グレーチングの跳ね上がり防止機構
【課題】グレーチングを取り外す場合に部材を取り外す必要がなく、既設のグレーチングにも容易に後付けすることができるグレーチングの跳ね上がり防止機構を提供する
【解決手段】グレーチングに取付可能とした樋状の枠体1に設けた係止腕4を回動させてこれを躯体内壁にある係止部材と係合させてグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、枠体1の底板部2に操作軸挿通孔2aを設けておく一方、係止腕4を頭部が回動操作部とされた操作軸3の下端に取付けておき、この操作軸3を前記係止腕4が底板部2の下面に添うよう操作軸挿通孔2aに挿通してその頭部を枠体1の上部に設けた軸ガイド部10に遊挿し、また、枠体1内において操作軸3の中間部分にはこの操作軸3の中間上部に設けた留め金5と底板部2との間で圧縮されるばね6を囲装してこのばね6により操作軸3を常時上向きに弾発させてある。
【解決手段】グレーチングに取付可能とした樋状の枠体1に設けた係止腕4を回動させてこれを躯体内壁にある係止部材と係合させてグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、枠体1の底板部2に操作軸挿通孔2aを設けておく一方、係止腕4を頭部が回動操作部とされた操作軸3の下端に取付けておき、この操作軸3を前記係止腕4が底板部2の下面に添うよう操作軸挿通孔2aに挿通してその頭部を枠体1の上部に設けた軸ガイド部10に遊挿し、また、枠体1内において操作軸3の中間部分にはこの操作軸3の中間上部に設けた留め金5と底板部2との間で圧縮されるばね6を囲装してこのばね6により操作軸3を常時上向きに弾発させてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の側溝等の上面を覆うグレーチングを躯体に取付け、グレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝や排水枡等の蓋としては、水はけが良く、側溝等の内部のごみ詰まりが容易に視認でき、強度が高く、美観に優れるなどの利点があるグレーチングが多く使用されている。グレーチングは側溝等にごみが詰まったときの清掃や点検のために取り外しが容易であることが好ましく、側溝等の上面に設けられた受枠にはめ込まれて特に固定されないことが多い。ところが車輌の通行量の多いところでは、グレーチングが変形して跳ね上がることがあり、これを防止するためにグレーチングを受け枠に固定して跳ね上がりを防止する機構が設けられている。このようなグレーチングの跳ね上がりを防止するための取付け構造としては、例えば特許文献1のようなものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているのは、受枠部材の下板に立設される棒状本体と、棒状本体の上部に横側に突出する係止突部とを有する固定部材と、受板部材の下板上に載置されるベースプレートと、ベースプレートに前記固定部材を挿通する挿通部が形成された取付部とを有するグレーチングと、レンチ等によって回動される正多面体本体と、正多面体本体の中央に貫設された固定部材の棒状本体を挿通する内孔と、正多面体本体上面に形成された固定部材の係止突部と係着する係合部と、内孔に形成された固定部材の係止突部を挿通する凹溝部とを有する締付部材と、グレーチングのベースプレートと締付部材との間に配置され該締付部材を常時上方へ付勢する弾性部材とからなり、グレーチング固定時には前記固定部材の係止突部に締付部材の係合部を弾性部材により弾性係着させ、グレーチングの取り外し時には前記締付部材を弾性部材の弾性に抗して押下げ回動して該締付部材の凹溝部と前記固定部材の係止突部とを合致挿通させ弾性部材の弾性によって上方へ抜去するようにしたものである。
【0004】
この特許文献1では従来の取付け構造として図10が示され、特許文献1に係る発明は図10に示されるもののような螺着構造としないことにより螺着に伴う不利益を一挙に解決することができ、かつグレーチングをワンタッチで確実に固定しおよび取り外すことが可能な取付け構造を提案するものであるとされている。ところが、螺着構造としたもの、あるいは特許文献1に示されるものは、グレーチングを取り外すときにナットあるいは締め付け部材、弾性部材、座金等を取り外さなければならないため、これらが側溝等に落下するとか紛失するという虞があった。また受枠にボルト部材あるいは固定部材を設ける構造であることから既設のグレーチングにこのような取付け構造を後付けすることは不可能であり、交通事情の変化等により跳ね上がり防止機構が必要になった場合に対応することができないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−45376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決し、グレーチングを取り外す場合に部材を取り外す必要がなく、既設のグレーチングにも容易に後付けすることができるグレーチングの跳ね上がり防止機構を提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために完成された本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構は、グレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能とした樋状の枠体に設けられた係止腕を回動させてこれを躯体内壁に設けられた係止部材と係合させることによりグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、前記樋状枠体はその下面板に操作軸挿通孔が設けられたものとする一方、前記した係止腕は頭部が回動操作部とされた操作軸の下端に取付けられたものとしてあり、この操作軸を前記した係止腕が下面板の下面に添うように操作軸挿通孔に挿通してその頭部を樋状枠体の上部に設けた軸ガイド孔に遊挿ガイドさせ、また、前記枠体内において操作軸の中間部分には操作軸の上部に設けた留め金と下面板との間で圧縮されるばねを囲装してこのばねにより操作軸を常時上向きに弾発させてあることを特徴とするものである。なお、前記した底板部の下面の1辺両側には係止腕の自由な回動を規制する係止突起とストッパーを突設しておくことが好ましく、また、前記した軸ガイド部は、枠体の上部にあればグレーチング側にあってもよいが、枠体の上部に操作軸ガイド板を設けてこれに軸ガイド部を設けておくのが好ましく、この場合、操作軸ガイド板は樋状枠体に固着されているものとしても、操作軸ガイド板が留め金とともに上下動可能なものとしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
前記した本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構によれば、グレーチングに取付けられてグレーチングを取り外す場合に取り外される部材がないので、これらが側溝等に落下するとか紛失する虞がなく、また、ロック状態と開放状態は操作軸の回転操作により切り換えられるが操作軸は操作軸ガイド板により倒れないように支持されており、操作軸を太い強度のあるものとすることができるので切り換え操作がスムースにでき、操作腕は倒れることなく係止突起とストッパーピンにより係止されるので確実にロック状態が維持され、係止突起と係止腕の係合による操作軸の上下動によりロック状態の確認が容易にできる利点がある。さらに、グレーチングに対して切り欠くとか、窓を設けるといった加工することなく取付けることができ、係止部材も受枠が固着されている躯体にアンカーボルトによって取付けることができるので、既設のグレーチングへの後付けが容易であり、取付けた場合に強度を低下させるとか美観を損ねるということもなく、歩行に支障を生じない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら具体的に説明する。
図1、2は本発明の第1の実施の形態のグレーチングの跳ね上がり防止機構を示すもので、図1は正面図、図2は平面図であり、1はグレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能とした樋状の枠体であって、その底板部2には操作軸挿通孔2aが設けられていてこれに操作軸3が上下動および回胴自在に挿通されている。この操作軸3の頭部はドライバー、レンチ等により上方より回動操作可能な回動操作部とされており、一方、操作軸3の下端には係止腕4が固着され、また、中間部分の上側には留め金5が設けられている。操作軸3としては図に示すようにボルトを使用することができ、充分な強度のある太いものを使用することが好ましく、係止腕4はこれに溶接などで固着し、留め金5にはナットを使用して螺着した後回り止めを施したものとしている。
【0009】
底板部1aと留め金5との間において操作軸3の中間部分にはばね6が圧縮された状態で装着されており、操作軸3はばね6により上方に付勢されて係止腕4が底板部2の下面に押し付けられる。また、底板部2の下面の1辺両側には係止突起7とストッパーピン8がそれぞれ突設されており、枠体1の上部には操作軸ガイド板9が設けられ、この操作軸ガイド板9には軸ガイド孔10が穿設されており、軸ガイド孔10には操作軸3の頭部が遊挿支持されて操作軸3が傾くことなく上下動と回動とができるようにガイドされ、これにより係止腕4はストッパーピン8により回動可能な範囲が90度に制限され、係止突起7により不用意に旋回することがないように保持されることになる。
【0010】
前記のように構成されたグレーチングの跳ね上がり防止機構は、枠体1の両側板部の上端をもってグレーチングの両側方部の端面に近い箇所の下面に取付けられる。図3はその取付けられた状態を示す要部の縦断正面図、図4は要部の横断底面図であり、枠体1はグレーチング11の主部材に溶接する等の方法で取付けられる。このとき枠体1は操作軸3がグレーチング11の主部材と重ならない位置に取付けることが必要であり、枠体1の上縁辺がグレーチング11の主部材と直交する方向とすればグレーチング11の主部材間の間隔がどのようなものであっても取付可能である。また、受枠12が固着されているコンクリート等の躯体13にはグレーチングの跳ね上がり防止機構と対応する位置にアングル等の係止部材14がアンカーボルト15で取付けられている。
【0011】
上記のように枠体1がレーチング11の側方部下面に取付けられると、係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と直交する状態から平行な状態の間で回動できることになる。図3、4に示す状態では係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と直交する方向となって先端がグレーチング11の端面側にあり、係止部材14と係合して上方への移動が抑止されるのでグレーチング11の跳ね上がりが防止できることになる。このとき係止腕4は係止突起7とストッパーピン8により自由に旋回しないように規制され、操作軸3はその頭部が操作軸ガイド孔10に遊挿ガイドされて傾かないように支持されていて係止腕4も傾くことがないので、振動が加わった場合にも係止腕4と係止部材14の係合が解かれることはなく、確実にグレーチング11の跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0012】
回動操作部とされている操作軸3の頭部はグレーチング11の主部材と重ならない位置にあって、ドライバー、レンチ等により回動操作部を操作して回動させることができる。このとき、操作軸3を係止腕4がストッパーピン8により規制される方向へ回転させようとしても回転させられないことは当然であるが、逆方向に回転させようとしても操作腕4が係止突起7による規制で容易に回転させることはできない。そこで、操作軸3をばね6の弾発力に抗して下方へ押し下げながら回転させると、係止腕4は係止突起7を乗り越えて回動され、図4に一点鎖線で示すように、係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と平行な状態となる。この状態では係止腕4と係止部材14が係合しないので、グレーチング11の受枠12に対する着脱を自由に行うことができることになる。
【0013】
操作軸3を回転させるとき、係止腕4が係止突起7を乗り越えた後は操作軸3を押し下げることなく回転させることができ、操作軸3は操作軸ガイド孔10に頭部をガイドさせて傾かないように支持されているのでスムースに回転させることができる。そして、係止腕4がストッパーピン8により規制される位置まで旋回させると係止腕4が係止突起7から離れて係止腕4と操作軸3が上方に移動するとともに係止突起7とストッパーピン8により旋回しないように保持され、確実にロック状態あるいは開放状態になったことを確認することができる。
【0014】
図5、6は本発明の第2の実施の形態を示すもので、基本的な構成は第1の実施の形態のものと同様であり同一部分には同一符号が付してある。第2の実施の形態のものでは操作軸ガイド板9が両端を垂下させて枠体1の縦板に内側から接する形状のものとなっており、留め金5とばね6の間に装着されている。この第2の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、躯体には係止部材が取付けられる。操作軸3は操作軸ガイド板9によりグレーチングの主部材と平行な面内で傾くことがないように保持されるので、係止腕4が係止部材と係合した状態では係止腕4も傾くことがなく、確実にグレーチングの跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0015】
図7、8は本発明の第3の実施の形態を示すもので、基本的な構成は第1の実施の形態のものと同様であり同一部分には同一符号が付してある。第3の実施の形態のものでは操作軸ガイド板9が枠体1の縦板に内側から接するとともに外側から枠体1の縦板の端面を挟む形状のものとなっており、留め金5とばね6の間に装着されている。この第3の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、躯体には係止部材が取付けられる。操作軸3は操作軸ガイド板9によりいずれの方向にも傾かないよう保持されているので係止腕4も傾くことがなく、確実にグレーチングの跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0016】
図9〜11は本発明の第4の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものである。第4の実施の形態のものでは係止腕4の先端部がコ字形状の断面の係合部16を持つものとなっており、係合部16の開放された側には係止部材17を係合部16に誘導する勾配部18、18が設けられている。この第4の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられるが、躯体13にはアンカーボルト15が取付けられ、アンカーボルト15の頭部がそのまま係止部材17として使用される。
【0017】
図12〜14は本発明の第5の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものである。第5の実施の形態のものでは係止腕4の先端に係合板19が取付けられており、係合板19には係止部材20と係合する係合部21と係止部材20を係合部21へ誘導する開口部22が設けられている。この第5の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、係止部材20としては躯体13に取付けられたアンカーボルト15の頭部がそのまま使用される。第4、第5の実施の形態のものは係止部材17、20としてアンカーボルト15の頭部をそのまま使用しているので、係止部材17、20の取付けが容易になるという利点がある。これら第4、第5の実施の形態のものは第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものであるが、第2あるいは第3の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状をこのように変更することができることは勿論である。
【0018】
図15、16は本発明の第1の実施の形態のものを新たに設置されるグレーチングに取付けた例を示すもので、枠体1はグレーチング11の端面に近い箇所の下面に取付けられる。受枠12には係止腕4の先端部を受け入れて係合する係止部23が一体に設けられており、新たに設置される場合、受枠12と係止部23は躯体13のコンクリート打設により躯体13に固着される。このような新設の場合には、躯体側の係止部材が側溝内等に張出すことがない利点がある。
【0019】
以上説明したように、本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構はグレーチングから取り外される部材がないのでこれらが紛失する虞がないという利点がある。またグレーチングに対して切り欠くとか、窓を設けるといった加工することなく取付けることができ、係止部材も受枠が固着されている躯体にアンカーボルトによって取付けることができるので、既設のグレーチングへの後付けが容易であり、取付けた場合にグレーチングの強度を低下させるとか美観を損ねるということもなく、歩行に支障を生じない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図4】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた状態を示す要部の横断底面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す正面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図10】図10のA−A部における断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す要部の横断底面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図13】図12のA−A部における断面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態を示す要部の横断底面図である。
【図15】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた別の状態を示す要部の縦断正面図である。
【図16】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた別の状態を示す要部の横断底面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 枠体
2 底板部
2a 操作軸挿通孔
3 操作軸
4 係止腕
5 留め金
6 ばね
7 係止突起
8 ストッパーピン
9 操作軸ガイド板
10 軸ガイド孔
11 グレーチング
12 受枠
13 躯体
14 係止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の側溝等の上面を覆うグレーチングを躯体に取付け、グレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝や排水枡等の蓋としては、水はけが良く、側溝等の内部のごみ詰まりが容易に視認でき、強度が高く、美観に優れるなどの利点があるグレーチングが多く使用されている。グレーチングは側溝等にごみが詰まったときの清掃や点検のために取り外しが容易であることが好ましく、側溝等の上面に設けられた受枠にはめ込まれて特に固定されないことが多い。ところが車輌の通行量の多いところでは、グレーチングが変形して跳ね上がることがあり、これを防止するためにグレーチングを受け枠に固定して跳ね上がりを防止する機構が設けられている。このようなグレーチングの跳ね上がりを防止するための取付け構造としては、例えば特許文献1のようなものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているのは、受枠部材の下板に立設される棒状本体と、棒状本体の上部に横側に突出する係止突部とを有する固定部材と、受板部材の下板上に載置されるベースプレートと、ベースプレートに前記固定部材を挿通する挿通部が形成された取付部とを有するグレーチングと、レンチ等によって回動される正多面体本体と、正多面体本体の中央に貫設された固定部材の棒状本体を挿通する内孔と、正多面体本体上面に形成された固定部材の係止突部と係着する係合部と、内孔に形成された固定部材の係止突部を挿通する凹溝部とを有する締付部材と、グレーチングのベースプレートと締付部材との間に配置され該締付部材を常時上方へ付勢する弾性部材とからなり、グレーチング固定時には前記固定部材の係止突部に締付部材の係合部を弾性部材により弾性係着させ、グレーチングの取り外し時には前記締付部材を弾性部材の弾性に抗して押下げ回動して該締付部材の凹溝部と前記固定部材の係止突部とを合致挿通させ弾性部材の弾性によって上方へ抜去するようにしたものである。
【0004】
この特許文献1では従来の取付け構造として図10が示され、特許文献1に係る発明は図10に示されるもののような螺着構造としないことにより螺着に伴う不利益を一挙に解決することができ、かつグレーチングをワンタッチで確実に固定しおよび取り外すことが可能な取付け構造を提案するものであるとされている。ところが、螺着構造としたもの、あるいは特許文献1に示されるものは、グレーチングを取り外すときにナットあるいは締め付け部材、弾性部材、座金等を取り外さなければならないため、これらが側溝等に落下するとか紛失するという虞があった。また受枠にボルト部材あるいは固定部材を設ける構造であることから既設のグレーチングにこのような取付け構造を後付けすることは不可能であり、交通事情の変化等により跳ね上がり防止機構が必要になった場合に対応することができないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−45376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決し、グレーチングを取り外す場合に部材を取り外す必要がなく、既設のグレーチングにも容易に後付けすることができるグレーチングの跳ね上がり防止機構を提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために完成された本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構は、グレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能とした樋状の枠体に設けられた係止腕を回動させてこれを躯体内壁に設けられた係止部材と係合させることによりグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、前記樋状枠体はその下面板に操作軸挿通孔が設けられたものとする一方、前記した係止腕は頭部が回動操作部とされた操作軸の下端に取付けられたものとしてあり、この操作軸を前記した係止腕が下面板の下面に添うように操作軸挿通孔に挿通してその頭部を樋状枠体の上部に設けた軸ガイド孔に遊挿ガイドさせ、また、前記枠体内において操作軸の中間部分には操作軸の上部に設けた留め金と下面板との間で圧縮されるばねを囲装してこのばねにより操作軸を常時上向きに弾発させてあることを特徴とするものである。なお、前記した底板部の下面の1辺両側には係止腕の自由な回動を規制する係止突起とストッパーを突設しておくことが好ましく、また、前記した軸ガイド部は、枠体の上部にあればグレーチング側にあってもよいが、枠体の上部に操作軸ガイド板を設けてこれに軸ガイド部を設けておくのが好ましく、この場合、操作軸ガイド板は樋状枠体に固着されているものとしても、操作軸ガイド板が留め金とともに上下動可能なものとしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
前記した本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構によれば、グレーチングに取付けられてグレーチングを取り外す場合に取り外される部材がないので、これらが側溝等に落下するとか紛失する虞がなく、また、ロック状態と開放状態は操作軸の回転操作により切り換えられるが操作軸は操作軸ガイド板により倒れないように支持されており、操作軸を太い強度のあるものとすることができるので切り換え操作がスムースにでき、操作腕は倒れることなく係止突起とストッパーピンにより係止されるので確実にロック状態が維持され、係止突起と係止腕の係合による操作軸の上下動によりロック状態の確認が容易にできる利点がある。さらに、グレーチングに対して切り欠くとか、窓を設けるといった加工することなく取付けることができ、係止部材も受枠が固着されている躯体にアンカーボルトによって取付けることができるので、既設のグレーチングへの後付けが容易であり、取付けた場合に強度を低下させるとか美観を損ねるということもなく、歩行に支障を生じない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら具体的に説明する。
図1、2は本発明の第1の実施の形態のグレーチングの跳ね上がり防止機構を示すもので、図1は正面図、図2は平面図であり、1はグレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能とした樋状の枠体であって、その底板部2には操作軸挿通孔2aが設けられていてこれに操作軸3が上下動および回胴自在に挿通されている。この操作軸3の頭部はドライバー、レンチ等により上方より回動操作可能な回動操作部とされており、一方、操作軸3の下端には係止腕4が固着され、また、中間部分の上側には留め金5が設けられている。操作軸3としては図に示すようにボルトを使用することができ、充分な強度のある太いものを使用することが好ましく、係止腕4はこれに溶接などで固着し、留め金5にはナットを使用して螺着した後回り止めを施したものとしている。
【0009】
底板部1aと留め金5との間において操作軸3の中間部分にはばね6が圧縮された状態で装着されており、操作軸3はばね6により上方に付勢されて係止腕4が底板部2の下面に押し付けられる。また、底板部2の下面の1辺両側には係止突起7とストッパーピン8がそれぞれ突設されており、枠体1の上部には操作軸ガイド板9が設けられ、この操作軸ガイド板9には軸ガイド孔10が穿設されており、軸ガイド孔10には操作軸3の頭部が遊挿支持されて操作軸3が傾くことなく上下動と回動とができるようにガイドされ、これにより係止腕4はストッパーピン8により回動可能な範囲が90度に制限され、係止突起7により不用意に旋回することがないように保持されることになる。
【0010】
前記のように構成されたグレーチングの跳ね上がり防止機構は、枠体1の両側板部の上端をもってグレーチングの両側方部の端面に近い箇所の下面に取付けられる。図3はその取付けられた状態を示す要部の縦断正面図、図4は要部の横断底面図であり、枠体1はグレーチング11の主部材に溶接する等の方法で取付けられる。このとき枠体1は操作軸3がグレーチング11の主部材と重ならない位置に取付けることが必要であり、枠体1の上縁辺がグレーチング11の主部材と直交する方向とすればグレーチング11の主部材間の間隔がどのようなものであっても取付可能である。また、受枠12が固着されているコンクリート等の躯体13にはグレーチングの跳ね上がり防止機構と対応する位置にアングル等の係止部材14がアンカーボルト15で取付けられている。
【0011】
上記のように枠体1がレーチング11の側方部下面に取付けられると、係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と直交する状態から平行な状態の間で回動できることになる。図3、4に示す状態では係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と直交する方向となって先端がグレーチング11の端面側にあり、係止部材14と係合して上方への移動が抑止されるのでグレーチング11の跳ね上がりが防止できることになる。このとき係止腕4は係止突起7とストッパーピン8により自由に旋回しないように規制され、操作軸3はその頭部が操作軸ガイド孔10に遊挿ガイドされて傾かないように支持されていて係止腕4も傾くことがないので、振動が加わった場合にも係止腕4と係止部材14の係合が解かれることはなく、確実にグレーチング11の跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0012】
回動操作部とされている操作軸3の頭部はグレーチング11の主部材と重ならない位置にあって、ドライバー、レンチ等により回動操作部を操作して回動させることができる。このとき、操作軸3を係止腕4がストッパーピン8により規制される方向へ回転させようとしても回転させられないことは当然であるが、逆方向に回転させようとしても操作腕4が係止突起7による規制で容易に回転させることはできない。そこで、操作軸3をばね6の弾発力に抗して下方へ押し下げながら回転させると、係止腕4は係止突起7を乗り越えて回動され、図4に一点鎖線で示すように、係止腕4はその長手方向がグレーチング11の端面と平行な状態となる。この状態では係止腕4と係止部材14が係合しないので、グレーチング11の受枠12に対する着脱を自由に行うことができることになる。
【0013】
操作軸3を回転させるとき、係止腕4が係止突起7を乗り越えた後は操作軸3を押し下げることなく回転させることができ、操作軸3は操作軸ガイド孔10に頭部をガイドさせて傾かないように支持されているのでスムースに回転させることができる。そして、係止腕4がストッパーピン8により規制される位置まで旋回させると係止腕4が係止突起7から離れて係止腕4と操作軸3が上方に移動するとともに係止突起7とストッパーピン8により旋回しないように保持され、確実にロック状態あるいは開放状態になったことを確認することができる。
【0014】
図5、6は本発明の第2の実施の形態を示すもので、基本的な構成は第1の実施の形態のものと同様であり同一部分には同一符号が付してある。第2の実施の形態のものでは操作軸ガイド板9が両端を垂下させて枠体1の縦板に内側から接する形状のものとなっており、留め金5とばね6の間に装着されている。この第2の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、躯体には係止部材が取付けられる。操作軸3は操作軸ガイド板9によりグレーチングの主部材と平行な面内で傾くことがないように保持されるので、係止腕4が係止部材と係合した状態では係止腕4も傾くことがなく、確実にグレーチングの跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0015】
図7、8は本発明の第3の実施の形態を示すもので、基本的な構成は第1の実施の形態のものと同様であり同一部分には同一符号が付してある。第3の実施の形態のものでは操作軸ガイド板9が枠体1の縦板に内側から接するとともに外側から枠体1の縦板の端面を挟む形状のものとなっており、留め金5とばね6の間に装着されている。この第3の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、躯体には係止部材が取付けられる。操作軸3は操作軸ガイド板9によりいずれの方向にも傾かないよう保持されているので係止腕4も傾くことがなく、確実にグレーチングの跳ね上がりを防止するロック状態が維持される。
【0016】
図9〜11は本発明の第4の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものである。第4の実施の形態のものでは係止腕4の先端部がコ字形状の断面の係合部16を持つものとなっており、係合部16の開放された側には係止部材17を係合部16に誘導する勾配部18、18が設けられている。この第4の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられるが、躯体13にはアンカーボルト15が取付けられ、アンカーボルト15の頭部がそのまま係止部材17として使用される。
【0017】
図12〜14は本発明の第5の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものである。第5の実施の形態のものでは係止腕4の先端に係合板19が取付けられており、係合板19には係止部材20と係合する係合部21と係止部材20を係合部21へ誘導する開口部22が設けられている。この第5の実施の形態のものも第1の実施の形態のものと同様にグレーチングに取付けられ、係止部材20としては躯体13に取付けられたアンカーボルト15の頭部がそのまま使用される。第4、第5の実施の形態のものは係止部材17、20としてアンカーボルト15の頭部をそのまま使用しているので、係止部材17、20の取付けが容易になるという利点がある。これら第4、第5の実施の形態のものは第1の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状が変更されたものであるが、第2あるいは第3の実施の形態のものの係止腕4の先端の形状をこのように変更することができることは勿論である。
【0018】
図15、16は本発明の第1の実施の形態のものを新たに設置されるグレーチングに取付けた例を示すもので、枠体1はグレーチング11の端面に近い箇所の下面に取付けられる。受枠12には係止腕4の先端部を受け入れて係合する係止部23が一体に設けられており、新たに設置される場合、受枠12と係止部23は躯体13のコンクリート打設により躯体13に固着される。このような新設の場合には、躯体側の係止部材が側溝内等に張出すことがない利点がある。
【0019】
以上説明したように、本発明のグレーチングの跳ね上がり防止機構はグレーチングから取り外される部材がないのでこれらが紛失する虞がないという利点がある。またグレーチングに対して切り欠くとか、窓を設けるといった加工することなく取付けることができ、係止部材も受枠が固着されている躯体にアンカーボルトによって取付けることができるので、既設のグレーチングへの後付けが容易であり、取付けた場合にグレーチングの強度を低下させるとか美観を損ねるということもなく、歩行に支障を生じない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図4】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた状態を示す要部の横断底面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す正面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図10】図10のA−A部における断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す要部の横断底面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図13】図12のA−A部における断面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態を示す要部の横断底面図である。
【図15】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた別の状態を示す要部の縦断正面図である。
【図16】第1の実施の形態のものをグレーチングに取付けた別の状態を示す要部の横断底面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 枠体
2 底板部
2a 操作軸挿通孔
3 操作軸
4 係止腕
5 留め金
6 ばね
7 係止突起
8 ストッパーピン
9 操作軸ガイド板
10 軸ガイド孔
11 グレーチング
12 受枠
13 躯体
14 係止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能な樋状の枠体(1) に設けられた係止腕(4) を回動させてこれを躯体内壁に設けられた係止部材と係合させることによりグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、前記枠体(1) はその底板部(1a)に操作軸挿通孔(2a)が設けられたものとする一方、前記した係止腕(4) は頭部が回動操作部とされた操作軸(3) の下端に取付けられたものとしてあり、この操作軸(3) を前記した係止腕(4) が底板部(2) の下面に添うように前記操作軸挿通孔(2a)に挿通してその頭部を枠体(1) の上部に設けた軸ガイド孔(10)に遊挿ガイドさせ、また、前記枠体(1) 内において操作軸(3) の中間部分にはこの操作軸(3) の上部に設けた留め金(5) と前記底板部(2) との間で圧縮されるばね(6) を囲装して、このばね(6) により操作軸(3) を常時上向きに弾発させてあることを特徴とするグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項2】
底板部(2) の下面の1辺両側に係止腕(4) の自由な回動を規制する係止突起(7) とストッパーピン(8) が設けられている請求項1に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項3】
軸ガイド部(10)が枠体(1) の上部に設けた操作軸ガイド板(9) に設けられている請求項1または2に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項4】
操作軸ガイド板(9) が枠体(1) に固着されている請求項3に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項5】
操作軸ガイド板(9) が留め金(5) とともに枠体(1) 内を上下動可能なものとしてある請求項3に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項1】
グレーチングの側方部下面に上端をもって取付可能な樋状の枠体(1) に設けられた係止腕(4) を回動させてこれを躯体内壁に設けられた係止部材と係合させることによりグレーチングの跳ね上がりを防止するグレーチングの跳ね上がり防止機構であって、前記枠体(1) はその底板部(1a)に操作軸挿通孔(2a)が設けられたものとする一方、前記した係止腕(4) は頭部が回動操作部とされた操作軸(3) の下端に取付けられたものとしてあり、この操作軸(3) を前記した係止腕(4) が底板部(2) の下面に添うように前記操作軸挿通孔(2a)に挿通してその頭部を枠体(1) の上部に設けた軸ガイド孔(10)に遊挿ガイドさせ、また、前記枠体(1) 内において操作軸(3) の中間部分にはこの操作軸(3) の上部に設けた留め金(5) と前記底板部(2) との間で圧縮されるばね(6) を囲装して、このばね(6) により操作軸(3) を常時上向きに弾発させてあることを特徴とするグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項2】
底板部(2) の下面の1辺両側に係止腕(4) の自由な回動を規制する係止突起(7) とストッパーピン(8) が設けられている請求項1に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項3】
軸ガイド部(10)が枠体(1) の上部に設けた操作軸ガイド板(9) に設けられている請求項1または2に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項4】
操作軸ガイド板(9) が枠体(1) に固着されている請求項3に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【請求項5】
操作軸ガイド板(9) が留め金(5) とともに枠体(1) 内を上下動可能なものとしてある請求項3に記載のグレーチングの跳ね上がり防止機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−233564(P2006−233564A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49180(P2005−49180)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(393022470)三重重工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(393022470)三重重工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]