説明

グロー放電発光分光分析用試料位置決め治具ならびに前記治具を備えたグロー放電発光分光分析装置および前記治具を用いる試料位置決め方法

【課題】 安価で簡単に所望の測定点について試料を正確に位置決めすることができるグロー放電発光分光分析用試料位置決め治具などを提供する。
【解決手段】 陽極管3dとその陽極管3dと同軸で試料6 の測定面6aが当接される円板状の支持部2 とを有するグロー放電管11を備えたグロー放電発光分光分析装置1 によって板状の試料6 の測定面6aにおける任意の測定点6bについて分析するために、前記支持部2 と同径の円板状で表側の面17a の中心に印17c が付けられた透明板17とともに用いられる試料位置決め治具12であって、表面14a に試料6 の裏面6eが貼り付けられる板状の保持部14と、その保持部14の表面14a から法線方向に延出し、前記透明板17の側面および前記支持部2 の側面に当接されて位置決めされる当接部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料をスパッタリングしながら、発生した光を分光器で分析するグロー放電発光分光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体圧力が500〜1300Pa程度のアルゴン(Ar)雰囲気中で、二つの電極間に直流または高周波の高電圧を印加すると、グロー放電が起こり、Arイオンが生成される。生成したArイオンは高電界で加速され、陰極表面に衝突し、そこに存在する物質をたたき出す。この現象をスパッタリングと呼ぶが、スパッタされた粒子(原子、分子、イオン)はプラズマ中で励起され、基底状態に戻る際にその元素に固有の波長の光を放出する。この発光を分光器で分光して試料中の元素を同定したり、発光の強度を測定し試料中の元素の量を定量したり、試料の表面膜の深さを定量したりする分析法が、グロー放電発光分光分析方法と呼ばれている。
【0003】
このグロー放電発光分光分析方法を具現化した従来の分析装置では、グロー放電管として、図16に示すような中空陽極型のグリムグロー放電管71が一般的に用いられている。このグリムグロー放電管71は、支持ブロック72(試料6が当接される支持部であって、この従来例では同時に陰極である)と陽極ブロック73とが、絶縁部であるセラミックス製や樹脂製の絶縁ワッシャ74を介して接合されている。陽極ブロック73には、中空陽極管73dが一体形成されており、この陽極管73dは、絶縁ワッシャ74を貫通して、試料6の測定面(表面)6aに近接している。この試料6は、その測定面6aにおける分析すべき部位を囲む環状形状となったOリングなどのシール部材81を介して、支持ブロック72に気密状態で押し付けられる。陽極管73dの先端面73eと試料6の測定面(表面)6aとの間隙は0.2mm程度であり、いわゆる放電ギャップを形成し、陽極管73dの内径は1〜8mm程度である。
【0004】
こうして、試料6により陽極管73dを収納する支持ブロック72の内方空間(グロー放電空間)Vの開口部を密閉し、この内方空間Vを、図示しない真空排気装置(減圧手段)により、第1および第2真空排気孔73b,73cから真空引きするようになっている。さらに、陽極ブロック73は、アルゴンガス供給孔73aを有しており、管内Vがアルゴンの希ガス雰囲気(500〜1300Pa)とされている。
【0005】
このグロー放電管71は、陽極管73dと試料6との間に、陽極ブロック73と支持ブロック72とを介して電源部(給電手段)82により高電圧を印加してグロー放電を発生させるとともに、一般に銅からなる支持ブロック72を通じ試料6に負電圧を印加し、グロー放電の発生により生成されるアルゴンの陽イオンを試料の測定面6aに衝突させて、試料6をスパッタリングするものである。
【0006】
グロー放電管71を利用して板状の試料6を分析する場合、図17に示すように、測定者は試料把持具75または測定者の手で試料6を把持し、試料支持具76とグロー放電管71との間に配置し、測定者は目測で試料6の所望の測定点6bが陽極管73dの軸線方向イとの接点になるように試料6を移動させ、Oリングなどのシール部材81を介して、支持ブロック72に気密状態で押し付ける。こうして、試料6により陽極管73dを収納する支持ブロック72の内方空間(グロー放電空間)Vの開口部を密閉し、この内方空間Vを、図示しない真空排気装置(減圧手段)により、第1および第2真空排気孔73b,73cから真空引きすることで、試料6は支持ブロック72(陰極)に密着する。試料6が支持ブロック72に密着すると試料支持具移動手段77により試料支持具76の押さえ具78で試料6の裏面6e(測定面とは反対側の面)を押え試料6を固定する。この状態で、陽極ブロック73と支持ブロック72とを介して陽極管73dと試料6との間に給電手段82により高電圧を印加するとグロー放電が発生し、試料6の測定面から生じる発光を図示しない分光器に取り込み分析を行う。
【0007】
このような従来のグロー放電発光分析装置61では、測定者は所望の測定点6bが直接見えない状態で試料6を支持ブロック72に押し付けて位置決めするので、所望の測定点6bが軸線方向イにくるように試料6を正確に位置決めすることができなかった。一度測定した試料の放電箇所には、試料が放電によって破壊された放電痕が試料表面にできるため、放電痕ができた箇所を分析部位として使用することはできない。そのため、所望の測定点6bが試料6の特定箇所の場合には、失敗が許されない状況であり試料6の位置決めは特に重要となる。
【0008】
そこで、試料6の所望の測定点6bの位置決め精度を向上させる工夫として、図18に示すように円板状の支持ブロック72の試料当接面72bに円板の円の中心、すなわち内周部の中心72aが十字線の交点になるように十字の寸法線72cを入れるとともに、図19(a),(b)に示すように試料6の所望の測定点6bに立てた測定面6aに垂直な方向線ハ上で試料の裏面6e(測定面とは反対側の面)との交点6cが十字線の交点6fになるように試料の裏面6eに支持ブロック72と同じ目盛りの十字の寸法線6dを入れる方法がある。この場合、試料6の表裏を何回もひっくり返し目測で試料の裏面6eに十字の寸法線6dを入れるので、試料の裏面6eに画かれた十字線の交点6fが試料6の測定面6aの所望の測定点6bに立てた測定面に垂直な方向線上で試料の裏面6e(測定面とは反対側の面)との交点6cに正確になっているか否かは定かではない。
【0009】
その後、測定者は試料把持具75または測定者の手で試料6を把持し、試料支持具76とグロー放電管71との間に配置し、円板状の支持ブロック72の試料当接面の十字線の交点になると思われる点の位置と試料の裏面の十字線の交点6fが合致するように、つまり支持ブロック72の十字線72cに試料6の十字線6dが重なるように、支持ブロック72に気密状態で押し付ける(図17参照)。以下、前記したのと同様の操作で陽極ブロック73と支持ブロック72とを介して陽極管73dと試料6との間に高電圧を印加するとグロー放電が発生し、試料の測定面6aから生じる発光を図示しない分光器に取り込み分析を行う。
【0010】
この方法でも、測定者は所望の測定点6bが直接見えない状態で試料6を支持ブロック72に押し付けて位置決めするので、所望の測定点6bについて試料6を正確に位置決めすることができなかった。
【0011】
これらの従来技術のように測定者の目測で試料の測定点6bの位置決めを行う方法を改良したものとして、試料の所望の測定点に位置確認用光線(レーザ光線)を照射する光線照射手段を有するグロー放電発光分光分析装置があり(特許文献1参照)、図20は、そのグロー放電発光分析装置80の全体構成図である。試料台83とこの試料台83を放電方向に沿って放電位置αと待機位置γとの間にわたって移動させる試料台移動手段84と、カソード電極85を放電方向に沿って放電位置αと待機位置βとの間にわたって移動させるカソード移動手段86と、試料6の所望の測定点6bに位置確認用光線(レーザ光線)Lを照射する光線照射手段87とを備えている。
【0012】
光線照射手段87はグロー放電陽極管88から試料6の測定面6a上にレーザ光Lを照射しており、その照射位置は放電方向イと試料測定面6aとが交わる箇所、すなわち放電予定箇所6b(所望の測定点)としている。試料台待機位置γにある試料台移動手段84の試料台83に挟持されている試料6の測定面6aにレーザ光Lを照射し、目視にてレーザ光Lが照射されている位置と所望の測定点6bとが合致するように試料保持位置を調整する。試料6の取り付けが終了すると、試料台移動手段84によって試料台83を放電位置αまで移動させて試料6をOリング81に密着させる。試料6は試料台移動手段84によって精度高く水平に移動され、試料台待機位置γで設定された試料6の所望の測定点6bは狂うことなく設定されるようになっている。このグロー放電発光分光分析装置80は、陽極管73dとカソード電極85の間に試料6が配置される方式であるので、試料6がOリング81に密着するとカソード電極85が放電位置αに移動され、この状態で陽極管73dとカソード電極85の間にグロー放電を行い、試料の測定面6aで生じる発光を分光器89に取り込み分析を行う。
【0013】
しかし、この従来技術では、高精度に水平に移動させる試料台移動手段84と、カソード移動手段86と、試料6の所望の測定点6bに位置確認用光線(レーザ光線)Lを照射する光線照射手段87とが必要であることから、装置としては、高額で大掛かりなものとなる。
【特許文献1】特開平10−185820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上のように従来技術では、試料の所望の測定点6bの正確な確認が困難であり、所望の測定点について試料を正確に位置決めすることができなかった。また、所望の測定点について試料を正確に位置決めすることができると考えられる装置もあるが、装置が大掛かりであり保守管理も大変であり高額なものとなる。
【0015】
そこで本発明は、上記問題を解決するために、安価で簡単に所望の測定点について試料を正確に位置決めすることができるグロー放電発光分光分析用試料位置決め治具ならびに前記治具を備えたグロー放電発光分光分析装置および前記治具を用いる試料位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成に係るグロー放電発光分光分析用試料位置決め冶具は、試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板とともに用いられる試料位置決め治具である。そして、表面に試料の裏面が貼り付けられる板状の保持部と、その保持部の表面から法線方向に延出し、前記透明板の側面および前記支持部の側面に当接されて位置決めされる当接部とを備える。
【0017】
本発明の第1構成によれば、測定者は透明板の表側の面の中心に付けられた印と試料の所望の測定点とを直接見て合わせた状態で、試料位置決め冶具の当接部を透明板の側面に当接させた後、グロー放電管の支持部の側面に当接するだけで、試料の位置決めができる。したがって、広い設置スペースを要さず従来の装置の設置スペースのままで、安価な冶具の簡単な操作で熟練を要することなく正確に試料の位置決めが行える。
【0018】
本発明の第1構成においては、前記当接部が2本の柱体からなり、各柱体の側面が前記透明板の側面および前記支持部の側面に線接触するようにできる。また、前記当接部が、前記透明板の側面および前記支持部の側面に面接触するようにもできる。
【0019】
本発明の第2構成に係るグロー放電発光分光分析用試料位置決め冶具は、試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板とともに用いられる試料位置決め治具である。そして、試料の周辺部を厚み方向に挟持し、前記透明板の側面および前記支持部の側面に線接触する。
【0020】
本発明の第2構成では、試料を透明板に重ねた時に試料の周辺部が透明板よりはみ出る場合に対応し、測定者は透明板の表側の面の中心に付けられた印と試料の所望の測定点とを直接見て合わせた状態で、試料位置決め冶具の当接部を透明板の側面に当接させた後、グロー放電管の支持部の側面に当接するだけで、試料の位置決めができる。したがって、広い設置スペースを要さず従来の装置の設置スペースのままで、安価な冶具の簡単な操作で熟練を要することなく正確に試料の位置決めが行える。
【0021】
本発明の第3構成に係るグロー放電発光分光分析装置は、試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管と、前記陽極管が収納される内方空間を真空引きする減圧手段と、前記陽極管と試料との間に電圧を印加してグロー放電を発生させる給電手段と、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と、前記第1または第2構成の試料位置決め治具とを備える。
【0022】
第3構成のグロー放電発光分光分析装置によれば、前記第1または第2構成の試料位置決め治具を備えるので、第1、第2構成と同様の作用効果が得られる。
【0023】
本発明の第4構成に係るグロー放電発光分光分析用試料位置決め方法は、試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と前記第1構成の試料位置決め治具とを用いる試料位置決め方法である。この方法では、前記試料位置決め治具の保持部の表面に貼付力を生じさせておき、前記透明板を裏側から透視しながら前記印に試料の測定点を合致させ、試料の裏面を上にして前記透明板および試料を水平に載置し、前記保持部の表面を下にし、前記当接部を透明板の側面に当接させながら前記試料位置決め治具を前記透明板および試料に被せて、前記保持部の表面に試料の裏面を貼り付け、試料の測定面を前記グロー放電管の支持部に向け、前記当接部を支持部の側面に当接させながら試料の測定面を支持部に当接させる。
【0024】
第4構成のグロー放電発光分光分析用試料位置決め方法によれば、前記第1構成の試料位置決め治具を用いるので、第1構成と同様の作用効果が得られる。
【0025】
本発明の第5構成に係るグロー放電発光分光分析用試料位置決め方法は、試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と前記第2構成の試料位置決め治具とを用いる試料位置決め方法である。この方法では、前記透明板を裏側から透視しながら前記印に試料の測定点を合致させ、1対の前記試料位置決め治具のそれぞれで試料の周辺部を厚み方向に挟持するとともに、各試料位置決め治具を前記透明板の側面に線接触させ、試料の測定面を前記グロー放電管の支持部に向け、前記各試料位置決め治具を支持部の側面に線接触させながら試料の測定面を支持部に当接させる。
【0026】
第5構成のグロー放電発光分光分析用試料位置決め方法によれば、前記第2構成の試料位置決め治具を用いるので、第2構成と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の第1実施形態の試料位置決め冶具12について説明する。この試料位置決め冶具12は、図13に示すような試料6との間で電圧が印加される陽極管3dとその陽極管と同軸で試料の測定面6aが当接される円板状の支持部2とを有するグロー放電管11を備えたグロー放電発光分光分析装置1によって板状の試料の測定面6aにおける任意の測定点について分析するために、図1(a),(b)に示すように、表面14aに試料の裏面が貼り付けられる板状の保持部14と、その保持部の表面14aから法線方向に延出する2本の円柱体であって、その円柱体の側面が支持部2(図13)の側面に線接触して位置決めされる当接部13とを備えている。そして、試料を保持部の表面14aに保持し、その状態で2本の円柱体である当接部13を支持部2の側面に線接触させ、試料6の所望の測定点6bを陽極管3dの放電箇所に位置決めするものである。その位置決めに際し、図2に示すような支持部2(図13)と同径の円板状で、表側の面17aの中心に十字線17bの交点として印17cが付けられた透明板17とともに用いられる。
【0028】
透明板17は、例えば、アクリル樹脂、ガラス、石英などの透明な材料からなる。通常用いられるグロー放電管11の支持部2(図13)の半径は100mm程度であるが、透明板17の半径r1もそれと同じ値にする。透明板の厚みt1は10mm程度が望ましい。
【0029】
透明板17は支持部2と同径の円形の円板が望ましいが、円形の両側が少し欠けた形状のように円形を構成しない部分が少しある円板状のものであってもよい。本実施形態では、円板の表側の面17aの中心に十字線17bの交点として印17cが付けられた透明板17を用いるが、円板の表側の面の中心の印は十字線の交点に限ったものではなく、円板の表側の面の中心位置がわかるのであればよく、米印のようなものであってもよい。十字線17bは、樹脂製の透明板なら例えば金属製の針などでけがいて付けたものでもよい。
【0030】
図1(a),(b)の試料位置決め冶具12の保持部14は、例えば鉄や銅等の金属製や塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の材料からなり、表面14aが試料の裏面を貼り付けることができる程度に平坦で、試料貼付領域にスプレーのりや両面テープのような粘着性のあるものが付着される。当接部13は、例えば鉄や銅等の金属製や塩化ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の2本の円柱体であって、図3(a),(b)に示すように、その円柱体の側面が透明板17の側面に線接触し、また図13に示すように、支持部2の側面に線接触して、位置決めされる。つまり、この試料位置決め冶具12は、試料6を保持部の表面14a(図1)に保持し、その状態で2本の円柱体である当接部13を支持部2の側面に線接触させ、試料の所望の測定点6bを陽極管3dの放電箇所に位置決めするものである。
【0031】
図1の保持部14は試料の裏面6eを貼り付けるものであるので、貼付力を生じさせておく。前記したようにスプレーのりや両面テープなどで粘着性を付与しておき試料を保持してもよいし、保持部の表面の試料を貼り付ける領域に表面から裏面に貫通する複数の小孔を設け、保持部の裏面にスポイドのような着脱手段を設け試料の裏面を吸着するようにして試料の裏面を貼り付けてもよい。また、鉄などの強磁性を有する試料の場合には、試料の裏面に対し磁石を進退自在にした着脱手段を保持部の裏面に設けて試料の裏面を貼り付けてもよい。特に、スポイドのような減圧手段や磁石を進退自在にした着脱手段は試料位置決め冶具を取り外して測定しなければならない場合に操作が簡便になる。
【0032】
図4に示すように、当接部13は、保持部14の表面14a上のほぼ中間を通る垂直中心線a上であって保持部14の下部に位置する適所の点bを中心とし、円板の透明板と同じ半径r1と当接部13を構成する2本の円柱体の半径r2とを加えた寸法を半径R1(=r1+r2)とする円と、中心線aを中心にして両側に均等の角度α/2をなす2本の径方向の線(c1、c2)との2つの交点(P1、P2)を2本の円柱体の保持部表面14aにおけるの固定中心(P1、P2)とし、保持部14の表面14aから法線方向に延出して固定されている。当然のことながら前記2本の径方向の線(c1、c2)に挟まれる角は半径R1の中心bと2本の円柱体の固定中心(P1、P2)を結ぶ円周角αとなる。
【0033】
2本の円柱体からなる当接部13は半径R1の中心bと上記のような位置関係になるので、各円柱体の側面が半径r1の透明板17の側面に線接触すれば、半径R1の中心bと半径r1の透明板17の中心bとは一致する。透明板17は支持部2と同径に製作されており、試料位置決め冶具12の当接部13を支持部2の側面に当接させれば、半径r1の中心bは支持部2の中心、すなわち陽極管の放電箇所中心と一致することになるので、中心bは測定照準点sとして機能する。
【0034】
試料位置決め冶具12の板状の保持部14の幅w1は40mm程度が望ましく、長さh1は60mm程度が望ましく、厚みは5mm程度が望ましい。当接部13を構成する2本の円柱体の長さは透明板17の厚み以下であって、8mm程度が望ましい。また、円柱体の径は5mm程度が望ましく、円柱体の側面は透明板17や支持部2と線接触する箇所であるので、その半径の寸法および表面は精度はよく加工されている必要がある。また、測定照準点sと2本の円柱体の固定中心(P1、P2)を結ぶ円周角αは20°〜90°が望ましく、40°がより望ましい(図4参照)。
【0035】
さて、グロー放電による測定時には、図6(a)に示すように、内方空間Vが真空引きされることにより、試料6が支持部2に密着するが、それだけでは試料6の保持が不十分なため、試料の裏面6eを試料支持部7の押さえ具8で垂直に押さえている必要がある。一方、図6(b)に示すように、高周波電源を使用するグロー放電発光分析装置の場合には、支持部2は絶縁部であり、試料の裏面6eに陰極プレート25を当てて試料6と導通させる必要がある。その際、試料位置決め冶具の少なくとも保持部が絶縁体であると、治具を介して試料の裏面6eに陰極プレート25を当てたのでは導通しないので、試料位置決め冶具を取り外す必要がある。つまり、高周波電源を使用するグロー放電発光分析装置に対して少なくとも保持部が絶縁体である試料位置決め冶具を用いる場合には、試料位置決め冶具を取り外して、試料の裏面6eに陰極プレート25を直接当て、陰極プレート25の後側を押さえ具8で押さえる必要がある。それ以外の場合には、試料位置決め冶具を取り外してもよいが、取り外さずに、保持部を介してまたは直接に試料の裏面6eを押さえ具8で押さえてもよい。
【0036】
いずれの場合にも対応できるように、保持部の測定照準点sの近傍の形状は図5に示すように、例えば保持部24の測定照準点s(b)を中心とする円形の一部を欠いた穴部24bを有する形状が望ましい。穴の半径r4は5mm程度が望ましい。この穴部24bは、試料位置決め冶具22を取り外す時に試料支持部7の押さえ具8と試料位置決め冶具22が干渉しないようにするための穴である。したがって、穴部24bは円形状だけでなく、楕円形状、多角形状などの他の形状であってもよい。この場合の穴の大きさは前記した穴の径と同程度の大きさであればよい。
【0037】
本実施形態では、当接部13を円柱体として説明したが、例えば正三角柱体、正四角柱体、正六角柱体等の正多角柱体であってもよい。図7に示すように、正四角柱体の任意の1側面と透明板17や支持部2とが線接触するように当接部13を構成し、正四角柱体の中心軸線と正四角柱体の1側面との距離r3と円板状の透明板17の半径r1とを加えた寸法を半径R2(=r1+r3)とする円と、この円の2本の径方向の線のとの交点(P3、P4)を、前記円柱体と同様の方法で正四角柱体の固定中心(P3、P4)として決めればよい。
【0038】
本発明の第1実施形態によれば、測定者は透明板17の表側の面の中心に付けられた印17cと試料の所望の測定点6bとを直接見て合致させた状態で、試料位置決め冶具12の2本の円柱体からなる当接部13を透明板17の側面に当接させた後、試料を保持した試料位置決め冶具12の当接部13をグロー放電管11の支持部2の側面に当接するだけで、試料の位置決めができる。したがって、広い設置スペースを要さず従来の装置の設置スペースのままで、安価な冶具の簡単な操作で熟練を要することなく正確に試料の位置決めが行える。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態の試料位置決め冶具について説明する。前記第1実施形態の試料位置決め冶具12においては、当接部13が2本の円柱体からなり、各柱体の側面が透明板17の側面および支持部2の側面に線接触し試料6の位置決めを行うものであった。これに対し、第2実施形態の試料位置決め冶具においては、当接部13が透明板17の側面および支持部2の側面に面接触し試料の位置決めを行うものである。図8に示すように、第2実施形態の試料位置決め冶具26は、第1実施形態の保持部と同様に表面14aに試料の裏面が貼り付けられる板状の保持部14と、円弧状フレームの当接部13とが一体に構成されてなる。円弧状フレームの当接部13の内周は、保持部の表面上の中間を通る垂直線a上に中心bを有し半径が透明板17の半径と同じr1である円弧である。当接部13を構成する円弧状フレームの内周は透明板17の半径と同径に構成されているので、円弧状フレームの内周の中心bと透明板17の中心とは一致する。したがって、円弧状フレームの内周の中心bは第1実施形態と同様に測定照準点sとして機能する。
【0040】
板状の保持部24の形状は、第1実施形態と同様の形状であればよいので、穴部を有する形状であっても穴部がない形状であってもよいが、第1実施形態と同様に試料支持部7の押さえ具8と試料位置決め冶具が干渉しないようにするため、図9に示すような穴部24bを有する形状の方が望ましい。
【0041】
円弧状部分の当接部13の外周部分については円弧状である必要はなく、平面的なものであってもよい。板状の保持部と円弧状の当接部は一体のものに限らず複数体のものをネジ、接着剤などで接合されているものであってもよい。
【0042】
保持部24は試料の裏面を貼り付けるものであるので、第1実施形態と同様のものであればよく、スプレーのりのような粘着性のあるものやスポイドや磁石を進退自在にした着脱手段であってもよい。
【0043】
本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、測定者は透明板17の表側の面の中心に付けられた印17cと試料の所望の測定点6bとを直接見て合致させた状態で、試料位置決め冶具26の円弧状フレームの当接部13を透明板17の側面に当接させた後、試料6を保持した試料位置決め冶具26の当接部13をグロー放電管11の支持部2の側面に当接するだけで、試料の位置決めができる。したがって、広い設置スペースを要さず従来の装置の設置スペースのままで、安価な冶具の簡単な操作で熟練を要することなく正確に試料の位置決めが行える。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態の試料位置決め冶具について説明する。第1実施形態や第2実施形態と同様に支持部2と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板17とともに用いられるが、第1実施形態や第2実施形態の試料位置決め冶具では、表面に試料の裏面が貼り付けられる板状部分を有しているところ、第3実施形態の試料位置決め冶具は表面に試料の裏面が貼り付けられる板状部分を有さず、板状試料の周辺部の少なくとも2箇所を厚み方向にネジや板バネなどで挟持する保持部と、透明板および支持部の側面に線接触する当接部で試料の位置決めを行うものである。
【0045】
図10(a),(b)に示すように、第3実施形態の試料位置決め冶具32は長円形状の2個のブロックからなり、試料6がグロー放電管11の支持部2よりも大きく、第1実施形態や第2実施形態の試料位置決め冶具が使用できない場合に使用される。図11(a),(b)に示すように、第3実施形態の試料位置決め冶具32は、一端の側面がコの字形の長円形状のブロックであり、透明板17の側面および支持部2の側面と線接触する正面視で半円状部の側面である当接部13と、試料の周辺部を挿入し厚み方向に挟持するための側面視でコの字形の部分であって、表面側14aに試料の周辺部を厚み方向に挟持するためのネジ33と螺合するネジ穴35とを有する保持部14と、前記ネジ33とを備える。
【0046】
第3実施形態の試料位置決め冶具32は、第1実施形態や第2実施形態の当接部13と同様の材料のものでよく、図11(a),(b)に示すように、長円形状ブロックの長円の長さlは20mm程度が望ましく、幅dは10mm程度が望ましく、厚みtは12mm程度が望ましく、コの字形の溝の開口幅w2は6mm程度が望ましく、溝の奥行h2は12mm程度が望ましく、ネジ穴35は保持部14の表面側14aであって半円の中心またはその近傍に設けられるのが望ましい。当接部を構成する半円状部の側面は第1実施形態や第2実施形態の当接部13と同様に精度よく加工されている。
【0047】
図12に示すように、試料6の測定面6aの所望の測定点6bを透明板17の印17cに合わせ、2個の試料位置決め冶具32の各々のコの字形の溝に試料6の周辺部を挿入し、各々の当接部13を透明板17の側面に線接触させ、その状態のままでネジ35を締め付け試料6を挟持する。この場合、2個の各々の試料位置決め冶具32の保持部14の半円の中心と透明板の中心との間の円周角αが40°程度であることが望ましい。透明板17はグロー放電管11の支持部2と同径であるので透明板17の中心と支持部2の中心が一致し、前記のように試料6を挟持した2個の試料位置決め冶具32の当接部13を支持部2の側面に当接させると(図10)、当接部13と支持部2の側面が線接触することにより、試料の所望の測定点6bがグロー放電管11の放電箇所と一致する。
【0048】
本実施形態の試料位置決め冶具32は長円形状のブロックである必要はなく、当接部13の反対側部分は円形状でなくてもよく矩形状であってもよいし、全体が長四角形状のブロックであってもよい。本実施形態では、試料の周辺部を厚み方向に挟持するためにネジ35を用いたが、板バネなどを用いた他の挟持具でもよい。本実施形態では2個の試料位置決め冶具を用いたが、それ以上の個数の試料位置決め冶具を用いてもよい。
【0049】
本発明の第3実施形態によれば、測定者は透明板17の表側の面の中心に付けられた印17cと試料の所望の測定点6bとを直接見て合致させた状態で、2個の試料位置決め冶具32の長円形状のブロックの当接部13を透明板17の側面に当接させた後、試料6を保持した試料位置決め冶具32の当接部13をグロー放電管11の支持部2の側面に当接するだけで、試料の位置決めができる。したがって、広い設置スペースを要さず従来の装置の設置スペースのままで、安価な冶具の簡単な操作で熟練を要することなく正確に試料の位置決めが行える。
【0050】
次に、本発明の第4実施形態のグロー放電発光分光分析装置について説明する。このグロー放電発光分光分析装置1は、図13に示すように、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態の試料位置決め冶具を用いる装置であって、試料6との間で電圧が印加される陽極管3dとその陽極管3dと同軸で試料の測定面6aが当接されるとともに試料位置決め冶具の当接部13が当接する側面とを有する円板状の支持部2とを有するグロー放電管11と、陽極管3dが収納される内方空間を真空引きする減圧手段(図示しない)と、陽極管3dと試料6との間に電圧を印加してグロー放電を発生させる給電手段4と、前記透明板17とを備える。
【0051】
第1実施形態の試料位置決め冶具12を用いた場合の直流電源方式のグロー放電発光分光分析装置1の動作について以下に説明する。第1実施形態で説明したように、試料の所望の測定点6bを透明板17の表面17aの中心に付けられた印17cに合致させた状態で試料位置決め冶具12の当接部13を透明板17の側面に当接させ、その状態のままで位置決め冶具12に試料6の裏面6eを貼り付け保持する。図13に示すように、試料の裏面6eが貼り付けられた位置決め冶具12の当接部13をグロー放電管11の支持部2の側面に当接させるとともに試料の測定面6aを支持部表面に当接させると試料の所望の測定点6bがグロー放電管11の放電箇所に一致し、グロー放電発光分光分析装置1を作動させると陽極管3dが収納される内方空間を真空引きする減圧手段(図示しない)が減圧を始め試料の測定面6aが支持部表面に密着する。その後、試料の裏面6eを試料支持部7の押さえ具8で試料6を押さえて支持し、試料位置決め冶具12を支持部2より取り外し放電を開始し測定を始める。これにより、試料の所望の測定点6bの分析がなされる。
【0052】
高周波電源方式のグロー放電発光分光分析装置の場合は、減圧手段(図示しない)が減圧を始め試料の測定面6aが支持部表面に密着する段階までは直流電源方式と同様であるが、試料の測定面6aが支持部表面に密着した後、図6(b)に示すように、試料位置決め冶具12を支持部2より取り外し、試料の裏面6eと試料支持部7との間に陰極プレート25を挿入し、陰極プレート25の裏面を試料支持部7の押さえ具8で垂直に押しながら測定する。
【0053】
第4実施形態のグロー放電発光分光分析装置の給電方式は、直流電源方式、高周波電源方式のどちらであってもよい。また、試料位置決め冶具12を試料に取り付けたまま測定してもよいし、必要に応じて取り外して測定してもよい。第4実施形態のグロー放電発光分光分析装置によれば、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態の試料位置決め冶具を用いるので、それらの治具と同様の作用効果がある。
【0054】
次に、第5実施形態の試料位置決め方法について説明する。この試料位置決め方法は第1実施形態または第2実施形態の試料位置決め冶具のいずれかを用いる方法であるが、図14に示すように第1実施形態の試料位置決め冶具12を用いた場合について説明する。図14(a)に示すように、まず、試料位置決め治具12の保持部の表面の試料貼付部14cに貼付力を生じさせる両面テープを貼り付け、試料の裏面6eを貼り付け保持するための準備を行っておく。次に、図14(b)に示すように、アクリル透明樹脂からなるグロー放電管の支持部と同径の円板で表面の中心に十字線17bの交点として印17cが付けられた透明板17のその印17cと試料の所望の測定点6bとを、透明板17の裏側から透視しながら合致させる。
【0055】
次に、図14(c)に示すように、両者がずれないように試料の裏面6eを上にして前記透明板17および試料6を水平に載置し、先に試料の裏面を貼り付け保持するための準備をしておいた試料位置決め冶具12の保持部の表面の試料貼付部14cを下にし、2本の円柱体からなる当接部13の側面を透明板17の側面に当接させながら試料位置決め治具12を透明板17および試料6に被せ、透明板の印17cと試料の所望の測定点6bとがずれないように保持部の表面の試料貼付部14cに試料の裏面6eを貼り付ける。次に、試料が貼り付いた試料位置決め治具12を透明板17から離し、図6(a)に示すように試料の測定面をグロー放電管11の支持部2に向け、2本の円柱体からなる当接部13を支持部2の側面に当接させながら試料の測定面6aを支持部2に当接させて試料6の位置決めを行う。その後、試料の裏面6eを試料支持部7の押さえ具8で試料6を押さえて支持し、試料位置決め冶具12を支持部2より取り外し、放電を開始して測定を始める。これにより、試料の所望の測定点6bの分析がなされる。
【0056】
第5実施形態の試料位置決め方法は、直流電源方式、高周波電源方式のどちらのグロー放電発光分光分析装置にも適用できる。また、試料位置決め冶具を試料に取り付けたまま測定してもよいし、必要に応じて取り外して測定してもよい。第5実施形態の試料位置決め方法によれば、第1実施形態または第2実施形態の試料位置決め治具を用いるので、それらの治具と同様の作用効果がある。
【0057】
次に、第6実施形態の試料位置決め方法について説明する。この試料位置決め方法は第3実施形態の試料位置決め冶具32を用いる方法であって、図15(a)に示すように、まず、アクリル透明樹脂からなるグロー放電管の支持部と同径の円板で表面の中心に十字線の交点として印17cが付けられた透明板17のその印17cと試料6の所望の測定点6bとを、透明板の裏側から透視しながら合致させる。
【0058】
次に、図15(b)に示すように、両者がずれないように試料の表面6aを上にして、透明板17および試料6を試料位置決め治具32の保持部14が試料6を挟持するとき障害物に当たらないように、挟持する試料6の周辺部を載置台37上に浮かせて水平に載置する。そして、2個の試料位置決め治具32のそれぞれの保持部14の溝に試料6の周辺部を挿入し、各試料位置決め治具32の当接部13を透明板17の側面に線接触させ、保持部の表面側に設けられたネジ33を締め付けることにより厚み方向に試料6の周辺部を挟持する。次に、図15(c)に示すように試料6を透明板17から離し、試料の測定面6aをグロー放電管11の支持部2に向け、一対の長円形状ブロックの半円状部の側面からなる当接部13をグロー放電管11の支持部2の側面に当接させながら試料の測定面6aを支持部表面に密着させて試料6の位置決めを行う。その後、試料の裏面6eを試料支持部の押さえ具8(図13)で試料6を押さえて支持し、放電を開始して測定を始める。これにより、試料6の所望の測定点の分析がなされる。
【0059】
第6実施形態の試料の位置決め方法は、直流電源方式、高周波電源方式のどちらのグロー放電発光分光分析装置にも適用できる。第6実施形態の試料位置決め方法によれば、第3実施形態の試料位置決め治具を用いるので、その治具と同様の作用効果がある。
【0060】
なお、前記した全ての実施形態における試料としては、例えば、鋼板、メッキ鋼板、試料表面に薄膜が形成されたウエハなど板状のものであって、試料の測定面でグロー放電が可能で、約100mm×約100mm程度の大きさを超えなければ、どのような形状ものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)第1実施形態の試料位置決め冶具の正面図である。(b)同試料位置決め冶具の側面図である。
【図2】透明板の斜視図である。
【図3】(a)第1実施形態の試料位置決め冶具に試料と透明板を取り付けた状態の正面図である。(b)同状態の側面図である。
【図4】同試料位置決め冶具での位置決めの原理を示す図である。
【図5】第1実施形態の穴部を有する試料位置決め冶具の正面図である。
【図6】(a)直流電源方式での試料支持を示す図である。(b)高周波電源方式での試料支持を示す図である。
【図7】第1実施形態の試料位置決め冶具の変形例での位置決めを示す図である。
【図8】(a)第2実施形態の試料位置決め冶具の正面図である。(b)同試料位置決め冶具の側面図である。
【図9】第2実施形態の穴部を有する試料位置決め冶具の正面図である。
【図10】(a)第3実施形態の試料位置決め冶具をグロー放電分光分析装置の支持部へ取り付けた状態の正面図である。(b)同状態の側面図である。
【図11】(a)同試料位置決め冶具の正面図である。(b)同試料位置決め冶具の側面図である。
【図12】同試料位置決め冶具が透明板の側面に当接した状態の正面図である。
【図13】第4実施形態のグロー放電発光分光分析装置の全体構成図である。
【図14】(a),(b),(c)は、第5実施形態の試料位置決め方法の各手順を示す図である。
【図15】(a),(b),(c)は、第6実施形態の試料位置決め方法の各手順を示す図である。
【図16】従来のグロー放電管の断面図である。
【図17】従来の試料位置決め方法を示す図である。
【図18】従来の十字の寸法線の入ったグロー放電管の支持部の斜視図である。
【図19】(a)従来の十字線の入った試料の正面図である。(b)同試料の側面図である。
【図20】従来の光線照射手段を有するグロー放電発光分光分析装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0062】
1 グロー放電発光分光分析装置
2 支持部
3 陽極ブロック
3d 陽極管
4 給電手段
6 試料
6a 試料の測定面
6b 任意の測定点
6e 試料の裏面
11 グロー放電管
12,22,26,32 試料位置決め冶具
13 当接部
14,24 保持部
14a,24a 保持部の表面
17 透明板
17a 透明板の表側の面
17c 印
V 内方空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板とともに用いられる試料位置決め治具であって、
表面に試料の裏面が貼り付けられる板状の保持部と、
その保持部の表面から法線方向に延出し、前記透明板の側面および前記支持部の側面に当接されて位置決めされる当接部とを備えた試料位置決め治具。
【請求項2】
請求項1において、
前記当接部が2本の柱体からなり、各柱体の側面が前記透明板の側面および前記支持部の側面に線接触する試料位置決め治具。
【請求項3】
請求項1において、
前記当接部が、前記透明板の側面および前記支持部の側面に面接触する試料位置決め治具。
【請求項4】
試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板とともに用いられる試料位置決め治具であって、
試料の周辺部を厚み方向に挟持し、前記透明板の側面および前記支持部の側面に線接触する試料位置決め治具。
【請求項5】
試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管と、
前記陽極管が収納される内方空間を真空引きする減圧手段と、
前記陽極管と試料との間に電圧を印加してグロー放電を発生させる給電手段と、
前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と、
請求項1から4までのいずれか一項に記載の試料位置決め治具とを備えたグロー放電発光分光分析装置。
【請求項6】
試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と請求項1から3までのいずれか一項に記載の試料位置決め治具とを用いる試料位置決め方法であって、
前記試料位置決め治具の保持部の表面に貼付力を生じさせておき、
前記透明板を裏側から透視しながら前記印に試料の測定点を合致させ、
試料の裏面を上にして前記透明板および試料を水平に載置し、
前記保持部の表面を下にし、前記当接部を透明板の側面に当接させながら前記試料位置決め治具を前記透明板および試料に被せて、前記保持部の表面に試料の裏面を貼り付け、
試料の測定面を前記グロー放電管の支持部に向け、前記当接部を支持部の側面に当接させながら試料の測定面を支持部に当接させる試料位置決め方法。
【請求項7】
試料との間で電圧が印加される陽極管とその陽極管と同軸で試料の測定面が当接される円板状の支持部とを有するグロー放電管を備えたグロー放電発光分光分析装置によって板状の試料の測定面における任意の測定点について分析するために、前記支持部と同径の円板状で表側の面の中心に印が付けられた透明板と請求項4に記載の試料位置決め治具とを用いる試料位置決め方法であって、
前記透明板を裏側から透視しながら前記印に試料の測定点を合致させ、
1対の前記試料位置決め治具のそれぞれで試料の周辺部を厚み方向に挟持するとともに、各試料位置決め治具を前記透明板の側面に線接触させ、
試料の測定面を前記グロー放電管の支持部に向け、前記各試料位置決め治具を支持部の側面に線接触させながら試料の測定面を支持部に当接させる試料位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−308524(P2006−308524A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134442(P2005−134442)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000250351)理学電機工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】