説明

ケラチノサイト増殖因子の治療用製剤

本発明は、長期間安定な凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子の製剤およびケラチノサイト増殖因子を含む凍結乾燥組成物を作製する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥したケラチノサイト増殖因子製剤、及びケラチノサイト増殖因子を含む凍結乾燥組成物を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチノサイト増殖因子(KGF)は、上皮細胞に特異的な増殖因子であり、ヒト胎児の肺繊維芽細胞の細胞系の条件培地中に先ず特定された[Rubin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:802−806(1989)]。KGFのメッセンジャーRNA発現は、様々な発生段階にある上皮組織から得られた種々の間質繊維芽細胞の細胞系において検出されている。KGFへの転写は、健康な成人の腎臓及び胃腸管の器官から抽出されたRNAにおいて明らかにされた[Finch et al., Science 245:752−755(1989)]。KGFが繊維芽細胞から培養液中に分泌されおよび生体内で表皮ではなく真皮において発現している事実は、KGFがケラチノサイト増殖の重要な標準パラクラインエフェクターである可能性を示唆している。各研究により、KGFは、組織培養中の初代または第二世代ヒトケラチノサイトの増殖を促進させる点において、上皮成長因子(EGF)と同様の効果を奏することが報告されている [Marchese et al., J. Cell. Phys. 144:326−332 (1990)]。KGFは、上皮、口腔および下部消化管上皮、膵臓、肝臓、肺、尿路上皮、前立腺上皮ならびに他を含む種々の器官の上皮近隣の間葉細胞により産生される [Finch et al, 上掲, Housley et al., J. Clin Invest. 94:1764−77, (1994); Yi et al., Am J Path. 145:80−85, (1994); Pierce et al., J Exp. Med. 179831−40, (1994); Yi et al, J Urol. 154:1566−70, (1995); and Ulich et al., J Clin Invest. 93:1298−1306, (1994)]。
【0003】
国際公開WO 90/08771には、ヒト胎児繊維芽細胞の細胞系の条件培地からのKGFの精製、精製されたKGFの部分アミノ酸配列、KGF遺伝子のクローニングおよび生物学的に活性な組換えKGFを得るための遺伝子の発現が記載されている。この国際公開はまた、KGF又はKGF様ポリペプチドは、火傷の創傷治療剤としてまたは被移植角膜組織を刺激するために有用であることを開示している。
【0004】
健康な成体動物を用いた生体外及び生体内の各研究では、KGF−1(以下において「KGF」)は、毛嚢形態発生、肝細胞増殖ならびに肺、胸部、膵臓、胃、小腸および大腸での上皮細胞増殖に変化を生じさせることが示されている[Panos et al., J. Clin. Invest. 92:969−977 (1993); Ulich et al., Am. J. Path. 144:862−868 (1994); Yi et al., Am. J. Path. 145:80−85 (1994); and Ulich et al., J. Clin. Invest. 93:1298−1306 (1994)]。胎児又は新生児の発生におけるKGFの役目については現在のところ調査中である。しかしながら、KGFは新生マウスの精嚢発生の重要なメディエーターであることが示された[Alarid et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:1074−1078 (1994)]。加えて、肝細胞内でKGFを過剰発現するマウスでは、多嚢胞性腎を呈し[Nguyen et al., Oncogene 12:2109−19, (1996)]、さらにサーファクタントプロモーターを用いてKGFを肺において過剰発現させると、肺嚢胞腺腫を有するマウスを生じる結果となり[Simonet et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:12461−65 (1995)]、腎臓と肺の正常な発生におけるKGFの重要性を示している。
【0005】
KGFは、ウサギの耳またはブタの皮膚に外科的に施された傷に、組換えKGFを局所的に適用した場合、再上皮化を増加させ、上皮の厚さを増大させることが示されている[Pierce et al., J. Exp. Med. 179:831−840 (1994); Staiano−Coico et al., J. Exp. Med. 178:865−878 (1993)]。Boschらは[J. Clin. Invest. 98:2683−2687 (1996)]、ケラチノサイト増殖因子の投与が、肝臓細胞の増殖を促すことを報告した。
【0006】
通常、精製されたポリペプチドは、水溶液中の状態では、ほんのわずかしか安定でなく、化学的に物理的な分解を起こし、加工および保存の間に生物学的活性の損失をもたらす。加えて、水溶液中のポリペプチド構成物は、脱アミドおよびペプチド結合の開裂などの加水分解を受ける。これらの作用は、生物学的活性に基づいて決定された投与量の範囲内で人に投与することが意図された、治療活性のあるポリペプチドにとって重大な課題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
精製されたケラチノサイト増殖因子の投与は、依然、ヒト集団を冒す多くの病気を処置するための有望な候補である。しかしながら、多様な保存条件の下で長期に渡り安定な医薬組成物であり続け、したがって患者にとって生体内で有効であるという、KGFの能力に関しては、未だ取り上げられていない。このように、KGFの媒介による上皮細胞の増殖の刺激により利益をもたらし、種々の病気を処置する治療剤として有用な、安定した製剤であるケラチノサイト増殖因子を提供する必要が、この技術分野において依然残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高度に安定なケラチノサイト増殖因子(KGF)産物をもたらす、ケラチノサイト増殖因子の凍結乾燥のために有用な、新規な製剤を提供する。この安定なKGFは、KGFの投与が利益をもたらす病気または状態を患っている個体の処置の治療のための治療剤として有用である。
【0009】
一形態において、本発明は、ヒスチジン、充填剤、界面活性剤および糖類(例えば安定化糖)を含む、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物を提供する。
【0010】
一実施形態において、このKGF組成物は、配列番号2のアミノ酸配列またはその変異体を含む。KGFタンパク質の変異体は、天然型KGFの断片、キメラ分子またはハイブリド分子を含み、対立遺伝子変異体、アミノ酸が除去され、置換され又は挿入されたものが挙げられる。例えば、本発明は、KGFが天然型KGFの最初の23個のアミノ酸が除去されているΔN23 KGF(配列番号3)であることを意図している。変異体は、天然型KGF(配列番号2)の第41からし154番目のアミノ酸残基の1つまたはそれ以上が除去された、またはタンパク質の正電荷を減少させる作用を及ぼすように選ばれた中性残基または負に帯電した残基により置換された電荷−変化ポリペプチドなどの、ここで述べられている分子を含む。KGFのさらなる例は、これらに限られるものではないが、天然型KGFのAsn115−His116−Tyr117−Asn118−Thr119のループ形成領域中の少なくとも1つのアミノ酸を、少なくとも1つのより高いループ形成能を有するアミノ酸により置換されて作製されたタンパク質を含む。さらなる例は、天然型KGFの第123から133番目(配列番号2の第154から164番目のアミノ酸)のアミノ酸領域内において、1つまたは複数のアミノ酸の置換、除去又は付加を有するタンパク質が挙げられる。
【0011】
一形態において、本発明は、充填剤/浸透圧調整剤の使用を意図する。充填剤は結晶性(例えば、グリシン、マンニトール)又は非結晶性(例えば、L−ヒスチジン、スクロース、ポリマー(例えばデキストラン)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースおよびラクトース)のいずれかであり得る。一実施形態において、この充填剤はマンニトールである。さらなる実施形態において、このマンニトールは、約2%ないし5%w/vの濃度で混合される。さらなる実施形態において、この濃度は、約3%ないし4.5%w/vである。別の実施例において、このマンニトールは、4%w/vの濃度である。
【0012】
他の形態において、本発明は、安定化糖を含む組成物を提供する。使用が意図される糖は、これらに限られるものではないが、スクロース、トレハロース又はグリシンを包含する。一実施形態において、この糖はスクロースである。関連する実施形態において、このスクロースは約1−3%w/vの濃度にある。さらなる実施形態において、このスクロースは2%の濃度である。
【0013】
本発明の組成物は、pHが約5.0から約8.0の範囲に調製されることを意図する。一実施形態において、このKGF組成物は約6.0から約8.0の範囲のpHを有する。別の実施形態において、この組成物は約6.0から約7.0の範囲のpHを有する。さらなる実施形態において、この組成物は約6.5のpHを有する。
【0014】
さらなる形態において、この組成物は、界面活性剤の使用を意図している。使用される界面活性剤は、これらに限られるものではないが、ポリソルベート20又はポリソルベート80を意図する。一実施形態において、この界面活性剤は、ポリソルベート20である。関連する実施形態において、このポリソルベート20の濃度は、約0.1%ないし約0.004%w/vの範囲内にある。さらなる実施形態において、前記ポリソルベート20の濃度は、約0.01%w/vである。
【0015】
一形態において、本発明は、pH6.5における、10mMヒスチジン、4%マンニトール、2%スクロース及び0.01%ポリソルベート20を含む、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物を意図する。
【0016】
さらに、本発明は、a)ヒスチジン、充填剤、安定化糖および界面活性剤の溶液を調製する段階ならびにb)KGFを凍結乾燥する段階を含む、凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子の作製方法を提供する。関連する形態として、本発明は、凍結乾燥の前に、b)溶液のpHを約6.0から約8.0に調整する段階、c)ケラチノサイト増殖因子を含む溶液を調製する段階、d)段階(c)の溶液を段階(b)の溶液へとバッファー交換を行う段階、e)適切な量の界面活性剤を添加する段階ならびにf)段階(e)からの混合物を凍結乾燥する段階をさらに含む、凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子の作製方法を意図する。さらに、このKGFは、配列番号2又は配列番号3に呈示されているKGFタンパク質またその変異体であり得ることが意図されている。
【0017】
一形態において、本発明の方法は、充填剤/浸透圧調整剤の使用を意図し、この充填剤は結晶性(例えば、グリシン、マンニトール)又は非結晶性(例えば、L−ヒスチジン、スクロース、ポリマー(例えばデキストラン)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースおよびラクトース)であり得る。一実施形態において、この充填剤はマンニトールである。他の実施形態において、このマンニトールは約2%ないし5%w/vの濃度である。関連する実施形態において、このマンニトールは約3%ないし4.5%w/vの濃度である。さらなる実施例において、このマンニトールは、4%w/vの濃度である。
【0018】
他の形態において、本発明の方法は、糖を含む組成物を提供し、この糖は安定化糖である。使用を意図される糖は、これらに限られるものではないが、スクロース、トレハロース又はグリシンを包含する。一実施形態において、この糖はスクロースである。関連する実施形態において、このスクロースは約1%ないし約3%w/vの濃度にある。さらなる実施形態において、このスクロースは2%の濃度である。
【0019】
本発明の方法において、pHは生理学的pHに調整されることを意図する。一実施形態において、このpHは約5.0から約8.0の範囲に調製される。別の実施形態において、このpHは約6.0から約8.0の範囲に調整される。さらなる実施形態においては、このpHは約6.0から約7.0の範囲に調整される。さらなる実施形態において、このpHは、6.5のpH値に調整される。
【0020】
さらなる形態において、本発明の方法は、界面活性剤の使用を意図している。使用される界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80が意図されるが、これらに限られない。一実施形態において、この界面活性剤は、ポリソルベート20である。関連する実施形態において、このポリソルベート20の濃度は、約0.1%ないし約0.004%w/vの範囲内にある。さらなる実施形態において、このポリソルベート20の濃度は、約0.01%w/vである。
【0021】
一形態において、本発明は、pH約6.5である、10mMヒスチジン、4%マンニトール、2%スクロース及び0.01%(w/v)ポリソルベート20を含む、凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子組成物の作製方法が意図される。
【0022】
本発明はさらに、本発明の凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子組成物の有効量を対象に投与することを含む、KGFにより媒介される上皮細胞増殖の刺激を増大させることによる、疾患を治療する方法を意図する。
【0023】
治療される疾患は、腸毒性;粘膜炎;火傷もしくは他の非全層型および全層型の損傷;毛嚢、汗腺および皮脂腺の再増殖;付属器構造の増殖;表皮水疱症;化学療法による脱毛症;男性型の禿頭症;胃潰瘍;十二指腸潰瘍;びらん性胃炎、食道炎もしくは食道逆流;炎症性腸疾患;肺硝子膜症;煙吸入による損傷;気腫;肝硬変、肝不全、急性ウイルス肝炎および他の肝臓の毒性傷害;または対宿主性移植片病(GVHD)が意図されている。
【0024】
本発明は、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物を含む第1の容器とおよび生理学的に許容される凍結乾燥組成物用の復元溶液を含む第2の容器とを含む、水性医薬組成物を調製するためのキットもまた意図している。KGFタンパク質は、配列番号2又は配列番号3に呈示されているものまたはその変異体であり得ることが意図されている。生理学的に許容される復元溶液は、いかなる医薬的に許容される担体または希釈剤でもよく、以下に限定されるものではないが、いかなるおよび全ての臨床的に有用な溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌及び抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などならびにここに開示されている薬剤を包含する。加えて、このKGF組成物は、担当医により適切であると考えられる投与法であれば、経口投与、局所投与、経皮投与、非経口投与、噴霧剤の吸引による投与、経膣投与、直腸投与又は頭蓋内注射を含むいかなる方法でも患者に投与することができる。ここで用いられる「非経口投与」という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、嚢内注射または点滴による方法を含む。静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄膜内、球後、肺内の注射および/または適所への外科的移植による投与も意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、安定なタンパク質産物を提供して、精製されたタンパク質の保存寿命を上昇させる、精製されたケラチノサイト増殖因子の凍結乾燥のための製剤に関する。さらに、本発明は、ケラチノサイト増殖因子を含む、凍結乾燥された組成物の作製方法を提供する。
【0026】
ここで、「ケラチノサイト増殖因子」または「KGF」は、ケラチノサイト増殖因子ポリペプチド(配列番号1、Genbank受託番号NM_002009)又は配列番号2(Genbank受託番号NM_002000)に記述されているポリペプチド又はΔN23 KGF(配列番号3)などのこれらの類似体又はケラチノサイト増殖因子受容体に結合してこれを活性化させる因子を指す。好ましい実施形態において、KGFはΔN23 KGFであり、これは、成熟KGFからのN末端の最初の23個のアミノ酸が除去された(シグナル配列が付加されていないもの)、組換えにより作製された形のKGFである。例えば、米国特許第5,677,278号、第6,677,301号、第6,074,848号、第5,843,883号、第5,863,767号及び第5,773,586号(全てCHIRON Corpに付与されている。)、米国特許第5,731,170号及び1990年8月9日に公開されたPCT出願WO 90/08771(完全長KGFおよび変異体に関する);及び1996年4月25日に公開されたPCT出願WO 96/11949;1996年4月25日に公開されたPCT出願WO 96/11951;及び1998年6月11日に公開されたPCT出願WO 98/24813(KGFの安定な類似体に関する)を参照。以上の全ては、その図も含めて、本明細書に組み入れられる。
【0027】
天然のKGFに対し増大された安定性を有するKGFの類似体は、PCT国際公開WO 96/11951および米国特許第6,677,301号に記載されており、このようなKGFは本発明により意図される。あるいは、完全にまたはは部分的でも、KGF活性を残している、完全長KGFポリペプチドのいかなる断片またはその類似体も意図される。
【0028】
本明細書にて用いられる「ケラチノサイト増殖因子」及び「KGF」という用語は、特に指示のない限り、天然型KGFのペプチド配列の全長またはその部分と実質的に同じペプチド配列により特徴づけられる、および、天然型KGFの生物学的活性(特に非繊維芽細胞上皮細胞の増殖、例えば、H−チミジンの取り込みにより定義される、NIH/3T3繊維芽細胞の刺激よりもBALB/MKケラチノサイト細胞の少なくとも500倍以上大きな刺激を示す活性およびBS/589上皮細胞もしくはCC1208上皮細胞の刺激よりもBALB/MKケラチノサイト細胞の少なくとも50倍以上の大きな刺激を示す活性)の全てまたはいくらかを維持していることにより特徴づけられる、天然型KGFおよびKGF類似体タンパク質(または「変異体」)を含み、交換可能に意味することが意図されていることが了解されるべきである。本発明は、また、ここに例示されている穏やかな条件から非常に緊縮なハイブリド形成条件下にて、配列番号1のコード領域にハイブリド形成可能なDNA配列によりコードされているペプチドを指す、「天然型KGFのペプチド配列と実質的に同じペプチド配列により特徴づけられる」ペプチドを意図している。
【0029】
ハイブリド形成という文脈において、緊縮な条件とは、塩、温度、有機溶媒およびハイブリド形成反応において一般に制御される要素の複合的な緊縮条件である。典型的な緊縮なハイブリド形成条件は、62℃ないし67℃にて、4xSSCにおけるハイブリド形成、続いく62℃ないし67℃にて0.1xSSC中での約1時間の洗浄が挙げられる。あるいは、典型的な緊縮なハイブリド形成条件は、40℃ないし45℃にて45ないし55%ホルムアルデヒド、4xSSCにおけるハイブリド形成が挙げられる[T. Maniatis et al., 「分子クローニング、実験室マニュアル」(Molecular Cloning) (A Laboratory Manual); Cold Spring Harbor Laboratory (1982), 第387頁ないし389頁参照]。
【0030】
KGFタンパク質は、天然型KGFの断片、キメラまたはハイブリドDNA分子を含む、対立遺伝子変異、またはアミノ酸の除去、置換又は挿入を含む。この発明の好ましいKGF分子はΔN23 KGFである。他のKGFの例は、これらに限られるものではないが、配列番号2のCysおよびCys15に対応する残基が、得られた分子が親分子と比較して改善された安定性を有する、置換されているまたは除去されている(同じ所有の米国特許6,008,328に開示されているごとく)タンパク質を含む。他のKGFの例は、天然型KGFの第41ないし154番目のアミノ酸(好ましくはArg41,Gln43,Lys55,Lys95,Lys128,Asn137,Gln138,Lys139,Arg144,Lys147,Gln152,Lys153またはThr154の残基)の1つまたはそれ以上が、除去されているまたはタンパク質の正電荷を減少させる作用を及ぼすように選択された中性の残基または負の電荷を帯びた残基により置換されている電荷変化ポリペプチドが挙げられるが、これらに限られるものではない。KGFのさらなる例として、天然KGFのAsn115−His116−Tyr117−Asn118−Thr119のループ形成領域中(米国特許6,008,328に開示されるがごとく)の少なくとも1つのアミノ酸を少なくとも1つのより高いループ形成能を有するアミノ酸により置換して作製されたタンパク質が挙げられるが、これらに限られるものではない。さらなる例として、天然型KGFの第123ないし133番目のアミノ酸領域(配列番号2の第154ないし164番目のアミノ酸)において、1または複数のアミノ酸の置換、除去又は付加を有するタンパク質が挙げられる。
【0031】
具体的に意図されるKGFタンパク質は、以下のKGF分子が挙げられる(配列番号2に示す成熟タンパク質(シグナル配列を差し引いたもの)中の位置に存在する残基により参照され、次に括弧内にアミノ酸位置が続き、さらに置換された残基または除去を示す「−」が続いている。);KGFのΔN15、ΔN16、ΔN18、ΔN23、ΔN24、ΔN25、ΔN26又はΔN27、C(1,15)S、ΔN15‐ΔN24、ΔN3/C(15)S、ΔN3/C(15)−、ΔN8/C(15)S、ΔN8/C(15)−、C(15)S/R(144)E、C(1,15)S/R(144)Q、ΔN23/R(144)Q、C(1,15,40)S、C(1,15,102)S、C(1,15,102,106)S、ΔN23/N(137)E、ΔN23/K(139)E、ΔN23/K(139)Q、ΔN23/R(144)A、ΔN23/R(144)E、ΔN23/R(144)L、ΔN23/K(147)E、ΔN23/K(147)Q、ΔN23/K(153)E、ΔN23/K(153)Q、ΔN23/Q(152)E/K(153)E;R(144)QおよびH(116)G。
【0032】
上皮および内皮細胞の多くの異なる種類に対するKGFの増殖作用は、個体を冒す多くの状態又は疾患の処置における有用な治療薬であることを示唆している。下記は、本発明のKGFを用いて処置することができる疾患および医学的状態についての説明である。
【0033】
腸毒性は、放射線療法および化学療法の主な限定要因である。KGFによる事前処理は、小腸粘膜の細胞保護効果を有し得、腸毒性の可能性ある致命的副作用を減少させて、このような治療法の放射線量又は投与量を増加させることを可能にしよう。最近の、化学治療剤5‐フルオロウラシルによる処置前の、組換えヒトKGFの患者への投与の第一相臨床試験は、KGFによる処置は粘膜炎の発生率を低下させることを示唆している[Meropol et al., J Clin Oncol. 21:1452−8(2003)]。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能である、放射線誘発腸毒性の標準インビボモデルは周知である[Withers and Elkind, 「放射線に曝露されたマウス腸粘膜細胞のための微小コロニー生存率分析」(Microcolony Survival Assay for Cells of Mouse Intestinal Mucosa Exposed to Radiation), Int. J. Radiat., 17:261−267 (1970)]。ヒトへの治療効能を予測可能な、化学療法誘発腸毒性の標準インビボモデルは周知である[Sonis et al., 「化学療法、口腔外科により誘起された粘膜炎の動物モデル」(An Animal Model for Mucositis Induced by Cancer Chemotherapy, Oral Surg.), Oral Med. Oral Pathol., 69:437−431 (1990); 及び、Moore, 「12種類の細胞障害性薬剤に対するマウス腸陰窩細胞のクローン原性応答」(Clonogenic Response of Cells of Murine Intestinal Crypts to 12 Cytotoxic Drugs), Cancer Chemotherapy Pharmacol., 15:11−15 (1985)]。
【0034】
KGF治療は、胃腸管の全体を通して粘液の産生に顕著な効果を有する。この性質は、摂取された有害物質から腸粘膜を保護するためにまたは炎症性腸疾患のような状態において損傷の拡大を制限するために有用であろう。
【0035】
毛嚢、汗腺および皮脂腺などの付属器構造の増殖および分化の刺激は、火傷ならびに他の非全層型および全層型の損傷を有する患者の表皮および真皮の再生において決定的に重要である。現状において、表面の欠損は、瘢痕化およびケラチノサイトの表面再建により治癒しており、皮膚の完全な再生は未だ可能ではない。現在のところ、火傷を含む全層型の皮膚損傷では、毛嚢、汗腺および皮脂腺の再増殖が起きることはない。KGFの使用は、このような再増殖を可能とし得る。火傷ならびに他の非全層型および全層型の損傷についてヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能である、付属器構造の増殖および刺激の標準インビボモデルは周知である[Mustoe et al., “Growth factor−induced acceleration of tissue repair through direct and inductive activities in a rabbit dermal ulcer model”, Int. J. Invest., 87:694−703 (1991); Pierce et al., “Platelet−derived growth factor (BB homodimer), transforming growth factor−beta 1, and basic fibroblast growth factor in dermal wound healing. Neovessel and matrix formation and cessation of repair”, Am. J. Path., 140:1375−88 (1992); 及びDavis et al., “Second−degree burn healing: the effect of occlusive dressings and a cream”, J. of Surgical Res., 48:245−248 (1990)]。
【0036】
表皮水疱症は、表皮の、その下にある真皮への付着の欠損であり、重度の病的状態を引き起こしうる、頻繁な開口、苦痛を伴う水疱を生じる。KGFによる処置などによる、これら損傷の促進された再上皮形成は、感染の低いリスク、軽減された苦痛、創傷治癒の少ない負担をもたらすであろう。
【0037】
化学治療誘発性の脱毛症は、患者が悪性腫瘍の化学治療クールによる処置を受けることで発症する。現状において、一時的な毛髪の損失を生じさせる毛根細胞の死滅を防ぐ有効な治療薬はない。KGFはそのような手法を提供する。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能である、化学治療誘発性の脱毛症の標準インビボモデルは周知である[Sawada et al., 「シクロスポリンAはヌードマウスにおける発毛を刺激する」(Cyclosporin A Stimulates Hair Growth in Nude Mice), Laboratory Investigation, 56(6):684 (1987); Holland, 「脱毛症の動物モデル」(Animal Models of Alopecia”, Clin. Dermatol, 6:159:162 (1988); Hussein, 「ラットモデルにおける化学療法により誘起された脱毛症からの保護」(Protection from Chemotherapy−induced Alopecia in a Rat Model), Science, 249:1564−1566 (1990); 及びHussein et al., 「新生ラット動物モデルにおいて、インターロイキン1は、1−B−D−アラビノフラノシルシトシンにより誘導された脱毛症に対する保護を与える」(Interleukin 1 protects against 1−B−D−Arabinofuranosyulcytosine−induced Alopecia in the Newborn Rat Animal Model), Cancer Research, 51:3329−3330 (1991)]。
【0038】
男性型禿頭症は、広まっており、本質的に治療不可能である。男性及び女性の進行性の毛髪の喪失は、深刻な美容上の問題である。KGF欠損マウスは、逆立って乱れた外被を呈し、KGF受容体ノックアウトは、菲薄皮膚、少ない数の毛嚢及び遅延した創傷の治癒を呈する[Werner et al., Science, 266:819−822 (1994)]。脱毛症の実験モデルでは、組換えKGFの事前処置により、化学治療剤であるシトシンアラビノシド(ARA−c)の投与により誘発される脱毛症の約50%が予防された[Danilenko et al., Am. J. Path., 147:145−54 (1995)]。これらの異常は、KGFを使用して、全身に、または薬剤が局所投与可能で、頭蓋を通して吸収されるのであれば局所的に、またはエアガン或いはこれに類似した技術を用いて噴霧注射により頭蓋に投与することで、治療することが可能である。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、男性型禿頭症の標準インビボモデルは周知である[Uno,「禿頭症モデルとしてのベニガオザル:ミノキシジルの効果」(The Stumptailed Macaque as a Model for Baldness: effects of Minoxidil), International Journal of Cosmetic Science, 8:63−71 (1986); Porter R., 「ヒト脱毛疾患のマウスモデル」(Mouse models for human hair loss disorders), J. Anat., 202:125−31 (2003)]。
【0039】
KGFの投与が、胃腸管の細胞増殖を促進し得たことを研究により示された[Playford et al., J. Pathol., 184:316−22 (1998)]。胃潰瘍は、H2拮抗剤により処置可能であるが、かなりの罹患率及び再発生率を生じており、粘膜内層の瘢痕化により治癒される。例えばKGFを用いた処置のように、胃潰瘍患者の腺粘膜をより迅速に再生する能力は、胃潰瘍治療に重要な治療法上の改善をもたらすであろう。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、胃潰瘍の標準インビボモデルは周知であり、例えば、Tarnawskiら[「インドメタシンは、実験的胃潰瘍の治癒の質を損なう:定量的組織学的及び超微細構造的分析」(Indomethacin Impairs Quality of Experimental Gastric Ulcer Healing: A Quantitative Histological and Ultrastructural Analysis) 、「上部胃腸管の損傷、保護及び修復のメカニズム」(In:Mechanisms of Injury, Protection and Repair of the Upper Gastrointestinal Tract), (eds)(編集の意) Garner and O’brien, Wiley & Sons (1991)]、及びAstudilloら[「ラット及びマウスにおいて実験的に誘起された胃病変に対するオレアノール酸誘導体の胃保護効果」(Gastroprotective activity of oleanolic acid derivatives on experimentally induced gastric lesions in rats and mice), J. Pharm. Pharmacol., 54:583−8 (2002)]である。
【0040】
十二指腸潰瘍は、胃潰瘍と同様に治療可能であるが、より完全に、より迅速に十二指腸の粘膜内層を再生する治療剤を開発することは重大な進歩であろう。それに加え、これら潰瘍を再生的に治癒し、再発症を低下させる治療剤は有益である。KGFがこのような能力を提供する。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、十二指腸潰瘍の標準インビボモデルは周知である[Berg et al, 「パントテン酸欠損食餌により形成された十二指腸潰瘍」(Duodenal ulcers produced on a diet deficient in pantothenic acid”, Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 7:374−376 (1949); Szabo and Pihan, 「十二指腸潰瘍のシステアミン及びプロピオニトリルモデルの発生と意義」(Development and Significance of Cysteamine and Propionitrile Models of Duodenal Ulcer), Chronobiol. Int., 6:31−42 (1987); Robert et al., 「ラットにおける十二指腸潰瘍の分泌促進物質の生産」(Production of Secretatogues of Duodenal Ulcers in the Rat), Gastroenterology, 59:95−102 (1970);及びKeshavarzian., 「ラットにおける、1−メチル −4−フェニル −1,2,5,6−テトラヒドロピリジン (MPTP)により誘起された胃十二指腸潰瘍:胃酸分泌の必要性及びプロスタグランジンの役割」(Gastroduodenal ulcers in rats induced by 1−methyl−4−phenyl−1,2,5,6−tetrahydropyridine (MPTP): requirement for gastric acid secretion and the role of prostaglandins), Res Commun Chem Pathol Pharmacol., 70:21−48 (1990)]。
【0041】
びらん性胃炎、食道炎または食道逆流などの胃および食道のびらんは、治療可能であるが、より完全に、より迅速に胃および食道の粘膜内層を再生する治療剤を開発することは重大な進歩であろう。加えて、これらびらんを再生的に治癒し、再発症を低下させる治療剤は有益である。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、びらん性胃炎、食道炎または食道逆流などの胃および食道のびらんの標準インビボモデルは周知である[Geisinger et al, 「ネコにおける、酸により誘起された食道炎の組織学的発達」(The histologic development of acid−induced esophagitis in the cat), Med−Pathol., 3:619−624 (1990); Carlborg et al., 「テトラサイクリンにより誘起された食道潰瘍。臨床及び実験的研究」(Tetracyclin induced esophageal ulcers. A clinical and experimental study), Laryngoscope, 93:184−187 (1987); Carlborg et al., 「経口投与された薬剤により引き起こされた食道病変。ネコにおける実験的研究」(Esophageal lesions caused by orally administered drugs. An experimental study in the cat), Eur−Surg−Ethanol on esophagealmotility in cats, Alcohol−Clin−Exp−Res., 15:116−121 (1991);及びKatz et al, 「ネコにおける酸により誘起された食道炎は、スクラルファートにより予防されるがプロスタグランジンEによっては予防されない」(Acid−induced esophagitis in cats is prevented by sucralfate but not synthetic prostaglandin E.”, Dig−Dis−Sci., 33:217−224 (1988)]。
【0042】
クローン病(主に小腸を冒す。)および潰瘍性大腸炎(主に大腸を冒す。)などの炎症性腸疾患は、病因が不明の慢性疾患であり、粘膜面の破壊、炎症、修復中の瘢痕および癒着形成および罹患個体への重度の病的状態を生じる。現段階での治療は、炎症を制御することが計画されているが、KGF処置が、炎症性腸疾患に罹患した動物の胃腸管上皮の増殖を誘発することが示されている[Housley et al., J Clin Invest., 94:1764−77 (1994)]。粘膜面の表面形成を刺激し迅速な治癒をもたらすKGFなどの治療薬は、疾患の進行を制御できる点で有用であり得る。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、炎症性腸疾患の標準インビボモデルは周知である[Morris et al, 「ラット結腸における慢性炎症及び潰瘍形成のハプテン誘起モデル」(Hapten−induced Models of Chronic Inflammation and Ulceration in the Rat Colon”, Gastroenterology, 96:795−803 (1989); Rachmilewitz et al., 「ラットにおける実験的大腸炎の炎症メディエーター」(Inflammatory Mediators of Experimental Colitis in Rats), Gastroenterology, 97:326−327 (1989); Allgayer et al., 「ラットにおける、大腸炎のトリニトロベンゼンスルホンによる誘起の前後における16,16“ジメチル−プロスタグランジンE2による治療」(Treatment with 16,16’−dimethyl−prostaglandin E2 before and after induction of colitis with trinitrobenzenesulfonic acid in Rats), Gastroenterology, 96:1290−1300 (1989); 「総説:動物モデルにおける実験的大腸炎」(Review: Experimental Colitis in Animal Models”, Scand. J. Gastroenterol, 27:529−537 (1992)]。
【0043】
未熟児の肺硝子膜症は、肺内のII型肺胞細胞による界面活性物質の生産も欠如をもたらし、肺胞が虚脱してしまう。肺硝子膜症には、急性期と慢性期の両方がある。急性期の肺硝子膜症(小児型呼吸窮迫症候群(IRDS))は、機械換気と80%ないし100%の濃度の酸素補給による処置及び外因性表面活性剤の投与により治療できる。長期間の治療クールを受け続ける患者は、慢性疾患期の肺硝子症(気管支肺形成異常(BPD))を発症する可能性がある。表面活性物質は、IRDSに伴う死亡率を大きく低下させるが、BPDに伴う罹患率は高く維持されたままである。従って、新生児の肺の成熟および界面界面活性物質分泌を促進し、BPDの発生率を低下させる効果的な治療法の開発が必要である。コルチコステロイドは、28週目およびそれ以上に大きな胎児の成熟および分泌を促すことができるが、現在のところ、それよりも未熟な胎児の治療法はなく、この集団に重大な罹患率と死亡率を引き起こしている。BPDの履歴は、IRDS治療法における改善が、より小さな未熟出生児の機械換気、及び、それに続くこれらより小さな小児のBPD罹患率の増加に適合していることを示唆している。II型肺胞細胞の増殖および分化を促すKGF[Yi et al., Inflammation, 22:315−25 (1998)]のような治療剤は、当疾患の治療に大きな利益となるであろう。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、IRDSの標準インビボモデルは周知である[Seider et al, 「未熟ウサギにおける界面活性剤可動化に対する出産前の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、出産前のコルチコステロイド及び出産後換気の効果」(Effects of antenatal thyrotropin−releasing hormone, antenatal corticosteroids, and postnatal ventilation on surfactant mobilization in premature rabbits), Am. J. Obstet. Gynec., 166:1551−1559 (1992); Ikegami et al., 「早期産ヒツジ肺機能に対するコルチコステロイド及び甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの効果」(Corticosteroid and thyrotropin−releasing hormone effects on preterm sheep lung function”, J. Appl. Physiol., 70:2268−2278 (1991)]。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、BPDの標準インビボモデルは周知である[Yuh−Chin et al, 「霊長類における、天然の界面活性剤及び超酸化物による肺損傷。I.生理学及び生化学」(Natural surfactant and hyperoxide lung injury in primates I. Physiology and biochemistry), J. Appl. Physiol., 76:991−1001 (1994)、及び Galan et al., 「早期産ヒヒにおける肺硝子膜症の予防のための、子宮における界面活性剤置換」(Surfactant replacement therapy in utero for prevention of hyaline membrane disease in the preterm baboon), Am. J. Obtset. Gynecol., 169:817−824 (1993)]。
【0044】
煙吸引は、細気管支上皮と肺胞の壊死により、火傷に次いで、重大な病的状態および一週間以内の死亡を引き起こす重要な原因である。これらの構造の増殖及び分化を刺激し、修復及び再生を誘発するKGFなどの増殖因子は、吸入傷害の治療に有益であろう。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、煙吸引の標準インビボモデルは周知である[Hubbard et al, 「ヒツジにおける煙吸入傷害」(Smoke inhalation injury in sheep), Am. J. Pathol., 133:660−663 (1998)]。
【0045】
気腫は、肺胞の進行性喪失により生じる。再増殖を刺激し得または残存する肺胞にとって細胞保護的なKGF[Kaza et al., Circulation, 106(12 Suppl 1): I120−4 (2002)]のような増殖因子は、治療上有益であろう。現状においては、効果的な治療はない。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、気腫の標準インビボモデルは周知である[Stolk et al, 「ハムスターにおけるリポ多糖の気管内滴下による肺気腫及び気管支粘液細胞過形成の誘起」(Induction of emphysema and bronchial mucus cell hyperplasia by intratracheal instillation of lipopolysaccharide in the hamster), J. Pathol., 167:349−56 (1992)]。
【0046】
肝硬変は、ウィルス性肝炎及び慢性的アルコール摂取に続く第2期のものであり、重度の病的状態と死亡率の原因である。KGFの使用などによる、肝機能を増加させるための幹細胞の細胞保護、増殖及び分化[Danilenki, D., Toxicol Pathol, 27: 64−71 (1999)]は、肝硬変の発症を遅らせ又は予防するために有益であろう。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、肝硬変の標準インビボモデルは周知である[Tomaszewski et al, 「ラットにおける肝硬変の生成」(The production of hepatic cirrhosis in rats”, J. Appl. Toxicol., 11:229−231 (1991)]。
【0047】
劇症肝不全は、命を脅かす状態であり、肝硬変の最終段階にて発症する。現在において、肝臓移植によってのみ処置可能なこの疾患に対し、残存する肝細胞の増殖を促進できるKGFのような薬剤は、直接的な利益となるであろう。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、劇症肝不全の標準インビボモデルは周知である[Mitchell et al, 「アセトアミノフェンにより誘起された肝壊死I.薬剤代謝の役割」(Acetaminophen−induced hepatic necrosis I. Role of drug metabolism), J. Pharmcol. Exp. Ther., 187:185−194 (1973); 及びThakore and Mehendale, 「CC14自己防御における肝細胞再生の役割」(Role of hepatocellular regeneration in CC14 autoprotection), Toxicologic Pathol, 19:47−58 (1991)]。
【0048】
急性ウィルス性肝炎は、しばしば潜在的であり、自己制御される。しかしながら、少数派の患者においては、重度の肝臓損傷が数週間に渡って生じる。KGFのような細胞保護剤が、肝細胞の変性予防に有用であろう。
【0049】
アセトアミノフェン、ハロタン、四塩化炭素および他の毒素により生じる肝臓への毒性傷害は、肝細胞にとって細胞保護的な増殖因子(KGF)により改善されようる。ヒトへの治療効能を有する化合物による予測試験が可能な、肝毒性の標準インビボモデルは周知である[Mitchell et al, (1973), 上掲,及びThakore and Mehendale, (1991), 上掲]。
【0050】
対宿主性移植片病(GVHD)(慢性または急性)は、無力化した骨髄、又は、患者への造血細胞の移植の第一要因である。GVHDは、免疫調節及び細胞毒性因子の増加作用により、種々の器官系への損傷を及ぼす。GVHDは、胃腸管、肺、肝臓、皮膚ならびに目の粘液腺、口腔内の唾液腺および胃の内壁と腸を滑らかにする腺を含む多くの領域に損傷をもたらす。GVHDが誘発された動物を用いた最近の研究は、rHuKGFで処置されたレシピエントは、腸にGVHDを発症せず、内毒血症を発生せず、死に至ることがなかったことを示している[Panoskaltsis−Mortari et al, 「ケラチノサイト増殖因子は、条件付けにより誘起された組織損傷の修復から独立した機構により、マウス内での同種移植を促進し、対宿主性移植片病を緩和する」(Keratinocyte growth factor facilitates alloengraftment and ameliorates graft−versus−host disease in mice by a mechanism independent of repair of conditioning−induced tissue injury), Blood, 96:4350−6 (2000)]。これらのデータは、KGFが、TNF−α、NO及び他の潜在的な細胞毒性因子が介する上皮細胞の損傷を保護することにより、急性で致命的なGVHDの発症を防いでいることを示唆している。これら様々なタイプの上皮細胞の増殖を促すKGFのような薬剤は、ヒト移植レシピエントのGVHD治療に直接的な利益となるであろう。
【0051】
製剤と投与
KGFタンパク質またはペプチドは、前述したヒトの疾患を治療するための医薬製剤として有用である。KGFは、液体または凍結乾燥された剤形として調製することができる。好ましい実施形態において、KGF組成物は凍結乾燥される。凍結乾燥は、当分野において周知の技術により行なうことができ、開発中の組成物用に最適化すべきである[Tang et al., Pharm Res., 21:191−200 (2004), 及びChang et al., Pharm Res., 13:243−9 (1996)]。
【0052】
凍結乾燥サイクルは、通常、凍結、第1乾燥および第2乾燥の3段階から成る[A.P. Mackenzie, Phil Trans R Soc London, Ser B, Biol, 278:167 (1977)]。凍結段階では、溶媒を冷却して、氷形成を開始させ完了させる。さらに、この段階は充填剤の結晶化を引き起こす。真空を用いおよび昇華を促進するために熱を加えて、チャンバー内の圧力を氷の蒸気圧よりも下になるように減圧する第1乾燥段階において、氷は昇華する。最後に、第2乾燥段階において、吸収水または結合水は、減圧されたチャンバー内圧力と上昇した棚温度の下で取り除かれる。この工程により、凍結乾燥ケーキとしてしられ知られている物質が作られる。その後において、このケーキは、注射用の蒸留水または使用前に適当な種々の投与用復元溶液を用いて復元することができる。
【0053】
この凍結乾燥サイクルは、賦形剤の最終的な物理的状態を決定するだけではなく、復元時間、外観、安定性及び最終的な水分の含量などの他のパラメーターにも影響する。凍結状態にある組成物の構造は、特異的な温度で起こり、凍結乾燥の工程を理解し、最適化するために利用できるいくつかの転移(例えば、ガラス転移や結晶化)を経る。ガラス転移温度(Tg)は、溶質の物理的状態についての情報を提供し、示差走査熱量測定(DSC)により測定できる。これは、凍結乾燥サイクルを設計するにあたって、考慮に入れねばならない重要なパラメーターである。さらに、乾燥状態において、このガラス転移温度は、最終生産物の保存温度についての情報をもたらす。
【0054】
本組成物の特定の実施形態において、凍結乾燥又は保存により引き起こされる凝集や化学分解を防止又は低下させるために、安定化剤を凍結乾燥製剤に添加する。復元した際の霞んだもしくは濁った溶液は、タンパク質が沈殿していることを表す。「安定化剤」という語句は、水溶液中または固体の状態において、化学分解(例えば、自己分解、アミド分解、酸化等)に加えて凝集および他の物理的分解を防ぐことのできる賦形剤を意味する。スクロース、トレハロース又はグリシンを含む、医薬組成物に従来から用いられている安定化剤を用いることができるが、これらに限定されるものではない[Carpenter et al., Develop. Biol. Standard., 74: 225 (1991)]。ポリソルベート20(Tween 20)又はポリソルベート80(Tween 80)などの界面活性安定剤を適当量添加して、凍結中および乾燥中の表面に関連した凝集現象を防止することができる[Chang et al., J. Pharm. Sci., 85: 1235 (1996)]。必要に応じ、凍結乾燥された組成物は、凍結乾燥「ケーキ」を形成するのに適した充填剤および浸透圧調整剤を適当量含有する。充填剤は結晶性(例えば、マンニトール、グリシン)又は非結晶性(例えば、スクロース、ポリマー(例えばデキストラン)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース)であり得る。一実施形態において、この充填剤はマンニトールである。さらなる実施形態において、このマンニトールは、約2%ないし5%w/vの濃度で混合され、さらなる実施形態において、約3%ないし4.5%w/vの濃度にあり、力学的かつ医薬的に安定で上質なケーキを産生する。もう1つの実施例では、前記マンニトール濃度は、2%w/vである。
【0055】
医薬的に許容できる緩衝液とpHの選択は、本組成物の安定性に影響することが見出された。本組成物中に存在する緩衝系は、生理学的な適合性するように選択され、凍結乾燥前の溶媒だけでなく復元溶液をも望ましいpHに維持するものが選択される。好ましくは、この緩衝液は、約pH6.0ないし約pH8.0の範囲でpH緩衝能を有する。上述したパラメーターを組み入れた一連のスクリーニングの研究は、概して最も安定な剤形条件を選択するように行なわれた。
【0056】
本組成物は、凍結乾燥状態で、2℃ないし8℃において、少なくとも2年間は安定であることが見込まれる。この長期に渡る安定性は、医薬製品の保存期間を増加させるために有益である。
【0057】
本発明はさらに、KGF製剤の調製方法を意図する。一形態において、
(a)ヒスチジン、充填剤、糖および界面活性剤からなる緩衝液中にKGF組成物を混合する段階、
(b)KGFを凍結乾燥する段階、
を含む凍結乾燥されたKGF製剤の調製方法である。
【0058】
本方法は、さらに、次の1または複数の段階を含む。凍結乾燥の前に、混合物に安定化剤を添加する段階、凍結乾燥の前に、混合物に充填剤および浸透圧調整剤および界面活性剤から選択される少なくとも1つの薬剤を添加する段階。この充填剤は、上記で述べたものであれば、いかなる充填剤でもよい。好ましくは、この充填剤はマンニトールである。糖は、上記で述べたものであれば、いかなる安定化糖でもよい。一実施形態において、この安定化剤はスクロースである。この界面活性剤は、上記で述べたものであれば、いかなる界面活性剤でもよい。一実施形態において、この界面活性剤はポリソルベート20である。
【0059】
凍結乾燥された物質の基本的な復元手段は、一定体積の純水又は注射用の蒸留水(WFI)を加え戻すこと(典型として、凍結乾燥により取り除かれた量と等しい体積)であるが、非経口投与用の医薬製品においては、しばしば抗菌剤の希釈溶液が用いられる[Chen, Drug Developmen and Industrial Pharmacy, 18: 1311−1354 (1992)]。
【0060】
この凍結乾燥されたKGF組成物は、水溶液として復元され得る。種々の水性担体、例えば注射用の蒸留水、複数投与使用のための保存剤が入った水もしくは適切な量の界面活性剤(例えばポリソルベート20)が入った水、0.4%食塩水、0.3%グリシン又は水性懸濁液などは、水性懸濁液の生産に適した賦形剤との混合物として活性化合物を含むことができる。このような賦形剤は、懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント、アカシアガム)であり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)または脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合産物(例えばポリオキシエチレンステアラート)または長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合産物(例えばヘプタデカエチル−エネオキシセタノール)または脂肪酸およびヘキシトールから得られた部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)または脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られた部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。この水性懸濁液は、例えばエチル又はn‐プロピルパラヒドロキシ安息香酸といった保存剤の1つまたはは複数を含み得る。
【0061】
本発明の組成物をヒトもしくは試験動物に投与するために、この組成物を、1つまたは複数の医薬的に許容される担体を含む組成物に調合することが好ましい。「医薬的に」または「薬理学的に許容される」という語句は、安定で、凝集や分解産物などのタンパク質分解を阻害するおよび後述の当分野で周知の経路で投与した場合にアレルギーまたは他の有害な反応を生じない分子的実体及び組成物を指す。「医薬的に許容される担体」は、上述した薬剤も含む、全てのおよびいずれかの臨床的に有用な溶媒、分散媒、被覆、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを包含する。
【0062】
本ケラチノサイト増殖因子組成物は、経口、局所、経皮、非経口、噴霧剤の吸引、経膣、直腸投与または頭蓋内注射により投与してよい。ここで用いられる非経口投与という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、嚢内注射または点滴による方法を含む。静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄膜内、球後、肺内の注射及び/又は適所への外科的移植による投与も同様に意図する。通常、組成物は、発熱物質を本質的に含まず、レシピエントに有害と思われる夾雑物も同様に含まない。
【0063】
キット
追加の形態として、本発明は、化合物や組成物を対象へ投与する使用を容易にするような方法により、1つまたは複数の化合物または組成物が梱包されたものを含むキットを包含する。一実施形態において、このようなキットは、密封された瓶または容器に包装されたここに記載されている化合物または組成物(例えば、ケラチノサイト増殖因子を含む組成物)を、本方法の実施における本化合物または本組成物の使用について述べている、容器に付されたまたは包装に含まれたラベルと共に含む。一実施形態において、このキットは、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物が入った第1の容器とおよびこの凍結乾燥された組成物のための生理学的に許容される復元溶液が入った第2の容器とを包含する。好ましくは、この記化合物または組成物は、単一投与形態にて包装されている。さらに、このキットは、本組成物を具体的な投与経路にそって投与するために適した装置を含む。好ましくは、このキットは、本ケラチノサイト増殖因子組成物の使用を記載したラベルを含む。
【0064】
本発明のさらなる形態および詳細は、下記実施例から明白である。
【実施例1】
【0065】
KGFの液体製剤
製品安定性、保存寿命および生物活性は、あらゆる治療上有効な組成物にとって重要な側面である。推奨される保存温度下で長期に渡って保存しても安定であり、しかし有効な生物活性を維持する組成物の設計及び製剤は、医薬組成物の鍵となる要素である。
【0066】
先の実験において、KGFの液体製剤は、重度の凝集およびそれに続いて高められた温度(37℃)下でのタンパク質の損失を示した。KGF組成物に最大の安定性を提供するpHを決定するために、ケラチノサイト増殖因子の液体製剤液剤のpHを、3.0ないし9.0のpH範囲にて試験した。
【0067】
以下の実験、例えば実施例1ないし3において使用されたKGFは、ΔN23 KGF分子である。溶液のpHは、濃HClまたは水酸化ナトリウムのいずれかを用いて調整した。異なるpHにおけるKGF製剤(0.5mg/ml、10mM緩衝液、0.1MNaCl)のサンプルは、37℃で温置して0、6および28時間後に採取した(図1)。回収したタンパク質のパーセントは、SE−HPLC(図1A)またはCE−HPLC(図1B)により測定した。サイズ排除HPLC(SE−HPLC)のために、サンプル(40μg)は、HP 1090/1050マシンに接続されたG2000SWx1カラム(7.8mmx30cm)に負荷した。前記タンパク質は、pH7の20mMリン酸ナトリウム(NaP)、1MNaClを用いて溶出させた。タンパク質は215nmにおける吸光度によりモニターした。単一のピークは、このKGFの製剤中に凝集が殆どないことを示す。
【0068】
陽イオン交換(CE)−HPLCは、室温にて、Mono−Sカラムを装備したHP 1090/1050マシンにより行なわれた。40μgのKGFタンパク質を、前記カラムに負荷し、pH8の20mMリン酸ナトリウム緩衝液および塩勾配(1MNaCl)を用いて溶出させた。溶出したタンパク質は215nmにおける吸光度によりモニターした。
【0069】
逆相−HPLC(RP−HPLC)は、Vydacの孔径300AのC4カラム(4.6x250mm)を用いて、HP1090/1050マシンにより行なわれた。タンパク質(30μg)は、前記カラムに注入され、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)入りのアセトニトリル(CAN)勾配、及び90%ACN、0.1%(v/v)TFA水を用いて溶出させた。タンパク質のピークは215nmにおける吸光度によりモニターした。
【0070】
タンパク質の完全な回収が、時間0において、pH5.0ないし9.0の範囲で観察された。しかしながら、pH3.0においては、タンパク質の完全な喪失が確認され、pH4.0では、急速な沈殿によりタンパク質の80%を喪失した。37℃にて6時間経過時では、pH4.0のサンプルからは、可溶性のタンパク質を得ることができなかった。可溶性KGFをpH5ないし9にて製剤し、37℃にて28時間経過時の回収したタンパク質パーセントは、20%未満であった。しかしながら、pH7.0では、全タンパク質のうちわずか20%のみが失われた。37℃にて28時間経過時の可溶性タンパク質の喪失は、主に凝集によるものであった。
【0071】
これらの結果から、液体製剤中におけるKGFタンパク質は、中性のpHにて最も安定であることを示しているが、しかし、この最適なpHの範囲内であっても、KGFを液体で保つことは、凝集による重大なタンパク質の喪失がもたらされる。
【実施例2】
【0072】
凍結乾燥のためのKGF組成物の製剤
より安定なKGF組成物を開発するため、KGFを凍結乾燥産物として製剤することに決定した。凍結乾燥されたKGF組成物を製剤する前回の試みは、復元溶液の取り扱いを伴い、復元溶液の組成に依存して、より少ないタンパク質凝集を作る組成物を生じた[Zhang et al., Pharm. Res., 12:1447−52 (1995)]。しかしながら、この前回の研究において、復元時に見られる凝集は、いずれも元に戻すことが非常に困難であるか、または不可能であった。
【0073】
この実施例は、復元溶液によらずに復元に伴う凝集を防ぎ、あつらえの復元溶液の必要性を排除する、溶液中のこのタンパク質の凍結保存について説明する。
【0074】
安定な凍結保存製剤の組成物を決定するため、pH、充填剤、糖濃度および界面活性剤濃度などのパラメーターを変更した種々の条件下でKGF、例えばΔN23 KGF、の凍結乾燥を行った。その後、KGFの長期保存安定性が推奨保存温度下にて測定された。
【0075】
凍結乾燥サイクル
凍結乾燥のために、サンプルは、約4℃のチャンバー温度に事前冷却したVirTis Genesis 12 ELパイロット型(VirTis, Gardiner, ニューヨーク州)凍結乾燥機に負荷された。サンプルは急速に凍結され(約1℃/分にて−50℃まで)、最低2時間はその温度を維持した。サンプルを凍結保存機に載せると、棚温度は約27℃/時間の率で−50℃まで下げられた。サンプルは、−50℃にて2時間維持され、完全な凍結を確実なものにした。マンニトールを結晶化させる任意の工程では、前記棚温度は10℃/時間の率で−50℃まで上げられて2−3時間平衡化され、次いで9℃/時間の率で−55℃まで下げられた。追加して最低2時間維持した後に、約100mTorrの真空を適用した。第1乾燥のために棚温度は−35℃まで上げられたが、しかし、−45℃ないし−10℃の範囲内であればよい。第1乾燥は40時間継続されたが、24−48時間の範囲内であればよい。次いで、第2乾燥のため、棚温度は5℃/時間の率で+20℃ないし+25℃まで上げられ、真空は約50mTorrまで弱められた。第2乾燥は36時間行なわれたが、24から72時間のどこかで行なうことができる。第2乾燥の終結で、サンプルは真空下(25mTorr以下)にて封入され、バイアルは凍結乾燥機から取り外された。バイアルは止め蓋で閉じられ、安定性試験のために様々な温度下に置かれた。
【0076】
凍結乾燥されたKGFの安定性へのpHの影響
一連のpH値におけるKGFの安定性が先ず評価された。KGF(5mg/ml)を、10mMヒスチジン、3%マンニトール、2%スクロースおよび0.01%ポリソルベート20を含み、pH6.0、pH6.5又はpH7.0のいずれかにある溶液中で製剤した。凍結乾燥前のサンプルのSE−HPLCは、99%のメインピーク百分率を示し、これは99%の単一の活性成分に相当する。
【0077】
さらに促進した安定性の調査を行なうため、サンプルのいくつかは保存用の保温器に移された。その他のサンプルは、対照とするために−70℃の冷凍庫に移された。大部分のバイアルは4℃にて保存された。解析の時点で、サンプルは1.2mLの注射用蒸留水(WFI)で復元された。
【0078】
45℃にて6ヶ月保存後の凍結乾燥されたKGFサンプルのSE−HPLCは、全てのpHでのサンプルのメインピーク百分率が約97.5%であることを示し、6.0ないし7.0のpH範囲内では、凍結乾燥されたKGFは、高温下で6ヶ月間の保存の後でも安定であることが示された。また、これらの調査は、5.0ないし8.0のpH範囲は、製剤が4℃に保たれた場合に安定なタンパク質を提供することを示した。
【0079】
KGFの安定性へのスクロース濃度の影響
凍結乾燥されたKGFに最大の安定性を提供するスクロール量を評価するために、組換えヒトKGF(1mg/ml)を、スクロースを含まない、又は2%スクロース(w/v)を含む溶液中で、pH7.0の10mMヒスチジン、3%マンニトールを含む組成物に製剤した。このサンプルは、上記のように凍結乾燥され、45℃にて3ヶ月間インキュベートされた。
【0080】
スクロース入り又はスクロース無しでのKGF製剤のメインピーク百分率のSE−HPLC測定は、2%のスクロースの添加が凍結乾燥KGF製剤に有意な安定性を提供することを示す。2%スクロースと共に凍結乾燥されたKGFは、凍結乾燥直後に約99.5%のメインピークを示し、凍結乾燥後1ヵ月後および3ヵ月後の両方で98.5%を示した。スクロースなしの製剤は、凍結乾燥後1ヵ月後および3ヵ月後に、それぞれ、約96%のメインピークと約93.5%のメインピークを示した。
【0081】
これらの結果は、スクロースなしの製剤では、45℃にて3ヶ月間保存した後にパーセント活性単一ピークが7%減少したが、スクロース有りの製剤では、単一ピークはほんの僅かしか減少しなかったことを示す。従って、凍結乾燥製剤に添加すると、スクロースは強力な安定化剤としてKGFに作用する。
【0082】
適切なマンニトールの百分率により溶液が常時等張性を維持する、10mMヒスチジン、pH6.5のスクロース濃度が1%ないし3%のスクロースを含むKGFの凍結乾燥産物を用いてさらなる解析を行った。1%ないし3%のスクロースを有し、37℃で1年間保管された凍結乾燥産物は、テストされた全ての製剤において99%を超えるメインピーク百分率を維持しており、2%スクロース入りの製剤に匹敵するタンパク質安定性を示した。
【0083】
KGFの安定性へのポリソルベート20の濃度の影響
復元における粒子形成を排除する能力に基づき、KGFの凍結乾燥製剤中のポリソルベート20濃度が選択された。組換えヒトKGFは、10mMヒスチジン、3%マンニトール、2%スクロースを含むpH7.0の組成物に製剤され、凍結乾燥された。次いで、KGFは、異なる濃度のポリソルベート20を含む溶液中で復元された。凍結乾燥ケーキは、上記のように製剤された5mg/mlのKGFをその構成とした。表1は、復元した際の、前記凍結乾燥製剤の観測記録を記す。
【0084】
【表1】

【0085】
さらなる研究により、凍結乾燥前にポリソルベート20をケーキに含ませた製剤が、復元溶液にポリソルベート20を添加した場合と比較して、45℃にて4ヶ月後に同等に安定であることが示された。SE−HPLC分析[Biorad Biosil SEC 125(7.8mmx30cm)、20mMNaP、pH7.0、1MNaCl、40μg注入負荷]は、0、1および4ヶ月で試験を行った全てのポリソルベート濃度において、単一のKGFの喪失は無視できる程度であったことを示した(表1と同様)。復元の際に目視できる粒子を安定して排除する能力に基づき、0.01%(w/v)の濃度を、製剤に含ませることにした。
【0086】
KGFの安定性へのマンニトール濃度の影響
マンニトールおよび他の充填剤が製剤に含まれ、それにより良質なケーキの外観と品質を得ることができる。加えて、これらは、生理液を含む医薬組成物の等張性を維持する助けをする。例えば、生理液は、290−320mOsmの浸透圧を有する。最終的なKGF製剤のマンニトール濃度は、生理液と等浸透圧になるように調整した。
【0087】
凍結乾燥剤形に安定性を提供するマンニトール濃度の百分率を評価するため、3mg/mlのKGFを、pH7の、10mMヒスチジン、2%スクローおよび0.01%ポリソルベート20を含み、3%マンニトールまたは4%マンニトールのいずれかを含む製剤に凍結乾燥した。このKGF製剤は、凍結乾燥され、4℃にて1年間保管された。浸透圧は、Advanced Instrument製(Norwood, マサチューセッツ州)のOsmometer Model 3D3を用いて測定された。4%マンニトール溶液における実測浸透圧は312mOsmであり、一方3%マンニトール製剤は、250mOsmの溶液を生じた。
【0088】
図2は、等張性の4%マンニトール/2%スクロース製剤を、僅かに低張性の3%マンニトール/2%スクロース製剤と比較した逆相(RP−HPLC)のクロマトグラムを重ね合わせた図であり、4℃保存の時刻ゼロ(図2A)または1年経過時(図2B)に採られた図を示す。これらの結果は、等浸透性の製剤はは、2℃ないし8℃の推奨保存温度下で1年経過後でも安定であることを示す。加えて、これらの浸透性の製剤は、ケーキの外観が良好で、その含水率は2%未満であった。本研究に基づき、4%のマンニトールが凍結乾燥剤形への使用に推奨された。
【0089】
rHuKGFの安定性へのタンパク質濃度の影響
凍結乾燥されたサンプル中のタンパク質濃度はまた、復元された産物の安定性に加え、タンパク質の凍結乾燥の質の安定性にも影響する。
【0090】
安定性に対するKGF濃度の影響を、0.5、1、2、3および5mg/mlにて探査した。サンプルは、pH6.5の10mMヒスチジン、3%マンニトール、2%スクロースおよび0.005%ポリソルベート20中で製剤され、凍結乾燥された。この凍結乾燥されたサンプルは、復元まで45℃にて24週間保管された。タンパク質分解は、SE−HPLC、RP−HPLC、CE−HPLCおよびSDS−PAGEにより観察した。この実験においては、HPシステムとG2000SWx1カラムを用いて、上記同様にSE−HPLCを行なった。
【0091】
図3は、45℃で24週間保管後のKGFのSE−HPLC解析から得られた、タンパク質濃度の関数としてのメインピーク百分率を表す。点線は、実測データに対する動向ラインを表す。SE−HPLCデータによれば、少なくとも5mg/mlの濃度までは、安定性はKGF濃度の上昇に伴って上昇した。RP−HPLCやCE−HPLCによって測定されたメインピーク百分率のタンパク質濃度依存性についても、SE−HPLCに見られたのと同様であった。さらなる研究により、15mg/mLのタンパク質濃度も、安定な凍結乾燥製剤を生み出すことが示された。
【0092】
pH6.5の、10mMヒスチジン、0.01%ポリソルベート20、2%スクロースおよび3%マンニトールを含む最適化されたKGF凍結乾燥製剤は、2℃ないし8℃にて4年間にわたり保存された。このKGF製剤は、復元すると、下記に試験されたように、KGF活性を維持していることが示され、特定の組成物が、治療効果のある医薬組成物に必要な型の安定性と活性を保持したことを示している。
【実施例3】
【0093】
復元したKGF製剤のバイオアッセイ
医薬的に有効な製品の製剤の1つの要素は、対象タンパク質の高い生物学的活性の必要要件である。
【0094】
KGF(例えばΔN23 KGF)製剤の生物活性を、32D KECAクローン16細胞(これは、Hsuら(1999 Biochemistry、38、2523−2534)に記載されているように、32Dクローン3細胞(ATCC#CRL−11346)と同様、KGF存在下で増殖し、したがって増殖アッセイシステムとして有用な、IL−3依存性マウスリンパ芽球である。)を用いて、試験した。
【0095】
32Dクローン16細胞は、生育培地[RPMI、ウシ胎児血清(10%)(Hyclone, Logan, ユタ州)、グルタミン(1%)(Gibco/Invitrogen, Carlsbad, カリフォルニア州)、ジェネティシン(2%)(Gibco)及びマウスIL−3(12ng/mL)(Biosource International, Canarillo, カリフォルニア州)]中に、37℃、5.5%COにて維持された。サンプルKGF製剤と参照標準(ΔN23KGFの−70℃にて保存、凍結乾燥)は、アッセイ培地[RPMI、FBS(6%)、グルタミン(1%)、ヘパリン(0.6μg/ml)(Sigma, St. Louis, ミズーリ州)]で、約25ng/mLに復元された。次いで、一連の希釈液が作成され、約25ng/mLから1.6ng/mLの範囲の濃度が得られた。
【0096】
KGF製剤の生物学的活性を試験するために、32Dクローン16細胞は、2.0x10細胞/mLにて150μL分が平板接種された。所望の濃度の、参照標準、対照およびKGF試験サンプルは、50μLの体積でサンプルウェルに加えられた。細胞のプレート及びサンプルは37℃、5.5%COにて、約24時間温置された。第2日目に、40μLのAlomar Blue(AccuMed International, Chicago, イリノイ州)が全ウェルに添加され、撹拌された。これらプレートは、37℃、5.5%COにて、もう一度24時間温置された。24時間後、蛍光が、530−560nmの励起波長、および590nmの放射波長を用いて、Fluorescence Reader (Cytofluor II又はCytofluorシリーズ4000、PerSeptive Biosystems, Framingham, マサチューセッツ州)にて測定された。
【0097】
2℃から8℃で7日間保存されて復元された3つのロットの凍結乾燥されたKGF製剤は、参照標準KGFタンパク質(−70℃にて凍結乾燥、保存された)と似た生物学的活性を示し、0日目で≧100%の生物学活性を、7日目でそれぞれ92%、100%および107%の活性を示した。25℃で保管されたKGF製剤は、時間0で≧100%の生物学活性を示し、4時間後に、天然KGFと比較して、90%、95%および100%にそれぞれわずかに低下した。この活性レベルは、復元されたKGF製剤を25℃にて24時間保管したあとでも維持されており、KGF製剤の安定性を示している。
【0098】
これらの結果は、ここに記述する復元されたKGF製剤が、参照標準のKGFタンパク質と同程度の効力を有することを示し、この製剤はKGF(例えばΔN23 KGF)の安定性又は効力に何らの有害な影響を及ぼさず、従って、上皮細胞などの増殖を促進して個体を処置する治療法に有効であることを示している。
【0099】
加えて、KGFの生物学的活性は、復元された製剤の、Balb/C−MK細胞の増殖を促進する能力により評価することができる。Balb/MK細胞の保存株は、10%ウシ胎児血清、0.25μg/mlファンギゾンおよび10ng/mlaPGFが補充された、低カルシウムのダルベコ(Dulbecco’s)改変イーグル(Eagle)培地中にて、生育させ、維持される。この細胞は、37℃にて10%CO雰囲気下、湿度99%で温置される。生物学的活性のアッセイのために、Gospodarowiczら[J. Cell. Physiol. 142:325−333 (1990)]に記載されているとおり、細胞は12ウェルプレートのウェル毎に、1mLの培地中5x10細胞の濃度で接種される。事前に決定した量のKGF製剤を細胞培養ウェルに添加する。FGFを陽性対照として用いる。
【0100】
培養から5日後、細胞をトリプシン処理し、セルカウンターを用いて最終細胞濃度を測定する。細胞は、培養培地を0.9%NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.4)、0.05%トリプシン及び0.02%EDTA(STV)を含む溶液と交換し、37℃にて5−10分間温置して、プレートから離される。次いで、保存培養培地がこの細胞に加えられる。
【0101】
KGFで処理されたサンプルにおけるBalb/C−MK細胞の密度の、非処理細胞と比べての増加は、KGF組成物が、製剤工程中にその生物活性を失わないことを示し、KGF製剤が、より高いKGF活性を必要とする処置対象への有効な治療剤を提供することを示している。
【0102】
上記の例示的実施例にて説明される本発明についての多数の改変や変形が生じることは、当業者の予期するところである。従って、本発明には、付随する特許請求の範囲に現れる制限のみが載せられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、異なるpHにおける液体KGF製剤中の可溶タンパク質のサイズ排除(SE)−HPLC(図1A)及び陽イオン交換(CE)−HPLC(図1B)分析を表す。
【図2】図2は、10mMヒスチジン、0.01%ポリソルベート20および4%マンニトール/2%スクロースまたは3%マンニトール/2%スクロースのいずれか一方中にて凍結乾燥されたKGF製剤を比較する、逆相(RP)−HPLCクロマトグラムを表す。図2Aは凍結乾燥後から時間ゼロをを表し、図2Bは4℃で1年間保管後の産物を示す。挿入図は、メインピーク周辺の領域を示す。
【図3】図3は、45℃で24週間保存した後の、凍結乾燥されたKGF製剤のSE−HPLC分析からの、タンパク質濃度の関数としてのメインピーク百分率を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝剤ヒスチジン、充填剤、糖および界面活性剤を含む、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子(KGF)組成物。
【請求項2】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2、配列番号3およびこれらの変異体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号3に示すΔN23 KGFを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記充填剤が、マンニトールである、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記マンニトールが、約2%ないし約5%w/vの濃度である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記マンニトールが、4%w/vの濃度である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記糖が、スクロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記スクロースが、約1%ないし約3%w/vの濃度である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記スクロースが、2%w/vである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
pHが、約6.0から約8.0の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記pHが、約6.0から約7.0の範囲内である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記pHが、6.5である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリソルベート20の濃度が、約0.1%から約0.004%w/vの範囲内である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリソルベート20の濃度が、0.01%w/vである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記KGFの濃度が、3mg/mLから15mg/mLの間にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記KGFの濃度が、5mg/mLである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
10mMヒスチジン、4%マンニトール、2%スクロースおよび0.01%(w/v)ポリソルベート20を含み、pH6.5である、凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物。
【請求項20】
a)ヒスチジン、充填剤、糖および界面活性剤の溶液を調製する段階、および
b)前記KGFを凍結乾燥する段階
を含む、凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子の作出方法。
【請求項21】
凍結乾燥の前に、
b)前記溶液のpHを約6.0から約8.0の間に調整する段階、
c)ケラチノサイト増殖因子を含む溶液を調製する段階、
d)段階(c)の溶液を段階(b)の溶液へとバッファー交換を行う段階、
e)適切な量の界面活性剤を添加する段階、および
f)段階(e)からの混合物を凍結乾燥する段階
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2、配列番号3およびこれらの変異体からなる群から選択される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号3に示すΔN23 KGFを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項25】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
請求項1記載の凍結乾燥ケラチノサイト増殖因子の有効量を対象に投与することを含む、KGFにより媒介される上皮細胞増殖の刺激を増大させることによる、疾患を治療する方法。
【請求項27】
前記疾患が、腸毒性;粘膜炎;火傷もしくは他の非全層型および全層型の損傷;毛嚢、汗腺および皮脂腺の再増殖;付属器構造の増殖;表皮水疱症;化学療法による脱毛症;男性型の禿頭症;胃潰瘍;十二指腸潰瘍;びらん性胃炎、食道炎もしくは食道逆流;炎症性腸疾患;肺硝子膜症;煙吸入による損傷;気腫;肝硬変、肝不全、急性ウイルス肝炎および他の肝臓の毒性傷害;または対宿主性移植片病(GVHD)である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
凍結乾燥されたケラチノサイト増殖因子組成物を含む第1の容器とおよび生理学的に許容される凍結乾燥組成物用の溶媒を含む第2の容器とを含む、水性医薬組成物を調製するためのキット。
【請求項29】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2、配列番号3およびこれらの変異体からなる群から選択される、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載のキット。
【請求項31】
前記ケラチノサイト増殖因子が、配列番号3に示すΔN23 KGFを含む、請求項28に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524229(P2008−524229A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546844(P2007−546844)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/045169
【国際公開番号】WO2006/065861
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】