説明

ケアコールシステム及びこれを用いた24時間対応型介護支援システム

【課題】高齢者等の緊急事態の発生を知らせるともに、緊急事態の具体的内容を伝えることが可能なケアコールシステム及びこれを、サービス提供者間での情報共有を広汎に可能とするともに、個人情報の漏洩に対して強固な抵抗性を有するシステムと連携させて提供する。
【解決手段】サービス提供事業者がケアサービス利用者に貸与する携帯端末と、オペレータ端末装置とを備え、携帯端末はオペレータ端末装置に着信限定されるとともに、利用者特定情報をデータとして発信し、オペレータ端末装置を操作するオペレータに緊急事態の発生を発信するものであり、緊急事態の発生を受信した際、利用者特定情報に基づいて、オペレータに対し利用者についてあらかじめ登録された情報を提示し、これにより、オペレータが登録された情報を確認しながら利用者と会話することを可能とするケアコールシステム及びこれを用いた24時間対応型介護支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスを受ける者に緊急事態等が生じた場合に、相談や支援を行うための通報を受けるケアコールシステム及びこれを用いた24時間対応型介護支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴い、老人ホーム等の介護施設のみならず、自宅等において介護を受ける訪問介護の必要性が益々高まってきている。このように在宅で介護サービスを受ける者(以下、「利用者」という。)は、昼間のみならず夜間でも緊急事態(排泄、オムツ交換、更衣介助、体位変換、発作等の疾病に伴う緊急事態、転倒・転落等の事故)を生じることがある。また、外出時に転倒等の緊急事態を生じることもある。
【0003】
従来、この種の緊急事態に対処するシステムとして、PC(パーソナルコンピュータ)で構成され、被介護者が安否を入力する確認ボタンが設けられて、利用者の自宅の居室等に設置された端末装置と、介護事業所等に設置されたセンターサーバと、介護サービスを提供する者(以下、「サービス提供者」といい、例えば、介護員がその例である)が携帯する携帯端末とで構成されたものがある(特許文献1参照)。この介護支援システムは、利用者が確認ボタンを操作して緊急事態を示す入力を行うと、センターサーバが携帯端末に支援要請のメールを送信し、サービス提供者に被介護者の支援を促すように構成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1等の既存の介護支援システムは、利用者が端末装置から離れた場所にいる際に緊急事態が生じた場合、端末装置の確認ボタンの操作ができず、対応が手遅れになる恐れがある。センターサーバには、端末装置へ所定時間おきにポーリング情報を送信し、確認ボタンへの入力状況を確認するポーリング機能が設けられているが、利用者が緊急事態に陥った場所と時間を特定して、迅速に支援を行うことは困難である。
【0005】
そこで、最近では利用者にGPS機能付端末装置を持たせ、利用者が緊急事、通報できるボタンを押して、緊急事態の発生を知らせたり、ボタンを押して、離れたケアコール機で話すことも行われている。しかし、この場合でも、ボタンの端末装置では通話ができないため、緊急事態の具体的内容を伝えることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−352197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明は、上記の従来技術の問題の解決を企図するものであり、利用者の緊急事態の発生の際、利用者は携帯端末を用いてオペレーションセンターに通報でき、これにより緊急対応が可能なシステムを提供する。この際、オペレータに対し、利用者の心身の状況、その置かれている環境、アセスメント情報、過去のサービス提供記録等が提示される。これにより、24時間、利用者の通報を受け付け、緊急対応が可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討した結果、下記により課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のシステムを含む。
[1] サービス提供事業者がケアサービス利用者に貸与する携帯端末と、オペレータ端末装置とを備えるケアコールシステムであって、
上記携帯端末は前記オペレータ端末装置に着信限定されるとともに、利用者特定情報をデータとして発信し、オペレータ端末装置を操作するオペレータに緊急事態の発生を発信するものであり、
緊急事態の発生を受信した際、前記利用者特定情報に基づいて、オペレータに対し当該利用者についてあらかじめ登録された情報を提示し、
これにより、オペレータが前記登録された情報を確認しながら利用者と会話することを可能とするケアコールシステム。
[2]前記携帯端末は、位置情報を取得し、オペレータ端末装置にその情報を伝達可能なものである前記[1]に記載のケアコールシステム。
[3] 前記[1]のケアコールシステムは、
複数のサービス提供者が一または複数の利用者に対して介護サービスを提供する上での支援システムであって、前記支援システムは、前記複数のサービス提供者の各々を一意に特定するサービス提供者IDを記憶する手段、前記一または複数のサービス利用者の各々を一意に特定するサービス利用者ID及び各サービス利用者に関するデータを記憶する手段を備え、通信回線を介してアクセスしてきた前記複数のサービス提供者の各々に対し、予め決められたアクセス権限に従い、サービス利用者に関するデータの閲覧機能を提供する手段を有する、複数のサービス提供者に対して介護データの共有を可能とするシステム
と連携し、前記利用者特定情報からサービス利用者IDを特定し、これにより、オペレータは緊急事態の発生を送信してきた利用者についての情報を閲覧しながら、利用者との会話が可能である前記[1]または[2]に記載のシステム。
[4]前記システムがインターネット資源に分散的に構築されている前記[3]に記載のシステム。
[5]前記利用者に関するデータは、利用者のID、氏名、住所、年齢、性別、介護保険情報、ケアプラン情報、ケア履歴情報、医療関連情報、関連機関情報、親族情報の1以上のデータを含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載のシステム。
[6]システムに対するアクセスは、クラウドコンピューティングシステムを介してパソコンまたは携帯端末から可能である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のシステム。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のシステムを用いた24時間対応型介護支援システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者に、例えば不安、排泄、オムツ交換、転倒・転落、体調の急変等の緊急事態が生じた場合、携帯端末の通報装置ボタンを利用者が押下すると、利用者は、通報することが可能であり、緊急事態の詳細等をオペレータに伝えることができる。それとともに、緊急事態である旨及び利用者の所在位置情報を送信することも可能である。また、本システムは、好ましくはクラウドコンピューティングシステムを利用した介護支援システムと連携しており、あらかじめ利用者の心身の状況、その置かれている環境、基本情報、アセスメント情報、過去の通報記録、サービス提供記録等の記録をオペレータはすばやくパソコン上に確認することができる。オペレータはその情報をもとに利用者と適切に応対することができる。必要時には、介護員を利用者の自宅へ派遣し、利用者が在宅で安心して暮らしていくための自立を支援する。更に、利用者の排泄、健康状態、医師の指示に基づくバイタルチェック等のアセスメント情報やサービス提供実施記録等の情報をクラウドコンピューティングシステムを利用して、医師、看護師、介護支援専門員、保険者等の社会資源と特定の必要な情報を閲覧できるようにし、利用者の必要な時に適切な医療・介護が受けるようにすることができる。独居(日中独居を含む)や高齢者世帯になっても、利用者が安心してその居宅で暮らし続けることを可能にするシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
本発明のケアコールシステムは、サービス提供事業者がケアサービス利用者に貸与する携帯端末と、オペレータ端末装置とを備える。
【0011】
利用者が、貸与された携帯端末を操作(好ましくはボタンの押下)をすると、オペレータ端末装置への通報がなされるとともに、利用者特定情報がデータとして発信される。オペレータ端末装置では受信時に、前記利用者特定情報に基づいて、オペレータに対し当該利用者についてあらかじめ登録された情報を提示する。
【0012】
具体的には、本発明のケアコールシステムは、利用者について様々なデータを登録してあるデータベースを有するか、そのようなデータベースと連携しており、前記着信時には、前記利用者特定情報に基づいて、データベース内の利用者情報が検索され、これがオペレータに対し提示される。
【0013】
本システムは、好ましくは、クラウドコンピューティングシステムを利用した介護支援システムと連携しており、これにより、オペレータ端末装置に利用者情報を表記させることができる。このような介護支援システムについては後述する。ここで、「クラウドコンピューティングシステムを利用した介護支援システム」とはシステムがインターネット資源に分散的に構築されていることを意味する。
【0014】
なお、利用者としては、主として中重度の要介護高齢者を想定しているが、独居や高齢者世帯、軽度の要介護高齢者、要支援・自立の高齢者も利用可能である。
【0015】
携帯端末は、少なくとも、データを送受信する通信部、音声通話を可能とする送話部及び受話部、好ましくは所在位置を検出して位置情報を生成する位置情報生成部並びに操作部を有する。
【0016】
データを送受信する通信部により、利用者特定情報が発信される。利用者特定情報は電話番号でもよいし、利用者を特定するその他の符号列でもよい。所在位置を検出して位置情報を生成する位置情報生成部は、どのような形態のものでもよいが、基本的にはGPS(全地球測位システム)機能または携帯電話基地局との位置関係に基づいて位置情報を生成するものを有することが好ましい。位置情報は前記データ通信部により、オペレータ端末に送信される。
【0017】
操作部は、通常の電話のように数字キーを有するものでもよいが、最小限のボタン、例えば、緊急信号ボタンと会話ボタンとすることが好ましく、緊急信号ボタンと会話ボタンの両機能を兼ね備えたボタンのみでもよい。緊急信号ボタンは、サービス利用者に緊急事態が生じた場合に、サービス利用者が押下するものであり、携帯端末の筐体の目立つ位置に配置されている。緊急事態としては、急病や怪我等の体調の悪化、事件や事故の発生、及び、自己位置や帰宅路の不明(迷子)等が挙げられる。数字キーを含まない場合は、送話先はオペレータ端末装置に設定される。
【0018】
あるいは、サービス利用者の体調(排泄、排便、血圧、呼吸、脈拍、体温、その他の血液成分等)を計測する装置と組み合わせ、これらの装置に異常が見られた場合は、自動的に緊急信号がオペレータ端末装置に送信されるか、あるいは、オペレータ端末装置からオペレータが携帯端末の保持者と会話できるようにしてもよい。
【0019】
携帯端末は、表示部としてのディスプレイ装置、アラーム部を有してもよい。ディスプレイ装置は液晶パネル等で構成され、通常の時間表示のほか、位置情報を表示したり、例えば、利用者が聴力に障害がある場合等に音声を文字表示するのに用いることもできる。アラーム部は、例えば、スピーカから警告音を発し得るものである。これにより、サービス利用者が動けない状態にあるときでも、通行人等に異常事態を知らせ、通話機能によりその介助を要請することが可能になる。
【0020】
この携帯端末は、児童や高齢者の利用を想定して緊急事態の通知機能が設けられた市販の携帯端末を用いて構成することができ、例えば、ソフトバンクモバイル株式会社により提供される「みまもりケイタイSoftBank005Z」等を用いることができるが、もちろん、将来発売される携帯電話などでもよい。
【0021】
オペレータ端末装置は、システムのセンター施設や介護事業所等に設置されており、光ファイバー回線等によりインターネットに常時接続されている。また、携帯端末との会話が可能な電話機能を有する。当該電話機能は、特に限定されないが、基本的にはVoIPに対応したものが好ましく、音声通話を可能とする送話部及び受話部は、一般的なD/A、A/Dコンバータを含む装置である。なお、VoIPはIP電話等を可能にする音声を各種符号化方式で圧縮しパケットに変換した上でIP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワークでリアルタイム伝送する技術であり、これにより、いわゆるIP電話が可能となる。当業者にはその詳細は既知であり、本発明においてVoIPは現時点での当該技術の他、将来的に開発されるであろう等価な技術をも含む。
【0022】
ここで、システムに対するアクセスは、クラウドコンピューティングシステムを介して携帯端末から可能である。すなわち、携帯端末からオペレータ端末装置にアクセスする場合、携帯端末からの発信は一定の番号に対してなされるが、クラウドコンピューティングシステムを介して、その番号を読み替えて、状況や時間により、実際のアクセス先を変更することができる。これにより、災害時やオペレータ端末装置の障害時においても、別のオペレータ端末装置において緊急事態の受電をすることが可能となる。また、昼間はシステムのセンター施設内のオペレータ端末装置において受電するとともに、夜間は別の場所(国外でもよい)で受電することにより、後述の24時間対応型介護支援システムを構築できる。なお、ここでいう、クラウドコンピューティングシステムを介した番号読み替えは、例えば、クラウド型IP電話システム等で実現できる。
【0023】
オペレータ端末装置において、オペレータは、好ましくは、システムのセンターが担当する全サービス利用者に関する情報が格納された介護支援システムを利用できる。この介護支援システムについては後述する。
【0024】
また、オペレータ端末装置は、会話に必要な送受話機能を持つほか、一般電話回線や携帯電話を内線として、設定することができる。表示部としてのディスプレイ装置と、アラーム部を有する。ディスプレイ装置は液晶パネル等で構成され、緊急信号の受信に対応してサービス利用者に関する情報を、ディスプレイ装置に表示してアラームを行う。アラーム部は、ディスプレイ装置に情報を表示する他、スピーカから警告音を発して行ってもよい。
【0025】
さらに、オペレータ端末装置は、キーボード及びマウス等で構成される入力部と、ハードディスクの所定領域に形成された記憶部と、出力部としてのプリンタを有する。上記アラーム部によるアラームに対応して、オペレータが行う対応策の内容を、入力部に入力する。対応策の内容は、電話による確認をはじめとして、訪問による安否確認、及び救急車の出動要請等がある。これらの対応策の内容は、マウスにより、ディスプレイ装置に表示されるプルダウンメニューから選択して入力することができる。あるいは、対応策の内容を、キーボードで文字入力により入力してもよい。これらの対応策の内容は、記憶部に記憶され、対応策の履歴として蓄積される。記憶部に蓄積された対応策の履歴は、プリンタで適宜出力可能である。
【0026】
また、このケアコールシステムは、利用者の通報の録音記録を保存したり、何時何分何秒に何分何秒間会話したか等の記録を確認することができる。更に、通報管理の為、時間帯別利用状況や通報内容区分等の記録の整備を自動的に行うことができる。また、利用者が通報したが、何らかの理由により、会話することができなかった場合、オペレータから利用者の携帯端末に通報することもできる。
【0027】
本発明のケアコールシステムは、複数のサービス提供者が一または複数のサービス利用者に対して介護サービスを提供する上での支援システムであって、前記支援システムは、前記複数のサービス提供者の各々を一意に特定するサービス提供者IDを記憶する手段、前記一または複数のサービス利用者の各々を一意に特定するサービス利用者ID及び各サービス利用者に関するデータを記憶する手段を備え、通信回線を介してアクセスしてきた前記複数のサービス提供者の各々に対し、予め決められたアクセス権限に従い、サービス利用者に関するデータの閲覧機能を提供する手段を有する、複数のサービス提供者に対して介護データの共有を可能とする介護支援システムと連携することが好ましい。この際、前記利用者特定情報からサービス利用者IDを特定し、これを用いて上のシステムからサービス利用者IDに対応するデータを得てオペレータに提示する。
【0028】
複数のサービス提供者は、医療・介護を求める者に対してサービスを提供する者をすべて含み、例えば、医師、看護師、介護支援専門員、自治体職員、地域包括支援センター職員、ケアマネジャー、保険者などが含まれる。サービス提供者からアクセスは、パソコンや携帯端末その他、通信回線を利用して必要な情報を表示可能なものであればよい。ここで、システムに対するアクセスは、クラウドコンピューティングシステムを介してパソコンまたは携帯端末から可能である。すなわち、パソコンまたは携帯端末からオペレータ端末装置にアクセスする場合、パソコンまたは携帯端末からのアクセスは一定のURLまたは番号に対してなされるが、クラウドコンピューティングシステムを介して、そのURLまたは番号を読み替えて、状況や時間により、実際のアクセス先を変更することができる。これにより、災害時やオペレータ端末装置の障害時においても、別のオペレータ端末装置において緊急事態の受電をすることが可能となる。なお、ここでいう、クラウドコンピューティングシステムを介した番号読み替えは、例えば、クラウド型IP電話システム等で実現できる。パソコンからのアクセスについても同様である。
【0029】
システムは、インターネット等の通信回線を介して前記パソコンや携帯端末等と接続可能なものであるが、特定のサイトに局在化されている必要はなく、クラウドコンピューティングシステムとしてインターネット資源に分散的に構築されてもよい。すなわち、複数のサイトに物理的及び/または論理的に分散されていてもよい。なお、ここで、サイトとは、少なくとも1のIPアドレスを動的または静的に有し、ハードディスクやメモリ−等の記憶手段及び/またはCPU等の制御手段を含むものである。また、その少なくとも1つはキーボード等の入出力手段を有していてもよい。
【0030】
前記複数のサービス提供者は、その各々を一意に特定するサービス提供者IDを有している。サービス提供者及び利用者IDのうち、少なくともサービス提供者IDは、前記介護データの共有を可能とするシステムとは異なるシステムにより、または異なるシステムを介して発行される。例えば、サービス提供者IDは、予め、システムの統括責任者に申請することによりそのIDが個別に付与される。
【0031】
ここで、サービス提供者のIDは好ましくは多重化されており、サービス提供者の認識するIDとシステム内においてサービス提供者を特定するIDは異なる。
【0032】
予めシステムの統括責任者からIDを付与されたサービス提供者が本発明の介護支援システムにアクセスする場合、介護支援システムは、端末からログインを要求する信号が供給されると、端末に、ログイン画面を表示させる。そして、操作者がログインIDとパスワードを入力する操作を行うと、端末は、ログインIDとパスワードをネットワークを介して、好ましくは、本発明の介護支援システムとは異なる認証システムに送られて認証を受ける。認証後は、好ましくは、前記認証システムまたはその他のシステムにより、IDはシステム内IDに置き換えられてシステムの利用に供される。これらのIDはアクセス権限が付与されており、認証許可されたIDに各種閲覧権限を与えると共に、このIDの権限に応じたポータル画面を端末に表示させる。
【0033】
利用者に関するデータとしては、利用者のID、氏名、住所、年齢、性別等の基本情報、介護保険情報、ケアプラン情報、ケア履歴情報、医療関連情報、関連機関情報、親族情報の1以上のデータが挙げられる。
【0034】
介護保険情報には、被保険者番号、要介護の度合いを示す要介護認定区分、この要介護認定区分が認定された認定有効開始日、この要介護認定区分の認定が解除された認定有効終了日利用者に対して介護サービスを提供した事業所、担当したケアマネジャー等の情報が含まれる。
【0035】
ケアプラン情報、ケア履歴情報としては、ケアプラン項目、訪問介護情報、通所介護情報、通所リハビリ情報、訪問看護情報、介護サービスの提供日時、サービス種類、サービス項目、申し送り情報、アセスメント情報、サービス担当者会議情報などが含まれる。ここで、サービス種類コードとは、厚生労働省により定められた介護サービスの種類を一意に識別するコードであり、サービス項目コードも、同様に厚生労働省により定められた介護サービスの具体的な内容を一意に識別するコードである。
【0036】
医療関連情報としては、罹患履歴や治療履歴、担当医、電話・FAX・メール等の連絡先などの情報が含まれる。
【0037】
関連機関情報としては、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、その他サービス提供事業所、この事業所の属性情報と、この事業所に所属するスタッフのユーザ、サービス種類を示すサービス種類、郵便番号等、スタッフ情報として所属事業所、従業員番号、スタッフの職種を示す職種区分等が含まれる。
【0038】
もっとも、上記は一例であり、障害者請求関連情報、後見関係の情報などを含んでもよい。
【0039】
また、本発明の支援システムでは、一定の統計処理やデータ処理機能を提供してもよい。例えば、介護サービス実施記録から選択された利用者に関連する介護保険情報を抽出し、この抽出された介護保険情報に基づいて、スタッフの利用者に対する介護サービスの統計分析を行い、この統計分析結果を表示させてもよい。例えば、介護サービス実施記録から、選択されたスタッフ名に対応する事業所番号及び担当ケアマネを含む介護保険情報を抽出し、この抽出された介護保険情報に含まれる開始日時と、終了日時と、要介護認定区分とに基づいて、利用者の改善度合いを示す改善率と、要介護認定区分毎の人数を示す利用者分類を算出し、この算出された改善率と利用者分類とを端末に表示させる。
【0040】
また、本発明の支援システムでは、種々の書類作成支援を行うこともできる。例えば、サービス提供者に応じた計画書類作成メニュー画面を表示し、訪問介護計画書、夜間対応型訪問介護計画書、通所介護計画書を選択することにより、計画書類作成支援処理により、操作者が選択したアセスメント項目に基づいて、分析を行い、この分析結果に基づいて、それぞれ訪問介護計画書、夜間対応型訪問介護計画書、通所介護計画書を作成の根拠にすることができる。ケアプランの作成の情報提供についても同様である。
【0041】
本発明の介護支援システムにおける情報登録処理は、個別のサービス提供者ではなく、システムの管理責任者の統括下の操作者が行う。操作者が介護情報入力を選択操作すると、端末は、介護情報入力を要求する信号をネットワークを介して介護支援システムへ送信する。介護支援システムの介護情報登録部は、利用者ID及び介護情報入力を要求する信号が供給されると、当該サービス利用者の介護情報項目の一覧を表示する介護情報項目選択画面を端末に表示させる。そして、操作者の操作により、端末に表示された介護情報項目選択画面からいずれか1つ以上の介護情報項目が選択されると、端末は、選択された介護情報項目の介護情報入力画面の表示を要求する要求信号をネットワークを介して介護支援システムへ送信する。そして、介護情報入力画面の表示を要求する要求信号を受信した介護情報登録部は、利用者に対応する介護情報入力画面を端末に表示させる。
【0042】
ここで、入力画面は帳票形式でもよいし、その他、入力項目に適した表示形式でもよい。介護情報登録部は、操作者の操作により、介護情報入力画面から情報が入力されると、入力された内容に基づいて、新規作成か否かを判定する。
【0043】
新規作成であると判定された場合、介護情報登録部は、操作者により入力された介護情報に基づいて、新たに選択された介護情報項目に対応する介護情報テーブルを生成し、この生成された介護情報テーブルを介護情報記憶部に記憶させる。一方、新規作成ではないと判定された場合、介護情報登録部は、操作者により入力された介護情報に基づいて、介護情報記憶部に記憶された該当の介護情報テーブルを更新する。以上のように、本発明の一実施形態である介護支援システムの介護情報登録部は、介護情報入力処理を実行することにより、利用者に関する介護情報を追加、変更、及び削除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、高齢者の介護において問題であった不安の解消や緊急時の対応をよりきめ細かく行うことができる。また、オペレータを常駐させることにより、上記システムを利用して24時間対応型介護支援システムとすることができる。この場合、24時間対応型介護支援システムのオペレータ端末装置は、常時同じ場所に設けられているものでもよいし、例えば、昼間はシステムのセンター施設内のオペレータ端末装置において受電するとともに、夜間は別の場所(国外でもよい)で受電するように時間により変更されるものでもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供事業者がケアサービス利用者に貸与する携帯端末と、オペレータ端末装置とを備えるケアコールシステムであって、
上記携帯端末は前記オペレータ端末装置に着信限定されるとともに、利用者特定情報をデータとして発信し、オペレータ端末装置を操作するオペレータに緊急事態の発生を発信するものであり、
緊急事態の発生を受信した際、前記利用者特定情報に基づいて、オペレータに対し当該利用者についてあらかじめ登録された情報を提示し、
これにより、オペレータが前記登録された情報を確認しながら利用者と会話することを可能とするケアコールシステム。
【請求項2】
前記携帯端末は、位置情報を取得し、オペレータ端末装置にその情報を伝達可能なものである請求項1に記載のケアコールシステム。
【請求項3】
ケアコールシステムは、
複数のサービス提供者が一または複数の利用者に対して介護サービスを提供する上での支援システムであって、前記支援システムは、前記複数のサービス提供者の各々を一意に特定するサービス提供者IDを記憶する手段、前記一または複数のサービス利用者の各々を一意に特定するサービス利用者ID及び各サービス利用者に関するデータを記憶する手段を備え、通信回線を介してアクセスしてきた前記複数のサービス提供者の各々に対し、予め決められたアクセス権限に従い、サービス利用者に関するデータの閲覧機能を提供する手段を有する、複数のサービス提供者に対して介護データの共有を可能とするシステム
と連携し、前記利用者特定情報からサービス利用者IDを特定し、これにより、オペレータは緊急事態の発生を送信してきた利用者についての情報を閲覧しながら、利用者との会話が可能である請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムがインターネット資源に分散的に構築されている請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記利用者に関するデータは、利用者のID、氏名、住所、年齢、性別、介護保険情報、ケアプラン情報、ケア履歴情報、医療関連情報、関連機関情報、親族情報の1以上のデータを含む請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
システムに対するアクセスは、クラウドコンピューティングシステムを介してパソコンまたは携帯端末から可能である請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシステムを用いた24時間対応型介護支援システム。


【公開番号】特開2013−17098(P2013−17098A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149508(P2011−149508)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(511163698)
【Fターム(参考)】