説明

ケーブル接続器用引抜工具、ケーブル接続器の引き抜き方法及びケーブル接続器

【課題】ケーブル接続器であるプラグ及びレセプタクルを変形させることなく、狭小なスペースであってもプラグ及びレセプタクルの一方から他方を容易に引き抜くこと。
【解決手段】ベース部材130には第1係合部110と、把持部120とが設けられるとともに、回動アーム部材150が回動自在に軸着されている。回動アーム部材150は第2係合部140を備える。第1係合部110及び第2係合部140が、プラグ30及びレセプタクル20のそれぞれに係合した際に、ベース部材130は、プラグ30及びレセプタクル20の軸線に対して、先端部131側から基端部132側に向かって漸次離間して配置されるとともに、把持部120は、軸線Cに対して45度未満の角度を形成する位置に配置される。把持部120を軸線に接近させることにより、第1係合部110及び第2係合部140は互いに離間する方向に移動してプラグ30とレセプタクル20とを離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルどうしの接続部分に用いられるケーブル接続器の脱着を容易に行うケーブル接続器用引抜工具、ケーブル接続器の引き抜き方法及びケーブル接続器に関する。
【背景技術】
【0002】
レセプタクルとプラグを用いてケーブルどうしを接続するケーブル接続器では、強固に接続して防水性を確保する必要がある。接続器が屋外配線、特に、港、飛行場に布設される航空照明用配線等としての屋外配線に使用される場合、太陽光線に晒されることは勿論のこと、海風、海水等の過酷な条件下での使用が想定される。
【0003】
このため、航空照明用配線に使用される場合では、ソーラーシステム等に用いられる一般の屋外配線と比較して更なる高防水性の確保が必要となり、より強固な接続が求められている。
【0004】
しかし、ケーブルどうしを強固に接続する接続器であればあるほど、プラグ及びレセプタクルの一方を他方から引き抜く際には、必要以上の力を加える必要がある。
【0005】
このため、その作業の際に、プラグとレセプタクルを捻ったり、曲げたりしながら引き抜くこととなり、接続器、つまり、プラグ又はレセプタクルの変形や破損を生じさせてしまう虞がある。
【0006】
この問題を解消するために、例えば、特許文献1に示すようなコネクタ脱着工具を用いてプラグ及びレセプタクルの一方から他方を引き抜くことが考えられている。このコネクタ脱着工具では、互いの一端部が接離自在となるようにベースブラケットの他端部にコネクタ抜き取り用レバーが回動自在に取り付けられている。このベースブラケットの一端部には、係合凹部でレセプタクルコネクタに係合する保護プレートが設けられる。一方、コネクタ抜き取り用レバーの一端部にはプラグコネクタに係合するリング係合壁が設けられている。これらベースブラケットとコネクタ抜き取り用レバーは離間する方向に圧縮コイルバネにより付勢されている。また、コネクタ抜き取り用レバーには、回動することによって、圧縮コイルバネの付勢力に抗してベースブラケットとコネクタ抜き取り用レバーとを接近させる作動用レバーが取り付けられている。このコネクタ脱着工具を用いて、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを引き抜く際には、レセプタクルコネクタに対して、コネクタ脱着工具をスライド移動して、係合凹部をレセプタクルコネクタに係合させ、リング係合壁をプラグコネクタに係合させる。そして、作動レバーの一端部を、レセプタクルコネクタが取り付けられている面に当接させて、付勢力によって作動レバーが回動することで、作動レバーはコネクタ抜き取りレバーを回動させる。これにより、保護プレートの係合凹部に対してコネクタ抜き取りレバーのリング係合壁が離間する方向に移動し、これら係合凹部とリング係合壁とを介して、レセプタクルコネクタからプラグコネクタが離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−17211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のコネクタ脱着工具では、接続器のレセプタクルとプラグの接続方向に対して垂直に工具を設置して引き抜き作業を行う。このため、引き抜き作業を行う際に、コネクタ脱着工具の長さ程度の設置スペースが必要となる。航空照明用配線、具体液には、滑走路の脇に配設される誘導灯の配線として、滑走路脇のハンドホール内に収容される場合、ハンドホールという限られたスペース内での引き抜き作業は煩雑となる。
【0009】
さらに、接続器の接続方向に対して垂直に配置されるコネクタ脱着工具において、作動レバーを介して圧縮緒コイルバネによりプラグをレセプタクルに対して接続方向に離間させるため、その引き抜き作業には、大きな引き抜き力が必要となり、更に手間が掛かる。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ケーブル接続器であるプラグ及びレセプタクルを変形させることなく、狭小なスペースであってもプラグ及びレセプタクルの一方から他方を容易に引き抜くことができるケーブル接続器用引抜工具、ケーブル接続器及びケーブル接続器の引き抜き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のケーブル接続器用引抜工具の一つの態様は、ケーブル接続器において線状に接続されたレセプタクル及びプラグの一方を引き抜くケーブル接続器用引抜工具であって、先端部及び基端部を有し、前記プラグ及びレセプタクルの一方に係合する第1係合部が当該先端部に設けられ、把持部が当該基端部に設けられたベース部材と、先端部及び基端部を有し、当該基端部で前記ベース部材或いは把持部に回動自在に軸着されるとともに、当該先端部に、前記プラグ及びレセプタクルの他方に係合する第2係合部が設けられた回動アーム部材と、を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置されるとともに、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置され、前記第1係合部及び第2係合部は、前記把持部を前記軸線に接近させることにより、互いに離間する方向に移動して前記プラグとレセプタクルとを離間させる構成を採る。
【0012】
本発明のケーブル接続器の引き抜き方法の一つの態様は、雌端子をゴム系材料からなるレセプタクル外包体によって被覆したレセプタクルと、雄端子をゴム系材料からなるプラグ外包体によって被覆したプラグとの対からなり、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の外周面には各々周方向に沿って凹部が形成されるとともに、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の先端部のそれぞれに設けられた嵌合凸部及び嵌合凹部を嵌合することにより線状に接続されたケーブル接続器に、ケーブル接続器用引抜工具を用いて前記レセプタクル及び前記プラグの一方を引き抜くケーブル接続器の引き抜き方法であって、前記ケーブル接続器用引抜工具は、先端部及び基端部を有し、接続された前記プラグ及びレセプタクルの一方の凹部に係合する第1係合部が当該先端部に設けられ、把持部が当該基端部に設けられたベース部材と、先端部及び基端部を有し、当該基端部で前記ベース部材に回動自在に軸着されるとともに、当該先端部に、接続された前記プラグ及びレセプタクルの他方の凹部に係合する第2係合部が設けられた回動アーム部材と、を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置されるとともに、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置され、前記把持部を前記軸線に接近させることで、互いに離間する方向に移動する前記第1係合部及び第2係合部を介して、前記レセプタクル及び前記プラグの一方を引き抜くようにした。
【0013】
本発明のケーブル接続器の一つの態様は、雌端子をゴム系材料からなるレセプタクル外包体によって被覆したレセプタクルと、雄端子をゴム系材料からなるプラグ外包体によって被覆したプラグとの対からなり、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の先端部のそれぞれに設けられた嵌合凸部及び嵌合凹部を嵌合することにより線状に接続されたケーブル接続器であって、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の外周面には、各々の周方向に沿って凹部が形成され、先端部及び基端部を有し、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体における外周面の一方の凹部に係合する前記第1係合部が当該先端部に設けられ、当該基端部に、把持部が設けられたベース部材と、先端部及び基端部を有し、第2係合部が当該先端部に設けられ、当該基端部が、前記ベース部材に回動自在に軸着された回動アーム部材と、を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置され、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置されるケーブル接続器用引抜工具によって、前記レセプタクル及び前記プラグの一方が引き抜き可能な構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケーブル接続器であるプラグ及びレセプタクルを変形させることなく、狭小なスペースであってもプラグ及びレセプタクルの一方から他方を容易に引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係るケーブル接続器用引抜工具を示す左側面図
【図2】同ケーブル接続器用引抜工具の右側面図
【図3】同ケーブル接続器用引抜工具の正面図
【図4】同ケーブル接続器用引抜工具の平面図
【図5】同ケーブル接続器用引抜工具の底面図
【図6】同ケーブル接続器用引抜工具の斜視図
【図7】同ケーブル接続器用引抜工具が用いられるケーブル接続器を示す図
【図8】図7に示すケーブル接続器のレセプタクルの説明に供する図
【図9】図7に示すケーブル接続器のプラグの説明に供する図
【図10】同ケーブル接続器用引抜工具の動作を説明するための図
【図11】同ケーブル接続器用引抜工具の動作を説明するための図
【図12】本発明の実施の形態2に係るケーブル接続器用引抜工具を示す左側面図
【図13】同ケーブル接続器用引抜工具の右側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態1に係るケーブル接続器用引抜工具を示す左側面図であり、図2は同ケーブル接続器用引抜工具の右側面図であり、図3は同ケーブル接続器用引抜工具の正面図であり、図4は同ケーブル接続器用引抜工具の平面図である。また、図5は同ケーブル接続器用引抜工具の底面図であり、図6は同ケーブル接続器用引抜工具の斜視図である。図7は、同ケーブル接続器用引抜工具が用いられるケーブル接続器を示す図である。
【0018】
図1〜図6に示すケーブル接続器用引抜工具100は、図7に示すケーブル接続器10において接続されたレセプタクル20とプラグ30とを離間して接続状態を解除するために用いられる。言い換えれば、ケーブル接続器用引抜工具100は、レセプタクル20及びプラグ30の一方を他方から引き抜くために用いられる。
【0019】
ケーブル接続器用引抜工具100は、先端部(ベース先端部)131に第1係合部110が設けられるとともに基端部(ベース基端部)132に把持部120が形成されたベース部材130と、基端部(アーム基端部)151でベース部材130に回動自在に軸着され、先端部(アーム先端部)152に第2係合部140が設けられた回動アーム部材150とを有する。
【0020】
ベース部材130は、先端部131から基端部132まで所定の長さを有し、先端部131には、第1係合部110がベース部材130から正面側に屈曲して突設されている。
【0021】
ここでは第1係合部110は、ベース部材130の先端部131から左右両側に湾曲して延びる断面円弧状をなしている。具体的には、第1係合部110は、筒状体の周壁の一部を軸方向に沿って切り欠いた形状をなし、ここでは、正面側に開口する断面U字状をなしている。
【0022】
第1係合部110は、係合相手である被係合部(本実施の形態では図7に示す凹部27、37)の形状に対応して形成される。ここでは、第1係合部110のU字状の内周面における半円状部分の内径L1(図4参照)は、係合相手であるケーブル接続器10(図7参照)におけるプラグ30及びレセプタクル20の凹部27、37の少なくとも一方の周面状の底面の外形に対応した長さとなっている。第1係合部110は、プラグ30及びレセプタクル20の凹部27、37の少なくとも一方に、凹部27、37の開口側から外嵌する。
【0023】
第1係合部110は、第2係合部140と上下方向で所定間隔を空けて並び、且つ、同じ方向(正面側)に開口して配置されている。第1係合部110は、第2係合部140から最も離れた端部112で、ケーブル接続器10(図7参照)において上下方向で接続されるプラグ30或いはレセプタクル20の一方に、引き抜き方向で係合する。
【0024】
なお、第1係合部110では、U字形状としたが、プラグ30或いはレセプタクル20の一方に、この一方が他方に対して離間する方向で係合する形状で有れば、C字状、半円弧状等のどのような形状でもよい。すなわち、第1係合部110は、プラグ30及びレセプタクル20の一方に掛合して押圧することにより他方から離間させる端部112を有する形状であればどのように形成されてもよい。
【0025】
ベース部材130は、右側面視或いは左側面視して、第1係合部110の突出方向に対して斜めに延出するように形成されている。具体的には、ベース部材130は、第1係合部110から背面側に向かって下方に傾斜して延在する。このベース部材130は、ケーブル接続器用引抜工具100を、接続されたレセプタクル20とプラグ30にセットする際に、これらレセプタクル20及びプラグ30の軸線Cに対して、先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置される。
【0026】
このベース部材130の基端部132には把持部120が連続して一体的に形成されている。
【0027】
把持部120は、作業者が握る部分であり、所定の長さを有し、その背面部分120bには、長手方向に沿って複数の凹凸部が形成されている。これらの凹凸部は作業者の指の形状に対応して形成されており、作業者の指をかけやすく、把持部120を握りやすくしている。この把持部120は、ケーブル接続器用引抜工具100を接続されたレセプタクル20とプラグ30にセットした際に、軸線Cに対して45度未満の角度を形成する位置に配置される。ここでは、把持部120において長手方向に延びる把持部120の中心線C1が軸線Cに対して45度未満の角度を形成する。
【0028】
なお、この把持部120は、第1係合部110、ベース部材130とともに金属板を加工することにより形成されている。
【0029】
詳細には、把持部120では、図1に示すように、長尺の把持本体板120aにおいて長手方向に沿って延在する一方の辺部(背面側の辺部)の上端部を折曲して背面部分120bが形成されている。なお、把持本体板120aの背面側の辺部には、長手方向に沿って、複数の凹部を形成することで複数の凹凸部が形成されている。
【0030】
背面部分120bは、把持本体板120aに対して直交しており、ベース部材130側の端面124は、後述するストッパ155の当接面となっている。
【0031】
また、図1に示すように、ベース部材130では、把持部120と連続する基端部132に、軸着部160を介して回動アーム部材150が回転自在に取り付けられている。
【0032】
軸着部160は、ベース部材130に回動アーム部材150の基端部151を回動自在にかしめてなる。
【0033】
回動アーム部材150は、ここでは、ベース部材130から正面側下方に向かって延びるように取り付けられている。回動アーム部材150の全長は、ベース部材130の全長よりも長い。
【0034】
回動アーム部材150は、把持部120の正面側で回動自在である。回動アーム部材150は、ストッパ155によって正面側への回動を規制されるとともに、付勢部材であるバネ170によって、その先端部152が正面側に付勢されている。
【0035】
回動アーム部材150の先端部152に設けられた第2係合部140は、第1係合部110と同様に形成されている。具体的には、第2係合部140は、回動アーム部材150の先端部152から左右両側に湾曲して延びる断面円弧状をしている。具体的には、第2係合部140は、筒状体の周壁の一部を軸方向に沿って切り欠いた形状をなし、ここでは、正面側に開口する断面U字状をなしている。
【0036】
第2係合部140は、第1係合部110と同様のものであり、係合相手である被係合部(本実施の形態では凹部27、37)の形状に対応して形成される。
【0037】
第2係合部140のU字状の内周面における半円状部分の内径L2(図5参照)は、係合相手であるケーブル接続器10(図7参照)におけるプラグ30及びレセプタクル20の凹部27、37の少なくも一方における周面状の底面の外径に対応した長さとなっている。第2係合部140は、プラグ30及びレセプタクル20の凹部27、37の少なくとも一方に、凹部37、27の開口側から外嵌する。
【0038】
第2係合部140は、第1係合部110から最も離れた端部142で、ケーブル接続器10(図7参照)において上下方向で接続されるプラグ30或いはレセプタクル20の一方に、引き抜き方向で係合する。
【0039】
なお、第2係合部140では、U字形状としたが、プラグ30或いはレセプタクル20の一方に、この一方が他方に対して離間する方向で係合する形状で有れば、どのような形状でもよい。すなわち、第2係合部140は、プラグ30及びレセプタクル20の一方に係合して押圧することにより他方から離間させる端部142を有する形状であれば、C時字状、円弧状等のどのような形状でもよい。
【0040】
バネ170は、図1に示すように、コイル部と、コイル部から互いに離間する方向に延びる線状部とを有したねじりばねである。バネ170において、コイル部は軸着部160の軸部分に外嵌されている。また、バネ170において、コイル部から延びる2つの線状部は、回動アーム部材150及び把持部120によって、互いに離間する方向への移動が規制されている。
【0041】
詳細には、バネ170は、線状部の一方を回動アーム部材150に固定し、線状部の他方を把持部120の背面部分120bの裏面に掛止させている。
【0042】
これにより、バネ170は、回動アーム部材150の先端側を、把持部120から離間する方向に付勢している。言い換えれば、バネ170は、ケーブル接続器用引抜工具100において、ベース部材130の第1係合部110と、回動アーム部材150の第2係合部140とが互いに接近する方向に付勢している。
【0043】
なお、ストッパ155は、ベース部材130の背面部と対向する位置に位置するように、回動アーム部材150の基端部151からベース部材130の背面部側に突出し、且つ折曲して形成されている。ストッパ155は、ベース部材130に対して回動アーム部材150が回動し、回動アーム部材150の先端部152が正面側に移動する際に、所定の回動範囲で、端面124に当接する。これにより、ストッパ155は、先端部152の第2係合部140が第1係合部110に近づく方向に移動することを規制する。
【0044】
ここで、ケーブル接続器用引抜工具100が用いられるケーブル接続器10(図7参照)について説明する。
【0045】
図7に示すように、ケーブル接続器10では、互いに嵌合可能なレセプタクル20とプラグ30との対からなる。
【0046】
レセプタクル20はケーブル2の一端に設けられ、プラグ30はケーブル2とは別のケーブル3の一端に設けられている。
【0047】
図8は、図7に示ケーブル接続器のレセプタクルの説明に供する図であり、図8Aは、同レセプタクルの側面図であり、図8Bは、同レセプタクルの側断面図である。
【0048】
図7及び図8に示すレセプタクル20では、ケーブル2に接合されたスリーブ端子(雌端子)21が、先端部をハウジング29により被覆された状態で、ゴム系材料(ここでは、熱可塑性エラストマー)製のレセプタクル20のレセプタクル外包体(以下、「レセプタクル本体」という)22によって被覆されている。
【0049】
レセプタクル本体22の先端側に、ハウジング29が配置され、レセプタクル本体22においてハウジング29が配設された部分が、プラグ30の嵌合凹部33に嵌め込まれる嵌合凸部23となっている。この嵌合凸部23の先端部24には、図8Bに示すように、スリーブ端子21の一端部と連通する開口23aが形成され、プラグ30のピン端子(雄端子)31(図9B参照)が挿入される。なお、ハウジング29は変性PPE等の難燃性を有する硬質プラスチック材料で形成されている。
【0050】
嵌合凸部23の外周面には、プラグ30の嵌合凹部33からの抜け出しを防ぐため、先端部24から基端側にかけて環状の3つの突条25が形成され、軸方向の断面が鋸歯状となるように連続している。すなわち、各突条25において、外周面は嵌合凸部23の基端側方向ほど外部に膨出し、最大径部を経て軸芯側に集束する形状とされている。
【0051】
また、各突条25の最大径部となる頂部の外径は、連続する突条25において嵌合凸部23の先端側から基端側にいくほど僅かに大きく形成されている。つまり、先端部24から段部を介して連続する最も右側(嵌合凸部23の先端側)の突条25aよりも、3つの中央に位置する突条25bの方が僅かに頂部の外径が大きく形成されている。さらに、突条25bよりも最も図面上左側(嵌合凸部23の基端側)に位置する突条25cの方が僅かに頂部の外径が大きく形成されている。また、かかる突条25の頂部は、軸方向断面が丸みを帯びた形状に形成されている。
【0052】
また、嵌合凸部23では、突条25cの基端側に、細溝26aを介して、突条25cの外径よりも外径が大きい鍔状の大鍔部26が形成されている。この大鍔部26は正面視円形であり、その外径は、嵌合凹部33の外径と等しく或いは略等しくなるように形成されている。なお、レセプタクル本体22内におけるケーブル端部は、スリーブ端子21に接続される部位と基端側で隣り合う部分に防水スリーブ2aを外嵌した状態で、レセプタクル本体22に固定されている。
【0053】
レセプタクル20のレセプタクル本体22の外周面には、周方向に沿って延在し、且つ、半径方向外方に開口する溝状の凹部(以下、便宜上「レセプタクル側凹部」とも称する)27が形成されている。
【0054】
レセプタクル側凹部27は、レセプタクル20のレセプタクル本体22において嵌合凸部23の基端側に、嵌合凸部23の大鍔部26に隣接して形成され、この大鍔部26とともに段差を形成する。このレセプタクル側凹部27には、レセプタクル20とプラグ30の一方から他方を容易に引き抜く際に、ケーブル接続器用引抜工具100の第1係合部110及び第2係合部140の一方(図10では第1係合部110)が嵌合される。
【0055】
図9は、図7に示すケーブル接続器のプラグの説明に供する図であり、図9Aは、同プラグの側面図であり、図9Bは、同プラグの側断面図である。
【0056】
一方、図7及び図9に示すプラグ30は、基端側からケーブル3が導出されるとともに、先端部として筒状の嵌合凹部33を有する。
【0057】
図9に示すように、プラグ30では、ケーブル3に接合されたピン端子31がゴム系材料(ここでは、熱可塑性エラストマー)製のプラグ外包体(以下、「プラグ本体」という)32によって被覆されている。
【0058】
プラグ本体32の先端側は、ピン端子31を囲むようにしてピン端子31の先端よりもさらに先端方向に延出された筒状をなしている。この筒状部分によってレセプタクル本体22の嵌合凸部23が嵌め込まれる嵌合凹部33が形成されている。
【0059】
この嵌合凹部33の内周面では、レセプタクル本体22の嵌合凸部23に形成された突条25の頂部に嵌装される部分が直円筒状に形成されている。また、この嵌合凹部33の内周面は、内径の異なる三つの円筒部34a,34b,34cが連続して形成されている。具体的には、嵌合凹部33の内周面は、奥部の円筒部34a、真ん中に位置する円筒部34b、先端部に位置する円筒部34cの順に内径を大きくしている。
【0060】
円筒部34aの内径は、嵌合凸部23の突条25a(図8B参照)の頂部を、円筒部34bの内径は突条25b(図8B参照)の頂部を、円筒部34cの内径は突条25c(図8B参照)の頂部をそれぞれ押圧する程度の大きさで形成されている。
【0061】
この構成により、嵌合凸部23と嵌合凹部33との嵌合状態では、突条25aは嵌合凹部33の円筒部34aの頂部を、突条25bは円筒部34bの頂部を、突条25cは円筒部34cの頂部をそれぞれ軸心側に押圧する。
【0062】
このように嵌合凸部23と嵌合凹部33とが嵌合すると、嵌合凸部23と嵌合凹部33とが突条25の頂部を介して密着し、レセプタクル本体22とプラグ本体32との水密性が確保される。
【0063】
また、嵌合凹部33には、図9Bに示すように、円筒部34同士の間に環状の突片部36が内側に向かって突設されている。この突片部36は、嵌合凸部23(図8参照)が嵌合凹部33に嵌め込まれたとき、嵌合凸部23の先端部24の段部及び各突条25の段部(各頂部により形成される段差部)に引っ掛かるように形成されている。これにより、嵌合凸部23の先端部24が所定の位置まで嵌め込まれるとき、先端部24及び各突条25のそれぞれの段部に、嵌合凹部33の各突片部36が嵌り込み明確な手応えが得られる。
【0064】
よって、作業者は、嵌合凸部23を嵌合凹部33に挿入する際の手応えを目安にして、レセプタクル本体22とプラグ本体32とを良好な嵌合状態に接続することができる。なお、プラグ本体32内におけるケーブル端部は、ピン端子31に接続される部位と基端側で隣り合う部分に、防水スリーブ3aを外嵌した状態で、プラグ本体32に固定されている。
【0065】
プラグ本体32の外周面には、周方向に沿って延在し、且つ、半径方向外方に開口する溝状の凹部(以下、便宜上「プラグ側凹部」とも称する)37が形成されている。
【0066】
プラグ側凹部37は、プラグ30のプラグ本体32において嵌合凹部33の基端側に、嵌合凹部33に隣接して形成され、嵌合凹部33の基端部分とともに段差を形成している。
【0067】
このプラグ側凹部37には、接続中のレセプタクル20及びプラグ30の一方から他方を容易に引き抜く際に、ケーブル接続器用引抜工具100の第1係合部110及び第2係合部140の一方(図10では第2係合部140)が嵌合される。
【0068】
このように構成されたプラグ側凹部37は、レセプタクル20のレセプタクル本体22の外周面に形成されるレセプタクル側凹部27(図7及び図8参照)と異なる溝幅で、プラグ本体32の外周面に形成されている。
【0069】
ここでは、レセプタクル20におけるレセプタクル側凹部27の溝幅W1よりもプラグ30におけるプラグ側凹部37の溝幅W2の方が大きい。
【0070】
これにより、ケーブル同士が接続された状態であっても、作業者は、凹部の幅を視認するだけでどちらのケーブルが、レセプタクル20が取り付けられたケーブルか、プラグ30が取り付けられたケーブルかを判別できる。
【0071】
さらに、レセプタクル20及びプラグ30の接続状態において、接続部分に曲げ荷重がかかる場合でも、レセプタクル側凹部27の溝幅W1よりもプラグ側凹部37の溝幅W2の方が大きいため、レセプタクル側凹部27とプラグ側凹部37とを同じ溝幅に構成した場合と比較して、プラグ側凹部37に掛かる曲げ荷重を分散させることができる。
【0072】
レセプタクル側凹部27の溝幅W1とプラグ側凹部37の溝幅W2は、それぞれ第1係合部110と第2係合部140の上下方向の長さよりも長い。ここでは、第1係合部110と第2係合部140のそれぞれにおける上下方向の長さL3、L4(図6参照)は、レセプタクル側凹部27の溝幅W1と同等の長さで形成されている。
【0073】
次に、本実施の形態に係るケーブル接続器用引抜工具100の動作について説明する。
【0074】
まず、図8に示すレセプタクル20と、図9に示すプラグ30とを接続すると、図7に示すように直線状のケーブル接続器10となる。
【0075】
このようにレセプタクル20とプラグ30とが接続されたケーブル接続器10において、ケーブル接続器用引抜工具100を用いて、プラグ30をレセプタクル20から引き抜く場合、先ずケーブル接続器10にケーブル接続器用引抜工具100をセットする。
【0076】
図10は同ケーブル接続器用引抜工具の動作を説明するための図であり、具体的に、図10は、ケーブル接続器にケーブル接続器用引抜工具をセットした状態を示す図である。
また、図11は、同ケーブル接続器用引抜工具の動作を説明するための図であり、具体的に、図11は、図10のケーブル接続器10において、ケーブル接続器用引抜工具によりレセプタクルからプラグを引き抜いた状態を示す図である。
【0077】
図7及び図10に示すように、接続中のケーブル接続器10では、レセプタクル20とプラグ30とが挿入により互いに嵌合して接続する方向の軸線(プラグ30とレセプタクル20の接続方向に沿う線、つまり、ケーブル2、3どうしの軸線である接続軸線に相当)に沿って配置される。つまり、レセプタクル20とプラグ30は直線状に強固に接続される。
【0078】
このようなケーブル接続器10において、レセプタクル20とプラグ30との接続部分15を挟み、レセプタクル側凹部27及びプラグ側凹部37に、第1係合部110及び第2係合部140を係合させる。
【0079】
具体的には、ケーブル接続器用引抜工具100を接続部分15の側方に配置して、第1係合部110をプラグ側凹部37に対してプラグ側凹部37の側方から外嵌する。加えて、第2係合部140をレセプタクル側凹部27に対して、レセプタクル側凹部27の側方から外嵌する。
【0080】
このとき、ケーブル接続器用引抜工具100の把持部120は、ケーブル接続器10の接続方向の接続軸線である軸線Cに沿って配置されるともに、軸線Cに対して45度の角度を形成する位置に配置される。別言すれば、把持部120は、第1係合部110及び第2係合部140を凹部27、37に外嵌した際に、軸線Cに対して45度未満の角度を形成する面に配置される。なお、把持部120の配置位置は、軸線Cに対して45度未満の角度を形成する位置に配置されるものであれば、どの位置に配置されるように構成されてもよい。
【0081】
そして、図10に示すように、ケーブル接続器10とケーブル接続器10にセットされたケーブル接続器用引抜工具100の双方を包むように握る。このとき、把持部120は、ケーブル接続器10の接続方向の軸線Cに対して45度の角度を形成する位置に配置されているため、作業者は、ケーブル接続器用引抜工具100を容易に握ることができるとともに、ケーブル接続器10の外周に指先を掛けやすい。なお、作業者は、ケーブル接続部100に対して、指先を把持部の凹凸部に掛けて、ケーブル接続器10の接続部分に母指球付近を当てて包むように握っても良い。
【0082】
そして、把持部120をケーブル接続器10の軸線C(図1参照)に接近させるように把持部120に荷重Aを加える。
【0083】
すると、把持部120の移動に伴い、軸着部160が支点となって、ベース部材130と、回動アーム部材150とが相対的に離間する方向に移動する。つまり、ベース部材130の先端部131の第1係合部110と、回動アーム部材150の先端部152の第2係合部140とが相対的に離間する方向に移動する。
【0084】
このとき、第1係合部110は端部112でプラグ30のプラグ側凹部37の一側壁、つまり、プラグ本体32の先端面に当接し、プラグ本体32を軸線Cに沿ってレセプタクル20から引き抜く方向に押圧する。
【0085】
一方、第2係合部140は、端部142でレセプタクル20のレセプタクル側凹部27の一側壁、つまり、レセプタクル本体22の先端面に当接し、レセプタクル本体22を軸線Cに沿ってプラグ30から引き抜く方向に押圧する。
【0086】
これにより、ケーブル接続器10には、互いに離間する方向Bの力が、軸線Cに沿って作用する。
【0087】
これにより、レセプタクル20と、プラグ30とは互いに離間する方向Bに移動することとなり、図11に示すように、レセプタクル20とプラグ30とは嵌合状態が解除される。すなわち、ケーブル接続器10においてレセプタクル20及びプラグ30の一方から他方が引き抜かれる。
【0088】
このようにケーブル接続器用引抜工具100では、把持部120をケーブル接続器10の軸線Cに接近させるように移動させることによって、第1係合部110及び第2係合部140が、互いに離間する方向Bに移動させる。これにより、レセプタクル20とプラグ30とを接続方向に沿う軸線に沿って互いに離間する方向Bに移動して、互いの接続状態が解除される。
【0089】
このようにケーブル接続器用引抜工具100によれば、レセプタクル本体(レセプタクル外包体)22及びプラグ本体(プラグ外包体)32の外周面に各々周方向に沿って凹部27、37が形成されたケーブル接続器10のレセプタクル20とプラグ30を容易に引き抜くことができる。
【0090】
つまり、ケーブル接続器用引抜工具100は、ケーブル2、3の軸線Cと把持部120とで形成する角度が45度未満である。よって、ケーブル2、3とケーブル接続器用引抜工具100を片手で握り、ケーブル接続器10の軸線C、つまり、ケーブル2,3の軸線と、把持部120を接近させるだけで容易にレセプタクル20からプラグ30を引き抜くことができる。
【0091】
このため、ケーブル接続器10であるプラグ30とレセプタクル20を捻ったり、曲げたりしながら引き抜く必要が無く、ケーブル接続器10の変形や破損を生じさせてしまうことがない。
【0092】
また、ケーブル接続器10の軸線(プラグ30とレセプタクル20の接続方向に沿う線、つまり、ケーブル2、3どうしの軸線に相当)Cに対して90度を形成する位置に設置して使用する従来の工具では、ケーブル接続器が非常に狭い場所に設置される場合、両手で作業を行うため、プラグとレセプタクルの引き抜き作業を行いにくい。特に、ケーブル接続器が、工具の長さのスペースが存在しない場合に設置される場合では、プラグとレセプタクルの引き抜き作業できない。
【0093】
これに対して、本ケーブル接続器用引抜工具100によれば、ケーブル接続器10が非常に狭い場所であっても、片手を伸ばしてセットし、かつ握るだけで容易に、ケーブル接続器10におけるレセプタクル20からプラグ30を引き抜く事ができる。つまり、ケーブル接続器10が航空照明用配線として、滑走路の脇に配設される誘導灯の配線として、滑走路脇のハンドホール内に収容される場合でも、ハンドホールという限られたスペース内での引き抜き作業を容易に行うことができる。
【0094】
なお、把持部120と、軸線Cとで形成する角度が、45度を超える場合、作業者は把持部120を握りにくくなり、使い勝ってが悪くなる。
【0095】
(実施の形態2)
図12は本発明の実施の形態2に係るケーブル接続器用引抜工具を示す左側面図であり、図13は同ケーブル接続器用引抜工具の右側面図である。なお、この実施の形態2に係るケーブル接続器用引抜工具は、図1〜図9に示す実施の形態1に対応するケーブル接続器用引抜工具と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0096】
図12及び図13に示すケーブル接続器用引抜工具200は、ケーブル接続器用引抜工具100の構成において、ベース部材と把持部とを側面視同一直線状で連続するように形成したケーブル接続器用引抜工具である。
【0097】
つまり、ケーブル接続器用引抜工具200では、一端部231に第1係合部110が設けられたベース部材230の他端部232に、把持部220が、側面視、同一直線状に形成されている。なお、このベース部材230には、先端部152に第2係合部140が設けられた回動アーム部材150の基端部が、軸着部160を介してベース部材230に回動自在に軸着されている。なお、この回動アーム部材150は、把持部220の正面側で回動自在である。回動アーム部材150は、ストッパ155によって正面側への回動を規制されるとともに、付勢部材であるバネ170によって、その先端部152が正面側に付勢されている。このケーブル接続器用引抜工具200によれば、ケーブル接続器用引抜工具100と同様の作用効果を得ることができる。
【0098】
なお、回動アーム部材150は、本実施の形態では、ベース部材130、230の基端部132、232に軸着部160を介して取り付けられた構成としたが、これに限らない。回動アーム部材150の先端部152の第2係合部140が、軸着部160を挟んで第1係合部110と離間して、且つ、同一の直線、つまり、軸線Cを囲むように並ぶ位置で配置される構成であれば、回動アーム部材150は、ベース部材130或いは把持部120、220のいずれに回動自在に取り付けられてもよい。例えば、ケーブル接続器用引抜工具100、200の構成において、回動アーム部材150を、把持部120、220の後端部に回動自在に軸着し、把持部120、220をケーブル接続器10の軸線Cに接近させることで、第2係合部140と第1係合部110とが相対的に離間する方向に移動するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係るケーブル接続器用引抜工具、ケーブル接続器の引き抜き方法及びケーブル接続器は、ケーブル接続器であるプラグ及びレセプタクルを変形させることなく、狭小なスペースであってもプラグ及びレセプタクルの一方から他方を容易に引き抜くことができる効果を有し、特に航空照明用配線のケーブル接続器に用いられるものとして有用である。
【符号の説明】
【0100】
10 ケーブル接続器
20 レセプタクル
22 レセプタクル本体(レセプタクル外包体)
23 嵌合凸部
26 大鍔部
27 凹部(レセプタクル側凹部)
30 プラグ
32 プラグ本体(プラグ外包体)
33 嵌合凹部
37 凹部(プラグ側凹部)
100、200 ケーブル接続器用引抜工具
110 第1係合部
112、142 端部
120、220 把持部
130、230 ベース部材
131、231 ベース部材の先端部
132、232 ベース部材の基端部
140 第2係合部
150 回動アーム部材
151 回動アーム部材の基端部
152 回動アーム部材の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル接続器において線状に接続されたレセプタクル及びプラグの一方を引き抜くケーブル接続器用引抜工具であって、
先端部及び基端部を有し、前記プラグ及びレセプタクルの一方に係合する第1係合部が当該先端部に設けられ、把持部が当該基端部に設けられたベース部材と、
先端部及び基端部を有し、当該基端部で前記ベース部材或いは把持部に回動自在に軸着されるとともに、当該先端部に、前記プラグ及びレセプタクルの他方に係合する第2係合部が設けられた回動アーム部材と、
を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置されるとともに、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置され、
前記第1係合部及び第2係合部は、前記把持部を前記軸線に接近させることにより、互いに離間する方向に移動して前記プラグとレセプタクルとを離間させる、
ケーブル接続器用引抜工具。
【請求項2】
前記ケーブル接続器は、雌端子をゴム系材料からなるレセプタクル外包体によって被覆したレセプタクルと、雄端子をゴム系材料からなるプラグ外包体によって被覆したプラグとを有し、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の先端部のそれぞれに設けられた互いに嵌合可能な嵌合凸部及び嵌合凹部どうしを挿入により嵌合することで前記プラグ及びレセプタクルは接続され、
前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の外周面には、前記第1係合部及び第2係合部のそれぞれが係合する凹部が各々周方向に沿って延設され、
前記把持部は、前記第1係合部及び前記第2係合部が、前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれの凹部に係合した際に、前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置される、
請求項1記載のケーブル接続器用引抜工具。
【請求項3】
前記第1係合部及び第2係合部のそれぞれは、前記凹部に内嵌する断面U字状をなす、
請求項2記載のケーブル接続器用引抜工具。
【請求項4】
前記嵌合凸部の外周面は複数本の突条が断面鋸歯状に連続するように形成され、
前記嵌合凹部の内周面は前記各突条の頂部に嵌装される部分が直円筒状に形成されている請求項2又は3のいずれか一項に記載のケーブル接続器用引抜工具。
【請求項5】
雌端子をゴム系材料からなるレセプタクル外包体によって被覆したレセプタクルと、雄端子をゴム系材料からなるプラグ外包体によって被覆したプラグとの対からなり、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の外周面には各々周方向に沿って凹部が形成されるとともに、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の先端部のそれぞれに設けられた嵌合凸部及び嵌合凹部を嵌合することにより線状に接続されたケーブル接続器に、ケーブル接続器用引抜工具を用いて前記レセプタクル及び前記プラグの一方を引き抜くケーブル接続器の引き抜き方法であって、
前記ケーブル接続器用引抜工具は、
先端部及び基端部を有し、接続された前記プラグ及びレセプタクルの一方の凹部に係合する第1係合部が当該先端部に設けられ、把持部が当該基端部に設けられたベース部材と、
先端部及び基端部を有し、当該基端部で前記ベース部材に回動自在に軸着されるとともに、当該先端部に、接続された前記プラグ及びレセプタクルの他方の凹部に係合する第2係合部が設けられた回動アーム部材と、
を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置されるとともに、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置され、
前記把持部を前記軸線に接近させることで、互いに離間する方向に移動する前記第1係合部及び第2係合部を介して、前記レセプタクル及び前記プラグの一方を引き抜く、
ケーブル接続器の引き抜き方法。
【請求項6】
雌端子をゴム系材料からなるレセプタクル外包体によって被覆したレセプタクルと、雄端子をゴム系材料からなるプラグ外包体によって被覆したプラグとの対からなり、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の先端部のそれぞれに設けられた嵌合凸部及び嵌合凹部を嵌合することにより線状に接続されたケーブル接続器であって、
前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体の外周面には、各々の周方向に沿って凹部が形成され、
先端部及び基端部を有し、前記レセプタクル外包体及びプラグ外包体における外周面の一方の凹部に係合する前記第1係合部が当該先端部に設けられ、当該基端部に、把持部が設けられたベース部材と、
先端部及び基端部を有し、第2係合部が当該先端部に設けられ、当該基端部が、前記ベース部材に回動自在に軸着された回動アーム部材と、
を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部が前記プラグ及びレセプタクルのそれぞれに係合した際に、前記ベース部材が、接続された前記レセプタクル及びプラグの軸線に対して、当該ベース部材の先端部側から基端部側に向かって漸次離間して配置され、前記把持部が前記軸線に対して45度未満の角度を形成する位置に配置されるケーブル接続器用引抜工具によって、前記レセプタクル及び前記プラグの一方が引き抜き可能なケーブル接続器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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