説明

ケーブルドラム

【課題】本発明は、リール保持枠内に大リールと小リールを設けることにより、小型化、部品点数の削減及び安全性の向上を達成することを目的とする。
【解決手段】本発明によるケーブルドラムは、リール保持枠(1)内に大リール(4)と小リール(10)を有し前記リール保持枠(1)に回転自在に設けられた回転軸(5)と、前記大リール(4)の一対の大リール用サイドプレート(7,8)の一方に形成された穴(25)と、前記穴(25)を経て前記大リール(4)及び小リール(10)に巻回されたケーブル(9)とを備え、前記ケーブル(9)と各リール(4,10)が前記リール保持枠(1)の内側に配設されている構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラムに関し、特に、大リールと小リールをリール保持枠の内側に配設し、ドラム転倒時の各リールの損傷を防止し、サイドプレートの数を少なくし、ケーブルの巻回を容易化し、安全性の向上、省スペース化、低コスト化を達成するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のケーブルドラムとしては、社内製作のみであるため特許文献等は開示していないが、図5から図7で示す構成を挙げることができる。
すなわち、図5から図7において符号1で示されるものは全体形状が枠形をなすリール保持枠であり、このリール保持枠1の基部2の下部には複数のキャスタ3が設けられている。
【0003】
前記リール保持枠1内には大リール4を有する筒状の回転軸5が回転自在に軸支されており、この回転軸5にはハンドル6が設けられている。
前記大リール4は、一対の大リール用サイドプレート7、8により構成され、この大リール4にはケーブル9が巻回できるように構成されている。
【0004】
前記リール保持枠1から突出した前記回転軸5の突出部5aには、前記大リール4よりも小径の小リール10が固定して設けられている。
前記小リール10には、一対の小リール用サイドプレート11、12が設けられている。
【0005】
前記ケーブル9は、前記回転軸5の中空部5aを貫通してこの回転軸5のほぼ中央位置に形成された開口5bから大リール4内へ案内され、このケーブル9の一端9a側はこの大リール4に50〜60m分が巻回されていると共に、その他端9b側は前記小リール10に5〜6m分が巻回されている。
【0006】
前述の構成において、大リール4に巻回されたケーブル9の一端9aは、例えば、発射制御器側20に接続され、その他端9bは小リール10からはずして引出し遠隔操作器側21に接続される。
前記遠隔操作器側21でケーブル9を介して前記発射制御器側20に信号を送信し、発射制御を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のケーブルドラムは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、小リールがリール保持枠の外側に位置しているため、装置全体が大形化するとともに、サイドプレートが4個必要となり、部品点数の低減が困難であった。
また、ケーブルを各リールに巻回する場合、回転軸内を貫通させてケーブルを案内しなければならず、回転軸の構造が複雑化し、ケーブルの巻回にも手間がかかっていた。
また、リール保持枠の外側に小リールが位置しているため、ケーブルドラムが転倒した場合、小リールが破損する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるケーブルドラムは、全体形状が枠形をなし脚部を有するリール保持枠と、前記リール保持枠に回転自在に設けられハンドルを前記リール保持枠の外部に有する回転軸と、前記回転軸に固定して設けられ前記リール保持枠の内側に位置する大リール及び前記大リールよりも小径の小リールと、前記大リールに設けられた1対の大リール用サイドプレートと、前記小リールの外側に設けられ前記大リール用サイドプレートよりも小径の小リール用サイドプレートとを備え、前記大リール及び小リールには1本の連続したケーブルが巻回されている構成であり、また、前記大リールと小リール間の前記大リール用サイドプレートには穴が形成され、前記大リールに巻回された前記ケーブルが前記穴を貫通して前記小リールに案内して巻回されている校正であり、また、前記ケーブルの両端には、ケーブルを固定するためのケーブル固定用ひもが設けられている構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるケーブルドラムは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、大リールと小リールがリール保持枠の内側に位置しているため、装置全体が小型化され、サイドプレートも1個削減でき、部品点数も低減できる。
また、ケーブルを大リールと小リールに巻回する場合は、大リールの一方のサイドプレートに形成した穴を通すだけでよく、ケーブルの巻回が容易となった。
また、リール保持枠の内側に小リールが位置しているため、ケーブルドラムが転倒した場合でも、小リールの損傷を防止できる。
従って、安全性の向上、小型化、部品点数の削減による低価格化等を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、リール保持枠内に大リールと小リールを設け、小型化、部品点数の削減及び安全性の向上を達成することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるケーブルドラムの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1から図4において符号1で示されるものは、全体形状が枠形をなすリール保持枠であり、このリール保持枠1の基部の両側には一対の脚部3が設けられている。
【0012】
前記リール保持枠1内には、大リール4及びこの大リール4よりも小径の小リール10を有する回転軸5が回転自在に軸支されており、この回転軸5にはリール保持枠1の外側に位置するハンドル6が設けられている。
【0013】
前記大リール4は、一対の大リール用サイドプレート7、8により構成され、この大リール4にはケーブル9が巻回できるように構成されている。
前記大リール4の隣には、小リール10を構成するための小リール用サイドプレート11が設けられ、前記各大リール用サイドプレート7、8の中の一方の大リール用サイドプレート7は小リール10用の一方のサイドプレートを構成している。
【0014】
前記大リール4の前記大リール用サイドプレート7には、図3で示されるような穴25が形成されており、ケーブル9はこの穴25を介して大リール4と小リール10間を案内できるように構成されている。
【0015】
前記大リール4に案内されたケーブルの一端9aが、図2のケーブルクリップ26でクリップされた後に、大リール4の外周に巻回され、このケーブル9の他端9b側は前記小リール10の外周に巻回され、前記各リール4、10からほどかれた前記一端9a及び他端9bは、発射制御器側20及び遠隔操作器側21に接続されている。
【0016】
前記ケーブル9の一端9a及び9bには、コネクタ30、31及びケーブル固定用ひも40、41が設けられており、このケーブル固定用ひも40、41は、何れかのリール4、10のケーブル9を引出す時に、片方のリール4又は10のケーブル9の一端9aか他端9bをケーブル固定用の穴4a又は10aに接続して固定するために設けられている。
【0017】
尚、大リール4のケーブル9を引出した後、小リール10のケーブル9を引出す場合には、この小リール10を回転させるのではなく、手で他端9bを持って手作業でほどくようにして引出すことになる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、ケーブルに限らず、ホースにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるケーブルドラムを示す正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1の背面図である。
【図5】従来構成を示す平面断面図である。
【図6】図5の右側面図である。
【図7】図5の正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 リール保持枠
3 脚部
4 大リール
5 回転軸
6 ハンドル
7、8 大リール用サイドプレート
9 ケーブル
9a 一端
9b 他端
10 小リール
20 発射制御器側
21 遠隔操作器側
25 穴
40、41 ケーブル固定用ひも

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体形状が枠形をなし脚部(3)を有するリール保持枠(1)と、前記リール保持枠(1)に回転自在に設けられハンドル(6)を前記リール保持枠(1)の外部に有する回転軸(5)と、前記回転軸(5)に固定して設けられ前記リール保持枠(1)の内側に位置する大リール(4)及び前記大リール(4)よりも小径の小リール(10)と、前記大リール(4)に設けられた1対の大リール用サイドプレート(7,8)と、前記小リール(10)の外側に設けられ前記大リール用サイドプレート(7,8)よりも小径の小リール用サイドプレート(11)とを備え、前記大リール(4)及び小リール(10)には1本の連続したケーブル(9)が巻回されていることを特徴とするケーブルドラム。
【請求項2】
前記大リール(4)と小リール(10)間の前記大リール用サイドプレート(7,8)には穴(25)が形成され、前記大リール(4)に巻回された前記ケーブル(9)が前記穴(25)を貫通して前記小リール(10)に案内して巻回されていることを特徴とする請求項1記載のケーブルドラム。
【請求項3】
前記ケーブル(9)の両端には、ケーブル(9)を固定するためのケーブル固定用ひも(40,41)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のケーブルドラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−21890(P2006−21890A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202049(P2004−202049)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】