説明

ケイ素−チタン混合酸化物粉末、それらの分散液およびそれらから製造されるチタン含有ゼオライト

200〜400m2/gのBET比表面積、97.0±1.5質量%の二酸化ケイ素含有率、3.5±1.0質量%の二酸化チタン含有率、二酸化ケイ素含有率および二酸化チタンの含有率の合計が99.7質量%よりも大きい、熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。この粉末を含む分散液。粉末あるいは分散液から出発するチタン含有ゼオライトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末およびその製造に関する。
【0002】
本発明は、さらに熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末を含む分散液に関する。
【0003】
本発明は、さらに熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末あるいはこの粉末を含有する分散液による、チタン含有ゼオライトの製造方法に関する。本発明は、さらにこれらの方法により得られるチタン含有ゼオライトおよびそれらの触媒としての使用に関する。
【0004】
チタン含有ゼオライト製造のためのケイ素−チタン混合酸化物粉末の使用は、EP−A−814058号より公知である。チタン含有ゼオライトは、過酸化水素を用いたオレフィンの酸化のための効率的な触媒である。それらは鋳型の存在下で、ケイ素−チタン混合酸化物粉末から出発する水熱合成によって得られる。EP−A−814058号において、二酸化ケイ素含有率75〜99.9質量%および二酸化チタン含有率0.1〜25質量%を有する、熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末をこれに用いることができると開示されている。90〜99.5質量%の二酸化ケイ素および0.5〜5質量%の二酸化チタンを含有する組成物が特に有利である。鋳型としては、アミン、アンモニウム化合物あるいはアルカリ/アルカリ土類金属の水酸化物を用いることができる。
【0005】
EP−A−814058号で開示される方法の欠点は、鋳型の存在中でケイ素−チタン混合酸化物の反応に必要な反応時間が長いことである。さらに、EP−A−814058号によって得られるチタン含有ゼオライトのすべてが充分な触媒活性を示すわけではない。
【0006】
本発明の課題はそれゆえに、ケイ素−チタン混合酸化物を利用可能にし、それによってチタン含有ゼオライト製造における反応時間が短縮され得ることである。本発明のさらなる課題は、高い触媒活性を有するチタン含有ゼオライトを利用可能にすることである。
【0007】
本発明は、
200〜400m2/gのBET比表面積、
含有率97.0±1.5質量%の二酸化ケイ素、
含有率3.5±1.0質量%の二酸化チタンを有し、且つ
二酸化ケイ素含有率と二酸化チタン含有率との合計が99.7質量%より多い熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末に関する。
【0008】
熱分解法は、火炎酸化および/または火炎加水分解によって得られる金属混合酸化物粒子の意味として理解される。本方法において、酸化可能なおよび/または加水分解可能な出発物質は、通常、水素−酸素火炎中で酸化あるいは加水分解される。本発明による金属酸化物粒子は、可能な限り孔がなく、表面に遊離ヒドロキシル基を有する。それらは凝集した一次粒子の形態で存在する。
【0009】
高いBET比表面積が、本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末からのチタン含有ゼオライト製造のための時間を著しく短縮させることが示されている。
【0010】
250〜350m2/gのBET比表面積を有する本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末が好ましく、特に好ましくは300±30m2/gのものである。
【0011】
さらには、97.0±1.0質量%の含有率の二酸化ケイ素および3.5±0.75質量%の含有率の二酸化チタンを有するケイ素−チタン混合酸化物粉末が、二酸化ケイ素含有率および二酸化チタン含有率の合計が99.9質量%より大きい場合、好ましい。97.0±0.5質量%の含有率の二酸化ケイ素および3.5±0.5質量%の含有率の二酸化チタンを有するケイ素−チタン混合酸化物粉末が、二酸化ケイ素含有率および二酸化チタン含有率の合計が99.9質量%より大きい場合、特に好ましい。
【0012】
本発明による粉末中の二酸化ケイ素含有率および二酸化チタン含有率の合計は、99.7質量%より大きく、好ましくは99.9質量%より大きい。金属Al、Ca、Co、Fe、K、Na、NiおよびZnの含有率は、好ましくはそれぞれ50ppm未満であり、特に好ましくはそれぞれ25ppm未満である。塩化物の含有率は、好ましくは700ppm未満である。それらの金属および塩化物の含有率がそれらの値を超えない場合、チタン含有ゼオライトの製造にとって有利であることが証明されている。それらの不純物は、必要物質に由来し得る、および/または工程によって生じ得る。
【0013】
本発明のさらなる対象は、本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末の製造方法において、
SiO2として計算した97.0±1.5質量部の塩化ケイ素およびTiO2として計算した3.5±1.0質量部の塩化チタンを気化し、前記蒸気を混合チャンバーに取り込み、水素および一次空気をそれらから別々に混合チャンバー内に取り込み、
塩化ケイ素および塩化チタンの混合蒸気、水素含有可燃性ガスおよび一次空気を、その後、バーナー内で点火し、前記火炎を反応チャンバー内で燃焼させ、
二次空気をさらに反応チャンバー内に導入し、その後、ガス状物質から固体を分離し、そして
前記固体をその後、250〜700℃の温度での蒸気処理によって、ハライド含有物質を可能な限り除き、
塩化ケイ素、塩化チタン、可燃性ガス、一次空気および二次空気から成る必要物質の量を、断熱火炎温度Tadで下記が成り立つように選択する:
900℃<Tad<1200℃、
ここで、Tadは、必要物質の温度+部分的反応の反応エンタルピーの合計/ケイ素−チタン混合酸化物、水、塩化水素、必要であれば二酸化炭素、酸素、窒素、および、もしそれが空気あるいは窒素でなければ必要なキャリアガスを含む、反応チャンバーを離れる物質の熱容量であり、これらの物質の1000℃での比熱容量を基礎として用いる。
【0014】
比熱容量は、例えば、VDI Waermeatlas[VDI heat atlas](Chapter 7.1から7.3および3.7、8th Edition)によって測定できる。
【0015】
酸素及び可燃性ガスの存在中での塩化ケイ素および塩化チタンの反応は、ケイ素−チタン混合酸化物、水、塩酸を生じ、且つ炭素含有ケイ素および/またはチタン化合物および/または炭素含有可燃性ガスの場合には、二酸化炭素を生ずる。それぞれの反応の反応エンタルピーは、当事者によって知られる標準的な方法によって計算できる。
【0016】
表1は、ハロゲン化ケイ素および四塩化チタンの水素および酸素存在中での反応の反応エンタルピーの選択されたいくつかの値を示す。
【0017】
メチルトリクロロシラン(MTCS、CH3SiCl3)、トリクロロシラン(TCS、SiHCl3)および/またはジクロロシラン(DCS、SiH2Cl2)および四塩化チタンが特に好ましく用いられる。
【0018】
表1:反応エンタルピー
【表1】

【0019】
適した可燃性ガスは、水素、メタン、エタン、プロパンおよび/または天然ガスであり、水素が好ましい。
【0020】
混合チャンバーから反応室への反応混合物の流出速度が10〜80m/sの場合にさらに有利であり得る。
【0021】
塩化ケイ素および塩化チタンの蒸気は、キャリアガスによって、混合あるいは分離した形態で、混合チャンバーに取り込むこともできる。
【0022】
必要物質の可燃性ガス、一次空気および/または二次空気は予熱された形態で導入できる。適した温度範囲は50〜400℃である。
【0023】
さらには、一次および/二次空気は、酸素で富化することができる。
【0024】
好ましくは、本発明による方法を、SiCl4をハロゲン化ケイ素として用い、TiCl4をハロゲン化チタンとして用い、且つ断熱火炎温度Tad=1050±50℃で行うことができる。
【0025】
本発明のさらなる対象は、本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末および水を含む分散液である。
【0026】
前記分散液中のケイ素−チタン混合酸化物粒子の平均凝集直径は、好ましくは200nm未満、特に好ましくは100nm未満である。
【0027】
好ましくは、本発明による分散液では、下記が成り立つ:10≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦20。特に好ましくは、前記範囲は、12≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦17である。
【0028】
さらには、付加的に塩基性第四級アンモニウム化合物を含む分散液が好まれ得る。テトラアルキルアンモニウム水酸化物、例えば、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物および/またはテトラ−n−ブチルアンモニウム水酸化物を含む分散液が特に好まれる。
【0029】
本発明による分散液中の第四級塩基性アンモニウム化合物の含有率は限定されない。前記分散液が比較的長期間貯蔵される場合、そこにはチタン含有ゼオライトの製造に必要な量の分散液の一部だけを添加するのが有利であり得る。好ましくは、第四級塩基性アンモニウム化合物は、9〜11、特に9.5〜10.5のpH値が生じる量で添加され得る。このpH範囲において、前記分散液は良好な安定性を示す。
【0030】
例えば、前記分散液が、その製造直後にチタン含有ゼオライトの製造に用いられた場合、前記分散液は全量の第四級塩基性アンモニウム化合物も既に含んでいる。好ましくは、そのとき、下記が成り立つ:0.12≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比<0.20、0.13≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦0.17が特に好まれる。
【0031】
本発明のさらなる対象は、本発明による分散液の製造方法において、
水を受容器からローター/ステーター機によって再循環させ、その水は、後から導入されるケイ素−チタン混合酸化物粉末が水相でのpH値を2より下あるいは4より上に至らしめる場合に、酸あるいは塩基の添加によってpH値を2〜4に調整し、そして
充填装置によって、本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末を、連続的あるいは回分式に、ローターの歯の溝とステーターの溝との間の剪断領域に、ローター/ステーター機を稼働しながら、20〜40質量%の固体含有率を有する前分散液となる量で導入し、そして
全てのケイ素−チタン混合酸化物粉末を添加した後、充填装置を閉じ、前記の前分散液を、10000〜40000S-1の間の範囲の剪断速度でさらに剪断し、そして
その分散の条件を保持しながら、次いで、もし必要であれば水、および塩基性第四級アンモニウム化合物を添加する工程を含む。
【0032】
本発明のさらなる対象は、チタン含有ゼオライトの製造方法において、本発明によるケイ素−チタン混合酸化物粉末および塩基性第四級アンモニウム化合物を水性媒体中で、12時間未満の間、150℃〜220℃の温度で処理する製造方法である。
【0033】
好ましくは、本方法は、下記が成り立つように実行される:10≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦20。特に好ましくは、前記の範囲は12≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦17である。
【0034】
前記工程を下記が成り立つように実行することはさらに有利である:0.12≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比<0.20。特に好ましくは、前記の範囲は、0.13≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦0.16である。
【0035】
塩基性第四級アンモニウム化合物として、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、例えば、テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物および/またはテトラ−n−ブチルアンモニウム水酸化物が特に好まれる。
【0036】
塩基性第四級アンモニウム化合物は、結晶格子内への組み込みによって結晶構造を決定する鋳型としてはたらく。テトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物は、好ましくはチタンシリカライト−1(MFI構造)の製造に、テトラ−n−ブチルアンモニウム水酸化物は、チタンシリカライト−2(MEL構造)の製造に、およびテトラエチルアンモニウム水酸化物はチタンβ−ゼオライト(BEA結晶構造)の製造に用いられる。
【0037】
本発明のさらなる対象は、チタン含有ゼオライトの製造方法において、本発明による分散液を、必要であれば塩基性第四級アンモニウム化合物をさらに添加し、12時間未満の間、150〜220℃の温度で処理する製造方法である。
【0038】
本発明による方法の特定の条件の下で、結晶化時間は慣例的に12時間未満である。結晶を、濾過、遠心分離あるいはデカントによって分離し、適した洗浄液、好ましくは水で洗浄する。前記結晶をその後、必要に応じて乾燥させ、400℃〜1000℃の間、好ましくは500℃〜700℃の間の温度で、鋳型を除去する目的で焼成する。
【0039】
分散液中で200nm未満の細かさの粒子は、粒子の素早い溶解およびチタン含有ゼオライトの形成をもたらす。
【0040】
本発明のさらなる対象は、ケイ素−チタン混合酸化物粉末から出発する、本発明による方法によって得られるチタン含有ゼオライトである。
【0041】
本発明のさらなる対象は、ケイ素−チタン混合酸化物粉末を含む分散液から出発する、本発明による方法によって得られるチタン含有ゼオライトである。
【0042】
両方のチタン含有ゼオライトが粉末の形態で得られる。酸化触媒としての利用のために、必要に応じて、使用に対して適切な形態、例えばマイクロペレット、球、タブレット、中実の円柱、中空の円柱、あるいはハニカムに、粉末状の触媒を造形する公知の方法、例えばペレット成形、噴霧乾燥、噴霧ペレット成形、あるいは押出成形によって、変換される。
【0043】
本発明によるチタン含有ゼオライトは、過酸化水素による酸化反応の触媒として使用できる。特に、水と混和性のある溶剤中の水性過酸化水素によるオレフィンのエポキシ化における触媒として利用できる。
【0044】
実施例:
必要材料:実施例1〜5の必要材料の四塩化ケイ素および四塩化チタンは、50ppm未満のNa、K、Fe、Co、Ni、Al、CaおよびZn含有率を有している。
【0045】
実施例1〜4:本発明によるチタン−ケイ素混合酸化物粉末
実施例1:5.15kg/hの四塩化ケイ素および0.15kg/hの四塩化チタンを気化する。蒸気を、キャリアガスとしての15Nm3/hの窒素によって混合チャンバーの中に取り込む。これとは別に、2Nm3/hの水素および8Nm3/hの一次空気を混合チャンバー内に導入する。中央の筒内で、反応混合物をバーナーに導き入れて点火する。ここで、その火炎は水冷された内筒内で燃焼する。さらに、15Nm3/hの二次空気を反応室に導入する。生成された粉末を、直列に接続されているフィルター内で分離し、その後、向流の水蒸気によって520℃で処理する。
【0046】
実施例2〜4は、表に示される量を用いて、実施例1と同様に実行する。
【0047】
実施例5は、組成が特許請求された範囲内であるが、特許請求された粉末よりも著しく低いBET比表面積を有する、比較用の実施例である。
【0048】
得られた粉末の物質パラメータを表にまとめる。
【0049】
全ての実施例で、Naの含有率が10ppm未満、Kが10ppm未満、Feが1ppm以下、Coが1ppm未満、Niが1ppm未満、Alが10ppm未満、Caが10ppm未満、Znが10ppm未満である。
【0050】
表:必要物質および量、ケイ素−チタン混合酸化物粉末の分析値
【表2】

【0051】
実施例6:分散液の製造(本発明による)
32.5kgの完全脱塩水を最初に100lのステンレス鋼製容器に導入する。続いて、Ystral Conti−TDS 4(ステーター溝:6mmリングおよび1mmリング、ローター/ステーター距離約1mm)の吸い込みノズルを用いて、17.5kgの実施例1によるケイ素−チタン混合酸化物粉末を剪断条件のもとで吸い込む。吸い込み完了後、吸い込みノズルを閉じ、続いて35質量パーセントの前分散液をさらに10分間3000rpmで剪断する。高エネルギー入力による、分散液の望ましくない加温は、熱交換器によって相殺し、温度上昇を最大40℃に制限する。熱分解法で製造したケイ素−チタン混合酸化物粉末の、酸性の特性のために、分散液のpHは約3.6である。
【0052】
続いて、28.6kgの完全脱塩水を添加し、強力な剪断および1.0kgのテトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物溶液(水中で40質量%)を用いて完全に混合することでpHを10.0に素早く調整する。
【0053】
前記分散液は下記の値を有する:
水/ケイ素−チタン混合酸化物 11.7
平均凝集直径 92nm(Horiba LA910で測定)。
【0054】
実施例7:ケイ素−チタン混合酸化物粉末から出発するチタン含有ゼオライトの製造(本発明による)
137.0gのテトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物溶液(水中で40%)および434.2gの脱イオン水を最初にポリプロピレンビーカー内に導入し、111.1gの実施例1による熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末を、激しく攪拌しながら混合する。得られるゲルを激しく攪拌しながら最初に80℃で2時間ねかせ、続いて高圧釜内で、180℃で10時間、結晶化させる。得られる固体を遠心分離によって母液から分離し、250mlずつの脱イオン水で3回洗浄し、90℃で乾燥させ、550℃で4時間、大気雰囲気中で焼成する。
水/ケイ素−チタン混合酸化物 13.1
テトラプロピルアンモニウム水酸化物/ケイ素−チタン混合酸化物 0.15
【0055】
実施例8(比較実施例)を、実施例7と同様ではあるがしかし実施例5によるケイ素−チタン混合酸化物粉末を用いて実施した。粉末の取り込みは明らかに実施例7よりも長い時間を要した。
【0056】
実施例9:ケイ素−チタン混合酸化物粉末を含む分散液から出発するチタン含有ゼオライトの製造
実施例6による505gの分散液、46.7gの脱イオンH2Oおよび130.6gのテトラ−n−プロピルアンモニウム水酸化物溶液(水中で40質量%)を最初にポリプロピレンビーカー内に導入し、撹拌しながら最初に80℃で4時間ねかせ、続いて高圧釜内で、180℃で10時間、結晶化させる。得られる固体を遠心分離によって母液から分離し、250mlずつの脱イオン水で3回洗浄し、90℃で乾燥させ、550℃で4時間、大気雰囲気中で焼成する。
水/ケイ素−チタン混合酸化物 13.2
テトラプロピルアンモニウム水酸化物/ケイ素−チタン混合酸化物 0.14
【0057】
実施例7から9で得られる結晶のX線回折図形は、MFI構造の典型的な回折パターンを示し、IRスペクトルは960cm-1に特徴的なバンドを示す。紫外可視光スペクトルは、前記試料に二酸化チタンおよびチタン酸塩がないことを示す。
【0058】
過酸化水素水溶液を用いたプロピレンのエポキシ化において、実施例7、8および9によって得られるチタンシリカライトの触媒活性で下記が成り立つ:9>7>>8。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET比表面積が200〜400m2/gであり、
二酸化ケイ素含有率が97.0±1.5質量%であり、
二酸化チタン含有率が3.5±1.0質量%であり、
二酸化ケイ素含有率と二酸化チタンの含有率との合計が99.7質量%よりも大きく、
全ての質量パーセントは粉末の総量に対するものであることを特徴とする、熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。
【請求項2】
BET比表面積が250〜350m2/gであることを特徴とする、請求項1に記載の熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。
【請求項3】
二酸化ケイ素含有率が97.0±1.0質量%であり、且つ二酸化チタン含有率が3.5±0.75質量%であり、且つ二酸化ケイ素含有率と二酸化チタンの含有率との合計が99.9質量%よりも大きいことを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。
【請求項4】
Al、Ca、Co、Fe、K、Na、NiおよびZnの含有率が50ppm未満であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。
【請求項5】
塩化物含有率が700ppm未満であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末。
【請求項6】
SiO2として計算した97.0±1.5質量部のハロゲン化ケイ素およびTiO2として計算した3.5±1.5質量部のハロゲン化チタンを気化し、前記蒸気を混合チャンバーに取り込み、
水素および一次空気をそれらから別々に混合チャンバー内に取り込み、
ハロゲン化ケイ素およびハロゲン化チタンの混合蒸気、水素含有可燃性ガスおよび一次空気を、その後、バーナー内で点火し、前記火炎を反応チャンバー内で燃焼させ、
二次空気をさらに反応チャンバー内に導入し、その後、ガス状物質から固体を分離し、そして
前記固体をその後、250〜700℃の温度での蒸気処理によって、ハライド含有物質を可能な限り除き、
塩化ケイ素、塩化チタン、可燃性ガス、一次空気および二次空気から成る必要物質の量を、断熱火炎温度Tadで下記が成り立つように選択する:
900℃<Tad<1200℃、
ここで、Tadは必要物質の温度+部分的反応の反応エンタルピーの合計/二酸化ケイ素、水、塩化水素、必要であれば二酸化炭素、酸素、窒素、および、もしそれが空気あるいは窒素でなければ必要なキャリアガスを含む、反応チャンバーを離れる物質の熱容量であり、これらの物質の1000℃での比熱容量を基礎として用いることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のケイ素−チタン混合酸化物粉末の製造方法。
【請求項7】
ハロゲン化ケイ素としてSiCl4が用いられ、ハロゲン化チタンとしてTiCl4が用いられ、且つTad=1050±50℃であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
バーナーから反応室内への、用いられたガスの流出速度vBrが10〜80m/sであることを特徴とする、請求項6あるいは7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱分解法ケイ素−チタン混合酸化物粉末および水を含む分散液。
【請求項10】
分散液中のケイ素−チタン混合酸化物粒子の平均凝集直径が200nm未満であることを特徴とする、請求項9に記載の分散液。
【請求項11】
10≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦20が成り立つことを特徴とする、請求項9あるいは10に記載の分散液。
【請求項12】
追加的に塩基性第四級アンモニウム化合物を含むことを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項13】
pHが9〜11であることを特徴とする、請求項12に記載の分散液。
【請求項14】
0.12≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比<0.20が成り立つことを特徴とする、請求項12に記載の分散液。
【請求項15】
水を受容器からローター/ステーター機によって再循環させ、その水は、後から導入されるケイ素−チタン混合酸化物粉末が水相でのpH値を2より下あるいは4より上に至らしめる場合に、酸あるいは塩基の添加によってpH値を2〜4に調整し、そして
充填装置によって、請求項1から5のいずれか1項に記載のケイ素−チタン混合酸化物粉末を、連続的あるいは回分式に、ローターの歯の溝とステーターの溝との間の剪断領域に、ローター/ステーター機を稼働しながら、20〜40質量%の固体含有率を有する前分散液となる量で導入し、そして
全てのケイ素−チタン混合酸化物粉末を添加した後、充填装置を閉じ、前記の前分散液を、10000〜40000S-1の間の範囲の剪断速度でさらに剪断し、そして
その分散の条件を保持しながら、次いで、もし必要であれば水、および塩基性第四級アンモニウム化合物を添加する
工程を含む、請求項9から14のいずれか1項に記載の分散液の製造方法。
【請求項16】
請求項1から5のいずれか1項に記載のケイ素−チタン混合酸化物粉末および塩基性第四級アンモニウム化合物を、12時間未満の間、150〜220℃の温度で、水性媒体中で処理することを特徴とする、チタン含有ゼオライトの製造方法。
【請求項17】
10≦水/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比≦20が成り立つことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
0.12≦アンモニウム化合物/ケイ素−チタン混合酸化物のモル比<0.20が成り立つことを特徴とする、請求項16あるいは17に記載の方法。
【請求項19】
用いられる塩基性第四級アンモニウム化合物がテトラアルキルアンモニウム水酸化物であることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項9から14までのいずれか1項に記載の分散液を、必要であればさらなる塩基性第四級アンモニウム化合物を添加し、12時間未満の間、150〜220℃の温度で処理することを特徴とする、チタン含有ゼオライトの製造方法。
【請求項21】
チタン含有ゼオライトを分離し、乾燥させ、且つ焼成することを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項16から19までのいずれか1項に記載、且つ請求項21に記載の方法によって得られるチタン含有ゼオライト。
【請求項23】
請求項20に記載、且つ請求項21に記載の方法によって得られるチタン含有ゼオライト。
【請求項24】
過酸化水素によるオレフィンのエポキシ化のための触媒としての、請求項22あるいは23に記載のチタン含有ゼオライトの使用。

【公表番号】特表2009−533313(P2009−533313A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505814(P2009−505814)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052284
【国際公開番号】WO2007/118739
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】