説明

グレーチング

【課題】溶融溶着し、あるいは工具を用いたりすることなく人の手で簡単に組み立てられ、さらに巻き取って丸めた状態で保管、運搬することができるグレーチングを提供する。
【解決手段】溝部の開口部を覆うように互いに適当間隔を開けて設置されるべく、硬質合成樹脂からなる断面I型の多数本のバー材2と、多数本のバー材2を互いに連結する弾性を備えた樹脂製の帯状の連結部材3とからなり、各バー材2の下端板部6と上端板部5との間に位置する立ち上がり板部4の長さ方向両端部には連結部材3を保持する保持溝部8が形成され、保持溝部8はバー材2の端部に開口する連結部材3差し込み用溝部9と、この溝部9の内端である内側端面12より上向きに傾斜する係止溝部11とを備えて、この係止溝部11に連結部材3を傾斜した状態で係止させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プールサイドや浴室などの排水溝に好適なグレーチングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の溝蓋31を図13に示す。溝蓋31は、硬質合成樹脂を用いて形成される複数本の杆体32を備えている。杆体32の上部両側には張り出し部34が形成され、上面が幅広なT字型断面を備えている。杆体32には、半硬質塩化ビニールを用いて形成され杆体32の両側面と下面とを取り巻く接地座35が嵌め込まれている。板状に形成され複数本の杆体32を各々連結する連結部材33は接地座35と一体成型される。杆体32の張り出し部34下面には軟質合成樹脂からなる接着層36が設けられており、連結部材33の端部が各々接着層36に溶融溶着されて杆体32に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−8472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の溝蓋31では、各杆体32に連結部材33を溶融溶着して杆体32を連結するため手間が掛かる。また、溝蓋31は長尺物であるので、巻いて丸めた状態で保管し運搬することができれば便利である。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、溶融溶着し、あるいは工具を用いたりすることなく、人の手で簡単に組み立てられ、さらに巻き取って丸めた状態で保管、運搬することができるグレーチングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために請求項1に係る発明は、溝部の開口部を覆うように互いに適当間隔を開けて設置されるべく、硬質合成樹脂からなる断面I型の多数本のバー材と、多数本のバー材を互いに連結する弾性を備えた樹脂製の帯状の連結部材とからなり、前記各バー材の下端板部と上端板部との間に位置する立ち上がり板部の長さ方向両端部には前記連結部材を保持する保持溝部が形成され、前記保持溝部はバー材の端部に開口する連結部材差し込み用溝部と、この溝部の内端より上向きに傾斜する係止溝部とを備えて、この係止溝部に前記連結部材を傾斜した状態で係止させるように構成したものである。
【0007】
請求項2に係る発明では、連結部材の長さ方向に沿う両側に、等間隔おきに凹部が形成され、この凹部が各バーの係止溝部の両端部に係止するように構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、立ち上がり板部の長さ方向両端部には連結部材を保持する保持溝部が形成され、保持溝部はバー材の端部に開口する連結部材差し込み用溝部と、この溝部の内端より上向きに傾斜する係止溝部とを備えて、この係止溝部に連結部材を傾斜した状態で係止させるので、溶融溶着し、あるいは工具を用いたりすることなく、人の手で簡単に組み立てられ、さらに巻き取って丸めた状態で保管、運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るグレーチングの斜視図である。
【図2】グレーチングの平面図である。
【図3】グレーチングの正面図である。
【図4】グレーチングの側面図である。
【図5】バー材の平面図である。
【図6】バー材の正面図である。
【図7】バー材の断面図である。
【図8】保持溝部の拡大図である。
【図9】連結部材の平面図である。
【図10】連結部材の側面図である。
【図11】グレーチングの組み立て手順を示す図である。
【図12】巻き取られたグレーチングの正面図である。
【図13】従来のグレーチングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係るグレーチング1の斜視図である。図2はグレーチング1の平面図である。図3はグレーチング1の正面図である。図4はグレーチング1の側面図である。図5はバー材2の平面図である。図6はバー材2の正面図である。図7はバー材2の断面図である。図8は保持溝部8の拡大図である。図9は連結部材3の平面図である。図10は連結部材3の側面図である。図11はグレーチング1の組み立て手順を示す図である。図12は巻き取られたグレーチング1の正面図である。
【0011】
グレーチング1は、複数本のバー材2と、バー材2を適当な間隔を設けた状態で連結する連結部材3とを備える。バー材2は硬質合成樹脂を用いて形成され、たとえば、硬質塩化ビニール樹脂を押し出し成型した断面I形の長尺物を適当な長さに切断して形成される。バー材2は、I形の縦方向の辺を形成する立ち上がり板部4と、立ち上がり板部4の上端に連設され水平方向に細長な上端板部5と、立ち上がり板部4の下端に連設され水平方向に細長な下端板部6とを備える。
【0012】
立ち上がり板部4の長手方向端部には、凹状に形成され連結部材3を保持する保持溝部8が形成される。保持溝部8は、立ち上がり板部4の端面7に開口し連結部材3が差し込まれる差し込み用溝部9と、差し込み用溝部9の上方に連設され連結部材3を係止する係止溝部11とを備える。
【0013】
差し込み用溝部9は、立ち上がり板部4の端部から立ち上がり板部4の内側に向かって水平からやや上方に傾いた方向に形成される。差し込み用溝部9の下面10は係止溝部11の内側端面12に接続される。差し込み用溝部9の上面13は円弧状の曲面で形成されており係止溝部11の外側端面14に隣接する下面15に接続される。差し込み用溝部9の下面10と立ち上がり板部4の端面7とによって形成される下部角部16と、差し込み用溝部8の上面13と立ち上がり板部4の端面7とによって形成される上部角部17とは各々R面取りされている。
【0014】
上端板部5の上面には長手方向に細長な溝部20が適当間隔を開けて4箇所形成される。溝部20が形成された上端板部5の上面には、軟質合成樹脂層である軟質塩化ビニール樹脂層21が形成される。軟質塩化ビニール樹脂層21は、たとえば0.5mmの厚みとされ、バー材2が押し出し成形されるときに形成される。上端板部5の上面に溝部20および軟質塩化ビニール樹脂層21が形成されることによって、グレーチング1がプールサイドや浴室などで水に濡れた状態で使用されるときに、滑り止めの効果を生じる。グレーチング1は、上端板部5よりもやや幅狭に形成された下端板部6が不図示の排水口に当接した状態で設置される。
【0015】
連結部材3は、硬質合成樹脂である硬質塩化ビニール樹脂を用いて押し出し成形される。連結部材3は、長尺な平板状の本体部22と、本体部22の長手方向両側面に本体部22に対してやや斜めに傾いた状態で連設される傾斜部23とを備える。傾斜部23は、互いに逆方向に傾斜しており、長手方向には複数の切欠き24が等間隔を置いて形成されている。切欠き24のピッチP2は、複数個配置されるバー材2のピッチP1に合わせられる。切欠き24の幅は、切欠き24にバー材2の立ち上がり板部4を嵌め込むことができる幅とされる。
【0016】
ここで、グレーチング1の組み立て手順について説明する。図11(a)に示すようにバー材2の保持溝部8に連結部材3が差し込まれる。連結部材3は、本体部22を略水平方向に向けた状態で上方に傾斜している傾斜部23側から差し込み用溝部9に差し込まれる。連結部材3は差し込み用溝部9の下面10に沿って差し込まれ、図11(b)に示すように切欠き24aが係止溝部11の奥側側面25に当接する。次に、奥側側面25に当接した切欠き24aを中心として、下方に傾斜している傾斜部23を持ち上げるように連結部材3を回動させる。切欠き24aは係止溝部11の奥側側面25から離れ、係止溝部11の内側端面12に当接するとともに本体部22上面が係止溝部11の奥側側面25に当接する。係止溝部11の内側端面12に当接している切欠き24aとは本体部22に対して他方側に位置する切欠き24bは、係止溝部11の外側端面14に当接する。図11(c)はこの状態を示している。作業者は、このようにして工具等を用いることなく連結部材3を係止溝部11に簡単に係止させることができる。
【0017】
垂直方向に立ち上がった状態の連結部材3をバー材2に係止した場合には、連結部材3の曲げ剛性が高くなり過ぎてグレーチング1を巻き取って丸めることができなくなることがある。一方、水平方向に細長な状態の連結部材3をバー材2に係止した場合には、連結部材3が係止される保持溝部8が水平方向に細長となり、グレーチング1が設置される排水溝の溝枠を越えて排水溝の溝部にまたがった状態で保持溝部8が形成されることがある。保持溝部8がこのような状態で形成されると、バー材2の剛性が低下し、載荷時にバー材2がたわむことがある。
【0018】
本実施の形態においては、連結部材3が保持溝部8の奥側側面25に沿って斜めに傾いた状態で係止されるので、バー材2の剛性を損なうことなく、グレーチング1を巻き取って丸めることができる。グレーチング1を巻き取って丸めた状態を図12に示す。
【0019】
このように、溝部の開口部を覆うように互いに適当間隔を開けて設置されるべく、硬質合成樹脂からなる断面I型の多数本のバー材2と、多数本のバー材2を互いに連結する弾性を備えた樹脂製の帯状の連結部材3とからなり、各バー材2の下端板部6と上端板部5との間に位置する立ち上がり板部4の長さ方向両端部には連結部材3を保持する保持溝部8が形成され、保持溝部8はバー材2の端部に開口する連結部材3差し込み用溝部9と、この溝部9の内端である内側端面12より上向きに傾斜する係止溝部11とを備えて、この係止溝部11に連結部材3を傾斜した状態で係止させるように構成するので、溶融溶着し、あるいは工具を用いたりすることなく人の手で簡単に組み立てられ、さらにコンパクトに巻き取って丸めた状態で保管、運搬することができる。
【0020】
さらに、連結部材3の長さ方向に沿う両側に、等間隔おきに凹部である切欠き24が形成され、この切欠き24が各バー材2の係止溝部11の両端部である内側端面12,外側端面14に係止するように構成するので、人の手で簡単に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 グレーチング
2 バー材
3 連結部材
4 立ち上がり板部
5 上端板部
6 下端板部
7 端部
8 保持溝部
9 差し込み用溝部
10 下面
11 係止溝部
12 内側端面
13 上面
14 外側端面
15 下面
16 下部角部
17 上部角部
20 溝部
21 軟質塩化ビニール樹脂層
22 本体部
23 傾斜部
24,24a,24b 切欠き
25 奥側側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝部の開口部を覆うように互いに適当間隔を開けて設置されるべく、硬質合成樹脂からなる断面I型の多数本のバー材と、多数本のバー材を互いに連結する弾性を備えた樹脂製の帯状の連結部材とからなり、前記各バー材の下端板部と上端板部との間に位置する立ち上がり板部の長さ方向両端部には前記連結部材を保持する保持溝部が形成され、
前記保持溝部はバー材の端部に開口する連結部材差し込み用溝部と、この溝部の内端より上向きに傾斜する係止溝部とを備えて、この係止溝部に前記連結部材を傾斜した状態で係止させるように構成したことを特徴とするグレーチング。
【請求項2】
連結部材の長さ方向に沿う両側には、等間隔おきに凹部が形成され、この凹部が各バーの係止溝部の両端部に係止するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のグレーチング。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−87528(P2013−87528A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230225(P2011−230225)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)
【Fターム(参考)】