説明

グレーチングの連結具

【課題】水平方向に並列して設置したグレーチングを連結するグレーチングの連結具ががたつくことのないようにする。
【解決手段】グレーチングの連結具10は、隣接するグレーチングG,Gの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を上側から挟み込んで係止するとともに何れか一方のグレーチングGの一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2を上側から係止する第1上側連結部材20と、クロスバーCに係止する第2上側連結部材30と、隣接するグレーチングG,Gの下側において上下方向に移動可能に支持されて端部の両ベアリングバーB1,B1の下端と係止することなく一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1より他端側に位置するベアリングバーB2,B2に下側から係止する下側連結部材40と、第1連結部材20に第2上側連結部材30と下側連結部材40とを締結する締結具50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に並列して設置した互いに隣接するグレーチングを連結するグレーチングの連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
道路等には、雨水を排水するための排水溝が設けられており、この排水溝には、これを覆うグレーチングが設けられている。一般的に、グレーチングは、互いに所定間隔をおいて平行に配置されたベアリングバーとこれらベアリングバーと交差して配置されてこれらベアリングバーを連結するクロスバーとを格子状に形成したものである。このようなグレーチングは、端部のベアリングバーを互いに隣接するようにして排水溝に沿って連続して敷設されている。このようなグレーチングにおいては、その盗難を防止すること、または跳ね上がりや浮き上がりを防ぐことを目的として種々のグレーチングの連結具が開示されている。
【0003】
特許文献1の図6に記載のグレーチングの連結具は、水平方向に隣接するようにして並列に設置したグレーチングの互いに隣接する端部のベアリングバー対に上方から跨いで外嵌される伏コ字状包込部と、包込部の一端側の下端から内側のベアリングバー側へ連成していて略中心位置に連結孔が形成された取付部と、この取付部から上記内側のベアリングバー側へ延出されて上記内側のベアリングバーの上縁と当接する保持片部とを備える被着金具と、上端部に雄螺子を備えるL形支持杆とからなる。このグレーチングの連結具においては、隣接する端部のベアリングバー対の下縁にL形支持杆の水平杆部を当接させ、被着金具の包込部を隣接する端部のベアリングバー対の上縁に外嵌させるとともに保持片部を内側のベアリングバーの上縁と当接させて、雄螺子を取付部の連結孔に挿通してナットを螺合緊締することにより、隣接するベアリングバー対を上下方向で挟持して隣接するグレーチングを連結するようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載のグレーチングの飛散防止金具は、盗難、跳ね上がり及び浮き上がりを防止することを目的としたものでなく、主として金具類が強い応力を受けて金属疲労により破壊されることによりグレーチングが飛散するのを防止するものである。グレーチングの飛散防止金具は、水平方向に隣接するようにして並列に設置したグレーチング対の上下方向に各々配置される上部取付体と下部取付体と、これら上部取付体に下部取付体を連結する伸張復帰弾性を備えた連結部とを備えている。このグレーチングの連結具の上部取付体は、隣接するグレーチングの互いに隣接する端部の各格子板(ベアリングバー)を一緒に挟み込んで係止する略コ字状の鉤状部と、鉤状部の一辺側下方部を横方向に張り出した連結板部とを備えている。また、下部取付体は、互いに隣接する端部の各格子板の隣りの格子板の下端に当接する受け板部と、受け板部の両側を立ち上げて格子板の側面に引っかかる係止部とを備えている。このグレーチングの飛散防止金具においては、上部取付体の連結板部と下部取付体の受け板部に穿設したボルト孔に伸張復帰弾性を有するコイルばねを外装した連結体のボルトを挿通して、このボルトを下部取付体の下面に設けたナットにより適宜な緊締力で螺合させてグレーチングを連結している。このグレーチングの飛散防止金具は、上部取付体と下部取付体とを伸張復帰弾性を備えた連結部により連結し、グレーチングに跳ね上げ方向に力が加わっても伸張復帰弾性を備えた連結部によりこの跳ね上げ方向の力を吸収することで金具類が強い応力を受けて金属疲労により破壊されることなくグレーチングの飛散を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2566605号公報
【特許文献2】実用新案登録第3081771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の図6に記載のグレーチングの連結具においては、被着金具は端部の隣接するベアリングバー対に上方から跨いで外嵌されており、L形支持杆はその水平杆部が端部の隣接するベアリングバー対の下縁に当接されているが、ベアリングバー対の長手方向へ沿った方向の移動を規制されているわけでないので、L形支持杆を螺着するナットが僅かでも緩むと、これらの被着金具とL形支持杆とがベアリングバー対の長手方向に少しずつ移動可能となり、L形支持杆を螺着するナットがさらに緩んでがたつくことがあった。また、L形支持杆を螺着するナットを強く緊締すると、被着金具の包込部と保持片部とが取付部側に屈曲して各部のベアリングバーに対する係止が外れるおそれがあった。さらに、このグレーチングの連結具は、ベアリングバー対の下側にてL形支持杆の水平杆部が端部の隣接するベアリングバー対の下縁にだけ当接しているので、グレーチング対が強固に連結されていなかった。
【0007】
これに対し、上述した特許文献2のグレーチングの飛散防止金具は、グレーチングの下側においては、互いに隣接する端部の両格子板の隣りの各格子板の下端に当接して、グレーチングの下側を二点で係止したことにより、構造上は上記のグレーチングの連結具より強固に連結されるものである。しかし、このグレーチングの飛散防止金具は、盗難を防止、跳ね上がり及び浮き上がりを防止することを目的としたものでなく、主として金具類が強い応力を受けて金属疲労により破壊されることによりグレーチングが飛散するのを防止するものであるので、連結部のボルトを強く締め付けるようにしてグレーチングを強固に連結していなかった。
【0008】
そこで、このグレーチングの飛散防止金具を特許文献1のように、盗難を防止、跳ね上がり及び浮き上がりを防止することを目的として強固に連結させるようにすると、連結部のボルトを強く締め付けるようにすれば、伸張復帰弾性がなくなってこの跳ね上げ方向の力を吸収することができなくなるが、グレーチングを強固に連結することができると思われる。しかし、この飛散防止金具は下部取付体の受け板部が隣接する端部の格子板を当接させないように中央部が鈍角となる略V字形となるように屈曲したものであるので、連結部のボルトを強く締め付けると、受け板部の中央部が上方に引っ張られるように屈曲して、受け板部が互いに隣接する端部の各格子板に当接してその隣りの格子板の下端に当接しないようになるおそれがあり、特許文献1に記載のグレーチングの連結具と同様にグレーチングの下側において互いに隣接する端部の各格子板の下端を当接するだけとなって、強固に連結することができなくなるおそれがあった。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、互いに所定間隔をおいて平行に配置されたベアリングバーとこれらベアリングバーと交差して配置されてこれらベアリングバーを連結するクロスバーとを格子状に形成したグレーチングをその端部のベアリングバーが互いに隣接するようにして水平方向に並列して設置したこれらの隣接するグレーチングを連結する連結具であって、隣接するグレーチングの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーを上側から挟み込んで係止するとともに何れか一方のグレーチングの一端側の端部のベアリングバーの他端側に隣となるベアリングバーを上側から係止する第1上側連結部材と、クロスバーに係止する第2上側連結部材と、隣接するグレーチングの下側において上下方向に移動可能に支持されて端部の両ベアリングバーの下端と係止することなく一端側の端部の両ベアリングバーより他端側に位置するベアリングバーに下側から係止する下側連結部材と、第1連結部材に第2上側連結部材と下側連結部材とを締結する締結具とを備えたことを特徴とするグレーチングの連結具を提供するものである。
【0010】
上記のように構成したグレーチングの連結具においては、第1上側連結部材が隣接するグレーチングの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーを上側から挟み込んで係止するとともに何れか一方のグレーチングの一端側の端部のベアリングバーの他端側に隣のベアリングバーを上側から係止し、第2上側連結部材がクロスバーに係止し、下側連結部材が一端側の端部の両ベアリングバーより他端側に位置するベアリングバーに下側から係止しているので、グレーチングの連結具がベアリングバーに沿って移動することがなくなり、第1上側連結部材に第2上側連結部材と下側連結部材とを締結する締結具が緩みにくくなるので、グレーチングの連結具ががたつくことがなくなる。
【0011】
上記のように構成したグレーチングの連結具においては、第1上側連結部材は下方に開いた略コ字状をして一端側の端部の両ベアリングバーを上側から挟み込んで係止する第1フック部と、この第1フック部の脚部の下端部から他端側における隣のベアリングバー側に連成して形成された取付部と、この取付部から隣のベアリングバー側に連成して形成されて隣のベアリングバーの上縁に係止する第2フック部とからなり、第2上側連結部材は第1上側連結部材の取付部の上側に設けられて同取付部の両側に形成された第1及び第2フック部の各脚部に係合する板状の係合部と、この係合部の第1上側連結部材と交差する方向の一端側から連成して形成されて下方に開いた略コ字状をしてクロスバーに係止するクロスバー係止部とからなり、締結具は第1連結部材の取付部と第2上側連結部材の係合部と下側連結部材に形成した各貫通孔を挿通した螺子部材によりこれらを上下方向に締め付けて締結するものであり、第2上側連結部材は係合部から連成されるクロスバー係止部の脚部を第1及び第2フック部の互いに対向する各脚部の間でこれらに近接するように設けるようにすれば、第1上側連結部材に第2上側連結部材と下側連結部材を締結具の螺子部材により強く締結したときに、第1上側連結部材は第1フック部と第2フック部とが取付部側に引っ張られるように屈曲しようとするが、第1フック部と第2フック部の各脚部がこれに近接するようにして設けられた第2上側連結部材のクロスバー係止部の脚部と当接することにより、第1フック部と第2フック部とが取付部側に引っ張られて屈曲することがない。
【0012】
上記のように構成したグレーチングの連結具においては、第2上側連結部材には係合部の第1上側連結部材と交差する方向の他端側から上方に折り曲げられた折曲部を形成し、折曲部を第1及び第2フック部の互いに対向する各脚部の間でこれらに近接するように設けるようにすれば、上述したのと同様に、第1フック部と第2フック部の各脚部が近接するようにして設けられた第2上側連結部材の折曲部と当接することにより、第1フック部と第2フック部とが取付部側に引っ張られて屈曲することがない。
【0013】
上記のように構成したグレーチングの連結具においては、下側連結部材は、一端側の端部の両ベアリングバーの下端と係止しないようにする非係止凹部と、ベアリングバーが並ぶ方向に延びる所定幅のよりなる係止凹部を備えて、この係止凹部を一端側の端部の両ベアリングバーより他端側に位置するベアリングバーに下側から係止させるようにすれば、非係止凹部により確実に端部の両ベアリングバーの下端と係止することなく、係止凹部により他端側に隣の各ベアリングバーの下端と係止するようになって強固に連結することになる。また、係止凹部はベアリングバーが並ぶ方向に延びる所定幅の凹部であるので、ベアリングバーのピッチが異なるものでも係止させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のグレーチングの連結具により連結される隣接するグレーチングの斜視図である。
【図2】グレーチングの連結具により隣接するグレーチングを連結させた状態の断面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明によるグレーチングの連結具の一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明に係る連結具により連結されるグレーチングGは、互いに所定間隔をおいて平行に配置されたベアリングバーB(B1,B2,B3・・・)とこれらベアリングバーBと交差して配置されてこれらベアリングバーBを連結するクロスバーCとを格子状に形成したものである。本発明に係るグレーチングの連結具10は、隣接するグレーチングG,Gの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を上側から挟み込んで係止するとともに何れか一方のグレーチングGの一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2を上側から係止する第1上側連結部材20と、クロスバーCに係止する第2上側連結部材30と、隣接するグレーチングG,Gの下側において上下方向に移動可能に支持されて端部の両ベアリングバーB1,B1の下端と係止することなく一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1より他端側に位置するベアリングバーB2,B2に下側から係止する下側連結部材40と、第1連結部材20に第2上側連結部材30と下側連結部材40とを締結する締結具50とを備えたことを特徴とする。以下に、このグレーチングの連結具10をグレーチングG,Gを水平方向に隣接するように並列して配置した状態により詳述する。
【0016】
図2に示すように、第1上側連結部材20は、隣接するグレーチングG,Gを上側で連結するものであり、互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を挟み込んで係止する第1フック部21と、第1フック部21の下端から水平方向に連成して形成される取付板部(取付部)22と、この取付板部22から連成して形成される一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2に係止する第2フック部23とからなる。第1フック部21は、上壁部とこの上壁部の両端から垂下する脚部とからなる下方に開いた略コ字状をして隣接するグレーチングG,Gの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を上側から挟み込んで係止するものである。取付板部22は、第1フック部21の一方の脚部下端から水平方向で他端側に隣となるベアリングバーB2側に延出しており、その中央部には取付のための貫通孔22aが形成されている。また、取付板部22は、第1及び第2上側連結部材20,30をグレーチングG,Gの上側で係止させたときに、その高さ位置が締結具50のボルト51の頭部がグレーチングGの上面から突出しない高さ位置となっている。第2フック部23は、上壁部とこの上壁部の両端から垂下する脚部とからなる下方に開いた略コ字状をしており、取付板部22の第1フック部21側の反対側から延出して隣のベアリングバーB2の上縁に係止するものである。
【0017】
第2上側連結部材30は、グレーチングGのクロスバーCに係止することで連結具10がベアリングバーB1の長手方向に沿って移動しないようにするものであり。第2上側連結部材30は、第1上側連結部材20の取付板部22の上側にて支持された係合板部(係合部)31と、この係合板部31から連成して形成されてクロスバーCに係止する下方に開いた略コ字状のクロスバー係止部32と、係合板部31のクロスバー係止部32が形成された側と反対側の端部から上方に折り曲げられた折曲部33とからなる。係合板部31は、第1上側連結部材20の取付板部22の上側にてこの取付板部22の両端から連成して形成される第1及び第2フック部21,23の脚部下端と係合して第1上側連結部材20の上側で回転しないようになっている。係合板部31は、その中央部に締結具50により第1上側連結部材20に取り付けるための貫通孔31aが形成されている。この貫通孔31aは第1上側連結部材20の取付板部22の貫通孔22aと水平方向においてほぼ同じ位置となっている。また、係合板部31は、第1及び第2上側連結部材20,30をグレーチングG,Gの上側で係止させたときに、その高さ位置が締結具50のボルト51の頭部がグレーチングGの上面から突出しない高さ位置となっている。クロスバー係止部32は、係合板部31の第1連結部材30と交差する方向の一端側から立ち上がり下方に開いた略コ字状をしている。クロスバー係止部32は、係合板部31から立ち上がる脚部が第1上側連結部材20の第1及び第2フック部21,23の各脚部との間でこれらに僅かな隙間をおいて近接した位置となっている。折曲部33は、係合板部31のクロスバー係止部32の反対側の端部から上方に折り曲げられて形成されており、折曲部33は第1上側連結部材20の第1及び第2フック部21,23の各脚部との間でこれらに僅かな隙間をおいて近接した位置となっている。
【0018】
下側連結部材40は、互いに隣接するグレーチングG,Gの下側において上下方向に移動可能かつ回転可能に支持されて隣接するグレーチングG,Gの下側を連結するものである。下側連結部材40は、ベアリングバーBが連続する方向に細長く延びる上側が開いた直方体形状の部材であり、その長手方向に延びる両側壁には、一方のグレーチングGの互い隣接する一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2に当接して係止する第1凹部(係止凹部)41と、他方のグレーチングGの互いに隣接する一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2に当接して係止する第2凹部(係止凹部)42と、これら各凹部41,42にのみベアリングバーB2,B2を係止させるために互いに隣接する一端側の端部のベアリングバーB1,B1を係止しないようにする第3凹部(非係止凹部)43とが形成されている。第1凹部41は、ベアリングバーが連続する方向の長さが当該ベアリングバーB2の長さより長く形成されており、第2凹部42は第1凹部41よりもベアリングバーが連続する方向の長さが長く形成されている。また、第3凹部43は、ベアリングバーが連続する方向の長さが端部の両ベアリングバーB1,B1の長さより長く形成されている。これら第1〜第3凹部41〜43は、ベアリングバーが連続する方向の幅が各々長く形成されていることにより、各ベアリングバーB1,B2,B3・・・のピッチが異なったものでも係止可能な長さとなっている。第1凹部41と第2凹部42の高さ(深さ)は、第3凹部43の高さ(深さ)より短く(浅く)なっており、第1凹部41と第2凹部42とに、一端側の端部のベアリングバーB1,B1の他端側に隣となるベアリングバーB2,B2の下端を係止させたときに、第3凹部43が一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1の下端に係止しないようになっている。下側連結部材40の下壁には締結具50により第1上側連結部材20に取り付けるための貫通孔40aが形成されている。下側連結部材40の下面には、締結具50のナット52が貫通孔40aと連通するようにして溶接により固定されている。なお、ナット52の代わりに、貫通孔40aに螺子を直接形成するようにしてもよい。
【0019】
締結具50はボルト51とナット52とからなり、ボルト51は、頭部が第2上側連結部材30の係合板部31の上面に係止して、螺子部が第2上側連結部材30の係合板部31の貫通孔31a、第1上側連結部材20の取付板部22の貫通孔22a及び下側連結部材40の貫通孔40aを挿通してその下端をナット52により螺着されている。締結具50は、ボルト51をナット52に螺合させて締め付けることにより、第1及び第2上側連結部材20,30を隣接するグレーチングG,Gに上側から下方に押し付け、下側連結部材40を隣接するグレーチングG,Gに下側から上方に押し付けて、第1及び第2上側連結部材20,30及び下側連結部材40により隣接するグレーチングG,Gを連結させる。このようにグレーチングの連結具10により連結された隣接するグレーチングG,Gは、第1上側連結部材20の第1フック部21により、上側方向と水平方向におけるグレーチングG,Gが連続する向きへの移動が規制され、下側連結部材40の第1及び第2凹部41,42により下側方向と水平方向におけるグレーチングG,Gが連続する向きへの移動が規制された状態で強固に狭持される。
【0020】
次に、上記のように構成したグレーチングの連結具10を、一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を近接するように水平方向に並列して設置したグレーチングG,Gを連結する取り付け手順について説明する。まず、グレーチングの連結具10においては、予めボルト51の螺子部に第2上側連結部材30の貫通孔31aと第1上側連結部材20の貫通孔22aと下側連結部材40の貫通孔40aとを順に挿通し、ボルト51の螺子部の下端部を下側連結部材40に固着したナット52に螺合させておく。ボルト51の頭部を持って、下側連結部材40を一方のグレーチングGの一端側の端部のベアリングバーB1と、このベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2との間から隣接するグレーチングG,Gの下側となるように移動させる、また、両グレーチングG,Gの上側においては、第1連結部材20の第1フック部21を一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を上側から挟み込んで係止させ、第2フック部23を一端側の端部のベアリングバーB1の他端側に隣となるベアリングバーB2に上側から係止させる。また、第2上側連結部材30の係合板部31を第1上側連結部材20の取付板部22の上面に当接するようにして、クロスバー係止部32をクロスバーCに上側から係止させる。
【0021】
このような状態において、グレーチングGの上側から各ベアリングバーBの間からドライバーのように細長い棒状の工具を挿入し、下側連結部材40の各凹部41〜43が並ぶ方向をベアリングバーB1,B2・・が並ぶ方向に回転させて位置決めすると、第1凹部41が一方のグレーチングGの端部のベアリングバーB1の隣のベアリングバーB2の下側となる位置になり、第2凹部42が他方のグレーチングGの端部のベアリングバーB1の隣のベアリングバーB2の下側となる位置となり、第3凹部43が端部の両ベアリングバーB1,B1の下側となる位置となる。
【0022】
グレーチングGの上側から上記のドライバー等の工具により下側連結部材40が回転しないように係止させた状態でボルト51を回転させて締め付けると、ボルト51に螺合しているナット52により下側連結部材40が上方に移動する。ボルト51をさらに回転させて締め付けると、下側連結部材40の第1及び第2凹部41、42が、一端側の端部のベアリングバーB1,B1の他端側に隣となるベアリングバーB2,B2を下側から当接して係止する。これにより、グレーチングの連結具10は、グレーチングG,Gの上側においては、第1連結部材20の第1フック部21により両グレーチングG,Gの上方及び水平方向への移動を規制し、第2連結部材30により両グレーチングG,Gの下方及び水平方向への移動を規制して連結する。また、グレーチングの連結具10は、第2上側連結部材30のクロスバー係止部32によりクロスバーCに係止されているので、ベアリングバーに沿って移動することがなくなり、第1上側連結部材20に第2上側連結部材30と下側連結部材40とを締結する締結具50が緩みにくくなるので、グレーチングの連結具10ががたつくことがなくなる。
【0023】
上記のように構成したグレーチングの連結具10においては、第1上側連結部材20は下方に開いた略コ字状をして一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1を上側から挟み込んで係止する第1フック部21と、この第1フック部21の脚部の下端部から他端側における隣のベアリングバーB2側に連成して形成された取付板部22と、この取付板部22から隣のベアリングバーB2側に連成して形成されて隣のベアリングバーB2の上縁に係止する第2フック部23とからなり、第2上側連結部材30は第1上側連結部材20の取付板部22の上側に設けられて同取付板部22の両側に形成された第1及び第2フック部21,23の各脚部に係合する板状の係合板部31と、この係合板部31の第1上側連結部材20と交差する方向の一端側から連成して形成されて下方に開いた略コ字状をしてクロスバーCに係止するクロスバー係止部32とからなり、締結具50は第1連結部材20の取付板部22と第2上側連結部材30の係合板部31と下側連結部材40に形成した各貫通孔22a,31a,40aを挿通したボルト51によりこれらを上下方向に締め付けて締結するものであり、係合板部31から連成されるクロスバー係止部32の脚部を第1及び第2フック部21,23の互いに対向する各脚部の間でこれらに近接するように設けるようにすれば、第1上側連結部材20に第2上側連結部材30と下側連結部材40を締結具50のボルト51により強く締結したときに、第1上側連結部材20は第1フック部21と第2フック部23とが取付板部22側に引っ張られるように屈曲しようとするが、第1フック部21と第2フック部23の各脚部の間でこれらに近接するようにして設けられた第2上側連結部材30のクロスバー係止部32の脚部と当接することにより、第1フック部21と第2フック部23とが取付板部22側に引っ張られて屈曲することがない。
【0024】
上記のように構成したグレーチングの連結具10においては、第2上側連結部材30には係合板部31の第1上側連結部材20と交差する方向の他端側から上方に折り曲げられた折曲部33を形成し、折曲部33を第1及び第2フック部21,23の互いに対向する各脚部の間でこれに近接するように設けるようにすれば、上述したのと同様に、第1フック部21と第2フック部23の各脚部の間でこれらに近接するようにして設けられた第2上側連結部材30の折曲部33と当接することにより、第1フック部21と第2フック部23とが取付板部22側に引っ張られて屈曲することがない。
【0025】
上記のように構成したグレーチングの連結具10においては、下側連結部材40は、端部の両ベアリングバーB1,B1の下端と係止しないようにする第3凹部43と、ベアリングバーBが並ぶ方向に延びる所定幅のよりなる第1及び第2凹部41,42を備えて、この第1及び第2凹部41,42を一端側の端部の両ベアリングバーB1,B1より他端側に位置するベアリングバーB2に下側から係止させるようにすれば、第3凹部43により確実に端部の両ベアリングバーB1,B1の下端と係止することなく、第1及び第2凹部41,42により他端側に隣の各ベアリングバーB2,B2の下端と係止するようになって強固に連結することになる。また、第1及び第2凹部41,42はベアリングバーBが並ぶ方向に延びる所定幅の凹部であるので、ベアリングバーBのピッチが異なるものでも係止させることができるようになる。
【0026】
上記の実施形態においては、下側連結部材40の第1及び第2凹部41,42は、端部の両ベアリングバーB1,B1の隣の各ベアリングバーB2,B2の下端に当接して係止させているが、本発明はこれに限られるものでなく、さらに他端側に隣側のベアリングバーB3,B4・・,B3,B4・・に当接して係止させるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0027】
G…グレーチング、B(B1,B2,B3・・・)…ベアリングバー、C…クロスバー、10…グレーチングの連結具、20…第1上側連結部材、21…第1フック部、22取付部(取付板部)、23…第2フック部、30…第2上側連結部材、31…係合部、32クロスバー係止部、40…下側連結部材、41,42…係止凹部(第1凹部,第2凹部)、43…非係止凹部(第3凹部)、50…締結具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに所定間隔をおいて平行に配置されたベアリングバーとこれらベアリングバーと交差して配置されてこれらベアリングバーを連結するクロスバーとを格子状に形成したグレーチングをその端部のベアリングバーが互いに隣接するようにして水平方向に並列して設置したこれらの隣接するグレーチングを連結する連結具であって、
前記隣接するグレーチングの互い隣接する一端側の端部の両ベアリングバーを上側から挟み込んで係止するとともに何れか一方のグレーチングの前記一端側の端部のベアリングバーの他端側に隣となるベアリングバーを上側から係止する第1上側連結部材と、
前記クロスバーに係止する第2上側連結部材と、
前記隣接するグレーチングの下側において上下方向に移動可能に支持されて前記端部の両ベアリングバーの下端と係止することなく前記一端側の端部の両ベアリングバーより他端側に位置するベアリングバーに下側から係止する下側連結部材と、
前記第1連結部材に第2上側連結部材と前記下側連結部材とを締結する締結具とを備えたことを特徴とするグレーチングの連結具。
【請求項2】
請求項1に記載のグレーチングの連結具において、
前記第1上側連結部材は下方に開いた略コ字状をして前記一端側の端部の両ベアリングバーを上側から挟み込んで係止する第1フック部と、この第1フック部の脚部の下端部から前記他端側における隣のベアリングバー側に連成して形成された取付部と、この取付部から前記隣のベアリングバー側に連成して形成されて前記隣のベアリングバーの上縁に係止する第2フック部とからなり、
前記第2上側連結部材は前記第1上側連結部材の取付部の上側に設けられて同取付部の両側に形成された前記第1及び第2フック部の各脚部に係合する板状の係合部と、この係合部の前記第1上側連結部材と交差する方向の一端側から連成して形成されて下方に開いた略コ字状をして前記クロスバーに係止するクロスバー係止部とからなり、
前記締結具は前記第1連結部材の取付部と前記第2上側連結部材の係合部と前記下側連結部材に形成した各貫通孔を挿通した螺子部材によりこれらを上下方向に締め付けて締結するものであり、
前記第2上側連結部材は前記係合部から連成される前記クロスバー係止部の脚部を前記第1及び第2フック部の互いに対向する各脚部の間でこれらに近接するように設けたことを特徴するグレーチングの連結具。
【請求項3】
請求項2に記載のグレーチングの連結具において、
前記第2上側連結部材には前記係合部の前記第1上側連結部材と交差する方向の他端側から上方に折り曲げられた折曲部を形成し、
前記折曲部を前記第1及び第2フック部の互いに対向する各脚部の間でこれらに近接するように設けたことを特徴とするグレーチングの連結具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のグレーチングの連結具において、
前記下側連結部材は、前記一端側の端部の両ベアリングバーの下端と係止しないようにする非係止凹部と、前記ベアリングバーが並ぶ方向に延びる所定幅の係止凹部を備えて、この係止凹部を前記一端側の端部の両ベアリングバーより他端側に位置するベアリングバーに下側から係止させたことを特徴とするグレーチングの連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−196276(P2010−196276A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39749(P2009−39749)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000213231)株式会社中部コーポレーション (35)
【Fターム(参考)】