpSVLが包含される。宿主細胞は、細菌、すなわち、E. coli, 枯草菌(Bacillus subtilis), ストレプトマイセス(Streptomyces); 真菌、すなわち、クロカビ(Aspergillus niger), アスペルギルス・ニドリンス(Aspergillus nidulins);酵母、すなわち、酵母菌属(Saccharomyces)又は真核生物、すなわち、CHO、COSでよい。
【0101】
培養中のポリペプチドの発現の際、細胞を代表的に、遠心分離によって、その後の物理的又は化学的手段により分離させて(発現したポリペプチドが培地中に分泌されない場合)収集し、得られる粗抽出物を保持し対象のポリペプチドを単離する。培養培地又は可溶化液からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの特性に基づく確立された技術、すなわち、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水的相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィを用いることによって達成することができる。最終的な精製はHPLCを用いて達成することができる。
【0102】
ポリペプチドはリーダ配列又は分泌配列を有するか又は有しないで発現させることができる。前者の場合、リーダは、翻訳後の処理(米国特許第4,431,739号;米国特許第4,425,437号;及び米国特許第4,338,397号明細書参照)を用いて除去するか、又は発現したポリペプチドの精製に次いで化学的に除去することができる。
【0103】
更なる局面によれば、本発明の連鎖球菌のポリペプチドを、連鎖球菌感染、特にグループB連鎖球菌感染についての診断上の試験に用いることができる。
【0104】
種々の診断上の方法が可能であり、例えば、生物学的試料中の連鎖球菌の生物体の検出は、次の方法:
(a)宿主から生物学的試料を得ること;
(b)本発明の連鎖球菌のポリペプチドと反応する抗体又はその断片を生物学的試料と共にインキュベートし混合物を形成すること;及び
(c)連鎖球菌の存在を示す混合物中の特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出すること
によることができる。
【0105】
代わりに、連鎖球菌の抗原に特異的な抗体を含有するか、又は含有する疑いのある生物学的試料中の前記抗体を検出するための方法は、次の:
(a)宿主から生物学的試料を得ること;
(b)本発明の1種又はそれより多い連鎖球菌のポリペプチド又はその断片を生物学的試料と共にインキュベートし混合物を形成すること;及び
(c)連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す混合物中の特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出すること
のように行うことができる。
【0106】
当業者は、この診断上の試験が、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ又はラテックス凝集アッセイのような免疫学的試験を含む種々の形態を採用し、本質的にタンパク質に特異的な抗体が生物体中に存在するかどうかを決定することができることを理解する。
【0107】
本発明のポリペプチドをコード化するDNA配列は、また、連鎖球菌を含む疑いのある生物学的試料中のかかる細菌の存在の検出において用いるDNAプローブを設計するのに用いることができる。この発明の検出方法は:
(a)宿主から生物学的試料を得ること;
(b)本発明のポリペプチド又はその断片をコード化するDNA配列を有する1種又はそれより多いDNAプローブを生物学的試料と共にインキュベートし混合物を形成すること;及び
(c)連鎖球菌の細菌の存在を示す混合物中の特異的に結合したDNAプローブを検出すること
を含む。
【0108】
本発明にかかるDNAプローブは、また、循環する(circulating)連鎖球菌、すなわち、試料中のグループB連鎖球菌の核酸を検出するために、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用い、連鎖球菌感染を診断する方法と同様に用いることができる。プローブは通常の技術を用いて合成することができ、及び固相上に固定化することができるか、又は検出可能なラベルで標識化する(label)ことができる。本出願のための好適なDNAプローブは、本発明のグループB連鎖球菌ポリペプチドの少なくとも約6個の近接するヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマである。更なる具体例において、好ましいDNAプローブは、本発明のグループB連鎖球菌ポリペプチドの少なくとも約15個の近接するヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマである。更なる具体例では、好適なDNAプローブは、本発明のグループB連鎖球菌ポリペプチドの少なくとも約30個の近接するヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマである。更なる具体例で、好適なDNAプローブは、本発明のグループB連鎖球菌ポリペプチドの少なくとも約50個の近接するヌクレオチドに相補的な配列を有するオリゴマである。
【0109】
宿主における連鎖球菌の検出のための他の診断上の方法は:
(a)本発明のポリペプチド又はその断片と反応する抗体を検出可能なラベルで標識付けること;
(b)標識付けた抗体又は標識付けた断片を宿主に投与すること;及び
(c)連鎖球菌の存在を示す宿主中の特異的に結合した標識付けた抗体又は標識付けた断片を検出すること
を含む。
【0110】
本発明の更なる局面は、本発明の連鎖球菌ポリペプチドを、連鎖球菌感染の診断及び特にその処置用の特異的抗体の生産のための免疫原として使用することである。適切な抗体は、適したスクリーニング方法を用いて、例えば、試験モデルにおいて連鎖球菌感染に対して受動的に保護するための特定の抗体の能力を測定することによって決定することができる。1例の動物モデルは本明細書の例に記載するマウスモデルである。抗体は、抗体全体又はその抗原−結合断片でよく、及び任意の免疫グロブリンクラスに属することができる。抗体又は断片は、動物起源、特に哺乳類起源、及びより一層特にはマウス、ラット又はヒト起源でよい。それは、天然抗体又はその断片でよく、又は必要ならば、組換え抗体又は抗体断片でよい。組換え抗体又は抗体断片の用語は、分子生物学の技術を用いて生産された抗体又は断片を意味する。抗体又は抗体断片は、ポリクローナルでよく、又は好ましくはモノクローナルでよい。それは、グループB連鎖球菌のポリペプチドに関連する多数のエピトープに特異的であることができるが、好ましくは1種について特異的である。
【0111】
1局面によれば、本発明は連鎖球菌感染の処置及び/又は予防のための抗体の使用を提供する。
【0112】
本発明の更なる局面は、本発明のポリペプチドに指向する受動的免疫法のための抗体の使用である。本出願に記載した抗体を用いることができる。
【0113】
本発明の更なる局面は免疫化のための方法であり、これによって、本発明のポリペプチドによって生じる抗体が受動的な免疫化を提供するのに十分な量で宿主に投与される。
【0114】
更なる具体例において、本発明は、連鎖球菌感染の予防的な処置又は治療的な処置のための薬の製造において、本発明の薬学組成物の使用を提供する。
【0115】
更なる具体例において、本発明は、本発明のポリペプチドを含む、連鎖球菌の感染の検出又は診断のためのキットを提供する。
【0116】
他に定めがない限り、本明細書で用いるすべての技術的及び科学的用語は本発明の属する技術の当業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に言及するすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参考としてそのすべてを組み入れる。不一致の場合、本明細書が、定義を含め、制御する。加えて、物質、方法、及び例は説明のためのものに過ぎず、及び制限することを意図しない。
【実施例】
【0117】
例1
この例はグループB連鎖球菌BVH-A5遺伝子の同定を例示する。
染色体DNAを異なるグループB連鎖球菌株から前述のように分離した〔Jayarao(ジャヤラオ), BM等、1991. J. Clin. Microbiol. 29:2774-2778〕。λZAP発現ゲノムライブラリを血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS954〔National Center for Streptococcus, Provincial Laboratory of Public Health for Northern Alberta(北アルバータ), Edmonton(エドモントン), カナダ国〕からの精製した染色体DNAを用いて構築し、及び製造者〔Stratagene(ストラタジーン社), La Jolla(ラホーヤ), CA(カリフォルニア州)〕の指示に従ってヒト正常血清のプールを用いてスクリーニングした。簡潔には、精製した染色体DNAをtsp509I制限酵素で部分的に消化し、及び得られる断片を1%アガロースゲル〔Bio-Rad(バイオラド社)〕上で電気泳動させた。5-〜10-kbの大きさの範囲の断片をゲルから抽出し、及びλZAP発現ベクターのEcoRIアームにリゲートし、及びベクターをGigapack(ギガパック)IIパッケージング抽出(Stratagene社)を用いてキャプシド形成させた。組換えファージを用いE. coli XL1-Blue MRF’[Δ(mcrA)183Δ(mcrCB-hsdSMR-mrr)173 endA1 supE44 thi-1 recA1 gyrA96 relA1 lac (F’ proAB lacIqZΔM15 Tn10 [TetR])]に感染し、次いでそれをLB寒天上で平板培養した。得られるプラークを、10mMのイソプロピル−β−d−チオガラクトピラノシド〔IPTG: ICN Biomedicals Inc.(ICNバイオメディカル社), Costa Mesa(コスタメサ), CA〕を予め含浸させたHybond-Cニトロセルロース膜〔Amersham Pharmacia Biotech(アマシャムファルマシアバイオテク社), Baie d’Urfe(ベーダーフェ), Quebec(ケベック州),カナダ国〕上に持ち上げた。膜を3%の脱脂乳と共にリン酸緩衝食塩水 (PBS)を用いてブロックし、及び順次にヒト血清のプール、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗−ヒト免疫グロブリン抗血清〔Jackson Immunoresearch Laboratories Inc.(ジャクソンイムノリサーチラボラトリ社), West Grove(西グローブ), PA(ペンシルベニア州)〕及び基板を用いてインキュベートした。陽性プラークを単離し、及び2回精製した。挿入断片(insert)を、陽性ファージDNAから次のオリゴヌクレオチドプライマ: T3pBK (5’-AATTAACCCTCACTAAAGGG-3’) (配列番号:11)及びT7pBK (5’-GTAATACGACTCACTATAGGGC-3’) (配列番号:12)を用いてPCR〔DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR system 2400 Perkin Elmer(パーキンエルマー), San Jose(サンノゼ), CA〕によって増幅させた。PCR生成物を、QIAgen (キュアイアゲン社)〔Chatsworth(チャッツワース), CA〕からのQIAクイックゲル抽出キットを製造者の指示に従って用いて、アガロースゲルから精製した。PCR生成物の配列は、TAQ Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing KitをApplied Biosystems Inc.(アプライドバイオシステム社)〔Foster City(フォスターシティ), CA〕の自動化配列決定装置モデル373Aと共に製造者の推奨事項に従って用いて決定した。配列分析は、シグナルペプチドを有するポリペプチドをコードするORFの存在を明らかにした。このポリペプチドを次いでBVH-A5として確認した。
【0118】
例2
この例はグループB連鎖球菌BVH-A5遺伝子のクローニングを例示する。
グループB連鎖球菌BVH-A5遺伝子(配列番号:1)の、リーダペプチドをコードする領域を含まないコード領域を、PCR (DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR system 2400 Perkin Elmer)によって、血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS954から、追加の制限部位NcoI(CCATGG) 及びXhoI(CTCGAG)のための塩基伸長(base extension)を含むオリゴヌクレオチドプライマを用いて増幅させた。オリゴヌクレオチドプライマ(表1)のDMAR577及びDMAR747を用いてBVH-A5遺伝子を増幅した。PCR生成物をアガロースゲルから、QIAgenからのQIAクイックゲル抽出キットを製造者の指示に従い用いて精製し、及びNcoI 及びXhoI(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて消化した。pET-21d(+) ベクター〔Novagen(ノバゲン社), Madison(マディソン), WI(ウィスコンシン州)〕をNcoI及びXhoIで消化し、及びアガロースゲルから、QIAgenからのQIAクイックゲル抽出キットを用いて精製した。NcoI-XhoI PCR生成物をNcoI-XhoI pET-21d(+)発現ベクターにリゲートした。リゲート生成物を、E. coli株STBL2 [F- mcrA Δ(mcrBC-hsdRMS-mrr) recA1 endA1 lon gyrA96 thi-1 supE44 relA1 λ-Δ(lac-proAB)] 〔Gibco BRL(ギブコBRL社), Gaithersburg(ゲイサーズバーグ), MD(メリーランド州)〕に製造者の推奨事項に従って転換させた。BVH-A5遺伝子を含む組換えpET-21d(+)プラスミド(rpET21d(+))を、QIAgenプラスミドキットを用いて精製し、及びDNA挿入断片を配列決定した〔Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit, ABI(アプライドバイオシステムズ社), Foster City, CA〕。
【0119】
BVH-A5遺伝子(配列番号:1)をコードする読み取り枠(ORF)が、4740-bpを含み、及び予測された6.69のpI及び予測された173,249.19 Daの分子量を有する1579個のアミノ酸残基のポリペプチドをコード化することが決定された。Spscan software(スプスキャンソフトウェア)(Wisconsin Sequence Analysis Package; Genetics Computer Group)を用いる予測されたアミノ酸残基配列(配列番号:2)の分析は、43個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MLQEKEIFMNTKQRFSIRKYKLGAVSVLLGTLFFLGGITNVAA)(配列番号:2, aa1-43)の存在を示し、それは最後にアラニン残基とアスパラギン酸との間に位置する切断部位が付いている。アミノ酸残基配列の分析は、残基454と456との間に位置付けられた細胞接着配列(cell attachment sequence, RGD)、及び残基1544と1548との間に位置付けられた細胞壁固着モチーフ(cell wall anchoring motif, LPXTG)の存在を明らかにした。BVH-A5(配列番号:2)のアミノ酸配列と入手可能なデータバンクにおいてまとめられた配列との比較は、サーモフィルス菌(Streptococcus thermophilus)の細胞膜(cell envelope)プロテイナーゼ〔GeneBank(ジーンバンク)受入番号:AF243528:Fernandez-Espla(フェルナンデス−エスプラ), MD.等、2000. Appl. Environ. Microbiol. 66:4772-4778〕と49%の同一性を明らかにした。
【0120】
【表1】

【0121】
例3
この例は他のグループB株からのグループB連鎖球菌BVH-A5遺伝子のPCR増幅を説明する。
BVH-A5(配列番号:1)遺伝子のPCR増幅による存在の確認のために、次の11種の血清学的に異なるグループB連鎖球菌株を用いた: C388/90 (血清型Ia/c), ATCC12401 (血清型Ib), ATCC27591 (血清型Ic), NCS246 (血清型II/R), NCS954 (血清型III/R), NCS97SR331 (血清型IV), NCS535 (血清型V), NCS9842 (血清型VI), NCS7271 (血清型VII), NCS970886 (血清型VIII), 及びATCC27956〔ウシから単離 (bovine isolate)〕。これらの株はThe American Type Culture Collection (アメリカンタイプカルチャーコレクション)〔Rockville(ロックビル),MD, 米国〕及びNational Center for Streptococcus, Provincial Laboratory of Public Health for Northern Alberta (Edmonton, Alberta, カナダ国)から得た。E. coli株XL1-Blue MRF'をこれらの実験にネガティブコントロールとして用いた。染色体DNAを、前述したように(Jayarao, BM 等の1991年J. Clin. Microbiol. 29:2774-2778)、各グループB連鎖球菌株から単離した。BVH-A5(配列番号:1)遺伝子を、11種のグループB連鎖球菌株、及びコントロールのE. coli株から表1に示す次のオリゴヌクレオチド: DMAR577及びDMAR747を用いて精製したゲノムDNAからのPCR (DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR system 2400 Perkin Elmer)によって増幅した。PCRを、94℃で30秒、55℃で30秒及び68℃で210秒の35回のサイクル及び68℃で10分の最後の伸長期間(elongation period)で実行した。PCR生成物を1%アガロースゲルにおいて大きさで分画し、及び臭化エチジウム染色により視覚化した。これらのPCR増幅の結果を表2に表す。増幅生成物は、BVH-A5(配列番号:1)遺伝子が試験したすべての11種のグループB連鎖球菌株のゲノム中に存在することを明らかにした。コントロールE. coliのDNAを、これらのオリゴヌクレオチドプライマを用いて同じPCR増幅にかけた場合、かかる生成物は検出されなかった。
【0122】
【表2】

【0123】
例4
この例は、グループB連鎖球菌BVH-A5遺伝子のCMVプラスミドpCMV-GHにおけるクローニングを例示する。
リーダペプチドを有しない、グループB連鎖球菌BVH-A5(配列番号:1)のDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV-GH〔Tang(タン)等, Nature, 1992, 356:152〕においてサイトメガロウイルス(CMV)プロモータの転写調節下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流の相(phase downstream)に挿入した。CMVプロモータは、E. coli細胞中で非機能性のプラスミドであるが、真核細胞中へのプラスミドの投与により活性になる。また、ベクターはアンピシリン耐性遺伝子を取り込む。
【0124】
BVH-A5(配列番号:1)遺伝子のコード領域で、そのリーダペプチド領域を有しないものを、PCR (DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR system 2400 Perkin Elmer)によって血清型IIIのグループB連鎖球菌株NCS 954のゲノムDNAから、制限酵素認識部位BamHI (GGATCC)及びSalI (GTCGAC)の付加のための塩基伸長を含むオリゴヌクレオチドプライマを用いて増幅した。オリゴヌクレオチドプライマDMAR748及びDMAR749を用い、BVH-A5(配列番号:1)の遺伝子を増幅した。PCR生成物をQIAgenからのQIAクイックゲル抽出キットを用いてアガロースゲルから精製し、及び制限酵素(Amersham Pharmacia Biotech)で消化した。pCMV-GHベクター〔Dr. Stephen(シュテファン) A. Johnston(ジョンストン)の研究室, Department of Biochemistry, The University of Texas, Dallas(ダラス), Texas(テキサス州)〕をBamHI及びSalIで消化し、及びQIAgenからのQIAクイックゲル抽出キットを用いてアガロースゲルから精製した。BamHI-SalI DNA断片をBamHI-SalI pCMV-GH ベクターにリゲートし、CMVプロモータの制御下にhGH-BVH-A5融合タンパク質を作製した。リゲートした生成物を、E. coli株DH5α[φ80dlacZDM15Δ(lacZYA-argF)U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+) deoR thi-1 supE44λ-gyrA96 relA1] (Gibco BRL)中に、Simanis(シマニス)の方法〔Hanahan(ハナハン), D. DNA Cloning, 1985, D.M. Glover(グラバー)(編), pp. 109-135〕に従って形質転換させた。組換えpCMVプラスミドをQIAgenのプラスキドキットを用いて精製し、及びDNA挿入断片のヌクレオチド配列をDNA配列決定によって確認した。
【0125】
例5
この例は、グループB連鎖球菌BVH-A5ポリペプチド抗原に対する免疫反応を誘発するためのDNAの使用を例示する。
8匹のメスのBALB/cマウス〔Charles River(チャールズリバー), St-Constant(セントコンスタント), Quebec, カナダ国〕の群を、50μgの顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)−発現プラスミドpCMV-GH-GM-CSFの存在下のBVH-A5(配列番号:1)遺伝子をコード化する50μgの組換えpCMV-GH (Laboratory of Dr. Stephen A. Johnston, Department of Biochemistry, The University of Texas, Dallas, Texas)と共に2又は3週の間隔で100μLの3回の筋肉内注射によって免疫化した。コントロールとして、マウスの群に、50μgのpCMV-GH-GM-CSFの存在下の50μgのpCMV-GHを注入した。血液試料を、眼窩の洞(orbital sinus)から各免疫化に先立って及び3回目の注射後の7日に収集し、及び血清抗体応答を、精製したBVH-A5-His・Tag組換えポリペプチドを被覆抗原として用いるELISAによって決定した。
【0126】
例6
この例は、組換えグループB連鎖球菌BVH-A5ポリペプチドの生産及び精製を例示する。
配列番号:1に相当するBVH-A5遺伝子を有する組換えpET-21d(+)プラスミドを用い、E. coli株BL21(DE3)(F-ompT hsdSB (r-Bm-B) gal dcm (DE3)) (Novagen, Madison, WI)をエレクトロポレーション(Gene Pulser II apparatus, BIO-RAD Labs, Mississauga, Ontario, カナダ国)によって形質転換した。このE. coli株において、組換えポリペプチドの発現を制御するT7プロモータはT7 RNAポリメラーゼ(lDE3プロファージ上に存在)によって特異的に認識され、その遺伝子はIPTGによって誘導可能なlacプロモータの制御下にある。形質転換体BL21(DE3)/rpET21を、37℃において250rpmで撹拌しながら、1mL当たり100 μgのカルベニシリン〔Sigma-Aldrich(シグマ−アルドリッチ) Canada Ltd., Oakville, Ontario, カナダ国〕を含有するLBブロス(ペプトン10g/L, 酵母抽出物5g/L, NaCl 10g/L)中で、A600が0.6の値に達するまで増殖させた。グループB連鎖球菌BVH-A5-His・Tag組換えポリペプチドの生産を誘導するため、細胞を追加の3時間、1mMの終濃度のIPTGの存在下にインキュベートした。500mLの培養物から誘導された細胞を遠心分離によってペレット化し、及び-70℃で凍らせた。
【0127】
IPTG-誘導BL21(DE3)/rpET21d(+)の可溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドの精製を、His結合(His・Bind)金属キレート樹脂上に固定化された2価の陽イオン(Ni2+)に結合させるためのHis・Tag配列(6個の連続したヒスチジン残基)の特性に基づくアフィニティクロマトグラフィによって行った。簡潔には、IPTGで誘導した500mLの培養物から得たペレット化細胞を、1mM PMSFを含有する溶解緩衝液(20 mM Tris, 500 mM NaCl, 10 mM イミダゾール, pH 7.9)中に再懸濁させ、超音波処理し、及び12,000×gで20分遠心分離して、細片を除いた。上清をNi-NTAアガロースカラム(QIAgen)上に堆積させた。グループB連鎖球菌BVH-A5-His・Tag組換えポリペプチドを250mMイミダゾール-500mM NaCl-20mMトリスpH 7.9で溶出させた。塩及びイミダゾールの試料からの除去は、PBSに対する4℃での透析によって行った。E. coliの可溶性画分から得られる組換えポリペプチドの量をMicroBCA 〔Pierce(ピアス社), Rockford(ロックフォード), Illinois(イリノイ州)〕によって評価した。
【0128】
例7
この例は、BVH-A5のHis-標識(tagged)GBS組換えポリペプチドのヒト血清及びGBS抗原性調製物(antigenic preparation)で免疫化した後のマウスから収集した血清との反応性を例示する。
表3に示すように、BVH-A5 His-標識組換えポリペプチドは正常ヒト血清のプール中に存在する抗体によって免疫ブロットにおいて認識された。これは、普通にGBSに接触したヒトがそのポリペプチドに特異的な抗体を発生させることを明確に示すもので重要な結果である。これらの特定のヒト抗体は、GBS感染に対する保護に関与している。加えて、免疫ブロットは、また、マウスモデルにおいて有意な保護を誘導する外面ポリペプチドの豊富なGBS抗原性調製物で免疫化されたマウスから収集した血清も、また、BVH-A5 His-標識組換えポリペプチドを認識する抗体を発生させることを明らかにした。これらの結果は、このポリペプチドが、マウスを感染に対して保護し、及びそれが相当するBVH-A5 His-標識組換えポリペプチドと反応する抗体を誘導するGBS抗原性調製物中に存在することを示す。
【0129】
【表3】

1例6に記載したように生産し及び精製したHis-標識組換えポリペプチドを用いて免疫ブロッティングを行った。
2ヒトから収集した血清を一緒にプールし及び1/500に希釈して免疫ブロッティングを行った。
3外面タンパク質の豊富なGBS抗原性調製物での免疫化後に収集したマウス血清をプールし及び1/500に希釈して免疫ブロッティングを行った。これらのマウスは致命的なGBS負荷(challenge)に対して保護された。
【0130】
例8
この例は、切断された(truncated)BVH-A5遺伝子生成物のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるクローニング及び切断されたBVH-A5分子の発現を説明する。
遺伝子断片を、PCR(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR system 2400 Perkin Elmer)によって、血清型IIIグループB連鎖球菌株NCS 954のゲノムDNAから、表1に示すオリゴヌクレオチドプライマを用いて増幅させた。切断されたBVH-A5遺伝子生成物を発現ベクター中にクローニングし、及び配列決定する方法は、例2に説明した方法と同様である。組換えポリペプチドを、超音波処理したIPTG-誘導E. coli培養物の遠心分離後に得た上清画分から、例6で説明したようにHis-結合金属キレート樹脂(QIAgen)を用いて精製した。生じた遺伝子生成物を表4に記載する。
【0131】
【表4】

【0132】
例9
この例は、マウスの組換え切断BVH-A5ポリペプチドを用いる免疫化によって誘導された、致命的なグループB連鎖球菌感染に対する保護を例示する。
メスのCD-1マウス(Charles River)の群を、10μgのQuilAアジュバント〔Cedarlane Laboratories Ltd(セダーレーンラボラトリーズ社), Hornby, Ontario, カナダ国〕の存在下の切断されたBVH-A5-1-His・Tagポリペプチドの20μgを用い、2週の間隔で3回の皮下での免疫化を行った。コントロールマウスには、PBS中のQuilAアジュバントのみを用いて注入した。血液試料を、眼窩の洞から、各免疫化に先立って1日、14日、及び28日及び3回目の注入後の14日(42日)に収集した。1週間後、マウスに致死的な投与量のGBS株を負荷した。グループB連鎖球菌の負荷接種の試料を、血液寒天培地プレート上で平板培養し、CFUを決定し及び負荷投与量を確かめた。死亡を7日の時期に記録した。生存のデータを表5に示す。BVH-A5-1及びBVH-A5-2組変えポリペプチドのいずれかで免疫化したマウスの74%より多くがGBS株C388/90 (Ia/c)での負荷に対して保護された。同様の保護は、NCS 251 (II)及びNCS 535 (V)での致死的な負荷に対して得られた。これに対し、BVH-A5-3でのマウスの免疫化はGBS株C388/90 (Ia/c)での負荷に対してかかる保護を与えなかった。BVH-A5-1及びBVH-A5-2で免疫化した群について決定された生存率は、フィッシャーの直接確率検定によってコントロール群と統計的に異なることが示された。
【0133】
【表5】

1生存の数は負荷後7日について評価した。マウスを皮下において20μgの精製組換えポリペプチド又はアジュバントのみで3回免疫化した。免疫化後、マウスに致死的な投与量のGBS株を腹腔内で負荷させた。
2フィッシャーの直接確率検定はコントロール群に対して決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたポリヌクレオチドであって:
(a)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有し;
(b)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有し;
(c)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含み;
(d)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得;
(e)ポリペプチドのエピトープ関連部分をコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含み;
(f)配列番号1又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリヌクレオチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)中のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選ばれるポリヌクレオチドを含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項2】
分離されたポリヌクレオチドであって:
(a)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有し;
(b)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有し;
(c)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含み;
(d)ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得;
(e)ポリペプチドのエピトープ関連部分をコード化するポリヌクレオチドであって、そのポリペプチドが配列番号2から選ばれる配列を含み;
(f)配列番号1から選ばれる配列を含むポリヌクレオチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)中のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選ばれるポリヌクレオチドを含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドがDNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチドがDNAである請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドがRNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記ポリヌクレオチドがRNAである請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
分離されたポリヌクレオチドであって、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;
前記ポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1記載のポリヌクレオチドであって、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;
前記ポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項2記載のポリヌクレオチドであって、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;
前記ポリペプチドが配列番号2を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項1記載のポリヌクレオチドであって、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;
前記ポリペプチドが配列番号2又はその断片又は類似物を含むポリペプチドからの少なくとも10個の近接するアミノ酸残基を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項2記載のポリヌクレオチドであって、
(a)ポリペプチドをコード化するDNA配列又は
(b)ポリペプチドをコード化するDNA配列の相補物のいずれかに、
厳密な条件下でハイブリダイズし;
前記ポリペプチドが配列番号2を含むポリペプチドからの少なくとも10個の近接するアミノ酸残基を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項12】
ベクターであって、請求項1記載のポリヌクレオチドを含み、前記DNAが発現調節領域に操作可能に連結していることを特徴とするベクター。
【請求項13】
ベクターであって、請求項2記載のポリヌクレオチドを含み、前記DNAが発現調節領域に操作可能に連結していることを特徴とするベクター。
【請求項14】
宿主細胞であって、請求項12記載のベクターでトランスフェクトされていることを特徴とする宿主細胞。
【請求項15】
宿主細胞であって、請求項13記載のベクターでトランスフェクトされていることを特徴とする宿主細胞。
【請求項16】
ポリペプチドの製造方法であって、請求項14記載の宿主細胞を前記ポリペプチドの発現に適切な条件下で培養することを含むことを特徴とするポリペプチドの製造方法。
【請求項17】
ポリペプチドの製造方法であって、請求項15記載の宿主細胞を前記ポリペプチドの発現に適切な条件下で培養することを含むことを特徴とするポリペプチドの製造方法。
【請求項18】
分離されたポリペプチドであって:
(a)配列番号2又はその断片又は類似物を含むアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号2又はその断片又は類似物を含むアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリペプチド;
(d)配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得るポリペプチド;
(e)配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を含むポリペプチドのエピトープ関連部分;
(f)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであってN末端メチオニン残基が欠失しているポリペプチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであって分泌性のアミノ酸配列が欠失しているポリペプチド
から選ばれるポリペプチドを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項19】
分離されたポリペプチドであって:
(a)配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド;
(b)配列番号2を含む第2のポリペプチドと少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド;
(c)配列番号2を含むポリペプチド;
(d)配列番号2を含むポリペプチドのための結合特異性を有する抗体を生じさせ得るポリペプチド;
(e)配列番号2を含むポリペプチドのエピトープ関連部分;
(f)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであってN末端メチオニン残基が欠失しているポリペプチド;
(g)(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチドであって分泌性のアミノ酸配列が欠失しているポリペプチド
から選ばれるポリペプチドを含むことを特徴とするポリペプチド。
【請求項20】
キメラポリペプチドであって、配列番号2又はその断片又は類似物から選ばれる配列を有する2種又はそれより多いポリペプチドを含み;ポリペプチドがキメラのポリペプチドを形成するように連結するのを条件とすることを特徴とするキメラポリペプチド。
【請求項21】
キメラポリペプチドであって、配列番号2から選ばれる配列を有する2種又はそれより多いポリペプチドを含み;ポリペプチドがキメラのポリペプチドを形成するように連結するのを条件とすることを特徴とするキメラポリペプチド。
【請求項22】
薬学組成物であって、請求項18〜21のいずれか一項記載のポリペプチド及び薬学上許容できる担体、希釈剤又は補助剤を含有することを特徴とする薬学組成物。
【請求項23】
グループB連鎖球菌(GBS)の感染を受け易い宿主におけるGBS感染の予防的な処置又は治療的な処置のための方法であって、前記宿主に、請求項22記載の組成物の予防的な量又は治療的な量の投与を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
宿主が新生仔又は幼児である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記感染が、敗血症、髄膜炎、肺炎、蜂窩織炎、骨髄炎、敗血症性関節炎、心内膜炎又は喉頭蓋を生じさせる請求項24記載の方法。
【請求項26】
宿主が妊婦である請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記感染が、軽度の尿路感染に、骨髄炎、心内膜炎、羊膜炎、子宮内膜炎、創傷感染、蜂窩織炎又は筋膜炎をも含む重篤な敗血症及び髄膜炎をもたらす請求項26記載の方法。
【請求項28】
宿主が非妊娠成体である請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記感染が、一次菌血症、皮膚又は軟部組織感染、肺炎、尿性敗血症、心内膜炎、腹膜炎、髄膜炎又は膿症を生じさせる請求項28記載の方法。
【請求項30】
宿主が酪農用家畜の群れの一員である請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記感染が乳腺炎を生じさせる請求項30記載の方法。
【請求項32】
GBS感染を受け易い宿主におけるGBS感染の診断のための方法であって、
(a)宿主から生物学的試料を得ること;
(b)請求項18〜21のいずれか一項記載のポリペプチドと反応する抗体又はその断片を生物学的試料と共にインキュベートし混合物を形成すること;及び
(c)連鎖球菌の存在を示す混合物中の特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
GBS感染を受け易い宿主におけるGBS感染の診断のための方法であって、
(a)宿主から生物学的試料を得ること;
(b)請求項18〜21のいずれか一項記載の1種又はそれより多いポリペプチド又はその断片を生物学的試料と共にインキュベートし混合物を形成すること;及び
(c)連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す混合物中の特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
薬学組成物の使用であって、請求項22記載の薬学組成物を連鎖球菌感染の予防的な処置又は治療的な処置のための薬の製造に用いることを特徴とする薬学組成物の使用。
【請求項35】
ポリペプチドを含むキットであって、連鎖球菌感染の検出又は診断のための請求項18〜21のいずれか一項記載のポリペプチドを含むことを特徴とするキット。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−240316(P2009−240316A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139587(P2009−139587)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【分割の表示】特願2003−510808(P2003−510808)の分割
【原出願日】平成14年7月5日(2002.7.5)
【出願人】(505113687)アイディー バイオメディカル コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】