ケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器
【課題】防水性と機械特性に優れ、開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の本体と液晶ディスプレイ間の信号伝送に好適なケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層22を有する多芯ケーブル2と、電線群の両端に設けられた接続端末と、保護層22上に設けられた防水部材5と、を備えたケーブルハーネス61において、保護層22は、接着性を有する樹脂で形成されており、防水部材5の内面と保護層22との間に熱融着部56が形成され、防水部材5と保護層22とが一体成形されている。
【解決手段】複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層22を有する多芯ケーブル2と、電線群の両端に設けられた接続端末と、保護層22上に設けられた防水部材5と、を備えたケーブルハーネス61において、保護層22は、接着性を有する樹脂で形成されており、防水部材5の内面と保護層22との間に熱融着部56が形成され、防水部材5と保護層22とが一体成形されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の開閉や捻回を伴う狭い部分で使用されるケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防水機能を有する携帯電話などの電子機器では、本体と液晶ディスプレイ(表示部)との間の信号伝送用配線材にFPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブルプリント回路)がよく使われている。これは、FPCがフィルム状であるので防水パッキン構造にしやすいためである。
【0003】
また、防水機能を有する携帯電話などの電子機器おいては、従来の折りたたみ式に加えて、最近では折りたたむときなどに液晶ディスプレイを開閉する動作に加えて、液晶ディスプレイを回動させる動作を付与したタイプも登場してきている。
【0004】
このような液晶ディスプレイを回動させる動作を有する電子機器にFPCを用いた場合、本体と液晶ディスプレイとの連結部であるヒンジ部の周りにフィルム状のFPCを螺旋状に巻いた状態でパッケージングされる。このとき、液晶ディスプレイを回動させる際にヒンジ部のFPCが捻回され、この捻回で信号のインピーダンス不整合等が発生することにより電気特性が不安定となり、またEMI特性が劣化するなどの問題が生じる。
【0005】
当該FPCを用いた場合の問題点を解消し、折りたたむときなどに液晶ディスプレイを開閉する動作に加えて、液晶ディスプレイを回動させる動作を付与した電子機器の高機能化を進めるための手段として、本体と液晶ディスプレイとの間のヒンジ部に、信号伝送に複数の電線から構成されるケーブルを用い、該ケーブルと本体との接続部、ならびに該ケーブルと液晶ディスプレイとの接続部に防水措置を施す方法が考えられる。
【0006】
例えば、特許文献1には、ケーブルにOリングを直接取り付け、該Oリングを押圧手段により変形させて防水性を得るケーブル導入口の防水装置が記載されている。
また、特許文献2には、防水対策を施したケーブルとして、少なくとも一本のケーブルが挿通された、少なくとも摺動性のチューブと、チューブの外装面を覆うように当該外装面に形成され、前記チューブと少なくとも2層構造を形成し、チューブよりも柔軟性の高い外装材とを有するケーブル集合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−287347号公報
【特許文献2】特開2010−73433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の方法は、最近の折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の防水措置としては、以下の理由により不十分である。
【0009】
本体と液晶ディスプレイとの間の信号伝送に複数の電線から構成されるケーブルを用いる場合、電線が電子機器と直接接触して摺動運動によりダメージを受けるのを防止するため、電線の周囲に保護層を設ける必要がある。そして、当該ケーブルは、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作が作用する、本体と液晶ディスプレイとの接続部で使用されるため、当該保護層は柔らかい材質で構成されなければならない。
【0010】
このようなケーブルに、特許文献1に記載の方法で防水措置を施した場合、柔らかい材質で構成される保護層に直接Oリングを取り付ける構成となる。しかし、保護層は柔らかい材質で構成されており、屈曲および捻回動作時に変形し易く、このような場合に保護層とOリングとの間に隙間が生じ、防水性が得られなくなってしまう。
【0011】
さらに、屈曲および捻回動作時の保護層の変形により、Oリングと保護層との間に隙間が発生することを防ぐため、Oリングと保護層とを接着剤等で接合する構成では、接着剤が経時劣化する恐れがあり、防水性の長期信頼性が問題となる。
【0012】
最近の折りたたむときの開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の高機能化を進め、更に電子機器に充分な防水性を付与するためには、FPCと比較して折りたたむ際の開閉と回動により電気特性に影響が生じにくいケーブルに、折りたたむ際の開閉による屈曲動作および捻回動作に耐え得る防水措置を施す必要がある。
【0013】
また、特許文献2では、開閉動作のみが行われる電気機器の防水について開示されているに止まり、回動動作が伴う電子機器の防水まで考慮されていないため、特許文献2に記載のケーブルでは開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器における防水性が不十分となるおそれがある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、防水性と機械特性に優れ、開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の本体と液晶ディスプレイ間の信号伝送に好適なケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層を有する多芯ケーブルと、前記電線群の両端に設けられた接続端末と、前記保護層上に設けられた防水部材と、を備えたケーブルハーネスにおいて、前記保護層は、接着性を有する樹脂で形成されており、前記防水部材の内面と前記保護層の間に熱融着部が形成され、前記防水部材と前記保護層とが一体成形されていることを特徴とするケーブルハーネスを提供する。
【0016】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係るケーブルハーネスにおいて、以下のような改良や変更を加えることができる。
(1)前記保護層は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とからなる樹脂組成物で形成されている。
(2)前記防水部材は、シリコーンゴム、あるいはエチレンプロピレンゴムからなる。
(3)前記防水部材は、電子機器に嵌合して固定させるための溝が形成されている。
【0017】
また、本発明は、本体部と表示部との間に設けられたヒンジ部に上記のケーブルハーネスが用いられていることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、防水性と機械特性に優れ、開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の本体と液晶ディスプレイ間の信号伝送に好適なケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る電線の横断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るケーブルハーネスを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る防水部材の構成を示す図である。
【図5】本発明で実施した屈曲試験の方法を示す図である。
【図6】本発明で実施した捻回試験の方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電線の横断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図である。
【図9】多芯ケーブルを用いたケーブルハーネスの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る、横巻シールドを備えた多芯ケーブルの横断面図である。
【図11】横巻シールドを備えた多芯ケーブルを用いたケーブルハーネスの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
本発明の実施の形態に係る電線である多芯線の横断面図を図1に示す。図1に示す多芯線1は、複数本(図1では4本)からなる導線10と、導線10の周囲に形成されたふっ素樹脂などからなるスキン層13と、スキン層13の周囲に形成された外部導体14と、外部導体14の周囲に形成されたふっ素樹脂などからなるジャケット15とから構成される。導線10は、1本又は複数本の銅線又は銅合金線からなる導体11の外周にふっ素樹脂などからなる絶縁体12を被覆して構成される。
【0022】
本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図を図2に示す。図2に示す多芯ケーブル2は、多芯線1と、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などからなるテープ21と、保護層22とから構成される。多芯ケーブル2においては、多芯線1が複数本(図2では10本)、テープ21により束ねられて電線群が構成され、該電線群の外周、すなわちテープ21の外周に保護層22が配され、屈曲運動部分における電線の断線を防止している。なお、電線群を構成する多芯線1は、携帯電話などに用いる極数を考慮して8〜18本とすることが望ましい。
【0023】
本実施の形態において、保護層22は接着性を有する樹脂から構成される。この接着性を有する樹脂としては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのふっ素樹脂と、接着性を付与するための接着性付与剤とで構成される樹脂組成物が用いられる。
【0024】
この樹脂組成物は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とをグラフト重合することにより得られる。例えば、接着性付与剤として、グラフト重合するための結合性基としてα,β−不飽和二重結合を末端に有する有機基またはパーオキシ基を有し、かつ接着性を付与する官能基としてカルボキシル基、カルボン酸無水物残基、エポキシ基および加水分解性シリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するグラフト性化合物を用い、このグラフト性化合物をETFEに対してグラフト重合して接着性を有するETFEが得られる。なお、グラフト重合する方法としては、例えば、ETFEとグラフト性化合物とをラジカル発生剤の存在下で反応させる方法などがある。
【0025】
保護層22をこのような接着性を有する樹脂で形成することにより、保護層22上の一部に形成される後述する防水部材と保護層22との界面での密着力を効率よく向上させることができる。このため、開閉と回動との双方がなされる電子機器のヒンジ部において、多芯ケーブルの端末部分に取り付けられるコネクタへの水の侵入を、Oリングなどの防水パッキンを用いることなく効果的に防ぐことができる。
【0026】
また、接着性を有する樹脂としては、低温で防水部材を成形するべく、170℃〜200℃の融点を有する樹脂を用いることが好ましい。融点がこの範囲外となる樹脂を用いる場合、保護層22と防水部材との界面において、後述する熱融着部を形成しにくくなる(保護層と防水部材との界面の融着が不十分となる)おそれがある。
【0027】
本実施の形態における多芯ケーブル2の直径は、携帯電話などの電子機器のヒンジ部に通すこと、および耐屈曲性等の向上を考慮すると2.5mm以下が望ましい。また、多芯ケーブル2に配される保護層22の厚さは、携帯電話の狭いヒンジ部を通さなければならないこと、繰り返し捻りを受けることなどから0.20〜0.35mmが望ましい。
【0028】
本発明の実施の形態に係るケーブルハーネスを図3に示す。図3に示すケーブルハーネス61は、多芯ケーブル2と、防水部材5と、接続端末であるコネクタ6とから構成される。ケーブルハーネス61においては、防水部材5を備える保護層22の両端部において、多芯ケーブル2を構成する複数の多芯線1が各々所定の長さ分だけ露出し、分離される。該分離された多芯線1は、それぞれコネクタ6と電気的に接続される。
【0029】
本実施の形態に係る防水部材5の構成を図4に示す。本実施の形態における防水部材5は、モールド51から構成される。モールド51は、例えばシリコーンゴムやエチレンプロピレンゴムなどで構成される。また、防水部材5には、該防水部材5を電子機器に嵌合させて固定するための溝部54が設けられていてもよい。本発明の実施の形態におけるモールド51の形状は、例えば円筒状、円錐状、円盤状などの形状を有する。また、防水部材5を構成するモールド51は、該モールド51を電子機器と嵌合させて固定する場合を考慮すると、ゴム硬度(ショアA)が50°〜70°であるゴム材料からなることが好ましい。
【0030】
本実施の形態において、モールド51は、以下の方法により多芯ケーブル2に取り付けられる。まず、モールド51は、該モールド51に形成されたケーブル挿入孔55に多芯ケーブル2が挿入され、多芯ケーブル2上の所定の位置に配される。所定の位置に配されたモールド51は、ケーブル挿入孔55に多芯ケーブル2が挿入された状態で熱が加えられ、成形がなされる。このモールド51の成型時の熱により、多芯ケーブル2を構成する保護層22と、ケーブル挿入孔55の内周面とが熱により融着し、熱融着部56が形成される。この熱融着部56の面積が大きい程、ケーブル挿入孔55における防水信頼性を高めることができる。
【0031】
このように、本実施の形態においては、モールド51の成形時の熱により、ケーブル挿入孔55の内周面と、多芯ケーブル2を構成する保護層22との間に、熱融着部56が形成され、モールド51と、多芯ケーブル2とが一体成形される。これにより、ケーブル挿入孔55から電子機器の内部への侵水を防止することができる。
(機械特性評価)
【0032】
本実施の形態に係る電線である、多芯ケーブルの機械特性の評価として、屈曲試験と捻回試験を実施した。屈曲試験方法を図5に、捻回試験方法を図6に示す。
【0033】
図5に示す屈曲試験には、評価試料として、多芯線を40本束ね、上述した接着性を有するETFEで構成される保護層に通したものを使用した。当該評価試料は垂直に保持され、下端に200(g)の荷重が取り付けられる。この状態の評価試料に曲げ冶具をあてがい、曲げ冶具の上部を折り曲げることで試験を行う。屈曲角度は、左右に90度とした。屈曲回数は、図5に示すように、評価試料を垂直に保持した状態から、図示左方向に90度折り曲げた状態で1回、再度垂直に保持した状態に戻して2回、次いで1回目とは逆方向に、図示右方向に90度折り曲げて3回、再度垂直に保持した状態に戻して4回、・・・と計数した。試験速度は、上述の計数方法で、1分間に30回の屈曲とした。その結果、30万回以上の屈曲でも電線の断線はなく、保護層に割れなどの傷の発生もなかった。
【0034】
図6に示す捻回試験においても、多芯線を40本束ね、上述した接着性を有するETFEで構成される保護層に通したものを評価試料として使用した。当該評価試料は垂直に保持され、下端に50(g)の荷重が取り付けられる。この状態の評価試料に、捻回用のチャック部と、固定用のチャック部との2つのチャック部が取り付けられる。捻回用チャック部と固定用チャック部との間隔は15mmである。試験は、固定用チャック部が評価試料を保持したまま、捻回用チャック部を回転させ、前記2つのチャック部に挟まれた評価試料の部位を回転させることにより行った。捻回角度は左右に180度とした。捻回回数は、図6に示すように、評価試料を垂直に保持した状態から、図示左方向に180度捻回した状態で1回、捻回を解除した状態に戻して2回、次いで1回目とは逆方向に、図示右方向に180度捻回して3回、再度捻回を解除した状態に戻して4回、・・・と計数した。試験速度は、上述の計数方法で、1分間に30回の捻回とした。その結果、30万回以上の捻回でも電線の断線はなく、保護層に割れなどの傷の発生もなかった。
【0035】
なお、本発明の実施の形態に係る電線としては、図7に示す同軸線を用いてもよい。図7に示す同軸線3は、1本又は複数本(図7では7本)の銅線又は銅合金線からなる導体31と、導体31の周囲に形成された絶縁体32と、絶縁体32の周囲に形成されたシールド層である外部導体33と、外部導体33の周囲に形成されたジャケット34とから構成される。
【0036】
この同軸線3を用いた本実施の形態に係る多芯ケーブルとしては、図8または図10に示すような構造からなる多芯ケーブルを用いることができる。図8に示す多芯ケーブル4は、複数本(図8では30本)の同軸線3の外周にPTFEなどからなるテープ21を設け、このテープ21の外周に上記で説明した保護層22を設けた構成を有する。
このような多芯ケーブル4を用いて構成されるケーブルハーネスを図9に示す。図9に示すケーブルハーネス71は、多芯ケーブル4と、上記で説明した防水部材5と、接続端末であるコネクタ6とから構成される。防水部材5は、多芯ケーブル4の両端に配設される。ケーブルハーネス71においては、屈曲運動部において多芯ケーブル4を保護できる程度の長さにわたって保護層22が形成され、この保護層22の両端部において防水部材5が形成される。さらに、この保護層22の両端から所定の長さにわたって多芯ケーブル4を構成する複数の同軸線3が各々露出し、分離される。該分離された同軸線3は、それぞれコネクタ6と電気的に接続される。
【0037】
図10に示す多芯ケーブル4aは、同軸線3と、PTFEなどからなるテープ21と、横巻シールドからなる外部導体43と、上記で説明した保護層22とから構成される。多芯ケーブル4aにおいて、横巻シールドは錫めっき銅箔糸から構成される。多芯ケーブル4aにおいては、電線群の外周に該横巻シールドが螺旋状に巻き付けられて設けられ、その外周に、図2に示す多芯ケーブル2あるいは図8に示す多芯ケーブル4と同様の樹脂から構成される保護層22が設けられている。
【0038】
図10に示す多芯ケーブル4aを用いたケーブルハーネスを図11に示す。図11に示すケーブルハーネス81は、屈曲運動部において多芯ケーブル4aを保護できる程度の長さにわたって形成された保護層22の両端部に防水部材5が形成され、この保護層22の両端から横巻シールドからなる外部導体43が露出されて取り出される。取り出された横巻シールドからなる外部導体43は、携帯電話等の小型電子機器のグランドに電気的に接続される。すなわち、ケーブルハーネス81においては、防水部材5の構成、及び同軸線3とコネクタ6との接続の構成は、図9に示すケーブルハーネス71と同様であるが、外部導体43の構成が異なる。
【0039】
以上、本発明においては、同軸線を用いた多芯ケーブルであっても、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる携帯電話などの電子機器に充分な防水性能を付与しつつ、更に電子機器の高機能化を進めることが可能なケーブルハーネスを得ることができる。また、横巻シールドからなる外部導体43を備える多芯ケーブル4aを用いてケーブルハーネスを構成することにより、横巻シールドからなる外部導体43を電子機器のグランドに接続することで、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる携帯電話などの電子機器に充分な防水性能(JIS CO920 IPX7準拠)を付与しつつ、電気特性をより安定化させ、電子機器の高機能化を進めることが可能なケーブルハーネスを得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 多芯線
2,4,4a 多芯ケーブル
3 同軸線
5 防水部材
6 コネクタ
10導線
11,31 導体
12,32 絶縁体
13 スキン層
14,33,43 外部導体
15,34 ジャケット
21 テープ
22 保護層
51 モールド
54 溝部
55 ケーブル挿入孔
56 熱融着部
61,71,81 ケーブルハーネス
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の開閉や捻回を伴う狭い部分で使用されるケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防水機能を有する携帯電話などの電子機器では、本体と液晶ディスプレイ(表示部)との間の信号伝送用配線材にFPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブルプリント回路)がよく使われている。これは、FPCがフィルム状であるので防水パッキン構造にしやすいためである。
【0003】
また、防水機能を有する携帯電話などの電子機器おいては、従来の折りたたみ式に加えて、最近では折りたたむときなどに液晶ディスプレイを開閉する動作に加えて、液晶ディスプレイを回動させる動作を付与したタイプも登場してきている。
【0004】
このような液晶ディスプレイを回動させる動作を有する電子機器にFPCを用いた場合、本体と液晶ディスプレイとの連結部であるヒンジ部の周りにフィルム状のFPCを螺旋状に巻いた状態でパッケージングされる。このとき、液晶ディスプレイを回動させる際にヒンジ部のFPCが捻回され、この捻回で信号のインピーダンス不整合等が発生することにより電気特性が不安定となり、またEMI特性が劣化するなどの問題が生じる。
【0005】
当該FPCを用いた場合の問題点を解消し、折りたたむときなどに液晶ディスプレイを開閉する動作に加えて、液晶ディスプレイを回動させる動作を付与した電子機器の高機能化を進めるための手段として、本体と液晶ディスプレイとの間のヒンジ部に、信号伝送に複数の電線から構成されるケーブルを用い、該ケーブルと本体との接続部、ならびに該ケーブルと液晶ディスプレイとの接続部に防水措置を施す方法が考えられる。
【0006】
例えば、特許文献1には、ケーブルにOリングを直接取り付け、該Oリングを押圧手段により変形させて防水性を得るケーブル導入口の防水装置が記載されている。
また、特許文献2には、防水対策を施したケーブルとして、少なくとも一本のケーブルが挿通された、少なくとも摺動性のチューブと、チューブの外装面を覆うように当該外装面に形成され、前記チューブと少なくとも2層構造を形成し、チューブよりも柔軟性の高い外装材とを有するケーブル集合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−287347号公報
【特許文献2】特開2010−73433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の方法は、最近の折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の防水措置としては、以下の理由により不十分である。
【0009】
本体と液晶ディスプレイとの間の信号伝送に複数の電線から構成されるケーブルを用いる場合、電線が電子機器と直接接触して摺動運動によりダメージを受けるのを防止するため、電線の周囲に保護層を設ける必要がある。そして、当該ケーブルは、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作が作用する、本体と液晶ディスプレイとの接続部で使用されるため、当該保護層は柔らかい材質で構成されなければならない。
【0010】
このようなケーブルに、特許文献1に記載の方法で防水措置を施した場合、柔らかい材質で構成される保護層に直接Oリングを取り付ける構成となる。しかし、保護層は柔らかい材質で構成されており、屈曲および捻回動作時に変形し易く、このような場合に保護層とOリングとの間に隙間が生じ、防水性が得られなくなってしまう。
【0011】
さらに、屈曲および捻回動作時の保護層の変形により、Oリングと保護層との間に隙間が発生することを防ぐため、Oリングと保護層とを接着剤等で接合する構成では、接着剤が経時劣化する恐れがあり、防水性の長期信頼性が問題となる。
【0012】
最近の折りたたむときの開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の高機能化を進め、更に電子機器に充分な防水性を付与するためには、FPCと比較して折りたたむ際の開閉と回動により電気特性に影響が生じにくいケーブルに、折りたたむ際の開閉による屈曲動作および捻回動作に耐え得る防水措置を施す必要がある。
【0013】
また、特許文献2では、開閉動作のみが行われる電気機器の防水について開示されているに止まり、回動動作が伴う電子機器の防水まで考慮されていないため、特許文献2に記載のケーブルでは開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器における防水性が不十分となるおそれがある。
【0014】
したがって、本発明の目的は、防水性と機械特性に優れ、開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の本体と液晶ディスプレイ間の信号伝送に好適なケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層を有する多芯ケーブルと、前記電線群の両端に設けられた接続端末と、前記保護層上に設けられた防水部材と、を備えたケーブルハーネスにおいて、前記保護層は、接着性を有する樹脂で形成されており、前記防水部材の内面と前記保護層の間に熱融着部が形成され、前記防水部材と前記保護層とが一体成形されていることを特徴とするケーブルハーネスを提供する。
【0016】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の本発明に係るケーブルハーネスにおいて、以下のような改良や変更を加えることができる。
(1)前記保護層は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とからなる樹脂組成物で形成されている。
(2)前記防水部材は、シリコーンゴム、あるいはエチレンプロピレンゴムからなる。
(3)前記防水部材は、電子機器に嵌合して固定させるための溝が形成されている。
【0017】
また、本発明は、本体部と表示部との間に設けられたヒンジ部に上記のケーブルハーネスが用いられていることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、防水性と機械特性に優れ、開閉と回動との双方の動作がなされる電子機器の本体と液晶ディスプレイ間の信号伝送に好適なケーブルハーネス、及びそれを用いた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る電線の横断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るケーブルハーネスを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る防水部材の構成を示す図である。
【図5】本発明で実施した屈曲試験の方法を示す図である。
【図6】本発明で実施した捻回試験の方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電線の横断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図である。
【図9】多芯ケーブルを用いたケーブルハーネスの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る、横巻シールドを備えた多芯ケーブルの横断面図である。
【図11】横巻シールドを備えた多芯ケーブルを用いたケーブルハーネスの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
本発明の実施の形態に係る電線である多芯線の横断面図を図1に示す。図1に示す多芯線1は、複数本(図1では4本)からなる導線10と、導線10の周囲に形成されたふっ素樹脂などからなるスキン層13と、スキン層13の周囲に形成された外部導体14と、外部導体14の周囲に形成されたふっ素樹脂などからなるジャケット15とから構成される。導線10は、1本又は複数本の銅線又は銅合金線からなる導体11の外周にふっ素樹脂などからなる絶縁体12を被覆して構成される。
【0022】
本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの横断面図を図2に示す。図2に示す多芯ケーブル2は、多芯線1と、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などからなるテープ21と、保護層22とから構成される。多芯ケーブル2においては、多芯線1が複数本(図2では10本)、テープ21により束ねられて電線群が構成され、該電線群の外周、すなわちテープ21の外周に保護層22が配され、屈曲運動部分における電線の断線を防止している。なお、電線群を構成する多芯線1は、携帯電話などに用いる極数を考慮して8〜18本とすることが望ましい。
【0023】
本実施の形態において、保護層22は接着性を有する樹脂から構成される。この接着性を有する樹脂としては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのふっ素樹脂と、接着性を付与するための接着性付与剤とで構成される樹脂組成物が用いられる。
【0024】
この樹脂組成物は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とをグラフト重合することにより得られる。例えば、接着性付与剤として、グラフト重合するための結合性基としてα,β−不飽和二重結合を末端に有する有機基またはパーオキシ基を有し、かつ接着性を付与する官能基としてカルボキシル基、カルボン酸無水物残基、エポキシ基および加水分解性シリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するグラフト性化合物を用い、このグラフト性化合物をETFEに対してグラフト重合して接着性を有するETFEが得られる。なお、グラフト重合する方法としては、例えば、ETFEとグラフト性化合物とをラジカル発生剤の存在下で反応させる方法などがある。
【0025】
保護層22をこのような接着性を有する樹脂で形成することにより、保護層22上の一部に形成される後述する防水部材と保護層22との界面での密着力を効率よく向上させることができる。このため、開閉と回動との双方がなされる電子機器のヒンジ部において、多芯ケーブルの端末部分に取り付けられるコネクタへの水の侵入を、Oリングなどの防水パッキンを用いることなく効果的に防ぐことができる。
【0026】
また、接着性を有する樹脂としては、低温で防水部材を成形するべく、170℃〜200℃の融点を有する樹脂を用いることが好ましい。融点がこの範囲外となる樹脂を用いる場合、保護層22と防水部材との界面において、後述する熱融着部を形成しにくくなる(保護層と防水部材との界面の融着が不十分となる)おそれがある。
【0027】
本実施の形態における多芯ケーブル2の直径は、携帯電話などの電子機器のヒンジ部に通すこと、および耐屈曲性等の向上を考慮すると2.5mm以下が望ましい。また、多芯ケーブル2に配される保護層22の厚さは、携帯電話の狭いヒンジ部を通さなければならないこと、繰り返し捻りを受けることなどから0.20〜0.35mmが望ましい。
【0028】
本発明の実施の形態に係るケーブルハーネスを図3に示す。図3に示すケーブルハーネス61は、多芯ケーブル2と、防水部材5と、接続端末であるコネクタ6とから構成される。ケーブルハーネス61においては、防水部材5を備える保護層22の両端部において、多芯ケーブル2を構成する複数の多芯線1が各々所定の長さ分だけ露出し、分離される。該分離された多芯線1は、それぞれコネクタ6と電気的に接続される。
【0029】
本実施の形態に係る防水部材5の構成を図4に示す。本実施の形態における防水部材5は、モールド51から構成される。モールド51は、例えばシリコーンゴムやエチレンプロピレンゴムなどで構成される。また、防水部材5には、該防水部材5を電子機器に嵌合させて固定するための溝部54が設けられていてもよい。本発明の実施の形態におけるモールド51の形状は、例えば円筒状、円錐状、円盤状などの形状を有する。また、防水部材5を構成するモールド51は、該モールド51を電子機器と嵌合させて固定する場合を考慮すると、ゴム硬度(ショアA)が50°〜70°であるゴム材料からなることが好ましい。
【0030】
本実施の形態において、モールド51は、以下の方法により多芯ケーブル2に取り付けられる。まず、モールド51は、該モールド51に形成されたケーブル挿入孔55に多芯ケーブル2が挿入され、多芯ケーブル2上の所定の位置に配される。所定の位置に配されたモールド51は、ケーブル挿入孔55に多芯ケーブル2が挿入された状態で熱が加えられ、成形がなされる。このモールド51の成型時の熱により、多芯ケーブル2を構成する保護層22と、ケーブル挿入孔55の内周面とが熱により融着し、熱融着部56が形成される。この熱融着部56の面積が大きい程、ケーブル挿入孔55における防水信頼性を高めることができる。
【0031】
このように、本実施の形態においては、モールド51の成形時の熱により、ケーブル挿入孔55の内周面と、多芯ケーブル2を構成する保護層22との間に、熱融着部56が形成され、モールド51と、多芯ケーブル2とが一体成形される。これにより、ケーブル挿入孔55から電子機器の内部への侵水を防止することができる。
(機械特性評価)
【0032】
本実施の形態に係る電線である、多芯ケーブルの機械特性の評価として、屈曲試験と捻回試験を実施した。屈曲試験方法を図5に、捻回試験方法を図6に示す。
【0033】
図5に示す屈曲試験には、評価試料として、多芯線を40本束ね、上述した接着性を有するETFEで構成される保護層に通したものを使用した。当該評価試料は垂直に保持され、下端に200(g)の荷重が取り付けられる。この状態の評価試料に曲げ冶具をあてがい、曲げ冶具の上部を折り曲げることで試験を行う。屈曲角度は、左右に90度とした。屈曲回数は、図5に示すように、評価試料を垂直に保持した状態から、図示左方向に90度折り曲げた状態で1回、再度垂直に保持した状態に戻して2回、次いで1回目とは逆方向に、図示右方向に90度折り曲げて3回、再度垂直に保持した状態に戻して4回、・・・と計数した。試験速度は、上述の計数方法で、1分間に30回の屈曲とした。その結果、30万回以上の屈曲でも電線の断線はなく、保護層に割れなどの傷の発生もなかった。
【0034】
図6に示す捻回試験においても、多芯線を40本束ね、上述した接着性を有するETFEで構成される保護層に通したものを評価試料として使用した。当該評価試料は垂直に保持され、下端に50(g)の荷重が取り付けられる。この状態の評価試料に、捻回用のチャック部と、固定用のチャック部との2つのチャック部が取り付けられる。捻回用チャック部と固定用チャック部との間隔は15mmである。試験は、固定用チャック部が評価試料を保持したまま、捻回用チャック部を回転させ、前記2つのチャック部に挟まれた評価試料の部位を回転させることにより行った。捻回角度は左右に180度とした。捻回回数は、図6に示すように、評価試料を垂直に保持した状態から、図示左方向に180度捻回した状態で1回、捻回を解除した状態に戻して2回、次いで1回目とは逆方向に、図示右方向に180度捻回して3回、再度捻回を解除した状態に戻して4回、・・・と計数した。試験速度は、上述の計数方法で、1分間に30回の捻回とした。その結果、30万回以上の捻回でも電線の断線はなく、保護層に割れなどの傷の発生もなかった。
【0035】
なお、本発明の実施の形態に係る電線としては、図7に示す同軸線を用いてもよい。図7に示す同軸線3は、1本又は複数本(図7では7本)の銅線又は銅合金線からなる導体31と、導体31の周囲に形成された絶縁体32と、絶縁体32の周囲に形成されたシールド層である外部導体33と、外部導体33の周囲に形成されたジャケット34とから構成される。
【0036】
この同軸線3を用いた本実施の形態に係る多芯ケーブルとしては、図8または図10に示すような構造からなる多芯ケーブルを用いることができる。図8に示す多芯ケーブル4は、複数本(図8では30本)の同軸線3の外周にPTFEなどからなるテープ21を設け、このテープ21の外周に上記で説明した保護層22を設けた構成を有する。
このような多芯ケーブル4を用いて構成されるケーブルハーネスを図9に示す。図9に示すケーブルハーネス71は、多芯ケーブル4と、上記で説明した防水部材5と、接続端末であるコネクタ6とから構成される。防水部材5は、多芯ケーブル4の両端に配設される。ケーブルハーネス71においては、屈曲運動部において多芯ケーブル4を保護できる程度の長さにわたって保護層22が形成され、この保護層22の両端部において防水部材5が形成される。さらに、この保護層22の両端から所定の長さにわたって多芯ケーブル4を構成する複数の同軸線3が各々露出し、分離される。該分離された同軸線3は、それぞれコネクタ6と電気的に接続される。
【0037】
図10に示す多芯ケーブル4aは、同軸線3と、PTFEなどからなるテープ21と、横巻シールドからなる外部導体43と、上記で説明した保護層22とから構成される。多芯ケーブル4aにおいて、横巻シールドは錫めっき銅箔糸から構成される。多芯ケーブル4aにおいては、電線群の外周に該横巻シールドが螺旋状に巻き付けられて設けられ、その外周に、図2に示す多芯ケーブル2あるいは図8に示す多芯ケーブル4と同様の樹脂から構成される保護層22が設けられている。
【0038】
図10に示す多芯ケーブル4aを用いたケーブルハーネスを図11に示す。図11に示すケーブルハーネス81は、屈曲運動部において多芯ケーブル4aを保護できる程度の長さにわたって形成された保護層22の両端部に防水部材5が形成され、この保護層22の両端から横巻シールドからなる外部導体43が露出されて取り出される。取り出された横巻シールドからなる外部導体43は、携帯電話等の小型電子機器のグランドに電気的に接続される。すなわち、ケーブルハーネス81においては、防水部材5の構成、及び同軸線3とコネクタ6との接続の構成は、図9に示すケーブルハーネス71と同様であるが、外部導体43の構成が異なる。
【0039】
以上、本発明においては、同軸線を用いた多芯ケーブルであっても、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる携帯電話などの電子機器に充分な防水性能を付与しつつ、更に電子機器の高機能化を進めることが可能なケーブルハーネスを得ることができる。また、横巻シールドからなる外部導体43を備える多芯ケーブル4aを用いてケーブルハーネスを構成することにより、横巻シールドからなる外部導体43を電子機器のグランドに接続することで、折りたたむ際の開閉と回動との双方の動作がなされる携帯電話などの電子機器に充分な防水性能(JIS CO920 IPX7準拠)を付与しつつ、電気特性をより安定化させ、電子機器の高機能化を進めることが可能なケーブルハーネスを得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 多芯線
2,4,4a 多芯ケーブル
3 同軸線
5 防水部材
6 コネクタ
10導線
11,31 導体
12,32 絶縁体
13 スキン層
14,33,43 外部導体
15,34 ジャケット
21 テープ
22 保護層
51 モールド
54 溝部
55 ケーブル挿入孔
56 熱融着部
61,71,81 ケーブルハーネス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層を有する多芯ケーブルと、前記電線群の両端に設けられた接続端末と、前記保護層上に設けられた防水部材と、を備えたケーブルハーネスにおいて、
前記保護層は、接着性を有する樹脂で形成されており、
前記防水部材の内面と前記保護層との間に熱融着部が形成され、前記防水部材と前記保護層とが一体成形されていることを特徴とするケーブルハーネス。
【請求項2】
前記保護層は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とからなる樹脂組成物で形成されている請求項1記載のケーブルハーネス。
【請求項3】
前記防水部材は、シリコーンゴム、あるいはエチレンプロピレンゴムからなる請求項1又は2記載のケーブルハーネス。
【請求項4】
前記防水部材は、電子機器に嵌合して固定させるための溝が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のケーブルハーネス。
【請求項5】
本体部と表示部との間に設けられたヒンジ部に、請求項1〜4のいずれかに記載のケーブルハーネスが用いられていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の電線からなる電線群の周囲に配された保護層を有する多芯ケーブルと、前記電線群の両端に設けられた接続端末と、前記保護層上に設けられた防水部材と、を備えたケーブルハーネスにおいて、
前記保護層は、接着性を有する樹脂で形成されており、
前記防水部材の内面と前記保護層との間に熱融着部が形成され、前記防水部材と前記保護層とが一体成形されていることを特徴とするケーブルハーネス。
【請求項2】
前記保護層は、ふっ素樹脂と接着性付与剤とからなる樹脂組成物で形成されている請求項1記載のケーブルハーネス。
【請求項3】
前記防水部材は、シリコーンゴム、あるいはエチレンプロピレンゴムからなる請求項1又は2記載のケーブルハーネス。
【請求項4】
前記防水部材は、電子機器に嵌合して固定させるための溝が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のケーブルハーネス。
【請求項5】
本体部と表示部との間に設けられたヒンジ部に、請求項1〜4のいずれかに記載のケーブルハーネスが用いられていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−238388(P2011−238388A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106918(P2010−106918)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(300055719)日立電線ファインテック株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(300055719)日立電線ファインテック株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
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