説明

ケラチン繊維をダークにする(darkening)ための組成物および方法

本発明は、ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物、ならびに方法を提供し、前記組成物は50%を超える少なくとも1つのパーフルオロ化合物を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品組成物および医薬品組成物に関する。より具体的には、本発明は、ケラチン繊維をダークにするための新規化粧品組成物および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
皮膚、特に睫毛もしくは眉毛のケラチン繊維をダークにすることがしばしば好まれる。従来の方法は、顔料を組成物に組み込んで繊維をダークにすることを含む。もっとも一般的には、カーボンブラックが顔料として使用され、ケラチン繊維にもっとも濃い黒色を実現した。しかしながら、安全性の制約のため、消費者はカーボンブラックなしでもっとも濃い黒色を得るための組成物を求めている。したがって、製品はさまざまな組み合わせの顔料を使用して、こうした黒い色を得ようとしてきた。しかしながら、顔料は、ケラチン繊維上に適用すると凝集およびにじみを生じやすい。
【0003】
パーフルオロ化合物は、化粧品組成物において乾燥剤、色移り防止剤として、さらにマスカラ組成物中の溶媒として使用されてきた。たとえば、Bodelinらに発行された特許文献1は、ケラチン繊維、特に睫毛をコーティングするための組成物を教示しており、これはラメラ状のフィラー、およびパーフルオロカーボンのような揮発性有機溶媒を少なくとも1つ含有する液体脂肪相に分散した水相を含んでなる。特許文献2には、顔料なしで、不揮発性パーフルオロカーボンおよびフィルム形成剤を含んでなる無水マスカラ組成物が開示されている。この公報は、不揮発性パーフルオロカーボンの量を50重量%未満に制限し、ある特定の群のフィルム形成剤を開示する。組成物がケラチン繊維をダークにするということは、いかなる形式においてもその公報に教示も示唆もされていない。実際、その公報は、組成物が、色移りしにくく長持ちする特性があり、光沢のある外観を与えるという利点を有することだけしか教示していない。この公報はさらに、色彩のために必要ならば顔料を加えることができると指摘している。
【特許文献1】米国特許第6,264,933号
【特許文献2】米国特許出願公開第20020172696号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ケラチン繊維をダークにするために用いる、適当な、顔料の代わりになるものが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物を提供するが、この組成物は、50%を超える少なくとも1つのパーフルオロ化合物を含んでなる。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物を提供するが、これは50%以上の少なくとも1つのパーフルオロ化合物および少なくとも1つのパーフルオロカーボンフィルム形成剤を含んでなる。パーフルオロカーボンフィルム形成剤は、好ましくはフッ素化されたオリゴマーである。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、ケラチン繊維をダークにする方法を提供し、その方法は、少なくとも1つのパーフルオロ化合物を含んでなる組成物を、ケラチン繊維に適用することを含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
操作例および比較例、または他に明確に指示されている場合を除いて、材料の量もしくは割合、または反応の条件、材料の物理的性質、および/または使用を示す本明細書中のすべての数字は、「約」という言葉で修飾されていると理解されるべきである。すべての量は、特に明記しない限り、最終組成物の重量に基づく。
【0009】
正反射は、入射光の角度に対して正反対の角度に向いた光である。こうした正反射は、光沢や輝きとして感知される。高光沢のサンプルは、同じ色素サンプルで光沢の少ないものよりも、色が濃く見えると考えられている。さらに、ケラチン繊維上に濃い色を達成するためには、組成物は、特定の正反射を維持しつつ、低い屈折率を与えなければならないと考えられている。したがって、いかなる理論にもとらわれたくはないが、もっとも濃い黒色は、低屈折率および高光沢を有する化合物によって実現することができる。
【0010】
意外にも、ある種類のパーフルオロ化合物は、図1に示すように、顔料なしでも、適用するとケラチン繊維をダークにすることが見出された。こうしたパーフルオロ化合物は、ケラチン繊維に適用すると、予想外にも、明度を表すL値を低下させる。L値は、分光光度計もしくは比色計を用いて測定される。
【0011】
本発明のパーフルオロ化合物は、いくつかの異なるパーフルオロカーボンの中から選択することができる。好ましい実施形態において、パーフルオロカーボンは、パーフルオロシクロアルカンとすることができる。この種類の化合物は、商標名FLUTECTMとしてF2 Chemicals, Ltdから市販されている。これらの製品は、互いに、分子量および粘度、ならびに相対揮発度の異なるさまざまな形態で提供される。一般的に言って、分子量は約300から約800までの範囲であり、蒸気圧は<0.1 mbarから約500 mbarまでの範囲にあり、沸点は約45℃から約260℃までの範囲にある。この種類の好ましい化合物は、粘度および揮発度が中程度の範囲にあるもの、すなわち、約400から約650までの間の分子量を有し、蒸気圧が約<1から約50 mbarであり、沸点が約100℃から約220℃までの範囲にあるものである。この種類の特に好ましい化合物は、FLUTECTM PC3として知られるパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、FLUTECTM PC6として販売されているパーフルオロデカリン、FLUTECTM PP9として販売されているパーフルオロメチルデカリン、およびFLUTECTM PC11として販売されているパーフルオロヒドロフェナントレンである。
【0012】
パーフルオロシクロアルカンが特に好ましいが、同様に使用することができる他のパーフルオロ化合物の群、たとえばヒドロフルオロエーテルもある。こうした種類の化合物は、たとえば、FR 2771290に開示されており、その内容は参照により本明細書に含めるものとする。そのようなヒドロフルオロエーテルの式は次の通りである:
CH3-(CH2)n-[Z]t-X-CF3
[式中、tは0または1であり;nは0、1、2または3であり;Xは2から5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のパーフルオロアルカンの2価の基であり、ならびにZはO、SまたはNRであって、Rは水素、または-(CH2)n-CH3基もしくは-(CF2)m-CF3基であり、mは2、3、4もしくは5である]。好ましくは、ZはO、tは1である。こうした種類の化合物の具体的な例は、メトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロブタン、またはプロポキシウンデカフルオロペンタンである。こうした化合物は、“HFE”という名称で3MまたはArchimexから市販されている。
【0013】
パーフルオロカーボンのもう一つの例は、式
CF3-(CF2)n-CF3
を有するパーフルオロアルカンであり、nは2〜6の整数である。こうした化合物の例には、ドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサンがある。
【0014】
パーフルオロ化合物のさらにもう一つの例は、式
CF3-[(O-CF-CF2)n-(O-CF2)m]-O-CF3
を有するパーフルオロポリエーテルであって、式中、mおよびnは、500から10,000までの分子量を与える整数である。こうした化合物の例は、Fomblin(登録商標) HC25のようなポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテルである。
【0015】
ある実施形態において、パーフルオロ化合物は、髪の毛および睫毛などのケラチン繊維をダークにするためのクリアコートとして単独で使用することができる。この実施形態において、パーフルオロ化合物は、好ましくは比較的不揮発性のもの、たとえば、ポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテル、またはパーフルオロヒドロフェナントレンである。しかしながら、より多くの場合には、パーフルオロ化合物は、ケラチン表面で適用および保持しやすいように、追加成分と組み合わされ、そうした場合、パーフルオロ化合物の量は50%より多く、約90%以下である。
【0016】
パーフルオロ化合物の性能を高めることができる追加成分の例として、組成物は1つもしくは複数のパーフルオロカーボンフィルム形成剤、たとえば、パーフルオロオリゴマーを含有することができる。オリゴマー副生成物は広く知られており、PTFEのすぐれた大気圧溶媒として有用であることが知られている。本発明において、驚くべきことに、オリゴマー副生成物をパーフルオロカーボンフィルム形成剤として加えることによって、下記の実施例2に示すように、適用に際してケラチン繊維へのパーフルオロ化合物の付着を助ける一方で、パーフルオロカーボンのダークニング効果を高めることが明らかになった。主成分のパーフルオロ化合物が比較的揮発性である場合、こうしたオリゴマーを用いることは特に有用である。
【0017】
いかなるパーフルオロカーボンフィルム形成剤も使用することができると考えられるが、好ましい実施形態において、単量体パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレン(C14F24)のパーフルオロカーボンオリゴマー副生成物(商標名Flutec PP11として市販)が使用される。本発明のオリゴマーのパーフルオロカーボンは、化学式C14F23(C14F22)nC14F23の一般構造骨格を有し、二量体、三量体および四量体に対し、それぞれ、式中のnは0、1および2である。本発明のオリゴマーは、F2 Chemicals, Ltdより市販されている。
【0018】
パーフルオロカーボンフィルム形成剤は、0.1%から50%未満まで、好ましくは10%から50%未満まで、より好ましくは20%から45%まで、もっとも好ましくは30%から40%までの量で使用される。
【0019】
本発明の別の任意成分は、ゲル化剤である。パーフルオロ化合物は、ゲル化剤としてフュームドシリカ、またはシリル化シリカと組み合わされる。フュームドシリカとは、たとえば、空気中で四塩化ケイ素を燃焼させる間の発熱過程によって(すなわち、四塩化ケイ素の火炎加水分解によって)調製される表面積の大きい粉末シリカのことであり、99.8%以上の多くを有する。この過程で、サブミクロンサイズの溶融シリカ球が衝突し、融合して、長さ約0.1から0.5ミクロンの、三次元の分枝した鎖状凝集物を形成する。きわめて速やかに冷却を行い、粒子の成長を制限し、フュームドシリカを非晶質とする。フュームドシリカは、未処理状態で、または表面処理によってシリカの疎水性を高めた状態で利用可能である。どちらの種類も使用することができるが、本発明に使用するフュームドシリカは未処理が好ましい。フュームドシリカの表面積は、好ましくは90から約380m2/gの間であるが、もっとも好ましくは、約200から約380m2/gの間である。特に有用なフュームドシリカは、商標名Cab-o-Sil M-5としてCabot Corporationから市販されている。ゲル化剤は、組成物全体の約0.5から約20重量%までの量が用いられるが、好ましくは約1から約10%まで、もっとも好ましくは約1から約5%までの量が用いられる。
【0020】
フュームドシリカとともに補助ゲル化剤も使用することができる。補助ゲル化剤は、パーフルオロ化合物のゲル化においてそれだけで機能することはできないが、ゲル化作用に寄与し、より大量のフュームドシリカを使用したときに起こり得るパサつきまたは乾燥の軽減に役立つことができる点に留意することが重要である。本発明に特に好ましい補助ゲル化剤は、ジメチコンクロスポリマーである。この種類のさまざまな物質が、たとえば信越化学から市販されている。本発明の無水系で用いるのに好ましいのは、粉末状のビニルジメチコンクロスポリマーである。特に好ましい材料は、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーである。本発明の含水系では、フッ素化ジメチコンクロスポリマーの使用が好ましい。この目的のために特に好ましいのは、フッ素化ジメチコンクロスポリマーの組み合わせ、すなわちトリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン/トリフルオロプロピルシクロテトラシロキサン/トリフルオロプロピルジメチコンクロスポリマーと、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン/PEG-10/トリフルオロプロピルジメチコンクロスポリマー/トリフルオロプロピルシクロテトラシロキサンとの組み合わせである。無水製品とは対照的に、これらの材料は、好ましくは、粉末よりもむしろゲルの形態の処方に組み込まれる。補助ゲル化剤の絶対量は、もし使用されたとしても、重大ではなく、重量比でクロスポリマーの約0.01から約10%まで、好ましくは約0.5から約5%までの量で存在することができる。主要ゲル化剤の量に関して、補助ゲル化剤が使用されるならば、2つの比は通常およそ1:1であるが、補助ゲル化剤は、主要ゲル化剤1部に対して補助ゲル化剤およそ3部の比率で、満足できる結果で使用することができる。
【0021】
上記の実施形態および組み合わせにおいて、組成は比較的単純であり、従来のマスカラとは異なり、実質的にワックスフリーとすることができる。この文脈において、ワックスフリーは、組成物が20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のワックスを含有し、もっとも好ましくは実質的にワックスを含有しないことを意味する。
【0022】
別の実施形態において、パーフルオロカーボンは、典型的なペースト状マスカラ組成物の主成分として、50重量%を上まわる量が使用される。この実施形態のそうしたパーセント水準で、追加成分として、フッ素化されたワックスを本発明に組み入れ、本発明の組成物をケラチン繊維全体に均一に適用することを助けることができる。フッ素化されていないワックスは、本発明のパーフルオロ化合物との相溶性が低く、本発明の組成物が2層に分離する結果となる可能性があることに注意することが大切である。したがって、本発明において、フッ素化されたワックスが好ましく使用される。いかなる理論にもとらわれたくはないが、下記の実施例3に示すように、本発明のパーフルオロ化合物におけるフッ素化の程度によって、フッ素化されたワックスの一部が不相溶になると考えられる。さらに、フッ素化されたワックスの鹸化価が、ワックスと本発明のパーフルオロ化合物との相溶性に関係すると考えられる。油または脂質の鹸化価は、グリセリドもしくは脂肪酸の成分の平均分子量の指標であり、1グラムの油または脂質を鹸化する、すなわち、遊離脂肪酸およびアシルグリセロールとして結合された脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。したがって、鹸化価は、他にも方法は知られているが、鹸化後に残存する過剰の水酸化カリウム量を測定することによって決定される。本発明において、50未満、好ましくは40未満、もっとも好ましくは30未満の鹸化価を有するワックスが本発明に適合する。本発明でもっとも好ましいワックスは、フルオロベヘニルアルコールであり、これは30の鹸化価を有する。
【0023】
このようなワックスの例には、ジパーフルオロドデカンジエートおよびフルオロベヘニルアルコールがあるがそれらに限定されない。好ましい実施形態において、ジパーフルオロドデカンジエートは、2%から40%、好ましくは5%から30%、もっとも好ましくは10%から20%までの量で使用される。
【0024】
別の、必須ではないが、場合によっては望ましい成分として、1つもしくは複数の種類の顔料を、ケラチン繊維をダークにするのを強めるために含有してもよい。使用する顔料の量は重要ではなく、所望の色の種類および強度に大きく依存する。通常、約1から20重量%までの量で顔料が使用される。使用される顔料の種類は、こうした目的のために通常使用される任意のものとすることができる;たとえば、天然顔料を含む有機顔料、および人工のモノマーおよびポリマー顔料としてもよい。有機顔料の例としては、フタロシアニンブルーおよびグリーン顔料、ジアリライドイエローおよびオレンジ顔料、ならびにアゾ系赤色および黄色顔料、たとえば、トルイジンレッド、リソールレッド、ナフトールレッドおよびブラウン顔料がある。レーキも有用であり、これは有機染料を不溶性基剤、たとえばアルミナ、バリウムもしくはカルシウム水和物に吸収させ、沈殿させることによって形成される顔料である。特に好ましいレーキは、プライマリーFD&CもしくはD&Cレーキ、およびそれらの混合物である。ブロモ染料およびフルオレセイン染料などの染色液も使用することができる。
【0025】
顔料は無機物、たとえば、酸化鉄(黄、赤、茶もしくは黒)、フェロシアン化鉄アンモニウム(青)、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、酸化クロム(緑)、タルク、レシチン改質タルク、ゼオライト、カオリン、レシチン改質カオリン、酸化チタン(白)、酸化亜鉛およびそれらの混合物とすることができる。透明な金属酸化物で被覆されたシリカビーズも有用である。金属酸化物、特に、鉄およびチタンの酸化物が、本発明の組成物において好ましい顔料である。用いられる顔料は、被覆されていても被覆されていなくてもよい。特に好ましい種類の顔料は、酸化鉄、たとえば、KOBO (South Plainfield, NJ)から発売されているBlack NFなどである。
【0026】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1つのパーフルオロ化合物を単独で含有するか、またはパーフルオロカーボンフィルム形成剤と併せて含有する、無水コーティング組成物である。組成物はまた、従来の無水もしくは水性マスカラ組成物に組み入れてもよい。
【0027】
ケラチン繊維をダークにする方法
本発明の組成物は、本発明の組成物の局所適用によってヒトのケラチン繊維をダークにする方法に役立つ製品として、特に有用である。好ましくは、組成物は睫毛をダークにするためのマスカラ組成物に使用される。
【0028】
この方法は、安全で有効な量の本発明の組成物を塗布もしくは局所適用することを含んでなる。組成物中の成分量は、所望のダークニングの度合い、および個々人のケラチン繊維のタイプに応じてさまざまである。本発明の方法は日常的な使用に適している。
【0029】
一例として、局所適用は1日1回程度から3回ほどまでであるが、1日2回が好ましいと提案される。
【0030】
本発明は以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0031】
下記の処方は、本発明のパーフルオロ化合物がマスカラ組成物に組み込まれている本発明の組成を説明するものである;しかしながら、パーフルオロ化合物は、マスカラ組成物に組み込むことなく、コーティングとして単独で、または上記の他のパーフルオロ化合物と併用して、使用され得る点に留意する。
【0032】
材料 重量%
ジパーフルオロドデカンジエート 20.00%
Flutec PC11(パーフルオロペルヒドロフェナントレン) 50.00%
Flutec PC3(パーフルオロ1,3ジメチルシクロヘキサン) 19.05%
Cab-O-Sil M-5(シリカ) 0.75%
プロピルパラベン 0.2%
Black NF(酸化鉄-黒色顔料) 10%
【実施例2】
【0033】
この実施例は、本発明の組成物を用いる、および用いないさまざまなマスカラ組成物の、ダークニング効果についての比較例である。図1−3は、組成物のL値(明度)を示す。分光光度計を用いて組成物を測定しL値を求めるが、低いL値は明るい色を表す。具体的には、図1は、本発明の組成物を用いて、最低のL値18を示す。図2では、特定のパーフルオロ化合物の効果を示し、Flutec(登録商標)を含んでなる本発明の組成物は、最低のL値20.26を与える。
【実施例3】
【0034】
この実施例は、本発明のパーフルオロ化合物と併用するフッ素化されたワックスの比較例を提供する。表1に示すように、ジパーフルオロドデカンジエートおよびフルオロベヘニルアルコールだけがパーフルオロ化合物のFlutec PC11と相溶し、分離しない安定した組成物を生成した。また表1に示すように、フルオロベヘニルアルコールは、2つの異なる濃度で試験した。
【表1】

【0035】
当然のことながら、本明細書において説明および記載された特定の形態は、説明することのみを目的とする。例証された実施形態において、本明細書で示唆されたことを含むがそれに限定されない変更を、開示内容の明確な指示から逸脱することなく行うことができる。したがって、本発明の全範囲を決定するには、特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物であって、その組成物が、50%を超える少なくとも1つのパーフルオロ化合物を含んでなる、前記組成物。
【請求項2】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、パーフルオロモルホリン、およびパーフルオロアルカンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカンまたはヒドロフルオロエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
フッ素化されたワックスをさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
パーフルオロシクロアルカンがパーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロヒドロフェナントレンもしくはパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンまたはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
パーフルオロ化合物がパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンを含んでなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
フッ素化されたオリゴマーであるパーフルオロカーボンフィルム形成剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
フッ素化されたオリゴマーが、パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレンの副生成物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物であって、50%を超える少なくとも1つのパーフルオロ化合物、ならびに少なくとも1つのパーフルオロカーボンフィルム形成剤を含んでなる、前記組成物。
【請求項10】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、パーフルオロモルホリンおよびパーフルオロアルカンからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカンまたはヒドロフルオロエーテルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ワックスをさらに含んでなる、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
パーフルオロシクロアルカンがパーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロヒドロフェナントレンもしくはパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンまたはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
パーフルオロ化合物がパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンを含んでなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
パーフルオロカーボンフィルム形成剤が、フッ素化されたオリゴマーである、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
フッ素化されたオリゴマーが、パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレンの副生成物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
ケラチン繊維をコーティングするための化粧品組成物もしくは医薬品組成物であって、少なくとも1つのパーフルオロ化合物、ならびに少なくとも1つのフッ素化されたオリゴマーを含んでなる、前記組成物。
【請求項18】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、パーフルオロモルホリンおよびパーフルオロアルカンからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカンまたはヒドロフルオロエーテルである、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
パーフルオロシクロアルカンがパーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロヒドロフェナントレンもしくはパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンまたはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
パーフルオロ化合物がパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンを含んでなる、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
フッ素化されたオリゴマーが、パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレンの副生成物である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つのパーフルオロ化合物を含有する組成物をケラチン繊維に適用するステップを含んでなる、ケラチン繊維をダークにする(darkening)方法。
【請求項24】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、パーフルオロモルホリンおよびパーフルオロアルカンからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項25】
パーフルオロ化合物がパーフルオロシクロアルカンまたはヒドロフルオロエーテルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
組成物がさらにワックスを含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
パーフルオロシクロアルカンがパーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロヒドロフェナントレンもしくはパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンまたはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項28】
パーフルオロ化合物がパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサンを含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
組成物が、フッ素化されたオリゴマーをさらに含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
フッ素化されたオリゴマーが、パーフルオロテトラデカヒドロフェナントレンの副生成物である、請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2009−506115(P2009−506115A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529129(P2008−529129)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033205
【国際公開番号】WO2007/027519
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】