説明

グレーチングと、その製造方法

【課題】並行するベアリングバーと、該ベアリングバーより小断面をなしてベアリングバー間に配置される部材と、該部材及びベアリングバーに直交して配置され、これら部材及びベアリングバーに電気抵抗溶接により均一に溶着されるツイストバーよりなるグレーチングを提供する。
【解決手段】断面I形をなすベアリングバー1を並行に並べ、ツイストバー2をベアリングバー1と直交して配置して電気抵抗溶接により溶着してなるグレーチングにおいて、ベアリングバー1間に該ベアリングバー1より小断面の部材3を交互に配置し、部材3の上端面をベアリングバー1の上端面より若干下げてツイストバー1を該部材3とベアリングバー1に融着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば溝蓋や桝蓋等に使用されるグレーチングと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グレーチングは一般に、I型鋼よりなるベアリングバーと、適当間隔で並べたベアリングバー両端の各端部を連結するエンドプレートと、エンドプレート間のベアリングバーを該ベアリングバーと直交して連結するツイストバーよりなり、該ツイストバーの連結は溶接にて行われている。
【0003】
この種のグレーチングとして、ベアリングバー間の間隔を狭めた細目グレーチングが知られる。この細目グレーチングは杖やハイヒールが落ち込みにくく歩行性がよいが、反面ゴミが詰まり易く不衛生であり、またゴミが詰まると、集水能力が低下すること、重量が増すこと等の問題があった。細目グレーチングにおけるこの問題を解消するためにベアリングバー間に該ベアリングバーにより細巾の細目板を介在させた細目グレーチングが種々提案されている(特許文献1〜3)。提案されたこの細目グレーチングは従来の細目グレーチングに比べ、ゴミがグレーチング下部に引っ掛ることなく通り抜け易くなり、ゴミ詰まりが生じにくくなって、重量を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭55−51915号
【特許文献2】特開平10−96257号
【特許文献3】特開2003−227169号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベアリングバー間に細目板を介在させた既知の細目用グレーチングは、いずれもベアリングバーと細目板の上端面が面一に揃えられており、これにツイストバーを電気抵抗溶接する場合、断面の異なるベアリングバーと細目板では温度や電圧の差を生じ、溶接条件をベアリングバーに合わせると、小断面の細目板では焼け過ぎて細目板が溶融し易くなる一方、逆に溶接条件を細目板に合わせると、ベアリングバーと溶着し難くなる。
【0006】
本発明は、並行するベアリングバーと、該ベアリングバーより小断面をなしてベアリングバー間に配置される部材と、該部材及びベアリングバーに直交して配置され、これら部材及びベアリングバーに電気抵抗溶接により均一に溶着されるツイストバーよりなるグレーイングと、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係わる発明は、並行するベアリングバーと、該ベアリングバーより小断面をなしてベアリングバー間に配置される部材と、該部材及びベアリングバーに直交して配置され、これら部材及びベアリングバーに電気抵抗溶接により溶着されるツイストバーよりなるグレーチングにおいて、前記部材は上端面がベアリングバーの上端面より下がって段差をなすことを特徴とし、
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる亜Hツ名のグレーチングの製造方法に関するもので、ベアリングバーと、該ベアリングバー間に配置され、該ベアリングバーより小断面をなす部材を並行に並べ、その上にツイストバーを直交して配置して前記ベアリングバーと部材に電気抵抗溶接するグレーチングの製造方法において、前記部材の上端面をベアリングバーの上端面より下げた状態でツイストバーの電気抵抗を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係わる発明のグレーチングによると、ツイストバーをベアリングバーと接触させ、部材とは僅かな隙間を存して配置した状態で電気抵抗溶接することにより両者共に均一に溶着してツイストバーとベアリングバー及び部材が均一な溶着強度を有するようになること、ベアリングバーと部材は上面に僅かではあっても段差を生じて引っ掛りを生じ易くなり、歩行時や車両の走行時に滑り難くなること、ゴミが通り抜け易くなってグレーチングを清潔に維持できること、部材はベアリングバーより小断面で軽量であるため、ベアリングバーのみで構成され、部材を有しないグレーチングに比べ、グレーチング全体の重量が軽減されること、等の効果を奏し、
請求項2に係わる発明によると、部材の上面をベアリングバー上面より若干下げた上体でベアリングバーを配置し、電気抵抗溶接機の電極をツイストバーとベアリングバー及び部材に上下より当てて電気抵抗溶接すると、部材には電極との間に若干の隙間があることによりベアリングバーより弱い電圧が印加されるようになり、断面が小さいため印加される電圧は小さくても加熱温度はベアリングバーと同様に上昇してツイストバーとベアリングバー及び部材への均一な融着が可能となって、請求項1に係わる発明の特徴を有するグレーチングを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係わるグレーチングの要部の断面図。
【図2】本発明に係わるグレーチングの変形態様を示す要部の断面図。
【図3】電気抵抗溶接方法を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。
図1は、断面I形をなすベアリングバー1を並行に並べ、ツイストバー2をベアリングバー1と直交して配置して電気抵抗溶接により溶着してなるグレーチングにおいて、ベアリングバー1間に該ベアリングバー1より小断面の部材3を交互に配置し、部材3の上端面をベアリングバー1の上端面より若干下げてツイストバー1を該部材3とベアリングバー1に融着してなるものである。
【0011】
図2は、ベアリングバー1間に複数(図2においては一対)の部材3を配置し、ツイストバー1に融着したものである。
【0012】
前記各実施形態のグレーチングによると、ツイストバー2とベアリングバー1及び部材3を均一に融着して均一な融着強度を持たせることができること、ベアリングバー1の上面と部材3の上面には段差があるため、歩行時や車両の走行時に引っ掛りを生じて滑りにくくなること、ゴミがベアリングバー1と部材3の間より通り抜け易くなって詰まりにくくなり、グレーチングを清潔に維持できること、部材3はベアリングバー1より小断面で軽量であるため、グレーチングの重量を軽減できること、などの効果を有する。
【0013】
前記各実施形態において、図示する部材3は断面矩形となっているが、円形であっても楕円形であってもよく、また細板状であってもよい。
【0014】
図3は、図1に示すグレーチングを製造する方法について示すもので、電気抵抗溶接機の一方の電極5は凹凸をなし、凹部6には前記ベアリングバー1が、凸部7には部材3が配置され、凹部底及び凸接上面にそれぞれ接触して支持された状態でベアリングバー上端面と部材上面とには図示するように所要の段差を生じるようになっている。
【0015】
一方の電極5の凹凸部5、7にベアリングバー1と部材3を前述するように交互に設置したのち、ベアリングバー上端面上にツイストバー2をベアリングバー1と直交して配置する。ベアリングバー1に支持されるツイストバー2は部材3とは所要の隙間dを存している。
【0016】
次に他方の電極8を下げてツイストバー2に上方より当て、所要の電極を印加して電気抵抗溶接を行い、ツイストバー2とベアリングバー1及び部材3を溶着する。ツイストバー2と部材3との間には前述するように隙間dを存するため、部材3に印加される電圧はベアリングバー1に印加される電極より小さくなる。電圧は小さくなっても部材3の断面はベアリングバー1の断面より小さいため温度はベアリングバー1と同等に上昇するようになり、結果として均一な融着が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、細めグレーチングばかりでなく、通常のグレーチングにも適用かのうである。
【符号の説明】
【0018】

1・・ベアリングバー
2・・ツイストバー
3・・部材
5、8・・電極
6・・凹部
7・・凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行するベアリングバーと、該ベアリングバーより小断面をなしてベアリングバー間に配置される部材と、該部材及びベアリングバーに直交して配置され、これら部材及びベアリングバーに電気抵抗溶接により溶着されるツイストバーよりなるグレーチングにおいて、前記部材は上端面がベアリングバーの上端面より下がって段差をなすことを特徴とするグレーチング。
【請求項2】
ベアリングバーと、該ベアリングバー間に配置され、該ベアリングバーより小断面をなす部材を並行に並べ、その上にツイストバーを直交して配置して前記ベアリングバーと部材に電気抵抗溶接するグレーチングの製造方法において、前記部材の上端面をベアリングバーの上端面より下げた状態でツイストバーの電気抵抗を行うことを特徴とするグレーチングの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23976(P2013−23976A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162010(P2011−162010)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】