説明

ケース

【課題】材料費が安く、また容易に製作でき、軽量なケースを提供する。
【解決手段】アルミ、ジュラルミン、スチール等の金属製のケースは材料費が高く、また、製造にあたり、板材を切断したり、折曲加工したり、溶接したりするため、作業が煩雑である。このため、本発明では、速乾性があって耐火性、防水性、耐久性、耐環境性等々に優れたポリウレタン・ポリウレア樹脂を主素材としてケースを作製した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外用カメラ、ディスプレイハウジング(ケース)、駆動モータ等の機器収納ハウジング(ケース)のような各種機器類を収納するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカメラや壊れやすい精密機器、電子機器類を外で持ち運んだりする場合、一般的に、図5に示すようなアルミやジュラルミン、スチール等のケース内に収納して運搬したり、保管したりする。
【0003】
図において(10)は有底箱型のケース本体で、上部に開口部(10a)が形成され、この開口部(10a)はケース本体(10)の左右に基端部が回転自在に取付けられた太陽電池からなる一対の観音扉(11)によって開閉自在に構成されている。太陽電池パネルは、内部にバッテリーを収納した際の充電用のものである。なお、(12)は持ち運び用の握部である。
【0004】
また、他のケース例として、屋外に設置する監視カメラ用ケースがある。
【0005】
図6(a)はそのケースの平面図、(b)は側面図を示す。
【0006】
図中(20)は箱型のカメラ収納部本体で、前面開口部に着脱自在な固定枠(21)が設けられ、内部に監視カメラ(図示せず)が収納される。固定枠(21)の前面中央部には撮影用の透明体からなるドーム状の窓部(22)が設けられている。また、カメラ収納部本体(20)には取付脚(23)が設けられている。
【0007】
このカメラ収納部本体(20)、固定枠(21)、窓部(22)等は防水構造となっており、カメラ収納部本体(20)、固定枠(21)および取付脚(23)等は金属製のものからなる。金属製のものにおいては板状部材を切断したり、板金加工したり、各部を溶接したりして構成する。
【0008】
また、図7の特許文献3に示されるような、基体30に対し着脱自在な蓋体31からなるやや複雑な形状の屋外用電子機器ケースがあり、やはり防水構造とし、内部に電子回路搭載用の基板(32)を収納するようにしたものがある。33は一端が基板32に接続され、他端が外部に引き出されたコードである。
【特許文献1】特開2005−025108号公報
【特許文献2】実用新案登録第3010938号公報
【特許文献3】特許第2979279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような金属製のケースは、特に最近、鉄・非鉄等の金属の資源高の傾向にあり、アルミ・その他の金属等は、今後、益々高値となるため、材料費がかかり、また、切断したり、折曲げ加工したり、溶接したりして製作するため、製造が煩雑であり、この点からもコスト高となるという課題がある。
【0010】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、材料費が安く、また容易に製作でき、軽量なケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、主素材がポリウレタン・ポリウレア樹脂からなり、内部に中空状の機器収納用の収納部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、従来スチールやアルミなどで製作されていた屋外用カメラハウジングや屋外用ディスプレイケース、電子機器収納ケース等を主素材がポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる中空状の収納部を有するケースとし、この樹脂は速乾性を有するため、作業性が良く迅速に製作でき、かつ容易に耐火性・防水性・耐久性・安全性・耐寒性・耐環境性等に優れたケースを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に沿って本発明の一実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明に係るケースの一例を示す。
【0015】
このケース1は、主素材がポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる箱型をなし、収納物を内部に入れるための開口部2aを有する有底箱状のケース本体2と、開口部2aを塞ぐ開閉自在な蓋3とを備えている。
【0016】
ケース1の主素材であるポリウレタン・ポリウレア樹脂は、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応物である。一般に2個以上の「−NCO」基を持つポリイソシアネート化合物は、2個以上の活性水素基を持つ化合物と反応し、三次元、網目構造を形成する高分子化合物を結成し化学的に安定した材料となる。「ポリウレタン、ポリウレア、ハイブリット樹脂」を用いて従来のFRP工法を飛躍的に革新した技術がRSM(反応性スプレー成形)システムである。「速硬化」ポリウレタンは2成分システムである、ポリウレタン樹脂は、従来の塗料と異なり硬化速度が早くイソシアネート成分を主とするA液と、ポリオール成分を主とするB液をそれぞれ高圧ポンプで吐き出し、ノズル直前で衝突混合後噴霧すると、表面で数秒以内で硬化し各種下地(木、石、コンクリート、プラスチック、金属)に対して継ぎ目のない「プラスチック状」の保護被膜を形成する。
【0017】
この革新的なRSM(反応スプレーシステム)は、硬質コーティングから軟質エラストマー(弾性物質)までさまざまな用途に利用できる。「速硬化」材料を使うことで生産性を劇的に改善し、労務コストを低減する。さらにRSM材料は無溶剤型(固形分100%)なので厳しい環境規制を満たすことができ、材料コストを低減できる。RSMシステムのその他の利点として、抜群の靭性、および耐衝撃性、耐摩耗性、耐食性と熱衝撃強度を備えることができる画期的な超速硬化コーティングシステムであり、R−NCO(イソシアネート)+R’−OH(ポリオール)→R−NH−COO−R’(ポリウレタン)である。
【0018】
本発明ではケース1の素材として、上記の環境対応型ポリウレタン・ポリウレア樹脂を用いたことに特徴を有している。
【0019】
この環境対応型ポリウレタン・ポリウレア樹脂は、耐火性・防水性・安全性・耐久性・耐寒性・作業性という要素を全て解決する最新素材で、RSM(反応性スプレー成形)システムは軟質エラストマーから硬質コーティングおよびプラスチックまで幅広いコーティング、成形システムである。
【0020】
本発明で用いられるポリウレタン樹脂の特徴は次のとおりである。
1 超速硬化性:数十秒で硬化、高作業、高生産性
2 無溶剤:揮発成分がなく、作業環境に優しい
3 膜厚:1回塗りで0.5〜4mm、垂直面へ塗布してもタレを生じない
4 超防食性:耐水、耐薬品性に優れた防食塗膜が形成される。
5 耐候性:紫外線による劣化がほとんどない
6 高弾性強靭塗膜:耐衝撃性、耐寒性、耐摩耗性に優れている。
7 通常の一般的な金型に比べ型代がローコストで済む。
【0021】
図2は本発明のケース本体2の一製作例を示す。4はポリウレタン・ポリウレア樹脂用の下型、5は同上型であり、下型4の下部中央部には上記A液用のノズル6が設けられ、反対側に上記B液用のノズル7が設けられ、A液、B液を高圧ポンプで上下型5、4のキャビティ内に衝突混合注入し、硬化後、開いて取り出せば、例えば図3に示すようなケース本体2を成形できる。
【0022】
図1に示した蓋3についても同様にして成形できる。
なお、この例では、ケース本体2と蓋3とからなる単純な簡易形状のケース1を例にとって示したが、ケース1の形状についてはこれに限られるものではない。
【0023】
ケース1としては、安価で加工が容易なダンボールの表面にA液とB液とを混合後噴霧してコーティングしたものを用いても良い。
【0024】
図4はその断面を示し、8はダンボール、aはコーティングを示す。予めダンボール8で所定形状のケース1を製作し、その後、所望の厚みのコーティグaを行っても良い。あるいは、ダンボール8で予め各部を製作しておき、その部分にコーティングaをし、各部を組み立てても良い。ダンボール8の表裏面は主素材であるコーティングaにより覆われ強度が高められ、防水性等も付与される。
【0025】
本発明では、上記した種々の優れた特性を有する主素材で機器収納ケースを製作することで、内部収納機器を外部環境から守ることができる。防水性に関しても従来はその内部温度上昇から完全密閉型とするのが困難とされていた。その問題の解決には完全密閉型とし、内部機器の放熱または保温に環境に優しいノンフロンによるクーリング・ヒーティングシステムであるペリチェ素子を設け、内部ファンにより内部空気を循環させ、機器の熱上昇や凍結防止を図るように構成することができる。さらにはその外部放熱フィンおよびパネルに環境に優しい有機溶剤を含まず、耐熱、密着性、放熱、保熱、熱均一性等々の特性を持つ液体セラミックを塗布するようにしても良い。ケースとしての適用はカメラハウジング、旋回台、プラズマや液晶ディスプレイ用屋外ハウジング(ケース)等、電子機器の収納ケースやカバー、楽器のケース等広範囲に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係るケースの概略斜視図を示す。
【図2】本発明に係るケースの製作例を示す。
【図3】本発明のケースの一例の概略縦断面図を示す。
【図4】本発明の他の実施例の部分概略縦断面図を示す。
【図5】従来のカメラケースの一例を示す。
【図6】従来の屋外設置型監視カメラケースの一例を示す。
【図7】従来の屋外電子機器ケースの一例を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 ケース
2 ケース本体
2a 開口部
3 蓋
4 下型
5 上型
6、7 ノズル
8 ダンボール
c キャビティ
a コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主素材がポリウレタン・ポリウレア樹脂からなり、内部に中空状の機器収納用の収納部が形成されたことを特徴とするケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−184716(P2009−184716A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28723(P2008−28723)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(399012332)株式会社シーベル (2)
【Fターム(参考)】