説明

グロメット組立部品

【課題】ボディパネルに対する取付作業性に優れ、かつ、取付後において一部の線状体に対する作業性にも優れたグロメット組立部品を提供することを目的とする。
【解決手段】ボディパネル10に形成された開口部12に取付けられ、第1線状体(例えば管16)及び第2線状体(例えばワイヤーハーネス18)を保持するグロメット組立部品20であって、第1取付孔32を有する第1プレート30と、第1線状体が挿通された状態で第1取付孔32に装着される第1グロメット40と、第2取付孔52を有する第2プレート50と、第2線状体が挿通された状態で第2取付孔52に装着される第2グロメット60とを備える。第1プレート30と第2プレート50とが、開口部12を閉塞するようにボディパネル10に取付け可能でかつボディパネル10に取付けられた状態で第1プレート30を残して第2プレート50を取外し可能な態様で一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネス等の線状体を、パネルに形成された開口部を通って配索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等において、ワイヤーハーネスは、ボディパネルに形成された開口部を通って配索されることがある。この場合、ワイヤーハーネスを通った水の侵入を抑制する等の目的で、開口部にゴム製のグロメットが装着され、ワイヤーハーネスはそのグロメットを通って配索される。
【0003】
かかるグロメットに関する技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−85395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ボディパネルに対して複数の線状体を貫通して配設する場合がある。
【0006】
この場合、それぞれの線状体用にグロメットを用いるとすると、複数のグロメットをそれぞれ別々にパネルの開口部に取付ける作業が必要となってしまい、その取付作業が面倒となってしまう。
【0007】
これに対して、単一のグロメットに複数の線状体を挿通させた場合、グロメット取付後において、一部の線状体に関するメンテナンス作業等が必要になった場合にも、全ての線状体を作業対象とする必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、複数の線状体をボディパネルに貫通して配設する場合において、ボディパネルに対する取付作業性に優れ、かつ、取付後において一部の線状体に対する作業性にも優れたグロメット組立部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、ボディパネルに形成された開口部に取付けられ、前記開口部に挿通される第1線状体及び第2線状体を保持するグロメット組立部品であって、第1取付孔を有する第1プレートと、前記第1線状体が挿通された状態で前記第1取付孔に装着される第1グロメットと、第2取付孔を有する第2プレートと、前記第2線状体が挿通された状態で前記第2取付孔に装着される第2グロメットとを備え、前記第1プレートと前記第2プレートとが、前記開口部を閉塞するように前記ボディパネルに取付け可能で、かつ、前記ボディパネルに取付けられた状態で前記第1プレートを残して前記第2プレートを取外し可能な態様で、一体化されている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るグロメット組立部品であって、前記第1プレートは、前記開口部の外周をシールした状態で前記ボディパネルに取付け可能に構成されると共に、前記第1プレートに前記第2プレートを取付けるための第2プレート取付孔が形成され、前記第2プレートが前記第2プレート取付孔の外周をシールした状態で前記第1プレートに取付けられる。
【0011】
第3の態様は、第2の態様に係るグロメット組立部品であって、前記第1プレートの一主面に、前記開口部の外周に密着可能な第1弾性シール部が設けられ、前記第2プレートの一主面に、前記第2プレート取付孔の外周に密着可能な第2弾性シール部が設けられている。
【0012】
第4の態様は、第1の態様に係るグロメット組立部品であって、前記第1プレート上に前記第2プレートを部分的に重ねてシールしつつ、前記第1プレートと前記第2プレートとが並べられた状態で一体化され、前記第1プレートと前記第2プレートとの一体化物が、前記開口部の外周をシールした状態で前記ボディパネルに取付け可能に構成されている。
【0013】
第5の態様は、第4の態様に係るグロメット組立部品であって、前記第1プレートの一主面及び前記第2プレートの一主面に、それらの一体化状態において、前記開口部の外周に密着可能な第1弾性シール部及び第2弾性シール部が設けられ、前記第1プレートと前記第2プレートとの相互の重なり部分の少なくとも一方に、前記第1プレートと前記第2プレートとの間をシール可能な介在シール部が設けられている。
【0014】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るグロメット組立部品であって、前記ボディパネルに対する前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方の固定、前記第1プレートに対する前記第2プレートの固定のすくなくとも1つが、一方の部材に立設されたボルトを他方の部材に形成されたボルト挿通孔に挿通させてナットを前記ボルトに締付けることにより行われる。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様に係るグロメット組立部品によると、第1プレート及び第2プレートが一体化されているため、グロメット組立部品を1つの部品としてボディパネルに取付けることができ、ボディパネルに対する取付作業性に優れる。また、グロメット組立部品をボディパネルに取付けた状態において、第1プレートを残して第2プレートを取外すことができるため、第2プレートの第2取付孔に装着された第2グロメットに保持された線状体に対する作業性に優れる。
【0016】
第2の態様によると、ボディパネルと前記第1プレートとの間で、開口部の外周のシールが行われ、第1プレートと第2プレートとの間で第2プレート取付孔の外周のシールが行われる。このため、ボディパネルの両面側でのシール性に優れる。
【0017】
第3の態様によると、ボディパネルと前記第1プレートとの間で第1弾性シール部によるシールを行い、第1プレートと第2プレートとの間で第2弾性シール部によるシールを行うことができ、より確実なシールを行うことができる。
【0018】
第4の態様によると、第1プレート及び第2プレートを比較的簡易な形状とすることができるため、低コストで製造できる。
【0019】
第5の態様によると、ボディパネルと第1プレート及び第2プレートとの間では、第1弾性シール部と第2弾性シール部とでシールを行うことができ、第1プレートと第2プレートとの間では介在シール部によってシールを行うことができ、より確実なシールを行うことができる。
【0020】
第6の態様によると、第1プレート、第2プレート等の固定を、ボルトに対するナットの締付け作業により容易かつしっかりと行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るグロメット組立部品を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線端面図である。
【図3】第1プレートを示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV線端面図である。
【図5】第2プレートを示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線端面図である。
【図7】第2実施形態に係るグロメット組立部品を示す正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線端面図である。
【図9】第1プレートを示す正面図である。
【図10】第2プレートを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るグロメット組立部品について説明する。図1は同実施形態に係るグロメット組立部品20を示す正面図であり、図2は図1のII−II線端面図であり、図3は第1プレート30を示す正面図であり、図4は図3のIV−IV線端面図であり、図5は第2プレート50を示す正面図であり、図6は図5のVI−VI線端面図である。
【0023】
このグロメット組立部品20は、車両等におけるボディパネル10に形成された開口部12に取付けられ、当該開口部12に挿通される第1線状体及び第2線状体を保持するように構成されている。ボディパネル10としては、車両におけるエンジンルームと車室とを仕切るパネル等が想定されるが、その他の部位に配設されるパネルであってもよい。一般的には、本グロメット組立部品20は、被水するおそれがある空間と防水された空間とを仕切るパネルに適用されることが好ましい。開口部12は、ここでは、方形状に形成されているが、円形状等他の形状であってもよい。なお、ボディパネル10の一主面であって開口部12の外周には、取付用のボルト13(スタッドボルト)が立設されている。ここでは、開口部12の各コーナー部に対応する位置にボルト13が立設されている。ボルト13は、溶接等によってボディパネル10に固定されている。第1線状体及び第2線状体としては、電気信号、電力等を伝達する電線或は複数の電線を束ねたワイヤーハーネス、気体或は液体等の流体を流す管等が想定される。ここでは、第1線状体として、空調用の流体が通る管16が想定されている。また、第2線状体として、電線を束ねたワイヤーハーネス18が想定されている。他の線状体が、開口部12に挿通され、本グロメット組立部品20によって保持されてもよい。
【0024】
グロメット組立部品20は、第1プレート30と、第1グロメット40と、第2プレート50と、第2グロメット60とを備えている。
【0025】
第1プレート30は、第1取付孔32を有しており、上記開口部12の少なくとも一部を塞ぐ形状、ここでは、板形状に形成されている。
【0026】
本実施形態では、第1プレート30は、開口部12よりも大きい(一回り大きい)方形状板部材に形成されている。また、第1プレート30のうち上記ボルト13に対応する位置、即ち、各コーナー部に、ボルト挿通孔31が形成されている。そして、各ボルト13をそれぞれボルト挿通孔31に挿通するようにして、第1プレート30をボディパネル10の一主面側に配設することで、第1プレート30の一主面の外周が、開口部12の外周で前記ボディパネル10の面に対向して配設されるようになっている。また、この状態で、第1プレート30とボディパネル10との間に、後述する第1弾性シール部46が挟込まれることで、前記開口部12の外周でボディパネル10と第1プレート30との間の空間がシールされる。さらに、この状態で、各ボルト13にナットNを螺合させることで、ボディパネル10とナットNとの間に第1プレート30が挟み込まれ、第1プレート30がボディパネル10に取付けられるようになっている。
【0027】
第1取付孔32は、第1プレート30の中間部、ここでは、その長手方向一端部より(図1では上端より)の位置に形成されている。ここでは、第1取付孔32は、方形状の孔であるが、当該形状は装着対象となる第1グロメット40の形状に応じて適宜変更される。
【0028】
第1グロメット40は、管16が挿通された状態で、第1取付孔32に装着可能に構成されている。より具体的には、第1グロメット40は、ゴム等のエラストマーによって形成された部材であり、上記第1取付孔32に嵌め込み可能な直方体状の装着部42に管16を挿入可能な装着孔44が形成された構成とされている。装着部42と第1取付孔32との間を通った水の侵入を抑制するため、装着部42は、第1取付孔32に隙間無く嵌め込み可能な外周形状に形成されていることが好ましい。また、ここでは、2つの管16を保持すべく、2つの装着孔44が形成されている。管16と装着孔44との間で水の侵入を抑制するため、装着孔44は管16に密着可能な大きさ、形状に形成されていることが好ましい。
【0029】
また、第1プレート30の一主面には、ボディパネル10のうち開口部12の外周に密着可能な第1弾性シール部46が形成されている。ここでは、第1プレート30の一主面の外周に、開口部12の外周全体を囲うように第1弾性シール部46が形成されている。ここでは、第1弾性シール部46は、ゴム等のエラストマーによって形成されており、横断面略三角形状の突条に形成されている。そして、この第1弾性シール部46が、開口部12の外周で、第1プレート30とボディパネル10との間に挟み込まれることでそれらに密着し、当該開口部12の外周でボディパネル10と第1プレート30との間をシールする。
【0030】
なお、本実施形態では、上記第1グロメット40と第1弾性シール部46との間には、第1プレート30の一主面に沿って延在する薄膜状の介在連結部47が介在しており、上記第1グロメット40と第1弾性シール部46とは、介在連結部47を介して連結された状態で、ゴム等のエラストマーによって一体的に金型成形される。なお、第1グロメット40と第1弾性シール部46とは別体に形成されていてもよい。
【0031】
また、第1プレート30には、第2プレート50を取付けるための第2プレート取付孔38が形成されている。ここでは、第2プレート取付孔38は、第1プレート30の中間部、ここでは、その長手方向他端部より(図1では下端より)の位置に形成されている。ここでは、第2プレート取付孔38は、方形状の孔であるが、当該形状は装着対象となる第2プレート取付孔38の形状等に応じて適宜変更される。
【0032】
また、この第1プレート30の他主面(ボディパネル10に対して反対側を向く面)であって第2プレート取付孔38の外周には、ボルト39(スタッドボルト)が立設されている。ここでは、第2プレート取付孔38の各コーナー部に対応する位置にボルト39が立設されている。ボルト39は、溶接等によって第1プレート30に固定されている。
【0033】
第2プレート50は、第2取付孔52を有しており、上記第2プレート取付孔38を塞ぐ形状、ここでは、板形状に形成されている。
【0034】
本実施形態では、第2プレート50は、第2プレート取付孔38よりも大きい(一回り大きい)方形状板部材に形成されている。また、第2プレート50のうちボルト39に対応する位置、即ち、各コーナー部にボルト挿通孔51が形成されている。そして、各ボルト39をそれぞれボルト挿通孔51に挿通するようにして、第2プレート50を第1プレート30の他主面側に配設することで、第2プレート50の一主面が第1プレート30の他主面に対向して配設される。また、この状態で、第1プレート30と第2プレート50との間に、後述する第2弾性シール部66が挟み込まれることで、第2プレート取付孔38の外周で第1プレート30と第2プレート50との間の空間がシールされる。さらに、この状態で、ボルト39にナットNを螺合させることで、第1プレート30とナットNとの間に第2プレート50が挟み込まれ、第2プレート50が第1プレート30に取付けられるようになっている。このように、第1プレート30に第2プレート50が取付けられた状態では、それらが一体化された状態で、前記開口部12を閉塞するようにボディパネル10に取付けられる。また、そのように第1プレート30及び第2プレート50がボディパネル10に取付けられた状態で、ナットNを緩めてボルト39から取外すと、第1プレート30をボディパネル10に取付けたままの状態で、第2プレート50だけを第1プレート30及びボディパネル10から取外すことができるようになっている。
【0035】
第2取付孔52は、第2プレート50の中間部、ここでは、第2プレート50の中央部に形成されている。ここでは、第2取付孔52は、方形状の孔であるが、当該形状は装着対象となる第2グロメット60の形状に応じて適宜変更される。
【0036】
第2グロメット60は、ワイヤーハーネス18が挿通された状態で、第2取付孔52に装着可能に構成されている。より具体的には、第2グロメット60は、ゴム等のエラストマーによって形成された部材であり、上記第2取付孔52に装着可能な柱状の装着部62にワイヤーハーネス18を装着可能な装着孔64が形成された構成とされている。装着部62と第2取付孔52との間を通った水の侵入を抑制するため、装着部62は、第2取付孔52に隙間無く嵌め込み可能な外周形状に形成されていることが好ましい。ここでは、装着部62の外周の軸方向中間部に環状溝が形成されており、第2取付孔52が当該環状溝に嵌め込まれることで、本第2グロメットが第2取付孔52に抜け止状に装着されるようになっている。また、ワイヤーハーネス18と装着孔64との間で水の侵入を抑制するため、装着孔64はワイヤーハーネス18に密着可能な大きさ、形状に形成されていることが好ましい。
【0037】
また、第2プレート50の一主面には、第1プレート30のうち第2プレート取付孔38の外周に密着可能な第2弾性シール部66が形成されている。ここでは、第2プレート50の一主面の外周に、第2プレート取付孔38の外周全体を囲うように第2弾性シール部66が形成されている。第5弾性シール部56は、ゴム等のエラストマーによって形成されており、横断面略三角形状の突条に形成されている。そして、この第2弾性シール部66が、第2プレート取付孔38の外周で、第1プレート30と第2プレート50との間に挟み込まれることでそれらに密着し、当該第2プレート取付孔38の外周で第1プレート30と第2プレート50との間をシールする。
【0038】
なお、本実施形態では、上記第2グロメット60と第2弾性シール部66との間には、第2プレート50の一主面に沿って延在する薄膜状の介在連結部67が介在しており、上記第2グロメット60と第2弾性シール部66とは、介在連結部67を介して連結された状態で、ゴム等のエラストマーによって一体的に金型成形される。なお、第2グロメット60と第2弾性シール部66とは別体に形成されていてもよい。
【0039】
以上のように構成されたグロメット組立部品20によると、管16を保持した第1グロメット40を第1プレート30に装着すると共に、ワイヤーハーネス18を保持した第2グロメット60を第2プレート50に装着し、第2プレート50を第1プレート30に取付けて一体化した形態とすることができる。そして、第1プレート30と第2プレート50とを車両におけるボディパネル10に組付けることができる。このため、管16を保持した第1グロメット40とワイヤーハーネス18を保持した第2グロメット60とを同時にボディパネル10に取付けることができ、それらの取付作業性に優れる。また、グロメット組立部品20をボディパネル10に取付けた状態において、第1プレート30をボディパネル10に取付けて残したままの状態で、第1プレート30から第2プレート50を取外すことができる。このため、第2プレート50に装着された第2グロメット60が保持するワイヤーハーネス18に対するメンテナンス作業(電線の追加、交換作業等)に優れる。また、第2グロメット60の交換作業等も容易に行える。
【0040】
また、第1プレート30は、ボディパネル10の開口部12の外周をシールした状態でボディパネル10に取付けられ、また、第2プレート50は、第2プレート取付孔38の外周をシールした状態で第1プレート30に取付けられるため、開口部12周り、第2プレート取付孔38周りのそれぞれで、一様なシール構造を実現できる。このため、ボディパネル10と第1プレート30との間、第1プレート30と第2プレート50との間で良好なシール構造を得ることができ、ボディパネル10の両面間でシール性に優れる。
【0041】
特に、第1プレート30の一主面に、開口部12の外周に密着可能な第1弾性シール部46が設けられため、ボディパネル10と単一の部材である第1プレート30との間で第1弾性シール部46によるシールを行うことができる。また、第2プレート50の一主面に、第2プレート取付孔38の外周に密着可能な第2弾性シール部66が設けられているため、単一の部材である第1プレート30と単一の部材である第2プレート50との間で第2弾性シール部66によるシールを行うことができる。従って、ボディパネル10の両面側間で、より確実なシールを行うことができる。
【0042】
また、ボディパネル10に対する第1プレート30の取付、第1プレート30に対する第2プレート50の取付が、ボルト13、39に対するナットNの締付けによって行われているため、第1プレート30、第2プレート50等の固定を容易かつしっかりと行える。また、ナットNの締付け作業によって、第1弾性シール部46及び第2弾性シール部66がより確実かつ十分に圧縮され、より確実なシール性を得ることができる。
【0043】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るグロメット組立部品120について説明する。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。図7は本実施形態に係るグロメット組立部品120を示す正面図であり、図8は図7のVIII−VIII線端面図であり、図9は第1プレート130を示す正面図であり、図10は第2プレート150を示す正面図である。
【0044】
グロメット組立部品120は、第1プレート130と、第1グロメット40と、第2プレート150と、第2グロメット60とを備えている。
【0045】
第1プレート130は、第1取付孔32を有しており、上記開口部12の少なくとも一部を塞ぐ形状、ここでは、開口部12の一部を塞ぐ板形状に形成されている。
【0046】
本実施形態では、第1プレート130は、開口部12の上半分よりも大きい(一回り大きい)方形状板部材に形成されている。また、第1プレート130のうち開口部12のコーナー部分のボルト13に対応する位置に、ボルト挿通孔131が形成されている。また、第1プレート130のうち第2プレート150と重ねられる部分のコーナー部には、ボルト138が立設されている。ボルト138は、例えば溶接等で第1プレート130に固定されている。そして、各ボルト13をそれぞれボルト挿通孔131に挿通するようにして、第1プレート130をボディパネル10の一主面側に配設することで、第1プレート130の一主面の外周3方が、開口部12の外周の上半部で前記ボディパネル10の面に対向して配設されるようになっている。また、この状態で、第1プレート130とボディパネル10との間に、後述する第1弾性シール部146が挟込まれることで、前記開口部12の外周の上半部でボディパネル10と第1プレート130との間の空間がシールされる。さらに、この状態で、各ボルト13にナットNを螺合させることで、ボディパネル10とナットNとの間に第1プレート130が挟み込まれる。第1プレート130の上側コーナー部分がボディパネル10に取付けられるようになっている。
【0047】
第1取付孔32は、第1プレート130の中間部、ここでは、中央の位置に形成されている。第1取付孔32自体は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0048】
また、第1グロメット40は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0049】
また、第1プレート130の一主面には、ボディパネル10のうち開口部12の外周の一部、ここでは、上半部に密着可能な第1弾性シール部146が形成されている。ここでは、第1プレート130の一主面の外周の上側及び両側に、開口部12の外周上半部を囲うように第1弾性シール部146が形成されている。ここでは、第1弾性シール部146は、ゴム等のエラストマーによって形成されており、横断面略三角形状の突条に形成されている。そして、この第1弾性シール部146が、開口部12の外周上半部で、第1プレート130とボディパネル10との間に挟み込まれることでそれらに密着し、当該開口部12の外周上半部でボディパネル10と第1プレート130との間をシールする。
【0050】
なお、本実施形態では、上記第1グロメット40と第1弾性シール部146との間には、第1プレート130の一主面に沿って延在する薄膜状の介在連結部147が介在しており、上記第1グロメット40と第1弾性シール部146とは、介在連結部147を介して連結された状態で、ゴム等のエラストマーによって一体的に金型成形される。なお、第1グロメット40と第1弾性シール部146とは別体に形成されていてもよい。
【0051】
第2プレート150は、第2取付孔52を有しており、上記開口部12の少なくとも一部を塞ぐ形状、ここでは、開口部12の一部を塞ぐ板形状に形成されている。
【0052】
本実施形態では、第2プレート150は、開口部12の下半分よりも大きい(一回り大きい)方形状板部材に形成されている。この第2プレート150の一部(図7の上部)は、ボディパネル10の一主面に密着状に配設される部分150aであり、他の一部は第1プレート130と重ね合される部分150bである。ボディパネル10の一主面に配設される部分150aと第1プレート130に重ね合される部分150bとの間には、段部が介在しており、後者の重ね合される部分150bは、前者の部分よりも、第1プレート130の厚みと後述する介在シール部168の厚みとの寸法分、ボディパネル10より離れる位置に配設されるようになっている。そして、前記150bを第1プレート130の重ね合せるように、第1プレート130と第2プレート150とを部分的に重ね合せて両者を並べた状態で一体化すると、開口部12よりも大きい(一回り大きい)方形板部材が形成される。そして、第1プレート130と第2プレート150との一体化物が、開口部12の外周をシールした状態で、ボディパネル10に取付けられるようになっている。
【0053】
より具体的には、第2プレート150のうちボディパネル10の一主面に配設される部分150aのコーナー部分には、ボルト13を挿通可能なボルト挿通孔158が形成されている。なお、本実施形態では、ボルト138の両側辺部分の中間部にもボルト13が立設されている。また、第2プレート150のうち第1プレート130に重ね合される部分の両端部にボルト挿通孔158が形成されている。
【0054】
また、第2プレート150のうちボディパネル10の一主面に配設される部分150aの一主面には、ボディパネル10のうち開口部12の外周の一部、ここでは、下半部に密着可能な第2弾性シール部166が形成されている。ここでは、第2プレート150の前記部分150aの一主面の外周の下側及び両側に、開口部12の外周下半部を囲うように第2弾性シール部166が形成されている。ここでは、第2弾性シール部166は、ゴム等のエラストマーによって形成されており、横断面略三角形状の突条に形成されている。そして、この第2弾性シール部166が、開口部12の外周下半部で、第2プレート150とボディパネル10との間に挟み込まれることでそれらに密着し、当該開口部12の外周下半部でボディパネル10と第2プレート150との間をシールする。つまり、第1プレート130の一主面及び第2プレート150の一主面に、それらの一体化状態において、開口部12の外周に密着可能な第1弾性シール部146及び第2弾性シール部166が設けられている。
【0055】
また、第2プレート150のうち第1プレート130に重ね合される部分150bの一主面には、第1プレート130と第2プレート150との間をシール可能な介在シール部168が設けられている。ここでは、前記部分150bの両端部間に亘って、介在シール部168が設けられている。なお、第1プレート130側に介在シール部が設けられていてもよい。
【0056】
第2取付孔52は、第2プレート150の中間部、ここでは、中央の位置に形成されている。第2取付孔52自体は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0057】
また、第2グロメット60は、上記実施形態で説明したものと同様である。
【0058】
なお、本実施形態では、上記第2グロメット60と第2弾性シール部166及び介在シール部168との間には、第2プレート150の一主面に沿って延在する薄膜状の介在連結部167が介在しており、上記第2グロメット60と第2弾性シール部166及び介在シール部168とは、介在連結部167を介して連結された状態で、ゴム等のエラストマーによって一体的に金型成形される。なお、第2グロメット60と第2弾性シール部166、介在シール部168とは別体に形成されていてもよい。
【0059】
そして、第2プレート150の部分150bを第1プレート130の一部に重ね合せ、ボルト138をボルト挿通孔158に挿通させて、当該ボルト138にナットNを螺合締付けすることで、第1プレート130とナットNとの間に第2プレート150の部分150bが挟込まれる。これにより、第1プレート130と第2プレート150とが、開口部12を閉塞可能な形状に一体化される。この状態では、第1プレート130と第2プレート150との重ね合せ部分に、介在シール部168が圧縮された状態で介在しており、これにより、第1プレート130と第2プレート150との重ね合せ部分におけるシールがなされている。
【0060】
また、この第1プレート130と第2プレート150との一体化物を開口部12の外周でボディパネル10の一主面に取付け、ボルト13を、各ボルト挿通孔131、158に挿通させて、当該ボルト13にナットNを螺合させることで、ボディパネル10とナットNとの間に第1プレート130或は第2プレート150が挟み込まれ、第1プレート130及び第2プレート150の一体化物がボディパネル10に取付けられるようになっている。
【0061】
さらに、上記取付状態から、第2プレート150を締付けるナットN(図7において上側の2つを除く6つのナットN)を緩めて取外すと、第1プレート130をボディパネル10に取付けて残したままの状態で、第1プレート130から第2プレート150を取外すことができる。
【0062】
以上のように構成されたグロメット組立部品120によると、第1プレート130と第2プレート150とを一体化した形態で、車両におけるボディパネル10に組付けることができるため、取付作業性に優れる。また、グロメット組立部品120をボディパネル10に取付けた状態において、第1プレート130をボディパネル10に取付けて残したままの状態で、第1プレート130から第2プレート150を取外すことができる。このため、第2プレート150に装着された第2グロメット60が保持するワイヤーハーネス18に対するメンテナンス作業(電線の追加、交換作業等)に優れる。また、第2グロメット60の交換作業等も容易に行える。
【0063】
また、第1プレート130及び第2プレート150は、それぞれの一部を重ね合せることで、開口部12を塞ぐことができる形状に一体化されるため、第1プレート130及び第2プレート150を比較的簡易な形状とすることができる、低コストで製造できる。
【0064】
また、ボディパネル10と本グロメット組立部品との間では、第1弾性シール部146及び第2弾性シール部166とでシールを行うことができ、第1プレート130と第2プレート150との間では介在シール部168によってシールを行うことができ、より確実なシールを行うことができる。
【0065】
また、ボディパネル10に対する第1プレート130及び第2プレート150の取付、第1プレート130に対する第2プレート150の重ね合せ取付が、ボルト13、138に対するナットNの締付けによって行われているため、第1プレート130、第2プレート150等の固定を容易かつしっかりと行える。また、ナットNの締付け作業によって、第1弾性シール部146及び第2弾性シール部166がより確実かつ十分に圧縮され、より確実なシール性を得ることができる。
【0066】
{変形例}
なお、第1プレートと第2プレートとを一体化する例は上記例に限られない。つまり、第1プレートと第2プレートとは、それらがボディパネルの開口部を塞ぐことができ、かつ、ボディパネルに第1プレートを残した状態のままで第2プレートを取外すことができるように、一体化されていればよい。
【0067】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0068】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0069】
10 ボディパネル
12 開口部
13、39、138 ボルト
16 管
18 ワイヤーハーネス
20、120 グロメット組立部品
30、130 第1環状プレート
31、131 ボルト挿通孔
32 第1取付孔
38 第1プレート取付孔
38 第2プレート取付孔
39、138 ボルト
40 第2グロメット
46、148 第1弾性シール部
50、150 第2プレート
51 ボルト挿通孔
52 第2取付孔
60 第2グロメット
66 第2弾性シール部
158 ボルト挿通孔
166 第2弾性シール部
168 介在シール部
N ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディパネルに形成された開口部に取付けられ、前記開口部に挿通される第1線状体及び第2線状体を保持するグロメット組立部品であって、
第1取付孔を有する第1プレートと、
前記第1線状体が挿通された状態で前記第1取付孔に装着される第1グロメットと、
第2取付孔を有する第2プレートと、
前記第2線状体が挿通された状態で前記第2取付孔に装着される第2グロメットと、
を備え、
前記第1プレートと前記第2プレートとが、前記開口部を閉塞するように前記ボディパネルに取付け可能で、かつ、前記ボディパネルに取付けられた状態で前記第1プレートを残して前記第2プレートを取外し可能な態様で、一体化されている、グロメット組立部品。
【請求項2】
請求項1記載のグロメット組立部品であって、
前記第1プレートは、前記開口部の外周をシールした状態で前記ボディパネルに取付け可能に構成されると共に、前記第1プレートに前記第2プレートを取付けるための第2プレート取付孔が形成され、
前記第2プレートが前記第2プレート取付孔の外周をシールした状態で前記第1プレートに取付けられる、グロメット組立部品。
【請求項3】
請求項2記載のグロメット組立部品であって、
前記第1プレートの一主面に、前記開口部の外周に密着可能な第1弾性シール部が設けられ、
前記第2プレートの一主面に、前記第2プレート取付孔の外周に密着可能な第2弾性シール部が設けられている、グロメット組立部品。
【請求項4】
請求項1記載のグロメット組立部品であって、
前記第1プレート上に前記第2プレートを部分的に重ねてシールしつつ、前記第1プレートと前記第2プレートとが並べられた状態で一体化され、前記第1プレートと前記第2プレートとの一体化物が、前記開口部の外周をシールした状態で前記ボディパネルに取付け可能に構成されている、グロメット組立部品。
【請求項5】
請求項4記載のグロメット組立部品であって、
前記第1プレートの一主面及び前記第2プレートの一主面に、それらの一体化状態において、前記開口部の外周に密着可能な第1弾性シール部及び第2弾性シール部が設けられ、
前記第1プレートと前記第2プレートとの相互の重なり部分の少なくとも一方に、前記第1プレートと前記第2プレートとの間をシール可能な介在シール部が設けられている、グロメット組立部品。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のグロメット組立部品であって、
前記ボディパネルに対する前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方の固定、前記第1プレートに対する前記第2プレートの固定のすくなくとも1つが、一方の部材に立設されたボルトを他方の部材に形成されたボルト挿通孔に挿通させてナットを前記ボルトに締付けることにより行われる、グロメット組立部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−31255(P2013−31255A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164174(P2011−164174)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】