説明

グーズネック操作ユニットを有する顕微鏡装置

【課題】操作ユニットを備えた改良型顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、顕微鏡装置の装置機能を制御するための操作ユニット(400)及び顕微鏡(200)を有する顕微鏡装置(100)において、操作ユニット(400)がグーズネックホルダー(500)により顕微鏡装置の部品として担持されることで解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グーズネック操作ユニットを有する顕微鏡装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡装置の装置機能を実施するための操作ユニット及び顕微鏡を有する顕微鏡装置が一般に知られている。装置機能は、例えば明るさ等の照明機能、移動機能等の電動機能(例えば、拡大、ズーム、結像、顕微鏡ステージの移動等)、他の多くの物を含む。操作ユニットは、電子制御手段と協働する操作要素のみ又は顕微鏡装置内の他の箇所に制御回路を有してもよい。しかしながら、電子制御手段は操作ユニットに一体化されてもよい。電子制御手段は装置機能をトリガーする適切なアクチュエータを作動する。
【0003】
例えば特許文献1から、2つの操作ユニットを有する顕微鏡装置が知られている。その一方はコンピュータマウスの形式であるのに対し、他方は実際のコンピュータとして具体化されている。両者はケーブル接続により顕微鏡装置に接続している。
【0004】
しかしながら、公知の操作ユニットは不都合を有している。これら操作ユニットが例えばケーブルにより顕微鏡装置に緩く取り付けられているだけの場合、操作ユニットは試験ベンチ上の追加スペースを占め、運搬の際又は貯蔵の間に紛失するかもしれない。この種の操作ユニットは、操作の際誤って動かないように一般に構造的に非常にかさばる。これが操作ユニットの占めるスペースをさらに増大させる。
【0005】
操作ユニットが顕微鏡装置、例えばスタンドに直接設置される場合、そのアクセス性と操作性は限られる。これは特に操作者が左利きのときに当てはまる。
【0006】
多数の操作ユニットによって、それらが操作者の視野内に配置されず、使用の間操作者が操作ユニットと顕微鏡の間で視点を前後に絶え間なく切り替えなければならないという問題もある。
【0007】
コンピュータを使用する顕微鏡操作は複雑で、前述の問題に加えて広範なスペースを占めるという欠点もある。コンピュータも同伴しなければならない事情から、顕微鏡装置の運搬もより困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE10249177A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の不都合を克服するために、操作ユニットを備えた改良型顕微鏡装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、独立請求項の特徴を備えた顕微鏡装置及び照明装置を提案する。有利な実施形態は従属請求項と以下の明細書の主題である。
【0011】
本発明は、操作ユニットをグーズネックホルダーによって顕微鏡装置に取り付けることを提案する。用語「グーズネック」(「スワンネック」、「雁首」とも呼ぶ)は、柔軟性のある、寸法安定又は形状安定のアームを意味する。それは、好ましくは重力や運んでいるものの重量より大きい最小限の力の適用により変形し得る。従来技術では、グーズネックはしばしばコイル状金属管からなる。本発明の目的のためにグーズネックは、中空でも中実でもよく、どんな所望の材料(例えば、金属やプラスチック)で作られてもよく、螺旋状に巻かれていても他の構造を有してもよい。本質的なことは、それが柔軟性があり、寸法安定(形状安定)であることである。
【0012】
本発明の範囲内で、操作ユニットを備えた顕微鏡装置が提案され、操作ユニットは顕微鏡に固定して接続されるが、比較的に自由に位置決めされ得る。特に、操作ユニットはそれらに適した位置に操作者によって特に容易に配置され得る。例えば、操作ユニットの高さと位置は右利きと左利きの両方の人々に対して配置され得る。顕微鏡に固定的に接続することで、操作ユニットが紛失しないことが保障される。しかも、操作ユニットは試験ベンチ上に全く場所を占めない。本発明の範囲内で提案される操作ユニットは特に片手で配置され、さらに操作される。従来技術の操作ユニットに関連する多数の不都合は克服される。
【0013】
操作ユニットは、前述の又は特許文献1(この文脈において明確に参照する)に記載の顕微鏡装置の装置機能を制御するために使用される。特に、センサー、スイッチ、タッチパッド(用語「タッチパッド」は、例えば一般にキーボードの下のノートブックのマウスやキーパッドに代えて提供される、触れると感知する表面を示すものとして用いる)、タッチスクリーン、プラスチックフィルムキーボード等の操作要素に加えて、操作ユニットは電子制御手段及び/又は照明手段を有してもよい。照明手段は、開始された装置機能及び/又は作動された操作装置を表示するために、操作ユニットを照明するために装備される。それに代えて又は加えて、照明手段は、研究すべき標本を照明するために顕微鏡用の照明装置として装備されてもよい。
【0014】
電子制御手段が、(例えば顕微鏡装置自体に搭載されている)操作ユニットから独立している場合、操作ユニットはより操作し易く、構造的に軽量となり、スペースの占有もより小さくなる。この実施形態では、操作ユニットは本質的に操作要素と、電子制御手段への必要な電気接続手段しか有しない。操作ユニットは軽量で操作し易く、グーズネックホルダーは大きな重量に耐える必要はなく、ゆえに簡単な構造を有し得る。従来は大きく、重い電子制御手段は、例えば顕微鏡装置自体に設けられてもよい。電子制御手段のための適切なハウジングにより電磁適合性が改善される。ハウジングは操作要素のための開口を有する必要はない。操作要素と電子制御手段の切り離しは有利であり、これにより操作ユニット自体を小さく、軽量で操作し易くすることができる。コンパクト構造により、試験中の対象物の目視がより良好になり、操作も益々容易になる。他方で、電子制御手段は高い消費電力を有し、従って、(例えば冷却フィン等を有する)堅牢なキャリアハウジングを通して放出される多量の熱を発し得る。
【0015】
操作ユニットと顕微鏡装置との操作接続(操作要素と電子制御手段又は電子制御手段とアクチュエータの操作接続)は、ケーブルを介してもよく、又はワイヤレス(無線)でもよい。これには全ての公知の種類の伝達手段が適する。ケーブル接続は好ましくは中空のグーズネックホルダー内をガイドされる。
【0016】
操作ユニットはグーズネックホルダーに取り外し可能に搭載されてもよく、及び/又はグーズネックホルダーは顕微鏡装置に取り外し可能に搭載されてもよい。従って、操作者が操作ユニットをどこか別の場所に置きたい場合、固定接続に加えて、操作ユニットを顕微鏡装置から取り外すことで緩い接続がもたらされる。接続を外すことができ、また接続状態において機械的接続、場合によっては電気接続を呈する、(プラグイン接続、磁力接続、ねじ接続等の)接続手段が設けられる。
【0017】
操作ユニットがグーズネックホルダーに取り外し可能に搭載される場合、ワイヤレスの操作接続が好ましい。この場合、操作ユニットは有利には、アキュムレーターやバッテリー等のエネルギー供給装置を具備する。操作ユニットがグーズネックホルダーから分離されていなければ、例えばバッテリーを充電することが可能である。
【0018】
本発明の更なる利点と実施形態は明細書と付属の図面から明らかになろう。
【0019】
前述の特徴とこれから以下に記述する特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、記載した特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせやそれら自体で用いられることが理解できよう。
【0020】
本発明を例示の実施形態を用いて図面に概略的に示し、図面に則して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従う顕微鏡装置の好ましい実施形態の概略側面図である。
【図2】本発明に従う顕微鏡装置の好ましい実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1,2は密着して包括的に描かれており、同一の要素は同一の参照番号が付されている。図2に従う実施形態は、付加的な照明装置700によって図1に従う実施形態と異なる。
【0023】
図1は、概して100で示された本発明に従う顕微鏡装置の好ましい実施形態の概略側面図である。顕微鏡装置100は、垂直に移動可能なようにスタンド300に設置された光学顕微鏡200を有する。さらに顕微鏡装置100は、顕微鏡装置の装置機能を制御するために設けられた操作ユニット400を有する。操作ユニット400は、グーズネックホルダー500を介してキャリアハウジング600に取り付けられている。グーズネックホルダー500はコイル状金属管として具体化されている。キャリアハウジング600は顕微鏡装置100のスタンド300に設置されている。アタッチメントは取り外し可能でもよい。
【0024】
顕微鏡200は、大きい操作距離を有する立体顕微鏡として具体化された光学顕微鏡である。しかし、原則として、顕微鏡装置はどんな所望の顕微鏡であってもよい。
【0025】
図2に示される実施形態では、照明機能を制御するために操作ユニットが据え付けられている。この目的のために、電子制御手段が、試験すべき対象物を照明する照明装置700を作動させるキャリアハウジング600に設けられている。キャリアハウジング600に設けられているのは、特に電流を照明装置及び/又は電子制御手段に供給する接続部602である。操作ユニットを電子制御手段に接続するリードは、好ましくはグーズネックホルダー500内に延びる。
【0026】
照明装置700は、好ましくはLEDランプとして具体化された2つの光源701を有する。それぞれの光源701は照明アーム702により担持され、2つの照明アーム702もキャリアハウジング600に設けられている。照明アーム702もグーズネックホルダーから成り又は有し、光源701をキャリアハウジング600に機械的に接続する。ケーブルはグーズネックホルダー702内に延び、光源701をキャリアハウジング600内部の電子制御手段に電気的に接続する。
【0027】
照明アーム702がキャリアハウジング600に取り外し可能に設置される場合、キャリアハウジングはこれらの側面に対応する接続手段を有する。図1は、例としてねじ込みプラグコネクター601を示す。グーズネックホルダー500は同様にしてキャリアハウジング600に接続されてもよい。それに代えて又は加えて、図1に従う実施形態は、操作ユニット400に一体化された照明装置(不図示)を有してもよい。この照明装置は、試験すべき対象物を照明する機能を果たす。
【0028】
操作ユニット400は、照明装置700を制御する機能を有するタッチボタンとして具体化された操作要素401を有する。好ましくは、光源701の明るさが一緒に又は互いに独立して設定され、明るさはそれぞれの場合で0%(すなわち、オフ)と100%(すなわち、フルパワー)の間で調節可能である。
【0029】
操作ユニット400が照明装置700の照明機能を制御するために使用されるとき、有利には、スタンド300からキャリアハウジング600を解除することで特に容易に取り外される、操作ユニット400、キャリアハウジング600及び照明装置700を有する照明システムが設けられてもよい。この種の照明システムは本発明の別な主題である。
【0030】
グーズネックホルダー500を用いて操作ユニット400をキャリアハウジング600に取り付けることで、操作者は操作ユニットを空間内で比較的自由に位置決めすることができる。特に、操作ユニットは顕微鏡の右又は左に配置され、右利き及び左利きの両方の人々が容易にそれを操作することができる。図示の実施形態では、グーズネックホルダーは顕微鏡側面にキャリアハウジング600に取り付けられ、それはスタンド300に中央に取り付けられ、それにより操作ユニットは顕微鏡の右及び左の両方に特に簡単に配置され得る。
【0031】
操作ユニットは、これが操作者の位置から接眼レンズのところで容易に観察されるように配置される。好ましくは、グーズネックホルダー500は十分長く、それで操作ユニットを、操作者の通常の手の位置の近く、例えば光源の近く、試験されている対象物の近く又はズーム、フォーカス等のための操作ホイールの近くに配置することができる。特に、グーズネックホルダー500と、付加的なグーズネックホルダーとしての照明アーム702は、実質的に同じ長さを有してもよい。
【符号の説明】
【0032】
100 顕微鏡装置
200 顕微鏡
400 操作ユニット
500 グーズネックホルダー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡装置の装置機能を制御するための操作ユニット(400)及び顕微鏡(200)を有する顕微鏡装置(100)において、操作ユニット(400)がグーズネックホルダー(500)により担持されることを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項2】
操作ユニット(400)が、タッチパッド及び/又はタッチスクリーン及び/又はセンサー及び/又はスイッチを有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項3】
操作ユニット(400)が、操作ユニット(400)に収容されていない電子制御手段と協働する操作要素(401)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項4】
照明装置(700)を有し、操作ユニット(400)が照明機能を操作するように設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項5】
照明装置が操作ユニット(400)に一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項6】
照明装置(700)が、少なくとも1つの他のグーズネックホルダー(702)により担持された少なくとも1つの光源(701)を有することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項7】
グーズネックホルダー(500)と少なくとも1つの他のグーズネックホルダー(702)とが、照明装置(700)用の電子制御手段が配置された共通のキャリアハウジング(600)に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項8】
キャリアハウジング(600)が顕微鏡装置(100)に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項9】
グーズネックホルダー(500)と少なくとも1つの他のグーズネックホルダー(703,704)とが、実質的に同じ長さを有することを特徴とする請求項6,7又は8に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの他のグーズネックホルダー(703,704)が顕微鏡装置(100)に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項11】
照明装置(700)が多数の光源(701)を有し、光源の明るさが操作ユニット(400)により一緒に又は個々に制御され得ることを特徴とする請求項4〜10のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項12】
操作ユニット(400)から顕微鏡装置(100)への操作接続がワイヤレスで実現されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項13】
操作ユニット(400)はグーズネックホルダー(500)に取り外し可能に取り付けられ、及び/又はグーズネックホルダー(500)は顕微鏡端部に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項14】
グーズネックホルダーは顕微鏡端部で顕微鏡(200)に対して中央に取り付けられることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項15】
顕微鏡(200)は、より具体的には5cmより大きい操作距離を有する光学顕微鏡、特に立体顕微鏡であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項16】
照明機能を操作するために設定された操作ユニット(400)、キャリアハウジング(600)及び照明装置(700)を有する、顕微鏡(200)のための照明装置であって、操作ユニット(400)が、グーズネックホルダー(500)によってキャリアハウジング(600)に取り付けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項17】
操作ユニット(400)が、タッチパッド及び/又はタッチスクリーン及び/又はセンサー及び/又はスイッチを有することを特徴とする請求項16に記載の照明装置。
【請求項18】
操作ユニット(400)が、キャリアハウジング(600)に配置された電子制御手段と協働する操作要素(401)を有することを特徴とする請求項16又は17に記載の照明装置。
【請求項19】
照明装置(700)が、少なくとも1つの別なグーズネックホルダー(702)によりキャリアハウジング(600)に取り付けられた少なくとも1つの光源(701)を有することを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項20】
グーズネックホルダー(500)と少なくとも1つの別なグーズネックホルダー(703,704)とが、実質的に同じ長さを有することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項21】
少なくとも1つの別なグーズネックホルダー(703,704)がキャリアハウジング(600)に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項16〜20のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項22】
照明装置(700)が多数の光源(701)を有し、光源の明るさが操作ユニット(400)により一緒に又は個々に制御され得ることを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項23】
操作ユニット(400)はグーズネックホルダー(500)に取り外し可能に取り付けられ、及び/又はグーズネックホルダー(500)はキャリアハウジング(600)に取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項16〜22のいずれか一項に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−65010(P2013−65010A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−194933(P2012−194933)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(503078863)ライカ マイクロシステムス (シュヴァイツ) アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】