説明

ケーソン用中詰め材およびケーソン並びに水域構造物

【課題】中詰め材の投入施工後の膨張を考慮する必要がない炭酸化製鋼スラグからなるケーソン用中詰め材を提供することを目的とする。また、そのケーソン用中詰め材をケーソン躯体内に投入充填したケーソン並びにそのケーソンによる水域構造物を提供すること。
【解決手段】ケーソン躯体内に投入に投入されるケーソン用中詰め材において、前記ケーソン中詰め材は、製鋼スラグを炭酸化処理してなる炭酸化製鋼スラグ2であるケーソン用中詰め材。前記炭酸化製鋼スラグ2は、炭酸化未処理製鋼スラグ中に含有する遊離石灰の含有率に応じて、炭酸化未処理製鋼スラグを炭酸ガス雰囲気で所定時間炭酸化処理された炭酸化製鋼スラグ2である。また、前記の炭酸化製鋼スラグ2を中詰めした炭酸化スラグ中詰めケーソン8により水域構造物10を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋構造物または港湾構造物等の水域構造物の本体として使用されるケーソンの中に詰めるケーソン用中詰め材およびその中詰め材が投入充填されたケーソン並びにそのケーソンによる水域構造物に関し、特に、炭酸化された炭酸化製鋼スラグを用いたケーソン用中詰め材およびそのケーソン用中詰め材を中詰めしたケーソン並びに水域構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
護岸または防波堤などの水域構造物を構築する場合、例えば、コンクリート製ケーソン躯体を浮かした状態で曳航して所定の設置位置上に配置し、ケーソン内に海水等を注水して、図6に示すように、基礎捨石層7の所定の位置に沈設し、砂あるいは砂利などの天然材をケーソン躯体内8内に投入することで、ケーソン内の海水を前記天然材に置き換えるように充填した後、ケーソン躯体上部に床版からなる蓋コンクリート9を設けるようにすることは知られている。
【0003】
また、ケーソン内に充填する前記の天然材を使用する場合よりも、環境負荷が少ないと考えられているリサイクル材を使用することも知られている。
【0004】
例えば、(1)粒径5mm以上の未処理製鋼スラグを水洗し、大気あるいは蒸気エージング処理した製鋼スラグを、ケーソン中詰め用骨材として使用することも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
前記(1)の場合には、粒径5mm以下の製鋼スラグがないので、つまりにくく重量が軽いことおよび、中詰め材投入時にオーバーフローする海水のpH処理が必要になり、また、粒径5mm以下の製鋼スラグをどのように利用するかの問題が残される。
【0006】
また、(2)ケーソン以外に使用される技術として、鉄鋼スラグ水和固化体を破砕した材料を使用することも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
前記(2)の場合には、製鋼スラグ微粉の処理が可能であるが、例えば、比重が2.4〜2.6と軽くなり、鉄鋼スラグ水和固化体に処理する中和処理等の処理コストが高いと言う欠点を有している。
【0008】
なお、未処理製鋼スラグは、水と反応して膨張すると共に、強いアルカリ性を示すために、前記のように製鋼スラグを処理することにより、膨張を抑えると共に、製鋼スラグのpHを調整するようにしている。
【0009】
なお、炭酸化製鋼スラグの用途として、ケーソンへの利用用途は知られていない。
【0010】
製鋼スラグは、砂あるいは砂利よりも比重が大きいので、製鋼スラグを極力多くケーソン内に中詰め材としてケーソン躯体内に投入すると、ケーソンの重量が大きくなることにより、波浪や地震時の慣性力による滑動に対してケーソン底面での抵抗が大きくとれるため、ケーソンの小型化を図る上で望ましい。
【特許文献1】実開平06−71520号公報
【特許文献2】特開平10−152364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、リサイクル材としての製鋼スラグをケーソン用中詰め材としての有効利用を図る上で、ケーソン躯体内に投入時におけるケーソン上部からのオーバーフロー水のpHが高くなることを防止できると共に、ケーソン用中詰め材の投入施工後の膨張による側方土圧増加によるケーソンコンクリート壁への影響回避を図るケーソン用中詰め材を提供することを目的とする。また、そのケーソン用中詰め材を投入充填したケーソン並びにそのケーソンによる水域構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のケーソン用中詰め材においては、その中詰め材が、炭酸化未処理製鋼スラグ中に含有する遊離石灰の含有率が0%超〜10%である炭酸化未処理製鋼スラグを炭酸ガス雰囲気で0.5〜72時間炭酸化処理された炭酸化製鋼スラグであることを特徴とする。
また、第2発明では、第1発明のケーソン用中詰め材において、炭酸化製鋼スラグは、最大乾燥密度に締め固めた状態での80℃水浸膨張比が0%超〜1.5%以下に安定化され、かつケーソン投入時の実績率が、65%以下で50%以上とされていることを特徴とする。
また、第3発明では、第1〜第2発明のケーソン用中詰め材において、炭酸化製鋼スラグのpHが海水溶媒とした場合9.0以下とされていることを特徴とする。
また、第4発明の炭酸化スラグ中詰めケーソンにおいては、第1発明〜第3発明のケーソン用中詰め材がケーソン躯体内に投入されていることを特徴とする。
また、第5発明の水域構造物においては、第4発明の炭酸化製鋼スラグ中詰めケーソンが並べて設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ケーソン中詰め材として、膨張抑制に起因する側方土圧により、ケーソン側壁が損傷する恐れを排除し、かつ中詰め材投入時のオーバーフロー水のpHを低減することによって膨張、pH対策が不要で経済性に優れるケーソン用中詰め材あるいはそれを用いたケーソン、あるいは水域構造物を提供することができる。
また、砂あるいは砂利などの天然材に比べて比重の大きい炭酸化製鋼スラグをケーソン用中詰め材として使用するので、ケーソンあるいは水域構造物の小型化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明において利用する製鋼スラグは、製鋼工程で生じる石灰分を主体とした副産物であり、転炉スラグ、予備処理スラグ、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、電気炉還元スラグ、電気炉酸化スラグ、二次精錬スラグ、造塊スラグの1種または2種以上を混合したものである。
【0016】
このような製鋼スラグの中でも、75μm以下の粒度である細粒分含有率FC(%)が10%以下の製鋼スラグがよく、好ましくは、75μm以下の粒度である細粒分含有率FC(%)が5%以下の製鋼スラグを使用する。製鋼スラグの粒子の最大粒径の上限は特に規定しないが、300mm程度以下であることが望ましい。そのような製鋼スラグの粒子を炭酸化処理して、製鋼スラグ中に含まれる遊離石灰を、ロータリーキルンあるいはミキサー車等の回転容器内に投入し、容器内に吹き込まれる炭酸ガスにより、あるいは容器内に投入されるドライアイスと混合されることにより、製鋼スラグを炭酸ガス雰囲気中において、製鋼スラグ中の遊離石灰を炭酸ガスと反応させて、炭酸カルシウムとすることにより、炭酸化された炭酸化製鋼スラグを製造することができる。
【0017】
前記炭酸化製鋼スラグは、炭酸化未処理製鋼スラグ中に含有する遊離石灰の含有率が0%超〜10%である炭酸化未処理製鋼スラグを炭酸ガス雰囲気中で0.5〜72時間炭酸化処理された炭酸化製鋼スラグであり、そのような炭酸化製鋼スラグを、本発明では、ケーソン用中詰め材として使用する。
【0018】
通常、製鋼スラグ中の遊離石灰の含有率は、0%超〜10%程度(多くの場合、1%〜10%程度)であるため、ロータリーキルンで炭酸化処理する場合には、ロータリーキルンの容積、製鋼スラグの投入量にもよるが、製鋼スラグ中の遊離石灰の含有率が低い場合には0.5〜2時間程度、高い場合には72時間程度、炭酸ガスを吹き込んで、ロータリーキルン内を炭酸ガス雰囲気として、製鋼スラグ中における表層部またはほぼ全体の遊離石灰とを、炭酸化処理するようにすればよい。前記のように、製鋼スラグを炭酸化処理することにより、アルカリ性の製鋼スラグの中性化よりを図り、また、炭酸化製鋼スラグの膨張率の低減を図るようにしている。
【0019】
前記のような炭酸化製鋼スラグのなかでも、細粒分含有率FC(%)が10%以下の炭酸化製鋼スラグがよく、好ましくは、細粒分含有率FC(%)が5%以下の炭酸化製鋼スラグであるのが望ましい。前記のような細粒分含有率FCとしておくと、ケーソン内の水と置き換えるように炭酸化製鋼スラグを投入充填した場合に、ケーソンから溢れたオーバーフロー水が懸濁し、ケーソン周囲海域の汚濁およびpH上昇の問題も解消し、これらの問題について、天然材と同じように取り扱える利点があり、さらに、製鋼スラグの比重が大きいことの優位性を図ることができる。
【0020】
前記のように炭酸化処理されて、体膨張が低減するように抑制された炭酸化製鋼スラグでも、僅かながら粒子は膨張する。実際にケーソンの側壁に悪影響を及ぼす膨張は炭酸化製鋼スラグの粒子(塊状または粒状の場合も含む)とその周囲の間隙(水)からなる系全体の膨張により引き起こされる。従って、炭酸化製鋼スラグ固有の膨張率とその詰まり方によって異なる。
【0021】
例えば、図5(a)(b)は、前記の状況を示したもので、図5(a)左に示すように、炭酸化製鋼スラグの大小の粒子4(以下、単に粒子ともいう)が密詰め状態(鉄鋼スラグ路盤材について規定するJISA5015に規定する膨張試験方法での詰め方:最大乾燥密度)では、各粒子4と水とが反応して膨張する結果、各粒子4の膨張が間隙に吸収されにくいこと、粒子間の相対移動が拘束されることにより、粒子4と間隙(水)からなる系全体において拘束がないと図5(a)右に点線で示すように膨張するようになり、その膨張がケーソン側壁等により拘束されると膨張圧が発生するようになる。
前記の場合の体積膨張率(%)αJISは、膨張前の元の体積をVとし、膨張後の体積をVとした場合、αJIS=(V/V−1)×100 となる。
【0022】
また、例えば、図5(b)左に示すように、炭酸化製鋼スラグの大小の粒子4が緩詰め状態(水中落下によりケーソン内に詰めた状態)では、各粒子が膨張しても、間隙への膨張吸収や粒子の相対移動が行われやすく、粒子と間隙(水)からなる系の膨張は非常に小さくなるか、膨張しなくなり、図5(b)右に示すような膨張形態になる。この場合の体積膨張率(%)αJISは、膨張前の元の体積をVとし、膨張後の体積をVとした場合、αJIS=(V/V−1)×100=0となる。
【0023】
前記のような各種の膨張形態があるため、ケーソン中詰め用炭酸化製鋼スラグの膨張がケーソン側壁に圧力として作用するか否かは、以下の2つの影響因子の相乗効果によるものと考えられる。
(1)鉄鋼スラグ路盤材について規定するJISA5015に規定する膨張試験方法により求められる炭酸化製鋼スラグ固有の膨張特性値。
(2)ケーソン内の水と置き換えるように水中落下で投入される炭酸化製鋼スラグの充填による詰まっている単位体積当りの割合(すなわち、炭酸化製鋼スラグ粒子の粒度分布が影響している実績率%)
以上より、炭酸化製鋼スラグのもつ膨張率があるとしても、ケーソン内に投入後のつまり方が緩く空隙が大きければ(すなわち、実績率%が小さい場合)、壁体への圧力は発生しない(膨張率α≦0)が、逆に、膨張率αが小さくても、詰められている炭酸化製鋼スラグ粒子の粒度分布などの影響により、ケーソン投入後の詰まり方が密な場合(実績率が大きくなる場合)、ケーソン側壁への圧力は発生(膨張率α≧0.0%)するようになる。
【0024】
そこで、表1に示すように、膨張率の異なる8種の製鋼スラグについて、前記JISに規定する密詰め状態と、水中落下投入の場合の緩詰め状態の実績率を調べ、密詰め状態と緩詰め状態とについて、80℃促進膨張試験による経時的な80℃水浸膨張比の変化を図3に示す。また、ほぼ膨張が安定した養生10日を経過した時点で、前記8種の密詰め状態の場合の80℃水浸膨張比と、緩詰めの場合の80℃水浸膨張比について、縦軸を緩詰めの場合の80℃水浸膨張比とし、横軸を密詰めの場合の80℃水浸膨張比とし、8種の各試験結果をプロットすると、図4のようになる。図4から、密詰め状態(最大乾燥密度)の80℃水浸膨張比と、緩詰め状態の80℃水浸膨張比とは、相関性があり、所定日数(養生10日)経過した時点で膨張が収束しているとみなした予測評価では、密詰め状態(最大乾燥密度に締め固めた状態)でも、80℃水浸膨張比(%)が1.5%程度以下である場合には、緩詰め(水中落下)では膨張しないことがわかる。
【0025】
【表1】

【0026】
図1は、表1に示す各試験材料8種についての密詰め状態と、緩詰め状態および実績率70%の状態において、80℃水浸膨張比(%)と実績率(%)の関係を示すものであって、縦軸をJIS試験法による80℃水浸膨張比(%)とし、横軸を実績率(%)とし、×印は膨張により土圧が発生している試験材料(CASE)を示し、○は膨張による土圧が発生していない試験材料(CASE)を示している。
図1に示される実線の左下側の領域は、実績率が小さく膨張に対しては安全側になると容易に考えられるため、その領域であるJIS試験法による80℃水浸膨張比と実績率にあれば膨張しない。実線の左側にある領域であるJIS試験法による80℃水浸膨張比が、1.5%以下で、実績率65%以下の場合には、炭酸化製鋼スラグをケーソン用中詰め材として利用しても、膨張による土圧が発生しないため、ケーソン用中詰め材として利用しても安全であることがわかる。また、より安全側をとる場合には、JIS試験法による80℃水浸膨張比が1.0%以下で、略実績率65%以下の場合とすることでよいことがわかる。
また、前記の場合、実績率%が小さくなる場合には、炭酸化製鋼スラグがケーソンに十分詰まっていないようにもなるので、比重の高い炭酸化製鋼スラグを利用しても、重力式のケーソンの小型化を図る上では、不利になる。図2は炭酸化製鋼スラグの土粒子密度(範囲2.9〜3.6g/cm3)と水中飽和単位体積重量の計算値を実績率ごとに示したものである。前記炭酸化製鋼スラグの実績率%の下限値は、水中飽和単位体積重量を天然材の一般的値である20kN/m以上にするためには50%以上であればほとんどの土粒子密度の炭酸化製鋼スラグで一般値である20kN/m以上となり、55%以上であれば、全ての炭酸化製鋼スラグで一般値である20kN/m以上となる。
【0027】
なお、炭酸化製鋼スラグと、従来使用されている山砂等の砂材とについて、水中投下による緩詰め状態として、80度に昇温する促進膨張土圧試験により、土圧の増加の有無を試験したところ、炭酸化製鋼スラグを使用した場合は、砂材を中詰め材として使用した場合に比べて、土圧の増加が小さく、また、昇温前の初期における水張り時あるいは重錘載荷時においても、前記砂材の天然材の場合よりも土圧の増加は小さく、天然材と同様に利用することができることがわかった。
【0028】
以上から、炭酸化製鋼スラグをケーソン用中詰め材として用い、炭酸化製鋼スラグをケーソンに詰める場合、実績率が65%以下でかつ50%以上で、水中飽和単位体積重量(kN/m)が21kN/mであれば、炭酸化製鋼スラグからなるケーソン用中詰め材をケーソン内に投入充填した場合、膨張を低減して、ケーソン用中詰め材の膨張による土圧を低減した上、天然材の場合よりも、重量の重い中詰めされたケーソンあるいは水域構造物を構築することができることがわかる。
【0029】
前記のように製鋼スラグを炭酸化処理して、膨張率が抑制された、または膨張率が0%超で1.5%以下、好ましくは0%超で1.0%以下に抑制された炭酸化製鋼スラグをケーソン用中詰め材としてケーソン躯体内に投入して、ケーソンを並べて、水域構造物を構築する場合には、前記従来の場合と同様、図6に示すように、例えば、海底地盤5の強度に応じて設計上必要な改良を施した改良地盤6とし、基礎捨石層7を構築した後、その基礎捨石層7上方の所定の位置にケーソン8を曳航配置した後、ケーソン8内に注水して所定の設置に沈設設置し、その後、ケーソン内に膨張抑制されていると共にpHが9以下とされた炭酸化製鋼スラグ2によるケーソン用中詰め材3を、ケーソン躯体内に投入の際水中投下して水(海水)と置き換えるように充填し、実績率が65%以下50%以上になるように、投入充填する。また、前記のような炭酸化製鋼スラグ2は、ケーソン投入時の実績率が65%以下で50%以上となるようにされている。その後、ケーソン上部に蓋材9を設け、1ユニットの水域構造物10を構築し、必要に応じて、順次直列に、多数構築して、長尺の水域構造物10を構築する。
なお、工事に伴う排水のpH規制値に関する明確な基準がないが、水質汚濁防止法に定められる排水基準であるpH5〜9を参考にして、炭酸化スラグのpHが海水溶媒とした場合、pH9.0以下となるように炭酸化処理した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】中詰め材としての試験材料の膨張による土圧発生の有無に対するJIS試験法による80%水浸膨張比と実績率との関係を示すグラフである。
【図2】炭酸化製鋼スラグの土粒子密度とケーソン中詰め材としての水中飽和単位体積重量の計算値の関係を実績率ごとに示したグラフである。
【図3】各種試験材料について、蜜詰めした場合と緩詰めした場合について、測定日数(養生日数)の経過と80%水浸膨張比との関係を示すグラフである。
【図4】図3に示すグラフにおいて、80%水浸膨張比が安定した測定日数(養生日数)10日の時点で、密詰め状態の場合の膨張率と、緩詰め状態の場合の膨張率との相関関係を示すグラフである。
【図5】炭酸化製鋼スラグ等の粒子の詰めによる粒子―間隙(水)からなる系の膨張挙動を説明するための図であって、(a)は密詰め状態の場合、(b)は緩詰め状態の場合を示す説明図である。
【図6】コンクリート製ケーソンに中詰め材を投入して、重力式ケーソンを構築している状態の概略断面図を示すものであって、(a)は水底砂利地盤上に、コンクリート製ケーソン内に海水を注入して沈設した状態を示す図、(b)はコンクリート製ケーソン躯体内に投入内に中詰め材を投入している状態を示す図、(c)はコンクリート製ケーソン背面に裏込め土を投入している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
2 炭酸化製鋼スラグ
3 ケーソン用中詰め材
4 粒子
5 海底地盤
6 改良地盤
7 基礎捨石層
8 コンクリート製ケーソン
9 蓋材
10 水域構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーソン内に投入される中詰め材において、前記中詰め材が、炭酸化未処理製鋼スラグ中に含有する遊離石灰の含有率が0%超〜10%である炭酸化未処理製鋼スラグを炭酸ガス雰囲気で0.5〜72時間炭酸化処理された炭酸化製鋼スラグであることを特徴とするケーソン用中詰め材。
【請求項2】
炭酸化製鋼スラグは、最大乾燥密度に締め固めた状態での80℃水浸膨張比が0.0%超1.5%以下に安定化され、かつ、ケーソン投入時の実績率が65%以下で50%以上とされていることを特徴とする請求項1に記載のケーソン用中詰め材。
【請求項3】
炭酸化製鋼スラグのpHが海水溶媒とした場合、9.0以下となるように炭酸化処理されていることを特徴とする請求項1〜2に記載のケーソン用中詰め材。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のケーソン用中詰め材がケーソン躯体内に投入されていることを特徴とするケーソン。
【請求項5】
請求項4に記載の炭酸化製鋼スラグ中詰めケーソンが並べて設置されていることを特徴とする水域構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−203664(P2009−203664A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45510(P2008−45510)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】